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発明の名称 被覆燃料粒子のオーバーコート装置及び方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−147451(P2007−147451A)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
出願番号 特願2005−342430(P2005−342430)
出願日 平成17年11月28日(2005.11.28)
代理人 【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
発明者 泉谷 徹
要約 課題
温度、湿度等の作業環境の影響を受けることなく、被覆燃料粒子に均一な厚みのオーバーコート層を形成することができるようにすること。

解決手段
気化成分の排気口20Hを有する閉鎖型パン20C内に被覆燃料粒子1を装填し、この閉鎖型パン20Cを回転して被覆燃料粒子1に流動性を付与しつつ黒鉛マトリックス供給ノズル40から黒鉛マトリックス2を溶剤と共に被覆燃料粒子1の流動領域に噴射して被覆燃料粒子1に黒鉛マトリックス2のオーバーコートを施す。
特許請求の範囲
【請求項1】
黒鉛マトリックスを付着すべき被覆燃料粒子が装填されるパンと、前記パンの周面が回転軸線を中心に回転するように前記パンを駆動するパン回転駆動手段と、前記パン内の被覆燃料粒子に向けて前記黒鉛マトリックスを噴射する黒鉛マトリックス供給ノズルとを備えた被覆燃料粒子のオーバーコート装置において、前記パンは前記被覆燃料粒子と黒鉛マトリックスの混合物の流動領域外に設けられた排気口を有する閉鎖型パンから成っていることを特徴とする被覆燃料粒子のオーバーコート装置。
【請求項2】
請求項1に記載の被覆燃料粒子のオーバーコート装置であって、前記閉鎖型パン内に設けられて前記混合物の流動している間に前記混合物を撹拌する撹拌部材を備えていることを特徴とする被覆燃料粒子のオーバーコート装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の被覆燃料粒子のオーバーコート装置であって、複数の閉鎖型パンが並列に配置され、各閉鎖型パンに前記黒鉛マトリックス供給ノズルが設けられ、前記パン回転駆動手段は、前記複数の閉鎖型パンを同時に駆動するように各閉鎖型パンに接続されていることを特徴とする被覆燃料粒子のオーバーコート装置。
【請求項4】
パン内に装填された被覆燃料粒子に黒鉛マトリックスを噴射しつつ前記パンの周面が回転軸線を中心に回転するように前記パンを回転駆動して前記被覆燃料粒子に黒鉛マトリックスをオーバーコートする方法において、前記パンは前記被覆燃料粒子と黒鉛マトリックスの混合物の流動領域外に設けられた排気口を有する閉鎖型パンであり、前記閉鎖型パン内に収納する1バッチあたりの被覆燃料粒子の重量P(g)は、パンの周面の幅をW(cm)、外径をR(cm)としたときに、P(g)≦(W×R)/2に設定することを特徴とする被覆燃料粒子のオーバーコート方法。
【請求項5】
請求項4に記載の被覆燃料粒子のオーバーコート方法であって、複数の閉鎖型パンを並列に配置して各閉鎖型パンに前記黒鉛マトリックス供給ノズルを設け、前記複数の閉鎖型パンを共通のパン回転駆動手段から回転駆動することを特徴とする被覆燃料粒子のオーバーコート方法。





















発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温ガス炉用燃料コンパクトの如き成型燃料を製造するのに用いられるオーバーコート粒子を製造するための被覆燃料粒子のオーバーコート装置及び方法に関し、特に被覆燃料粒子に黒鉛マトリックスを均一にオーバーコートすることができる被覆燃料粒子のオーバーコート装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を熱容量が大きく高温で健全性を維持する黒鉛で構成し、炉心を冷却するために、高温下でも化学反応が起こることがないヘリウムガスを冷却ガスとして用いているので、固有の安全性が高く、約900℃の高い出口温度のヘリウムガスを回収して、この高温熱を発電、水素製造、化学プラント等の広い分野で利用することができる。
【0003】
高温ガス炉の燃料は、二酸化ウランをセラミックス状に焼結した直径が約350〜650ミクロンの燃料核の周りに4層の被覆を施して形成される。第一層は、密度が約1g/cmの低密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状の核分裂生成物(FP)のガス溜めとしての機能と燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能とを併せ持っている。第二層は、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能を有する。第三層は、密度が約3.2g/cmの炭化珪素(SiC)の被覆であり、これは、固体FPの保持機能を有すると共に、被覆の主要な補強部材としての機能を有する。最後に、第四層は、第二層と同様に、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能と第三層の保護層としての機能を有する。
【0004】
一般的な被覆燃料粒子は、約500〜1000ミクロンの直径を有する。この被覆燃料粒子は、黒鉛マトリックス中に分散させた後、一定形状の燃料コンパクトの形態に成型加工され、この燃料コンパクトの一定数量を黒鉛筒に入れ、上下を栓で閉じて燃料棒とされる。この燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に差し込まれて高温ガス炉の燃料となる。多数個の六角柱型黒鉛ブロックをハニカム配列に多段に重ねて炉心を構成している。
【0005】
高温ガス炉の燃料は、一般的には、次のようにして製造される。まず、酸化ウラン粉末を硝酸に溶かして硝酸ウラニル原液とし、この硝酸ウラニル原液に純水、増粘剤を添加し攪拌して滴下原液を作る。増粘剤は、滴下された硝酸ウラニル原液の滴液が落下中にそれ自体の表面張力で真球状になるように作用する。このような増粘剤としては、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂、例えば、ポリビニールアルコール樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズ等を使用することができる。このように調製された滴下原液は、所定の温度に冷却されて粘度が調整された後、細径の滴下ノズルを振動させる等の方法を用いてアンモニア水中に滴下される。
【0006】
滴液は、アンモニア水溶液表面に着水するまでの空間でアンモニアガスを吹き付けて表面をゲル化させることによって着水時の変形が防止される。硝酸ウラニルは、アンモニア水中でアンモニアと充分に反応させ、重ウラン酸アンモニウムの粒子となる。この粒子は、大気中で焙焼され三酸化ウラン粒子となり、更に還元焼結されて高密度のセラミック二酸化ウランの燃料核となる。
【0007】
燃料核の粒径や真球度は、被覆燃料粒子の製造条件に大きく影響するので、燃料核は、篩による粒径選別や真球度選別を行った上で被覆工程にリリースされる。
【0008】
この燃料核は、流動床に装荷され、この流動床内に供給される反応ガス(被覆ガス)が熱分解されて燃料核の上に被覆が施される。第一層の低密度熱分解炭素は、約1400℃でアセチレン(C)を熱分解して被覆される。第二層及び第四層の高密度熱分解炭素は、約1400℃でプロピレン(C)を熱分解して被覆される。第三層のSiCは、約1600℃でメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を熱分解して被覆される。このように4層の被覆が施されて被覆燃料粒子が得られる。
【0009】
被覆燃料粒子の粒径や真球度は、オーバーコート粒子の製造条件に大きく影響するので、被覆燃料粒子は、篩による粒径選別や真球度選別を行った上でオーバーコート工程にリリースされる。
【0010】
オーバーコート粒子は、黒鉛粉末と粘結剤とから成る黒鉛マトリックスを表面にオーバーコートしてオーバーコート粒子とした上でコンパクトプレス工程にリリースされる。
【0011】
高温ガス炉用燃料コンパクトは、オーバーコート粒子を黒鉛マトリックスと共に中空円筒形又は円柱形のモールド内に装填して温間プレスしてグリーンコンパクト(コンパクト成型体)を成形し、その後このグリーンコンパクトを粘結剤除去の目的で予備焼成し、最後にマトリックスを黒鉛化する目的で焼成する。
【0012】
この燃料コンパクトの製造工程において、良好な品質を有する燃料コンパクトを得るために、被覆燃料粒子と黒鉛マトリックスを所定の割合で混合することが要求され、また原子炉内での燃料コンパクトの燃焼特性を考慮すると、局部的な燃焼を回避するために、燃料コンパクト中に含まれる被覆燃料粒子が均一に分散されていることが要求される。
【0013】
一般に、被覆燃料粒子と黒鉛マトリックスを所定の割合で混合するためにそれぞれの重量を測定するが、1つの燃料コンパクトを製造する毎に重量を測定することは、工程の増加を招き、生産性を低下する欠点があった。また、被覆燃料粒子と黒鉛マトリックスを均一に分散させるために、被覆燃料粒子と黒鉛マトリックスとをモールド内に装荷した後、撹拌治具で攪拌することが行われているが、これは、同様に工程の増加を招く上に、被覆燃料粒子と黒鉛マトリックスとの密度差が大きく、燃料コンパクト用のモールド形状が複雑であるため、均一に撹拌することが困難であった。
【0014】
従来技術において、被覆燃料粒子に黒鉛マトリックスをオーバーコートする目的は、燃料コンパクトを成形する際に、被覆燃料粒子が破損するのを防止する目的で行われていたが、このオーバーコートが燃料コンパクトの成形に必要な黒鉛マトリックスをも付着するのに用いられると、燃料コンパクトの成形時に黒鉛マトリックスを混合する必要がないか、混合するとしても僅かで済み、被覆燃料粒子の均一分散性が向上するので有利である。このようにすると、被覆燃料粒子の重量とオーバーコートに用いられた黒鉛マトリックスの重量との比に応じて、燃料コンパクト成形時の被覆燃料粒子の充填率、ウラン量及び黒鉛マトリックス密度が決定される。
【0015】
従って、被覆燃料粒子の重量と黒鉛マトリックスの重量との割合を常に一定にし、この被覆燃量粒子の周りに黒鉛マトリックスを付着して得られるオーバーコート粒子の直径を均一にし、この均一な直径を有するオーバーコート粒子を用いて燃料コンパクトを成形することが必要である。
【0016】
従来技術のオーバーコート方法においては、図3に示すように、開放型のパン20を斜めの回転軸線XIを中心にパン回転駆動手段30によって回転するようにし、被覆燃料粒子1は、この開放型パン20内に入れられ、パン20を回転軸線XIを中心に回転して被覆燃料粒子1をパン20の下方で流動させながら黒鉛マトリックス供給ノズル40から黒鉛マトリックス2を溶剤であるエチルアルコールと共に被覆燃料粒子1に向けて噴射していた。エチルアルコールは、噴射後に気化されてオーバーコート粒子が形成される。
【0017】
しかし、エチルアルコールの気化は、作業環境における温度及び湿度の如き外的要因に大きく影響を受ける。作業環境の温度が高いほど、エチルアルコールの気化が早く、また作業環境の湿度が高いほど、エチルアルコールの気化が遅くなる。エチルアルコールの気化が早いと、黒鉛マトリックスは、被覆燃料粒子にコーティングされる前に、装置の周りの壁に付着してオーバーコート量が不足し、エチルアルコールの気化が遅いと、パン内で流動している被覆燃料粒子に黒鉛マトリックス及びアルコールが必要以上に付着してオーバーコート量が過剰となり、いずれにしても被覆燃料粒子に付着されるコーティング層の厚みが不均一となる。従って、作業環境の温度及び湿度を最適に維持する必要があるが、このような作業環境を一定に維持することが難しく、従ってオーバーコートを均一に行うことができないため、粒径が不均一となる欠点があった。
【0018】
また、従来技術のオーバーコート方法は、多量の被覆燃料粒子に黒鉛マトリックスを噴射するためには、多数のパンとこれを回転駆動する別個のパン回転駆動手段とを必要とするので、大きな作業空間を必要とし、1つの装置で大量のオーバーコート粒子を製造することができないため作業時間が長くなり、作業効率が低い欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする1つの課題は、作業環境の影響を受けることなく、被覆燃料粒子に均一な厚みのオーバーコート層を形成することができる被覆燃料粒子のオーバーコート装置及び方法を提供することにある。
【0020】
本発明が解決しようとする他の課題は、作業空間を大きくすることなく、大量の被覆燃料粒子にオーバーコートを施して作業時間及び作業効率を向上することができる被覆燃料粒子のオーバーコート方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の課題解決手段は、黒鉛マトリックスを付着すべき被覆燃料粒子が装填されるパンと、このパンの周面が回転軸線を中心に回転するようにパンを駆動するパン回転駆動手段と、パン内の被覆燃料粒子に黒鉛マトリックスを溶剤と共に噴射する黒鉛マトリックス供給ノズルとを備えた被覆燃料粒子のオーバーコート装置において、パンは被覆燃料粒子と黒鉛マトリックスの混合物の流動領域外に設けられた排気口を有する閉鎖型パンから成っていることを特徴とする被覆燃料粒子のオーバーコート装置を提供することにある。
【0022】
本発明の第1の課題解決手段において、閉鎖型パン内に設けられて混合物が流動している間にこの混合物を撹拌する撹拌部材を備えているのが好ましい。また、複数の閉鎖型パンが並列に配置され、各閉鎖型パンに黒鉛マトリックス供給ノズルが設けられ、パン回転駆動手段は、複数の閉鎖型パンを同時に駆動するように各閉鎖型パンに接続されていると一層好ましい。
【0023】
本発明の第2の課題解決手段は、パン内に装填された被覆燃料粒子に黒鉛マトリックスを溶剤と共に噴射しつつパンの周面が回転軸線を中心に回転するようにパンを回転駆動して被覆燃料粒子に黒鉛マトリックスをオーバーコートする方法において、パンは被覆燃料粒子と黒鉛マトリックスの混合物の流動領域外に設けられた排気口を有する閉鎖型パンであり、この閉鎖型パン内に収納する1バッチあたりの被覆燃料粒子の重量P(g)は、パンの周面の幅をW(cm)、外径をR(cm)としたときに、P(g)≦(W×R)/2に設定することを特徴とする被覆燃料粒子のオーバーコートー方法を提供することにある。
【0024】
本発明の第2の課題解決手段において、複数の閉鎖型パンを並列に配置して各閉鎖型パンに黒鉛マトリックス供給ノズルを設け、これらの複数の閉鎖型パンを共通のパン回転駆動手段から回転駆動すると好ましい。
【発明の効果】
【0025】
このように、パンが被覆燃料粒子と黒鉛マトリックスの混合物の回転領域外に設けられた排気口を有する閉鎖型パンから成っていると、温度や湿度等の作業環境の影響を受けることなく、被覆燃料粒子にオーバーコートを施すことができ、従って均一な厚みのオーバーコート層を有し所定の粒径を有するオーバーコート粒子を得ることができる。
【0026】
また、気化する溶剤を排出する排気口は、被覆燃料粒子と黒鉛マトリックスの混合物の流動領域外に設けられているので、混合物が排気口から排出することがなく、溶剤をパンから確実に排出することができる。
【0027】
更に、閉鎖型パン内に撹拌部材を設けると、混合物の流動によって混合物が撹拌部材に接触して自動的に撹拌されるので、被覆燃料粒子の分散性が一層向上する。
【0028】
多数の閉鎖型パンを並列に配置して共通のパン回転駆動手段によって回転駆動するようにすると、多数の独立した装置を多段に配置する場合に比べて小さな作業空間で多量の被覆燃料粒子に同時にオーバーコートを施すことができ、短い作業時間で作業を効率よく行うことができる。
【0029】
閉鎖型パンの周面の幅をW(cm)、外径をR(cm)としたときに、閉鎖型パン内に収納する1バッチあたりの被覆燃料粒子の重量P(g)をP(g)≦(W×R)/2に設定すると、パンに供給される1バッチ当たりの処理量が従来に比べて減少するが、並列配列の多数の閉鎖型パンを共通のパン回転駆動手段から回転駆動することによって高い作業効率を維持しながら均一な厚みのオーバーコート層を有するオーバアーコート粒子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べると、図1は、本発明に係る被覆燃料粒子のオーバーコート装置10を示しており、このオーバーコート装置10は、黒鉛マトリックスを付着すべき被覆燃料粒子1が装填されるパン20と、このパン20の周面20Pが回転軸線Xを中心に回転するようにパン20を駆動するパン回転駆動手段30と、パン20内の被覆燃料粒子1に黒鉛マトリックス2をエチルアルコールの如き溶剤と共に噴射する黒鉛マトリックス供給ノズル40とを備えている。
【0031】
本発明に用いられるパン20は、左右の側壁20SWと周壁20PWとを有する閉鎖型パン20Cから成っている。後に述べるように、この閉鎖型パン20Cは、水平回転軸線Xを中心に回転するので、被覆燃料粒子1と黒鉛マトリックス2の混合物は、常に周壁20PWの下方部分(回転によって順次変化するが常に下方に位置する部分)20PWLと左右の側壁20SWであって周壁下方部分20PWLに対応する下方部分20SWLとで囲まれた領域で流動しており、この領域は、以下混合物の流動領域と称する。閉鎖型パン20Cは、周壁20PWの一部に被覆燃料粒子1の装填口20Eを有し、この装填口20Eは、オーバーコート処理中に、蓋20ECによって閉じられる。なお、符号20ECPは、蓋開放防止手段を示す。
【0032】
閉鎖型パン20Cは、オーバーコート作業中にパン20C内で発生する溶剤の気化成分を排出する排気口20Hを備えており、この排気口20Hは、被覆燃料粒子1と黒鉛マトリックス2の混合物の流動領域外に設けられている。即ち、混合物の流動領域が周壁20PWの外周に対する回転軸線方向の寸法Phとすると、排気口20Hは、この寸法Phよりも更に回転軸線Xよりの寸法Hhの位置に対応して設けられている。排気口20Hは、図示の形態のように、左右の側壁20SWの両方に設けられているのが好ましいが、一方の側壁20SWにのみ設けられていてもよい。また、図示の形態では、各側壁20SWに2つの排気口20Hが設けられているが、その個数は、気化成分の量に応じて任意に設定することができる。この排気口20Hの直径rは、被覆燃料粒子1の外径よりも小さいのが好ましいが、被覆燃料粒子1が飛び散らなければ、被覆燃料粒子1の外径よりも大きくてもよい。なお、排気口20Hは、1つの孔ではなく、多孔性であってもよい。
【0033】
パン回転駆動手段30は、図示しない基台に支持される回転駆動源30Dとパン20に設けられている回転軸接続部材20Fに着脱自在に接続される回転軸30Sとから成っており、この回転駆動源30Dは、電動モータと減速機との組み合わせとすることができる。
【0034】
黒鉛マトリックス供給ノズル40は、閉鎖型パン20内の混合物流動領域に向けて黒鉛マトリックスとエチルアルコールとを噴射するように配置され、この供給ノズル40は、黒鉛マトリックスフィーダ42に配管44を介して接続されている。配管44は、パン20の回転軸線Xに沿ってパン20内に導入され、パン20の回転に支障がないようになっている。
【0035】
図示の形態では、オーバーコート装置10は、閉鎖型パン20内に設けられて混合物が流動している間にこの混合物を撹拌する撹拌部材50を備えている。図示の例では、パン20の周壁20PWの内面と左右の側壁20SWの内面とにそれぞれ撹拌部材50P、50Sが設けられ、これらの撹拌部材50P、50Sは、パン20の一回転毎に流動領域に入り込んで混合物に接触してこの接触によって混合物を撹拌するように機能する。図示の例では、撹拌部材50Pは、円錐状の突起の形態を有し、撹拌部材50Sは、内側に向けて外径方向に延びる板の形態を有するが、他の任意の形態とすることができる。
【0036】
また、良好な攪拌状態を得るためには、攪拌部材50Pは、周壁20PWの全周に亘って設けられていてもよく、更に、攪拌部材50Sは、側壁20SWの円周方向全体に設けられていてもよい。このように、攪拌部材50P及び50Sがそれぞれ周壁20PWの全周及び側壁20SWの円周方向全体にそれぞれ設けられると、攪拌部材が常に流動領域に入り込んで混合物を攪拌するので、攪拌効率が向上する。なお、攪拌部材50P及び50Sが周壁20PWの内周及び側壁20SWの円周方向に連続的ではなく、間欠的に複数個設けられていてもよい。
【0037】
図1において、符号30Bは、回転軸支持台を示し、また符号40Bは、黒鉛マトリックス配管44の支持台である。
【0038】
次に、上記のオーバーコート装置10を使用して被覆燃料粒子1に黒鉛マトリックス2のオーバーコートを施す方法を述べると、被覆燃料粒子装填口20Eを開いて所定量の被覆燃料粒子1を装填する。被覆燃料粒子装填口20Eを蓋20ECで閉じた後、パン回転駆動手段30を駆動して閉鎖型パン20内の被覆燃料粒子1を流動させながら、黒鉛マトリックス供給ノズル40から所定量の黒鉛マトリックス2を溶剤であるエチルアルコールと共に噴射して被覆燃料粒子1に吹き付ける。
【0039】
パン20は、排気口20Hを除いて閉鎖されている閉鎖型パン20Cであるので、従来の開放型パンを用いる場合に比べてパン内部の温度や湿度を所定の値に維持して被覆燃料粒子1と黒鉛マトリックス2との重量比に影響を及ぼす外的要因を排除することができる。
【0040】
この閉鎖型パン20C内に装填する1バッチあたりの被覆燃料粒子1の重量P(g)は、パン20の周壁20Pの幅をW(cm)、外径をR(cm)としたときに、P(g)≦(W×R)/2に設定される。これは、従来技術で装填される重量約5kgよりも少なく、被覆燃料粒子1全体に黒鉛マトリックス2が行き届いて被覆燃料粒子1に偏りなく接触するのを容易にする。即ち、黒鉛マトリックス2は、パン20内の被覆燃料粒子1の全体に供給されるのではなく、最初は、流動領域の表面に位置する被覆燃料粒子1に供給され、パン20の回転による被覆燃料粒子1の流動につれて被覆燃料粒子1全体に行き届くが、被覆燃料粒子1の装填重量P(g)が上記の通り設定されると、1バッチ当たりの被覆燃料粒子1の全体に偏りなく黒鉛マトリックス2が均等に接触し、均一な厚みのオーバコート層を得ることができる。ここで、パン20に装荷する被覆燃料粒子の重量は、そのウランが臨界状態に達しない量であることが前提であるため、オーバーコート工程における人的エラーを避けるためにも、パンに装荷する被覆燃料粒子のウランが臨界に達する重量の1/2あるいは1/3の重量とした上で、上記装荷条件を満たすことが好ましい。
【0041】
黒鉛マトリックス2と共に供給されたエチルアルコールは気化して黒鉛マトリックス2を被覆燃料粒子1に付着するが、この気化成分は、排気口20Hから排気される。
【0042】
1バッチ当たりの被覆燃料粒子1に対して所定量の黒鉛マトリックス2が供給された後、パン回転駆動手段30の駆動を止め、装填口20Eが下側になるようにしてこの装填口20Eの蓋20ECを開いてオーバーコート粒子を排出して1バッチあたりの作業を終了する。
【0043】
上記の作業を繰り返して所定バッチ分の被覆燃料粒子1に黒鉛マトリックス2をオーバーコートして所定量のオーバーコート粒子を製造し、このオーバーコート粒子を用いて燃料コンパクトを成形する。
【0044】
本発明の他の実施の形態による被覆燃料粒子のオーバーコート装置10が図2に示されている。このオーバーコート装置10は、複数、図示の例では、3つの閉鎖型パン201乃至203が並列に配置され、各閉鎖型パン201乃至203に黒鉛マトリックス供給ノズル401乃至403が設けられ、パン回転駆動手段30は、複数の閉鎖型パン201乃至203を同時に駆動するように各閉鎖型パン201乃至203に直列接続されていることを除いて図1の実施の形態と同じである。なお、図1と同じ部分には同じ符号が付されている。
【0045】
最も左側にある閉鎖型パン201は、パン回転駆動手段30の回転軸30Sに直接接続され、他の閉鎖型パン202、203は、それぞれ接続用回転軸30S2、30S3を介して隣の閉鎖型パン201、202にそれぞれ接続されている。
【0046】
この図2のオーバーコート装置10も図1の装置と同様にして使用されるが、1バッチあたりの被覆燃料粒子1の装填重量が少なくてもこのように多段に並列配置されて共通のパン回転駆動手段30に直列接続されているので、多数の独立した装置を多段に配置する場合に比べて小さな作業空間で多量の被覆燃料粒子に同時にオーバーコートを施すことができ、短い作業時間で作業を効率よく行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、作業環境の温度、湿度等の外的要因の影響を受けることなく、被覆燃料粒子に均一の厚みで黒鉛マトリックスのオーバーコートを施すことができ、従って高い分散性を有する成形燃料を得ることができ、特に、高温ガス炉用の燃料の製造に有益に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の1つの実施の形態による被覆燃料粒子のオーバーコート装置の概略説明図である。
【図2】本発明の他の実施の形態による被覆燃料粒子のオーバーコート装置の概略説明図である。
【図3】従来技術による被覆燃料粒子のオーバーコート装置の概略説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 被覆燃料粒子
2 黒鉛マトリックス
10 被覆燃料粒子のオーバーコート装置
20 パン
20C、201、202、203 閉鎖型パン
20P 周面
20PW 周壁
20PWL 下方部分
20SW 側壁
20SWL 下方部分
20H 排気口
20E 被覆燃料粒子装填口
20EC 蓋
20ECP 蓋開放防止手段
20F 回転軸支持台
30 パン回転駆動手段
30D 回転駆動源
30S、30S2、30S3 回転軸
40、401、402、403 黒鉛マトリックス供給ノズル
42 黒鉛マトリックスフィーダ
44 配管
50、50S、50P 撹拌部材












































 

 


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