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発明の名称 原子炉システム及び原子炉制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232504(P2007−232504A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−53068(P2006−53068)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
代理人 【識別番号】100122884
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 芳末
発明者 伏見 篤 / 有田 節男 / 石井 佳彦 / 池側 智彦 / 長谷川 真 / 石井 一彦
要約 課題
動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように短時間で原子炉を安定に制御する。

解決手段
原子炉システムは、原子炉圧力容器6に対して設定される炉水温度変化率に基づいて原子炉圧力容器6の内部で制御棒を上下動させるための制御棒操作信号51を生成する出力制御装置41と、自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて原子炉圧力容器6に対する給水流量及び下降流路の流量信号を生成する給水制御装置43と、出力制御装置41と給水制御装置43を統括するプロセス計算機45とを有し、原子炉水位信号の変動量に基づいて炉水温度変化率の設定値53を調整する炉水温度変化率設定部48を給水制御装置43に付加したものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器の内部に、冷却材の上昇流路と下降流路とを形成し、前記上昇流路における冷却材と前記下降流路における冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環系を有する原子炉システムにおいて、
炉水温度変化率に基づいて前記原子炉圧力容器の内部で制御棒を引抜、挿入させるための制御棒操作信号を生成する出力制御部と、
前記自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて前記原子炉圧力容器に対する給水流量及び原子炉からの排水流量信号を生成する給水制御部と、
前記出力制御部と前記給水制御部を統括するプロセス計算部とを有し、
前記原子炉水位信号の変動量に基づいて前記炉水温度変化率の設定値を調整する炉水温度変化率設定機能を前記出力制御部、前記給水制御部又は前記プロセス計算部のいずれかに付加したことを特徴とする原子炉システム。
【請求項2】
前記炉水温度変化率設定機能は、
前記原子炉水位信号に基づく原子炉水位の変動量が大きい場合に前記炉水温度変化率の設定値を低下させ、
前記原子炉水位信号に基づく原子炉水位の変動量が小さい場合に前記炉水温度変化率の設定値を増加させる
ことを特徴とする請求項1に記載の原子炉システム。
【請求項3】
前記炉水温度変化率設定機能は、
前記原子炉水位信号を高速フーリエ変換して指定した周波数範囲の最大振幅を算出し、
前記最大振幅が大きい場合に前記炉水温度変化率の設定値を低下させ、
前記最大振幅が小さい場合に前記炉水温度変化率の設定値を増加させる
ことを特徴とする請求項1に記載の原子炉システム。
【請求項4】
原子炉圧力容器の内部に、冷却材の上昇流路と下降流路とを形成し、前記上昇流路における冷却材と前記下降流路における冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環系を有する原子炉システムにおいて、
炉水温度変化率及び前記原子炉圧力容器の内部の圧力を示す原子炉圧力信号に基づいて前記原子炉圧力容器の内部で制御棒を引抜、挿入させるための制御棒操作信号を生成する出力制御部と、
前記自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて前記原子炉圧力容器に対する給水流量及び原子炉からの排水流量信号を生成する給水制御部と、
前記出力制御部と前記給水制御部を統括するプロセス計算部とを有し、
少なくとも前記原子炉圧力信号と前記原子炉圧力容器の内部の炉心入口の温度信号とを入力とし、予め格納した関数により、前記炉水温度変化率の設定値を決定する炉水温度変化率設定機能を前記出力制御部、給水制御部又は前記プロセス計算部のいずれかに付加したことを特徴とする原子炉システム。
【請求項5】
前記予め格納した関数は、
前記原子炉圧力信号に基づく原子炉圧力が高いほど温度変化率設定値が高く、
前記炉心入口の温度信号に基づく炉心入口の温度が低いほど温度変化率設定値が高くなるような関数であることを特徴とする請求項4に記載の原子炉システム。
【請求項6】
原子炉圧力容器の内部に、冷却材の上昇流路と下降流路とを形成し、前記上昇流路における冷却材と前記下降流路における冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環系を有する原子炉システムにおいて、
炉水温度変化率及び前記原子炉圧力容器の内部の圧力を示す原子炉圧力信号に基づいて、前記原子炉圧力容器の内部で制御棒を引抜、挿入させるための制御棒操作信号を生成する出力制御部と、
前記自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて前記原子炉圧力容器に対する給水流量及び原子炉からの排水流量信号を生成する給水制御部と、
前記出力制御部と前記給水制御部を統括するプロセス計算部とを有し、
前記原子炉水位信号の変動量が予め設定される設定値よりも大きい場合に、予め選択した制御棒の挿入信号を出力する機能を前記出力制御部、前記給水制御部又は前記プロセス計算部のいずれかに付加したことを特徴とする原子炉システム。
【請求項7】
原子炉圧力容器の内部に、冷却材の上昇流路と下降流路とを形成し、前記上昇流路における冷却材と前記下降流路における冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環系を有する原子炉システムにおいて、
炉水温度変化率及び前記原子炉圧力容器の内部の圧力を示す原子炉圧力信号に基づいて前記原子炉圧力容器の内部で制御棒を引抜、挿入させるための制御棒操作信号を生成する出力制御部と、
前記自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて前記原子炉圧力容器に対する給水流量及び原子炉からの排水流量信号を生成する給水制御部と、
前記出力制御部と前記給水制御部を統括するプロセス計算部とを有し、
前記原子炉水位信号の変動量が予め設定される設定値よりも大きい場合に、制御棒駆動阻止信号を出力する機能を前記出力制御部、前記給水制御部又は前記プロセス計算部のいずれかに付加したことを特徴とする原子炉システム。
【請求項8】
原子炉圧力容器の内部に、冷却材の上昇流路と下降流路とを形成し、前記上昇流路における冷却材と前記下降流路における冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環系を有する原子炉システムにおいて、
炉水温度変化率及び前記原子炉圧力容器の内部の圧力を示す原子炉圧力信号に基づいて前記原子炉圧力容器の内部で制御棒を引抜、挿入させるための制御棒操作信号を生成する出力制御部と、
前記自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて前記原子炉圧力容器に対する給水流量及び原子炉からの排水流量信号を生成する給水制御部と、
前記出力制御部と前記給水制御部を統括するプロセス計算部とを有し、
前記原子炉水位信号を高速フーリエ変換して指定した周波数範囲の最大振幅を算出し、前記最大振幅が予め設定される設定値よりも大きい場合に、予め選択した制御棒の挿入信号を出力する機能を前記出力制御部、前記給水制御部又は前記プロセス計算部のいずれかに付加したことを特徴とする原子炉システム。
【請求項9】
原子炉圧力容器の内部に、冷却材の上昇流路と下降流路とを形成し、前記上昇流路における冷却材と前記下降流路における冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環系を有する原子炉システムにおいて、
炉水温度変化率及び前記原子炉圧力容器の内部の圧力を示す原子炉圧力信号に基づいて前記原子炉圧力容器の内部で制御棒を引抜、挿入させるための制御棒操作信号を生成する出力制御部と、
前記自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて前記原子炉圧力容器に対する給水流量及び原子炉からの排水流量信号を生成する給水制御部と、
前記出力制御部と前記給水制御部を統括するプロセス計算部とを有し、
前記原子炉水位信号を高速フーリエ変換して指定した周波数範囲の最大振幅を算出し、前記最大振幅が予め設定される設定値よりも大きい場合に、制御棒駆動阻止信号を出力する機能を前記出力制御部、前記給水制御部又は前記プロセス計算部のいずれかに付加したことを特徴とする原子炉システム。
【請求項10】
原子炉圧力容器の内部に、冷却材の上昇流路と下降流路とを形成し、前記上昇流路における冷却材と前記下降流路における冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環系を有する原子炉システムにおいて、
炉水温度変化率及び前記原子炉圧力容器の内部の圧力を示す原子炉圧力信号に基づいて前記原子炉圧力容器の内部で制御棒を引抜、挿入させるための制御棒操作信号を生成する出力制御部と、
前記自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて前記原子炉圧力容器に対する給水流量及び原子炉からの排水流量信号を生成する給水制御部と、
前記出力制御部と前記給水制御部を統括するプロセス計算部とを有し、
少なくとも前記原子炉圧力信号と前記原子炉圧力容器の内部の炉心入口の温度信号とから、予め格納した関数により、炉出力設定値を算出し、前記原子炉圧力容器の内部の中性子束検出に基づく炉出力信号が前記炉出力設定値を越えた場合に、予め選択した制御棒の挿入信号を出力する機能を前記出力制御部、前記給水制御部又は前記プロセス計算部のいずれかに付加したことを特徴とする原子炉システム。
【請求項11】
前記予め格納した関数は、
前記原子炉圧力信号に基づく原子炉圧力が高いほど温度変化率設定値が高く、
前記炉心入口の温度信号に基づく炉心入口の温度が低いほど温度変化率設定値が高くなるような関数である
ことを特徴とする請求項10に記載の原子炉システム。
【請求項12】
原子炉圧力容器の内部に、冷却材の上昇流路と下降流路とを形成し、前記上昇流路における冷却材と前記下降流路における冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環系を有する原子炉システムにおいて、
炉水温度変化率及び前記原子炉圧力容器の内部の圧力を示す原子炉圧力信号に基づいて前記原子炉圧力容器の内部で制御棒を引抜、挿入させるための制御棒操作信号を生成する出力制御部と、
前記自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて前記原子炉圧力容器に対する給水流量及び原子炉からの排水流量信号を生成する給水制御部と、
前記出力制御部と前記給水制御部を統括するプロセス計算部とを有し、
少なくとも前記原子炉圧力信号と前記原子炉圧力容器の内部の炉心入口の温度信号とから、予め格納した関数により、炉出力設定値を算出し、前記原子炉圧力容器の内部の中性子束検出に基づく炉出力信号が前記炉出力設定値を越えた場合に、制御棒駆動阻止信号を出力する機能を前記出力制御部、前記給水制御部又は前記プロセス計算部のいずれかに付加したことを特徴とする原子炉システム。
【請求項13】
原子炉圧力容器の内部に形成される冷却材の上昇流路と下降流路とにおける、冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環系により原子炉を制御する原子炉制御方法において、
前記自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて原子炉水位の変動量を検出するステップと、
前記原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも大きいか否かを判断するステップと、
前記原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも大きいときに前記原子炉圧力容器に対して設定される炉水温度変化率の設定値を低下させるステップと、
前記原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも小さいときに前記原子炉圧力容器に対して設定される炉水温度変化率の設定値を増加させるステップと、
起動時の前記原子炉圧力容器の内部の圧力と前記原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるように、前記炉水温度変化率の設定値が設定されたか否かを判断するステップと、
を含むことを特徴とする原子炉制御方法。
【請求項14】
前記原子炉圧力容器の内部の圧力が予め定められた高圧の定格圧力となったか否かを判断するステップと、
前記自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて原子炉水位の変動量を検出するステップと、
前記原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも大きいか否かを判断するステップと、
前記原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも大きいときに前記原子炉圧力容器に対して設定される炉水温度変化率の設定値を低下させるステップと、
前記原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも小さいときに前記原子炉圧力容器に対して設定される炉水温度変化率の設定値を増加させるステップと、
高圧時の前記原子炉圧力容器の内部の圧力と前記原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるように、前記炉水温度変化率の設定値が設定されたか否かを判断するステップと、
前記原子炉圧力容器の内部の圧力が予め設定される目標値圧力となったか否かを判断するステップと、
を含むことを特徴とする請求項13に記載の原子炉制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、冷却材を自然循環によって循環させる自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉システム及び原子炉制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、沸騰水型原子炉は、その冷却材(冷却水)の循環方式によって強制循環型と自然循環型とに大別することができる。強制循環型沸騰水型原子炉(以下、強制循環型原子炉と記述する)は、ジェットポンプ又はインターナルポンプ等を備えており、このポンプを用いて強制的に炉心に冷却水を送り込むようになっている。
【0003】
一方、自然循環型沸騰水型原子炉(以下、自然循環型原子炉と記述する)は、上記強制循環型原子炉のように強制的に冷却水を循環させるポンプを備えておらず、炉心を取り囲む原子炉シュラウドの外側の冷却水と原子炉シュラウド内側の水と蒸気が混在する気液混合流との密度差(水頭差)に基づく自然循環力によって冷却水が循環されるようになっている。
【0004】
このように、自然循環型原子炉においては、自然循環力により冷却水を循環するので、ポンプにより強制的に冷却水を循環させる強制循環型原子炉と同等の炉心内の冷却水流量を得ることが難しく、再循環促進のために炉心上部の上昇流路を長尺化している。この結果、強制循環型原子炉と同程度の原子炉プラント起動時間を維持しようとすると、炉心内の冷却水流量が起動時の1〜2時間程度不安定になる。
【0005】
具体的には、沸騰水型原子炉(BWR)の起動時は、まず、炉心に挿入された制御棒を引抜くことにより炉心を臨界状態とし、その後、中性子束を増加させて炉心冷却水を定格運転時の約280℃に核加熱し、炉内圧力を約7MPaまで上昇させる。この昇温昇圧過程では、制限値55℃/h以内で炉水温度を上昇させるように、制御棒を操作して出力を調整する。
【0006】
昇温昇圧過程を短時間に完了するためには、温度上昇率を制限値になるべく近い値で一定に保つ必要がある。特に、昇温昇圧過程の初期においては、主蒸気隔離弁を閉じた状態であり、炉出力と炉水温度の上昇率はほぼ比例関係にあるので、制限値を越えない範囲でなるべく高い出力を維持することが起動時間の短縮につながる。
【0007】
ここで、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)では、設定した温度上昇率に保つよう制御棒を操作する機能が出力制御装置に備わっているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、自然循環型沸騰水型原子炉(ESBWR)でも同様の制御が必要であるが、低圧力状態では、自然循環炉固有の流量不安定のため、安定なレベルまで出力を下げて運転する必要が生じることも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許3357975
【特許文献2】特開平5−256991
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に記載の原子炉出力制御装置は、原子炉昇温昇圧過程での温度変化率設定値の上昇率を制限するため変化率制限器を設けているが、これは、制御開始時の急激な設定値上昇による温度変化率のオーバーシュートを防ぐものであり、温度変化率を時間的に変化させているため、原子炉が不安定領域にある場合にのみ温度変化率を低下させるような制御はできない。そのため、自然循環炉にそのまま適用した場合、自然循環炉の低圧時の不安定を回避するため、昇温昇圧過程で必要以上に出力を下げると起動時間が伸長してしまう。特に、低圧時の不安定領域は圧力が上昇するに従って高出力側に遷移するため、もっとも低い圧力に合わせて出力および温度上昇率を設定した場合、圧力が上昇したときに必要以上に上昇率を制限してしまうことになる。従って、圧力に応じて手動で温度上昇率の設定を調整すると、運転員の作業負担が増加し、制御棒操作を自動化したメリットが大きく損なわれてしまう。
【0009】
また、特許文献2に記載の自然循環型原子炉は、炉心入口サブクール度が非常に大きい状態(約50℃)からサブクール度がゼロに近い状態まで核加熱により炉水を昇温し、その後サブクール度がゼロに近い状態を保って、原子炉内を昇圧する手順を示しているが、実際には、サブクール度が大きい状態からサブクール度がゼロに近い状態へ核加熱する過程で流動不安定が発生してしまう。
【0010】
さらに、従来の自然循環型原子炉では、温度変化率の設定値を一定にしているため、最も低圧時に不安定を回避するよう設定すると圧力が上昇した際に必要以上に出力を制限してしまうという不都合があった。
【0011】
本発明は、上述の問題点を解決するためのものであり、運転員の作業負担が増加することがなく、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように短時間で原子炉を安定に制御することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し本発明の目的を達成するため、本発明の原子炉システムは、原子炉圧力容器の内部に、冷却材の上昇流路と下降流路とを形成し、上昇流路における冷却材と下降流路における冷却材との密度(浮力)差によって冷却材を循環させる自然循環系を有する原子炉システムにおいて、適用されるものである。
【0013】
そして、本発明の原子炉システムは、炉水温度変化率に基づいて原子炉圧力容器の内部で制御棒を引抜、挿入させるための制御棒操作信号を生成する出力制御部と、自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて原子炉圧力容器に対する給水流量及び原子炉からの排水流量信号を生成する給水制御部と、出力制御部と給水制御部を統括するプロセス計算部とを有し、原子炉水位信号の変動量に基づいて炉水温度変化率の設定値を調整する炉水温度変化率設定機能を出力制御部、給水制御部又はプロセス計算部に付加したものである。
【0014】
このように、本発明の原子炉システムにおいては、炉水温度変化率設定機能は原子炉水位の変動により不安定を監視して、変動が大きくなった場合に炉水温度変化率の設定値を減少させる。また、変動が小さくなった場合に炉水温度変化率の設定値を増加させる。
さらに、変動が大きい場合に制御棒駆動阻止信号を出力する機能が制御棒操作阻止を実施、又は制御棒の挿入信号を出力する機能が選択制御棒挿入を実施することにより、流量及び水位を安定に保つことができる。
【0015】
より簡易的には、少なくとも原子炉圧力と炉心入口の冷却水温度の関数として、水位の不安定を生じない出力または温度変化率を関数または参照テーブルを起動制御装置内に格納しておき、原子炉計装系からの測定データに基づいて温度変化率設定値を調整することができる。なお、水位の不安定が一定レベル以上に大きくなった場合に備えて、制御棒駆動阻止及び選択制御棒の挿入機能を付加することも有効である。
このように、例えば、原子炉圧力容器の内部の温度と圧力に応じて生じる不安定領域外となるように、原子炉水位の変動量に基づいて炉水温度変化率の設定値を制御することにより、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を短時間で安定に制御することができる。
【0016】
また、本発明の原子炉制御方法は、原子炉圧力容器の内部に形成される冷却材の上昇流路と下降流路とにおける、冷却材との密度(浮力)差によって冷却材を循環させる自然循環系により原子炉を制御する原子炉制御方法において、適用されるものである。
【0017】
そして、本発明の原子炉制御方法は、自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて原子炉水位の変動量を検出するステップと、原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも大きいか否かを判断するステップと、原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも大きいときに原子炉圧力容器に対して設定される炉水温度変化率の設定値を低下させるステップと、原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも小さいときに原子炉圧力容器に対して設定される炉水温度変化率の設定値を増加させるステップと、起動時の原子炉圧力容器の内部の圧力と原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるように、炉水温度変化率の設定値が設定されたか否かを判断するステップと、を含んでいる。
【0018】
本発明の制御方法によれば、原子炉水位の変動量に基づいて炉水温度変化率の設定値を制御するため、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を安定に制御することができる。
さらに、高圧時にも、原子炉水位の変動量に基づいて炉水温度変化率の設定値を制御するため、高圧時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を短時間で安定に制御することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、原子炉水位の変動量に基づいて炉水温度変化率の設定値を制御することにより、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を短時間で安定に制御することが可能となる。さらに、起動効率を向上させることができる。
このように、本発明では、不安定状態の監視にもとづき温度変化率の値設定を調整するため、常に最適な温度変化率にすることが可能であり、起動時間が短縮できる。
また、運転員が頻繁に不安定状態を監視したり、温度変化率を調整したりする必要がなく、作業負担を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る原子炉システム及び原子炉制御方法の実施の形態例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る自然循環型沸騰水型原子炉を適用した原子炉システムの全体構成図である。
【0021】
図1に示すように、自然循環型原子炉システムが有する自然循環型沸騰水型原子炉(以下、「自然循環型原子炉」という。)は、原子炉圧力容器6の内部の複数の燃料棒の間隙に挿入される制御棒3を配置した炉心4を有している。
また、原子炉圧力容器6の下部には、炉心4内で制御棒3を上下方向に挿抜可能に駆動する制御棒駆動装置44が設けられている。そして、原子炉圧力容器6には、主蒸気管12と給水管13が接続されており、原子炉圧力容器6の内部には炉心4を囲むようにして円筒状のシュラウド5が配設されている。
【0022】
このシュラウド5の内側には、冷却材が図に示した矢印方向に上昇するための上昇流路が形成され、また、シュラウド5と原子炉圧力容器6との間隙には、冷却材が下降するための下降流路であるダウンカマが形成されている。また、シュラウド5の上部には、円筒状のチムニ9が配設され、さらに、チムニ9の上方には、気水分離器(セパレータ)10と蒸気乾燥機(ドライヤ)11が設けられている。
【0023】
この原子炉圧力容器6内のチムニの内側は、炉心4で沸騰した気液二相の冷却材が通過するが、この気液二相冷却材とダウンカマ内を通過する液単相の冷却材との密度差によって、冷却材がダウンカマを下降した後に炉心4側に周り、炉心4を通過してチムニ9内を上昇する循環流路が形成される。そしてチムニ9内を上昇した冷却水と水蒸気の混合流が気水分離器10を通過すると、この気水分離器10で蒸気が分離される。気水分離器10分離された単相の冷却水は、再びダウンカマを下降して原子炉圧力容器6の下部を通ってシュラウド5内の炉心4に送り込まれる。
【0024】
また、気水分離器10で分離された蒸気は、さらに蒸気乾燥器11で微少な水滴が除去されて、主蒸気管12を介してタービン18に供給される。この蒸気の流力でタービン18とこれに接続された発電機21が回転し、発電が行われる。
【0025】
タービン18を回転させた蒸気は、抽気ラインを介して復水器23に導入され、凝縮される。この復水器23で凝縮された冷却水(復水)は、給水ポンプ24により給水管13から原子炉圧力容器6内へ還流される。また、この給水管13には流量調整弁25が設けられており、この流量調整弁25によって原子炉圧力容器6内へ還流する冷却水流量を調整することで、原子炉圧力容器6内の原子炉水位を制御できる。さらに、給水管13には図示しない給水加熱器が設けられており、この給水加熱器において、タービン18の途中段から抽気した蒸気が復水器23から流入される冷却水が適当な温度まで昇温されて、原子炉圧力容器6内に注入される。
【0026】
また、主蒸気管12には、図示しない主蒸気隔離弁及びタービン18に導入する蒸気量を調節するタービン蒸気流量加減弁28が設けられ、また、図示しない逃し管及びバイパス管30が接続されている。タービン蒸気流量加減弁28を絞る際には、バイパス管30に設けられたタービンバイパス弁31を開き、蒸気の一部をタービン18に導入せずに、バイパス管30を介して直接復水器23に導入するようになっている。また、上記主蒸気隔離弁を閉鎖する際には、上記逃し管に設けられた安全弁を開き、原子炉で発生した蒸気を格納容器内のサプレッションプール(図示せず)中に導いて蒸気を凝縮するようになっている。
【0027】
そして、本発明の実施の形態例においては、出力制御装置41は、原子炉圧力容器6に対して設定される炉水温度変化率に基づいて原子炉圧力容器6の内部で制御棒3を上下動させるために制御棒駆動制御装置42に供給するための制御棒操作信号51を生成する。また、給水制御装置43は、自然循環系の給水配管19に設けられた検出器から検出される原子炉水位信号52に基づいて給水ポンプ24、流量調整弁25及び排水流量調整弁88を調整するための原子炉圧力容器6に対する給水流量及び排水流量信号を生成する。また、プロセス計算機45は、出力制御装置41と給水制御装置43を統括するように予め定められたプロセスに従って指令を出す。
【0028】
そして、原子炉水位信号の変動量に基づいて炉水温度変化率の設定値を調整する炉水温度変化率設定機能を有する温度上昇率設定部48を、給水制御装置43に付加している。なお、この温度上昇率設定部48は、給水制御装置43ではなく、出力制御装置41またはプロセス計算機45のいずれかに付加することもできる。この炉水温度変化率設定機能を有する温度上昇率設定部48は、原子炉水位の変動量に基づいて炉水温度上昇率設定値53を制御する。
【0029】
また、給水制御装置43のインターロック信号発生部49は、原子炉水位信号52に基づいて水位の不安定が一定レベル以上に大きくなった場合に、制御棒駆動阻止信号54及び選択制御棒挿入信号55を制御棒駆動制御装置42に供給する。制御棒駆動制御装置42から制御棒駆動装置44に駆動制御信号が供給されることにより、制御棒駆動装置44が制御棒3の駆動の阻止及び選択的な制御棒3の挿入のための駆動を実行する。
【0030】
そして、炉水温度変化率設定機能を有する温度上昇率設定部48は、例えば、原子炉圧力容器の内部の温度と圧力に応じて生じる不安定領域外となるように、原子炉水位の変動量に基づいて炉水温度上昇率設定値53を制御することにより、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を短時間に安定に制御するようにしている。
【0031】
なお、原子炉圧力容器6の内部に中性子束検出器47が設けられていて、中性子束検出器47からの検出信号により核反応過程により生成される中性子束の量が検出されるが、この中性子束を検出する中性子束監視装置46は、検出された中性子束の量に対応する原子炉出力56を出力制御装置41に供給する。
【0032】
また、原子炉圧力容器6は、その下部に、炉内の冷却水の温度を計測するための温度計(不図示)と、炉内の冷却水の圧力を計測する圧力計(不図示)とを備えていて、原子炉圧力信号57及び温度信号が出力制御装置41に供給される。圧力計は、絶対値計でもよく、差圧計でもよい。
【0033】
以下、図2〜図5に基づいて、給水制御装置43の温度上昇率設定部48及びインターロック信号発生部49の詳細構成について説明する。図2〜図5は、図1に示した給水制御装置43の温度上昇率設定部48及びインターロック信号発生部49をさらに詳細に示した図である。図1と共通する部分は同一符号を付している。既に図1で説明した装置部分の機能については、説明を省略する。
【0034】
図2において、炉水温度変化率設定機能を有する温度上昇率設定部48は、自然循環系の給水配管19に設けられた水位検出器61から検出される水位信号62に基づいて、Δt秒間の最大値算出部63及びΔt秒間の最小値算出部64でΔt秒間の最大値及びΔt秒間の最小値が算出される。そして、この算出されたΔt秒間の最大値からΔt秒間の最小値が減算器65で減算される。また、減算器66には水位変動設定値67が供給され、この減算器66において水位変動の設定値67から上記減算器65の出力が減算される。
【0035】
そして、減算器66の減算出力値が比例演算部68及び積分演算部69で比例演算及び積分演算され、加算器70で比例演算値及び積分演算値が加算される。この加算器70の加算出力値はリミッタ71で上限値が制限された後、温度変化率設定値72として出力制御装置41に出力される。
【0036】
これにより、原子炉水位信号62に基づく原子炉水位の変動量が大きい場合に炉水温度変化率の設定値72を低下させ、原子炉水位信号62に基づく原子炉水位の変動量が小さい場合に炉水温度変化率の設定値72を増加させるようにする。
【0037】
また、図3において、他の炉水温度変化率設定機能を有する温度上昇率設定部48は、自然循環系の給水配管19に設けられた水位検出器61から検出される水位信号62が供給される。そしてこの水位信号62に対して高速フーリエ変換部73で高速フーリエ変換を行い、これによって時間領域の水位信号62を周波数領域に変換する。次に、指定帯域の振幅抽出部74で周波数領域に変換された水位信号62から指定帯域の振幅が抽出される。この振幅抽出部74の振幅抽出出力値は、減算器66において水位変動設定値67から減算され、減算器66の出力が比例演算部68と積分演算部69に供給される。
【0038】
そして、比例演算部68及び積分演算部69で比例演算及び積分演算され、加算器70で比例演算値及び積分演算値が加算される。加算器70の加算出力値はリミッタ71で上限値が制限された後に温度変化率設定値72として出力制御装置41に出力される。
【0039】
これにより、原子炉水位信号62を高速フーリエ変換して指定した周波数範囲の最大振幅を算出し、最大振幅が大きい場合に炉水温度変化率の設定値72を低下させ、最大振幅が小さい場合に炉水温度変化率の設定値72を増加させるようにしている。
【0040】
図4は、インターロック信号発生部の詳細構成を示すブロック構成図である。
この図4において、給水制御装置43のインターロック信号発生部49には、自然循環系の給水配管19に設けられた水位検出器61から検出される水位信号62が供給される。そして、この水位進号62に基づいて、Δt秒間の最大値算出部63及びΔt秒間の最小値算出部64でΔt秒間の最大値及びΔt秒間の最小値が算出され、減算器65でΔt秒間の最大値からΔt秒間の最小値が減算される。この減算器65の出力は、減算器66に供給され、ここで水位変動設定値67から減算される。
【0041】
そして、減算器66の減算出力値が比較器77,比較器78に供給される。比較器77で、減算器66の減算出力値が制御棒駆動阻止用設定値75に比例して増幅されて制御棒駆動阻止信号54が生成される。また、比較器78で、減算器66の減算出力値が選択制御棒挿入用設定値76に比例して増幅されて選択制御棒挿入信号55が生成される。そして、制御棒駆動阻止信号54及び選択制御棒挿入信号55が制御棒駆動制御装置42に供給される。
【0042】
また、原子炉水位信号62の変動量が予め設定される設定値67よりも大きい場合に、予め選択した制御棒の挿入信号55を出力する機能を有する給水制御装置43のインターロック信号発生部49を出力制御装置41、給水制御装置43又はプロセス計算機45に付加するようにしてもよい。
【0043】
また、原子炉水位信号62の変動量が予め設定される設定値67よりも大きい場合に、制御棒駆動阻止信号54を出力する機能を有する給水制御装置43のインターロック信号発生部49を出力制御装置41又はプロセス計算機45に付加するようにしてもよい。
【0044】
また、原子炉水位信号62を高速フーリエ変換して指定した周波数範囲の最大振幅を算出し、最大振幅が予め設定される設定値67よりも大きい場合に、予め選択した制御棒の挿入信号55または制御棒駆動素子信号55を出力する機能を有する給水制御装置43のインターロック信号発生部49を出力制御装置41又はプロセス計算機45に付加するようにしてもよい。
【0045】
図5は、他の温度上昇率設定部の詳細構成を示すブロック構成図である。
図5において、他の炉水温度変化率設定機能を有する温度上昇率設定部48は、原子炉圧力信号81及び炉心入口温度信号82が温度変化率設定値演算部83に供給される。また、格納用メモリ84に記憶されている飽和水エンタルピーテーブル85、圧縮水エンタルピーテーブル86及び炉心流量及びその他の定数87が温度変化率設定値演算部83に供給される。
【0046】
温度変化率設定値演算部83は、飽和水エンタルピーテーブル85、圧縮水エンタルピーテーブル86及び炉心流量及びその他の定数87を用いて、予め格納した関数として、原子炉圧力信号81に基づく原子炉圧力が高いほど温度変化率設定値72が高く、炉心入口の温度信号82に基づく炉心入口の温度が低いほど温度変化率設定値72が高くなるような関数に基づいて、温度変化率設定値演算出力値を演算して出力する。
なお、温度変化率設定値演算出力値はリミッタ71で上限値が制限された後に温度変化率設定値72として出力制御装置41に出力される。
【0047】
ここで、上述したように温度変化率設定値演算部83に予め格納した関数は、原子炉圧力が高いほど温度変化率設定値が高く、炉心入口の温度が低いほど温度変化率設定値が高くなるような関数であるが、この関数の具体的な例について説明する。
【0048】
チムニ9出口部での沸騰開始が原因で発生する流動不安定現象に対して、関数の具体的な例を示す。原子炉圧力容器6上部プレナム部の圧力がPのとき、チムニ9出口部の圧力をP−ΔP1、炉心入口の圧力をP−ΔP2(ΔP1、ΔP2は定数)で算出できると仮定すると、不安定を生じない限界の炉心出力Qは次の数1式のように近似できる。
【0049】
[数1]
Q = W×[hsat(P−ΔP1)−hf(P−ΔP2、T)]
ここで、
W:炉心入口流量
hsat:飽和水のエンタルピー
hf:圧縮水のエンタルピー
P:上部プレナム圧力
P−ΔP1:チムニー出口部圧力
P−ΔP2:炉心入口圧力
【0050】
hsat:飽和水のエンタルピーやhf:圧縮水のエンタルピーは飽和水エンタルピーテーブル85、圧縮水エンタルピーテーブル86としてデータを格納用メモリ84に格納しておき、温度変化率設定値演算部83へのテーブル値の内外挿により値を求めることができる。
【0051】
このとき、炉心入口流量も一定と仮定して予め値を格納しておけば、不安定を生じない限界の炉心出力Qは、原子炉圧力容器6上部プレナム部の圧力P(Pは通常原子炉圧力信号として使用される)と炉心入口の温度Tから算出できる。昇温昇圧初期は蒸気を抽出しないのでQと温度変化率は比例すると近似できるから、温度変化率設定値を次の数2式のように求めることができる。
【0052】
[数2]
設定温度変化率 = α×W×[hsat(P−ΔP1)−hf(P−ΔP2、T)]、(αは定数)
【0053】
図6は、飽和水エンタルピーテーブル85に記憶される飽和水のエンタルピーを示した図であり、図7は、圧縮水エンタルピーテーブル86に記憶される圧縮水のエンタルピーを示した図である。
【0054】
この図からわかるように、少なくとも原子炉圧力信号81と原子炉圧力容器6の内部の炉心入口の温度信号と82を入力とし、予め格納した関数により、炉水温度変化率の設定値72を決定することができる。なお、この炉水温度変化率設定機能は出力制御装置41又はプロセス計算機45に付加するようにしてもよい。
【0055】
また、少なくとも原子炉圧力信号81と原子炉圧力容器6の内部の炉心入口の温度信号82とから、予め格納した関数により、炉出力設定値を算出する。そして、原子炉圧力容器6の内部の中性子束検出に基づく炉出力信号56が算出された炉出力設定値を越えた場合に、予め選択した制御棒の挿入信号55を出力する。この機能を有する給水制御装置43のインターロック信号発生部49は、給水制御装置43ではなく、出力制御装置41又は前記プロセス計算機45に付加するようにしてもよい。
【0056】
また、少なくとも原子炉圧力信号81と原子炉圧力容器6の内部の炉心入口の温度信号82とから、予め格納した関数により、炉出力設定値を算出する。そして、原子炉圧力容器6の内部の中性子束検出に基づく炉出力信号56が上記炉出力設定値を越えた場合に、制御棒駆動阻止信号54を出力する。この機能を有する給水制御装置43のインターロック信号発生部49は、給水制御装置43ではなく、出力制御装置41、給水制御装置43又はプロセス計算機45に付加するようにしてもよい。
【0057】
次に、本実施の形態による特有の炉水温度変化率の設定値の制御について、図8に示す炉水温度変化率の設定値の制御を説明する図、及び図9に示す炉水温度変化率の設定値の制御動作を示すフローチャートを用いて説明する。
図9のフローチャートの動作の主体は、給水制御装置43の温度上昇率設定部48である。
【0058】
まず、温度上昇率設定部48は、自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて原子炉水位の変動量を検出する(ステップS1)。
次に、温度上昇率設定部48は、原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも大きいか否かを判断する(ステップS2)。
【0059】
続いて、温度上昇率設定部48は、判断ステップS2で原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも大きいときに、原子炉圧力容器6に対して設定される炉水温度変化率の設定値を低下させる(ステップS3)。
また、温度上昇率設定部48は、判断ステップS2で原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも小さいときに原子炉圧力容器6に対して設定される炉水温度変化率の設定値を増加させる(ステップS4)。
【0060】
ここで、温度上昇率設定部48は、低圧時P1のとき炉水温度変化率の設定値が不安定領域外となっているかどうか、すなわち起動時(T1時点)の原子炉圧力容器6の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるように炉水温度変化率の設定値が設定されているか否かを判断する(ステップS5)。
図8は、原子炉出力に対応する炉水温度変化率の設定値の制御を説明するための図であるが、この図8に示すように、温度上昇率設定部48は、起動時の低圧時P1では、T1時点からT2時点に示すように、不安定領域外となるように、不安定領域に入る直前まで原子炉出力を上げるようにする。ここで、温度上昇率設定部48は、原子炉出力が、炉水温度変化率の設定値に対応して増減する関係が分かっているので、不安定領域に入る直前まで安定領域内を維持するように制御するようにする。
【0061】
再び図9のフローチャートにおいて、判断ステップS5で低圧時P1となる起動時(T1時点)に、原子炉圧力容器6の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるように、炉水温度変化率の設定値が設定されていると判断された場合は、続いて、温度上昇率設定部48は、低圧時P1から高圧時P2まで圧力が上昇したか否かを判断する(ステップS6)。つまり、温度上昇率設定部48は、原子炉圧力容器6の内部の圧力が低圧時P1から高圧時P2に対応する予め定められた高圧の定格圧力となったか否かを判断する。
【0062】
判断ステップS5で起動時(T1時点)の原子炉圧力容器6の内部の圧力と原子炉圧力容器6の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるように、炉水温度変化率の設定値が設定されないとき、及び判断ステップS6で低圧時P1から高圧時P2まで圧力が上昇しないときは、ステップS1へ戻って、ステップS1〜ステップS6までの判断及び処理を繰り返す。
【0063】
次に、温度上昇率設定部48は、判断ステップS6で低圧時P1から高圧時P2まで圧力が上昇したとき、自然循環系から検出される原子炉水位信号に基づいて原子炉水位の変動量を検出する(ステップS7)。
そして、温度上昇率設定部48は、原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも大きいか否かを判断する(ステップS8)。
【0064】
温度上昇率設定部48は、判断ステップS8で原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも大きいときに、原子炉圧力容器6に対して設定される炉水温度変化率の設定値を低下させ(ステップS9)、原子炉水位の変動量が予め定められた値よりも小さいときには炉水温度変化率の設定値を増加させる(ステップS10)。
【0065】
続いて、温度上昇率設定部48は、高圧時P2の原子炉圧力容器6の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるように、炉水温度変化率の設定値が設定されたか否かを判断する(ステップS11)。
そして、温度上昇率設定部48は、判断ステップS11で高圧時P2の原子炉圧力容器6の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるように、炉水温度変化率の設定値が設定されたとき、原子炉圧力容器6の内部の圧力が予め設定される目標値圧力となったか否かを判断する(ステップS12)。
【0066】
判断ステップS11で高圧時P2の原子炉圧力容器6の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるように、炉水温度変化率の設定値が設定されない場合、及び判断ステップS12で原子炉圧力容器6の内部の圧力が予め設定される目標値圧力とならない場合には、ステップS7へ戻って、ステップS7〜ステップS12までの判断及び処理を繰り返す。
判断ステップS12で原子炉圧力容器6の内部の圧力が予め設定される目標値圧力とならなったときは、処理を終了する。
なお、図9ではP1、P2の判定条件により2つの異なる不安定回避処理(S1〜S5およびS7〜S11)を適用したが、P1ひとつのみ、あるいは3つ以上の判定条件を設定してそれぞれで異なる不安定回避処理を実施しても良い。
このように、本実施の形態例によれば、自然循環型沸騰水型原子炉において、原子炉水位をフィードバックして起動時の昇温昇圧過程を制御しているので、水位が制限値を超えることを防止してスクラムが発生するのを防止できる。同時に、原子炉の安定性を確保しうる範囲で最大の温度変化率を設定し、起動時間の短縮を図ることが可能である。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の実施形態を含むものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施の形態の自然循環型原子炉を備えた原子炉システムの一実施形態の全体構成を表す模式図である。
【図2】温度上昇率設定部の詳細構成を示すブロック構成図である。
【図3】他の温度上昇率設定部の詳細構成を示すブロック構成図である。
【図4】インターロック信号発生部の詳細構成を示すブロック構成図である。
【図5】他の温度上昇率設定部の詳細構成を示すブロック構成図である。
【図6】飽和水のエンタルピーを示す図である。
【図7】圧縮水のエンタルピーを示す図である。
【図8】炉水温度変化率の設定値の御御を説明する図である。
【図9】炉水温度変化率の設定値の御御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1・・燃料棒、3・・制御棒、4・・炉心、5・・シュラウド、6・・原子炉圧力容器、8・・制御棒駆動装置、9・・チムニ、10・・気水分離器(セパレータ)、11・・蒸気乾燥機(ドライヤ)、12・・主蒸気管、13・・給水管、18・・タービン、21・・発電機、23・・復水器、24・・給水ポンプ、25・・流量調整弁、30・・バイパス管、31・・タービンバイパス弁、41・・出力制御装置、42・・制御棒駆動制御装置、43・・給水制御装置、44・・制御棒駆動装置、45・・プロセス計算機、46・・中性子束監視装置、47・・中性子束検出器、48・・温度上昇率設定部、49・・インターロック信号発生部




 

 


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