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発明の名称 自然循環式沸騰水型原子炉
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232519(P2007−232519A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−53349(P2006−53349)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 高橋 志郎 / 大塚 雅哉 / 椿 正昭 / 廣川 文仁 / 青山 肇男
要約 課題
複数の直立した格子流路に仕切ってチムニの内側を冷却材の上昇流路とした際に発生する気液二相流の流動様式による流力振動を低減する格子流路の流路構造を実現する。

解決手段
圧力容器6内の炉心7の上に設置される円筒状のチムニ11の内側に、格子状に仕切られた複数の直立した格子流路11aを備える。そして、格子流路11aを上昇してきた冷却材が隣り合う格子流路11aの間を行き交うように、各格子流路11aの流路隔壁11bに切欠き部35を設けることで、各格子流路11aの圧力変動の均一化を図る。それにより、流力振動荷重を低減してチムニの構造健全性を確保し、原子炉の健全性維持及び定期検査などの作業性に伴う経済性を図る。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器内の炉心の上に設置されるチムニによって内側に上昇流路を、外側に下降流路を有する冷却材の循環流路を備えている自然循環式沸騰水型原子炉であって、
前記チムニは、格子状に仕切られた複数の直立した格子流路を備え、該格子流路は、隣り合う格子流路の間の圧力を均衡するように形成された連通部を有していることを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉。
【請求項2】
前記連通部の連通面積が、前記格子流路の高さ方向に至るにしたがって大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉。
【請求項3】
前記連通部が、前記格子流路の高さ方向の上側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉。
【請求項4】
前記連通部が、前記格子流路の高さ方向の上側に形成され、かつ、その連通面積が、前記格子流路の高さ方向の上端に至るにしたがって大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉。
【請求項5】
前記連通部が、切欠け部又は複数の孔部を備えて形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の自然循環式沸騰水型原子炉。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然循環式沸騰水型原子炉に係り、特に冷却材の密度差により自然循環の冷却材循環駆動力を得るために炉心の上に設置されるチムニの流路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自然循環式の沸騰水型原子炉(以後、BWRと称する)は、原子炉圧力容器内に炉心が収納されており、この炉心を取り囲むように円筒状の炉心シュラウドが設けられている。そして、炉心の上にはこれに繋がるかたちで円筒状のチムニが設けられている。
これら炉心シュラウド及びチムニの内側に冷却材の上昇流路が、外側には原子炉圧力容器の内周面との間で冷却材の下降流路としてダウンカマが形成されている。これにより、原子炉圧力容器内には冷却水の密度差に基づく冷却材循環駆動力よって自然循環するための循環流路がダウンカマ、炉心下部プレナム、上昇流路によって構成されている。
【0003】
冷却材が自然循環するための循環流路を原子炉圧力容器内に備えているBWRは、その循環途中である炉心で熱を受けて加熱された冷却材が、蒸気を伴う飽和状態の気液二相流となり、炉心の各燃料集合体からチムニ内を抜け出る上昇流路にて上昇し、気水分離器によって水と蒸気に分離される。蒸気はタービンなどに供給され、水はダウンカマ側に戻される。また、タービンで仕事をした後の蒸気は、復水された後に給水入口ノズルを介して原子炉圧力容器内(ダウンカマ側)に戻される。
ダウンカマに戻された冷却材は、炉心で加熱されて炉心からチムニを抜け出て上昇流路を上昇する水、蒸気二相飽和状態の冷却材よりも低温で密度が大きいことから、この密度差に基づく冷却材自然循環駆動力でダウンカマを下降していく。ダウンカマを下降した冷却材の流れは炉心下部プレナムで上側に反転して再度炉心へ下方から入り加熱されて上昇流路を上昇する。
【0004】
このように、チムニを用いて循環流路を原子炉圧力容器内に備えているBWRでは、冷却材を取り扱う際に、再循環ポンプを用いた強制循環式を利用しないで自然循環を繰り返すように原子炉圧力容器内の冷却材は取り扱われている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
そのため、このような自然循環式のBWRは、冷却材を再循環ポンプで強制的に循環させる強制循環式のBWRとの最大の違いは、冷却材を循環させるための系統及び機器が簡略化されていることである。
【0005】
また、従来では、自然循環式による冷却材の循環効率の向上を期待し、円筒状のチムニの半径方向に沿って外側から軸芯(中央)に向かう内側に至るにしたがって高さが高くなるように例えば最外周領域、外側領域、内側領域などのように区画された直立の食違い格子流路構造を有するチムニを炉心の上に具備し、炉心から上昇されてくる気液二相流の冷却材を通して上昇させるようにした自然循環式のBWRも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平06−265665号公報(段落番号0019、及び図1参照)
【特許文献2】特開平08−094793号公報(段落番号0022〜0023、及び図1参照)
【特許文献3】特公平07−027051号公報(請求項1、明細書第4頁右欄の第7行目〜第21行目、及び図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者らは、チムニの格子流路を模擬した空気−水二相流実験装置を用いて、垂直上昇流の二相流の流動試験を実施した。この流動試験の中で、二相流の水と空気の流量は、変化させた。
その結果、格子流路を形成する流路隔壁に流力振動(FIV:Flow Induced Vibration)荷重が掛かることが分かった。このような、流力振動荷重は、格子流路間を仕切る流路隔壁の板同士の溶接などによる接合部に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
例えば、図9に示すように、格子流路40の流路横断面内の中央部が気相(空気泡)で占められ、その気泡の外側に格子流路40の内壁面40aに沿って液相(水)が存在する状態41と、流路横断面内が略液相で満たされた状態42とが交互に繰り返されて通過する所謂チャーン流に近い二相流の流動様式となり、流路隔壁に数kPa〜十数kPaの圧力変動が加えられることが分かった。
また、この実験では、隣り合う格子流路間における格子隔壁への圧力変動は、位相が異なることが分かった。
これは、格子流路内におけるチャーン流では、前記のように流れの中で高さ方向にボイド率分布が一様分でないことに加え、高さ方向のボイド率分布が格子流路間では同じ位相でないこと、さらに格子流路ごとに気相の容積量が異なることによるものと考えられる。
このような、流力振動荷重は、格子流路間を仕切る流路隔壁を、板材を溶接などにより接合して形成する場合、この接合部に繰り返し荷重が掛かり、長期的には悪影響を与える可能性がある。
【0008】
本発明は、複数の直立した格子流路に仕切ってチムニの内側を冷却材の上昇流路とした際に発生する冷却材の流力振動荷重を効果的に低減することができるように改良された流路構造を有するチムニを備えた自然循環式沸騰水型原子炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明の自然循環式沸騰水型原子炉は、原子炉圧力容器内の炉心の上に設置されるチムニの内側に、格子状に仕切られた複数の直立した格子流路を備え、該格子流路は、上昇する冷却材が隣り合う格子流路の間を行き交うように形成された連通部を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明の自然循環式沸騰水型原子炉によれば、チムニの各格子流路をそれぞれ上昇してきた気液二相流(チャーン流)は、切欠き部又は複数の孔部からなる連通部によって連通する隣り合う格子流路の間を行き交うことで混合されることになる。つまり、各格子流路において位相が相違する圧力変動が連通部による格子流路の間の連通によって干渉されることになる。これにより、隣り合う各格子流路の間における圧力変動の均衡均一化を図ることが可能となる。その結果、各格子流路における圧力変動の振幅が低減し、流力振動荷重を低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、複数の直立した格子流路に仕切ってチムニの内側を冷却材の上昇流路とした際に各格子流路に生じる流力振動荷重を効果的に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係るチムニを備えた本発明の自然循環式沸騰水型原子炉の概略を示す縦断面図である。
【0013】
≪原子炉の概要≫
自然循環式沸騰水型原子炉(以後、原子炉と称する)1は、図1に示すように、原子炉圧力容器(以後、圧力容器と称する)6内に収納する炉心7で発生するボイド、すなわち蒸気(気相)と飽和温度の液相の冷却材の混合した密度の低い冷却材と、給水配管16bから供給される給水と混合された液相の冷却材との密度差(比重差)によって自然循環に必要な冷却材循環駆動力を得るように構成されている。
【0014】
≪原子炉の構成≫
原子炉1は、図1に示すように、縦長で円筒状を呈する圧力容器6の内部に、円筒状の炉心シュラウド(以後、シュラウドと称する)8が同心上に設けられている。このシュラウド8は、圧力容器6内面の底部の近くに設けられたシュラウドサポート30に固定されたシュラウドレグ8aによって支持されている。そして、シュラウド8の外周面と圧力容器6の内周面との間に環状の空間を形成し、この環状の空間を冷却材の下降流路としてのダウンカマ9としている。
また、シュラウド8の内部には、多数の燃料集合体21を装架する炉心7が炉心支持板22及び上部格子板23で支持されて収容されている。この炉心7の上部格子板23の上には、円筒状のチムニ11が同心上に設けられており、シュラウド8及びチムニ11の内側に冷却材の上昇流路を形成する。
【0015】
ダウンカマ9の上方には、復水器3から給水ポンプ4を介して、給水加熱器5で加熱の後、給水入口ノズル17から圧力容器6内に供給される冷却材を配給する図示省略の給水スパージャが円環状に設けられている。ダウンカマ9を下降した冷却材は、シュラウドレグ8a間の流路から、下部プレナム10に導き入れられる。
【0016】
そして、チムニ11の上端はシュラウドヘッド12aで閉じられている。このシュラウドヘッド12aには、所定数の冷却材通過用の孔(図示省略)が設けられており、スタンドパイプ12bを介して気液二相流から飽和蒸気と飽和水とに分離する気水分離器12に繋がっている。
この気水分離器12の上部には、蒸気乾燥器13が設けられ、気水分離器12を出た飽和蒸気に含まれている湿分が分離除去されるようになっている。
【0017】
また、シュラウドヘッド12aで閉じられたチムニ11の上には、チムニ11の後記する下側の格子流路11a−1から上側の格子流路11a−2を通って上昇してくる飽和状態の冷却材が合流するようにシュラウド上部プレナム(以後、上部プレナムと称する)11cが形成されている(図1参照)。
【0018】
炉心7の下部には、下方へ略半球面状に膨らませた炉心下部プレナム(以後、下部プレナムと称する)10が一体に形成されている。この下部プレナム10と炉心7との間には炉心7と下部プレナム10とを区切る境界になる炉心支持板22を、この炉心支持板22の上方には上部格子板23をそれぞれ設け、燃料集合体21と制御棒24の横方向の配置を決めている。
炉心支持板22には、所定の間隔で円形の図示しない貫通孔が設けられ、その貫通孔に制御棒案内管25が挿入され、制御棒案内管25の下部は、圧力容器6の底部を貫通して制御棒24を上下方向に動かす制御棒駆動機構26を収容する制御棒駆動機構ハウジング(以後、CRDハウジングと称する)26aの上部に組み合わされている。
燃料集合体21は、制御棒案内管25の上端に取り付けられた図示省略の燃料支持金具の上に据えられ、その荷重は制御棒案内管25およびCRDハウジング26aを介して圧力容器6の底部に伝えられるようにしている。
【0019】
燃料支持金具は、側面に冷却材入口を有し、そこに図示省略のオリフィスが設けられ、冷却材流量を規制している。燃料支持金具の冷却材入口に対応する制御棒案内管25の側面には開口が設けられ、下部プレナム10に導かれた冷却材が燃料支持金具を経て、燃料集合体21内に導かれるようになっている。
【0020】
個々の燃料集合体21は、図示省略の四角筒のチャンネルボックスで囲われ、軸方向の個別の流路を形成している。チャンネルボックスは、上部格子板23の上面まで至る。前記四角筒のチャンネルボックスの外側には、隣接している燃料集合体21のチャンネルボックスとの間に間隙を有し、所定割合の冷却材が上方に流れる流路を形成している。
制御棒24は、図示省略の中性子吸収物質を含む有効部を有し、その有効部が前記チャンネルボックスの外面をガイドとして、4体の燃料集合体21間に挿入される。
一方、圧力容器6の上部開口部には上方へ略半球面状に膨らませた容器蓋27が、図示省略の多数のスタッドボルトなどによって着脱(開閉)可能に取り付けられている。この容器蓋27の内側に蒸気ドーム14が設けられている。
【0021】
なお、シュラウドヘッド12aとスタンドパイプ12b及び気水分離器12は一体に組み立てられており、原子炉1の定期検査や燃料を交換するなどのときにはチムニ11の上端から一体で取り外すことが可能になっている。
【0022】
このように、概略説明した炉心7、チムニ11などの炉内構造物を圧力容器6内に順次設けけた構造になっている自然循環式の原子炉1においては、図1に示すように、冷却材(軽水)が気水分離器12の途中の高さの水位レベルWまで入れられた状態で運転される。
そして、給水入口ノズル17から供給される冷却材は、気水分離器12で分離された飽和水と混合し、図1中矢印Aで示す冷却材はダウンカマ9を下降する。ダウンカマ9を降下する冷却材Aの流れは、シュラウド8の下部側に設けられているシュラウドレグ8aから下部プレナム10に流下し、下部プレナム10で上側に反転して再度炉心7内に下方から流入し、炉心7によって加熱される。
【0023】
炉心7からの加熱によって冷却材Aは、図1中矢印Bで示す飽和状態の気液二相流となる。この気液二相流Bは、チムニ11の格子流路11aを通って上昇し、上部プレナム11c、スタンドパイプ12bを経て、気水分離器12によって、矢印Cで示す気相の飽和蒸気と、矢印Dで示す液相の飽和水に分離される。このように、炉心7、チムニ11は、内側に冷却材の上昇流路を構成している。
飽和蒸気Cは、蒸気乾燥器13を経て、蒸気出口ノズル15から主蒸気配管16aによってタービン2に導かれて発電に供される。
【0024】
一方、飽和水Dは、圧力容器6内の冷却材に混合され、また、給水入口ノズル17から供給される冷却材と更に混合されて、再びダウンカマ9を下降してシュラウドレグ8aから下部プレナム10に流下され、この下部プレナム10で上側に反転して再度炉心7内に下方から流入して加熱されることが繰り返される。
つまり、ダウンカマ9に戻された冷却材は、給水と混ざり合ったものであり、炉心7で加熱されて炉心7、チムニ11と繋がる上昇流路を上昇する気液二相流の冷却材よりも低温で密度が大きいことから、その密度差(比重差)に基づく冷却水自然循環駆動力が生じ、ダウンカマ9を下降していく。
【0025】
≪第1の実施形態のチムニの構成≫
つぎに、第1の実施形態に係るチムニの格子流路の流路構造を、図2及び図3を用いて説明する。
図2は、図1のII−II線横断面図であり、図3は、第1の実施形態に係るチムニの格子流路を有する格子構造体を示す斜視図である。ここでは、図1を適宜参照して説明する。
【0026】
チムニ11は、図2及び図3に示すように、上方から見て格子状に仕切られた複数の格子流路11aを有する格子構造体11−1を内側に備えて構成されている。
また、チムニ11は、格子構造体11−1の周囲を取り囲む円筒状のチムニ胴11dを備えている。このチムニ胴11dは、例えば圧力容器6内に同心上に設置されて格子構造体11−1を同心上に収容すると共に、格子構造体11−1の上端とシュラウドヘッド12aとの間に上部プレナム11cが形成される高さに形成されている(図1参照)。
【0027】
≪格子構造体の構成≫
格子構造体11−1は、図3に示すように、流路隔壁11bによって格子状に仕切られた格子流路11aを備えている。ちなみに、流路隔壁11bの接合は溶接などによって行われている。
また、格子構造体11−1は、チムニ胴11d内に同心上に収容された状態において、チムニ胴11dの上端を閉じるシュラウドヘッド12aとの間に上部プレナム11cが形成される高さに形成されている(図1及び図2参照)。
【0028】
≪格子流路の構成≫
格子流路11aは、流路横断面が正方形を呈し、その流路横断面(開口)の大きさは炉心7の横断面の2×2配列の制御棒セル31の配列角に合わせて形成されている(図2参照)。従って、各格子流路11aの配置は、図2に示すように、炉心7の横断面に対し、1/8対称軸34に対して鏡対称の配置となる。
つまり、図2に示すように、通常、炉心7の平面における中心Pを通るX軸32とY軸33のそれぞれの対称軸、およびX軸32又はY軸33に対して45°の角度をなして中心Pを通る1/8対称軸34を有している。
これにより、定期検査などの点検の際に、チムニ11を圧力容器6の内部に設置したまま、格子構造体11−1の高さ方向に繋がる各格子流路11aを通じて燃料集合体21、または、制御棒24を引き上げ、そして装荷するなどの交換作業を行うことができる。
【0029】
そして、格子流路1aは、上部プレナム11cに開放状に臨む上側開口部を有する上側に切欠き部35を備えている。この切欠き部35は、各格子流路1aを上昇してきた気液二相流が、隣り合う格子流路11aの間を行き交うように各格子流路11aを連通する連通部になる。
【0030】
≪切欠き部の構成≫
切欠き部35は、図1及び図3に示すように、各格子流路11aを構成する流路隔壁11bに、格子流路11aの上端開口部から下端開口部側(上部格子板23の図示省略の格子孔を介して炉心7に繋がる開口部側)に下がった高さ方向の適宜の寸法範囲内で形成されている。
この切欠き部35を設ける格子流路11aの上端開口部から下端開口部側に下がった高さ方向の寸法Lとしては特に限定されるものではないが、例えば、格子流路11aの上端開口部から下端開口側に0.50〜0.100m下がった高さ方向の範囲であり、特に、格子流路11aの上端開口部から下端開口側に0.75m下がった高さ方向の範囲とすることが好適なものとなる。
【0031】
そこで、本願発明者らは、チムニ11の各格子流路11aの高さ方向における圧力変動の特性を調べるために、格子流路を模擬した実験装置を用いて水と空気の流量を変化させた気液二相流の流動実験を実施した。その実験の結果を図4に示す。
図4は、格子流路を模擬した実験装置を用いて水と空気の流量を変化させ、気液二相流の流動実験を実施したときに得られた格子流路の高さ方向における圧力変動の特性を示すグラフである。
【0032】
図4から明らかなように、格子流路の上端開口部から下端開口部側に0.75m下がった高さ方向の範囲において圧力変動が発生することが確認され、この寸法範囲から格子流路の下端開口部側に下がる高さ方向においては圧力変動の生成が起こらない。
つまり、チムニ11の各格子流路11aを上昇してきた気液二相流が合流する上部プレナム11cに臨む格子流路11aの上端開口部から、炉心7に上部格子板23を介して繋がる格子流路11aの下端開口部側に0.75m下がった範囲内において圧力変動が発生することが分かった。
これは、チャーン流の流動様式によって発達しながらチムニ11の各格子流路11aを上昇してきた気液二相流の格子流路11aの流路横断面内において中央部が気相で占められ、その気相の外側に沿って液相が存在する状態に発達した気泡が格子流路11aの上端開口部から上部プレナム11cに抜け出たときに、当該上端開口部の内部に一瞬起こる圧力の低下現象が引き金となって、上部プレナム11c内の冷却材が格子流路11aに落下(逆流)する。そして、この落下した冷却材と格子流路11aを上昇してくる気液二相流の冷却材とが衝突するために発生することが流動実験によって確認され、この負圧現象による圧力変動の発生は、格子流路11aの上端開口部から下端開口部側に0.75m下がった高さ方向の範囲であることが確認された。また、格子流路11aの上端開口部(出口端)で生じる上昇流と下降流の複雑な変化により圧力損失、水頭圧が変化して、圧量変動が生じることも考えられる。
【0033】
このように、上部プレナム11cに開放状に臨む上端開口部から下端開口部側に0.75m下がった高さ方向の範囲で切欠き部35を有する複数の直立した格子流路11aを備えた第1の実施形態に係るチムニ11によれば、各格子流路11aをそれぞれ上昇してきた気液二相流(チャーン流)は、切欠き部35によって連通する隣り合う格子流路11aの間を行き交うことで混合されることになる。つまり、各格子流路11aにおいて位相が相違する圧力変動が切欠き部35による格子流路11aの間の連通によって合成されることになる。これにより、隣り合う各格子流路11aの間における圧力変動の均一化を図ることが可能となり、流力振動荷重を低減させることができる。
【0034】
≪第2の実施形態のチムニの説明≫
図5は、第2の実施形態に係るチムニの格子流路を有する格子構造体の一部を示す斜視図である。
第2の実施形態に係るチムニ11(格子構造体11−1)は、第1の実施形態における各格子流路11aに設けた切欠き部35の開口形態を変えた以外は第1の実施形態と基本的に同じことから、同じ構成要素に同じ符号を付することにより重複説明は省略する。
すなわち、図5に示すように、切欠き部36の上向き開口部を格子流路11aの上端開口部の開口縁辺に沿って閉じるように繋いでいる。つまり、縦長の開口部形状の連通部として、各格子流路11aを上昇してきた気液二相流が、隣り合う格子流路11aの間を行き交うように形成している。
【0035】
≪第3の実施形態のチムニの説明≫
図6は、第3の実施形態に係るチムニの格子流路を有する格子構造体の一部を示す斜視図である。
第3の実施形態に係るチムニ11(格子構造体11−1)は、前記した第1の実施形態における各格子流路11aに設けた切欠き部35の開口形態を変えた以外の構成は第1の実施形態と基本的に同じことから、同じ構成要素に同じ符号を付することにより重複説明は省略する。
すなわち、図6に示すように、格子構造体11−1の隣り合う格子流路11aを連通する切欠き部37の連通面積が、格子流路11aの上端部開口部に至るにしたがって大きくなるように、略Vの字形又は略逆向きハの字形に形成して隣り合う格子流路11aを連通させる連通部としている。これにより、各格子流路11aを上昇してきた気液二相流が、隣り合う格子流路11aの間を行き交うようにしている。
【0036】
このように、格子流路11aの上端開口部に至るにしたがって隣り合う格子流路11aとの連通面積を大きくするように切欠き部37を形成することにより、各格子流路11aをそれぞれ上昇してきた気液二相流の隣り合う格子流路11aの間において行き交う流動量を助長させることが期待できる。これにより、気液二相流の混合を促進させて各格子流路11aの間における位相が相違する圧力変動の合成効果を高めることができる。
【0037】
≪第4の実施形態のチムニの説明≫
図7は、第4の実施形態に係るチムニの格子流路を有する格子構造体の一部を示す斜視図である。
第4の実施形態に係るチムニ11(格子構造体11−1)は、前記した第1及び第2の実施形態における格子流路11aに設けた切欠き部35,36の開口形態に変えて、複数の孔部38によって隣り合う格子流路11aを連通させる連通部としている。このように、第4の実施形態においては複数の孔部38によって格子流路11aを連通させるように形成した以外の構成においては第1及び第2の実施形態と基本的に同じことから、同じ構成要素に同じ符号を付することにより重複説明は省略する。
すなわち、図7に示すように、格子流路11aの上端開口部から下端開口部側に下がった高さ方向の寸法Lの範囲内に、横2列で、縦5列の円形状の孔部38を複数設けることにより、各格子流路1aを上昇してきた気液二相流が、隣り合う格子流路11aの間を行き交うように各格子流路11aを連通する連通部としている。
【0038】
≪第5の実施形態のチムニの説明≫
図8は、第5の実施形態に係るチムニの格子流路を有する格子構造体の一部を示す斜視図である。
第5の実施形態に係るチムニ11(格子構造体11−1)は、第4の実施形態における各格子流路11aに設けた孔部38の配列形態を変えた以外は第4の実施形態と基本的に同じことから、同じ構成要素に同じ符号を付することにより重複説明は省略する。
すなわち、図8に示すように、格子流路11aの上端開口部から下端開口部側に下がった高さ方向の寸法Lの範囲内に、略V字形の配列形態にて円形状の孔部39を複数設けることにより、各格子流路11aを上昇してきた気液二相流が、隣り合う格子流路11aの間を行き交うように各格子流路11aを連通する連通部としている。
【0039】
以上のように構成された各実施形態のチムニ11を備えた原子炉1によれば、炉心7で加熱された冷却材が飽和状態の気液二相流となって格子構造体11−1の各格子流路11aを上昇通過して上部プレナム11c内に流れ込み合流する前に、各格子流路11a内において混合される。つまり、各格子流路11aを上昇してきた気液二相流は、切欠き部35,36,37、そして、複数の孔部38,39からなる連通部による隣り合う各格子流路11aの間の連通よって各格子流路11aの間を行き交うことで混合されることになる。
このように、各格子流路11aをそれぞれ上昇してきた気液二相流が上部プレナム11c内に流れ込み合流する前に、連通する各格子流路11a内において混合されることで、それぞれの格子流路11aにおいて位相が相違する圧力変動は格子流路11aの間の連通によって合成される。これにより、隣り合う各格子流路11aの間における圧力変動の均一化が図られ、各格子流路11aにおける流力振動荷重を低減させることができる。
つまり、チムニ11の内側を垂直に仕切る格子流路11aを有する格子構造体11−1の構造健全性を確保し、原子炉1の健全性維持及び定期検査などの作業性に伴う経済性を図ることができる。
【0040】
また、複数の直立した各格子流路11aを連通する切欠き部35,36,37、そして、複数の孔部38,39からなる連通部を各格子流路11aの上側に設けていることで、チムニ11の上側の軽量化が図られる。それにより、原子炉1を底重心型に建設することが可能となり、耐震性の安定性を確保することができる。しかも、チムニ11を、例えば、原子炉1の建設場所への搬送、そして、圧力容器6内に吊り下げ収容、そして、定期点検などのときに圧力容器6から引き上げるなどの作業性の向上が期待できる。
【0041】
しがたって、各実施形態によれば、格子流路11aの流路隔壁11bにかかる流力振動荷重を効果的に低減することができ、原子炉運転期間中のチムニ11や格子流路11aの損傷の可能性を小さくすることができる。これにより、長期間の使用にも耐えられ、原子炉1の定期点検時の点検・保守の手間も省け、チムニ11や格子流路11aを有する格子構造体11−1の交換などの回数を減らすことができる。また、交換時のプラント停止による経済損失を最小限に抑えることができる。
【0042】
さらに、複数の直立した格子流路11aに仕切ってチムニ11の内側を冷却材の上昇流路とする格子構造をチムニ11の内側の備えても、定期検査などの点検の際に、チムニ11を圧力容器6の内部に設置したまま、格子構造体11−1の各格子流路11aを通して燃料集合体21、または、制御棒24を引き上げ、そして装荷するなどの交換作業を行うことができる。つまり、燃料交換時の工程の増加を招くなどの不具合も生じることはない。
【0043】
なお、本発明の実施形態の具体的な構成は、前記した各実施形態に限られるものではなく、請求項1から請求項4に記載の本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更などがあっても本発明に含まれるものである。
例えば、隣り合う格子流路の間を連通させる連通部である円形状の孔部の孔径を同じ孔径とせずに、例えば、高さ方向の孔径を格子流路の上端開口部に至るにしたがって段階的に大きくすることができる。また、孔部は円形状に限らず、長孔形状が矩形形状に形成することもできる。
【0044】
さらに、切欠き部や複数の孔部からなる連通部を、格子流路の下端開口部側から上端開口部側に至る範囲の高さ方向に設けたり、または、高さ方向の適所から上端開口部側に至る範囲の高さ方向に設けることもできる。
また、これらの連通部により、各格子流路内のボイド率を制御することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、自然循環式沸騰水型原子炉に適用され、炉心の上に設置されるチムニの内側の上昇流路内での気液二相流(チャーン流)に起因する流力振動(圧力変動)を低減するのに有効に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1の実施形態に係るチムニを備えた本発明の自然循環式沸騰水型原子炉の概略を示す縦断面図である。
【図2】原子炉圧力容器を省略して示す図1のII−II線横断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るチムニの格子流路を有する格子構造体を示す斜視図である。
【図4】格子流路を模擬した実験装置を用いて水と空気の流量を変化させ、気液二相流の流動試験を実施したときに得られた格子流路の高さ方向における圧力変動の特性を示すグラフである。
【図5】第2実施形態に係るチムニの格子流路を有する格子構造体の一部を示す斜視図である。
【図6】第3の実施形態に係るチムニの格子流路を有する格子構造体の一部を示す斜視図である。
【図7】第4の実施形態に係るチムニの格子流路を有する格子構造体の一部を示す斜視図である。
【図8】第5の実施形態に係るチムニの格子流路を有する格子構造体の一部を示す斜視図である。
【図9】チムニの格子流路内における気液二相流のチャーン流の流動様式を調べるために、格子流路を模擬した実験装置に供した格子流路の概念図である。
【符号の説明】
【0047】
1 自然循環式沸騰水型原子炉
2 タービン
6 原子炉圧力容器
7 炉心
8 炉心シュラウド
9 ダウンカマ(下降流路)
10 炉心下部プレナム
11 チムニ
11−1 格子構造体
11a 格子流路(上昇流路)
11b 流路隔壁
11c シュラウド上部プレナム
11d チムニ胴
21 燃料集合体
31 制御棒セル
35,36,37 切欠き部(連通部)
38,39 孔部(連通部)




 

 


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