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発明の名称 沸騰水型原子炉、及び沸騰水型原子炉における音響振動抑制方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232440(P2007−232440A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−51910(P2006−51910)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 大塚 雅哉 / 藤本 清志 / 椿 正昭
要約 課題
原子炉熱出力を低下させることなく主蒸気系で発生する圧力振動を効果的に抑制して、原子炉圧力容器内の蒸気乾燥器などを損傷させない沸騰水型原子炉を提供する。

解決手段
圧力センサ17,18が、蒸気ドーム7及び蒸気配管8の内部で発生する音響共鳴に伴う変動圧力を常時検出している。監視・制御装置19は、圧力センサ17,18の検出した変動圧力のレベルに基づいて、抽気弁14の開度を制御して高圧タービン9から給水加熱器13へ供給する抽気量を制御すると共に、制御棒駆動装置15を介して制御棒16を制御して炉心シュラウド2内のウラン燃料の核分裂エネルギを制御する。これにより、原子炉圧力容器1内で発生する蒸気量が減少するので、主蒸気系を通過する蒸気流量が低下して音響共鳴に基づく圧力振動が抑制される。また、原子炉圧力容器1の入出力の給水3と蒸気4のエンタルピ差が拡大するので、原子炉熱出力は一定に維持される。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器で発生した蒸気を該原子炉圧力容器の上部の蒸気ドームから外部へ輸送する蒸気配管と、該蒸気配管に連結して前記蒸気により駆動される高圧タービンと、該高圧タービンからの抽気により前記原子炉圧力容器へ供給する給水を加熱する給水加熱器と、該給水加熱器へ供給する抽気流量を調節するための抽気弁と、前記蒸気ドームと前記蒸気配管からなる主蒸気系に設置された圧力センサとを含んで構成される沸騰水型原子炉において、
前記圧力センサが検出した前記主蒸気系の変動圧力の大きさに基づいて、前記抽気弁の開度を制御する監視・制御装置を備える
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項2】
前記監視・制御装置は、前記給水加熱器が前記原子炉圧力容器へ供給する給水の温度と前記原子炉圧力容器から外部へ送出される蒸気の温度との差に基づくエンタルピ差(Es)と、該原子炉圧力容器から外部へ送出される蒸気流量(Q)との積(Es×Q)が一定値になるように、前記抽気弁の開度を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項3】
前記監視・制御装置は、前記圧力センサが検出した前記主蒸気系の変動圧力が所定のレベルより大きいとき、前記抽気弁の開度を絞って前記給水加熱器から前記原子炉圧力容器へ供給する給水の温度を低下させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項4】
前記監視・制御装置が前記原子炉圧力容器へ供給する給水の温度を低下させたときは、前記給水の温度の低下度合に比例して前記エンタルピ差(Es)を拡大させる
ことを特徴とする請求項3に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項5】
原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器で発生した蒸気を該原子炉圧力容器の上部の蒸気ドームから外部へ輸送する蒸気配管と、該蒸気配管に連結して前記蒸気により駆動される高圧タービンと、該高圧タービンからの抽気により前記原子炉圧力容器へ供給する給水を加熱する給水加熱器と、該給水加熱器へ供給する抽気流量を調節するための抽気弁と、前記蒸気ドームと前記蒸気配管からなる主蒸気系に設置された圧力センサと、前記原子炉圧力容器内のウラン燃料の核分裂反応を制御するための制御棒を駆動制御する制御棒駆動装置とを含んで構成される沸騰水型原子炉において、
前記圧力センサが検出した主蒸気系の変動圧力の大きさに基づいて、前記抽気弁の開度を制御すると共に前記制御棒駆動装置を制御する監視・制御装置を備える
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項6】
前記監視・制御装置は、前記給水加熱器が原子炉圧力容器へ供給する給水の温度と前記原子炉圧力容器から外部へ送出される蒸気の温度との差に基づくエンタルピ差(Es)と、該原子炉圧力容器から外部へ送出される蒸気流量(Q)との積(Es×Q)が一定値になるように、前記抽気弁の開度を制御すると共に前記制御棒駆動装置を制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項7】
前記監視・制御装置は、前記圧力センサが検出した前記主蒸気系の変動圧力が所定のレベルより大きいとき、前記抽気弁の開度を絞って前記給水加熱器から前記原子炉圧力容器へ供給する給水の温度を低下させると共に、前記制御棒駆動装置を制御して前記ウラン燃料の核分裂生成エネルギを制御して蒸気の発生量を低下させる
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項8】
前記監視・制御装置が前記原子炉圧力容器内の蒸気の発生量を低下させたときは、前記蒸気の発生量の低下度合に比例して前記エンタルピ差(Es)を拡大させる
ことを特徴とする請求項7に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項9】
原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器で発生した蒸気を該原子炉圧力容器の上部の蒸気ドームから外部へ輸送する蒸気配管と、該蒸気配管に連結して前記蒸気により駆動される高圧タービンと、該高圧タービンからの抽気により前記原子炉圧力容器へ供給する給水を加熱する給水加熱器と、該給水加熱器へ供給する抽気流量を調節するための抽気弁と、前記蒸気ドームと前記蒸気配管からなる主蒸気系に設置された圧力センサとを含んで構成される沸騰水型原子炉における音響振動抑制方法において、
前記主蒸気系で発生した音響共鳴に起因する変動圧力を検出するステップと、
検出された変動圧力が最小となるように前記抽気弁の開度を制御するステップと、
前記抽気弁の開度の制御によって実現された蒸気流量(Q)と、前記原子炉圧力容器へ供給する給水の温度と該原子炉圧力容器から外部へ送出される蒸気の温度との差に基づくエンタルピ差(Es)との積(Es×Q)が一定になるように、前記抽気弁の開度を再び制御するステップとを含む
ことを特徴とする沸騰水型原子炉における音響振動抑制方法。
【請求項10】
原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器で発生した蒸気を該原子炉圧力容器の上部の蒸気ドームから外部へ輸送する蒸気配管と、該蒸気配管に連結して前記蒸気により駆動される高圧タービンと、該高圧タービンからの抽気により前記原子炉圧力容器へ供給する給水を加熱する給水加熱器と、該給水加熱器へ供給する抽気流量を調節するための抽気弁と、前記蒸気ドームと前記蒸気配管からなる主蒸気系に設置された圧力センサと、前記原子炉圧力容器内のウラン燃料の核分裂反応を制御するための制御棒を駆動制御する制御棒駆動装置とを含んで構成される沸騰水型原子炉における音響振動抑制方法において、
前記主蒸気系で発生した音響共鳴に起因する変動圧力を検出するステップと、
検出された変動圧力が最小となるように前記抽気弁の開度を制御すると共に制御棒駆動装置を制御するステップと、
前記抽気弁の開度の制御と前記制御棒駆動装置の制御とによって実現された蒸気流量(Q)と、前記原子炉圧力容器へ供給する給水の温度と該原子炉圧力容器から外部へ送出される蒸気の温度との差に基づくエンタルピ差(Es)との積(Es×Q)が一定になるように、前記抽気弁の開度を再び制御するステップとを含む
ことを特徴とする沸騰水型原子炉における音響振動抑制方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子炉及び沸騰水型原子炉における音響振動抑制方法に係り、特に、主蒸気系で発生する圧力振動を監視・抑制するのに好適な沸騰水型原子炉及び沸騰水型原子炉における音響振動抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉における主蒸気系での圧力振動の原因の一つとして音響共鳴に起因する圧力振動がある。言い換えれば、原子炉圧力容器の蒸気ドームから蒸気配管を通って高圧タービンに至る主蒸気系では、蒸気流体の流量変動に起因して圧力波が発生し、蒸気配管の系内を伝播して反射する。これによって、大振幅を持つ定在波(音響共鳴モード)が形成され、圧力振動の振幅が増幅する(つまり、共鳴振動する)可能性がある。特に、発電容量を増大した発電プラントにおいては、蒸気流量の増大に伴って蒸気流量の変動が大きくなるため、大きな音響共鳴を生じることがある。このような音響共鳴の現象は、発電プラントの配管構成や境界条件によって影響を受けるために発電プラントごとに振動特性が異なる。そのため、音響共鳴による振動の周波数、振幅、及び最大振幅の位置などを事前に予測することは困難である。
【0003】
したがって、主蒸気系や各種機器の健全性を確保するためには、主蒸気系や各種機器の設計裕度を十分に大きく取って設計しておく必要がある。そこで、音響共鳴による圧力振動の増加によって生じる主蒸気系の配管及びバルブや各種機器の損傷を避けるために、主蒸気系の流路形状の適正化や構造強度の増大などの対策が採られており、このような事例及びその対策方法が例えば非特許文献1などに報告されている。
【0004】
さらには、火力発電の分野において、ガスタービン燃焼室の音響振動を減衰させるためにヘルムホルツ共鳴管を利用した技術も非特許文献2などに開示されている。
【0005】
【非特許文献1】NRC SPECIAL INSPECTION REPORT, 50-265/03-11
【非特許文献2】Journal of Engineering for Gas Turbines and Power, April 2004, Vol.126 P.271-275
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、音響共鳴によって発生する蒸気乾燥器の損傷時に、蒸気に混入して搬送される水分のキャリオーバを測定し、蒸気乾燥器に何らかの不具合が生じてそのキャリオーバが制限値以上の値になったら沸騰水型原子炉を停止している。つまり、蒸気乾燥器の損傷を未然に防ぐためのインタロック機構は備えられていない。なお、原子力発電プラントの増出力時に発生する主蒸気系配管の変動圧力、加速度、あるいは歪などの測定が行われ、それらの測定結果によって沸騰水型原子炉を停止する技術は存在するが、蒸気乾燥器の損傷を未然に防ぐような対策はなされていない。また、音響共鳴に起因する圧力振動によって生じる主蒸気系の破損を防止するために設計裕度を大きくとることは、発電プラントの設備コストを高騰させる要因となる。さらに、ヘルムホルツ共鳴管を用いてガスタービン燃焼室の音響振動を減衰させる技術が知られているものの、沸騰水型原子炉における主蒸気系の圧力振動を抑制するためにヘルムホルツ共鳴管を利用する技術としては応用されていない。
【0007】
すなわち、従来技術においては、原子炉圧力容器内の蒸気乾燥器の損傷を未然に防止するために主蒸気系の圧力振動を監視及び制御する技術は未だ存在していない。さらには、圧力振動が増加したときに原子炉で発生する蒸気流量を低下させて圧力振動を抑制しようとすると、発電プラントの稼働率及び発電電力量が低下して所望の電力を出力することができなくなる。
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、発電プラントの設備コストを高騰させたり原子炉の熱出力を低下させたりすることなく、主蒸気系で発生する音響共鳴に伴う圧力振動を効果的に抑制して原子炉圧力容器内の蒸気乾燥器などを損傷させない沸騰水型原子炉、及び沸騰水型原子炉における音響振動抑制方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の沸騰水型原子炉においては、圧力センサが、蒸気ドーム及び蒸気配管からなる主蒸気系の圧力振動を常に監視・測定している。そして、測定された圧力振動が制限値を越えたら高圧タービンから給水加熱器へ抽気するための抽気弁の開度を絞り、原子炉圧力容器へ供給する給水の温度を低下させる。これによって、原子炉圧力容器内で発生する蒸気量が減少するので、主蒸気系を通過する蒸気流量が低下して音響共鳴に基づく圧力振動が抑制される。このとき、原子炉圧力容器へ供給する給水の温度と原子炉圧力容器から外部へ送出される蒸気の温度との差に基づくエンタルピ差(Es)と、原子炉圧力容器から外部へ送出される蒸気流量(Q)との積(Es×Q)が一定値になるように制御されるので、蒸気流量(Q)が低下しても原子炉の熱出力を一定の値に維持させることができる。
【0010】
また、本発明の沸騰水型原子炉においては、測定された圧力振動が制限値を越えたら、高圧タービンから給水加熱器へ抽気するための抽気弁の開度を絞って原子炉圧力容器へ供給する給水の温度を低下させると共に、ウラン燃料の核分裂反応をコントロールするための制御棒を制御して原子炉圧力容器内で発生する蒸気量をコントロールしている。これによって、蒸気流量(Q)を低下させて圧力振動を抑制させると共に、エンタルピ差(Es)を拡大させて発電電力量を適切な値に維持させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の沸騰水型原子炉によれば、蒸気ドームや蒸気配管などの主蒸気系の圧力振動を監視し、圧力振動の変動レベルが制限値以上にならないように制御している。これによって、原子炉圧力容器内の蒸気乾燥器(ドライヤ)や各種機器の損傷を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
《概要》
本発明の沸騰水型原子炉は、主蒸気系における圧力振動の主たる要因が音響共鳴であることに着目し、その音響共鳴を回避するために、主蒸気系における圧力振動の変動を監視し、圧力振動が制限値以上にならないように、原子炉圧力容器に流入する給水の温度(エンタルピ)を制御すると共に、炉心シュラウド内のウラン燃料の核分裂生成エネルギをコントロールするための制御棒を制御して、原子炉圧力容器から流出する蒸気流量を制御する。
【0013】
すなわち、高圧タービンから抽出される主蒸気の抽出量を絞って給水の加熱量を減らし、給水のエンタルピ(温度)を下げることによって原子炉圧力容器で発生する蒸気量を減少させる。その結果、主蒸気系を通過する蒸気流量を減少させて音響共鳴による圧力振動を抑制することができる。このとき、原子炉圧力容器の入口の給水温度と出口の蒸気温度との温度差に基づくエンタルピ差が拡大するので、蒸気流量を減少させても原子炉の熱出力を低下させる必要がない。つまり、高圧タービンからの主蒸気の抽出量を制御して給水温度を最適に制御することにより、原子炉圧力容器から出力される蒸気流量を低下させて圧力振動を抑制しても、原子炉の熱出力を低下させる必要がない。
【0014】
さらに、高圧タービンからの主蒸気の抽出量を制御してエンタルピ差を大きくするように制御するとともに、ウラン燃料の核分裂反応をコントロールするための制御棒を制御することにより、発電電力を適切な値に維持することができる。本発明の沸騰水型原子炉では、このようにして原子炉の熱出力を低下させずに原子炉圧力容器から出力される蒸気流量を制御することによって、音響共鳴に起因する圧力振動を抑制して蒸気発生器や各種機器の損傷を防止することができる。
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の沸騰水型原子炉について幾つかの実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
《第1の実施形態》
図1は、本発明の第1の実施形態による沸騰水型原子炉の蒸気系及び給水系を示す構成図である。原子炉圧力容器1の内部では、炉心シュラウド2に囲まれたウラン燃料(図示せず)が核分裂したときに生成された熱エネルギによって給水3が加熱気化され、そこで発生した蒸気4は気水分離器5及び蒸気乾燥器(ドライヤ)6によって水分が除去された後、蒸気ドーム7の中へ流入する。なお、気水分離器5で除去された水分は再び給水3に混入される。一方、原子炉圧力容器1の内部で生成された蒸気4は、蒸気ドーム7から蒸気配管8を通って高圧タービン9へ流入してその高圧タービン9を高速回転させる。さらに、高圧タービン9から排気された蒸気4は湿分分離器10を介して低圧タービン11へ流入してその低圧タービン11を高速回転させる。このとき、高圧タービン9及び低圧タービン11と図示しない発電機は1軸で構成されているので、高圧タービン9及び低圧タービン11の回転によって発電機を高速回転させて所望の電力を発生させる。
【0017】
さらに、低圧タービン11を通過した蒸気4は復水器12によって冷却され、給水3となって給水加熱器13へ供給させる。給水加熱器13は高圧タービン9から抽気弁14を介して抽気された蒸気4によって加熱されるので、給水加熱器13を通過する給水3は所定の温度に予備加熱されて、ポンプ12aによって再び原子炉圧力容器1の内部に送り込まれる。このようにして給水3が循環しながら原子炉圧力容器1内で再び蒸気4となって高圧タービン9及び低圧タービン11へ送り込まれて発電機を高速回転させる。
【0018】
さらに、制御棒駆動装置15に取り付けられた制御棒16が、原子炉圧力容器1の内部に挿入されている。この制御棒16は、制御棒駆動装置15によって炉心シュラウド2の内部のウラン燃料の核分裂反応をコントロールして、原子炉圧力容器1内で生成させる蒸気4の発生量を制御している。
【0019】
また、原子炉圧力容器1には、蒸気ドーム7の内部で発生した変動圧力を検出するための圧力センサ17が取り付けられ、蒸気配管8には、その蒸気配管8の内部で発生した変動圧力を検出するための圧力センサ18が取り付けられている。圧力センサ17及び圧力センサ18で検出されたそれぞれの変動圧力の信号は、監視・制御装置19へ送信され、監視・制御装置19が、変動圧力の信号の大きさに基づいて抽気弁14の開度を制御して、高圧タービン9から抽気されて給水加熱器13へ供給される蒸気量の制御を行う。これによって、原子炉圧力容器1へ供給される給水の温度(エンタルピ)が制御され、その結果、蒸気4の発生量が制御されると共に、原子炉圧力容器1の入口の給水3の温度と原子炉圧力容器1の出口の蒸気4の温度との差に基づく原子炉圧力容器1の入出力のエンタルピ差が制御される。
【0020】
次に、本発明の第1の実施形態の沸騰水型原子炉において、監視・制御装置19が主蒸気系の変動圧力を監視しながら音響共鳴による圧力振動を抑制する動作の流れをフローチャートによって説明する。
【0021】
図2は、図1に示す第1の実施形態の沸騰水型原子炉が音響共鳴による圧力振動を抑制する動作を示すフローチャートである。圧力センサ17または圧力センサ18が、蒸気ドーム7または蒸気配管8(つまり、主蒸気系)の音響共鳴による変動圧力を検出し(ステップS1)、検出した変動圧力が所定のレベルより大きいか否かを判定する(ステップS2)。検出した変動圧力が所定のレベルより大きくなければ、つまり、変動圧力が小さければ(ステップS2でNo)、そのまま変動圧力の検出を継続するが、検出した変動圧力が所定のレベルより大きければ(ステップS2でYes)、監視・制御装置19が抽気弁14を絞って高圧タービン9から給水加熱器13へ供給する蒸気量を減少させる(ステップS3)。
【0022】
これによって、給水加熱器13の加熱温度が低下するので、復水器12から給水加熱器13を経由して原子炉圧力容器1へ供給される給水3の温度が低下する(ステップS4)。したがって、原子炉圧力容器1内における蒸気4の発生量が低下するので、蒸気ドーム7から蒸気配管8へ供給される蒸気流量(Q)が低下する。さらに、原子炉圧力容器1へ供給される給水3の温度と原子炉圧力容器1から蒸気配管8へ出力される蒸気の温度との温度差が拡大する。つまり、原子炉圧力容器1の入口と出口のエンタルピ差(Es)が拡大する(ステップS5)。
【0023】
次に、フローチャートの最初に戻り、圧力センサ17または圧力センサ18が、蒸気ドーム7または蒸気配管8(つまり、主蒸気系)の音響共鳴による変動圧力を検出し(ステップS1)、検出した変動圧力が所定のレベルより大きいか否かを判定する(ステップS2)。検出した変動圧力が所定のレベルより大きくなければ、つまり、変動圧力が小さければ(ステップS2でNo)、そのまま変動圧力の検出を継続するが、検出した変動圧力が所定のレベルより大きければ(ステップS2でYes)、再度、監視・制御装置19が抽気弁14を絞って高圧タービン9から給水加熱器13へ供給する蒸気量を減少させる(ステップS3)。
【0024】
このようにして、蒸気ドーム7から蒸気配管8へ流れる蒸気流量を低下させることにより、蒸気ドーム7及び蒸気配管8からなる主蒸気系で発生する圧力振動を低下させて音響共鳴を抑制することができる。
【0025】
すなわち、第1の実施形態の沸騰水型原子炉によれば、蒸気ドーム7または蒸気配管8に接続された圧力センサ17,18によって検出した変動圧力が所定の閾値を越えたら、監視・制御装置19の制御によって高圧タービン9から給水加熱器13に向かう抽気弁14を絞り、原子炉圧力容器1へ供給される給水3の温度を低下させて蒸気流量を低下させる。これにより、蒸気ドーム7または蒸気配管8の音響共鳴による圧力振動を低下させることができる。このとき、原子炉圧力容器1の入出力のエンタルピ差が拡大するので、蒸気流量が低下しても、蒸気流量とエンタルピ差の積で決まる原子炉熱出力を低下させる必要がない。
【0026】
第1の実施形態の沸騰水型原子炉では、上述のように抽気弁14を制御することによって、原子炉熱出力を低下させることなく蒸気流量を小さくして音響共鳴に起因する圧力振動を抑えることができるので、増出力時においても原子炉圧力容器1内の蒸気乾燥器(ドライヤ)6やその他の機器を破損させるおそれはなくなる。
【0027】
《第2の実施形態》
図3は、本発明の第2の実施形態による沸騰水型原子炉の蒸気系及び給水系を示す構成図である。図3に示す第2の実施形態の沸騰水型原子炉の構成が、図1に示す第1の実施形態の沸騰水型原子炉の構成と異なるところは、監視・制御装置19が抽気弁14に加えて制御棒駆動装置15も制御している点である。その他の構成は全く同じであるので、重複する説明は省略する。
【0028】
図4は、図3に示す第2の実施形態の沸騰水型原子炉が音響共鳴による圧力振動を抑制する動作を示すフローチャートである。したがって、図3に示す第2の実施形態の沸騰水型原子炉において、監視・制御装置19が、主蒸気系の変動圧力を監視しながら音響共鳴による圧力振動を抑制する動作の流れを図4のフローチャートによって説明する。なお、フローチャートの流れについては、動作の流れの理解を容易にするために第1の実施の形態と重複する部分についても説明を行う。
【0029】
圧力センサ17または圧力センサ18が、蒸気ドーム7または蒸気配管8(つまり、主蒸気系)の音響共鳴による変動圧力を検出する(ステップS11)。検出した変動圧力が、所定のレベルより大きいか否かを判定する(ステップS12)。検出した変動圧力が、所定のレベルより大きくなければ、つまり、変動圧力が、小さければ(ステップS12でNo)、そのまま変動圧力の検出を継続する。検出した変動圧力が、所定のレベルより大きければ(ステップS12でYes)、監視・制御装置19が、抽気弁14を絞って高圧タービン9から給水加熱器13へ供給する蒸気量を減少させる(ステップS13)。
【0030】
これによって、給水加熱器13の加熱温度が低下するので、復水器12から給水加熱器13を経由して原子炉圧力容器1へ供給される給水3の温度が低下する(ステップS14)。したがって、原子炉圧力容器1内における蒸気4の発生量が低下するので、蒸気ドーム7から蒸気配管8へ供給される蒸気流量が低下する。さらに、原子炉圧力容器1へ供給される給水3の温度と原子炉圧力容器1から蒸気配管8へ出力される蒸気の温度との温度差に基づく原子炉圧力容器1の出入口のエンタルピ差が拡大する(ステップS15)。
【0031】
このとき、さらに監視・制御装置19が、制御棒駆動装置15を制御し、制御棒駆動装置15が、制御棒16によってウラン燃料の核分裂反応を制御する(ステップS16)。これによって、原子炉圧力容器1内における蒸気4の発生量が低下するので、蒸気ドーム7から蒸気配管8へ供給される蒸気流量が低下する(ステップS15)。
【0032】
次に、蒸気流量(Q)×エンタルピ差(Es)が一定であるか否かを判定する(ステップS17)。ここで、蒸気流量(Q)×エンタルピ差(Es)が一定でなければ(ステップS17でNo)、ステップS13及びステップS16に戻って、抽気弁14を制御したり制御棒16を制御したりして前述の処理を繰り返し、蒸気流量(Q)×エンタルピ差(Es)が一定になるようにする。
【0033】
一方、ステップS17で蒸気流量(Q)×エンタルピ差(Es)が一定であれば(ステップS17でYes)、蒸気流量(Q)が低下しても一定の原子炉熱出力が得られる(ステップS18)。つまり、原子炉圧力容器1の入口に供給される給水3の温度(エンタルピ)を意図的に下げることで蒸気4の発生量を低下させた場合(つまり、蒸気流量を低下させた場合)、原子炉圧力容器1の出口から出力される蒸気4の温度(エンタルピ)は一定であるので、原子炉圧力容器1の入口と出口の間のエンタルピ差が拡大することによって、蒸気流量(Q)×エンタルピ差(Es)で決まる原子炉熱出力を一定値に維持することができる。
【0034】
次に、フローチャートの最初に戻り、圧力センサ17または圧力センサ18が、蒸気ドーム7または蒸気配管8(つまり、主蒸気系)の音響共鳴による変動圧力を検出する(ステップS1)。検出した変動圧力が、所定のレベルより大きいか否かを判定する(ステップS2)。検出した変動圧力が、所定のレベルより大きくなければ、つまり、変動圧力が、小さければ(ステップS2でNo)、そのまま変動圧力の検出を継続する。検出した変動圧力が、所定のレベルより大きければ(ステップS2でYes)、再度、監視・制御装置19が、抽気弁14を絞って高圧タービン9から給水加熱器13へ供給する蒸気量を減少させる(ステップS3)。また、監視・制御装置19が、制御棒駆動装置15を制御し、制御棒駆動装置15が、制御棒16によってウラン燃料の核分裂反応を制御する(ステップS16)。
【0035】
このようにして、蒸気ドーム7から蒸気配管8へ流れる蒸気流量を低下させることにより、原子炉熱出力を落とすことなく、蒸気ドーム7及び蒸気配管8からなる主蒸気系で発生する変動圧力を低下させて音響共鳴を抑制することができる。
【0036】
すなわち、第2の実施形態の沸騰水型原子炉によれば、蒸気ドーム7または蒸気配管8に接続された圧力センサ17,18によって検出した変動圧力の変動値が、所定の閾値を越えたら、監視・制御装置19の制御によって高圧タービン9から給水加熱器13に向かう抽気弁14を絞り、原子炉圧力容器1へ供給される給水3の温度を低下させる。さらに、制御棒駆動装置15によって、ウラン燃料への制御棒16の挿入量を調整して核分裂生成エネルギを制御する。これによって、炉心シュラウド2内の発熱量を抑制して蒸気4の発生量を抑え、蒸気流量を低下させることができるので、蒸気ドーム7または蒸気配管8の音響共鳴による圧力振動を低下させることが可能となる。このとき、原子炉圧力容器1の出入口のエンタルピ差が拡大するので、蒸気流量が低下しても、蒸気流量×原子炉圧力容器1の入出力エンタルピ差で決まる原子炉熱出力を一定値に維持することができる。
【0037】
第2の実施形態の沸騰水型原子炉では、上述のように抽気弁14と制御棒16の制御によって、原子炉熱出力を低下させることなく蒸気流量を小さくして音響共鳴に起因する圧力振動を抑えることができるので、増出力時においても原子炉圧力容器1内の蒸気乾燥器(ドライヤ)6やその他の機器を破損させるおそれはなくなる。尚、原子炉熱出力の値は、出力向上前の値と同じである必要はなく、圧力振動が許容値を超えない範囲で任意の所望の値に設定してもよい。そのため、ステップS16では、制御棒を引き抜く操作も可能とする。
【0038】
《まとめ》
以上説明したように、本発明の沸騰水型原子炉によれば、従来の沸騰水型原子炉に対して監視・制御装置を追加し、この監視・制御装置によって、高圧タービンから給水加熱器へ蒸気を抽気する抽気弁の開度を制御したり、ウラン燃料の核分裂エネルギを制御する制御棒を制御するだけで、主蒸気系を通過する蒸気流量を調整して音響共鳴に伴う圧力振動を抑制することができる。このとき、原子炉圧力容器へ供給される給水の温度とその原子炉圧力容器から蒸気配管へ送出される蒸気の温度との温度差であるエンタルピ差(Es)が拡大するので、蒸気流量(Q)が低下しても、エンタルピ差(Es)と蒸気流量(Q)の積(Es×Q)を一定の値に保持することができる。これによって、蒸気流量(Q)を低下させても原子力発電プラントから出力される原子炉熱出力を一定値に保持することが可能となる。その結果、信頼性の高いレベルを維持しながら更なる増出力を可能にした原子力発電プラントを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態による沸騰水型原子炉の蒸気系及び給水系を示す構成図である。
【図2】図1に示す第1の実施形態の沸騰水型原子炉が音響共鳴による圧力振動を抑制する動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態による沸騰水型原子炉の蒸気系及び給水系を示す構成図である。
【図4】図3に示す第2の実施形態の沸騰水型原子炉が音響共鳴による圧力振動を抑制する動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 原子炉圧力容器
2 炉心シュラウド
3 給水
4 蒸気
5 気水分離器
6 蒸気乾燥器(ドライヤ)
7 蒸気ドーム
8 蒸気配管
9 高圧タービン
10 湿分分離加熱器
11 低圧タービン
12 復水器
13 給水加熱器
14 抽気弁
15 制御棒駆動装置
16 制御棒
17,18 圧力センサ
19 監視・制御装置




 

 


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