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発明の名称 ガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子およびその製造方法、並びに高温ガス炉燃料用の燃料核、高温ガス炉用の被覆粒子および高温ガス炉用燃料。
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−121128(P2007−121128A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−314163(P2005−314163)
出願日 平成17年10月28日(2005.10.28)
代理人 【識別番号】100087594
【弁理士】
【氏名又は名称】福村 直樹
発明者 高橋 昌史
要約 課題
高温ガス炉の炉心の燃焼効率を上げ、寿命を延ばすため、燃焼中の中性子密度を調整した高温ガス炉用の燃料およびその原材料となる重ウラン酸アンモニウム粒子、燃料核、被覆粒子の提供、並びに重ウラン酸アンモニウム粒子の製造方法の提供。

解決手段
ガドリニウムが粒子中に均一に分散された高温ガス炉燃料用のガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子、これを焼成して得られるガドリニウム含有二酸化ウラン粒子である燃料核、この燃料核を熱分解炭素層、炭化珪素層等で被覆した高温ガス炉燃料用の被覆粒子、およびこの被覆粒子を黒鉛マトリックス材でオーバーコートした後成形加工した高温ガス炉用燃料、並びに硝酸ウラニルおよび硝酸ガドリニウムの均一混合溶液液滴をアンモニア水中に滴下してガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子を得るガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子の製造方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
ガドリニウムが粒子中に均一に分散された高温ガス炉燃料用のガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子。
【請求項2】
請求項1に記載したガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子を熱処理して得られるガドリニウム含有二酸化ウラン粒子である高温ガス炉燃料用の燃料核。
【請求項3】
請求項2に記載した燃料核を熱分解炭素層、および炭化珪素層で被覆した高温ガス炉燃料用の被覆粒子。
【請求項4】
請求項3に記載した被覆粒子を黒鉛マトリックス材でオーバーコートした後、成形加工および熱処理して得られる高温ガス炉用燃料コンパクト、または高温ガス炉用ペブル球。
【請求項5】
硝酸ウラニルおよび硝酸ガドリニウムの均一混合溶液をアンモニア水中に滴下してガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子を生成する請求項1に記載のガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温ガス炉燃料用に好適なガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子およびその製造方法、並びに高温ガス炉燃料用の燃料核、高温ガス炉用の被覆粒子および高温ガス炉用燃料に関し、詳しくはウランとガドリニウムとが均一に混合された高温ガス炉燃料用のガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子、高温ガス炉用の燃料核、高温ガス炉用の被覆粒子、および燃料コンパクト、ペブル球等の高温ガス炉用燃料、並びにガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、高温ガス炉用ウラン燃料は、硝酸ウラニル溶液から、ウラン成分を重ウラン酸アンモニウム粒子として取り出し、これを焙焼して三酸化ウラン粒子とし、さらに焙焼還元して二酸化ウラン粒子(燃料核という。)を作る。この燃料核を熱分解性炭素層、炭化珪素層等で被覆して被覆燃料粒子とし、これから燃料コンパクトやペブル球を製造している。
高温ガス炉用燃料は、通常は以下のような工程を経て製造される。まず、酸化ウラン等の粉末を硝酸に溶かし、純水及び粘度調節用増粘剤等を添加して硝酸ウラニル溶液を作る。この硝酸ウラニル溶液を細径の滴下ノズルを用いてアンモニア水溶液中に滴下する。液滴はアンモニア水溶液表面に達するまでの間に、アンモニアガスを吹きかけられ、液滴表面がゲル化し硬化して、アンモニア水溶液表面への衝突時に衝撃による変形が防止される。アンモニア水溶液中で硝酸ウラニル液滴はアンモニアと十分に反応し、固化した後、洗浄、乾燥され重ウラン酸アンモニウム(ADUともいう。)粒子となる。ここでは均質で真球度の高い球状ADU粒子が求められる。真球度の高いADU粒子の製造方法は種々検討されており、例えば、特許文献1には、硝酸ウラニル溶液から数10〜1,000μm径の真球度の高い球状ADU粒子の製造方法が開示されている。
このADU粒子は、大気中で焙焼され、さらに還元及び焼結されることにより、高密度の二酸化ウラン粒子(燃料核)となる。この燃料核(直径350〜650μm)を炭素源となる炭化水素ガス等の熱分解装置中に導入して被覆層を形成し被覆燃料粒子とする。被覆層は、低密度熱分解炭素層、高密度熱分解炭素層、SiC層又はZrC層、および高密度熱分解炭素層の順に形成される。一般的な高温ガス炉用の燃料である燃料コンパクトやペブル球は、上述の被覆燃料粒子を黒鉛粉末、粘結剤等のマトリックス材とともに、中空円筒形状、中実円筒形状または略球状(タドン状)に成型し熱処理して得られる。
上述の燃料コンパクトは黒鉛スリーブに入れられ、減速材を兼ねる黒鉛ブロック中に適当な間隔で装着され、この黒鉛ブロックの集合体が高温ガス炉用の炉心を構成している。そして、この炉心の反応度制御のため、ホウ素化合物などの可燃性毒物を黒鉛ブロックの所々に配置して中性子を吸収させる設計となっている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−219195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような可燃性毒物(中性子吸収材)の配置方法では、高温ガス炉運転中、黒鉛ブロック全体としての中性子密度は調整できるが、例えば燃料コンパクト一つひとつの単位で見ると、可燃性毒物の近傍とそうでない部分とで中性子密度のむらができてしまう。そのため、原子炉の運転に伴い、比較的早期に燃焼して寿命が尽きる燃料と未燃焼でまだ十分寿命が残っている燃料とが並存することになる。しかし、全体の燃焼度が一定値を超えれば、原子炉を停止して炉心の交換をしなければならない。燃料の燃焼度が不均一であれば、燃料の使用効率は悪くなり出力が低下したり、燃料の寿命も短くなったりする。本発明は、高温ガス炉の燃料の均一な燃焼を実現し、結果として燃焼効率を上げ、寿命を延ばすことのできるガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子およびその製造方法、並びに高温ガス炉燃料用の燃料核、高温ガス炉用の被覆粒子および高温ガス炉用燃料の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、燃料製造段階で原材料中のウラン化合物中に可燃性毒物であるガドリニウムを均一混合しておくことにより、均一に燃焼制御できる燃料を作製する方法を見出して以下の手段からなる発明をした。
(1)ガドリニウムが粒子中に均一に分散された高温ガス炉燃料用のガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子。
(2)上記ガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子を熱処理して得られるガドリニウム含有二酸化ウラン粒子である高温ガス炉燃料用の燃料核。
(3)上記燃料核を熱分解炭素層、および炭化珪素層等で被覆した高温ガス炉燃料用の被覆粒子。
(4)上記被覆粒子を黒鉛マトリックス材でオーバーコートした後、成形加工および熱処理して得られる高温ガス炉用燃料コンパクト、または高温ガス炉用ペブル球。
(5)硝酸ウラニルおよび硝酸ガドリニウムの均一混合溶液をアンモニア水中に滴下してガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子を生成する、(1)に記載のガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、可燃性毒物であるガドリニウムが粒子中に均一に分散された、ガドリニウム含有二酸化ウラン粒子の燃料核から製造された燃料コンパクト及びペブル球等の高温ガス炉用燃料が得られる。このような高温ガス炉用燃料を用いて高温ガス炉の炉心設計をすれば、容易に高温ガス炉用燃料全体における均一な燃焼が実現でき、高温ガス炉用燃料の効率的利用、原子炉の安定した操業、燃料の長寿命化などが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子(以後、「重ウラン酸アンモニウム粒子」を「ADU粒子」と略称することがある。また、「重ウラン酸アンモニウム」を「ADU」ともいう。)は粒子中にガドリニウムを均一に分散している。これはガドリニウム化合物とウラン化合物とを均一に含む均一溶液の液滴からガドリニウム含有ADU粒子を形成させることにより実現している。さらに、このガドリニウム含有ADU粒子を焙焼、還元焼結してガドリニウム含有二酸化ウランセラミックスの燃料核を得、この燃料核に熱分解炭素層、炭化珪素層等を被覆して被覆粒子とする。被覆粒子はマトリックスとなる黒鉛等と混合して黒鉛等をオーバーコートした後、成形加工および熱処理を施して、燃料核中にガドリニウムを均一に分散した高温ガス炉用燃料である燃料コンパクトまたはペブル球となる。このような高温ガス炉用燃料はウラン中にガドリニウムが均一に分散しているので、高温ガス炉運転中それぞれの燃料核あるいは燃料核中のウランは均一に核分裂反応により燃焼することができる。
【0008】
以下に、高温ガス炉用燃料の製造工程に従って、各粒子および燃料の製造方法を説明する。
(ガドリニウムを含有したADU粒子の製造)
本発明のガドリニウムを含有するADU粒子は、従来のガドリニウムを含まないADU粒子同様、回分式製造方法でも連続式製造方法でも製造できる。回分式製造方法は臨界安全管理上容易であり、連続製造方法は大量生産に適しているが臨界安全管理に特に留意する必要がある。これらの製造工程は、従来のガドリニウムを含有しないADU粒子の製造工程と基本的な構成に変更はないが、最初の硝酸ウラニル溶液調製段階で、ガドリニウム化合物を加え硝酸ガドリニウム含有硝酸ウラニル溶液とすることで、本発明のガドリニウムを含有するADU粒子等が得られる。
【0009】
詳述すると、最初の工程はガドリニウム含有硝酸ウラニル溶液を調製して、これをアンモニアと反応させてガドリニウムを均一に含有した固体粒子であるガドリニウム含有ADU粒子を生成させる工程である。ガドリニウム含有硝酸ウラニル溶液の調製においては酸化ウランおよびガドリニウム原料を硝酸に溶解し、純水、および増粘剤等を加えて混合し均一溶液としながら、硝酸ウラニル濃度、硝酸ガドリニウム濃度および溶液粘度を調節する。酸化ウランは、すでに核燃料用に放射性同位元素が濃縮された二酸化ウラン、三酸化ウランまたは八酸化三ウラン等、好ましくは八酸化三ウランを用いればよい。ガドリニウム原料はガドリニアまたは硝酸ガドリニウム等入手し易く硝酸に溶解し易いものを用いればよい。溶解時には硝酸溶液を加温して攪拌すれば容易に溶解する。硝酸ウラニル溶液のウラン濃度は、通常1.5〜2.5molU/Lとすることが望ましい。濃度が高すぎると溶解残渣が発生し、濃度が低すぎると真球度の高い、高密度のADU粒子の生成が難しくなる。ガドリニウムの濃度は炉心設計から要求されるウランに対するガドリニウムの質量比率から計算される濃度とすればよい。通常はウランに対し質量比で10%以下、好ましくは0.5〜5%とすることが多い。
【0010】
ガドリニウム含有硝酸ウラニル溶液の粘度は、後述のようにアンモニア水溶液へ滴下する際のガドリニウム含有硝酸ウラニル溶液液滴の大きさ、真球度、アンモニア水溶液上への落下、衝突時の耐変形性に大きく作用する。ただし、ガドリニウム含有硝酸ウラニル溶液の粘度は硝酸ウラニルの濃度や温度により変化するので、実際の液滴形成条件での粘度が適正に制御される。ガドリニウム含有硝酸ウラニル溶液液滴形成および初期の硝酸ウラニル溶液液滴のガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム化反応を室温〜50℃で行う場合に、ガドリニウム含有硝酸ウラニル溶液の粘度は、液滴形成時の温度で0.1〜100mPa・s、特に40〜90mPa・sが好ましい。粘度調節用の増粘剤としては、水溶性ポリマー等を用いるとよい。例えばポリビニルアルコール(以下、PVAと略する。)、ポリアクリル酸ナトリウム及びポリエチレンオキシド等の合成ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、及びエチルセルロース等のセルロース系ポリマー、可溶性でんぷん、及びカルボキシメチルでんぷん等のでんぷん系ポリマー、デキストリン、及びガラクタン等の水溶性天然高分子等を挙げることができる。これらの中でも、合成ポリマーが好ましく、特にPVAが好ましい。これら各種の水溶性ポリマーは、その一種を単独で使用しても、二種以上を併用しても良い。このように増粘剤等を添加したガドリニウム含有硝酸ウラニル溶液(以下、「増粘剤等を添加したガドリニウム含有硝酸ウラニル溶液」を「硝酸ウラニル溶液」と省略することがある。)は、ガドリニウム含有ADU粒子製造の原料溶液となる。
【0011】
具体的な製造例として、回分式反応装置を図1に示したが、これを参照しながら説明する。硝酸ウラニル溶液は硝酸ウラニル溶液滴下装置1に導入される。通常、硝酸ウラニル溶液滴下装置1には、下部に向かって開口する細いノズルを設けた容器が用いられる。均一な大きさの液滴を形成して落下させるには、ノズルに均一な周波数の微振動を与えて液滴を落下させてやるとよい。所望の液滴径にするには、硝酸ウラニル溶液の粘度、ノズルの形状、振動の周波数などを制御してやればよい。液滴径は、生成するADU粒子の直径に直接に影響する。なお、大量生産時は硝酸ウラニル溶液滴下装置1には、複数のノズルが配置される。ノズルが複数の場合、特にその先端形状および振動状態を揃え、同じ形状の液滴が形成されるようにすることが望ましい。
【0012】
硝酸ウラニルの液滴2はまずアンモニアガス層4中に滴下され、アンモニアガス層4中を落下しながら液滴表面の一部がアンモニアガスと反応しゲル化して、液滴表面にゲル状物質の被膜が形成される。硝酸ウラニルがADU化する反応は下式で表される。共存するガドリニウムの一部にも類似の反応が起こっているものと推測される。
【0013】
【化1】


【0014】
表面がゲル化して固化した硝酸ウラニル溶液液滴2は反応槽3のアンモニア水溶液層5中に落下する。硝酸ウラニル溶液液滴2はアンモニア水溶液表面上への落下の衝撃による破壊や変形がない程度に表面がゲル化し固化していることが望ましい。落下した硝酸ウラニル溶液液滴2はさらにアンモニア水溶液層5中のアンモニアと反応しながらアンモニア水溶液層5中を沈下し、そのままの形状で内部までゲル化が進んでいく。アンモニア水溶液中での反応温度は10〜30℃が、生成した固体粒子7のアンモニア水溶液中での滞留時間は20〜120分が、アンモニア水溶液のアンモニア濃度は20〜35重量%が望ましい。表面からゲル化が進んできた硝酸ウラニル溶液液滴はアンモニア水溶液中でさらにウランおよびガドリニウムのアンモニアとの反応が進み、ガドリニウム含有ADUの固体粒子7となる。なお、アンモニア水溶液中のアンモニアの含有量は反応に伴って減少していくので、アンモニア濃度を維持するためアンモニアガスの吹き込み、又は新鮮なアンモニア水溶液の添加等を行うことが望ましい。この際、反応槽3の設計、使用にあたっては硝酸ウラニル溶液液滴2および反応が不十分なガドリニウム含有ADU粒子7が反応槽3中の一部に偏在したり、部分的に高密度状態になったりしないようにする。十分に反応固化していないガドリニウム含有ADU粒子がアンモニア水溶液中で堆積すると変形して球状でなくなる恐れがある。通常は円柱形、楕円柱形、直方体などの形状の反応容器とし、粒子を自然落下させたり、場合によってはアンモニア水溶液層5を流動状態に保って反応させればよい。また、粒子等が滞留しやすい箇所に循環流路を作り、アンモニア水の一部を循環させて滞留防止する方法もある。生成した少なくとも表面がゲル化して固化したガドリニウム含有ADU粒子は固体粒子7としてアンモニア水溶液層5の下部に落下してくる。
【0015】
落下してきた固体粒子7は一定量堆積したら固体粒子排出口8から排出し、アンモニア水溶液と分離する。固体粒子の変形、臨界安全管理等の配慮がなされる限り、アンモニア水溶液と固体粒子との固液分離は通常用いられるどのような方法でもよい。好適な方法としては、デカンテーション、メッシュ等のフィルターによる分離が挙げられる。連続法としては、回転ドラム式フィルター、液体サイクロンなどが挙げられる。固体粒子排出口8の下にフィルターを斜めに設置して液体をろ過しながら固体粒子を分離する構造の連続操作可能なフィルターでもよい。固液分離は、次の工程で熟成、及び洗浄等をするので、完全でなくとも十分である。分離された液体は、再度元のアンモニア水溶液層5に導き循環使用すればよい。場合によっては、固体粒子とアンモニア水を分離しないで、このアンモニア水を後述の熟成用アンモニア水として使用することも出来る。
【0016】
次に、得られた固体粒子7を熟成、洗浄工程に移送する。このようにして固液分離した固体粒子7は、ガドリニウム含有ADU化反応が不十分な場合は、さらにアンモニアと反応させて完全なガドリニウム含有ADU粒子とするための熟成槽を設け熟成することが望ましい。固体粒子のガドリニウム含有ADU化反応を十分に進行させておくと、後にガドリニウム含有二酸化ウラン焼結体である燃料核を製造した場合に緻密で高品質の燃料核が得られる。熟成は固体粒子を第二のアンモニア水溶液槽である熟成槽に移送してアンモニア水の循環、攪拌等により固体粒子を懸濁状態としてガドリニウム含有ADU化反応を進める。この場合、反応温度は30〜100℃、好ましくは40〜90℃が望ましい。また、固体粒子の熟成時間は10〜180分、好ましくは20〜120分が望ましい。熟成槽のアンモニア水溶液のアンモニア濃度は5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%が望ましい。熟成工程においても上述と同様固体粒子の偏在を防ぐことが望ましい。完全にガドリニウム含有ADU粒子として固化した固体粒子は上記同様の分離工程に移送し固体粒子をアンモニア水溶液から分離する。
【0017】
固液分離した粗固体粒子は洗浄乾燥工程に導かれる。洗浄工程は、通常、純水洗浄槽と有機溶媒洗浄槽とを持つ。純水洗浄槽では粗固体粒子に含まれるアンモニア、未反応硝酸ウラニル、硝酸ガドリニウム、及び増粘剤などを除去する。洗浄条件としては、洗浄温度は5〜120℃、好ましくは10〜100℃、固体粒子の洗浄時間は10〜240分、好ましくは20〜200分が望ましい。有機溶媒洗浄槽では粗固体粒子に含まれる水分、及び残留増粘剤などの有機物等を除去する。有機溶媒としては揮発乃至蒸発し易いエタノール、メタノール、アセトンのような低沸点の水溶性溶媒や揮発性炭化水素溶媒、エーテル類を用いればよい。有機溶媒で固体粒子を洗浄する際の洗浄温度は5〜100℃好ましくは10〜80℃が望ましい。また、固体粒子の洗浄時間は10〜240分、好ましくは20〜200分が望ましい。洗浄後の固液分離は上述の固液分離と同様にすればよい。なお、有機溶媒洗浄槽での洗浄は省略してもよい。
【0018】
洗浄が終わった固体粒子は乾燥工程に移送される。乾燥工程ではどのような方法で乾燥してもよい。温風乾燥、加熱乾燥、流動床式乾燥または自然乾燥でも問題はないが、搬送手段、例えばベルトコンベアー上で温風乾燥をすればよい。臨界安全管理、及び放射線防護管理等の点から制御の容易なこれらの方法が好ましい。乾燥工程においては、あまり急激に固体粒子を加熱すると固体粒子が破損したり、変形したりすることがあるので注意をする。乾燥は100℃以下で行うことが好ましい。このようにしてガドリニウム含有ADU粒子が得られる。なお、熟成から乾燥までの工程はひとつの槽で順次実施することも出来る。
また、図1に示すADU粒子製造装置は、この発明に係るガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子を製造する一例であり、図1に示す以外の通常知られている各種の回分式、連続式のADU粒子製造装置がこの発明におけるADU粒子製造装置とすることができる。
【0019】
(ガドリニウム含有燃料核および被覆粒子の製造)
上記のようにして得られたガドリニウム含有ADU粒子は、500〜650℃で焙焼され三酸化ウランなどの酸化物粒子となる。これを還元雰囲気下で1500℃以上で焼結して酸化ガドリニウムを均一に含む二酸化ウラン粒子とする。必要に応じてこの粒子を分級、選別すると、粒度および粒子形状の整ったガドリニウム含有ADU粒子が得られ、これが燃料核として好適に利用される。通常、この燃料核は、直径約350〜650μmの微小粒子であることが好ましい。
被覆粒子は燃料核を熱分解炭素層、炭化珪素層等で被覆したものである。通常は、燃料核表面に4層の被覆層を有し、燃料核表面側から、第一層は低密度熱分解炭素層、第二層は高密度熱分解炭素層、第三層は炭化珪素層、及び第四層は高密度熱分解炭素層で構成されており、粒径は約500〜1000μmである。第一層は、密度が約1g/cmの低密度熱分解炭素からなり、ガス状の核分裂生成物(以下、「FP」と略す場合がある。)のガス溜めとしての機能及び燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能を有する。第二層は、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素からなり、ガス状FPを保持する機能を有する。第三層は、密度が約3.2g/cmの炭化珪素(以下、「SiC」と略す場合がある。)からなり、固体FPを保持する機能を有し、被覆層の主要な強度保持材である。第四層は、第二層と同様に、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素からなり、ガス状FPを保持する機能を有するとともに、第三層の保護層としての機能を有する。被覆粒子の製造方法は、例えば、燃料核を流動層反応器にて高温で流動させておき、被覆層を形成するための炭素源ガスを流動層中に導入してこれを熱分解し、燃料核の粒子表面に熱分解炭素の被覆層を形成する。例えば、第一層の低密度熱分解炭素による被覆の場合は、約1300℃でアセチレンを導入して熱分解する。また、第二層、第四層の高密度熱分解炭素による被覆の場合は、約1400℃でプロピレンを導入して熱分解する。さらに、第三層がSiCによる被覆層である場合は、約1500℃でメチルトリクロロシランを導入して熱分解する。これらの被覆層形成反応は同じ流動層反応器でそれぞれの粒子に各層の形成を連続して行うことができるし、各粒子に別々の流動層で一層づつ被覆層を形成することもできる。このようにして本発明の被覆粒子が得られる。
【0020】
(高温ガス炉用燃料の製造)
被覆粒子は、射出成形法またはオーバーコートプレスで成形して、燃料コンパクトやペブル球と呼ばれる高温ガス炉用燃料とする。射出成形法は、被覆粒子を黒鉛粉末、及びピッチやフェノール樹脂をはじめとする脂熱硬化性樹脂などのバインダーとからなる黒鉛マトリックス材と混合してオーバーコートし、射出成形機により成形した後、1000℃以上に加熱してバインダーを炭化させる。これにより、被覆粒子充填率の比較的高い燃料コンパクトが製造できる。オーバーコートプレスは、被覆粒子を黒鉛粉末、及びフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂のバインダーと混合し、150℃前後で一次プレスして成形してから、さらに加熱してバインダーを硬化させる。この成形体の表面を再度黒鉛粉末で被覆し、モールド内に装填して2次プレスし、外表面に外郭(シェル)を形成する。これを1000℃以上で熱処理して高温ガス炉用燃料とする。直径、高さが約20〜50mmの円筒形または円柱形に成形したものが燃料コンパクトと呼ばれ、およそ30〜50mmの略球形にしたものがペブル球と呼ばれていて、これらは本発明の高温ガス炉用の燃料として使用される。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の高温ガス炉燃料用のガドリニウム含有重ウラン酸アンモニウム粒子、燃料核、および燃料コンパクトまたはペブル球は高温ガス炉用の新規な燃料として、高温ガス炉の設計、運転の自由度を増し、経済的で安全性の高い高温ガス炉用燃料として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明のガドリニウム含有ADU粒子製造の反応槽の一例を示す。
【符号の説明】
【0023】
1:硝酸ウラニル溶液滴下装置、 2:硝酸ウラニル溶液液滴、 3:反応槽、 4:アンモニアガス層、 5:アンモニア水溶液層、 6:アンモニアガス供給口、 7:固体粒子(ガドリニウム含有ADU粒子)、 8:固体粒子排出口




 

 


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