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発明の名称 高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置および製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−132895(P2007−132895A)
公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
出願番号 特願2005−328628(P2005−328628)
出願日 平成17年11月14日(2005.11.14)
代理人 【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
発明者 安田 淳
要約 課題
反応容器への可燃性ガスの供給に異常が発生した際に、燃料核を容器内に保持して配管目詰まりを発生させることなく動作できる安全機構を備えた高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置および製造方法を提供する。

解決手段
高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置において、流動ガス供給源のうちの少なくとも一つは不活性ガスを供給し、各流動ガスおよび各原料被覆ガスをそれぞれ反応容器へ送る複数本の供給配管と、各供給配管に設けられた圧力スイッチおよび開閉弁と、流動ガス供給配管に設けられた流量調整手段と、ガス供給異常を判断して前記開閉弁の開閉を切り替える制御部と、を有する安全機構を備え、安全機構の制御部は、圧力変化に応じて対応する配管の開閉弁を閉じると共に、前記流動ガス供給配管の流量調整手段による流動ガスの反応容器への供給を制御し、反応容器内を不活性流動ガス雰囲気とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
二酸化ウラン燃料核を収容した反応容器内に、該容器底部に装着されたガス噴出ノズルのノズル孔を介して流動ガスおよび被覆原料ガスを噴出供給しつつ加熱することにより、燃料核を流動させながら被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核表面を各被覆原料分子の蒸着層で被覆する高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置において、
前記流動ガス供給源のうちの少なくとも一つは不活性ガスを供給するものであり、
前記反応容器外のガス供給源と前記ガス噴出ノズルとの間に配されて各流動ガスおよび各原料被覆ガスをそれぞれ反応容器へ送る複数本の供給配管と、各供給配管に設けられた圧力スイッチおよび開閉弁と、少なくも流動ガス供給配管に設けられた流量調整手段と、各圧力スイッチの設定圧に対する圧力変化に応じてガス供給異常を判断して前記開閉弁の開閉を切り替える制御部と、を有する安全機構を備え、
前記安全機構の制御部は、前記圧力スイッチにて設定圧に対する圧力変化に応じて対応する配管の開閉弁を閉じると共に、前記流動ガス供給配管の流量調整手段による流動ガスの反応容器への供給を制御し、反応容器内を不活性流動ガス雰囲気とすることを特徴とする高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置。
【請求項2】
前記被覆原料ガスは、アセチレン、プロピレン、メチルトリクロロシラン−水素混合蒸発ガスであり、前記不活性流動ガスはアルゴンであることを特徴とする請求項1に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置。
【請求項3】
二酸化ウラン燃料核を収容した反応容器内に、該容器底部に装着されたガス噴出ノズルのノズル孔を介して流動ガスおよび被覆原料ガスを噴出供給しつつ加熱することにより、燃料核を流動させながら被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核表面を各被覆原料分子の蒸着層で被覆する高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法において、
前記流動ガスのうちの少なくとも一つは不活性ガスを供給するものとし、
各流動ガスおよび各原料被覆ガスの供給時に、それぞれ予め定められた設定圧に対する変化を検知してガス供給異常を検出する工程と、
該ガス供給異常の検出時にそのガス供給を停止すると共に、流動ガスの供給を調整して反応容器内を不活性ガス雰囲気にするガス雰囲気切替工程と、を有する安全システムを備えたことを特徴とする高温ガス炉用燃料被覆粒子の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高温ガス炉被覆燃料粒子の製造装置および製造方法において、被覆層形成用反応容器内の雰囲気ガスを切り替えるシステムに関し、詳しくは反応容器内への可燃性ガスの供給に異常があった際に安全機構として動作するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を、熱容量が大きく高温健全性の良好な黒鉛で形成すると共に、ヘリウム等の高温下でも化学的反応の起こらないガス冷却材を用いることにより、固有の安全性が高く、高い出口温度でヘリウムガスを取り出すことが可能であり、得られる約900℃の高温熱は、発電はもちろんのこと水素製造や化学プラント等、幅広い分野での熱利用を可能にするものである。
【0003】
このような高温ガス炉の燃料には、通常、ウランを含む溶液を出発原料として製造した二酸化ウランをセラミックス状に焼結した直径約350〜650μmの燃料核を基本構造とし、この燃料核の外表面に複数の被覆層を形成してなる被覆燃料粒子が用いられる。
【0004】
この被覆燃料粒子は、例えば第1被覆層にはガス状の核分裂生成物のガス留めとしての機能及び燃料核の変形を吸収する緩衝部としての機能を併せ持つものとして密度約1g/cmの低密度熱分解炭素層を形成し、第2被覆層にはガス状核分裂生成物の保持機能を有するものとして密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素層を形成し、さらに第3被覆層には固体状核分裂生成物の保持機能を有すると共に被覆層の主要な強度部材として密度約3.2g/cm炭化珪素(SiC)層を、また第4被覆層には第2被覆層と同様のガス状核分裂生成物の保持機能と共に第3被覆層の保護層として密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素層を形成した計4層の被覆を施されたものが一般的となっている。
【0005】
被覆燃料粒子は、黒鉛母材中に分散させ一定形状の燃料コンパクトの形に成型加工され、さらに黒鉛でできた筒にコンパクトを一定数量入れ、上下に栓をした燃料棒の形にされる。最終的に燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に入れられ、この六角柱型黒鉛ブロックを多数個、ハニカム配列に複数段重ねて炉心を構成している。
【0006】
一般的な被覆燃料粒子となる被覆前の燃料核は次のような工程で製造されており、大量形成が可能な方法として振動滴下によるゲル状の粒子を得る外部ゲル化法が多く用いられている。即ち、まず酸化ウランの粉末を硝酸に溶かし硝酸ウラニル原液とし、この硝酸ウラニル原液に純水、添加剤を加え撹拌することにより滴下原液とする。添加剤は、滴下された硝酸ウラニルの液滴が落下中に自身の表面張力により真球状になるようにする増粘剤であると同時にアンモニウムとの接触により原液をゲル化せしめるために添加されるものであり、例えばポリビニルアルコール樹脂、アルカリ条件下でゲル化する性質を持つ樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズなどを挙げることができる。
【0007】
以上のように調製された滴下原液は所定の温度に冷却され粘度を調整した後、細径の滴下ノズルを振動させることによりアンモニア水溶液中に滴下される。アンモニア水溶液中へ液滴となって入った原液は、硝酸ウラニルがアンモニアと十分に反応させられると同時に前記添加剤がゲル化され、重ウラン酸アンモニウム(ADU)を含むゲル状の粒子となる。得られたADUゲル粒子は、大気中で焙焼され、水分および添加剤が除去されて三酸化ウラン粒子となり、さらに還元・焼結されることにより高密度のセラミックス状二酸化ウランからなる球状の燃料核となる。
【0008】
この燃料核を用いた被覆燃料粒子の製造は、流動床からなる反応容器内に燃料核を投入し、ガス導入管を介して反応容器の底部に設けられたガス導入ノズルから被覆原料ガスを噴出させて燃料核を流動させながら被覆原料ガスの熱分解により、原料分子を燃料核の表面に蒸着させることによって被覆層を形成する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
従来から、上記のような被覆燃料粒子は、高密度のセラミックス状二酸化ウランからなる球状の燃料核を流動床としての反応容器に装荷し、この反応容器内で被覆層となる原料ガスを熱分解させて化学蒸着による被覆層が形成されて製造されている(例えば、特許文献1参照。)。例えば、第1被覆層の低密度炭素層の場合は約1400℃でアセチレン(C)を熱分解して被覆を施し、第2および第4被覆層の高密度熱分解炭素層の場合は約1400℃でプロピレン(C)を熱分解して行う。第3被覆層のSiC層の場合は約1600℃でメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を熱分解して被覆層を形成している。一般的な燃料コンパクトは、被覆燃料粒子を黒鉛粉末、粘結剤等からなる黒鉛マトリックス材とともに中空円筒形または円筒形にプレス成型またはモールド成型した後、焼成して得られる。
【0010】
これら被覆層形成工程では、反応容器内へ供給される被覆原料ガスと共に流動ガスとして水素ガスも供給されており、常に可燃性ガスが供給されている。従って、例えばこのような可燃性ガスの供給において、供給圧が急激に低下した場合など、ガス供給に異常が生じた場合には、原料被覆ガスや流動ガスの供給を停止するための安全機構が被覆燃料粒子製造装置に組み込まれていた。
【0011】
例えば、図2に示すような反応容器を備えた被覆燃料粒子製造装置においては、反応容器外の各原料供給源から、第1被覆層の原料であるアセチレン:被覆ガス B-1、第2および第4被覆層の原料であるプロピレン:被覆ガス B-2、がそれぞれガス原料としてそのまま、第3被覆層の原料であるメチルトリクロロシラン(MTS)は液体原料であることからスイープガスとの混合により蒸発ガス発生槽から、MTS+水素:被覆ガス B-3として供給され、流動ガス源からは、不活性ガスであるアルゴン:流動ガス A-1、水素:流動ガス A-2、がそれぞれ配管を介して各開閉弁の制御に応じて反応容器内へ供給されるが、流動ガス A-2からの水素ガスは、途中分岐配管を介してスイープガスとしてMTS蒸発ガス発生槽へ送られる。
【0012】
このような各種可燃性ガスの供給構成における従来の安全機構では、異常が発生した場合、例えば、図3(a)に示すように、第1,2,4被覆層形成工程において、被覆ガス B-1の供給異常により、圧力スイッチ PS1にて設定圧より圧力が低下するとその電気信号に基づいて反応容器へ連通する配管中の開閉弁 B-1-3が閉じられて被覆ガス B-1の供給が止められ、あるいは被覆ガス B-2の供給異常により、圧力スイッチ PS2にて設定圧より圧力が低下するとその電気信号に基づいて開閉弁 B-2-3が閉じられて被覆ガス B-2の供給が止められ、いずれの場合も被覆ガスの供給が止められた後に開閉弁 A-1-3が閉じられて流動ガス A-1の供給も止められる。
【0013】
また、第3被覆層形成工程において、流動ガス A-2の供給異常により、圧力スイッチ PS4にて設定圧より圧力が低下するとその電気信号に基づいて、まず、MTS蒸発ガス発生槽へ連通する配管中の開閉弁 B-3-3が閉じられ、次いでMTS蒸発ガス発生槽から反応容器へ連通する配管中の開閉弁 B-3-4が閉じられた後、反応容器に直接連通する配管中の開閉弁 A-2-3が閉じられる。
【0014】
【特許文献1】特開平5−273374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記のような従来の安全機構では、いずれかの可燃性ガスの供給に異常が発生した場合、原料被覆ガスだけでなく、流動ガスの供給も停止され、高温下にあった燃料核が全て底部のガス供給ノズル側へ落下してしまい、場合によってはノズルを介して配管内に燃料核が侵入し、目詰まりを生じさせてしまう可能性があった。
【0016】
このような燃料核による配管の目詰まりは、ガスの供給自体ができなくなるのはもちろん、非常に高温となっていた燃料核によって配管も異常な高温となって変形、破損のおそれも生じる。
【0017】
また、このような目詰まり状態になってしまうと、反応容器内が充分低い温度まで放冷しなければ対策を講じることも困難であり、さらに、再度一から被覆層形成工程を始める場合も配管内を充分に清掃する必要も生じ、被覆燃料粒子の製造効率は全体的に大幅に低下してしまう。
【0018】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、反応容器への可燃性ガスの供給に異常が発生した際に、燃料核を容器内に保持して配管目詰まりを発生させることなく動作できる安全機構を備えた高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置および安全システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置は、二酸化ウラン燃料核を収容した反応容器内に、該容器底部に装着されたガス噴出ノズルのノズル孔を介して流動ガスおよび被覆原料ガスを噴出供給しつつ加熱することにより、燃料核を流動させながら被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核表面を各被覆原料分子の蒸着層で被覆する高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置において、前記流動ガス供給源のうちの少なくとも一つは不活性ガスを供給するものであり、前記反応容器外のガス供給源と前記ガス噴出ノズルとの間に配されて各流動ガスおよび各原料被覆ガスをそれぞれ反応容器へ送る複数本の供給配管と、各供給配管に設けられた圧力スイッチおよび開閉弁と、少なくも流動ガス供給配管に設けられた流量調整手段と、各圧力スイッチの設定圧に対する圧力変化に応じてガス供給異常を判断して開閉弁の開閉を切り替える制御部と、を有する安全機構を備え、前記安全機構の制御部は、前記圧力スイッチにて設定圧に対する圧力変化に応じて対応する配管の開閉弁を閉じると共に、前記流動ガス供給配管の流量調整手段による流動ガスの反応容器への供給を制御し、反応容器内を不活性流動ガス雰囲気とするものである。
【0020】
また、請求項2に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置は、請求項1に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置において、前記被覆原料ガスは、アセチレン、プロピレン、メチルトリクロロシラン−水素混合蒸発ガスであり、前記不活性流動ガスはアルゴンであることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項3に記載の発明に係る高温ガス用被覆燃料粒子の製造方法は、二酸化ウラン燃料核を収容した反応容器内に、該容器底部に装着されたガス噴出ノズルのノズル孔を介して流動ガスおよび被覆原料ガスを噴出供給しつつ加熱することにより、燃料核を流動させながら被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核表面を各被覆原料分子の蒸着層で被覆する高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法において、前記流動ガスのうちの少なくとも一つは不活性ガスを供給するものとし、各流動ガスおよび各原料被覆ガスの供給時に、それぞれ予め定められた設定圧に対する変化を検知してガス供給異常を検出する工程と、該ガス供給異常の検出時にそのガス供給を停止すると共に、流動ガスの供給を調整して反応容器内を不活性ガス雰囲気にするガス雰囲気切替工程と、を有する安全システムを備えたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置においては、流動ガスの少なくとも一つを不活性ガスとして供給する安全機構により、可燃性の被覆原料ガスまたは流動ガスの供給異常が発生した際に、反応容器内の不活性流動ガス雰囲気への置換による安全性確保と該流動ガスの流量調整による燃料核の流動性の良好な維持が可能であり、燃料核の落下による配管目詰まりも防止され、困難で手間のかかる配管内清掃等の作業が省かれ、異常発生後の被覆層形成工程の再開が容易で被覆燃料粒子の製造効率の低下を従来より大幅に抑えることができるという効果がある。
【0023】
本発明の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法においては、安全システムにより、流動ガスの少なくとも一つを不活性ガスとして供給するものであり、可燃性の被覆原料ガスまたは流動ガスの供給異常が検出された際には、反応容器内を可燃性ガス雰囲気から不活性流動ガス雰囲気に置換して切替ることにより安全性を確保すると共に、該不活性流動ガスの調整により燃料核の流動性をも良好に維持して燃料核落下による配管目詰まりを防止し、異常発生後の被覆層形成工程の再開を容易なものとして被覆燃料粒子の製造効率の低下を従来より大幅に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置は、反応容器内に収容した二酸化ウラン燃料核を、該容器底部に装着されたガス噴出ノズルのノズル孔を介して流動ガスおよび被覆原料ガスを噴出供給しつつ加熱することにより流動させながら被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核表面に各被覆原料分子の蒸着層で被覆層を形成する高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置であり、流動ガス供給源のうちの少なくとも一つは不活性ガスを供給するものとし、反応容器外のガス供給源とガス噴出ノズルとの間に配されて各流動ガスおよび各原料被覆ガスをそれぞれ反応容器へ送る複数本の供給配管と、各供給配管に設けられた圧力スイッチおよび開閉弁と、少なくも流動ガス供給配管に設けられた流量調整手段と、各圧力スイッチの設定圧に対する圧力変化に応じてガス供給異常を判断して開閉弁の開閉を切り替える制御部と、を有する安全機構を備たものである。
【0025】
この安全機構の制御部は、圧力スイッチにて設定圧に対する圧力変化に応じて対応する配管の開閉弁を閉じると共に、流動ガス供給配管の流量調整手段による流動ガスの反応容器への供給を制御し、反応容器内を不活性流動ガス雰囲気とするものである。
【0026】
従って、本発明の安全機構によれば、被覆層形成工程にて被覆原料ガス供給配管の圧力スイッチにてガス供給異常が検出された際には、制御部がその異常が認められた配管の開閉弁を閉じると同時に、流動ガスの流量調整手段を制御して不活性ガス流量を増やして反応容器内の可燃性雰囲気を不活性流動ガス雰囲気に置換することによって安全性を確保することができると共に、不活性ガスのガス噴出ノズルからの噴出供給により燃料核の流動性を維持して配管目詰まりを発生させるような燃料核の落下を防ぐことができる。これにより配管内の困難な清掃等の手間も省けて異常発生後の被覆層形成工程の再開を容易にし、被覆燃料粒子の製造効率の低下を従来より大幅に抑えることができる。
【0027】
従来と同様に、4被覆層の被覆燃料粒子を製造する場合には、各被覆原料ガスには、第1被覆層用としてアセチレン、第2および第4被覆層用としてプロピレン、第3被覆層用としてメチルトリクロロシランが用いられ、流動ガスとしては従来から液体原料であるメチルトリクロロシラン(MTS)を蒸発ガスとするためのスイープガスでもある水素ガスが用いられる。また、不活性流動ガスとしては、例えばアルゴンが挙げられる。
【0028】
以上のような被覆原料ガスおよび流動ガスを用いた被覆燃料粒子形成工程においては、第1、第2または第4被覆層のいずれかの形成工程時にアセチレンガスあるいはプロピレンガスの被覆原料ガス供給配管にガス供給異常が発生した場合において、流動ガスとしてアルゴンガスを用いていれば、制御部はその配管の開閉弁を閉じさせて被覆原料ガスの供給を止めるとともにアルゴン流動ガス供給配管の流量を調整して増加せしめ、反応容器内を可燃性雰囲気から不燃性のアルゴンガス雰囲気に置換して安全性を確保すると共に、アルゴン流動ガスの適宜調整された流量によって燃料核の流動性が良好に維持される。なお流動ガスとして水素ガスを用いている場合には、水素ガス流量を徐々に低下させると共にアルゴンガス流量を徐々に増加していき、最終的には水素ガスの供給を0として反応容器内をアルゴンガス雰囲気に置換する。
【0029】
また、流動ガスとして水素ガスを用いている第3被覆層形成工程時において、水素ガス供給配管のガス供給異常が発生した際には、水素ガス供給配管からMTS蒸発ガス発生槽へ分岐しているスイープガス配管の開閉弁を閉じ、さらにおよびMTS蒸発ガス発生槽から反応容器へ連通するMTS蒸発ガス供給配管の開閉弁を閉じ、水素流動ガス配管の流量調整手段を制御して水素流動ガスの流量を徐々に低下させると同時に、アルゴン流動ガス供給配管の開閉弁を開けて該配管の流量調整手段を制御してアルゴン流量を徐々に増加していく。最終的には、水素ガス供給量を0とし、反応容器内を不活性アルゴンガス雰囲気に置換して安全性を確保すると共に、アルゴン流動ガスの流量調整で燃料核の流動性を良好に維持することができる。
【0030】
本発明の高温ガス用被覆燃料粒子の製造方法は、二酸化ウラン燃料核を収容した反応容器内に、該容器底部に装着されたガス噴出ノズルのノズル孔を介して流動ガスおよび被覆原料ガスを噴出供給しつつ加熱することにより、燃料核を流動させながら被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核表面を各被覆原料分子の蒸着層で被覆する高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造方法であって、安全システムとして、流動ガスのうちの少なくとも一つは不活性ガスを供給するものとし、ガス供給異常検出工程にて各流動ガスおよび各原料被覆ガスの供給時にそれぞれ予め定められた設定圧に対する変化を検知してガス供給異常を検出し、ガス雰囲気切替工程にてガス供給異常の検出後直ちにそのガス供給を停止すると共に、流動ガスの供給を調整して反応容器内を不活性ガス雰囲気に置換するものである。
【0031】
従って、本発明の安全システムによれば、ガス供給異常検出工程で可燃性の流動ガスあるいは被覆原料ガスの供給配管に異常が検出されれば、ガス雰囲気切替工程にて異常の発生した被覆原料ガス供給を止めると同時に流動ガス供給を調整することによって反応容器内を可燃性ガス雰囲気から不活性ガス雰囲気に置換して安全性を確保すると共に、不活性流動ガスの流量調整により燃料核の流動性を良好に維持して燃料核落下による配管目詰まりの発生を防止し、被覆層形成工程の再開を容易にして被覆燃料粒子の製造効率の低下を従来より小さく抑えることができる。
【実施例】
【0032】
本発明の一実施例として、図2に構成を示した高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置において、4被覆層形成工程にて可燃性の被覆原料ガス供給または流動ガス供給に異常が生じた際の安全機構による安全システム動作を以下に説明する。図1は、本動作を説明するフローチャート図であり、(a)は第1,2,4被覆層形成工程における異常発生時の場合、(b)は第3被覆層形成工程における異常発生時の場合をそれぞれ示すものである。
【0033】
本装置では、反応容器外の各原料供給源から、まず第1被覆層の原料であるアセチレン(被覆ガス B-1)が、上流側から開閉弁 B-1-1、圧力スイッチ PS1、流量調整手段としての流量計 B-1-2、開閉弁 B-1-3を備えた配管を介して反応容器へ送られ、また第2被覆層および第4被覆層の原料であるプロピレン(被覆ガス B-2)が、上流側から開閉弁 B-2-1、圧力スイッチ PS2、流量計 B-2-2、開閉弁 B-2-3を備えた配管を介して反応容器へ送られる。
【0034】
また、不活性流動ガスとしてのアルゴン(流動ガス A-1)が、上流側から開閉弁 A-1-1、圧力スイッチ PS3、流量計 A-1-2、開閉弁 A-1-3を備えた配管を介して反応容器へ送られ、可燃性流動ガスである水素(被覆ガス A-2)が、上流側から開閉弁 A-2-1、圧力スイッチ A-2-2、開閉弁 A-2-3を備えた配管を介して反応容器へ送られる。さらに、この水素ガス供給配管は、第3被覆層の原料で液体であるメチルトリクロロシラン(MTS)を蒸発ガスとするためのスイープガスとして水素ガスをMTS蒸発ガス発生槽へ送るために圧力スイッチ PS4の下流位置で分岐し、該分岐配管には上流側から開閉弁 B-3-1、流量計 B-3-2、開閉弁 B-3-3が設けられている。さらにMTS蒸発ガス発生槽から発生したMTS蒸発ガス(被覆ガス B-3)は、開閉弁 B-3-4を備えた配管を介して反応容器へ送られる。
【0035】
以上の配管構成を備えた被覆燃料粒子製造装置において、第1、第2,第4被覆層形成工程のいずれかでガス供給異常が発生した場合は、図1(a)に示すように、圧力スイッチ PS1あるいは圧力スイッチ PS2で設定された圧力値に対して圧力低下等の変化が検知されて、制御部においてガス供給異常の発生が判断される。
【0036】
制御部は、この異常検知結果に基づいて、対応する配管の開閉弁(B-1-3あるいはB-2-3)を閉じて被覆原料ガスの供給を停止させると共に、流動ガスとしてアルゴンガスを用いている場合はそのまま流量計 A-1-2を調整してアルゴンガス流量を適宜調整し、反応容器内を可燃性ガス雰囲気から不活性アルゴンガス雰囲気に置換してその安全性を確保すると共に、適度に流量調整されたアルゴン流動ガスにより燃料核の流動性も良好に維持する。また、流動ガスとして水素ガスを用いていた場合には、上記と同様に被覆原料ガスの供給を停止させ、流量計 A-2-2を調整して水素ガス流量を最終的には0となるように徐々に低下させていき、同時に開閉弁 A-1-3を開けてアルゴンガス供給を開始し次いで流量計 A-1-3を調整してアルゴンガス流量を所定流量となるまで徐々に増加させていき、反応容器内を不活性アルゴンガス雰囲気に置換すると共に燃料核の良好な流動性を維持する。
【0037】
また、第3被覆層形成工程において水素ガスの供給異常が発生した場合には、図1(b)に示すように、圧力スイッチ PS4で設定圧に対して圧力低下等の変化が検知され、制御部ではガス供給異常の発生が判断される。制御部は、この異常検知結果に基づいて、まず開閉弁 B-3-3および開閉弁 B-3-4を閉じてMTS蒸気ガス発生槽へのスイープガスとしての水素ガスの供給を停止すると共にMTS蒸気ガス発生槽から反応容器側への蒸気ガス供給を停止する。次いで、流量計 A-2-2の流量調整して水素ガスの流量を徐々に0まで低下させると共に、開閉弁 A-1-3を開けてアルゴンガスを流動ガスとして供給を開始し、流量計 A-1-2を調整して徐々にアルゴンガスを所定流量まで徐々に増加させていき、反応容器内を可燃性ガス雰囲気から不活性アルゴンガス雰囲気に置換し、且つ燃料核の良好な流動性を維持する。
【0038】
次に、第4被覆層形成工程にてガス供給異常が発生した際の本装置の安全機構による安全システムの動作を具体例として以下に示す。ここでの被覆層形成工程は、反応容器を内径約200mmの円筒状とし、アルゴン流動ガスを150L/minの流量で噴出供給しながら、平均直径0.6mmの燃料核3.8kgUを容器上部から投入し、該燃料核の流動状態を維持しながら、以下の第1〜第4被覆層までを順次形成するものである。
【0039】
即ち、約1400℃にて原料被覆ガスとしてアセチレンガスを反応容器底部のガス噴出ノズルから容器内へ噴出供給して燃料核表面に第1被覆層(平均被覆層厚さ0.06mm)を形成した。次いで、約1450℃にて原料被覆ガスとしてプロピレンガスを噴出供給して第2被覆層(平均被覆層厚さ0.03mm)を形成した。次に、原料被覆ガスとして、約1600℃にてメチルトリクロロシランをスイープガスである水素ガスとの混合により発生した蒸発ガスを噴出供給して第3被覆層(平均被覆層厚さ0.03mm)を形成し、最後に約1450℃にてプロピレンガスを噴出供給して第4被覆層(平均被覆層厚さ0.03mm)を形成する。
【0040】
以上の工程において、第4被覆層形成工程は、1450℃でプロピレンガス40L/min、流動ガスとしてのアルゴンガスを160L/minのそれぞれ供給するものであるが、この工程中に制御部からプロピレンガス供給配管の圧力スイッチ PS2に異常信号を送り、ガス供給異常を模擬的に発生させ、これにより安全システムの動作を開始させた。
【0041】
まず、被覆ガスであるプロピレンの供給流量は0L/minとなって停止され、次でアルゴンガスの供給流量は200L/minに上昇調整され固定された。この状態で反応容器内を約100℃まで冷却した後、内部の被覆燃料粒子を回収した。
【0042】
以上の流量変更から被覆燃料粒子回収終了までに要した時間は10分程度であった。回収された被覆燃料粒子の表面には、傷や被覆層の破損等は見られず、良好であった。加えて、ノズル孔に連通する配管内に被覆燃料粒子の目詰まりは生じておらず正常であった。従って、被覆層形成工程を容易に再開することができるため、被覆燃料粒子の製造効率の低下は極めて小さく抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例による高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置の安全機構におけるガス供給異常発生時の安全システム動作を説明するフローチャート図であり、(a)は第1,2,4被覆層形成工程における異常発生時の場合、(b)は第3被覆層形成工程における異常発生時の場合をそれぞれ示すものである。
【図2】本発明が用いられる高温ガス炉用被覆燃料粒子の製造装置の概略構成図である。
【図3】従来の高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置のガス供給異常発生時の安全システム動作を説明するフローチャート図であり、(a)は第1,2,4被覆層形成工程における異常発生時の場合、(b)は第3被覆層形成工程における異常発生時の場合をそれぞれ示すものである。
【符号の説明】
【0044】
B−1−1,B−1−3,B−2−1,B−2−3,A−1−1,A−1−3,A−2−1,A−2−3,B−3−1,B−3−3,B−3−4,C−1−1:開閉弁
PS1,PS2,PS3,PS4:圧力スイッチ
B−1−2,B−2−2,A−1−2,A−2−2,B−3−2:流量計




 

 


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