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発明の名称 原子炉システム及び原子炉制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232503(P2007−232503A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−53067(P2006−53067)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
代理人 【識別番号】100122884
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 芳末
発明者 有田 節男 / 伏見 篤 / 石井 佳彦 / 池側 智彦 / 長谷川 真
要約 課題
簡単な構成で、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を安定に制御する。

解決手段
原子炉システムは、冷却材を原子炉圧力容器6から引き出して冷却材を浄化した後に、自然循環系に戻す冷却材浄化系を形成する原子炉冷却材浄化系(CUW)装置15と、冷却材浄化系により浄化された冷却材を加熱する加熱器16と、原子炉システムの起動時に、加熱器16により冷却材に対する加熱の制御を行うことにより、原子炉圧力容器6の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール温度を制御する制御装置20とを備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器の内部に、冷却材の上昇流路と下降流路とを形成し、前記上昇流路における冷却材と前記下降流路における冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環系を有する原子炉システムにおいて、
前記冷却材を前記原子炉圧力容器から引き出して前記冷却材を浄化した後に、前記自然循環系に戻す冷却材浄化系を形成する冷却材浄化部と、
前記冷却材浄化系により浄化された前記冷却材を加熱する加熱部と、
前記原子炉システムの起動時に、前記加熱部により前記冷却材に対する加熱の制御を行うことにより、前記原子炉圧力容器の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール度を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする原子炉システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記原子炉圧力容器の内部の温度と圧力に応じて生じる不安定領域外となるように、前記サブクール度を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の原子炉システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記原子炉圧力容器の内部の圧力に対する飽和温度を算出する飽和温度算出手段と、
前記原子炉圧力容器の内部の圧力に対するサブクール度を算出するサブクール度算出手段とを備え、
前記飽和温度算出手段により算出された飽和温度及び前記サブクール度算出手段により算出されたサブクール度に基づいて
前記冷却材に対する加熱の制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の原子炉システム。
【請求項4】
前記飽和温度算出手段により算出された飽和温度及び前記サブクール度算出手段により算出されたサブクール温度に基づいて前記原子炉圧力容器の内部の温度の目標値を算出する温度目標値算出手段と、
前記温度目標値算出手段により算出された目標値温度と前記原子炉圧力容器の内部の温度との温度差を求める温度演算手段と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の原子炉の原子炉システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記温度演算手段により求められた温度差に比例積分演算を施す比例積分演算手段を備え、
前記比例積分演算手段による演算出力に応じて前記冷却材に対する加熱の制御を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の原子炉システム。
【請求項6】
前記制御部は、
予め設定される目標値圧力と前記原子炉圧力容器の内部の圧力との圧力差を求める圧力演算手段を備え、
前記圧力演算手段により求められた圧力差がなくなるまで、前記比例積分演算手段による演算出力に応じて前記冷却材に対する加熱の制御を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の原子炉システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記原子炉システムの起動時の前記原子炉圧力容器の内部の圧力と前記原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるまで、前記サブクール度を低下させるように低圧時の制御をする
ことを特徴とする請求項1に記載の原子炉システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記原子炉システムの起動時の前記原子炉圧力容器の内部の圧力と前記原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるまで、前記サブクール度が低下したときに、最大温度上昇率時のサブクール度制御を開始するか否かを判断し、
前記最大温度上昇率時のサブクール度制御を開始したときに、サブクール度を算出し、
前記冷却材浄化系により浄化された前記冷却材の加熱を抑制し、
前記原子炉圧力容器の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるサブクール度まで、サブクール度が上昇したか否かを判断する
ことを特徴とする請求項7に記載の原子炉システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記原子炉圧力容器の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるサブクール度まで、サブクール度が上昇したときに、前記サブクール度を更新し、前記冷却材浄化系により浄化された前記冷却材の加熱を抑制し、
原子炉圧力容器の内部の圧力が予め設定される目標値圧力となったか否かを判断する
ことを特徴とする請求項8に記載の原子炉システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記原子炉圧力容器の内部の圧力が予め設定される目標値圧力となるまで、前記最大温度上昇率時の制御をする
ことを特徴とする請求項9に記載の原子炉システム。
【請求項11】
原子炉圧力容器の内部に形成される冷却材の上昇流路と下降流路とにおける、冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環系により原子炉を制御する原子炉制御方法において、
前記冷却材を前記原子炉圧力容器から引き出して前記冷却材を浄化した後に、前記自然循環系に戻す冷却材浄化系を形成するステップと、
前記冷却材浄化系により浄化された前記冷却材を加熱するステップと、
前記原子炉システムの起動時に、前記加熱処理により前記冷却材に対する加熱の制御を行うことにより、前記原子炉圧力容器の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール度を制御するステップと、
を含むことを特徴とする原子炉制御方法。
【請求項12】
前記制御ステップは、
前記原子炉圧力容器の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール温度を算出するステップと、
前記原子炉システムの起動時の前記原子炉圧力容器の内部の圧力と前記原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるまで、前記サブクール度が低下したか否かを判断するステップと、
を有し、
前記原子炉システムの起動時の前記原子炉圧力容器の内部の圧力と前記原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるまで、前記サブクール度が低下するように前記冷却材浄化系により浄化された前記冷却材を加熱する
ことを特徴とする請求項11に記載の原子炉制御方法。
【請求項13】
前記制御ステップは、
前記原子炉システムの起動時の前記原子炉圧力容器の内部の圧力と前記原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるまで、前記サブクール度が低下したときに、最大温度上昇率時のサブクール度制御を開始するか否かを判断するステップと、
前記最大温度上昇率時のサブクール度制御を開始したときに、サブクール度を算出するステップと、
前記冷却材浄化系により浄化された前記冷却材の加熱を抑制するステップと、
前記原子炉圧力容器の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるサブクール度まで、サブクール度が上昇したか否かを判断するステップと
を有する
ことを特徴とする請求項12に記載の原子炉制御方法。
【請求項14】
前記制御ステップは、
前記原子炉圧力容器の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるサブクール度まで、サブクール度が上昇したときに、前記サブクール度を更新し、前記冷却材浄化系により浄化された前記冷却材の加熱を抑制するステップと、
原子炉圧力容器の内部の圧力が予め設定される目標値圧力となったか否かを判断するステップと、
を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の原子炉制御方法。
【請求項15】
前記制御ステップは、前記原子炉圧力容器の内部の圧力が予め設定される目標値圧力となるまで、前記冷却材浄化系により浄化された前記冷却材の加熱を停止する
ことを特徴とする請求項14に記載の原子炉制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、冷却材を自然循環によって循環させる自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉システム及び原子炉制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、沸騰水型原子炉は、その冷却材(冷却水)の循環方式によって強制循環型と自然循環型とに大別することができる。強制循環型沸騰水型原子炉(以下、強制循環型原子炉と記述する)は、ジェットポンプ又はインターナルポンプ等を備えており、このポンプを用いて強制的に炉心に冷却水を送り込むようになっている。
【0003】
一方、自然循環型沸騰水型原子炉(以下、自然循環型原子炉と記述する)は、上記強制循環型原子炉のように強制的に冷却水を循環させるポンプを備えておらず、炉心を取り囲む原子炉シュラウドの外側の冷却水と原子炉シュラウド内側の水と蒸気が混在する気液混合流との密度差(水頭差)に基づく自然循環力によって冷却水が循環されるようになっている。
【0004】
このように、自然循環型原子炉においては、自然循環力により冷却水を循環するので、ポンプにより強制的に冷却水を循環させる強制循環型原子炉と同等の炉心内の冷却水流量を得ることが難しく、この結果、強制循環型原子炉と同程度の原子炉プラント起動時間を維持しようとすると、炉心内の冷却水流量が起動時の1〜2時間程度不安定になる。
【0005】
このため、起動時の炉心内の冷却水流量を安定させるために、原子炉容器の下部プレナムのドレイン管からバルブを介して熱交換機を取り付け、低圧の起動時に、バルブを開いて炉水を熱交換器に送り、熱交換器で加熱した炉水を注水配管から下部プレナム内に戻す自然循環型原子炉が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−265665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の自然循環型原子炉は、熱交換器での加熱を、バルブを開いた後に飽和温度との差に応じて制御するとされているだけで、どのように制御するのか不明であるため、原子炉内の温度と圧力によっては、原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることがあるという問題が生じる。
さらに、特許文献1に記載の自然循環型原子炉は、自然循環系に用いられるものであるため、ポンプが設けられていないが、バルブを開いただけでは炉水を熱交換器に送ることはできず、また、熱交換器で加熱した炉水を注水配管から下部プレナム内に戻すことはできない。従って、このためのポンプが余計に必要になる。
【0007】
本発明は、上述の問題点を解決するためのものであり、簡単な構成で、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を安定に制御することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の原子炉システムは、原子炉圧力容器の内部に、冷却材の上昇流路と下降流路とを形成し、上昇流路における冷却材と下降流路における冷却材との密度(浮力)差によって冷却材を循環させる自然循環系を有する原子炉システムにおいて、適用されるものである。
そして、本発明の原子炉システムは、冷却材を原子炉圧力容器から引き出して冷却材を浄化した後に、自然循環系に戻す冷却材浄化系を形成する冷却材浄化部と、冷却材浄化系により浄化された冷却材を加熱する加熱部と、原子炉システムの起動時に、加熱部により冷却材に対する加熱の制御を行うことにより、原子炉圧力容器の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール温度を制御する制御部とを備えている。
【0009】
このように、本発明の原子炉システムにおいては、制御部は、原子炉システムの起動時に、加熱部により冷却材に対する加熱の制御を行うことにより、原子炉圧力容器の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール度を制御する。このため、例えば、原子炉圧力容器の内部の温度と圧力に応じて生じる不安定領域外となるように、サブクール度を制御することにより、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を安定に制御することができる。
【0010】
また、本発明の原子炉システムでは、制御部は、原子炉圧力容器の内部の圧力に対する飽和温度を算出する飽和温度算出手段と、原子炉圧力容器の内部の圧力に対するサブクール度を算出するサブクール度算出手段とを備え、飽和温度算出手段により算出された飽和温度及びサブクール度算出手段により算出されたサブクール度に基づいて冷却材に対する加熱の制御を行う。
【0011】
また、制御部は、飽和温度算出手段により算出された飽和温度及びサブクール度算出手段により算出されたサブクール度に基づいて原子炉圧力容器の内部の温度の目標値を算出する温度目標値算出手段と、温度目標値算出手段により算出された目標値温度と原子炉圧力容器の内部の温度との温度差を求める温度演算手段と、温度演算手段により求められた温度差に比例積分演算を施す比例積分演算手段を備え、比例積分演算手段による演算出力に応じて冷却材に対する加熱の制御を行う。
さらに、制御部は、予め設定される目標値圧力と原子炉圧力容器の内部の圧力との圧力差を求める圧力演算手段を備え、圧力演算手段により求められた圧力差がなくなるまで、比例積分演算手段による演算出力に応じて冷却材に対する加熱の制御を行う。
【0012】
また、本発明の原子炉システムでは、制御部は、原子炉システムの起動時の前記原子炉圧力容器の内部の圧力と原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるまで、サブクール度を低下させるように低圧時の制御をする。
また、制御部は、原子炉システムの起動時の原子炉圧力容器の内部の圧力と原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるまで、サブクール度が低下したときに、最大温度上昇率時のサブクール度制御を開始するか否かを判断し、最大温度上昇率時のサブクール度制御を開始したときに、サブクール度を算出し、冷却材浄化系により浄化された冷却材の加熱を抑制し、原子炉圧力容器の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるサブクール度まで、サブクール度が上昇したか否かを判断する。
【0013】
また、制御部は、原子炉圧力容器の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるサブクール度まで、サブクール度が上昇したときに、サブクール度を更新し、冷却材浄化系により浄化された冷却材の加熱を抑制し、原子炉圧力容器の内部の圧力が予め設定される目標値圧力となったか否かを判断する。
また、制御部は、制御部は、原子炉圧力容器の内部の圧力が予め設定される目標値圧力となるまで、最大温度上昇率時の制御をする。
【0014】
また、本発明の原子炉制御方法は、原子炉圧力容器の内部に形成される冷却材の上昇流路と下降流路とにおける、冷却材との密度(浮力)差によって冷却材を循環させる自然循環系により原子炉を制御する原子炉制御方法において、適用されるものである。
そして、本発明の原子炉制御方法は、冷却材を前記原子炉圧力容器から引き出して冷却材を浄化した後に、自然循環系に戻す冷却材浄化系を形成するステップと、冷却材浄化系により浄化された冷却材を加熱するステップと、原子炉システムの起動時に、加熱処理により冷却材に対する加熱の制御を行うことにより、原子炉圧力容器の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール温度を制御するステップとを含んでいる。
【0015】
本発明の制御方法によれば、原子炉システムの起動時に、加熱処理により冷却材に対する加熱の制御を行うことにより、原子炉圧力容器の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール温度を制御するため、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を安定に制御することができる。
【0016】
また、制御ステップは、原子炉圧力容器の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール温度を算出するステップと、原子炉システムの起動時の原子炉圧力容器の内部の圧力と原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるまで、サブクール度が低下したか否かを判断するステップとを有している。
そして、制御ステップは、原子炉システムの起動時の原子炉圧力容器の内部の圧力と原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるまで、サブクール度が低下するように冷却材浄化系により浄化された前記冷却材を加熱する。
【0017】
また、制御ステップは、原子炉システムの起動時の原子炉圧力容器の内部の圧力と原子炉圧力容器の内部の温度に応じて生じる不安定領域外となるまで、サブクール度が低下したときに、最大温度上昇率時のサブクール度制御を開始するか否かを判断するステップと、最大温度上昇率時のサブクール度制御を開始したときに、サブクール度を算出するステップと、冷却材浄化系により浄化された冷却材の加熱を抑制するステップと、原子炉圧力容器の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるサブクール度まで、サブクール度が上昇したか否かを判断するステップとを有している。
【0018】
また、制御ステップは、原子炉圧力容器の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるサブクール度まで、サブクール度が上昇したときに、サブクール度を更新し、冷却材浄化系により浄化された冷却材の加熱を抑制するステップと、原子炉圧力容器の内部の圧力が予め設定される目標値圧力となったか否かを判断するステップとを有している。
さらに、制御ステップは、原子炉圧力容器の内部の圧力が予め設定される目標値圧力となるまで、冷却材浄化系により浄化された冷却材の加熱を停止する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、起動時の炉心内の冷却水流量を安定することができ、さらに、既存の冷却材浄化系を自然循環系と共に起動時に用いることにより、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を安定に制御することが可能となる。さらに、起動時に、原子炉冷却材浄化系(CUW)を用いることにより、自然循環系の循環効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る原子炉システム及び制御棒制御方法の実施の形態例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る自然循環型沸騰水型原子炉に本発明の出力制御装置を適用した原子炉システムの全体構成図である。以後、サブクール度は、その代表的な物理量であるサブクール温度として説明する。
【0021】
図1に示すように、自然循環型原子炉システムが有する自然循環型沸騰水型原子炉(以下、「自然循環型原子炉」という。)は、複数の燃料棒1の間隙に挿入される制御棒3を配置した炉心4を有している。
また、原子炉圧力容器6の下部には、炉心4内で制御棒3を上下方向に挿抜可能に駆動する制御棒駆動装置8が設けられている。そして、原子炉圧力容器6には、主蒸気管12と給水管13が接続されており、原子炉圧力容器6の内部には炉心4を囲むようにして円筒状のシュラウド5が配設されている。
【0022】
このシュラウド5の内側には、冷却材が図に示した矢印方向に上昇するための上昇流路が形成され、また、シュラウド5と原子炉圧力容器6との間隙には、冷却材が下降するための下降流路であるダウンカマ7が形成されている。また、シュラウド5の上部には、円筒状のチムニ9が配設され、さらに、チムニ9の上方には、気水分離器(セパレータ)10と蒸気乾燥機(ドライヤ)11が設けられている。
【0023】
この原子炉圧力容器6内のチムニ9の内側は、炉心4で沸騰した気液二相の冷却材が通過するが、この気液二相冷却材とダウンカマ7内を通過する液単相の冷却材との密度差によって、冷却材がダウンカマ7を下降した後に炉心4側に周り、炉心4を通過してチムニ9内を上昇する循環流路が形成される。そしてチムニ9内を上昇した冷却水と水蒸気の混合流が気水分離器10を通過すると、この気水分離器10で蒸気が分離される。気水分離器10分離された単相の冷却水は、再びダウンカマ7を下降して原子炉圧力容器6の下部を通ってシュラウド5内の炉心4に送り込まれる。
【0024】
また、気水分離器10で分離された蒸気は、さらに蒸気乾燥器11で微少な水滴が除去されて、主蒸気管12を介してタービン18に供給される。この蒸気の流力でタービン18とこれに接続された発電機21が回転し、発電が行われる。
【0025】
タービン18を回転させた蒸気は、抽気ライン22を介して復水器23に導入され、凝縮される。この復水器23で凝縮された冷却水(復水)は、給水ポンプ24により給水管13から原子炉圧力容器6内へ還流される。また、この給水管13には流量調整弁25が設けられており、この流量調整弁25によって原子炉圧力容器6内へ還流する冷却水流量を調整することで、原子炉圧力容器6内の原子炉水位を制御できる。さらに、給水管13には給水加熱器26が設けられており、この給水加熱器26において、タービン18の途中段から抽気した蒸気が復水器23から流入される冷却水が適当な温度まで昇温されて、原子炉圧力容器6内に注入される。
【0026】
また、主蒸気管12には、主蒸気隔離弁27及びタービン18に導入する蒸気量を調節するタービン蒸気流量加減弁28が設けられ、また、逃し管29及びバイパス管30が接続されている。タービン蒸気流量加減弁28を絞る際には、バイパス管30に設けられたタービンバイパス弁31を開き、蒸気の一部をタービン18に導入せずに、バイパス管30を介して直接復水器23に導入するようになっている。また、上記主蒸気隔離弁27を閉鎖する際には、上記逃し管29に設けられた安全弁32を開き、原子炉で発生した蒸気を格納容器内のサプレッションプール(図示せず)中に導いて蒸気を凝縮するようになっている。
【0027】
本発明の実施の形態例においては、特に、原子炉冷却材浄化系(CUW:clean up water system)装置15に示すように、冷却材を原子炉圧力容器6から引き出して浄化した後に、自然循環系の給水配管19に戻す冷却材浄化系が形成されている。そして、冷却材浄化系により浄化された冷却材を加熱するための加熱器16が設けられている。
【0028】
このように、制御装置20は、原子炉システムの起動時に、加熱器16により冷却材に対する加熱制御を行うことにより、原子炉圧力容器6の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール温度を制御している。
【0029】
そして、制御装置20は、例えば、原子炉圧力容器6の内部の温度と圧力に応じて生じる不安定領域外となるように、サブクール温度を制御することにより、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を安定に制御するようにする。
【0030】
以下、図2に基づいて、原子炉冷却材浄化系(CUW)装置15及び制御装置20の詳細構成について説明する。図2は、図1に示した原子炉冷却材浄化系(CUW)装置15及び制御装置20をさらに詳細に示した図である。図1と共通する部分は同一符号を付している。既に図1で説明した装置部分の機能については、説明を省略する。
【0031】
本実施形態例によれば、原子炉圧力容器6は、その下部に、炉内の冷却水の温度を計測する温度計34と、炉内の冷却水の圧力を計測する圧力計33とを備えている。圧力計33は、絶対値計でもよく、差圧計でもよい。
【0032】
また、原子炉冷却材浄化系(CUW)装置15は、原子炉圧力容器6の下部に設けられた冷却材引き込み配管14から炉内の冷却水を原子炉冷却材浄化系(CUW)に引き込むポンプ151と、ポンプ151により引き込まれた冷却水を冷却する再生熱交換器152及び非再生熱交換器153と、再生熱交換器152及び非再生熱交換器153により冷却された冷却水を浄化するフィルタ154とを備えている。また、フィルタ154により浄化された冷却水は再生熱交換器152の再生熱交換により加熱された後に、加熱器16に供給される。
【0033】
ここで、制御装置20は、原子炉圧力容器6の内部の圧力に対する飽和温度を算出する飽和温度算出手段201と、原子炉圧力容器6の内部の圧力に対するサブクール温度を算出するサブクール温度算出手段202とを備え、飽和温度算出手段201により算出された飽和温度及びサブクール温度算出手段202により算出されたサブクール温度に基づいて冷却材に対する加熱の制御を行う。
【0034】
このために、制御装置20は、飽和温度算出手段201により算出された飽和温度及びサブクール温度算出手段202により算出されたサブクール温度に基づいて原子炉圧力容器6の内部の温度の目標値を算出する温度目標値算出手段203と、温度目標値算出手段203により算出された目標値温度と温度計34からフィルタ204を介して出力される原子炉圧力容器6の内部の温度との温度差を求める減算器205と、減算器205により求められた温度差に比例積分演算を施す比例積分演算器206を備え、比例積分演算器206による演算出力に応じて冷却材に対する加熱の制御を行っている。
【0035】
さらに、制御装置20は、予め設定される目標値圧力36と圧力計33から求められる原子炉圧力容器6の内部の圧力との圧力差を求める減算器210を備え、減算器210により求められた圧力差がなくなるまで、比例積分演算器206による演算出力に応じて冷却材に対する加熱の制御を行うようにしている。
【0036】
また、本発明の原子炉システムでは、制御装置20は、原子炉システムの起動時の原子炉圧力容器6の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となる領域に入るまで、サブクール温度を低下させるように低圧時の制御を行っている。
【0037】
このために、制御装置20は、原子炉システムの起動時以降の原子炉圧力容器6の内部の温度上昇が最大温度上昇率となるまで、サブクール温度を一定にさせるように低圧時の原子炉出力を制御するようにする。そして、原子炉圧力容器6の内部の温度上昇が最大温度上昇率となったときの原子炉圧力容器6の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるまで、サブクール温度を上昇させるように原子炉出力の高圧時の制御を行う。
【0038】
また、制御装置20は、原子炉圧力容器6の内部の圧力が予め設定される目標圧力36となったか否かを判定する圧力判定器209を有しており、この圧力判定器209の判定により原子炉圧力容器6の内部の圧力が予め設定される目標圧力36となるまで、原子炉出力高圧時の制御を行うようにする。
【0039】
このために、制御装置20は、圧力判定器209の判定が、原子炉圧力容器6の内部の圧力が予め設定される目標圧力36となるまで、その接点がオン状態に制御されて比例積分演算器206による演算出力を出力するスイッチ207と、このスイッチ207の出力により接点がオン状態に制御されて加熱器電源35の電源電圧を加熱器16に供給するスイッチ208と、を有している。
【0040】
まず、このように構成された原子炉冷却材浄化系(CUW)装置15の通常操作を、図2に基づいて説明する。
原子炉圧力容器6の下部に設けられた冷却材引き込み配管14から炉内の冷却水が原子炉冷却材浄化系(CUW)に引き込むポンプ151に導かれる。ポンプ151は、原子炉冷却材浄化系(CUW)内の配管や機器の圧力損失に打ち勝ち浄化水を、給水配管19を経て原子炉圧力容器6内に戻すことができるように原子炉冷却材浄化系(CUW)を昇圧する。
【0041】
フィルタ154に供給される冷却水は、フィルタ154内のイオン交換樹脂が高温水による損傷を受けないように、再生熱交換器152及び非再生熱交換器153により十分冷却される。そして、再生熱交換器152により冷却水の保有熱が回収されて原子炉圧力容器6の熱損失が低減される。非再生熱交換器153は、冷却水をフィルタ154の運転温度まで冷却する。
【0042】
フィルタ154は、再生熱交換器152及び非再生熱交換器153により冷却された冷却水を浄化する。フィルタ154としては、非再生式混合イオン交換樹脂が用いられる。
また、フィルタ154により浄化された冷却水は、再生熱交換器152により再生熱交換により加熱された後、加熱器16に供給される。
【0043】
これにより、原子炉圧力容器6から運ばれてくる不純物を除去して炉水を規定の水質に維持することができる。また、炉水中に含まれる不純物を除去し、炉水中の誘導放射能を減少させることができる。
【0044】
次に、本実施の形態による特有の原子炉冷却材浄化系(CUW)を用いたサブクール温度の制御について、図3に示すサブクール温度による制御を説明する図を用いて説明する。
まず、原子炉冷却材浄化系(CUW)装置15は、冷却材を原子炉圧力容器6から引き出して冷却材を浄化した後に、自然循環系の給水配管19に戻すことにより冷却材浄化系を形成する。
【0045】
ここで、加熱器16は、冷却材浄化系により浄化された冷却材を加熱する。このとき、制御装置20は、原子炉システムの起動時に、加熱処理により冷却材に対する加熱の制御を行うことにより、原子炉圧力容器6の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール温度を制御する。
【0046】
以下、制御装置20のサブクール温度を制御する動作を、図2及び図3を参照しつつ詳細に説明する。
制御装置20の温度目標値算出手段203は、飽和温度算出手段201により算出される飽和温度及び制御モード切替器211により出力されるサブクール温度ΔTに基づいて原子炉圧力容器6の内部の温度の目標値を算出する。
【0047】
減算器205は、温度目標値算出手段203により算出された目標値温度と温度計34からフィルタ204を介して出力される原子炉圧力容器6の内部の温度との温度差を求める。比例積分演算器206は、減算器205により求められた温度差に比例積分演算を施す。
【0048】
圧力判定器209は、原子炉圧力容器6の内部の圧力が予め設定される目標値圧力36となったか否かを判定する。そして、この圧力判定器209の判定結果が、原子炉圧力容器6の内部の圧力が予め設定される目標圧力36と一致するまで、スイッチ207の接点がオン状態に制御されて比例積分演算器206による演算出力が出力される。
【0049】
スイッチ208は、スイッチ207の出力により、その接点がオン状態に制御されて加熱器電源35の電源電圧を加熱器16に供給する。
これにより、比例積分演算器206による演算出力に応じて、冷却材に対する加熱器16による加熱の制御が行われる。
【0050】
さらに、減算器210において、予め設定される目標圧力36と圧力計33から求められる原子炉圧力容器6の内部の圧力との圧力差が求められる。そして、減算器210により求められた圧力差がなくなるまで、比例積分演算器206による演算出力に応じて冷却材に対する加熱の制御が行われる。
【0051】
ここで、サブクール温度の制御には、初期サブクール温度制御と最大温度上昇率時のサブクール温度制御の2種類の制御モードがあり、この制御モードは制御モード切替器211によって切替えられるが、これは外部からの指令「初期サブクール温度制御/最大温度上昇率時のサブクール温度制御」によって切替えられる。指令として「初期サブクール温度制御」が入力されると制御モード切替器211は初期値設定値212に切替える。この初期値設定器212にはあらかじめ算出された図3のT1点のサブクール温度が設定されている。
【0052】
したがって、加熱器16を過熱してT1点のサブクール温度となるように温度制御が開始される。T1点のサブクール温度に達したか否かは一致判定器214の出力と外部指令「初期サブクール温度制御」の論理積をAND回路213でとることによって判定できる。つまり、指令として「初期サブクール温度制御」が入力される時に減算器205の出力がゼロになれば、目標値であるT1点のサブクール温度に到達したと判定でき、AND回路213より初期サブクール温度制御完了を出力する。
【0053】
初期サブクール温度制御完了が出力されると、図示していない原子炉出力制御装置からの指令や運転員からのマニュアル指令により、図1の制御棒駆動装置8に指令信号を出力し、制御棒を引抜いてあらかじめ設定した炉出力値まで炉出力を上昇させる。この場合は図3のT2点の出力に相当する。このT2点は炉出力を一定にして最大温度上昇率で炉心温度及び炉圧を上昇させる点である。
【0054】
つまり、図3において、原子炉システムの起動時(低圧時P1)にサブクール温度をT0点の値からT1点の値まで移動させ、さらに原子炉出力をT1点の値からT2点の値まで移動させることにより、後述するように不安定領域を回避させて最短時間で炉心の昇温と昇圧を行うことが可能になる。なお、原子炉出力は単位時間当たりの発熱量であるあるから、原子炉出力は温度上昇率に比例する。
【0055】
原子炉出力がT2時点の値までなると、外部指令「初期サブクール温度制御/最大温度上昇率時のサブクール温度制御」を「最大温度上昇率時のサブクール温度制御」とすることにより、制御モード切替器211がサブクール温度算出手段202側に切替わる。サブクール温度算出手段202は入力する圧力に応じてサブクール温度ΔTを算出するが、図3の場合には、T2点の値からT3点の値までサブクール温度を大きくさせることにより、不安定領域外ぎりぎりのサブクール温度を得る。
【0056】
つまり、この制御は加熱器16の加熱量を抑制することになるが、これは、温度目標値算出手段203により算出された目標値温度と温度計34からフィルタ204を介して出力される原子炉圧力容器6の内部の温度が一致するように加熱器16の加熱を制御する。そして、これは比例積分演算器206による演算出力値によってスイッチ208のオン・オフが制御されることによりなされる。
【0057】
上記制御過程において、原子炉は図示していない原子炉出力制御装置からの指令や運転員からのマニュアル指令により、あらかじめ設定された最大温度上昇率に従って図1の制御棒駆動装置8に指令信号を出力し、制御棒を引抜いて炉の温度を上昇させると共に炉圧力を上昇させているために、図3の不安定領域は低圧時P1から高圧時P2にシフトする。この結果、T3点の値のサブクール温度はもはや不安定領域ぎりぎりの値ではなくなり、T4の値のサブクール温度まで大きくすることが出来る。
【0058】
温度目標値算出手段203は、飽和温度算出手段201により算出される飽和温度及びサブクール温度算出手段202により更新されるサブクール温度ΔTに基づいて原子炉圧力容器6の内部の温度の目標値を更新し、加熱器16の更なる加熱量抑制の制御がなされるが、加熱前のT0点の値のサブクール温度より高くする必要はないために、この場合には制御によって加熱を停止することになる。
【0059】
比例・積分演算器206の出力がゼロ以下になるとスイッチ208の接点がオフ状態に制御されて加熱器電源35の電源電圧の加熱器16への供給が停止される。これにより、冷却材浄化系により浄化された冷却材の加熱が停止される。また原子炉圧力容器6の内部の圧力が予め定められた高圧の定格圧力、すなわち予め設定される目標圧力36となると、圧力判定器209により、スイッチ207の接点がオフ状態に制御されて比例積分演算器206による演算出力を出力しないようにする。このスイッチ207のオフ出力により、スイッチ208の接点がオフ状態に制御されて加熱器電源35の電源電圧の加熱器16への供給が停止される。
【0060】
本発明の制御方法によれば、原子炉システムの起動時に、加熱処理により冷却材に対する加熱の制御を行うことにより、原子炉圧力容器6の内部の温度と沸点までの温度差を示すサブクール温度を制御している。
このため、起動時に原子炉内の温度と圧力の関係で決められる不安定領域に入ることのないように原子炉を安定に制御することができる。さらに、起動時に、原子炉冷却材浄化系(CUW)を用いることにより、自然循環系の循環効率を向上させることができる。
【0061】
本発明の制御を実施しないと、最大温度上昇率で制御棒を引抜いて炉水温度を上昇させると共に炉圧力を上昇させようとすると、図3のT6の点、つまり不安定領域で原子炉を運転することになり、炉心安定性の問題を生じることになる。
また、不安定領域を回避するために、図3のT5の点の温度変化率で制御棒を引抜いて炉水温度を上昇させると共に炉圧力を上昇させると、定格の炉圧力に到達するまでの時間が長くなり、結果としてプラントの起動時間が長くなるという問題が生じる。
【0062】
つまり、本発明によれば、サブクール度を制御して不安定領域外で運転できるので、単位時間当たりの炉心の温度上昇幅を最大値までの任意の値に制御できるので、プラントの起動時間を短縮できる。
【0063】
次に、図4のサブクール温度の制御動作を示すフローチャートを参照しながらその具体的動作例について説明する。ここでは、既に、原子炉冷却材浄化系(CUW)による炉水の浄化が行われていることを前提として説明する。なお、図4のフローチャートの動作の主体は、あくまでも制御装置20である。
【0064】
まず、制御装置20は、外部指令「初期サブクール温度制御」を入力し、初期サブクール温度制御を開始する(ステップS1)。
次に、制御装置20は、温度目標値算出手段203で目標温度を算出する(ステップS2)。
【0065】
続いて、制御装置20は、原子炉冷却材浄化系(CUW)に設けられている加熱器16を、スイッチ207の出力により、スイッチ208の接点をオン状態に制御し、加熱器電源35の電源電圧を加熱器16に供給することにより冷却水の加熱を行う(ステップS3)。
【0066】
判断ステップS4で原子炉システムの起動時(低圧時P1)の原子炉圧力容器6の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外のサブクール温度となるまで、つまり、ステップS2の目標温度になるか否かを判定する。目標温度の達したらステップ5に進む。
【0067】
続いて、制御装置20は、外部指令「最大温度上昇率時のサブクール温度制御」が入力されるかチェックし、入力されれば最大温度上昇率時のサブクール温度制御を開始する
(ステップS5)。
【0068】
サブクール温度算出手段202により算出されるサブクール温度を算出する(ステップS6)。
【0069】
次に、制御装置20は、スイッチ207の出力により、スイッチ208の接点をオン・オフ状態に制御し、原子炉冷却材浄化系(CUW)に設けられている加熱器16への加熱器電源35からの電圧供給を制御して、加熱器16の加熱量を抑制する(ステップS7)。
【0070】
続いて、制御装置20は、原子炉圧力容器6の内部の圧力と温度に応じて生じる不安定領域外となるサブクール温度まで、サブクール温度算出手段202により算出されるサブクール温度が図3のT3点の値まで上昇したか否かを判断する(ステップS8)。
【0071】
判断ステップS8で低圧(低圧時P1)の不安定領域外であるT3点のサブクール温度まで上昇したかを判定し、上昇したと判定された場合は、サブクール温度算出手段202により圧力に応じて算出したサブクール温度を更新することにより、加圧器の加熱抑制制御を行う。算出したサブクール温度が加熱前のT0点の値のサブクール温度より高い場合には制御によって加熱を停止する(ステップS9)。
【0072】
次に、制御装置20は、圧力判定器209により原子炉圧力容器6の内部の圧力が予め設定される目標圧力36となったか否かを判断する(ステップS10)。そして、目標圧力36に達していれば制御処理を終了する。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の実施形態を含むものであることは言うまでもない。
【0074】
また、加熱器16の加熱制御をスイッチ208によるオン・オフ制御で実施する例を示したが、スイッチ208をインバータに代替し、スイッチ207の出力でインバータの電圧出力を制御したり、出力電流を制御するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施の形態の自然循環型原子炉を備えた原子炉システムの一実施形態の全体構成を表す模式図である。
【図2】原子炉冷却材浄化系(CUW)装置及び制御装置の詳細構成を示すブロック構成図である。
【図3】サブクール温度の制御を説明する図である。
【図4】サブクール温度の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1・・燃料棒、3・・制御棒、4・・炉心、5・・シュラウド、6・・原子炉圧力容器、7・・ダウンカマ、8・・制御棒駆動装置、9・・チムニ、10・・気水分離器(セパレータ)、11・・蒸気乾燥機(ドライヤ)、12・・主蒸気管、13・・給水管、14・・冷却材引き込み配管、15・・原子炉冷却材浄化系(CUW)装置、16・・加熱器、17・・冷却材出口配管、18・・タービン、20・・制御装置、21・・発電機、22・・抽気ライン、23・・復水器、24・・給水ポンプ、25・・流量調整弁、27・・蒸気隔離弁、28・・タービン蒸気流量加減弁、29・・逃し弁、30・・バイパス管、31・・タービンバイパス弁、32・・安全弁、33・・圧力計、34・・温度計、201・・飽和温度算出手段、202・・・サブクール温度算出手段、203・・温度目標値算出手段、204・・フィルタ、205・・加算器、206・・比例積分演算器、36・・目標値圧力、209・・圧力判定器、210・・加算器




 

 


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