米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 核技術 -> 原子燃料工業株式会社

発明の名称 高温ガス炉用被覆燃料粒子およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−147504(P2007−147504A)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
出願番号 特願2005−344049(P2005−344049)
出願日 平成17年11月29日(2005.11.29)
代理人 【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
発明者 高山 智生
要約 課題
燃料核に被覆される熱分解炭素層に欠陥が生じ難く、従来より確実に高品質の被覆燃料粒子を提供する。

解決手段
二酸化ウラン燃料核の表面に、熱分解炭素層と炭化珪素層と高密度熱分解炭素層とが順次被覆形成されてなる高温ガス炉用被覆燃料粒子において、前記燃料核表面に被覆形成される熱分解炭素層が、燃料核側から外側径方向に沿って連続的に或いは段階的に順次高密度化されているものとした。
特許請求の範囲
【請求項1】
二酸化ウラン燃料核の表面に、熱分解炭素層と炭化珪素層と高密度熱分解炭素層とが順次被覆形成されてなる高温ガス炉用被覆燃料粒子において、
前記燃料核表面に被覆形成される熱分解炭素層が、燃料核側から外側径方向に沿って連続的に或いは段階的に順次高密度化されていることを特徴とする高温ガス炉用被覆燃料粒子。
【請求項2】
前記熱分解炭素層は、最内側部位の密度が0.7g/cm以上、1.2g/cm 以下であり、最外側部位の密度が1.8g/cm以上、2.1g/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子。
【請求項3】
前記熱分解炭素層は、その内側から外側径方向への厚み距離に対する相対密度変化が曲線的であって、密度1.2g/cm以下の領域の厚みが密度1.2g/cm以上の領域の厚みより大きいことを特徴とする請求項2に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子。
【請求項4】
二酸化ウラン燃料核を収容した反応容器内に、流動用ガスと被覆原料ガスを噴出供給しつつ加熱することにより、燃料核を流動させながら被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核表面を被覆原料分子の蒸着層で被覆する高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法において、
前記燃料核表面に熱分解炭素層を被覆形成する工程と、該熱分解炭素層上に炭化珪素層を被覆形成する工程と、該炭化珪素層上に高密度熱分解炭素層を被覆形成する工程とを備え、
前記熱分解炭素層被覆形成工程は、該熱分解炭素層の予め定められた径方向密度設計に応じて、前記被覆原料ガスと流動用ガスとの混合比を連続的或いは段階的に変化させることを特徴とする高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法。
【請求項5】
前記熱分解炭素被覆形成工程は、被覆原料ガスとしてアセチレンガスまたはプロピレンガスまたはアセチレン・プロピレン混合ガスのいずれかと、流動用アルゴンガスとを用いるものであり、
前記径方向密度設計に応じて、前記被覆原料ガスと流動用アルゴンガスとの混合比、または前記混合ガスのアセチレン・プロピレン混合比を変化させることを特徴とする請求項4に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法。
【請求項6】
前記熱分解炭素層被覆形成工程は、該熱分解炭素層の密度0.7g/cm以上1.4g/cm以下の低密度領域形成工程と、密度1.2g/cm以上1.8g/cm以下の中密度領域形成工程と、密度1.7g/cm以上2.1g/cm以下の高密度領域形成工程と、を備え、
前記低密度領域形成工程は、アセチレンガスとアルゴンガスとを、流量比0.55〜0.60から流量比0.40〜0.50に連続的に変化させて前記反応容器内に供給し、
前記中密度領域形成工程は、アセチレン・プロピレン混合ガスとアルゴンガスとを、該混合ガスとアルゴンガスとの流量比を0.50〜0.55から0.15〜0.25に連続的に変化させると共に、アセチレンガスとプロピレンガスとの流量比を0.90〜1.00から0.0〜0.30に連続的に変化させて前記反応容器内に供給し、
前記高密度領域形成工程は、プロピレンガスとアルゴンガスとを、流量比0.10〜0.20から流量比0.20〜0.30に連続的に変化させて前記反応容器内に供給することを特徴とする請求項5に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高温ガス炉用被覆燃料粒子とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を熱容量が大きく高温健全性の良好な黒鉛で形成し、ヘリウム等の高温下でも化学的反応の起こらないガス冷却材を用いることにより、固有の安全性が高く、高い出口温度のヘリウムガスを取り出すことの可能な原子炉であり、得られる約900℃の高温熱は、発電はもちろんのこと水素製造や化学プラント等幅広い分野での熱利用を可能にするものである。
【0003】
このような高温ガス炉の燃料は、通常、ウランを含む溶液を出発原料として製造した二酸化ウランをセラミックス状に焼結した直径約350〜650μmの燃料核を基本構造とし、この燃料核の外表面に4層の被覆層を形成してなる被覆燃料粒子を用いたものである。
【0004】
例えば図2に示すように、上記一般的な被覆燃料粒子10は、燃料核11の外表面を被覆する第1被覆層12が密度約1g/cmの低密度熱分解炭素層でガス状の核分裂生成物のガス留めとしての機能及び燃料核の変形を吸収する緩衝部としての機能を併せ持つものである。第2被覆層13は密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素層でガス状核分裂生成物の保持機能を有し、さらに第3被覆層14は密度約3.2g/cmの炭化珪素(SiC)層で固体状核分裂生成物の保持機能を有すると共に、被覆層の主要な強度部材である。また第4被覆層15は密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素層で第2被覆層13と同様のガス状核分裂生成物の保持機能と共に第3被覆層14の保護層としての機能も持っている。
【0005】
上記のような被覆燃料粒子10の一般的なものは直径約500〜1000μmである。被覆燃料粒子は黒鉛母材中に分散させ一定形状の燃料コンパクトの形に成型加工され、さらに黒鉛でできた筒にコンパクトを一定数量入れ、上下に栓をした燃料棒の形にされる。最終的に燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に入れられ、この六角柱型黒鉛ブロックを多数個、ハニカム配列に複数段重ねて炉心を構成している。
【0006】
一般的な被覆燃料粒子となる被覆前の燃料核は次のような工程で製造されており、大量形成が可能な方法として振動滴下によるゲル状の粒子を得る外部ゲル化法が多く用いられている。即ち、まず酸化ウランの粉末を硝酸に溶かし硝酸ウラニル原液とし、この硝酸ウラニル原液に純水、添加剤を加え撹拌することにより滴下原液とする。添加剤は、滴下された硝酸ウラニルの液滴が落下中に自身の表面張力により真球状になるようにする増粘剤であると同時にアンモニウムとの接触により原液をゲル化せしめるために添加されるものであり、例えばポリビニルアルコール樹脂、アルカリ条件下でゲル化する性質を持つ樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズなどを挙げることができる。
【0007】
以上のように調製された滴下原液は所定の温度に冷却され粘度を調整した後、細径の滴下ノズルを振動させることによりアンモニア水溶液中に滴下される。アンモニア水溶液中へ液滴となって入った原液は、硝酸ウラニルがアンモニアと十分に反応させられると同時に前記添加剤がゲル化され、重ウラン酸アンモニウム(ADU)を含むゲル状の粒子となる。得られたADUゲル粒子は、大気中で焙焼され、水分および添加剤が除去されて三酸化ウラン粒子となり、さらに還元・焼結されることにより高密度のセラミックス状二酸化ウランからなる球状の燃料核となる。
【0008】
この燃料核を用いた被覆燃料粒子の製造は、流動床からなる反応装置を用いて行われている。例えば、燃料核を流動床の略円筒形状を持つ反応容器内に投入し、ガス導入管を介して反応容器の底部に設けられたガス導入ノズルから被覆原料ガスを噴出させて燃料核を流動させながら被覆原料ガスの熱分解により、原料分子を燃料核の表面に蒸着させることによって被覆層を形成する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
【特許文献1】特開平5−273374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように従来の被覆燃料粒子では、燃料核に被覆される熱分解層を、第1被覆層となる低密度熱分解炭素層と第2被覆層となる高密度熱分解炭素層との互いに異なる一定の厚さと密度を有する2層で構成している。例えば第1被覆層は、厚さ約0.06mm、密度約1g/cm、第2被覆層は厚さ約0.03mm、密度約1.8g/cmで一定である。
【0011】
このような密度の異なる2層の熱分解層で被覆された被覆燃料粒子は、低密度の第1被覆層が内側において異種の材料である二酸化ウランからなる燃料核に被覆されると共に外側において第1被覆層より高密度の熱分解炭素層(第2被覆層)に被覆されるものであるため、これら内外両側の境界面から剥離やひび割れ等の破損が生じることもあり、これが被覆燃料粒子製品の破損の原因になる欠陥となる恐れがあった。
【0012】
またこの第1被覆層の欠陥が起因となって、第2被覆層や、被覆燃料粒子の主要強度材料としてまたガス状核分裂生成物の封じ込め層として機能する炭化珪素層からなる第3被覆層にまで欠陥を生じさせる危険性もあった。
【0013】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、燃料核に被覆される熱分解炭素層に欠陥が生じ難く、従来より確実に高品質の被覆燃料粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子は、二酸化ウラン燃料核の表面に、熱分解炭素層と炭化珪素層と高密度熱分解炭素層とが順次被覆形成されてなる高温ガス炉用被覆燃料粒子において、前記燃料核表面に被覆形成される熱分解炭素層が、燃料核側から外側径方向に沿って連続的に或いは段階的に順次高密度化されているものである。
【0015】
請求項2に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子は、請求項1に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子において、前記熱分解炭素層は、最内側部の密度が0.7g/cm以上、1.2g/cm以下であり、最外側部の密度が1.8g/cm以上、2.1g/cm以下であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子は、請求項2に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子において、前記熱分解炭素層は、その内側から外側径方向への厚み距離に対する相対密度変化が曲線的であって、密度1.2g/cm以下の領域の厚みが密度1.2g/cm以上の領域の厚みより大きいことを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項4に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法は、二酸化ウラン燃料核を収容した反応容器内に、流動用ガスと被覆原料ガスを噴出供給しつつ加熱することにより、燃料核を流動させながら被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核表面を被覆原料分子の蒸着層で被覆する高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法において、前記燃料核表面に熱分解炭素層を被覆形成する工程と、該熱分解炭素層上に炭化珪素層を被覆形成する工程と、該炭化珪素層上に高密度熱分解炭素層を被覆形成する工程とを備え、前記熱分解炭素層被覆形成工程は、該熱分解炭素層の予め定められた径方向密度設計に応じて、前記被覆原料ガスと流動用ガスとの混合比を連続的或いは段階的に変化させるものである。
【0018】
請求項5に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法は、請求項4に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法において、前記熱分解炭素被覆形成工程は、被覆原料ガスとしてアセチレンガスまたはプロピレンガスまたはアセチレン・プロピレン混合ガスのいずれかと、流動用アルゴンガスとを用いるものであり、前記径方向密度設計に応じて、前記被覆原料ガスと流動用アルゴンガスとの混合比、または前記混合ガスのアセチレン・プロピレン混合比を変化させるものである。
【0019】
請求項6に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法は、請求項5に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法において、前記熱分解炭素層被覆形成工程は、該熱分解炭素層の密度0.7g/cm以上1.4g/cm以下の低密度領域形成工程と、密度1.2g/cm以上1.8g/cm以下の中密度領域形成工程と、密度1.7g/cm以上2.1g/cm以下の高密度領域形成工程と、を備え、前記低密度領域形成工程は、アセチレンガスとアルゴンガスとを、流量比0.55〜0.60から流量比0.40〜0.50に連続的に変化させて前記反応容器内に供給し、前記中密度領域形成工程は、アセチレン・プロピレン混合ガスとアルゴンガスとを、該混合ガスとアルゴンガスとの流量比を0.50〜0.55から0.15〜0.25に連続的に変化させると共に、アセチレンガスとプロピレンガスとの流量比を0.90〜1.00から0.0〜0.30に連続的に変化させて前記反応容器内に供給し、前記高密度領域形成工程は、プロピレンガスとアルゴンガスとを、流量比0.10〜0.20から流量比0.20〜0.30に連続的に変化させて前記反応容器内に供給するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の高温ガス炉用被覆燃料粒子においては、燃料核表面に被覆形成される熱分解炭素層が、燃料核側から外側径方向に沿って連続的に或いは段階的に順次高密度化されているものであるため、低密度と高密度の互いに異なる一定密度の2層となっていた熱分解炭素層に比べて、他の被覆層の欠陥発生の原因となり得る2層境界面からの剥離やひび割れ等の破損の発生が低減され、従来より確実に高品質な被覆燃料粒子製品が提供できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、二酸化ウラン燃料核の表面に、熱分解炭素層と炭化珪素層と高密度熱分解炭素層とが順次被覆形成されてなる高温ガス炉用被覆燃料粒子において、燃料核表面に被覆形成される熱分解炭素層が、燃料核側から外側径方向に沿って連続的に或いは段階的に順次高密度化されているものとすることによって、従来、低密度と高密度の互いに異なる一定密度の2層となっていた熱分解炭素層に比べて、該2層の境界面がなくなった分、剥離やひび割れ等の破損の発生を低減して、他の被覆層への悪影響も回避でき、従来より安定に高品質な被覆燃料粒子製品の提供が可能となる。
【0022】
また、本発明の高温ガス炉用被覆燃料粒子において、前記熱分解炭素層の最内側部位の密度を0.7g/cm以上、1.2g/cm以下であり、最外側部位の密度が1.8g/cm以上、2.1g/cm以下とすることが望ましい。これは、熱分解炭素層の燃料核に接する最内側部位の密度が前記範囲より小さいと、ガス状核分裂生成物のガス留め機能が不充分となり、この密度範囲より大きいと燃料核の変形を吸収する緩衝機能が不充分となるためである。従って、より好ましくは最内側部位の密度範囲の上限は1.0g/cmである。
【0023】
また、炭化珪素層に接する最外側部位の前記密度範囲は、充分なガス状核分裂生成物の保持機能を得るためのものであり、従来の高密度熱分解炭素層と同程度の密度であればよいが、該密度範囲の下限を1.9g/cmとより高密度寄りにすることが望ましい。
【0024】
さらに、本発明の熱分解炭素層においては、その内側から外側径方向への厚み距離に対する相対密度変化はある程度段階的であってもその密度変化の不連続部分が従来の2層のような大きな差異でなければ剥離ひび割れ等の破損低減効果は得られるが、より確実に欠陥発生防止できるようにできるだけ不連続な密度差がなく連続的であることが望ましい。
【0025】
この厚み距離に対する連続的な相対密度変化は、直線的であってもよいが、比較的密度の低い内側領域の厚みが密度の高い外側領域の厚みより大きい曲線的な密度変化とすることが望ましい。これは、低密度領域をより厚く設定することによって燃料核に対する緩衝作用を大きくとれるためである。例えば、密度1.2g/cm以下の低密度領域の厚みが密度1.2g/cm以上の領域の厚みより大きいものとすることによって、良好な緩衝作用が確保できる。
【0026】
また、高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法は、二酸化ウラン燃料核を収容した反応容器内に、流動用ガスと被覆原料ガスを噴出供給しつつ加熱することにより、燃料核を流動させながら被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核表面を被覆原料分子の蒸着層で被覆するものであり、まず燃料核表面に熱分解炭素層を被覆形成し、次に該熱分解炭素層上に炭化珪素層を被覆形成し、さらに該炭化珪素層上に高密度熱分解炭素層を被覆形成することによって被覆燃料粒子が得られる。
【0027】
前記燃料核側から外側径方向に沿って連続的に或いは段階的に順次高密度化された熱分解炭素層が燃料核に被覆形成された請求項1に記載の発明に係る被覆燃料粒子は、前記熱分解炭素層被覆形成工程にて、該熱分解炭素層の予め定められた径方向密度設計に応じて、前記被覆原料ガスと流動用ガスとの混合比を連続的或いは段階的に変化させることによって、得ることができる。
【0028】
従来から前記熱分解炭素層の被覆形成では、流動ガスとしてアルゴンガスを用いながら、低密度熱分解炭素層には被覆原料ガスとしてアセチレンガスが、高密度熱分解炭素層には被覆原料ガスとしてプロピレンガスがそれぞれ用いられていた。従って、本発明の連続的或いは段階的に高密度化された熱分解炭素層を形成する場合も、これらの被覆原料ガスを用いることができる。
【0029】
この場合、蒸着のための熱分解炭素分子を低密度から高密度へ変化させながら発生させるために、被覆原料ガスをまずアセチレンガスからアセチレン・プロピレン混合ガス、プロピレンガスへ移行させて用いればよいが、順次、これら各被覆原料ガスと流動用アルゴンガスとの混合比を前記径方向密度設計に応じて変化させることによって、該密度設計に沿った密度変化を備えた熱分解炭素層を燃料核表面に被覆形成することができる。
【0030】
具体的には、熱分解炭素層被覆形成工程にて、まず該熱分解炭素層の密度0.7g/cm以上1.4g/cm以下の低密度領域を形成する工程では、アセチレンガスとアルゴンガスとを、流量比(C/(C+Ar))0.55〜0.60から流量比0.40〜0.50に連続的に変化させて前記反応容器内に供給し、次に密度1.2g/cm以上1.8g/cm以下の中密度領域を形成する工程では、アセチレン・プロピレン混合ガスとアルゴンガスとを、該混合ガスとアルゴンガスとの流量比((C+C)/(C+C+Ar))を0.50〜0.55から0.15〜0.25に連続的に変化させると共に、アセチレンガスとプロピレンガスとの流量比(C/(C+C))を0.90〜1.00から0.0〜0.30に連続的に変化させて前記反応容器内に供給し、また、密度1.7g/cm以上2.1g/cm以下の高密度領域を形成する工程では、プロピレンガスとアルゴンガスとを、流量比(C/(C+Ar))0.10〜0.20から流量比0.20〜0.30に連続的に変化させて前記反応容器内に供給することによって、燃料核側から外側径方向に沿って連続的に順次高密度化された熱分解炭素層を被覆形成することができる。
【0031】
なお、被覆層形成工程中のガスの総流量は、反応容器内に装荷する燃料核の量や反応容器の径、ガス導入ノズルの形状等の条件によって異なるため、実際の条件に応じて適宜設定すれば良い。また、被覆反応時間についても、求められる被覆層の厚さと各ガス噴出条件における被覆速度によって適宜設定すれば良い。
【実施例】
【0032】
本発明の一実施例による高温ガス炉用被覆燃料粒子を図1の概略断面図に示す。本実施例による被覆燃料粒子1は、セラミックス状の二酸化ウラン燃料核2の表面に、熱分解炭素層3、炭化珪素層4、高密度熱分解炭素層5を順次被覆形成してなるものであり、熱文化炭素層3が、燃料核2側から外側径方向に沿って0.95g/cmから2.05g/cmまで連続的に順次高密度化されているものである。
【0033】
本実施例による被覆燃料粒子1の製造方法は、以下の通りである。まず、約3kgの二酸化ウラン燃料核2を反応容器内に投入し、該容器内を1400℃に昇温した後、反応容器の底部に設けられたガス導入ノズルから被覆原料ガスとしてのアセチレンガスと流動用アルゴンガスとを噴出させて燃料核2を流動させながらアセチレンガスの熱分解により、炭素分子を燃料核2の表面に蒸着させる。このとき、アセチレンガスとアルゴンガスとを50秒間、流量比(C/(C+Ar))0.60から0.40へ直線的に連続変化させながら反応容器内に供給した。
【0034】
次に、アセチレン・プロピレン混合ガスとアルゴンガスとを、120秒間、混合ガスとアルゴンガスの流量比((C+C)/(C+C+Ar))を0.5から0.25へ直線的に連続変化させると同時にアセチレンとプロピレンの流量比(C/(C+C))を0.95から0.25へ直線的に連続変化させながら反応容器内へ供給し、次に、プロピレンガスとアルゴンガスを流量比(C/(C+Ar))0.1から0.25へ直線的に連続変化させながら500秒間、反応容器内へ供給し、燃料核2の表面にほぼ連続的に密度変化された熱分解炭素層3を被覆形成した。
【0035】
これ以降は従来と同様の工程で、反応容器内を1600℃に昇温してから、被覆原料ガスとしてメチルトリクロロシランを供給して前記熱分解炭素層3の表面に炭化珪素層4を被覆形成し、次いで反応容器内を1400℃に調整してからプロピレンガスを供給して高密度熱分解炭素層5を被覆形成し、被覆燃料粒子1を得た。
【0036】
上記工程で得られた被覆燃料粒子1では、熱分解炭素層3の厚さ0.12mm、最内側部位の密度0.95g/cm、最外側部位の密度2.05g/cmで、中間部位で密度1.45g/cmとなっていた。この熱分解炭素層3には、剥離やひび割れ等の破損はみられず、他の被覆層にも欠陥は発生しておらず、欠陥のない高品質の被覆燃料粒子1であった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例による高温ガス炉用被覆燃料粒子の構成を示す概略断面図である。
【図2】従来の高温ガス炉用被覆燃料粒子の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1:高温ガス炉用被覆燃料粒子
2:燃料核
3:熱分解炭素層
4:炭化珪素
5:高密度熱分解炭素層
10:高温ガス炉用被覆燃料粒子
11:燃料核
12:低密度熱分解炭素層
13:高密度熱分解炭素層
14:炭化珪素層
15:高密度熱分解炭素層




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013