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発明の名称 被覆燃料粒子のオーバコート方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−155647(P2007−155647A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−354573(P2005−354573)
出願日 平成17年12月8日(2005.12.8)
代理人 【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
発明者 本田 真樹
要約 課題
粒子の高品質化・高精度化・均一化・量産性・低コストなどを満足させることのできる被覆燃料粒子のオーバコート方法を提供する。

解決手段
多数の成形空間15を有していて該各成形空間15の開口部が同一面上に並んでいる被覆成形治具11を用いる。塑性変形可能な状態にあるオーバコート用の黒鉛マトリックス材31を被覆成形治具11の各成形空間15内にそれぞれセットする。被覆成形治具11の各成形空間15内にあるそれぞれの黒鉛マトリックス材31中に被覆燃料粒子21を没入させて、これら被覆燃料粒子21をそれぞれの黒鉛マトリックス材31で覆う。
特許請求の範囲
【請求項1】
多数の成形空間を有していて該各成形空間の開口部が同一面上に並んでいる被覆成形治具を用いること、および、塑性変形可能な状態にあるオーバコート用の黒鉛マトリックス材を被覆成形治具の各成形空間内にそれぞれセットすること、および、被覆成形治具の各成形空間内にあるそれぞれの黒鉛マトリックス材中に被覆燃料粒子を没入させてこれら被覆燃料粒子をそれぞれの黒鉛マトリックス材で覆うことを特徴とする被覆燃料粒子のオーバコート方法。
【請求項2】
黒鉛マトリックス材の全量を被覆成形治具の成形空間内にセットしてから被覆燃料粒子を成形空間内に入れる請求項1に記載された被覆燃料粒子のオーバコート方法。
【請求項3】
被覆燃料粒子を被覆成形治具の成形空間内にセットしてから黒鉛マトリックス材の全量を成形空間内に入れる請求項1に記載された被覆燃料粒子のオーバコート方法。
【請求項4】
黒鉛マトリックス材の一部を被覆成形治具の成形空間内にセットしてその上に被覆燃料粒子を置き、その上から黒鉛マトリックス材の残部を成形空間内にセットする請求項1に記載された被覆燃料粒子のオーバコート方法。
【請求項5】
空間容積の等しい成形空間が等間隔で並んだ板状の被覆成形治具を用いる請求項1〜4のいずれかに記載された被覆燃料粒子のオーバコート方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は被覆燃料粒子をオーバコートするための技術分野に属するものであり、より詳しくは、高品質のオーバコート被覆燃料粒子を合理的に量産するためのオーバコート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高温ガス炉については周知のとおり、熱容量が大きくて高温健全性の良好な黒鉛で炉心構造(燃料を含む)を構成し、高温下でも化学反応の起こらない不活性ガスたとえばHeガスを冷却ガスとして用いている。こうすることで固有の安全性が高くなり、高い出口温度のHeガスも取り出すことができるようになる。この高温ガス炉から得られる約900℃の高熱は、発電をはじめ、水素製造・化学プラント・その他を含む幅広い分野での熱利用を可能にするものである。
【0003】
高温ガス炉の燃料については、下記の特許文献1〜2や非特許文献1などを参照してつぎのことがいえる。直径500〜1000μmの被覆燃料粒子は、核燃料物質の酸化物からなる燃料核(直径350〜650μm)の外周面に4層の被覆が施されたものである。被覆燃料粒子の被覆層のうちで、密度約1g/cmの低密度熱分解炭素からなる第1被覆層は、ガス状の核分裂生成物FPを溜めるためのガス溜め機能と燃料核スウェリングを吸収するためのバッファ機能とを併せもつものである。密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素からなる第2被覆層にはガス状FPの保持機能がみられる。密度約3.2g/cmの炭化珪素SiCからなる第3被覆層には固体状FPの保持機能がある。第2被覆層と同様の高密度炭素からなる第4被覆層には、固体状FPの保持機能があるほか第3被覆層に対する保護機能もある。これら以外に関しては、被覆燃料粒子を黒鉛粉末と混ぜ合わせて一定の形状に焼結したものが燃料コンパクトとなり、一定数量の燃料コンパクトを黒鉛筒に入れて封じたものが燃料棒となる。最終的には、所定数の燃料棒を黒鉛ブロックの各挿入口に装填したものが高温ガス炉の燃料となる。
【0004】
高温ガス炉の燃料は以下のようにして製造するのが一般である。
(1) 酸化ウラン粉末を硝酸に溶解し、硝酸ウラニル原液とする。
(2) 硝酸ウラニル原液に純水・増粘剤を加え攪拌して滴下原液とする。この場合の増粘剤については、滴下された硝酸ウラニルの液滴が落下中に自身の表面張力で真球状になるように添加されるものである。かかる増粘剤として、ポリビニルアルコール樹脂・アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂・ポリエチレングリコール・メトローズなどをあげることができる。
(3) 所定温度に冷却して粘度調整した後の滴下原液を、振動状態にある滴下ノズルよりアンモニア水溶液中に滴下させる。この場合の液滴は、また、アンモニア水溶液に着水するまでの間、アンモニアガスとの接触で表面をゲル化させることにより、着水時の変形防止をはかる。
(4) 硝酸ウラニルはアンモニア水溶液中で重ウラン酸アンモニウム粒子となるから、それを乾燥した後、大気中で焙焼して三酸化ウラン粒子とする。
(5) 三酸化ウラン粒子を還元・焼結して高密度のセラミックス状二酸化ウランとし、これを燃料核とする。
(6) 高温流動床でのCVD法により燃料核の外周面に第1被覆層〜第4被覆層を形成して被覆燃料粒子とする。各層として形成するのは一例としてつぎのようなものである。第1被覆層としてはアセチレン(C)を1400℃で熱分解して低密度炭素を形成する。第2被覆層および第4被覆層としてはプロピレン(C)を1400℃で熱分解して高密度炭素を形成する。第3被覆層としてはメチルトリクロロシラン(CHSiCL)を1600℃で熱分解してSiCを形成する。
(7) 被覆燃料粒子を粒径選別や真球度選別のための篩に掛けて良品を選別する。
(8) 選別した被覆燃料粒子をオーバコートしてオーバコート粒子とする。
(9) オーバコート粒子を粒径選別のための篩に掛けて良品を選別する。
(10)選別したオーバコート粒子をプレス成形手段またはモールド成形手段で円筒形などに成形し、その成形品を焼結して燃料コンパクトとする。
(11)燃料コンパクトを黒鉛筒に封入して燃料棒とする。
(12)燃料棒を黒鉛ブロックの各挿入口に装填することで高温ガス炉の燃料とする。
【0005】
高温ガス炉に用いられる既成の燃料において、被覆燃料粒子は直径が500〜1000μmであり、これを黒鉛マトリックス材でコーティングしたオーバコート粒子の場合は直径が1000〜2000μmである。したがって被覆燃料粒子の外周面には厚さ100〜500μmもの黒鉛マトリックス材が介在する。このオーバコート粒子を燃料コンパクト中に均一分散させるためには、オーバコート粒子の直径(外径)を精度よく仕上げておくことが重要である。そうでない場合は、粒子の分散不均一に起因して燃料が低品質のものになる。
【0006】
上記被覆燃料粒子のオーバコート方法には外径の均一化をはかりながらオーバコート粒子を製造するという転動造粒技術がある。この転動造粒技術は周知のとおり、被覆燃料粒子入りのパン(皿形のコーティング容器)を回転させながら粒子表面を黒鉛マトリックス材でコーティングするという方法である。より具体的には、コーティング容器内にオーバコート前の被覆燃料粒子を所定量入れた後、ノズルを介して黒鉛マトリックス材(粘結剤=結合剤を含む)を供給しつつ被覆燃料粒子を容器回転により転動・回転させてその粒子表面に黒鉛マトリックス材によるオーバコート層を形成するものである。この場合に単一のノズルは、コーティング容器内の被覆燃料粒子に対して黒鉛マトリックス材をスポット供給することとなる。オーバコート層の形成に際しては、また、被覆燃料粒子の表面をアルコールなどの粒子湿潤液で湿潤させて黒鉛マトリックス材の付着性をよくすることも行われている。
【特許文献1】特開平06−265669号公報
【特許文献2】特開平07−218674号公報
【非特許文献1】原子力百科事典 ATMICA[平成17年11月10日インターネット検索]<URL:http://www-atm.jst.go.jp/atomica/03030301_1.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記オーバコート方法の難点はつぎのようなものである。一つはコーティング容器内で広がりをみせる多量の被覆燃料粒子に対し、その上方空間から黒鉛マトリックス材を単にスポット供給するだけであるから、それが容器内各所の被覆燃料粒子に十分いきわたらず、被覆燃料粒子相互でオーバコート層の厚さが不均一になることである。具体的には、被覆燃料粒子堆積層の上層域に黒鉛マトリックス材が偏在しがちでそれが被覆燃料粒子堆積層の中層域や下層域にまで行きわたらないということである。したがって粒子外径の均一なオーバコート被覆燃料粒子を高歩留まりで得ることができない。他の一つは被覆燃料粒子の比重が黒鉛マトリックス材よりも大きいことである。それゆえオーバコート中の被覆燃料粒子は、黒鉛マトリックス材の付着量が増してコーティング膜厚が大きくなるにしたがい比重が小さくなる。別の観点でいうと、コーティング容器内の被覆燃料粒子堆積層では比重差による分級現象が生じるため、「コーティング膜厚大(比重小)」のものが上層側に分布して「コーティング膜厚小(比重大)」のものが下層側に存在するという傾向を示す。このような状況下では、被覆燃料粒子堆積層の上層域にある被覆燃料粒子に集中して黒鉛マトリックス材が付着する。したがってこの点でも、オーバコート粒子の外径不均一が起こりがちとなる。
【0008】
このような課題を解決するため黒鉛マトリックス材の単位時間あたりの供給量を増やすとしても、材料拡散しないスポット供給ノズルでコーティング容器内の上方空間から黒鉛マトリックス材を供給するだけでは、容器内各所における黒鉛マトリックス材の偏在ないしは局所的な過不足がさらに助長される。したがって黒鉛マトリックス材の供給量や供給速度を単に高めるだけの措置では、オーバコート層のバラツキや不均一を解消することができず、かえって不具合が増す。また、被覆燃料粒子表面を湿潤させるための粒子湿潤液も、黒鉛マトリックス材と同様の理由で各被覆燃料粒子に均等供給できないため、目的とする湿潤性を高めたりそれに依存して黒鉛マトリックス材の付着性をよくしたりすることが困難になる。
【0009】
本発明は上記のような技術上の課題に鑑みなされたものである。したがって本発明の目的は、粒子の高品質化・高精度化・均一化・量産性・低コストなどを満足させることのできる被覆燃料粒子のオーバコート方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法は所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち、請求項1に記載されたオーバコート方法は、多数の成形空間を有していて該各成形空間の開口部が同一面上に並んでいる被覆成形治具を用いること、および、塑性変形可能な状態にあるオーバコート用の黒鉛マトリックス材を被覆成形治具の各成形空間内にそれぞれセットすること、および、被覆成形治具の各成形空間内にあるそれぞれの黒鉛マトリックス材中に被覆燃料粒子を没入させてこれら被覆燃料粒子をそれぞれの黒鉛マトリックス材で覆うことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法は、請求項1に記載された方法において、黒鉛マトリックス材の全量を被覆成形治具の成形空間内にセットしてから被覆燃料粒子を成形空間内に入れることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法は、請求項1に記載された方法において、被覆燃料粒子を被覆成形治具の成形空間内にセットしてから黒鉛マトリックス材の全量を成形空間内に入れることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法は、請求項1に記載された方法において、黒鉛マトリックス材の一部を被覆成形治具の成形空間内にセットしてその上に被覆燃料粒子を置き、その上から黒鉛マトリックス材の残部を成形空間内にセットすることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法は、請求項1〜4のいずれかに記載された方法において、空間容積の等しい成形空間が等間隔で並んだ板状の被覆成形治具を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法はつぎのような効果を有する。
(1) オーバコート用の黒鉛マトリックス材は、成形の前段階で均質につくられた組成物であるから、被覆燃料粒子用オーバコート層として組成面で十分機能することとなり、しかもそれが塑性変形可能な状態にあるから、成形に際し被覆燃料粒子の表面に無理なく密着して適切な被覆構造のオーバコート層になる。したがってオーバコート粒子として高品質のものが得られ、燃料コンパクトの性能指標であるウラン含有率も高度に制御することが可能になる。
(2) 黒鉛マトリックス材と被覆燃料粒子とを一定容積の成形空間内に入れて被覆燃料粒子を黒鉛マトリックス材で被覆するから、被覆燃料粒子に対する黒鉛マトリックス材の量が定量化し、コーティング量の均一なオーバコート層を形成することができる。加えてオーバコート後の粒子外径も成形空間に依存して所定寸法に仕上がる。したがってオーバコート粒子の高精度化や均一化をはかることができ、それが高品質化にも通じる。
(3) 上記のように良品率が高まることで製品の歩留まりが向上し、それがコストダウンに通じる。
(4) 得られるオーバコート粒子が均一であるから、事後の粒子選別工程(作業)がほとんど不要になる。この工程省略は燃料製造の簡略化につながり、最終製品のコストダウンにも通じる。
(5) 被覆成形治具の成形空間は仕切り手段などで簡単につくることができ、その際の仕切り間隔を変更することで任意の大きさに設定できるものである。これは黒鉛マトリックス材によるオーバコート層の厚さ制御が容易ということであるから、所望粒径のオーバコート粒子が容易に得られる。
(6) 被覆成形治具が多数の成形空間があるので、多数の被覆燃料粒子を同時にオーバコートすることができる。したがってオーバコート粒子の量産に適する。とくに被覆成形治具を熱交換式のものにして乾燥機能をもたせるとか、コンベア式乾燥機で被覆成形治具を乾燥する等により、連続大量生産が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るオーバコート方法について添付の図面を参照して説明する。
【0017】
図1〜図2において、11は被覆成形治具、21は被覆燃料粒子、31は黒鉛マトリックス材をそれぞれ示す。
【0018】
図1〜図2に示された被覆成形治具11は、基板12と仕切壁13・14とを主体にして構成されたものである。さらにいうと、この例の場合は縦方向の仕切壁13と横方向の仕切壁14とが基板12上で互いに直交している。したがって基板12上には、当該基板12と両仕切壁13・14とによる上面開放型の成形空間15が縦横に整列する態様で多数形成されている。これら成形空間15は内周面が多角形(四角形)の筒状をなす角筒形の空間であるが、内周面が円形の筒状をなす円筒形の空間であってもよい。成形空間15の形状としては、逆円錐形・逆截頭円錐形・逆角錐形・逆截頭角錐形・半円形なども採用することができる。このほか、両仕切壁13・14による仕切構造物は基板12に対して一体化されていてもよく、分離可能に組み合わされたものであってもよい。具体的な一例でいうと、被覆成形治具11は、金属・ガラス・合成樹脂など適当な材質の板材(厚さ約1.5〜2mm)を周知のフォトエッチング手段でパターン加工(穿孔)することにより作製される。
【0019】
図1〜図2に示された被覆燃料粒子21は従来例と同じものである。一例として、被覆燃料粒子21は段落0004に記載した(1)〜(7)などの工程を経ることで得られる。したがってこの被覆燃料粒子21は前記と同様、燃料核の外周面に第1被覆層〜第4被覆層を有している。
【0020】
図1〜図2に示された黒鉛マトリックス材31は、主原料たる黒鉛材料を液状の熱硬化性樹脂(例:フェノール樹脂)に所定量混合し、その混合物から水分を適当量取り除いて軟化状態(半固形状態)に仕上げたものである。したがってこの黒鉛マトリックス材31は、力を加えたときに塑性変形するものである。
【0021】
図1〜図2に例示された被覆成形治具11を用いて被覆燃料粒子21をオーバコートするときは以下のようになる。
【0022】
はじめは供給手段(図示せず)を介して軟化状態の黒鉛マトリックス材31が被覆成形治具11の上面全域に供給されて敷き均される。この供給で黒鉛マトリックス材31は被覆成形治具11上を平板状に広がるが、その際、被覆成形治具11の各成形空間15内に進入するので、各成形空間15ごとに仕切られる。
【0023】
つぎに被覆成形治具11上に敷き均された黒鉛マトリックス材31上に、所定数の被覆燃料粒子21が供給かつ配置される。具体的には、被覆成形治具11の各成形空間15内にあるそれぞれの黒鉛マトリックス材31上に一つあて被覆燃料粒子21が配置される。この際の供給配置手段としては、仕切状態にある各黒鉛マトリックス材31の中心部にそれぞれ被覆燃料粒子21が配置できるのが望ましい。その一例として、被覆成形治具11と同様に仕切られた多数の仕切空間を有する整列用治具を用いる。この整列用治具によるときは、各仕切空間内に被覆燃料粒子21を入れてこれを被覆成形治具11の上に積み重ねる。この状態のとき、上位にある整列用治具と下位にある被覆成形治具11との間には整列用治具の底板が介在するが、当該底板は整列用治具から離脱自在なものであるから、これを被覆成形治具11と整列用治具との間から抜き取ることで各仕切空間内の被覆燃料粒子21が各成形空間15内の黒鉛マトリックス材31上に落下し、所定の位置に配置されることとなる。この後は、整列用治具の残部(仕切空間を有する部分)を被覆成形治具11上から取り除く。他の一例として、多数の供給管を所定間隔で集合した粒子供給用管を用いる。この場合は、各黒鉛マトリックス材31の配列ピッチに対応した間隔で多数の被覆燃料粒子21を粒子供給用管から各黒鉛マトリックス材31上に一括供給する。
【0024】
上記のようにして各成形空間15内の黒鉛マトリックス材31上に被覆燃料粒子21を配置したとき、各成形空間15内には余剰空間が残存している。したがって上記の後は、被覆燃料粒子21の上から各成形空間15内に軟化状態の黒鉛マトリックス材31を追加して重ね入れる。かくて各成形空間15内では、それぞれの被覆燃料粒子21が先行供給分の黒鉛マトリックス材31と後続供給分の黒鉛マトリックス材31とによって被覆される。この際、被覆燃料粒子21に対する黒鉛マトリックス材31の密着性や黒鉛マトリックス材31の充填率を高めたり、粒子形状を調えたりする目的で、各成形空間15の上部側から黒鉛マトリックス材31を加圧(圧搾)することがある。
【0025】
上記において黒鉛マトリックス材31を先行供給分と後続供給分に分けず、当初から所定量の黒鉛マトリックス材31を各成形空間15内に入れるときは、それら黒鉛マトリックス材31上に被覆燃料粒子21を配置した後、たとえば加圧板などを利用したプレス手段で各被覆燃料粒子21を黒鉛マトリックス材31内に押し込み、これにより該各被覆燃料粒子21をそれぞれの黒鉛マトリックス材31内に全没させて被覆する。その逆の手順として、被覆燃料粒子21を各成形空間15内にセットし、それから各成形空間15内に黒鉛マトリックス材31の全量を入れることがある。この場合における各成形空間15内への黒鉛マトリックス材注入後も、それぞれの黒鉛マトリックス材21を上部から加圧するのが望ましい。
【0026】
被覆成形治具11の各成形空間15内においてそれぞれの被覆燃料粒子21を軟化状態の黒鉛マトリックス材31で被覆した後は、その黒鉛マトリックス材31の水分を除去する。その一例として、各成形空間15を形成している基板12・仕切壁13・14などがラジエターのような熱交換式のものである場合は、それらに熱媒流体を供給循環させて黒鉛マトリックス材31を乾燥させる。他の一例として被覆成形治具11がコンベア式乾燥装置に搭載されているときは、被覆成形治具11を当該乾燥装置の内部に送り込んで黒鉛マトリックス材31を乾燥させる。
【0027】
上記乾燥後の成形物、すなわち、黒鉛マトリックス材31でオーバコートされた被覆燃料粒子21は、従来にみられる粉砕工程の必要がなく、そのままでオーバコート粒子としての機能を有するものである。これを用いて燃料コンパクトをつくるときは、被覆成形治具11から取り出したものを中空円筒形にプレス成形またはモールド成形し、その成形物を焼結すればよい。ちなみに形状面で角をもつことの多い当該粒子は、この燃料コンパクト段階での加圧成形時に樹脂分が加熱軟化するので問題にならない。角のある当該粒子については、必要に応じ、パン等を用いた転動手段でその角を取り除くという工程を経させてもよい。さらにいうと、一定数量の燃料コンパクトを黒鉛製筒に入れてその上下を端栓で封じたものが燃料棒となる。最終的なものとしては、所定数の燃料棒を六角柱型黒鉛ブロックの各挿入口に装填したものが高温ガス炉の燃料となる。
【0028】
本発明方法で用いられる被覆成形治具11や整列用治具については、図3のようなものであってもよい。この被覆成形治具11の場合は、両仕切壁13・14が基板12上においてそれぞれ45゜の角度で傾斜しているものである。この被覆成形治具11の場合も、各成形空間15は角筒形の空間であっても円筒形の空間であってもよい。また、両仕切壁13・14による仕切構造物は基板12に対して一体化されていてもよく、分離可能に組み合わされたものであってもよい。
【0029】
具体例としてつぎの内容を実施した。被覆成形治具11および整列用治具としては図1のタイプのものを用いた。これは厚さ1.5mmのフォトエッチング穿孔ボードを主体にしたものである。被覆燃料粒子21については模擬被覆燃料粒子からなるものを用い、黒鉛マトリックス材31としては軟化状態にある半固形物を用いた。この条件で前記の内容を実施し、黒鉛マトリックス材31でオーバコートされたところの被覆燃料粒子21を作製した。その際、各成形空間15内には、黒鉛マトリックス材31・模擬被覆燃料粒子・黒鉛マトリックス材31の順にこれらを入れ、その成形空間15内をプレス手段で加圧した。さらに黒鉛マトリックス材31の水分を除去するための手段としてヒータや送風機を備えた熱風式の乾燥装置を使用した。こうしてオーバコートされた各模擬被覆燃料粒子は高品質で高精度で均一化されたものであり、従来の転動造粒法によるものを凌駕する内容であった。これを用いて既述の燃料コンパクトを製作したところ、従来品を上回る模擬燃料コンパクトが得られた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明方法は、オーバコートされた被覆燃料粒子をつくるときの粒子の高品質化・高精度化・均一化・量産性・低コストなどが簡易な手段で実現するので、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明方法の一実施形態について要部を略示した平面図である。
【図2】図1の一部拡大斜視図である。
【図3】本発明方法の他の一実施形態について要部を略示した平面図である。
【符号の説明】
【0032】
11 被覆成形治具
12 基板
13 仕切壁
14 仕切壁
15 成形空間
21 被覆燃料粒子
31 黒鉛マトリックス材




 

 


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