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発明の名称 高温ガス炉用燃料コンパクト、高温ガス炉用燃料コンパクト識別方法、金型、及び高温ガス炉用燃料コンパクト製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−101453(P2007−101453A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−294209(P2005−294209)
出願日 平成17年10月6日(2005.10.6)
代理人 【識別番号】100087594
【弁理士】
【氏名又は名称】福村 直樹
発明者 中村 亘
要約 課題
各々を識別可能な高温ガス炉用燃料コンパクト、高温ガス炉用燃料コンパクト識別方法、金型、及び高温ガス炉用燃料コンパクト製造方法を提供すること。

解決手段
前記中空円筒の端面に形成された基準形状部と、前記中空円筒の端面に、前記基準形状部の形成位置とは異なる位置に形成された変動形状部とを有する中空円筒の高温ガス炉用燃料コンパクト、前記基準形状部と前記変動形状部との位置関係から各々の高温ガス炉用燃料コンパクトを識別する方法、有底円筒の外枠と、前記外枠内に、この外枠と同心に配置された芯金と、高温ガス炉用燃料コンパクトの変動形状部を形成可能なパンチとを有する金型、前記金型を用いて、プレス成型する高温ガス炉用燃料コンパクト製造方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
中空円筒に形成された高温ガス炉用燃料コンパクトであって、
前記中空円筒の端面に形成された基準形状部と、
前記中空円筒の端面に、前記基準形状部の形成位置とは異なる位置に形成された変動形状部とを有することを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクト。
【請求項2】
前記変動形状部は、その数が複数である前記請求項1に記載の高温ガス炉用燃料コンパクト。
【請求項3】
高温ガス炉用燃料コンパクト表面に形成された基準形状部と、高温ガス炉用燃料コンパクト表面に、かつ高温ガス炉用燃料コンパクト毎に異なる位置に形成された変動形状部との位置関係からそれぞれの高温ガス炉用燃料コンパクトを識別することを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクト識別方法。
【請求項4】
高温ガス炉用燃料コンパクトの一端面及び外周面を形成する有底円筒の外枠と、
高温ガス炉用燃料コンパクトの中空円筒内壁及び基準形状部を形成することができるように、前記外枠内に、この外枠と同心に配置された芯金と、
前記芯金を嵌挿した状態で、前記外枠の底面に向かって上下動可能に形成され、前記底面に向かう端面に高温ガス炉用燃料コンパクトの変動形状部を形成可能なパンチとを有することを特徴とする金型。
【請求項5】
前記請求項4に記載の金型を用いて、被覆燃料粒子表面に黒鉛マトリックスを付着させてなるオーバーコート粒子をプレス成型することを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクト製造方法。



発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温ガス炉用燃料コンパクト、高温ガス炉用燃料コンパクト識別方法、金型、及び高温ガス炉用燃料コンパクト製造方法に関し、特に詳しくは、高温ガス炉用燃料コンパクトをそれぞれ識別することができる高温ガス炉用燃料コンパクト、高温ガス炉用燃料コンパクト識別方法、金型、及び高温ガス炉用燃料コンパクト製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を、熱容量が大きく、高温健全性の良好な黒鉛で構成している。この高温ガス炉においては、冷却ガスとして高温下でも化学反応の起こらないヘリウムガス等の気体を用いることにより、固有の安全性が高く、出口温度が高い冷却ガスを取り出すことが可能であり、約900℃の高温熱を、発電はもちろん水素製造や化学プラント等、幅広い分野での安全な熱利用を可能にしている。
【0003】
一方、この高温ガス炉に投入される高温ガス炉用燃料は、一般的に、燃料核と、この燃料核の周囲に被覆された被覆層とを備えて成る。燃料核は、例えば、二酸化ウランをセラミックス状に焼結してなる直径約350〜650μmの微小粒子である。
【0004】
被覆層は、4層構造を有し、燃料核表面側より、第一層、第二層、第三層、及び第四層を備えて成る。被覆粒子の直径は、例えば、約500〜1000μmである。
【0005】
第一層は、密度が約1g/cmの低密度熱分解炭素からなり、ガス状の核分裂生成物(以下、「FP」と略す場合がある。)のガス溜めとしての機能及び燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能を有するものである。第二層は、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素からなり、ガス状FPを保持する機能を有するものである。
【0006】
第三層は、密度が約3.2g/cmの炭素珪素(以下、「SiC」と略す場合がある。)からなり、固体FPを保持する機能を有するものであり、被覆粒子の主要な強度材である。第四層は、第二層と同様の密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素からなり、ガス状FPを保持する機能を有するとともに、第三層の保護層としての機能を有するものである。
【0007】
以上のような高温ガス炉用燃料は、一般的に以下のような工程を経て製造される。まず、酸化ウランの粉末を硝酸に溶かし硝酸ウラニル原液とする。次に、この硝酸ウラニル原液に純水、増粘剤を添加し、攪拌して滴下原液とする。調製された滴下原液は、所定の温度に冷却され粘度を調製した後、細径の滴下ノズルを用いてアンモニア水溶液に滴下される。
【0008】
このアンモニア水溶液に滴下された液滴は、アンモニア水溶液表面に達するまでの間に、アンモニアガスを吹きかけられる。このアンモニアガスによって、液滴表面をゲル化させるため、アンモニア水溶液表面到達時における変形を防止することができる。アンモニア水溶液中における硝酸ウラニルは、アンモニアと十分に反応し、重ウラン酸アンモニウム粒子(以下、「ADU粒子」と略す場合がある。)となる。
【0009】
この重ウラン酸アンモニウム粒子は、乾燥された後、大気中で焙焼され、三酸化ウラン粒子となる。さらに、三酸化ウラン粒子は、還元・焼結されることにより、高密度のセラミック状の二酸化ウラン粒子となる。この二酸化ウラン粒子をふるい分け、すなわち分級して、所定の粒子径を有する燃料核を得る。
【0010】
この燃料核を流動床に装荷し、被覆層を形成するためのガスを熱分解して、燃料核表面に被覆層を形成する。被覆層の第一層の低密度熱分解炭素の場合は、約1400℃でアセチレンを熱分解する。また、被覆層の第二層、第四層の高密度熱分解炭素である場合は、約1400℃でプロピレンを熱分解する。さらに、被覆層の第三層がSiCである場合は、約1600℃でメチルトリクロロシランを熱分解する。
【0011】
被覆層が形成され、被覆燃料粒子を形成した後、さらにバインダーによって、黒鉛粉末を付着させて、オーバーコート粒子が得られる。このオーバーコート粒子を中空円筒形状又は円柱形状にプレス成型し、焼成して燃料コンパクトを得る(非特許文献1〜5 参照)。
【0012】
【非特許文献1】S.Kato ”Fabrication of HTTR First Loading fuel”,IAEA-TECDOC-1210,187 (2001)
【非特許文献2】N.Kitamura ”Present status of initial core fuel fabrication for the HTTR” IAEA−TECDOC−988,373(1997)
【非特許文献3】林 君夫、”高温工学試験研究炉の設計方針、製作性及び総合的健全性評価”JAERI−M 89−162(1989)
【非特許文献4】湊 和生、”高温ガス炉燃料製造の高度技術の開発”JAERI−Reseach 98−070(1998)
【非特許文献5】長谷川正義、三島良績 監修「原子炉材料ハンドブック」昭和52年10月31日発行 221−247頁、日刊工業新聞社
【0013】
燃料コンパクトは、それに含まれる核分裂物質の濃縮度又は質量をそれぞれの燃料コンパクトについて把握される必要があるため、燃料コンパクトのそれぞれに番号を付けて識別管理されている。この番号を付与する方法としては、以下のような方法が挙げられる。
【0014】
第1の方法としては、例えば、予め番号を刻印した金型を用いて、プレス成型し、燃料コンパクトの端面にこの番号を転写する方法を挙げることができる。
【0015】
第2の方法としては、燃料コンパクトの成型又は焼成後に、燃料コンパクトの表面を切削加工することにより、番号を刻字する方法を挙げることができる。
【0016】
第3の方法としては、成型後の燃料コンパクトの表面に、例えば、インクを塗布することにより、番号を印字し、焼成することにより、焼き付ける方法を挙げることができる。
【0017】
しかしながら、これらの方法には、以下のような問題点がある。
【0018】
まず、第1の方法における問題点としては、燃料コンパクト毎に、番号を転写する必要があるので、核分裂物質の濃縮度又は質量が変わるたびに、金型を交換しなければならない。したがって、金型を交換するために、多大な労力がかかるとともに、必要数の金型を製作する費用も膨大になる。
【0019】
次に、第2の方法における問題点としては、切削工具が被覆燃料粒子に接触した場合、被覆層を破損する可能性がある。また、切削により生ずる黒鉛粉末の回収を考慮する必要がある。また、回収した黒鉛粉末が廃棄物となる。
【0020】
また、第3の方法における問題点としては、インクを塗布する装置、例えば、インクジェットプリンタ等を必要とするので、金型及びインクジェットプリンタ間の燃料コンパクトのハンドリング機構も必要となる。したがって、設備の管理が煩雑になるとともに、トラブル発生の原因となる。また、焼成を行うことにより、インクが炭化するので、燃料コンパクトの表面との色の区別を行うことが困難となる。したがって、印字された番号は、読み取りづらいので、自動読み取り装置等を用いる場合の自動化の障害となる。
【0021】
さらに、燃料コンパクトを取り扱う際に、擦れることにより、燃料コンパクト表面に印字された番号に傷が付き、番号が消える、又は番号が読み取りづらくなる可能性がある。また、インクには、例えばホウ素等の中性子を吸収する物質を含まないインクを使用する必要があるので、原料及びインク塗布装置の選択肢が狭くなる。したがって、コスト高となりやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、高温ガス炉用燃料コンパクトをそれぞれ識別することができる高温ガス炉用燃料コンパクト、高温ガス炉用燃料コンパクト識別方法、金型、及び高温ガス炉用燃料コンパクト製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、中空円筒に形成された高温ガス炉用燃料コンパクトであって、
前記中空円筒の端面に形成された基準形状部と、
前記中空円筒の端面に、前記基準形状部の形成位置とは異なる位置に形成された変動形状部とを有することを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクトであり、
請求項2は、前記変動形状部は、その数が複数である前記請求項1に記載の高温ガス炉用燃料コンパクトであり、
請求項3は、高温ガス炉用燃料コンパクト表面に形成された基準形状部と、高温ガス炉用燃料コンパクト表面に、かつ高温ガス炉用燃料コンパクト毎に異なる位置に形成された変動形状部との位置関係からそれぞれの高温ガス炉用燃料コンパクトを識別することを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクト識別方法であり、
請求項4は、高温ガス炉用燃料コンパクトの一端面及び外周面を形成する有底円筒の外枠と、
高温ガス炉用燃料コンパクトの中空円筒内壁及び基準形状部を形成することができるように、前記外枠内に、この外枠と同心に配置された芯金と、
前記芯金を嵌挿した状態で、前記外枠の底面に向かって上下動可能に形成され、前記底面に向かう端面に高温ガス炉用燃料コンパクトの変動形状部を形成可能なパンチとを有することを特徴とする金型であり、
請求項5は、前記請求項4に記載の金型を用いて、被覆燃料粒子表面に黒鉛マトリックスを付着させてなるオーバーコート粒子をプレス成型することを特徴とする高温ガス炉用燃料コンパクト製造方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、(1)高温ガス炉用燃料コンパクト毎に識別に必要な金型を用意する必要がなく、また同金型を交換する必要もなく、したがって、金型費用及び金型交換に要する人件費を大幅に低減して製造することができ、
(2)識別番号を刻字する際に被覆燃料粒子の被覆層を破損させてしまう危険性がなく、切削粉処理の問題もなく製造することができ、
(3)インクジェットプリンタ及びハンドリング装置を用意して識別番号を印字しないので、印字に関連する諸設備の管理が不要となり、
(4)インクを用いて印字する従来技術におけるように識別番号を読み取り難いという問題がなく、また、こすれ等により基準形状部及び/又は変動形状部に傷がついたとしても、基準形状部及び/又は変動形状部の、例えば、凹凸が喪失するわけではないので、常に正確に高温ガス炉用燃料コンパクト毎の識別をすることができ、
(5)画像処理により識別可能であり、画像処理装置と組み合わせることにより識別の自動化が可能となる、といった優れた高温ガス炉用燃料コンパクト及び高温ガス炉用燃料コンパクト識別方法を提供することができる。
【0025】
また、本発明によると、(1)高温ガス炉用燃料コンパクト毎に識別に必要な金型を用意する必要がなく、また同金型を交換する必要もなく、したがって、金型費用及び金型交換に要する人件費を大幅に低減して製造することができ、
(2)インクジェットプリンタ及びハンドリング装置を用意して識別番号を印字しないので、印字に関連する諸設備の管理が不要となる、といった優れた金型を提供することができる。
【0026】
さらに、本発明によると、(1)高温ガス炉用燃料コンパクト毎に識別に必要な金型を用意する必要がなく、また同金型を交換する必要もなく、したがって、金型費用及び金型交換に要する人件費を大幅に低減して製造することができ、
(2)識別番号を刻字する際に被覆燃料粒子の被覆層を破損させてしまう危険性がなく、切削粉処理の問題もなく製造することができ、
(3)インクジェットプリンタ及びハンドリング装置を用意して識別番号を印字しないので、印字に関連する諸設備の管理が不要となる、といった優れた高温ガス炉用燃料コンパクト製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る一例としての高温ガス炉用燃料コンパクト1は、中空部4を有する円筒形状に形成されてなる。高温ガス炉用燃料コンパクト1は、被覆燃料粒子2の表面に黒鉛マトリックス3を付着させてなるオーバーコート粒子をプレス成型することにより中空円筒形状に形成してなる。
【0028】
図1に示されるように、高温ガス炉用燃料コンパクト1における中空部4は、高温ガス炉用燃料コンパクト1の中心軸に対して同軸に形成されている。中空部4の内壁面5には、基準形状部6が形成されている。基準形状部6は、内壁面5から高温ガス炉用燃料コンパクト1の中心軸に向かって突出している凸部である。基準形状部6は、高温ガス炉用燃料コンパクト1の上端面7側から下端面8側を内壁面5に沿って、縦方向に延びている。
【0029】
なお、上記したように、基準形状部6は、凸部であってもよく、内壁面5に対して凹む凹部であってもよい。このようにすれば、容易に、基準形状部6を形成することができる。
【0030】
また、図9に示すように、前記基準形状部6の凸部の角部6B、6C及び6Dは、R形状を有することが好ましい。このようにすれば、高温ガス炉用燃料コンパクト1の成型時に焼成を行う際に、高温ガス炉用燃料コンパクト1の体積が変化し、応力が集中することによる高温ガス炉用燃料コンパクト1の破壊を防止することができる。
【0031】
一方、図1に示されるように、変動形状部9は、上端面7に形成されてなる。変動形状部9は、高温ガス炉用燃料コンパクト1の中心軸に向かって、高温ガス炉用燃料コンパクト1の径方向に延びる凹部である。
【0032】
図2に示されるように、変動形状部9は、前記基準形状部6と所定の位置関係を有している。この所定の位置関係としては、基準形状部6の凸部が突出する方向と、変動形状部9の凹部が延びる方向とが、高温ガス炉用燃料コンパクト1の中心軸に対して、角度の差異を有することによる所定のずれ角θを有する場合を挙げることができる。
【0033】
この所定のずれ角θが、例えば、2度づつ変位する場合には、識別可能な組み合わせとして、180通りの組み合わせをつくることができる。このずれ角θの大きさは、2度に限定されるものではなく、識別可能ならば1度でもよく、3度等としてもよく、特に制限されない。
【0034】
また、図10に示されるように、前記変動形状部9の凹部の角部9E、9F及び9Gは、R形状を有することが好ましい。このようにすれば、高温ガス炉用燃料コンパクト1の成型時に焼成を行う際に、高温ガス炉用燃料コンパクト1の体積が変化し、応力が集中することによる高温ガス炉用燃料コンパクト1の破壊を防止することができる。
【0035】
また、図3に示されるように、前記変動形状部9が、複数形成されていてもよい。例えば、複数の変動形状部9として、第1変動形状部9Aと、第2変動形状部9Bと、第3変動形状部9Cとを挙げることができる。
【0036】
第1変動形状部9Aは、上端面7に、かつ高温ガス炉用燃料コンパクト1の外周側に形成されてなる。第1変動形状部9Aは、高温ガス炉用燃料コンパクト1の中心軸に向かって、高温ガス炉用燃料コンパクト1の径方向に延びる凹部である。
【0037】
第2変動形状部9Bは、上端面7に、かつ高温ガス炉用燃料コンパクト1の径方向の中央側に形成されてなる。第2変動形状部9Bは、高温ガス炉用燃料コンパクト1の中心軸に向かって、高温ガス炉用燃料コンパクト1の径方向に延びる凹部である。
【0038】
第3変動形状部9Cは、上端面7に、かつ高温ガス炉用燃料コンパクト1の内壁面5側に形成されてなる。第3変動形状部9Cは、高温ガス炉用燃料コンパクト1の中心軸に向かって、高温ガス炉用燃料コンパクト1の径方向に延びる凹部である。
【0039】
この場合、図3に示されるように、基準形状部6の凸部が突出する方向と、第1変動形状部9A、第2変動形状部9B及び第3変動形状部9Cの凹部が延びる方向とが、高温ガス炉用燃料コンパクト1の中心軸に対して、それぞれ所定のずれ角θ1、θ2、及びθ3を有することとなる。これらずれ角θ1、θ2、及びθ3が、例えば、2度づつ変位する場合には、識別可能な組み合わせとして、180×180×180通り、すなわち、5832000通りの組み合わせをつくることができる。したがって、前記変動形状部9が、複数形成されることにより、基準形状部6に対する変動形状部9の位置関係の組み合わせを増加させ、結果として、高温ガス炉用燃料コンパクト1の識別番号を増加させることができる。なお、複数の変動形状部9として、第1変動形状部9A、第2変動形状部9B、及び第3変動形状部9Cの3つ形成する例を挙げたが、これに限定されず、2つの変動形状部、4つ以上の変動形状部を形成するようにしてもよい。
【0040】
一方、前記基準形状部6の凹部及び前記変動形状部9の凹部の深さが、高温ガス炉用燃料コンパクト1を構成する被覆燃料粒子2の表面上に付着させた黒鉛マトリックス3の厚さよりも小さいことが好ましい。このようにすれば、高温ガス炉用燃料コンパクト1のプレス成型の際に、黒鉛マトリックス3が流動せず、被覆燃料粒子2が元の位置に留まる場合においても、使用する金型の表面と被覆燃料粒子2とが接触し、被覆燃料粒子2の被覆層(図示せず。)を破壊することを防止することができる。
【0041】
本発明に係る高温ガス炉用燃料コンパクト識別方法は、高温ガス炉用燃料コンパクト1の表面に形成された基準形状部6と、高温ガス炉用燃料コンパクト1の表面に、かつ高温ガス炉用燃料コンパクト毎に異なる位置に形成された変動形状部9との位置関係からそれぞれの高温ガス炉用燃料コンパクトを識別することを基本とする。
【0042】
図1に示されるような形状を有する高温ガス炉用燃料コンパクト1を形成する際に、前記基準形状部6及び前記変動形状部9をプレス成型により、高温ガス炉用燃料コンパクト1の形成と同時に形成することが好ましい。このようにすれば、プレス成型の装置のみで、本発明に係る方法を実施することができるので、成型時の設備の管理が容易である。
【0043】
このプレス成型を行う際に、図4に示されるような、中空円筒状のパンチ10を使用する。パンチ10の端面には、突起11が形成されている。突起11は、パンチ10の中心軸に向かって、パンチ10の径方向に延びて形成されてなる。
【0044】
また、このプレス成型を行う際に、図5に示されるような、円柱状の芯金12を使用する。芯金12の周面には、芯金12の中心軸に向かって凹む凹部13が形成されている。凹部13は、軸方向に延びて形成されている。
【0045】
プレス成型は、次のようにして行う。高温ガス炉用燃料コンパクトの一端面及び外周面を形成する有底円筒の外枠(図示せず。)の内部円筒空間内に、芯金12を内部円筒空間の中心軸線と芯金12の中心軸線とが一致するように配置し、前記外枠(図示せず。)と芯金12とで形成される水平断面環状の空間内に、被覆燃料粒子2の表面に黒鉛マトリックス3を付着させてなるオーバーコート粒子を装填し、次いで、前記芯金12をパンチ10の中央貫通孔に挿入するようにして前記芯金12にパンチ10を装着する。
【0046】
このときパンチ10における突起11を有する端面を外枠(図示せず。)に向かうように、パンチ10を芯金12に装着する。パンチ10は、突起11と芯金12における凹部13とが、所定のずれ角θ(図2参照)を有するように、芯金12に装着される。
【0047】
次いで、パンチ10を外枠(図示せず。)に向かって押し動かし、このパンチ10、芯金12、及び外枠(図示せず。)により閉塞された空間内の前記オーバーコート粒子をプレス成型する。このようにして高温ガス炉用燃料コンパクト1が形成される。
【0048】
次に、別の高温ガス炉用燃料コンパクト1をプレス成型する際には、芯金12の凹部13と、パンチ10の突起11とが前回プレス成型で得られた高温ガス炉用燃料コンパクト1におけるずれ角θと異なるずれ角θを有するように、パンチ10を所定のずれ角だけ回転させて配置する。その後、プレス成型を行い、変動形状部9と前記基準形状部6とが所定のずれ角θを有する高温ガス炉用燃料コンパクト1が形成される。
【0049】
以上の操作を繰り返すことにより、変動形状部9と前記基準形状部6とが異なる所定のずれ角θを有する、別々の高温ガス炉用燃料コンパクト1が複数形成される。
【0050】
これら、複数の高温ガス炉用燃料コンパクト1は、例えば、図2に示されるように、高温ガス炉用燃料コンパクト1の上端面7側から、CCDカメラを用いて、画像処理により変動形状部9と前記基準形状部6とが所定のずれ角θを有することが測定される。この測定結果から、高温ガス炉用燃料コンパクト1の固有の識別番号が読み取られる。
【0051】
なお、変動形状部9と前記基準形状部6とが所定のずれ角θを有することを測定する方法としては、他に、接触式又は反射式の測定方法を挙げることができる。接触式の測定方法としては、例えば、触診式のプローブ等を用いて、測定する方法を挙げることができる。また、反射式の測定方法としては、レーザーを用いた測定方法を挙げることができる。
【0052】
上記したように、基準形状部6及び変動形状部9を形成し、前記基準形状部6と前記変動形状部9との位置関係、例えば、所定のずれ角θからそれぞれの高温ガス炉用燃料コンパクトの識別番号を読み取るので、高温ガス炉用燃料コンパクト1を成型する際に、成型に用いる金型を交換する必要はなく、多大な労力がかかることがない。また、高温ガス炉用燃料コンパクト1を構成する被覆燃料粒子2の被覆層を破損することがなく、切削等による切削粉等が発生することがない。また、高温ガス炉用燃料コンパクト1の取扱い時に傷がついたとしても基準形状部6及び変動形状部9がなくなることがなく、正確にそれぞれの高温ガス炉用燃料コンパクト1を識別することができる。
【0053】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。
本発明における高温ガス炉用燃料コンパクトの外形は円筒形でありその円筒形の軸線長さが所定の値に決定されていてその円筒形の両端面から突出する部位がないという条件を満たしつつ、基準形状部と変動形状部とが形成される。この変動形状部は、基準形状部に対する相対的な種々の位置関係および変動形状部自体の種々の形状の組み合わせにより、個々の高温ガス炉用燃料コンパクトの識別を可能にする。
例えば、図1及び図2に示されるように、変動形状部9は、高温ガス炉用燃料コンパクト1の中心軸に向かって、高温ガス炉用燃料コンパクト1の径方向に延びる凹部であった。図1及び図2に示される変動形状部9は、基準形状部6に対して角度θの位置で半径方向に延在するという位置関係及び変動形状部9の半径方向に延在する凹部形状により、高温ガス炉用燃料コンパクトが他の高温ガス炉用燃料コンパクトと識別される。変動形状部の形状としては、図6に示されるように、半球状に窪み、かつ円形の開口を有する凹部である変動形状部9Dのようにしてもよく、また、図示は略すが、三角錐、四角錐形状等、様々な形状を有するようにしてもよい。また、図11に示されるように、変動形状部は、円周に沿って所定長さに形成された凹部9Hであってもよく、また、高温ガス炉用燃料コンパクトの端面に刻印された円周に沿って所定長さに形成された凹部9Iであってもよい。
【0054】
また、図1に示されるように、基準形状部6は、内壁面5から高温ガス炉用燃料コンパクト1の中心軸に向かって突出している凸部であったが、これに限定されず、図7に示されるように、基準形状部6Aは、内壁面5の一部が高温ガス炉用燃料コンパクト1の軸方向に延びる平坦面であってもよい。
【0055】
さらに、円柱形状を有する高温ガス炉用燃料コンパクトの場合には、図8に示されるように、高温ガス炉用燃料コンパクト21の上端面22に、基準形状部23及び変動形状部24が形成されるようにしてもよい。基準形状部23及び変動形状部24の両方ともに凹部であってもよい。基準形状部23は、高温ガス炉用燃料コンパクト21の中心軸側に形成され、径方向に向かって延びる凹部である。変動形状部24は、高温ガス炉用燃料コンパクト21の外周側に形成され、径方向に向かって延びる凹部である。これら基準形状部23及び変動形状部24も所定のずれ角θ4を有している。
【0056】
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものでは無い。
【0058】
(実施例)
上記したような手順で、図1に示されるような、高温ガス炉用燃料コンパクトを成型した。なお、成型した高温ガス炉用燃料コンパクトの直径は、26mmであり、その高さは、39mmであった。また、成型した基準形状部の凸部の幅は、1mmであり、その高さは、0.3mmであった。さらに、成型した変動形状部の凹部の幅は、1mmであり、その深さは、0.3mmであった。高温ガス炉用燃料コンパクトを成型した後、高温ガス炉用燃料コンパクトを約800℃で脱脂し、約1800℃で真空焼成を行った。
【0059】
真空焼成がなされた高温ガス炉用燃料コンパクトをCCDカメラによって、上端面側から、撮影した。撮影して得られた画像により基準形状部の凸部及び変動形状部の凹部が確認された。基準形状部の凸部及び変動形状部の凹部が確認されたことにより、これら基準形状部の凸部及び変動形状部の凹部のずれ角も認識することができた。このずれ角により、この高温ガス炉用燃料コンパクト固有の識別番号を読み取ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明における高温ガス炉用燃料コンパクトを示す概略図である。
【図2】図2は、本発明における高温ガス炉用燃料コンパクトの上端面を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明における高温ガス炉用燃料コンパクトの変形例を示す概略図である。
【図4】図4は、プレス成型を行う際に使用するパンチを示す概略図である。
【図5】図5は、プレス成型を行う際に使用する芯金を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明における高温ガス炉用燃料コンパクトの変形例を示す概略図である。
【図7】図7は、本発明における高温ガス炉用燃料コンパクトの変形例を示す概略図である。
【図8】図8は、本発明における高温ガス炉用燃料コンパクトの変形例を示す概略図である。
【図9】図9は、本発明における高温ガス炉用燃料コンパクトの基準形状部を示す概略図である。
【図10】図10は、本発明における高温ガス炉用燃料コンパクトの変動形状部を示す概略図である。
【図11】図11は、本発明における高温ガス炉用燃料コンパクトの変動形状部を示す概略図である。
【符号の説明】
【0061】
1 高温ガス炉用燃料コンパクト
2 被覆燃料粒子
3 黒鉛マトリックス
4 中空部
5 内壁面
6 基準形状部
6A 基準形状部
6B、6C及び6D 凸部の角部
7 上端面
8 下端面
9 変動形状部
9A 第1変動形状部
9B 第2変動形状部
9C 第3変動形状部
9D 変動形状部
9E、9F及び9G 凹部の角部
9H 変動形状部
9I 変動形状部
10 パンチ
11 突起
12 芯金
13 凹部
21 高温ガス炉用燃料コンパクト
22 上端面
23 基準形状部
24 変動形状部





 

 


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