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発明の名称 高温ガス炉用燃料体及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−127484(P2007−127484A)
公開日 平成19年5月24日(2007.5.24)
出願番号 特願2005−319466(P2005−319466)
出願日 平成17年11月2日(2005.11.2)
代理人 【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
発明者 高橋 昌史
要約 課題
可燃性毒物を燃料体内に均一に分散させて反応度の調整を均一に行うことができるようにすること。

解決手段
被覆燃料粒子16にオーバーコート層12Lが施されたオーバーコート粒子12を加熱成形して得られる高温ガス炉用燃料コンパクトやペブルベッド型燃料の如き燃料体を対象とするが、オーバーコート粒子12のオーバーコート層12Lに反応度調整用の可燃性毒物14を配合して燃料体内に可燃性毒物を均一に分散させることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
被覆燃料粒子にオーバーコート層が施されたオーバーコート粒子を加熱成形して得られる高温ガス炉用燃料体において、前記オーバーコート層に反応度調整用の可燃性毒物が配合されていることを特徴とする高温ガス炉用燃料体。
【請求項2】
被覆燃料粒子の上にオーバーコート層を施してオーバーコート粒子を形成し、その後、前記オーバーコート粒子を加熱成形して燃料体を製造する高温ガス炉用燃料体の製造方法において、前記被覆燃料粒子の上にオーバーコート層を形成する際に、前記オーバーコート層となるべき黒鉛マトリックス中に反応度調整用の可燃性毒物を配合することを特徴とする高温ガス炉用燃料体の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の高温ガス炉用燃料体の製造方法であって、前記可燃性毒物は、角のない形態で配合されることを特徴とする高温ガス炉用燃料体の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の高温ガス炉用燃料体の製造方法であって、前記可燃性毒物の形態は、粉末又は球であることを特徴とする高温ガス炉用燃料体の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の高温ガス炉用燃料体の製造方法であって、前記可燃性毒物の球の最大外径は、前記オーバーコート層の厚さの2/3よりも小さいことを特徴とする高温ガス炉用燃料の製造方法。






























発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高温ガス炉用の燃料コンパクト又はペブルベッド型燃料の如き燃料体及びその製造方法に関し、特に可燃性毒物を含む燃料体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を熱容量が大きく高温で健全性を維持する黒鉛で構成し、炉心を冷却するために、高温下でも化学反応が起こることがないヘリウムガスを冷却ガスとして用いているので、固有の安全性が高く、約900℃の高い出口温度のヘリウムガスを取り出すことができ、この高温熱を発電はもちろん、水素製造、化学プラント等の広い分野で利用することができる。
【0003】
この高温ガス炉の燃料は、二酸化ウランをセラミック状に焼結した直径が約350〜650ミクロンの燃料核の周囲に4層の被覆を施して形成されている。第一層は、密度が約1g/cmの低密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状の核分裂生成物(FP)のガス溜めとしての機能と燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能とを併せ持っている。第二層は、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能を有する。第三層は、密度が約3.2g/cmの炭化珪素(SiC)の被覆であり、これは、固体FPの保持機能を有すると共に、被覆の主要な補強部材としての機能を有する。最後に、第四層は、第二層と同様に、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能と第三層の保護層としての機能を有する。
【0004】
一般的な被覆燃料粒子は、約500−1000ミクロンの直径を有する。この被覆燃料粒子は、黒鉛マトリックス中に分散させた後、一定形状の燃料コンパクトの形態に成型加工され、この燃料コンパクトの一定数量を黒鉛筒に入れ、上下を栓で閉じて燃料棒とされる。この燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に差し込まれて高温ガス炉の燃料となる。多数個の六角柱型黒鉛ブロックをハニカム配列に多段に重ねて炉心を構成している。
【0005】
高温ガス炉の燃料は、一般的には、次のような工程を経て製造される。まず、酸化ウラン粉末を硝酸に溶かして硝酸ウラニル原液とし、この硝酸ウラニル原液に純水、増粘剤を添加し攪拌して滴下原液を作る。増粘剤は、滴下された硝酸ウラニル原液の滴液が落下中にそれ自体の表面張力で真球状になるように作用する。このような増粘剤としては、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂、例えば、ポリビニールアルコール樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズ等を使用することができる。このように調製された滴下原液は、所定の温度に冷却されて粘度が調整された後、細径の滴下ノズルを振動させる等の方法を用いてアンモニア水中に滴下される。
【0006】
滴液は、アンモニア水溶液表面に着水するまでの空間中でアンモニアガスを吹き付けて表面をゲル化させることによって着水時の変形が防止される。硝酸ウラニルは、アンモニア水中でアンモニアと充分に反応させるため、高温アンモニア水中でゲル球を回転して熟成させる。その後、温水によってゲル球を洗浄することによってゲル化及び熟成の生成物である硝酸アンモニウム(NHNO)を除去する。温水洗浄の際にゲル球の表面に付着した水分は、アルコールの脱水特性を利用してアルコールで洗浄し、その後若干減圧しながら加熱してアルコールの蒸発と共に水分も蒸発し、この一連の乾燥作業を経て重ウラン酸アンモニウム粒子(ADU粒子:(NH)を得る。この粒子は、大気中で焙焼され三酸化ウラン粒子となり、更に還元焼結されて高密度のセラミック状の二酸化ウランの燃料核となる。
【0007】
この燃料核は、流動床に装荷され、この流動床内に供給される反応ガス(被覆ガス)が熱分解されて燃料核の上に被覆が施される。第一層の低密度熱分解炭素は、約1400℃でアセチレン(C)を熱分解して被覆される。第二層及び第四層の高密度熱分解炭素は、約1400℃でプロピレン(C)を熱分解して被覆される。第三層のSiCは、約1600℃でメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を熱分解して被覆される。このように4層の被覆が施されて被覆粒子燃料が得られる。
【0008】
高温ガス炉用燃料体は、この被覆燃料粒子に黒鉛粉末と粘結剤とから成る黒鉛マトリックスでオーバーコートしてオーバーコート粒子を形成した後、このオーバーコート粒子を同様に黒鉛粉末と粘結剤とから成る黒鉛マトリックス中に分散させてプレス成型又はモールド成形し、これらを熱処理することにより得られる。
【0009】
一方、燃料体の過剰反応度を抑制するためにホウ素、ガドリニア等の可燃性毒物が要求されている。従来技術の燃料体では、被覆燃料粒子等が装荷されるべき黒鉛ブロックに可燃性毒物である炭化ホウ素と黒鉛粉末との混合焼成体を装荷することによって反応度調整材を形成していた。
【0010】
しかし、この従来技術の燃料体は、可燃性毒物がある一定位置に偏在しているので、反応度の調整が均一に行われ難い欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、可燃性毒物を燃料体内に分散させて反応度の調整を均一に行うことができ、また別途に反応度調整材を必要としない燃料体を提供することにある。
【0012】
本発明が解決しようとする他の課題は、可燃性毒物を燃料体内に分散させて反応度の調整を均一に行うことができ、また別途に反応度調整材を必要としない燃料体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の課題解決手段は、被覆燃料粒子にオーバーコート層が施されたオーバーコート粒子を加熱成形して得られる高温ガス炉用燃料体において、オーバーコート層に反応度調整用の可燃性毒物が配合されていることを特徴とする高温ガス炉用燃料体を提供することにある。
【0014】
本発明の第2の課題解決手段は、被覆燃料粒子の上にオーバーコート層を施してオーバーコート粒子を形成し、その後、これらのオーバーコート粒子を加熱成形して燃料体を製造する高温ガス炉用燃料体の製造方法において、被覆燃料粒子の上にオーバーコート層を形成する際に、オーバーコート層となるべき黒鉛マトリックス中に反応度調整用の可燃性毒物を配合することを特徴とする高温ガス炉用燃料体の製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明の第2の課題解決手段において、可燃性毒物は、粉末又は球の如き角のない形態で配合することができる。従って、球の形態とは、真球に限定さることがなく、真球以外の異形の球を含む。可燃性毒物が球の形態である場合、その最大外径は、オーバーコート層の厚さの2/3よりも小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
このように、燃料体を形成するオーバーコート粒子のオーバーコート層に可燃性毒物が配合されていると、可燃性毒物を燃料体内に均一に分散させるので、可燃性毒物の吸収効果が増大して反応度の調整を均一に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べると、本発明は、高温ガス炉用燃料コンパクト、ペブルベッド型燃料の如き燃料体を対象とし、以下の説明では、図2(A)に示す中空の燃料コンパクト10Cを燃料体の一例に掲げてその製造方法と共に説明する。なお、燃料コンパクト10Cは、中空ではなく、中実であってもよいことはもちろんである
【0018】
この中空の燃料コンパクト10Cは、図1に示すように、従来技術と同様にして、被覆燃料粒子に黒鉛粉末、粘結剤から成る黒鉛マトリックスを表面にコーティングしてオーバーコート粒子を形成し(図1のS1参照)、このオーバーコート粒子は、乾燥後、必要量を計量し(図1のS2参照)、円筒形のモールド型内で同様に黒鉛粉末、粘結剤から成る黒鉛マトリックスに均一に分散されるようにオーバーコート粒子を装填し加圧成形してグリーンコンパクトを得る(図1のS3参照)。その後、このグリーンコンパクトを予備焼成して黒鉛マトリックス中の粘結剤を除去し(図1のS4参照)、最後に、これを焼成して燃料コンパクト10Cが得られる(図1のS5参照)。
【0019】
本発明の燃料コンパクト10Cは、図2に示すように、この燃料コンパクト(図2(A)参照)を構成する各オーバーコート粒子(図2(C)参照)12のオーバーコート層12Lに炭化ホウ素、ガドリニアの如き反応度調整用の可燃性毒物14を含有していることを特徴としている。なお図中符号16は、オーバーコート層12Lが施される被覆燃料粒子を示す。
【0020】
本発明の製造方法は、このように可燃性毒物14をオーバーコート層12Lに含有するために、図1に示すように、被覆燃料粒子16の上にオーバーコート層12Lを形成する際に、オーバーコート層12Lとなるべき黒鉛マトリックス中に反応度調整用の可燃性毒物を配合する(図1のS11参照)。
【0021】
その後、通常の加圧成形工程と同様にして、この可燃性毒物14が含有されたオーバーコート層12Lを有するオーバーコート粒子12を黒鉛マトリックスと共にモールド型内に装填し加圧成形してグリーンコンパクトを形成し、このグリーンコンパクトを予備焼成し、更に焼成して燃料コンパクト10Cを形成する。
【0022】
このように、可燃性毒物14が燃料コンパクト10Cを構成するオーバーコート粒子12のオーバーコート層12L内に含有されていると、可燃性毒物14は、燃料コンパクト10中に均一に分散されることになり、反応度の調整を均一に行うことができることが解る。
【0023】
オーバーコート粒子12のオーバーコート層12Lに含有される可燃性毒物14は、被覆燃料粒子16の第四層及び第三層を損傷することがないように、粉末又は球の如き角のない形態で配合するのが好ましい。此処で、球の形態とは、真球に限定されることがなく、真球以外の異形の球を含む。
【0024】
可燃性毒物14が球の形態である場合、その最大外径は、オーバーコート層12Lの厚さの2/3よりも小さいことが好ましい。このようにすると、可燃性毒物14が被覆燃料粒子16の被覆層に食い込むことがなく、被覆燃料粒子16の被覆層が損傷するのを有効に防止すると共に、可燃性毒物14の適切な分散性を保つことができる。
【0025】
上記実施の形態では、本発明を燃料コンパクトに適用したが、図2(B)に示すペブルベッド型燃料10Pにも同様にして本発明を適用することができ、このペブルベッド型燃料10Pも図2(C)に示す可燃性毒物14入りのオーバーコート粒子12から作られる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、燃料体を形成するオーバーコート粒子のオーバーコート層に可燃性毒物が配合されているので、可燃性毒物を燃料体内に均一に分散させることができるので、反応度の調整を均一に行うことができ、産業上の利用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の高温ガス炉用燃料体の製造方法の工程図である。
【図2】本発明の燃料体と燃料体を構成するオーバーコート粒子とを示し、同図(A)は、中空燃料コンパクトの断面図、同図(B)は、ペブルベッド型燃料の断面図、同図(C)は、図2(A)の燃料コンパクトや図2(B)のペブルベッド型燃料を製造するのに用いられるオーバーコート粒子の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10C 燃料コンパクト
10P ペブルベッド型燃料
12 オーバーコート粒子
12L オーバーコート層
14 可燃性毒物
16 被覆燃料粒子






















 

 


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