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発明の名称 被覆燃料粒子のオーバコート方法とオーバコート装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−147454(P2007−147454A)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
出願番号 特願2005−342480(P2005−342480)
出願日 平成17年11月28日(2005.11.28)
代理人 【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
発明者 泉谷 徹
要約 課題
オーバコート被覆燃料粒子をつくるときに粒径の均一化・粒径の高精度化・コーティング速度の高速化・低コスト・量産性などをはかることのできるオーバコート方法とオーバコート装置を提供する。

解決手段
コーティング容器31を回転させてその容器内の被覆燃料粒子31を攪拌する。これと同期し、オーバコート用の黒鉛マトリックス材をコーティング容器31内の被覆燃料粒子Aに向け噴射してそれぞれの粒子表面に黒鉛マトリックス材によるオーバコート層bを形成する。これらの際に、黒鉛マトリックス材をコーティング容器31内における被覆燃料粒子堆積部表面の幅方向に拡散させて噴射し、その拡散噴射領域に分布するそれぞれ被覆燃料粒子Aに黒鉛マトリックス材を供給する。
特許請求の範囲
【請求項1】
内部空間の一部に被覆燃料粒子を堆積状態で収容したコーティング容器を回転させてその被覆燃料粒子を攪拌するための攪拌ステップと、この攪拌ステップと同期するものであってオーバコート用の黒鉛マトリックス材をコーティング容器内の被覆燃料粒子に向け噴射してそれぞれの粒子表面に黒鉛マトリックス材によるオーバコート層を形成するための被覆ステップとを備え、これら攪拌ステップと被覆ステップとの同期ステップのときに黒鉛マトリックス材をコーティング容器内における被覆燃料粒子堆積部表面の幅方向に拡散させて噴射し、その拡散噴射領域に分布するそれぞれ被覆燃料粒子に黒鉛マトリックス材を供給することを特徴とする被覆燃料粒子のオーバコート方法。
【請求項2】
アレイ型ノズル・バンドル型ノズル・先端拡散型ノズルのうちのいずれかのノズルを用いて黒鉛マトリックス材を被覆燃料粒子堆積部表面の幅方向に拡散噴射する請求項1に記載の被覆燃料粒子のオーバコート方法。
【請求項3】
被覆燃料粒子堆積部の表面の幅をDとし、先端拡散型ノズルによる噴射材料の有効拡散幅をd1とした場合、0.75D≦d1≦1.25Dを満足させることのできる先端拡散型ノズルを用いる請求項2に記載の被覆燃料粒子のオーバコート方法。
【請求項4】
被覆燃料粒子堆積部表面の幅をDとし、アレイ型ノズルまたはバンドル型ノズルによる噴射材料の有効拡散幅をd2とした場合、0.75D≦d2≦1.25Dを満足させることのできるアレイ型ノズルまたはバンドル型ノズルを用いる請求項2に記載の被覆燃料粒子のオーバコート方法。
【請求項5】
被覆燃料粒子を収容するための粒子堆積空間を内部に有するコーティング容器と、コーティング容器を回転させるための駆動手段と、黒鉛マトリックス材を噴射するためのものであってコーティング容器の粒子堆積空間に向けて配置されたノズルとを備え、ノズルの先端部が粒子堆積空間の幅方向に広がりをもつものであることを特徴とする被覆燃料粒子のオーバコート装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は被覆燃料粒子をオーバコートするのに適した技術に関し、より詳しくは高品質オーバコート被覆燃料粒子を合理的に生産するためのオーバコート方法とオーバコート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温ガス炉については周知のとおり、熱容量が大きくて高温健全性の良好な黒鉛で炉心構造(燃料を含む)を構成し、高温下でも化学反応の起こらない不活性ガスたとえばHeガスを冷却ガスとして用いている。こうすることで固有の安全性が高くなり、高い出口温度のHeガスも取り出すことができるようになる。この高温ガス炉から得られる約900℃の高熱は、発電をはじめ、水素製造・化学プラント・その他を含む幅広い分野での熱利用を可能にするものである。
【0003】
高温ガス炉の燃料については、下記の特許文献1〜2や非特許文献1などを参照してつぎのことがいえる。直径500〜1000μmの被覆燃料粒子は、核燃料物質の酸化物からなる燃料核(直径350〜650μm)の外周面に4層の被覆が施されたものである。被覆燃料粒子の被覆層で、低密度炭素からなる第1被覆層は、ガス状の核分裂生成物FPを溜めるためのガス溜め機能と燃料核スウェリングを吸収するためのバッファ機能とを併せもつものである。高密度炭素からなる第2被覆層にはガス状FPの保持機能があり、炭化珪素SiCからなる第3被覆層には固体状FPの保持機能がある。第2被覆層と同様の高密度炭素からなる第4被覆層には、固体状FPの保持機能があるほか第3被覆層に対する保護機能もある。これら以外に関しては、被覆燃料粒子を黒鉛粉末と混ぜ合わせて一定の形状に焼結したものが燃料コンパクトとなり、一定数量の燃料コンパクトを黒鉛筒に入れて封じたものが燃料棒となる。最終的には、所定数の燃料棒を黒鉛ブロックの各挿入口に装填したものが高温ガス炉の燃料となる。
【0004】
高温ガス炉の燃料は以下のようにして製造するのが一般である。燃料核をつくる初期のステップでは、硝酸ウラニル原液をアンモニア溶液中に滴下して重ウラン酸アンモニウム粒子を形成し、当該粒子を乾燥した後、酸化・還元・焼結する。燃料核を第1被覆層〜第4被覆層で被覆して被覆燃料粒子をつくるときは、燃料核を高温流動床に導入しCVD法を実施することで各層を形成する。燃料コンパクトをつくるときは、被覆燃料粒子を黒鉛マトリックス材によりコーティングしてオーバコート被覆燃料粒子(単に被覆燃料粒子とかオーバコート粒子とかいうこともある)とした後、そのオーバコート粒子を成形かつ焼結する。燃料棒をつくるステップでは、燃料コンパクトを黒鉛筒に封入すればよい。こうして得られた燃料棒を黒鉛ブロックの各挿入口に装填することで高温ガス炉の燃料ができあがる。
【0005】
高温ガス炉に用いられる既成の燃料において、被覆燃料粒子は直径が500〜1000μmであり、これを黒鉛マトリックス材でコーティングしたオーバコート粒子の場合は直径が1000〜2000μmである。したがって被覆燃料粒子の外周面には厚さ100〜500μmもの黒鉛マトリックス材が介在する。このオーバコート粒子を燃料コンパクト中に均一分散させるためには、オーバコート粒子の直径(外径)を高精度に仕上げておくことが重要で、そうでない場合は、粒子の分散不均一に起因して燃料が低品質のものになる。さらに敷衍すると、オーバコート精度の高い被覆燃料粒子が歩留まりよく高速生産できるときには、最終の燃料製品なども高精度で廉価なものになる。
【0006】
このような技術事項を考慮に入れた粒子製造手段として、外径の均一化をはかりながらオーバコート粒子を製造するという転動造粒技術がある。この転動造粒技術は周知のとおり、被覆燃料粒子入りのパン(皿形のコーティング容器)を回転させながら粒子表面を黒鉛マトリックス材でコーティングするという方法である。より具体的には、コーティング容器内にオーバコート前の被覆燃料粒子を所定量入れた後、ノズルを介して黒鉛マトリックス材(結合剤を含む)を噴霧しつつ被覆燃料粒子を容器回転により転動・回転させてその粒子表面に黒鉛マトリックス材によるオーバコート層を形成する。この場合に単一であるところのノズルは、コーティング容器内の被覆燃料粒子に対して黒鉛マトリックス材をスポット供給することとなる。
【特許文献1】特開平06−265669号公報
【特許文献2】特開平07−218674号公報
【非特許文献1】原子力百科事典 ATMICA[平成16年12月 7日インターネット検索]<URL:http://www-atm.jst.go.jp/atomica/03030301_1.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したオーバコート方法にはつぎのような難点がある。
(1) コーティング容器内で広がりをみせる多量の被覆燃料粒子に黒鉛マトリックス材をスポット供給するだけだから、それが容器内各所の被覆燃料粒子に十分いきわたらず、被覆燃料粒子相互でオーバコート層の厚さが不均一になりがちとなる。したがって粒子外径の均一なオーバコート被覆燃料粒子を高歩留まりで得ることができない。
(2) これを解決するために黒鉛マトリックス材の単位時間あたりの供給量を増やすとしても、材料拡散しないスポット供給ノズルでは、容器内各所における黒鉛マトリックス材の偏在ないしは局所的な過不足がさらに助長される。したがって黒鉛マトリックス材の供給量や供給速度を単に高めるだけの措置では、オーバコート層のバラツキや不均一を解消することができず、かえって不具合が増す。
(3) 黒鉛マトリックス材の供給量や供給速度が多量の被覆燃料粒子に見合うものでなく、被膜の成長速度も遅いので、所定厚さでオーバコートされた被覆燃料粒子を得るまでに多くの時間を費やす。それが量産する上でのネックになるので、オーバコート被覆燃料粒子について高い生産性を期待することができない。
(4) 良品の歩留まりが低く生産性も低いので、これらのコストプッシュ要因がオーバコート被覆燃料粒子のコストを跳ね上げる。その影響が最終燃料製品にも及ぶので高温ガス炉用燃料のコストダウンがはかりがたい。
【0008】
本発明はこのような技術上の課題に鑑み、オーバコート被覆燃料粒子をつくるときに粒径の均一化・粒径の高精度化・コーティング速度の高速化・低コスト・量産性などをはかることのできるオーバコート方法とオーバコート装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法は所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項1に記載のオーバコート方法は、内部空間の一部に被覆燃料粒子を堆積状態で収容したコーティング容器を回転させてその被覆燃料粒子を攪拌するための攪拌ステップと、この攪拌ステップと同期するものであってオーバコート用の黒鉛マトリックス材をコーティング容器内の被覆燃料粒子に向け噴射してそれぞれの粒子表面に黒鉛マトリックス材によるオーバコート層を形成するための被覆ステップとを備え、これら攪拌ステップと被覆ステップとの同期ステップのときに黒鉛マトリックス材をコーティング容器内における被覆燃料粒子堆積部表面の幅方向に拡散させて噴射し、その拡散噴射領域に分布するそれぞれ被覆燃料粒子に黒鉛マトリックス材を供給することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法は、請求項1に記載された方法において、アレイ型ノズル・バンドル型ノズル・先端拡散型ノズルのうちのいずれかのノズルを用いて黒鉛マトリックス材を被覆燃料粒子堆積部表面の幅方向に拡散噴射することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法は、請求項2に記載された方法において、被覆燃料粒子堆積部の表面の幅をDとし、先端拡散型ノズルによる噴射材料(黒鉛マトリックス材)の有効拡散幅をd1とした場合、0.75D≦d1≦1.25Dを満足させることのできる先端拡散型ノズルを用いることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法は、請求項2に記載された方法において、被覆燃料粒子堆積部表面の幅をDとし、アレイ型ノズルまたはバンドル型ノズルによる噴射材料(黒鉛マトリックス材)の有効拡散幅をd2とした場合、0.75D≦d2≦1.25Dを満足させることのできるアレイ型ノズルまたはバンドル型ノズルを用いることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項5に係る被覆燃料粒子のオーバコート装置は所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項5に記載のオーバコート装置は、被覆燃料粒子を収容するための粒子堆積空間を内部に有するコーティング容器と、コーティング容器を回転させるための駆動手段と、黒鉛マトリックス材を噴射するためのものであってコーティング容器の粒子堆積空間に向けて配置されたノズルとを備え、ノズルの先端部が粒子堆積空間の幅方向に広がりをもつものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法はつぎのような効果を有する。
(1) 黒鉛マトリックス材については、コーティング容器内で被覆燃料粒子堆積部表面の幅方向に拡散させて噴射し、その拡散噴射領域に分布するそれぞれ被覆燃料粒子に一斉供給する。これはスポット供給ではなく、幅方向に広がりのあるゾーン供給であるから、コーティング容器内で幅方向に広がりをみせる多量の被覆燃料粒子であっても、これらへの黒鉛マトリックス材供給に過不足が生じない。その結果、黒鉛マトリックス材が容器内各所の被覆燃料粒子に十分にいきわたることとなって各被覆燃料粒子のオーバコート層が均一かつ高精度に仕上がり、粒子外径の均一なオーバコート被覆燃料粒子が高歩留まりで得られるようになる。
(2) 上記のゾーン供給であるから、単位時間あたりの供給量を増やした場合でも黒鉛マトリックス材が容器内各所で偏在することなく拡散する。これは高速被覆を実現する上での材料高速供給に支障がともないがたいということである。
(3) 黒鉛マトリックス材のゾーン供給(高速供給)で被膜の成長速度を速くすることができるので、所定厚さのオーバコート層を有する被覆燃料粒子が短時間で得られる。ゆえにオーバコート被覆燃料粒子をコーティング速度の高速化で量産して高い生産性を獲得することができる。
(4) 良品の歩留まりが高く生産性も高いので、これに基づきオーバコート被覆燃料粒子のコストダウンをはかることができる。
【0015】
本発明に係る被覆燃料粒子のオーバコート装置はつぎのような効果を有する。
(5) 黒鉛マトリックス材噴射用のノズルを主体にした改良装置であるから、設備面や運転面での負担が既成の装置とほとんど変わらない。その一方で、当該装置を用いて本発明方法を実施した場合には既述の効果が得られる。したがって被覆燃料粒子をオーバコートするための手段として有用かつ有益な装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
はじめに本発明に係る被覆燃料粒子のオーバコート装置について、その実施形態を添付図面に基づき説明する。
【0017】
図1に例示されたオーバコート装置において、11は基台、21は駆動手段、31はコーティング容器、41は材料供給系をそれぞれ示す。
【0018】
図1の基台11上には支持スタンド12を介して駆動手段21が装備されている。この場合の基台11や支持スタンド12は金属・合成樹脂・その複合材などのうちで機械的特性の優れた任意の材料からなる。駆動手段21は電動機(モータ)または電動機と回転伝動機構とからなり、その電動機の回転を受ける出力軸22を備えている。図1において支持スタンド12により支持された駆動手段21の出力軸22は20〜50゜の傾斜角度、より具体的には、35゜程度の傾斜角度で傾斜している。
【0019】
図1に例示されたコーティング容器31はパンと称される皿形のものである。これは底壁32と周壁33とで形成されていて上面が開放されている。コーティング容器31は、また、底壁32の外面中央より突出する軸34を備えているものである。コーティング容器31も金属・合成樹脂・その複合材などのうちで機械的特性の優れた任意の材料からなる。その代表的一例としてコーティング容器31は各部が金属からなる。図1のコーティング容器31は、その底壁32にある軸34が周知のカップリング23で出力軸22と連結される。それでコーティング容器31は図示のように傾斜している。この傾斜姿勢でのコーティング容器31では、容器内の下部側が粒子堆積空間35となる。
【0020】
図1に例示された材料供給系41は、先端にノズル43を有する単一の供給管42とこれに関連する部材や機器などを主体にして構成されている。この場合の供給管42やノズル43も、金属・合成樹脂・その複合材などのうちで機械的特性の優れた任意の材料からなるが、供給管42についてはその一部が可撓性を有していたりすることもある。供給管42に付されたノズル43は、図示しない操作機構または作業員によりコーティング容器31の内外に出し入れすることができるものである。ちなみに操作機構を介してコーティング容器31内の所定位置にセッティングされたときのノズル43は、図1のごとくコーティング容器31内の粒子堆積空間35上に位置する。供給管42の基端部は、材料供給機能のある材料供給機47に接続されている。
【0021】
図1・図2を参照してノズル43を詳述すると、これは先端拡散型の形状をしている。すなわちノズル43は、円錐形や角錐形など末広がり形の拡散形状をした胴体44の底面に噴射盤45が一体的に装着されたものである。この噴射盤45は円錐形または角錐形の凹状をしており、これに図2のような多数の噴射孔46a・46b・46cが形成されている。各噴射孔46a・46b・46cは46a<46b<46cのように中心部から外周部に向かうにしたがい孔径が大きくなっている。これは材料噴射時の均一分散性を期すためである。噴射盤45については平坦状であってもよく、円錐形または角錐形の凸状であってもよい。各噴射孔46a・46b・46cについても、これらの孔径が互いに等しいものであっても構わない。
【0022】
図1に例示されたオーバコート装置において、コーティング容器31の粒子堆積空間35の表面(上面)の幅をDとし、先端拡散型ノズル43による噴射材料(黒鉛マトリックス材)の有効拡散幅をd1とした場合、これらは0.75D≦d1≦1.25Dなる関係を満足させるものである。ちなみに図1の場合、噴射材料の有効拡散幅d1は先端拡散型ノズル43のノズル幅に等しい。噴射材料の有効拡散幅d1は、また、粒子堆積空間35の表面幅Dが図示例よりも小さいとき(コーティング容器31内の堆積粒子量が図示例よりも少ないとき)d1≦1.25Dのようになり、粒子堆積空間35の表面幅Dが図示例と同等のとき0.75D≦d1のようになる。このほかd1<0.75Dのときは噴射材料の有効拡散幅が不足するため所期の効果が得がたくなり、d1>1.25Dのときは噴射材料の有効拡散幅が過剰になるため有効活用されない噴射余剰材料が多くなる。
【0023】
図3に例示されたオーバコート装置は材料供給系41に関する一部の構成が前例と異なる。すなわち図3の材料供給系41は、供給管42の先端側が多岐管構造(集合管構造)をしており、その多岐管構造におけるそれぞれ管の先端にノズル43が取り付けられている。この図示例でのノズル43は胴体44が円筒形で噴射盤45が平坦状である。噴射盤45には、図2で説明したような互いに異径または互いに同径の噴射孔46a・46b・46cが形成されている。かかる多岐管構造をした各供給管42の先端側も既述の操作機構でコーティング容器31内外に出し入れすることができるものである。それでコーティング容器31内にセッティングされたときのノズル43は、図3のごとくコーティング容器31内の粒子堆積空間35上に位置する。より具体的には、多岐管構造をした各供給管42の先端側が粒子堆積空間35上においてその幅方向に一列状態となり、各ノズル43もこれと同様になる。したがって図3のように列状をなす各ノズル43については、アレイ型ノズルということができる。供給管42の先端側を多岐管構造(集合管構造)にする場合の他例としては、3本以上の管を束ねたバンドル型がある。この場合の各供給管先端に取り付けられた各ノズル43もバンドル状を呈するようになる。したがってこれについては、バンドル型ノズルということができる。
【0024】
図3に例示されたオーバコート装置においても、コーティング容器31の粒子堆積空間35の表面(上面)の幅をDとし、アレイ型またはバンドル型ノズル43による噴射材料(黒鉛マトリックス材)の有効拡散幅をd2とした場合に、これらが0.75D≦d2≦1.25Dなる関係を満足させるものである。図3の例でも、噴射材料の有効拡散幅d2はアレイ型またはバンドル型ノズル43の合計ノズル幅に等しいものである。さらにd2の寸法の大小についても前記と同じ傾向にある。
【0025】
図3のオーバコート装置におけるその他の事項は、前例と実質的に同一かそれに準ずるものである。したがって図3のオーバコート装置におけるその他の事項については、前例を参照することで説明を省略する。
【0026】
図4に例示された被覆燃料粒子Aは本発明において用いられるものである。図4を参照して明らかなように、被覆燃料粒子Aはコア部分に燃料核aを備え、その外周面に第1被覆層a1・第2被覆層a2・第3被覆層a3・第4被覆層a4を有するものである。図4のような被覆燃料粒子Aは、以下に述べるような工程を実施することでつくられる。
【0027】
燃料核aの形成では、はじめ酸化ウラン粉末を硝酸に溶解して硝酸ウラニル原液をつくり、それから硝酸ウラニル原液に純水と増粘剤とを加え撹拌して滴下原液をつくる。この場合の増粘剤は滴下されて落下する硝酸ウラニル原液が自身の表面張力で真球状となるように添加される。増粘剤としてはポリビニールアルコール樹脂・アルカリ条件下で凝固する性質のある樹脂・ポリエチレングリコール・メトローズなどあげることができる。上記のように調製された滴下原液は、所定温度の冷却による粘度調整後、細径の滴下ノズルを振動させつつここからアンモニア水中に滴下される。この際の液滴は、ノズル下端からアンモニア水溶液に着水するまでの間にアンモニアガスを吹き付けられてゲル化されるため着水時の変形が防止される。こうした場合の硝酸ウラニルはアンモニア水溶液中で重ウラン酸アンモニウムの粒子となる。重ウラン酸アンモニウム粒子は大気中で焙焼されて三酸化ウラン粒子となり、さらにこれが還元・焼結されることで高密度のセラミック状二酸化ウランからなる燃料核aが得られる。一例として、燃料核aの直径は350〜650μmである。
【0028】
第1被覆層a1・第2被覆層a2・第4被覆層a4は、それぞれ、炭化水素系気相原料の熱分解反応生成物(微粒状のCVD反応生成物)を所定厚さにデポジットさせることで形成できる。第3被覆層a3の場合は、水素やアルゴンをキャリアガスにしてシラン化合物をCVD反応領域に供給し、そのシラン化合物の熱分解反応生成物を所定厚さにデポジットさせることで形成したりする。この種の被覆層については、それぞれの層を一層ずつ各別に形成しても構わないが、通常は各層を連続形成する。その際に用いられる装置の代表例は電気炉構造の加熱式流動床である。もちろん原料ガスは既述の炭化水素系であり、キャリアガスはアルゴンなど不活性ガスである。そのほか、各被覆層を同一の流動床で連続形成するときは、一つの被覆層を形成するごとに流動床内をパージガスで掃気することがある。
【0029】
上記の流動床に導入された燃料核aの外周面に最初に形成されるのは、低密度炭素からなる第1被覆層a1である。このときの原料ガスは一例としてアセチレン(C)からなり、これを1400℃の温度で熱分解したときの炭素微粒子が燃料核aの外周面に堆積されて所定厚の第1被覆層a1が形成される。つぎに形成されるのは、高密度炭素からなる第2被覆層a2である。このときの原料ガスは一例としてプロピレン(C3)からなり、これを1400℃の温度で熱分解したときの炭素微粒子が第1被覆層a1の外周面に堆積されて所定厚の第2被覆層a2が形成される。そのつぎに形成されるのは、炭化珪素(SiC)からなる第3被覆層a3である。このときの原料ガスは一例としてメチルトリクロロシラン(CH3SiCl)からなり、これを1600℃の温度で熱分解したときの炭化珪素微粒子が第2被覆層a2の外周面に堆積されて所定厚の第3被覆層a3が形成される。このあとに形成されるのは高密度炭素からなる第4被覆層a4である。第4被覆層a4の場合は第2被覆層a2と同じ要領で所定の厚さに形成される。
【0030】
こうして得られる被覆燃料粒子Aの各被覆層の仕様については、つぎのとおりである。低密度炭素(低密度熱分解炭素)からなる第1被覆層a1は厚さ30〜150μm、密度0.8〜1.2g/cmで、一例では厚さ60μm、密度1.0/cmのものである。この第1被覆層a1は、ガス状の核分裂生成物(FP)を溜めるためのガス溜め機能や燃料核スウェリングを吸収するためのバッファ機能を併せもっている。高密度炭素(高密度熱分解炭素)からなる第2被覆層a2は厚さ20〜50μm、密度1.6〜2.0g/cmで、一例では厚さ30μm、密度1.8g/cmである。この第2被覆層a2にはガス状FPの保持機能がある。炭化珪素(SiC)からなる第3被覆層a3は厚さ20〜50μm、密度3.0〜3.2/cmで、一例では厚さ25μm、密度3.2/cmである。この第3被覆層a3は主要な強度保証層であり、固体状FPに対する保持機能をも有する。第2被覆層a2と同様の高密度炭素(高密度熱分解炭素)からなる第4被覆層a4も厚さ20〜80μmで、密度1.6〜2.0g/cmで、一例では厚さ45μm、密度約1.8g/cmである。この第4被覆層a4には固体状FPの保持機能があるほか第3被覆層a3に対する保護機能もある。燃料核aの外周面にこれら第1被覆層a1〜第4被覆層a4が形成された被覆燃料粒子Aは直径(外径)500〜1500μmであり、一例では直径1000μmである。
【0031】
図5に示されたオーバコート被覆燃料粒子Bは後述する本発明方法の実施形態で製造されるところのもの、すなわち、上記被覆燃料粒子Aの外周面(第4被覆層a4の外周面)にオーバコート層bが形成されたものである。このオーバコート層bは黒鉛マトリックス材からなる。具体的一例でいうと、黒鉛マトリックス材は黒鉛粉末に粘結剤を加えて均一に混練したところものである。オーバコート層bの厚さは20〜400μmの範囲内にあり、代表例でいうと厚さ50μmである。オーバコート被覆燃料粒子Bはこのようなものであるから、その直径(外径)は540〜2300μmの範囲内にある。具体的一例としてオーバコート被覆燃料粒子Bは直径1300μmである。
【0032】
つぎに、本発明に係る被覆燃料粒子のオーバコート方法について、これらの実施形態を添付図面に基づき説明する。
【0033】
図1に例示されたオーバコート装置を用いて被覆燃料粒子Aの外周面にオーバコート層bを形成するときは、図示しない粒子搬入手段を介してコーティング容器31の粒子堆積空間35に所定量の被覆燃料粒子Aを投入し、コーティング容器31を駆動手段21で回転状態にした後、材料供給系41を介して既述の黒鉛マトリックス材をコーティング容器31内の被覆燃料粒子Aに噴射する。すなわち材料供給機47→供給管42→ノズル43という経路で黒鉛マトリックス材を被覆燃料粒子Aに噴射する。
【0034】
上記の運転時、コーティング容器31の粒子堆積空間35内にある被覆燃料粒子Aはその容器の回転方向へと上昇していき、所定の高さまで上昇したときに重力の作用で崩落する。この上昇と崩落はコーティング容器31の回転中に繰り返し生じるものであり、それが被覆燃料粒子Aの攪拌作用になる。この攪拌と同期して粒子堆積空間35内の被覆燃料粒子Aには材料供給系41を介して黒鉛マトリックス材が噴射される。したがって、攪拌されながら黒鉛マトリックス材の噴射を受ける被覆燃料粒子Aの表面には、当該黒鉛マトリックス材によるオーバコート層bが均一に堆積成長することとなる。さらにいうと、先端拡散型のノズル43で黒鉛マトリックス材を被覆燃料粒子堆積部表面の幅方向に拡散噴射し、その拡散噴射領域に分布するそれぞれ被覆燃料粒子Aに高速かつ一斉供給するものであるから、黒鉛マトリックス材が攪拌中の各被覆燃料粒子Aに十分いきわたることとなる。これが粒子外周面のオーバコート層bを「均一」「高速」「高精度」に仕上げるという好結果をもたらす。ゆえに図5で説明したオーバコート被覆燃料粒子Bとして、粒子外径の均一なものが高速かつ高歩留まりで得られるようになる。
【0035】
図1のオーバコート装置を用いるオーバコート方法において、黒鉛マトリックス材の噴射幅(拡散幅)を変更するときは、供給管42の先端に取り付けられたノズル43を先端拡散幅の大きいもの(または小さいもの)と脱着交換すればよい。
【0036】
図3に例示されたオーバコート装置を用いて被覆燃料粒子Aの外周面にオーバコート層bを形成するときも上記に準じる。すなわち、上記と同様の手段でコーティング容器31の粒子堆積空間35に所定量の被覆燃料粒子Aを投入したり、コーティング容器31を回転状態にしたりした後、材料供給系41を介して黒鉛マトリックス材をコーティング容器31内の被覆燃料粒子Aに噴射する。図3のケースでも粒子堆積空間35内の被覆燃料粒子Aは上記と同様に攪拌され、これと同期して黒鉛マトリックス材の噴射を受けるから、被覆燃料粒子Aの表面には黒鉛マトリックス材によるオーバコート層bが均一に堆積成長する。さらにいうと、アレイ型ノズル43で黒鉛マトリックス材を被覆燃料粒子堆積部表面の幅方向に拡散噴射する図3のケースでも、その噴射手段の特性に依存して上記と同様の好結果が得られることとなる。ゆえに図3のケースでも、前述したオーバコート被覆燃料粒子Bとして、粒子外径の均一なものが高速かつ高歩留まりで得られるようになる。
【0037】
図3のオーバコート装置を用いるオーバコート方法において、黒鉛マトリックス材の噴射幅(拡散幅)を変更するときは、脱着自在に組み合わせることのできるノズル43付き供給管42の本数を増減すればよい。
【0038】
以上のようなオーバコート方法で得られたオーバコート被覆燃料粒子Bは、中空円筒形にプレス成形またはモールド成形し、その成形物を焼結したものが燃料コンパクト(図示せず)となる。さらに一定数量の燃料コンパクトを黒鉛製筒に入れてその上下を端栓で封じたものが燃料棒(図示せず)となる。最終的なものとしては、所定数の燃料棒を六角柱型黒鉛ブロックの各挿入口に装填したものが高温ガス炉の燃料(図示せず)となる。
【0039】
その他の高温ガス炉用燃料についていうと、球形燃料(ペブルベッド型燃料)なども上記に類したオーバコート被覆燃料粒子を主体にしたもので、球形燃料核の外周面に複数の被覆層が形成されている。本発明に係るオーバコート方法やオーバコート装置は、このような球形燃料をつくるときのオーバコート手段にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係るオーバコート方法やオーバコート装置は、オーバコート被覆燃料粒子をつくるときに粒径の均一化・粒径の高精度化・コーティング速度の高速化・低コスト・量産性などをはかることができ、しかもそれが、ノズルを中心にした改善で達成できるから、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るオーバコート方法およびオーバコート装置の一実施形態を略示した切り欠き正面図である。
【図2】図1におけるノズルの底面図である。
【図3】本発明に係るオーバコート方法およびオーバコート装置の他の一実施形態を略示した切り欠き正面図である。
【図4】本発明において用いられる被覆燃料粒子の一例を示した切り欠き正面図である。
【図5】本発明に係るオーバコート方法でつくられるオーバコート被覆燃料粒子の一例を示した切り欠き正面図である。
【符号の説明】
【0042】
A 被覆燃料粒子
B オーバコート被覆燃料粒子
b オーバコート層
21 駆動手段
22 出力軸
31 コーティング容器
34 回転軸
35 粒子堆積空間
41 粒子供給系
42 供給管
43 ノズル
44 ノズルの胴体
45 ノズルの噴射盤
46a 噴射孔
46b 噴射孔
46c 噴射孔




 

 


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