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発明の名称 高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−120952(P2007−120952A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−309299(P2005−309299)
出願日 平成17年10月25日(2005.10.25)
代理人 【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
発明者 本田 真樹
要約 課題
従来よりノズル交換作業を短時間で簡便に行うことができ、燃料核の被覆層形成工程全体が高効率となる、また各被覆原料ガスに応じてノズル形状を最適化することを可能とし、被覆燃料粒子の品質向上を図れる高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置の提供。

解決手段
高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置において、ガス噴出ノズル装置が予め定められた第1の位置にて反応容器本体と着脱可能に一体化して容器底部を構成すると共にその底部を貫通して被覆原料ガスを反応容器内に供給するためのノズル孔が形成された第1の底部を備え、第1の底部を第1と着脱交換のための第2の位置間で選択的に移動させる駆動機構と、反応容器とガス噴出ノズル装置を第1の底部の移動領域を含めて密閉状態で囲み、第2の位置で第1の底部を出入れするノズル入出蓋を有すると共にガス供給配管が第1の底部のノズル孔へ閉鎖系で連結可能に配置されている密閉容器と、を備えた。
特許請求の範囲
【請求項1】
二酸化ウラン燃料核を収容した反応容器内にガス噴出ノズル装置から被覆原料ガスを噴出供給してその噴流で燃料核を流動させながら加熱することにより被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核の表面を被覆原料分子の蒸着層で被覆する高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置において、
前記ガス噴出ノズル装置は、予め定められた第1の位置にて反応容器本体と着脱可能に一体化して容器底部を構成すると共に、その底部を貫通して被覆原料ガスを反応容器内に供給するためのノズル孔が形成された第1の底部を備え、
前記第1の底部を、前記第1の位置と、前記反応容器本体から離反した着脱交換のための第2の位置との間で選択的に移動させる駆動機構と、
前記反応容器と、前記ガス噴出ノズル装置を前記第1の底部の第1と第2の位置の間の移動領域を含めて密閉状態で囲む密閉容器と、を備え、
この密閉容器は、前記第2の位置にある第1の底部を出し入れするために密閉可能に開閉するノズル入出蓋を有すると共に、被覆原料ガス供給源からのガス供給配管が前記第1と第2の位置との間を移動する第1の底部のノズル孔へ閉鎖系で連結可能に配置されていることを特徴とする高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置。
【請求項2】
前記ガス噴射ノズル装置は、前記第1の底部が着脱交換のための第2の位置に移動した時に、前記第1の位置に移動して反応容器本体と一体化して反応容器を閉鎖する第2の底部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記第1と第2の底部が載置される移動プレートと、この移動プレートを冷却するための冷却手段とを備え、第1の底部の第1と第2の位置との間の移動を前記移動プレートの移動により行うことを特徴とする請求項2に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置。
【請求項4】
前記反応容器本体と前記ガス噴出ノズル装置とが、同一の密閉容器内で略鉛直方向に複数段連続して設けられ、
各段の反応容器本体上部に、予め定められた第1の位置にて反応容器本体と着脱可能に一体化して、上段側のガス噴出ノズル装置と連通する開口部材と、
該開口部材を第1の位置と反応容器本体から離反した着脱交換のための第2の位置との間で選択的に移動させる駆動機構と、
前記開口部材が前記第2の位置に移動した時に前記第1の位置に移動して反応容器本体上部と一体化して反応容器の天井部を構成すると共に排気配管に連通させる天井部材と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置。
【請求項5】
前記上段側のガス噴出ノズル装置の第1の底部が着脱効果のための第2の位置に移動した時に第1の位置に移動して反応容器と一体化する第2の底部は、被覆原料ガス供給源からのガス供給配管に連結されて被覆原料ガスを反応容器内に供給するためのノズル孔が底部貫通状態で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高温ガス炉の装荷燃料を構成する被覆燃料粒子製造のための製造装置に関するものであり、詳しくは流動床からなる反応容器内に被覆原料ガスを供給するためのノズルの交換機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を熱容量が大きく高温健全性の良好な黒鉛で形成し、ヘリウム等の高温下でも化学的反応の起こらないガス冷却材を用いることにより、固有の安全性が高く、高い出口温度のヘリウムガスを取り出すことの可能な原子炉であり、得られる約900℃の高温熱は、発電はもちろんのこと水素製造や化学プラント等幅広い分野での熱利用を可能にするものである。
【0003】
このような高温ガス炉の燃料は、通常、ウランを含む溶液を出発原料として製造した二酸化ウランをセラミックス状に焼結した直径約350〜650μmの燃料核を基本構造とし、この燃料核の外表面に複数の被覆層を形成してなる被覆燃料粒子を用いたものである。
【0004】
高温ガス炉で一般的な被覆燃料粒子は、例えば、第1被覆層として密度約1g/cmの低密度熱分解炭素層を形成し、第2被覆層として密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素層を形成し、さらに第3被覆層として密度約3.2g/cm炭化珪素(SiC)層を、また第4被覆層として密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素層を形成した計4層の被覆を施されたものが挙げられる。
【0005】
第1被覆層は、ガス状の核分裂生成物のガス留めとしての機能及び燃料核の変形を吸収する緩衝部としての機能を併せ持つものである。また第2被覆層はガス状核分裂生成物の保持機能を有し、第3被覆層は固体状核分裂生成物の保持機能を有すると共に、被覆層の主要な強度部材である。第4被覆層は、第2被覆層と同様のガス状核分裂生成物の保持機能と共に第3被覆層の保護層としての機能も持っている。
【0006】
上記のような被覆燃料粒子の一般的なものは直径約500〜1000μmである。被覆燃料粒子は黒鉛母材中に分散させ一定形状の燃料コンパクトの形に成型加工され、さらに黒鉛でできた筒にコンパクトを一定数量入れ、上下に栓をした燃料棒の形にされる。最終的に燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に入れられ、この六角柱型黒鉛ブロックを多数個、ハニカム配列に複数段重ねて炉心を構成している。
【0007】
一般的な被覆燃料粒子となる被覆前の燃料核は次のような工程で製造されており、大量形成が可能な方法として振動滴下によるゲル状の粒子を得る外部ゲル化法が多く用いられている。具体的には、まず酸化ウランの粉末を硝酸に溶かし硝酸ウラニル原液とし、この硝酸ウラニル原液に純水、添加剤を加え撹拌することにより滴下原液とする。添加剤は、滴下された硝酸ウラニルの液滴が落下中に自身の表面張力により真球状になるようにする増粘剤であると同時にアンモニウムとの接触により原液をゲル化せしめるために添加されるものであり、例えばポリビニルアルコール樹脂、アルカリ条件下でゲル化する性質を持つ樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズなどを挙げることができる。
【0008】
以上のように調製された滴下原液は所定の温度に冷却され粘度を調整した後、細径の滴下ノズルを振動させることによりアンモニア水溶液中に滴下される。アンモニア水溶液中へ液滴となって入った原液は、硝酸ウラニルがアンモニアと十分に反応させられると同時に前記添加剤がゲル化され、重ウラン酸アンモニウム(ADU)を含むゲル状の粒子となる。得られたADUゲル粒子は、大気中で焙焼され、水分および添加剤が除去されて三酸化ウラン粒子となり、さらに還元・焼結されることにより高密度のセラミックス状二酸化ウランからなる球状の燃料核となる。
【0009】
燃料核の粒径や真球度は被覆燃料粒子の製造条件に大きく影響することから、燃料核は篩による粒径選抜及び真球度選別を行った上で被覆工程に供される。この燃料核を用いた被覆燃料粒子の製造工程としては、燃料核を流動床の反応容器内に投入し、その燃料核を流動させるための流動ガスとしても機能する被覆層の原料ガスをガス導入管を介して反応容器底部まで送り、該底部に開口するガス噴出ノズルから反応容器内上方へ噴出させ、ここで熱分解させることにより被覆を施す方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
例えば、第1被覆層の低密度炭素層の場合は約1400℃でアセチレン(C)を熱分解して被覆を施し、第2および第4被覆層の高密度熱分解炭素層の場合は約1400℃でプロピレン(C)を熱分解して行う。第3被覆層のSiC層の場合は約1600℃でメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を熱分解して被覆する。
【0011】
このようにして得られた被覆燃料粒子も、その粒径や真球度が次のオーバーコート粒子製造条件に大きく影響することから、被覆燃料粒子は篩による粒径選別及び真球度選別を行った上でオーバーコート工程に供される。すなわち、被覆燃料粒子の表面に、黒鉛粉末、粘結剤等からなる黒鉛マトリックス材をコーティングしてオーバーコート粒子を得る。さらに、これらオーバーコート粒子を、篩による粒径選別、真球度選別を行った上で、黒鉛粉末、粘結剤等からなる黒鉛マトリックス材とともに中空円筒形または円筒形にプレス成型またはモールド成型した後、焼成して燃料コンパクトが得られる。
【0012】
【特許文献1】特開平5−273374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のような被覆燃料粒子の製造において使用する流動床の底部には、各種被覆原料ガスを流動床内に噴出供給するための噴射孔を備えたノズルが配置されている。このノズルは、高温にさらされ続け、流動床での使用時間に伴って劣化していくため、一定期間毎に交換する必要がある。
【0014】
従来、ノズル交換を行う際には、まず、流動床温度を室温程度まで下げた後、ノズル近傍の断熱材などの構造物を撤去してから固定ネジなどによる固定機構を解除してノズルを取り除くなどの煩雑な作業が必要であったため、ノズル交換作業は、被覆燃料粒子の製造工程の効率低下を招く要因となっていた。
【0015】
また、このノズル交換は、高温状態で空気にさらすことなく行うことが不可能であるため、各被覆原料ガスに応じたノズル形状を最適化することが困難であった。さらに、各被覆層の被覆温度、時間、流動ガスはぞれぞれ異なるが、従来はバッチ処理であるために前の被覆工程が完了した後に次の被覆工程の温度となるまで待つ必要があり、各被覆層の形成を同一のノズルを用いて行っていることから、流動ガス系統を統一する必要があり、流動ガス成分の混合の問題があった。
【0016】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ノズル交換作業を短時間で簡便に行うことができ、燃料核の被覆層形成工程全体が高効率となる高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置を提供することにある。また本発明は、各被覆原料ガスに応じてノズル形状を最適化することを可能とし、被覆燃料粒子の品質向上を図れる高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置は、二酸化ウラン燃料核を収容した反応容器内にガス噴出ノズル装置から被覆原料ガスを噴出供給してその噴流で燃料核を流動させながら加熱することにより被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核の表面を被覆原料分子の蒸着層で被覆する高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置において、前記ガス噴出ノズル装置は、予め定められた第1の位置にて反応容器本体と着脱可能に一体化して容器底部を構成すると共に、その底部を貫通して被覆原料ガスを反応容器内に供給するためのノズル孔が形成された第1の底部を備え、前記第1の底部を、前記第1の位置と、前記反応容器本体から離反した着脱交換のための第2の位置との間で選択的に移動させる駆動機構と、前記反応容器と、前記ガス噴出ノズル装置を前記第1の底部の第1と第2の位置の間の移動領域を含めて密閉状態で囲む密閉容器と、を備え、この密閉容器は、前記第2の位置にある第1の底部を出し入れするために密閉可能に開閉するノズル入出蓋を有すると共に、被覆原料ガス供給源からのガス供給配管が前記第1と第2の位置との間を移動する第1の底部のノズル孔へ閉鎖系で連結可能に配置されているものである。
【0018】
また、請求項2に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置は、請求項1に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置において、前記ガス噴射ノズル装置は、前記第1の底部が着脱交換のための第2の位置に移動した時に、前記第1の位置に移動して反応容器本体と一体化して反応容器を閉鎖する第2の底部を備えているものである。
【0019】
請求項3に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置は、請求項2に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置において、前記駆動機構は、前記第1と第2の底部が載置される移動プレートと、この移動プレートを冷却するための冷却手段とを備え、第1の底部の第1と第2の位置との間の移動を前記移動プレートの移動により行うものである。
【0020】
また、請求項4に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置は、請求項1に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置において、前記反応容器本体と前記ガス噴出ノズル装置とが、同一の密閉容器内で略鉛直方向に複数段連続して設けられ、各段の反応容器本体上部に、予め定められた第1の位置にて反応容器本体と着脱可能に一体化して、上段側のガス噴出ノズル装置と連通する開口部材と、該開口部材を第1の位置と反応容器本体から離反した着脱交換のための第2の位置との間で選択的に移動させる駆動機構と、前記開口部材が前記第2の位置に移動した時に前記第1の位置に移動して反応容器本体上部と一体化して反応容器の天井部を構成すると共に排気配管に連通させる天井部材と、を備えているものである。
【0021】
さらに、請求項5に記載の発明に係る高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置は、請求項4に記載の高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置において、前記上段側のガス噴出ノズル装置の第1の底部が着脱効果のための第2の位置に移動した時に第1の位置に移動して反応容器と一体化する第2の底部は、被覆原料ガス供給源からのガス供給配管に連結されて被覆原料ガスを反応容器内に供給するためのノズル孔が底部貫通状態で形成されているものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置のガス噴出ノズル装置にて、被覆原料ガスを供給するためのノズル孔が形成された第1の底部を、駆動機構で反応容器本体と着脱可能に一体化して容器底部を構成する第1の位置と反応容器本体から離反した着脱交換のための第2の位置との間で選択的に移動させることができ、しかもこの第1の底部の移動を、反応容器やガス噴出ノズル装置を密閉状態で囲む密閉容器内で行い、この第1の底部の交換を反応容器本体から離れた位置で行うものであるため、実質的に反応容器内の温度を下げることなくノズル交換を行うことができ、ノズル交換作業が短時間で簡便に済むため、燃料核の被覆層形成工程全体が高効率となるという効果がある。
【0023】
また、このようなガス噴出ノズル装置及び反応容器本体を、同一の密閉容器内で鉛直方向に複数段連続して設け、各段の反応容器本体上部に、上段側ガス噴出ノズル装置と連通する開口部材を移動可能に配置することによって、各段の第1の底部および開口部材の位置移動を適宜切り換えれば、例えば1段目のガス噴出ノズル装置で第1被覆層の形成を行い、2段目のガス噴出ノズル装置で第2被覆層の形成を行うというように、被覆工程毎に反応領域を別に切り換えることができ、各段を目的の被覆工程の条件に固定し、また必要に応じて各被覆原料ガス毎に最適化されたノズル孔設計を採用できるので、より高品質な被覆燃料粒子の製造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、反応容器内に収容した二酸化ウラン燃料核をガス噴出ノズル装置から被覆原料ガスを噴出供給してその噴流で流動させながら加熱することにより被覆原料ガスの熱分解反応によって燃料核の表面を被覆原料分子の蒸着層で被覆する高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置において、ガス噴出ノズル装置を、予め定められた第1の位置にて反応容器本体と着脱可能に一体化して容器底部を構成する第1の底部を備えたものとし、この第1の底部に被覆原料ガスを反応容器内に供給するためのノズル孔を底部貫通状態で形成したものであり、反応容器とガス噴出ノズル装置を密閉状態で囲む密閉容器内で、この第1の底部を、駆動機構によって第1の位置と反応容器本体から離反した着脱交換のための第2の位置との間で選択的に移動させるものである。
【0025】
また、前記密閉容器は、第2の位置にある第1の底部を出し入れするために密閉可能に開閉するノズル入出蓋を有すると共に、被覆原料ガス供給源からのガス供給配管が前記第1と第2の位置との間を移動する第1の底部のノズル孔へ閉鎖系で連結可能に配置されているものである。
【0026】
このように、本発明の高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置においては、ガス噴出ノズル装置にて、駆動機構による第1の底部の第1の位置と第2の位置との間の移動を密閉容器内で行い、この第1の底部の交換を反応容器本体から離れた位置で行うことができるものであるため、第1の底部の交換としてのノズル交換を実質的に反応容器内の温度を下げることなく行うことができ、ノズル交換作業が短時間で簡便に済む。
【0027】
従って、被覆層形成工程中にノズル交換の必要が生じても、容易にノズルとしての第1の底部を交換してまた速やかに被覆層形成工程を進めることができる。さらに、このようにノズル交換が反応容器内を高温に保ったまま短時間で簡便に行えることから、例えば第1被覆層から第4被覆層形成までの一連の工程が終了する毎に第1の底部を新たに交換すすることで、いずれかの被覆層形成工程途中でのノズル交換の必要が生じるのを回避して結果的に被覆形成工程全体の作業効率を向上させることができる。
【0028】
あるいは第1被覆層形成工程から第4被覆層形成工程の各工程の切り換え時に、第1の底部をそれぞれ専用のものに切り換えることも可能となるため、各第1の底部も各工程用の被覆原料ガス毎に最適化したノズル孔を備えたものとして、より高品質な被覆燃料粒子の製造を図ることが可能となる。
【0029】
また、上記のようなガス噴射ノズル装置に、第1の底部が着脱交換のための第2の位置に移動している間に、第1の位置に移動して反応容器本体と一体化して容器底部を構成することで反応容器本体を閉鎖して反応容器を形成する第2の底部を備えれば、ノズル交換作業の全工程に亘って反応容器をより確実に閉状態とし、反応容器内の高温をより良く保持できるため、次の被覆層形成工程への切り換えがさらにスムーズに行える。
【0030】
なお、密閉容器に設けられる第1の底部を着脱交換するためのノズル入出蓋は、反応容器(第1の底部)内への燃料核の投入や、被覆層形成後の被覆燃料粒子の取り出しにも兼用できるものとすれば、燃料核の出し入れをするための開口部を別に設ける必要がなくなる。また、メンテナンス用に第2の底部も取り出し可能とし、第2の底部を反応容器本体から離反した位置で着脱できる取り出し蓋を密閉容器に設けておいても良い。
【0031】
また、本発明の駆動機構としては、上記のような第1の底部の第1の位置から第2の位置への移動と同時に第2の底部が反応容器本体と一体化して容器底部をなし、反応容器本体を閉じて反応容器を構成する第1の位置への移動が行えるものが作業時間短縮という点から見て最も望ましい。このような機構として簡便なものには、例えば、同一移動プレート上に第1の底部と第2の底部とを予め定められた距離隔てて固定保持し、この移動プレート自身を水平方向に沿って所定距離だけ移動させる構成が挙げられる。この場合、一度の駆動で第1と第2の底部を同時に同じ距離だけ移動させて両者の移動を簡単に完了することができる。
【0032】
ただし、この移動プレートは、密閉容器内で加熱される反応容器と近接するために、1000℃を越える高温に晒されるが、駆動機構の構成部品とも接するものとなるため、駆動機構への悪影響を回避するために移動プレート全体を冷却する手段を設けておくことが望ましい。
【0033】
また、第1の底部には、ノズル孔へ被覆原料ガスを供給するためのガス供給配管が連通されているが、この配管は、外部から密閉容器内へ、容器の密閉性を保持するように閉鎖系で配置されるものであるが、駆動機構による第1の底部の移動に気密性を確保しながら追従できるものが好適であり、それ用の密閉手段をさらに設けても良い。
【0034】
上記のように、各被覆層の形成工程毎に、各被覆層用被覆原料ガスに最適化したノズル孔設計を備えた第1の底部を交換することによって、高品質な被覆燃料粒子をより効率的に製造することができるが、駆動機構によって第1と第2の位置との間を移動させる第1の底部を備えたガス噴出ノズル装置と反応容器本体とを、同一の密閉容器内で略鉛直方向に複数段連続して設けた構成とすれば、各工程毎に最適化されたノズルを用いることができるだけでなく、各段を各被覆層形成のための反応エリアとしてそれぞれ別々に確保することができるため、各反応エリアを対応する被覆層形成のための目的条件に固定し続けることができ、温度や被覆原料ガスの変更等の手間が省け、さらなる被覆燃料粒子の高品質化と工程時間短縮化による作業効率の向上を図ることができる。
【0035】
この場合、各段の反応容器本体上部に、予め定められた第1の位置にて反応容器本体と着脱可能に一体化する開口部材を配置することにより、上段側のガス噴出ノズル装置と連通する構成とすれば、上段での被覆層形成工程が終了した後、該開口部材を介して次の反応エリアとしての下段側反応容器へ燃料核を移動させ、次の被覆層形成工程に進むことができる。なお、次の被覆層形成工程開始時には、開口部材は駆動機構によって第1の位置から反応容器本体から離反した着脱交換できる第2の位置へ移動させると同時に、反応容器本体上部と一体化して反応容器の天井部を構成すると共に排気配管に連通させる天井部材を第1の位置へ移動させる構成とすれば下段側反応容器は反応エリアとして完成させることができる。
【0036】
なお、各段の接続構造としては、各段の反応容器本体を同一軸上に並ぶように構成するものが最も簡便であるが、この場合、燃料核を全量浮上させた状態で第1の底部を移動させることができなければ上段側から下段側への燃料核の移動ができないため、例えば第1の底部内に燃料核を収容した状態で該第1の底部を引っ繰り返して下段側へ燃料核を移すことができるような第1の底部を上下転倒させる回動機構等を設ける。
【0037】
あるいは、下段側の反応容器の接続位置を、上段側ガス噴出ノズル装置の第2の位置の下方とする構成が挙げられる。この構成では、第1の底部内に燃料核を収容したまま該底部を第2の位置に移動させ、下段側反応容器本体の上部には開口部材を配置した状態で第1の底部内の燃料核を流動ガスで引き上げて溢れ出させることによって、燃料核を下段側反応容器本体へ移動させることができる。
【0038】
また、ガス噴出ノズル装置のノズル孔を、口径が燃料核の粒径より大きく且つガス供給配管との連通部より下方へ鉛直方向に延びるものとし、さらに第1の底部が載置される移動プレートの相当位置には開口部を設けるなど、ノズル孔下端が開放状態となるような構成とすることによって、ガス供給を止めることで燃料核を下段側反応容器本体へ移動させることができる。この場合、ガス供給時にノズル孔下端開口を開閉可能に閉じることのできる手段、たとえばゲートとして機能する機構等を設けておく。
【0039】
以上のような複数段構成において、各段の第1の底部と天井部材および開口部材の位置移動を適宜切り換えれば、例えば第1段のガス噴出ノズル装置にて、第1の底部を第1の位置に天井部材を上部第1の位置にそれぞれ配置すれば該第1の底部上方の反応容器内を第1の反応エリアとして第1の被覆層形成工程専用に利用でき、第1段の第1の底部を第2の位置に移動させ、第2段の上部第1の位置に開口部材を配置すると共に第2段のガス噴出ノズル装置にて第1の底部を第1の位置に配置して燃料核を第1段側から第2段側へ移動させれば、該第1の底部上方の反応容器本体内を第2の反応エリアとして第2の被覆層形成工程専用に利用でき、以下同様に第3段のガス噴出ノズル装置および反応容器本体にて第3の反応エリアを構成して第3の被覆層形成工程専用に利用でき、第4段のガス噴出ノズル装置および反応容器本体にて第4の反応エリアを構成して第4の被覆層形成工程専用に利用できる。
【0040】
また、上段側のガス噴出ノズル装置の第2の底部にも、被覆原料ガス供給源からのガス供給配管に連結されて被覆原料ガスを反応容器内に供給するためのノズル孔を形成したものとすれば、第1の底部が第2の位置に移動して下段側の反応容器本体内へ燃料核を移動させて次の被覆層形成工程へ移行する一方で、第2の底部へ新たなバッチの燃料核を投入して被覆層形成工程を同時に進めることができる。この場合、同一の被覆原料ガス供給原からの配管を分岐、迂回させるなど、第1の位置に来た第2の底部のノズル孔へも原料ガスが供給される配管構成とする。
【0041】
なお、ガス噴出ノズル装置および反応容器本体の複数段連続構成のための具体的な連結機構としては、各ガス噴出ノズル装置の上下部分で互いに密閉可能な連結部を設けるが、各段の間で反応容器本体を延長するように上下の部材に連結できる筒状部材を組み合わせる構成としてもよく、この場合、密閉容器も延長できるように互いに連結できる延長部材を組み込める構成とすれば反応容器の延長部分を覆うことができる。
【実施例1】
【0042】
本発明の第1実施例として、反応容器本体とその下方に一段のガス噴出ノズル装置を備えた高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置を図1に示す。ここでは、説明の簡便のため反応容器部分を中心に図示し、冷却材や被覆原料ガスの供給源および駆動源等の装置周辺の詳細は図示を省いた。図1(a)はノズル孔を備えた第1の底部が反応容器本体と一体化する第1の位置にあって被覆層形成工程が実施可能な状態を示す概略縦断面図、(b)は第1の底部が着脱交換のための第2の位置にある取り出し可能な状態を示す概略縦断面図、(c)は(b)のα−α断面矢視図、である。
【0043】
本装置の高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置は、円筒状の反応容器本体2と、その下方で着脱可能に一体化して容器底部5をなすことによって一つの反応容器を構成する第1の底部3を備えたガス噴出ノズル装置1とで主に構成されるものであり、この第1の底部3に被覆原料ガスを反応容器内に噴出供給するためのノズル孔4が底部貫通状態で形成されている。
【0044】
ガス噴出ノズル装置1は、駆動軸10を介して連結された駆動機構(不図示)の駆動によって水平方向に移動する上部が開放された箱状の移動プレート9を備え、この移動プレート9上に第1の底部3が着脱可能に載置されている。さらにこの同じ移動プレート9上には、第1の底部3と予め定められた距離を持って第2の底部8が着脱可能に載置されている。これら第1の底部3あるいは第2の底部8が移動プレート9の移動によって反応容器本体2に着脱可能に一体化して容器底部を構成する位置を第1の位置とする。
【0045】
また、図1(b)に示すように、移動プレート9の移動により第1の底部3が着脱交換のために反応容器本体2から離反した位置を第2の位置とするが、この第1の底部3が第2の位置へ移動した際に、第2の底部8が丁度反応容器本体2と一体化して容器底部となる第1の位置へ来るように移動プレート9上の載置位置を設定しておく。
【0046】
なお、第2の底部8は、第1の底部3が第1の位置にあるとき、第2の位置と水平方向で反対側の位置に来ることになるが、この位置を、第2の底部8を取り出すための第3の位置とする。従って、本装置では、反応容器本体2と第1の底部3および第2の底部8、これらを載置する移動プレート9とその水平方向移動範囲に亘る領域を含む反応容器全体を密閉容器17で囲むものであるが、密閉容器17の第2の位置にある場合の第1の底部3の上方部分に、第1の底部3を交換するために密閉可能に開閉できるノズル入出蓋14を設けると共に、密閉容器17の第3の位置にある場合の第2の底部8をメンテナンスで取り出すために密閉可能に開閉できる取り出し蓋15を設けた。
【0047】
これら第1の底部3と第2の底部8は、駆動機構によって駆動軸10を介して移動プレート9が水平方向に移動させられることによって、第1の位置と第2の位置と第3の位置のそれぞれに適宜移動され、位置付けられるものであるが、駆動機構から延びる駆動軸10は移動プレート9に連結するために密閉容器17を貫通する必要がある。そこで、この駆動軸10の密閉容器17の貫通部には、駆動軸10の摺動時にも密閉容器17の密閉状態を維持できるように貫通部気密性確保用の密閉手段11を設けるものとした。例えば、駆動軸10の摺動方向に伸縮自在なシール部材で貫通部および貫通部突き出た駆動軸10を覆うような機構などを用いれば良い。
【0048】
同様に、外部の被覆原料ガス供給源(不図示)からの被覆原料ガスを供給するための被覆原料ガス配管6も密閉容器17を貫通状態で第1の底部3のノズル孔4に連通する必要があり、また移動プレート9を冷却するための冷却材を供給するための冷却材配管7も密閉容器17を貫通状態で移動プレート9内に挿入される必要があるため、この被覆原料ガス配管6や冷却材配管7の密閉容器17の貫通部にも、それぞれ移動プレート9の水平方向移動に伴う配管(6,7)の摺動時に密閉容器17の密閉状態を維持できるように貫通部およびその周辺の気密性を確保できる密閉手段(12,13)を設けるものとした。なお、反応容器本体2の上部には、容器内のガスを外部へ排出するための排気用配管16が密閉容器17を貫通状態で配設されているが、この貫通部分も気密性を確保して排気用配管16を貫通させるものとする。
【0049】
また、本実施例における第1の底部3に設けられたノズル孔4は、容器底部から略鉛直方向下方に延びるものであるが、後述の被覆原料ガス配管6と連通するために分岐された連結管4Nを有しており、鉛直方向下端開口は移動プレート9によって塞がれるため、被覆原料ガスの供給に問題はない。
【0050】
以上のような構成の反応容器を備えた高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置にて、同一反応容器本体2および同一の第1の底部3で燃料核に第1被覆層から第4被覆層まで連続的に被覆形成工程を行い、この一連の工程毎に第1の底部3を交換して被覆燃料粒子の製造を行った。
【0051】
まず、図1(b)に示すように、駆動機構の駆動により駆動軸10を介して移動プレート9をノズル交換のための位置(図紙面右方向)に移動させ、ノズル入出蓋14を開けて第1の底部3を移動プレート9上の第2の位置となる所定箇所に取り付ける。このとき、被覆対象の燃料核の装填も行うことができる。本実施例では、平均直径0.6mmの二酸化ウラン燃料核3.8kgを第1の底部3内に投入した後、ノズル入出蓋14を閉じる。
【0052】
次いで、駆動機構の駆動により、図1(a)に示すように、駆動軸10を介して移動プレート9を被覆形成工程実施可能位置(図紙面左方向)に移動させ、第1の底部3が反応容器本体2の下方で一体化する第1の位置に来るよう位置付ける。このとき、取り出し蓋15を開けて移動プレート9上の所定箇所に第2の底部8を取り付けて第3の位置に位置付け、取り出し蓋15を閉じる。この第2の底部8の取り付けは、第1の底部3の取り付け前に行っても良い。
【0053】
以上の被覆形成工程実施可能状態において、密閉容器17の密閉状態を確保した上で、反応容器内を加熱手段(不図示)により第1被覆層形成のための被覆燃料分子の熱分解反応に必要な高温、約1400℃に加熱する。一方移動プレート9は、冷却材供給源(不図示)から冷却材供給配管7を介して冷却材を供給して冷却される。
【0054】
そしてこの約1400℃の高温状態にある反応容器内へ、アセチレンガスを被覆原料ガス配管6を介して第1の底部3のノズル孔4へ供給し、予め定められた時間に亘ってこのノズル孔4から反応容器内に噴出供給されるアセチレンガスは、燃料核を流動させながら、熱分解された分子が燃料核表面に蒸着されて低密度炭素層としての第1被覆層を形成する。このときの排ガスは上部の排気用配管16から容器外へ排出される。
【0055】
第1被覆層形成工程終了時には、アセチレンガスの供給を止めて流動ガス(水素ガス)のみを供給して反応容器内の排気を完了させた後、第2被覆層形成のための被覆燃料分子の熱分解反応に必要な高温、約1400℃に加熱調整しする。温度調整完了後、プロピレンガスを被覆原料ガス配管6を介して第1の底部3のノズル孔4へ供給し、予め定められた時間に亘ってこのノズル孔4から反応容器内に噴出供給されるプロピレンガスは、燃料核を流動させながら、熱分解された分子が燃料核表面に蒸着されて高密度熱分解炭素層としての第2被覆層を形成する。
【0056】
この第2被覆層形成工程終了時には、プロピレンガスの供給を止めて流動ガス(水素ガス)のみを供給して反応容器内の排気を完了させてから次の第3被覆層形成のための被覆燃料分子の熱分解反応に必要な高温、約1600℃に加熱調整する。温度調整完了後、メチルトリクロロシランをキャリアーガスと共に被覆原料ガス供給配管6を介して第1の底部3のノズル孔4へ供給し、予め定められた時間に亘ってこのノズル孔4から反応容器内に噴出供給されるメチルトリクロロシランは、燃料核を流動させながら、熱分解された分子が燃料核表面に蒸着されてSiC層としての第3被覆層を形成する。
【0057】
第3被覆層形成工程終了時には、メチルクロロシランの供給を止めて流動ガスのみを供給して反応容器内の排気を完了させる。次いで、第4被覆層形成のための被覆燃料分子の熱分解反応に必要な約1400℃に調整し、プロピレンガスを被覆原料ガス配管6を介して第1の底部3のノズル孔4へ供給し、予め定められた時間に亘ってこのノズル孔4から反応容器内に噴出供給されるプロピレンガスは、燃料核を流動させながら、熱分解された分子が燃料核表面に蒸着されて高密度熱分解炭素層としての第4被覆層を形成する。
【0058】
第4被覆層の形成工程後、流動ガス(水素ガス)のみを供給して反応容器内の排気を完了させてから、移動プレート9を駆動機構により駆動軸10を介して移動させ、第1の底部3が第2の位置に来ると同時に第2の底部8が第1の位置にて反応容器本体1の下方で一体化して反応容器を閉じる状態とする。
【0059】
この第2の位置に来た第1の底部3を、ノズル入出蓋14を開けて移動プレート9から取り出すと同時に、一バッチ目の被覆燃料粒子を回収する。次いで、第二バッチ目のための新たな第1の底部3を移動プレート9上に設置し、この新たに交換された第1の底部3内に次のバッチ用の燃料核を投入する。これら第1の底部3の交換は、反応容器本体2から離反した位置で行われ、しかも交換作業の間は反応容器本体2は第2の底部8によって閉じられているため、反応容器内の高温は保持されており、次の第1被覆層形成工程のための温度調整は短時間で完了し、直ちに二バッチ目の第1被覆層から第4被覆層連続形成工程へ移行することができる。同様に、三バッチ目、四バッチ目と第1の底部3を交換しながら複数バッチの被覆燃料粒子の製造を連続して行う。
【0060】
以上の工程で得られた一バッチ目の4層の被覆燃料粒子は、平均直径0.93mmであり、各層の厚さは、第1被覆層0.06mm、第2被覆層0.03mm、第3被覆層0.03mm、第4被覆層0.045mmであり、各被覆層共に非常に均一であり、また二バッチ目以降で得られた被覆燃料粒子も、一バッチ目のものとほぼ同じ品質でバッチ毎に差異はなかった。
【0061】
以上のように、一連の被覆層形成工程毎に第1の底部3を交換していけば、何れかの被覆層形成工程の途中で第1の底部の交換の必要が生じることなく、また各バッチ毎におけるノズル交換作業としての第1の底部3の取り外しおよび取り付けは短時間で容易に行うことができ、また交換後の次の被覆反応のための反応容器内温度調整も短時間で済むため、複数バッチでの被覆燃料粒子の製造が均一な品質を維持しながら連続して効率よく行うことができる。なお、各バッチ毎に交換される第1の底部は、常に新たなものを用意してもよいが、二つの第1の底部を洗浄しながら交互に使用するのが効率的である。
【0062】
上記実施例においては、同一のノズルとしての第1の底部で第1被覆層から第4被覆層までの形成工程を連続的に行い、バッチ毎に第1の底部を交換する場合を説明したが、本装置構成においては、第1の底部の交換が短時間で簡便に行えると共に、交換作業中でも反応容器内の高温が保持できるため、各被覆層形成工程毎に第1の底部を交換しても、直ちに次の被覆形成工程に移行できる。この場合、各被覆形成工程に最適な専用のノズル設計を備えた第1の底部を用いてより品質の高い被覆燃料粒子を得ることができる。
【0063】
例えば、まず最初に第1被覆層形成用の第1の底部3を移動プレート9上の第2の位置となる所定箇所に取り付けると共に被覆対象の燃料核の装填も行い、ノズル入出蓋14を閉じてから、駆動機構の駆動により、駆動軸10を介して移動プレート9を被覆形成工程実施可能位置(図紙面左方向)に移動させ、第1の底部3が反応容器本体2の下方で一体化する第1の位置に来るよう位置付け、密閉容器17の密閉状態を確保すれば、第1被覆層形成工程実施可能状態が得られる。
【0064】
従って、反応容器内を加熱手段により第1被覆層形成のための被覆燃料分子の熱分解反応に必要な高温、約1400℃に加熱し、移動プレート9を冷却材供給源から冷却材供給配管7を介して供給される冷却材で冷却しつつ、反応容器内へアセチレンガスを所定時間に亘って供給しノズル孔4から反応容器内に噴出供給させることにより、燃料核は流動しながら熱分解された分子が表面に蒸着されて低密度炭素層としての第1被覆層が形成される。
【0065】
第1被覆層形成工程終了時には、アセチレンガスの供給を止めて流動ガス(水素ガス)のみを供給して反応容器内の排気を完了させてから、移動プレート9を駆動機構により駆動軸10を介して移動させ、第1の底部3が第2の位置に来ると同時に第2の底部8が第1の位置にて反応容器本体1の下方で一体化して反応容器を閉じる状態とする。
【0066】
この第2の位置に来た第1被覆層形成用の第1の底部3を、ノズル入出蓋14を開けて移動プレート9から取り出し、次の、高密度熱分解炭素層からなる第2被覆層形成用の第1の底部3を代わりに移動プレート9上に設置し、第1被覆層形成済みの燃料核をこの新たに交換された第1の底部3内に投入した後、ノズル入出蓋14を閉じて移動プレート9を駆動機構により駆動軸10を介して移動させ、第1の底部3を第1の位置で反応容器本体2の下方に一体化させる。
【0067】
これにより、再度被覆層形成工程が実施可能な状態が得られたら、反応容器内を第2被覆層形成のための被覆燃料分子の熱分解反応に必要な高温、約1400℃に加熱調整して、第2被覆層形成用の被覆原料ガスを供給して第2被覆層を形成する。以降、同様に第1の底部3を被覆層形成工程毎に専用のものに交換して第4被覆層まで形成し、被覆燃料粒子を得ることができる。第1の底部の交換作業の間は、反応容器本体2は第2の底部8によって閉じられているため、反応容器内は高温が保持されてほとんど温度低下がないため、各被覆層形成工程毎の温度調整は短時間で完了する。
【実施例2】
【0068】
本発明の第2実施例として、反応容器本体の下方に複数段のガス噴出ノズル装置を備えた高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置を図2の概略縦断面図に示す。本実施例は、4つの被覆層形成工程用の反応容器として、上から1段目反応装置20A、2段目反応装置20B、3段目反応装置、4段目反応装置20Dを鉛直方向に連続的に連結設置し、全体が同一の密閉容器35で囲まれものであるが、2段目下方からはその上方構成の繰り返しであるため、ここでは説明の簡便のため1段目および2段目反応装置の上部までおよび4段目反応装置の下部を図示し、その間の3段目反応装置を含む領域は図示を省いた。各反応装置は基本的に共通の構成を持ち、同一の密閉容器35内で密閉されることにより略鉛直方向に連続的に連結されるものである。
【0069】
1段目反応装置20Aは、円筒状の反応容器本体22Aと、該反応容器本体22Aに着脱可能に一体化して容器底部25を構成して一つの反応容器を形成する第1の底部23を備えたガス噴出ノズル装置21Aとから主に構成されるものであり、この第1の底部23には、被覆原料ガスを反応容器内に噴出供給するためのノズル孔24が底部貫通状態で形成されている。
【0070】
ガス噴出ノズル装置21Aは、駆動軸30を介して連結された駆動機構(不図示)の駆動によって水平方向に移動する上部が開放された箱状の移動プレート29を備え、この移動プレート29上に第1の底部23が着脱可能に載置されている。またこの同じ移動プレート29上には、第1の底部23と予め定められた距離を持って第2の底部28が着脱可能に載置されている。これら第1の底部23あるいは第2の底部28が移動プレート29の移動によって反応容器本体22に着脱可能に一体化して容器底部を構成する位置を第1の位置とする。
【0071】
また、移動プレート29の移動により第1の底部23が着脱交換のために反応容器本体22Aから離反した位置を第2の位置とする。この第1の底部23が第2の位置に移動した際に、第1の底部28が丁度反応容器本体22Aと一体化する第1の位置へ移動するように移動プレート29上の載置位置を設定しておく。
【0072】
また反応容器本体22Aの上部には、駆動軸46を介して連結された駆動機構(不図示)の駆動によって水平方向に移動する移動プレート41と、この移動プレート41上に第1の位置にて反応容器本体22Aの上部に着脱可能に一体化する開口部材45と、該開口部材45を移動プレート41の移動によって反応容器本体22Aから離反した着脱交換のための第2の位置へ移動させた時に、第1の位置に移動して反応容器本体22Aの上部と一体化して反応容器の天井部を構成すると共に装置外へ突出している排気配管43に連通させるための天井部材42とが載置されている排気装置40Aが備えられている。
【0073】
同様に、2段目反応装置20B、3段目反応装置、4段目反応装置20Dには、それぞれ反応容器本体22の下部に、第1の底部23と第2の底部28が駆動機構による移動プレート29の水平方向移動によって第1の位置と第2の位置との間を移動するガス噴射ノズル装置21が、また反応容器本体22の上部は、開口部材45と天井部材42とが駆動機構による移動プレート41の水平方向移動によって第1の位置と第2の位置との間を移動する排気装置40とが設けられている。
【0074】
このような構成を備えた各段の反応装置は以下の通りに連結されている。即ち、1段目反応装置20Aの下方に連結される2段目反応装置20Bは、2段目側の排気装置40Bの第1の位置の上方部分と1段目側のガス噴出ノズル装置21Aの第2の位置の下方部分とが密閉容器連結部35xを介して連結されることによって1段目と2段目の反応装置(20A,20B)同士が連結される。従って、2段目側の排気装置40Bの第1の位置に開口部材45Bを位置付けることによって、2段目側の反応容器本体22Bと1段目側のガス噴射ノズル装置21Aとが互いに開通される。
【0075】
なお、本実施例においては、ノズル孔24は、燃料核より大きい口径を有すると共に、容器底部から略鉛直方向下方へ延びるものであり、被覆原料ガス配管26と連通するために分岐された連結管24Nを備えているが、第1の底部23が載置される移動プレート29の相当位置でノズル孔24の鉛直方向下端が開放状態となるように、移動プレート29には開口部が設けられている。
【0076】
そこで、移動プレート29の下面には、相対摺動可能に開閉ゲートG1を備え、1段目の第1の底部23が第1の位置にある場合には、被覆層形成工程の際の被覆原料ガス供給を良好に維持するために、該移動プレート29の開口部およびノズル孔24の下端開口を塞ぐものとし、第1の底部23が第2の位置に来た状態ではノズル孔24の下端開口が2段目側に開放するものとした。
【0077】
従って、2段目側の反応容器本体22Bと1段目側のガス噴射ノズル装置21Aとの開通状態において、2段目側のガス噴射ノズル装置の第1の底部を第1の位置に位置付けておき、1段目側のガス噴射ノズル装置21Aの第1の底部23を内部に燃料核を収容したまま第2の位置に移動させ、ここで流動ガスの供給を停止するだけで、燃料核はノズル孔24を通過して落下し、さらに開口部材45Bを介して2段目側の反応容器本体22Bおよび第1の底部へ移動させることができる。
【0078】
なお、第2の底部28は、第1の底部23が第1の位置にあるとき、第2の位置と水平方向で反対側の位置に来ることになるが、この位置を、第2の底部28を移動プレート29上に着脱交換するための第3の位置とし、密閉容器35にメンテナンスで取り出すために密閉可能に開閉できる取り出し蓋を設けても良い。また、第2の底部28にも、ノズル孔を設け、第1の位置に配置された際に被覆原料ガス配管26からの分岐配管等で流動ガス、原料ガスが供給される構成とすることによって、1段目において第1の底部23で行った燃料核への被覆層形成工程後に、第1の底部23を第2の位置へ移動させて2段目での被覆層形成工程に移行する一方で、1段目では次のバッチの燃料核について、第2の底部28を用いて被覆層形成工程を進めることが可能となる。
【0079】
これら第1の底部23と第2の底部28は、駆動機構によって駆動軸30を介して移動プレート29が水平方向に移動させられることによって、第1の位置と第2の位置と第3の位置のそれぞれに適宜移動され、位置付けられるものであるが、駆動機構から延びる駆動軸30は移動プレート29に連結するために密閉容器35を貫通する必要がある。そこで、この駆動軸30の密閉容器貫通部には、駆動軸30の摺動時にも密閉容器35の密閉状態を維持できるように貫通部気密性確保用の密閉手段31を設けた。
【0080】
同様に、外部の被覆原料ガス供給源(不図示)からの被覆原料ガスを供給するための被覆原料ガス配管26も密閉容器35を貫通状態で第1の底部23のノズル孔24に連通する必要があり、また移動プレート29を冷却するための冷却材を供給するための冷却材配管27も密閉容器35を貫通状態で移動プレート29内に挿入される必要があり、この被覆原料ガス配管26や冷却材配管27の密閉容器貫通部にも、それぞれ移動プレート29の水平方向移動に伴う配管(26,27)の摺動時に密閉容器35の密閉状態を維持できるように貫通部およびその周辺の気密性を確保できる密閉手段(32,33)を設けた。
【0081】
また、円筒状の反応容器本体22Aの上部に設けられた排気装置40Aでは、反応容器本体22Aと着脱可能に一体化して容器天井部を構成する天井部材42から、反応容器内の排ガスを装置外へ導出する排気配管43が密閉容器貫通状態で設けられているが、この排気配管43は、移動プレート41の水平方向移動に伴って、密閉容器35の貫通部を摺動するため、密閉容器35の密閉状態を維持するために、この排気配管43の貫通部周辺にも気密性を確保するための密閉手段44を設けた。同様に、排気装置40の移動プレート41を水平方向に移動させるための駆動軸46の密閉容器35貫通部にも、気密性を確保するための密閉手段47を設けた。
【0082】
以上の構成を備えた1段目反応装置20Aの下段には、密閉容器連結部35xを介して、1段目と同様の排気装置と反応容器本体とガス噴射ノズル装置とで構成される2段目反応装置20B、3段目反応装置、4段目反応装置20Dが鉛直方向に沿って連続的に設けられているが、各ガス噴射ノズル装置21における第2の底部は、ノズル孔を備えて被覆層形成工程に使用可能なものにする構成に限定することなく、単に反応容器本体22と一体化して容器底部を構成して反応容器を閉じる閉鎖用の第2の底部58を備えた構成としてもよい。
【0083】
以上の1段目反応装置20Aから4段目反応装置20Dは、各移動プレートの移動調整によるノズル孔を備えた第1の底部と開口部材および天井部材の位置切り換えによりそれぞれ第1被覆層から第4被覆層までの各被覆層形成工程毎に個別の被覆反応エリアとして用いることができるものである。
【0084】
例えば、1段目反応装置20Aのガス噴出ノズル装置21Aにて第1の底部23を第1の位置に且つ排気装置40Aにて天井部材42Aを上部第1の位置にそれぞれ配置すれば該第1の底部23上方の反応容器本体22A内を第1の反応エリアとして第1の被覆層形成工程専用に利用でき、1段目の第1の底部23を第2の位置に移動させ、2段目の排気装置40Bにて上部第1の位置に開口部材45Bを配置すると共に2段目のガス噴出ノズル装置にて第1の底部を第1の位置に配置した状態で燃料核を1段側から2段側へ移動させれば、2段目反応装置20Bの反応容器本体22B内を第2の反応エリアとして第2の被覆層形成工程専用に利用でき、以下同様に3段目反応装置のガス噴出ノズル装置および反応容器本体にて第3の反応エリアを構成して第3の被覆層形成工程専用に利用でき、第4段のガス噴出ノズル装置21Dおよび反応容器本体22Dにて第4の反応エリアを構成して第4の被覆層形成工程専用に利用できる。
【0085】
このような複数段の反応装置からなる本実施例による高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置では、各段を目的とする被覆反応条件に固定することができるため、反応温度や被覆原料ガスの変更の手間を省くことができて、前の被覆層形成工程から次の被覆層形成工程への移行が速やかに行えると共に、必要に応じて被覆原料ガス毎に最適化されたノズル設計のものを採用できるため、より高品質な被覆燃料粒子をより効率的に短時間で製造することができる。
【0086】
なお、上記実施例では、下段側の反応容器本体を、上段側のガス噴出ノズル装置の第2の位置で連結するという反応容器本体同士の中心軸をずらした連結機構としたが、図3に示すように、各段の反応容器本体を同一軸上に配置する複数段連続構成も可能である。
【0087】
この場合、上段側から下段側への燃料核の移動は、上記第2実施例の場合と同様に、移動プレート29の開口部によりノズル孔24の略鉛直方向下端を開放状態としてガス供給を停止することによるノズル孔24中の落下により行うことができるが、第1の底部23は、被覆原料ガスが供給される被覆層形成工程の際も、前記燃料核移動の際も同じ第1の位置にあるため、移動プレート29の開口部およびノズル孔下端開口を塞ぐゲートG2の方が第1の底部23に対して移動可能な可動式のものとすればよい。
【0088】
あるいは、各段の反応装置と排気装置において、反応容器全段を第1の位置の領域に規定するようシール部材S等で密閉状態とすれば、下段側の第1の位置に天井部材42Bを配置するだけで、ガス配管26から送られてくる被覆原料ガスの行き場は、実質的に上段側反応容器内方向しかないため、ゲートなどにより上段側のノズル孔24の鉛直方向下端開口を塞がなくても反応容器内へのガス供給が行えて燃料核が落下することはない。この場合、下段側の第1の位置に開口部材45Bを配置してがガス供給を停止すれば、燃料核はノズル孔24から落下し、下段側へ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施例による高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置の概略構成図であり、(a)はノズル孔を備えた第1の底部が反応容器本体と一体化する第1の位置にあって被覆層形成工程が実施可能な状態を示す概略縦断面図、(b)は第1の底部が着脱交換のための第2の位置にある取り出し可能な状態を示す概略縦断面図、(c)は(b)のα−α断面矢視図、である。
【図2】本発明の第2の実施例による高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第2実施例による高温ガス炉用被覆燃料粒子製造装置の別の様態を例示する概略構成図である。
【符号の説明】
【0090】
1:ガス噴出ノズル装置
2:反応容器本体
3:第1の底部
4:ノズル孔
4N:連結管
5:容器底部
6:被覆原料ガス配管
7:冷却材配管
8:第2の底部
9:移動プレート
10:駆動軸
11,12,13:密閉手段
14:ノズル入出蓋
15:(第2の底部)取り出し蓋
16:排気用配管
17:密閉容器
20A:1段目反応装置
20B:2段目反応装置
20D:4段目反応装置
21,21A,21D:ガス噴射ノズル装置
22,22A,22B,22D:反応容器本体
23:第1の底部
24:ノズル孔
24N:連結管
25:容器底部
26:被覆原料ガス配管
27:冷却材配管
28:第2の底部
29:移動プレート
30:駆動軸
31,32,33:密閉手段
34:ノズル入出蓋
35:密閉容器
35x:密閉容器連結部
40,40A,40B:排気装置
41:移動プレート
42,42B:天井部材
43:排気配管
44,47:密閉手段
45,45B:開口部材
46:駆動軸
48:開口部材取り出し蓋
58:閉鎖用第2の底部
G1:開閉ゲート
G2:可動ゲート
S:シール部材




 

 


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