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発明の名称 高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−163347(P2007−163347A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2005−361698(P2005−361698)
出願日 平成17年12月15日(2005.12.15)
代理人 【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
発明者 大久保 和俊
要約 課題
高温ガス炉用燃料コンパクトを材料に大きな荷重を掛けることなく成形することができる方法を提供すること。

解決手段
電極を兼ねる上下のパンチ12U、12Lと円筒形ダイス14とを含み燃料コンパクトの形状に相応する型窪16を有する燃料コンパクト成形用絶縁成形型10の型窪16内に燃料コンパクト1個分に必要なオーバーコート粒子1を装填し、電極である上下のパンチ12U、12Lからオーバーコート粒子1に電流を流してオーバーコート粒子のオーバーコート層のバインダーをジュール熱で軟化または溶解させ、次いで上下のパンチ12U、12Lを加圧しながら上下のパンチ12U、12Lから電流を流してバインダーを硬化させて燃料コンパクトを製造する。
特許請求の範囲
【請求項1】
電極を兼ねる上下のパンチと円筒形ダイスとを含み燃料コンパクトの形状に相応する型窪を有する燃料コンパクト成形用絶縁成形型の前記型窪内に燃料コンパクト1個分に必要なオーバーコート粒子を装填し、電極である前記上下のパンチから前記オーバーコート粒子に電流を流して前記オーバーコート粒子のオーバーコート層のバインダーをジュール熱で軟化または溶解させ、次いで前記上下のパンチを加圧しながら前記上下のパンチから電流を流して前記バインダーを硬化させて燃料コンパクトを製造することを特徴とした高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の高温ガス炉用コンパクトの製造方法であって、前記成形型内に前記オーバーコート粒子と共に黒鉛マトリックスを更に装填することを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法。



































発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法に関し、特に被覆燃料粒子の被覆層を破壊することなく燃料コンパクトを製造することができる燃料コンパクトの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を熱容量が大きく高温で健全性を維持する黒鉛で構成し、炉心を冷却するために、高温下でも化学反応が起こることがないヘリウムガスを冷却ガスとして用いているので、固有の安全性が高く、約900℃の高い出口温度のヘリウムガスを回収して、この高温熱を発電、水素製造、化学プラント等の広い分野で利用することができる。
【0003】
この高温ガス炉の燃料は、二酸化ウランをセラミック状に焼結した直径が約350〜650ミクロンの燃料核の周囲に4層の被覆を施して形成されている。第一層は、密度が約1g/cmの低密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状の核分裂生成物(FP)のガス溜めとしての機能と燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能とを併せ持っている。第二層は、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能を有する。第三層は、密度が約3.2g/cmの炭化珪素(SiC)の被覆であり、これは、固体FPの保持機能を有すると共に、被覆の主要な補強部材としての機能を有する。最後に、第四層は、第二層と同様に、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能と第三層の保護層としての機能を有する。
【0004】
一般的な被覆燃料粒子は、約500〜1000ミクロンの直径を有する。この被覆燃料粒子は、黒鉛マトリックス中に分散させた後、一定形状の燃料コンパクトの形態に成型加工され、この燃料コンパクトの一定数量を黒鉛筒に入れ、上下を栓で閉じて燃料棒とされる。この燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に差し込まれて高温ガス炉の燃料となる。多数個の六角柱型黒鉛ブロックをハニカム配列に多段に重ねて炉心を構成している。
【0005】
高温ガス炉の燃料は、一般的には、次のようにして製造される。まず、酸化ウラン粉末を硝酸に溶かして硝酸ウラニル原液とし、この硝酸ウラニル原液に純水、増粘剤を添加し攪拌して滴下原液を作る。増粘剤は、滴下された硝酸ウラニル原液の滴液が落下中にそれ自体の表面張力で真球状になるように作用する。このような増粘剤としては、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂、例えば、ポリビニールアルコール樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズ等を使用することができる。このように調製された滴下原液は、所定の温度に冷却されて粘度が調整された後、細径の滴下ノズルを振動させる等の方法を用いてアンモニア水中に滴下される。
【0006】
滴液は、アンモニア水溶液表面に着水するまでの空間でアンモニアガスを吹き付けて表面をゲル化させることによって着水時の変形が防止される。硝酸ウラニルは、アンモニア水中でアンモニアと充分に反応させ、重ウラン酸アンモニウムの粒子となる。この粒子は、大気中で焙焼され三酸化ウラン粒子となり、更に還元焼結されて高密度のセラミック二酸化ウランの燃料核となる。
【0007】
この燃料核の粒径や真球度は、被覆燃料粒子の製造条件に大きく影響することから、燃料核は、篩による粒径選別及び真球度選別を行った上で被覆工程にリリースされる。
【0008】
この燃料核は、流動床に装荷され、この流動床内に供給される反応ガス(被覆ガス)が熱分解されて燃料核の上に被覆が施される。第一層の低密度熱分解炭素は、約1400℃でアセチレン(C)を熱分解して被覆される。第二層及び第四層の高密度熱分解炭素は、約1400℃でプロピレン(C)を熱分解して被覆される。第三層のSiCは、約1600℃でメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を熱分解して被覆される。このように4層の被覆が施されて被覆燃料粒子が得られる。
【0009】
この被覆燃料粒子の粒径や真球度は、オーバーコート粒子の製造条件に大きく影響することから、被覆燃料粒子は、篩による粒径選別及び真球度選別を行った上でオーバーコート工程にリリースされる。
【0010】
この被覆燃料粒子は、その表面に黒鉛粉末、粘結剤等から成る黒鉛マトリックス材を表面にコーティングしてオーバーコート粒子とする。オーバーコート粒子は、中空円筒形又は円筒形に温間でプレス成型され、燃料コンパクトとなる。この燃料コンパクトは、マトリックス材中に含まれる粘結剤等を除去するために予備焼成され、更にマトリックス材から脱ガスするために焼成される。
【0011】
被覆燃料粒子の表面に黒鉛マトリックス材をコーティングするオーバーコート工程は、従来、主に、次の2つの目的を達成するために、行われていた。
(1)プレス成型時の圧力によって被覆燃料粒子が破損をすることを防ぐこと。
(2)燃料コンパクト内に被覆燃料粒子を均一に分散させ、燃焼時に被覆燃料粒子が熱的、機械的に破損するのを防ぐこと。
【0012】
コンパクトプレス時に被覆燃料粒子の被覆層が破損するのを防止するために、オーバーコート層は、被覆層のクッション材として働くので、厚い方が好ましいが、燃料コンパクトの体積は予め決まっているので、燃料コンパクト中のマトリックス材の量が増加すれば、燃料コンパクト中に含まれる被覆燃料粒子の個数が逆に減少し、1個当たりの燃料コンパクトに含まれるウラン量が少なくなることになる。従来の燃料コンパクトでは、被覆粒子の体積/コンパクトの体積で定義される被覆粒子充填率の値は、35%程度であった。
【0013】
高温ガス炉用燃料を高燃焼度化するために1個当たりの燃料コンパクトに含まれるU235の量を増加させる必要があり、そのためには、ウランの濃縮度を高くするか、1個当たりの燃料コンパクトに含まれるウラン量を多くすることが必要である。1個当たりの燃料コンパクトに含まれるウラン量を多くするためには、コンパクト中にできる限り多くの被覆燃料粒子を入れる必要があるが、マトリックス材の量が少なくなると、プレス成型時の圧力によって被覆燃料粒子が破損をすることを防ぐことが困難になるという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、オーバーコート粒子のオーバーコート層が薄くてもプレス成型時に被覆燃料粒子の被覆層を破損することがなく、従って被覆燃料粒子の充填率を高めることができる燃料コンパクトを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の課題解決手段は、電極を兼ねる上下のパンチと円筒形ダイスとを含み燃料コンパクトの形状に相応する型窪を有する燃料コンパクト成形用絶縁成形型の型窪内に燃料コンパクト1個分に必要なオーバーコート粒子を装填し、電極である上下のパンチからオーバーコート粒子に電流を流してオーバーコート粒子のオーバーコート層のバインダーをジュール熱で軟化または溶解させ、次いで上下のパンチを加圧しながら上下のパンチから電流を流してバインダーを硬化させて燃料コンパクトを製造することを特徴とした高温ガス炉用燃料コンパクトの製造方法を提供することにある。
【0016】
本発明の課題解決手段において、成形型内にオーバーコート粒子と共に黒鉛マトリックスを更に装填することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、燃料コンパクトは、絶縁成形型の上下のパンチからオーバーコート粒子に電流を流してオーバーコート粒子のオーバーコート層に含まれるバインダーを溶解し、その後上下のパンチを加圧しながらこれらのパンチから電流を流してバインダーを硬化するので、オーバーコート粒子の隙間をこのバインダーの溶解で遊離した黒鉛マトリックスで稠密に充填させることができ、従ってオーバーコート粒子のオーバーコート層を薄肉化することができるため、被覆燃料粒子の充填率を高めることができ、燃料コンパクトを高燃焼度化することができる。
【0018】
また、オーバーコート粒子同士の隙間にバインダーの溶解によって部分的に遊離した黒鉛マトリックスがオーバーコート粒子の隙間を緻密に充填するので、オーバーコート粒子の加圧はオーバーコート層を変形させる程度まで高めて行う必要がなく、コンパクトプレス成形時に被覆燃料粒子の被覆層が破損することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べると、図1は、本発明に係わる燃料コンパクトの製造方法に用いられる成形型10を示し、この成形型10は、電極を兼ねる上下のパンチ12U、12Lと、円筒形ダイス14とを含み、このパンチ12U、12Lと円筒形ダイス14とで燃料コンパクトの形状に相応する型窪16を形成している。
【0020】
本発明の方法は、コンパクト1個分に必要なオーバーコート粒子1を計量し、この計量されたオーバーコート粒子1を燃料コンパクト用成形型10に装填する。
【0021】
オーバーコート粒子1は、図2に示すように、被覆燃料粒子1Aに黒鉛マトリックス1Bをオーバーコートして形成されるが、この黒鉛マトリックス1Bは、人造黒鉛粉末、天然黒鉛粉末及びフェノール樹脂の如きバインダー(粘結剤)を一定の割合で混合して形成される。オーバーコート層1Lの厚さは、最終的な燃料コンパクトの被覆燃料粒子充填率により決定される。
【0022】
成形型10の円筒形ダイス14の内径及びプレス時のコンパクト高さは、予備焼成や焼成などの熱処理時に寸法が収縮する分を考慮して寸法が決められる。上パンチ12Uは、成形される燃料コンパクトの端面の平面度を整えると共に所定のコンパクト高さまでプレスするのに用いられる。また、下パンチ12Lは、プレス成型後、製品である燃料コンパクトを上方へ押し上げて成形型10から製品を出す機能を有する。
【0023】
オーバーコート粒子1を装填した成形型10にオーバーコート粒子同士の隙間を埋める目的で黒鉛マトリクス粉末を入れてもよい。オーバーコート粒子同士の隙間は、後に述べるオーバーコート層の変形により埋められるが、黒鉛マトリクス材粉末を入れると、オーバーコート粒子のプレス変形量を少なくすることがで、被覆燃料粒子の破損を有効に防止することができるので、有利である。
【0024】
次に、上パンチ12Uをオーバーコード粒子1に接触するまで下降させ、上下のパンチ12U、12L間に電流を流す。黒鉛マトリクス材の黒鉛は電気良導体であるが、オーバーコート粒子1に電流を流すと、オーバーコート粒子1同士が接触している箇所の抵抗値がオーバーコート粒子自体の抵抗値よりも高いため、オーバーコート粒子1同士が接触している箇所が選択的にジュール熱により加熱され、オーバーコート層にバインダーとして添加されているフェノール樹脂が軟化する。従って、オーバーコート層のバインダーであるフェノール樹脂を軟化させるためにオーバーコート粒子1をプレス前に予備加熱する必要がないことが解る。
【0025】
その後、上下のパンチ12U、12L間に電流を流しながら上パンチ12Uを更に下降してオーバーコート粒子1を加圧すると、オーバーコート粒子1同士の接触部が変形し、オーバーコート粒子1同士の接触面積が大きくなるため、オーバーコート粒子1同士が接触している箇所の抵抗値が小さくなり、オーバーコート粒子1自体の抵抗値との差が小さくなって行くので、オーバーコート粒子1全体が徐々に加熱されるようになる。一方、このジュール熱によりオーバーコート層のバインダーであるフェノール樹脂が硬化して型窪16内のオーバーコート粒子1と黒鉛マトリックスとが燃料コンパクト形状にプレス成形される。
【0026】
成形型10から燃料コンパクトを取り出した後、この燃料コンパクトを窒素雰囲気中で800℃に保つことにより予備焼成して、マトリクス材中にバインダーとして添加されたフェノール樹脂を炭化させ、このようにして予備焼成された燃料コンパクトを真空中で1800℃で焼結して、黒鉛マトリクス中に含まれるガス成分を除去して製品燃料コンパクトを完成する。
【0027】
本発明の方法によって得られた燃料コンパクトを検査し、被覆燃料粒子のSiC被覆層の破損率および貫通破損率(露出ウラン率)を測定したところ、燃料コンパクト製造に起因する被覆燃料粒子の破損は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、絶縁成形型の上下のパンチからオーバーコート粒子に電流を流してオーバーコート粒子のオーバーコート層に含まれるバインダーを軟化または溶解させ、その後上下のパンチを加圧しながらこれらのパンチから電流を流してバインダーを硬化するので、オーバーコート粒子の隙間をこのバインダーの溶解で遊離した黒鉛マトリックスで稠密に充填させることができ、従ってオーバーコート粒子のオーバーコート層を薄肉化することができるため、被覆燃料粒子の充填率を高めることができ、またオーバーコート層を薄くしても被覆燃料粒子の被覆層が破損することがなく、産業上の利用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の燃料コンパクトの製造方法を説明する成形型の断面図である。
【図2】オーバーコート粒子の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 オーバーコート粒子
1A 被覆燃料粒子
1B 黒鉛マトリックス
1L オーバーコート層
10 燃料コンパクト用成形型
12U 上パンチ
12L 下パンチ
14 ダイス
16 型窪



































 

 


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