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自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ - 株式会社日立製作所
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発明の名称 自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232432(P2007−232432A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−51787(P2006−51787)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 石田 一成 / 和田 陽一 / 長瀬 誠 / 細川 秀幸 / 渡辺 敦志
要約 課題
腐食生成物の付着による圧力損失や、放射性腐食生成物の付着によりチムニ交換時等に放射線によって作業員が被ばくすることを抑制できる自然循環式沸騰水型原子炉のチムニを提供すること。

解決手段
チムニ11は、自然循環式沸騰水型原子炉の炉心の上に設置される。このチムニ11は、接液表面81aの少なくとも一部に、チタン酸化物、または、ジルコニウム酸化物からなる層81を有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
自然循環式沸騰水型原子炉の炉心の上に設置されるチムニにおいて、
当該チムニの接液表面の少なくとも一部に、チタン酸化物、または、ジルコニウム酸化物からなる層を有することを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
【請求項2】
自然循環式沸騰水型原子炉の炉心の上に設置されるチムニにおいて、
当該チムニの接液表面の少なくとも一部に、チタン、または、ジルコニウムからなる層を有することを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
【請求項3】
自然循環式沸騰水型原子炉の炉心の上に設置されるチムニにおいて、
当該チムニの接液表面の少なくとも一部に、四酸化三鉄からなる層を有すること特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
【請求項4】
自然循環式沸騰水型原子炉の炉心の上に設置されるチムニにおいて、
当該チムニの接液表面の少なくとも一部に、白金、ロジウム、パラジウムの中のいずれか1種類以上の元素の層を有することを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
【請求項5】
自然循環式沸騰水型原子炉の炉心の上に設置されるチムニにおいて、
当該チムニの接液表面の少なくとも一部に、四酸化三鉄からなる層を有し、さらに、チタン酸化物、または、ジルコニウム酸化物からなる層を有することを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
【請求項6】
自然循環式沸騰水型原子炉の炉心の上に設置されるチムニにおいて、
当該チムニの接液表面の少なくとも一部に、チタン酸化物、または、ジルコニウム酸化物からなる層を有し、さらに白金、ロジウム、パラジウムの中のいずれか1種類以上の元素からなる層を有することを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
【請求項7】
前記自然循環式沸騰水型原子炉の炉内には、0.1mg/kg以上0.4mg/kg以下の水素が給水系から注入されることを特徴とする請求項4または請求項6に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然循環式沸騰水型原子炉の炉心の上に設置されるチムニに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、提案されている自然循環式沸騰水型原子炉では、自然循環の駆動力を確保のために、強制循環式沸騰水型原子炉の炉心の上には無いチムニが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
チムニは、炉心側から気液二相流となって送り出される冷却材を原子炉圧力容器の上方に導くことによって、原子炉圧力容器内における冷却材の自然循環を促進させるものである。
【0003】
自然循環式沸騰水型原子炉の炉内構造物は、水の放射線分解によって生成された酸素、過酸化水素水などの酸化剤を含む高温水に曝されて、腐食劣化を生じる。
また、自然循環式沸騰水型原子炉内を流れる冷却材等の中には、復水系や給水系や炉内構造物を形成する形成体の材料が冷却材中に溶出して、ng/kg〜μg/kgオーダーの腐食生成物(金属イオン、不溶解性金属酸化物)が存在している。
さらに、原子炉内の水中では、腐食生成物が、炉心の中性子照射によって放射化されることによって、放射性腐食生成物が生じる。このような腐食生成物や放射性腐食生成物は、原子炉内で冷却材と共に移行して、原子炉内の構造物に付着、蓄積する。
【0004】
原子炉内の構造物に付着した腐食生成物や放射性腐食生成物を除去するために、従来は、化学除染が行われていた。この化学除染は、プラント停止中に原子炉内にシュウ酸などの化学薬品を注入して放射性腐食生成物を溶かし出し、イオン交換樹脂に吸着させることにより、炉内構造物に付着した放射性腐食生成物を除去する方法である。
【特許文献1】特公平7−27051号公報(第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した自然循環式沸騰水型原子炉では、炉心上部に設置されたチムニ中を冷却材が高速度で流れるため、チムニの接液表面に腐食生成物が付着して、圧力損失が生じるという問題点がある。
【0006】
また、チムニは、水の放射線分解によって生成された酸素や、過酸化水素水による腐食劣化のため、定期的な検査や補修、交換が必要になる。
そして、チムニの補修時および交換時には、チムニに付着した放射性腐食生成物による放射線によって作業員が被ばくされることが懸念される。
さらに、チムニやその下部に存在する炉心シュラウド、原子炉底部を検査する際にも、炉内構造物に付着した放射性腐食生成物による検査装置の汚染による放射線によって作業員が被ばくすることが懸念される。
【0007】
前記した化学除染は、原子炉内に化学薬品を注入することから、燃料集合体やチムニを原子炉外(燃料プール)に取り出す必要があるので、クレーンや移動装置や切断装置等の種々の機械装置による作業が必要なため、作業工数がかかる。また、腐食生成物や放射性腐食生成物の溶出や、イオン交換樹脂への吸着には、時間が掛かるため、プラント停止期間が増加して、プラントの設備利用率を低下させるという問題点がある。
さらに、原子炉内の全体を洗浄した場合には、多量の放射性廃棄物が生じるという問題点もある。
【0008】
本発明は、腐食生成物の付着による圧力損失や、放射性腐食生成物の付着によるチムニ交換時等の作業員の放射線被ばくを抑制した自然循環式沸騰水型原子炉のチムニを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニは、自然循環式沸騰水型原子炉の炉心の上に設置されるチムニにおいて、当該チムニの接液表面の少なくとも一部に、チタン酸化物、または、ジルコニウム酸化物からなる層を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、自然循環式沸騰水型原子炉のチムニは、接液表面の少なくとも一部に、チタン酸化物の層、または、ジルコニウム酸化物からなる層を有することにより、腐食性生物や放射性腐食性生物の付着を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニによれば、腐食生成物の付着による圧力損失を抑制することができる。更にや放射性腐食生成物の付着によりチムニの検査、補修、および交換時に、作業員が放射線被ばくすることを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1実施形態]
まず、図1〜図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニを説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの設置状態を示すブロック図である。
【0013】
≪自然循環式沸騰水型原子炉の構成≫
まず、図1を参照して自然循環式沸騰水型原子炉1を説明する。
自然循環式沸騰水型原子炉1(以下、単に「原子炉」という)は、再循環ポンプを用いないで自然循環によって、原子炉1内の冷却材(軽水)を駆動させる方式のものである。この原子炉1は、原子炉圧力容器6内に核燃料が装荷された燃料集合体21を設置し、炉心7で原子炉1内を循環する冷却材(軽水)を沸騰させて、水と蒸気の気液から水を分離する気水分離器12と通過し、さらに、蒸気を乾燥させる蒸気乾燥器14を通過した蒸気を使ってタービン2を回転させ、発電機(図示せず)を回転させて発電を行うものである。
原子炉1は、復水器3と復水濾過脱塩器62と給水ポンプ4と給水加熱器5と炉心7に核燃料の装荷された原子炉圧力容器6を給水系配管16bで接続し、原子炉圧力容器6とタービン2を主蒸気系配管16aで接続することにより閉ループを構成している。
前記蒸気は、復水器3によって水に戻され、復水濾過脱塩器62で不純物が除去され、給水ポンプ4で給水加熱器5を通して給水入口ノズル17によって原子炉圧力容器6に戻される。
【0014】
なお、原子炉1は、一般に使用されている沸騰水型原子炉(BWR)のように、出力調整用の制御棒24を用いるものの、この原子炉1を強制循環させるための再循環系配管、再循環ポンプ、ジェットポンプが炉内に設置されていない。
その代わり、原子炉1の炉心7の上には、チムニ11と呼ばれる構造物が設置され、水を自然循環させる仕組みになっている。
【0015】
これとは別に原子炉圧力容器6は、原子炉水浄化系ポンプ63、熱交換器64と、脱塩器65、原子炉水浄化系配管66を介在して給水系配管16bに接続する系統(原子炉水浄化系)が設置されている。また、原子炉水浄化系では、金属の腐食などにより生じた不純物を除去している。
【0016】
前記原子炉1には、図1に示すように、円筒状の原子炉圧力容器6内に、円筒状の炉心シュラウド8が、同心上の円筒状に設けられている。この炉心シュラウド8およびチムニ胴11dの外側には、その外側面と原子炉圧力容器6の内壁面との間に、環状空間からなるダウンカマ9が形成されている。また、炉心シュラウド8の内部には、多数の燃料集合体21が収容されている。
【0017】
炉心7の下部には、炉心支持板22が配設されている。炉心7の上部には、炉心シュラウド8内に配設された燃料集合体21と、制御棒24の横方向の配置を決める上部格子板23とが配設されている。
炉心シュラウド8と、原子炉圧力容器6の内壁との間には、ダウンカマ9を下降した冷却材を炉心7の下部の炉心下部プレナム10に導き入れる下流流路が形成されている。
炉心7の上には、炉心7から出た気液二相流の冷却材を上方に導いて自然循環駆動力を増加させるチムニ11が設けられている。
【0018】
≪チムニの構成≫
図1に示すチムニ11は、原子炉圧力容器6に内蔵したチムニ胴11dによって、冷却材が流れる流路を形成する筒状体からなる。このチムニ11は、例えば、原子炉圧力容器6と同心に配設された円筒状のチムニ胴11dと、このチムニ胴11dの内部に内設された四角形の筒状体からなる複数の管からなる流路隔壁11bと、から主に構成されている。
【0019】
<流路隔壁(管)の構成>
各流路隔壁(管)11bは、チムニ胴11d内の胴内流路を水平方向に細分化するように配置された管からなる。この流路隔壁11bは、例えば、上部格子板23に格子状に穿設されてなる係合部(図示せず)に、隙間を介在して、互い違いに配設された複数の角管を集合させてなる。
なお、流路隔壁11bは、前記上部格子板23の係合部に圧入手段や締結手段等によって、それぞれ1本ずつの管の状態に分離できるように着脱可能な状態に設置されている。
【0020】
<チムニ胴の構成>
図1に示すチムニ胴11dは、原子炉圧力容器6の内径より小さな内径で形成された円筒状体からなる。このチムニ胴11dは、原子炉圧力容器6の内壁に、所定間隔を介して炉心7上に配設することにより、冷却材が気水分離器12から炉心下部プレナム10側に流れる環状のダウンカマ9と、冷却却材が炉心シュラウド8の内側を上方にシュラウドヘッド12a側に流れる略格子状の胴内流路11aと、を形成している。
【0021】
チムニ胴11d内には、冷却材の胴内流路11aをそれぞれ形成する管からなる流路隔壁11bが上下方向に向けて複数配設されている。
チムニ胴11dの上方には、複数の流路隔壁11bによって個々の格子状の流路となった胴内流路11aから上方に流れる冷却材を、チムニ11内の上部で合流するようするために、上部プレナム11cが設けられている。
チムニ胴11dの下端は、上部格子板23に環状に形成された係合部(図示せず)に装着されて、ダウンカマ9を下降する冷却材と、炉心7を出た冷却材とが混じり合わないような組み合わせ構造になっている。
【0022】
<上部格子板の構成>
図1に示す上部格子板23は、チムニ胴11dの下端部に配設される略円盤状の部材であって、流路隔壁11bを所定間隔で格子状に配置して直立した状態に保持している。
【0023】
≪不溶解性の腐食生成物の付着・蓄積の説明≫
次に、図2を参照しながら不溶解性の腐食生成物aが付着・蓄積するメカニズムについて説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニにおける不溶解性の腐食生成物の付着・蓄積の説明図である。
【0024】
図2に示すように、不溶解性の腐食生成物aは、冷却材の流れによる物質移動により、チムニ11の形成体80の接液表面81aに付着し、固着することにより蓄積する。このメカニズムにより不溶解性の腐食生成物aの付着が起こっても直ぐに剥がれる状態になっていれば不溶解性の腐食生成物aが蓄積することがない。
このため、冷却材が流れる流路内の接液表面81aを親水性(濡れ性)にすれば、不溶解性の腐食生成物aの剥離が起こりやすく、固着を抑制できる。なお、不溶解性の放射性腐食生成物は、不溶解性の腐食生成物aと同じ機構により付着・蓄積する。
【0025】
≪チムニの接液表面の構成≫
そこで、本発明の第1実施形態では、図2に示すように、チムニ11を形成する形成体80の接液表面81aにチタン酸化物や、ジルコニウム酸化物等の親水性を備えた皮膜等の層81を設置する。
この場合、チムニ11は、接液表面81aの少なくとも一部に、チタン酸化物の層81、または、ジルコニウム酸化物からなる層81を有すればよい。層81を形成体80に設置する手段は、特に限定されない。チタン酸化物やジルコニウム酸化物を接液表面81aに設置する手段としては、例えば、ゾルーゲル法等が挙げられる。
【0026】
<接液表面がチタン酸化物の場合>
チタン酸化物の場合には、チタンアルコキシドとアルコール、水、アンモニアからなるチタンアルコキシド溶液を、チムニ11の形成体80にスプレーするか、チムニ11の形成体80をチタンアルコキシド溶液に浸漬して、引き上げすることにより塗布し、乾燥させる。この塗布操作を1〜3回程度実施すると0.1〜1μm程度の層81が形成される。
なお、層81を形成体80の表面に固着させるためには、加熱する必要があるが、この場合、その形成体80を原子炉1内に配置して、プラント運転時の熱を利用すればよい。
【0027】
そして、層81は、親水性を備えた二酸化チタンをコーティングしたものであっても構わない。
また、チムニ11は、例えば、ステンレス鋼製のチムニ11の接液表面81aに、チタンをクラッディングしたものや、チタンやチタン合金の薄膜からなる層81を圧着したものであってもよい。プラント運転中の熱によりチタンやチタン合金表面が酸化して親水性の層81が形成されるためである。
【0028】
<接液表面がジルコニウム酸化物の場合>
ジルコニウム酸化物の場合も、ジルコニウムアルコキシドとアルコール、水、アンモニアから成るジルコニウムアルコキシド溶液を使って、前記同様に層81を形成すればよい。
【0029】
なお、層81は、親水性を備えた親水性を備えた酸化ジルコニウムをコーティングしたものであっても構わない。
また、チムニ11は、例えば、ステンレス鋼製のチムニ11の接液表面81aに、ジルコニウムをクラッディングしたものや、ジルコニウムやジルコニウム合金の薄膜からなる層81を圧着したものであってもよい。プラント運転中の熱によりチタンやチタン合金表面が酸化して親水性の層81が形成されるためである。
【0030】
≪自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの作用≫
次に、図2を参照しながら本発明の第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの作用を説明する。
前記チムニ11は、接液表面81aが、チタン、チタン酸化物、チタン合金等のチタン系金属、または、ジルコニウム、ジルコニウム酸化物、ジルコニウム合金等のジルコニウム系金属からなる層81を有することによって、接液表面81aに親水性(濡れ性)が備わる。
【0031】
すると、チムニ11の接液表面81aは、水を弾かず、水が馴染むようになる。このように接液表面81aに親水性が備わると、その接液表面81aに付着した不溶解性の腐食生成物aの下に水の膜が入り込み、不溶解性の腐食生成物aを浮かして流すセルフクリーニング効果を発揮するようになる。
【0032】
このため、チムニ11は、腐食生成物aや放射性腐食生成物が接液表面81aに付着することを抑制して、それらの付着物による圧力損失を抑制することができるようになる。
また、チムニ11を検査、補修、交換する際には、放射性腐食生成物が付着しないので、作業員が放射線によって被ばくすることを解消することができるようになる。
【0033】
さらに、チムニ11の形成体80は、接液表面81aのみ、または、その一部のみを前記チタン系金属、または、ジルコニウム系金属からなる層81にしたことにより、形成体80全体をそれと同一金属で形成した場合と比較して、材料コストを低減することができる。
また、チムニ11は、不溶解性の放射性腐食生成物および不溶解性の腐食生成物aが付着し易い炉心7側の形成体80にのみ、前記層81を有するようにすれば、さらに、効率的に材料のコストダウンを図ることができる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、図3および図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11を説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニにおけるイオン性の腐食生成物の付着・蓄積の説明図である。
なお、図1および図2に示した第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0035】
本第2実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ11は、図2に示した第1実施形態の接液表面81aの層81を、図3に示すように、四酸化三鉄からなる層82としたものである。
【0036】
一般に、イオン性の腐食生成物bは、図3に示すように、チムニ11等の形成体80の接液表面82aに吸着されて付着すると、接液表面82aに付着した酸化物cからなる酸化皮膜が成長するときに、その酸化皮膜に取り込まれることによって蓄積する。
このメカニズムよりイオン性の腐食生成物bの付着・蓄積は、酸化皮膜の成長を抑制することにより、抑制することができる。すなわち、イオン性の放射性腐食生成物は、イオン性の腐食生成物bと同じ機構により付着・蓄積する。
【0037】
このため、本第2実施形態では、チムニ11の形成体80の接液表面82aに、耐食性を有する皮膜等からなる四酸化三鉄の層82を設けた。
この場合、ギ酸鉄溶液にヒドラジンを添加して、酸・アルカリ度のPH値を5.5〜9に調整した四酸化三鉄コーティング溶液をチムニ11の形成体80にスプレーするか、あるいは、チムニ11の形成体80を四酸化三鉄コーティング溶液に浸漬することにより四酸化三鉄層を設置することが可能である。
【0038】
図4は、チムニに四酸化三鉄層を設置した場合と設置していない場合のイオン性の放射性腐食生成物の付着の違いを調べた結果を示すグラフである。
図4に示すように、四酸化三鉄の層82の設置した試験片と、未処理の試験片とを比較すると、四酸化三鉄の層82を設置した試験片のコバルト60の付着量が少ないことが判る。
【0039】
このように、チムニ11の接液表面82aに四酸化三鉄の層82を設けたことにより、イオン性の放射性腐食生成物の付着を抑制できることが判る。このため、酸化物(酸化皮膜)cの成長が抑制されて、イオン性の放射性腐食生成物の蓄積を抑制できる。
そして、チムニ11は、耐食性を備えたことにより、中性子による照射損傷の発生や、腐食を抑制することができるので、チムニ11の使用可能な期間が長くなり、耐久性を向上させて寿命を長くすることができる。
また、チムニ11を交換するときには、イオン性の放射性腐食生成物の付着が抑制できることにより、チムニ11の交換作業時等に、作業員が被ばくすることを抑制することができる。
【0040】
[第3実施形態]
次に、図5〜図7を参照して、本発明の第3実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11を説明する。
図5は、本発明の第3実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニにおけるイオン性の腐食生成物の付着・蓄積の説明図である。
なお、図1および図2に示した第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0041】
本第3実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11は、図2に示した第1実施形態の接液表面81aの層81を、図5に示すように、白金、ロジウム、パラジウムの中のいずれか1種類以上の元素の層83としたものである。
【0042】
本第3実施形態では、チムニ11の形成体80の接液表面83aに、水素共存下で放射能の取り込みを抑制する白金、ロジウム、パラジウムのいずれからなる1種類以上の元素からなる粒子、または、層83を設置する。なお、原子炉1内には、給水系から0.2ppm以上0.4ppm以下の水素が注入される。
【0043】
この場合、チムニ11の形成体80に、物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)によりそれらの元素を付着させればよい。
なお、別の手段としては、白金を含む溶液(例えば、ヘキサヒドロキソ白金酸ナトリウム)、ロジウムを含む溶液(ヘキサニトロロジウム酸ナトリウム)あるいはパラジウムを含む溶液(例えば硝酸パラジウム)に浸漬させる。これらの溶液への浸漬によっても白金、ロジウム、パラジウムをチムニ11の形成体80に付着させることが可能である。
【0044】
図6は、チムニ11に白金、ロジウム、白金ロジウムが付着している場合と付着していな場合のイオン性の放射性腐食生成物の付着の違いを調べた結果を示すグラフである。
図6は、白金が付着した試験片、ロジウムが付着した試験片、白金ロジウムが付着した3つの試験片と、それらが付着していない試験片とを、水素共存下でのイオン性の放射性腐食生成物の付着の違いを調べた結果を示すものである。図6に示すように、白金、ロジウム、白金ロジウムをチムニ11に設置(または付着)すれば、イオン性の放射性腐食生成物の付着を抑制できることが分かる。
【0045】
図7は、チムニに白金、ロジウム、白金ロジウムが付着した試験片と、それが付着していない試験片の重量の変化を示すグラフである。
さらに、このときの白金、ロジウム、白金ロジウムの各試験片の重量変化は、図7に示
すように、白金、ロジウム、白金ロジウムが付着した各試験片により、接液表面84aにできる酸化皮膜が溶解し易い状態になることが判る。
【0046】
その結果、チムニ11は、接液表面84aに白金、ロジウム、白金ロジウムからなる粒子、または、層84を設けたことにより、酸化皮膜が付着することを抑制できる。
また、チムニ11全体を白金、ロジウム、白金ロジウムで形成して酸化皮膜の付着を防止する場合と比較して、材料のコストダウンを図ることができる。
【0047】
[第4実施形態]
次に、図8を参照して、本発明の第4実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11を説明する。
図8は、本発明の第4実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニにおけるイオン性の腐食生成物の付着・蓄積の説明図である。
なお、図1および図2に示した第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0048】
本第4実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ11は、図2に示した第1実施形態の接液表面81aの層81を、図8に示すように、四酸化三鉄からなる第1層(層)84を有し、さらに、この第1層84にチタン酸化物、または、ジルコニウム酸化物からなる第2層(層)85を積層したものである。
【0049】
このようにしても、腐食生成物の付着による圧力損失や放射性腐食生成物の付着を抑制すると共に、チムニ11の交換時等における放射線によって作業員が被ばくされることを抑制して、チムニ11への腐食生成物および放射性腐食生成物の付着を抑制することができる。
また、形成体80の液接表面85aを二層積層構造にしたことにより、さらに、チムニ11の耐久性を向上させることができる。
【0050】
[第5実施形態]
次に、前記図8を参照して本発明の第5実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11を説明する。
【0051】
本第5実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ11は、前記図8に示した第4実施形態の第1層84を、チタン酸化物からなる層、または、ジルコニウム酸化物からなる層にすると共に、さらに、第1層(層)84に積層された第2層(層)85を、さらに白金、ロジウム、パラジウムの中のいずれか1種類以上の元素からなる層にして、二層積層構造にしたものである。
このようにしても、前記第4実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0052】
[第6実施形態]
次に、図9を主に参照して本発明の第6実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11を説明する。
なお、図5および図8に示した第1、3および5実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0053】
本第6実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11は、図5に示す第3実施形態の層83、または、図8に示す第5実施形態の第1層84および第2層85をチムニ11の形成体80に施した場合に、0.1mg/kg以上0.4mg/kg以下の水素を給水系配管16b(図1参照)から原子炉1内に注入するようにしたものである。
【0054】
図5に示す白金、ロジウム、パラジウムの中のいずれか1種類以上の元素の層83と、図8に示すチタン酸化物、または、ジルコニウム酸化物からなる第1層(層)84に、白金、ロジウム、パラジウムの中のいずれか1種類以上の元素からなる第2層(層)85層の二層積層構造にした場合は、酸化皮膜を溶解し易い状態にする。そのためには、原子炉1内の水の水素濃度が、次式を満たすことが望ましい。
(水素濃度(mol/kg))≧2×(酸素濃度(mol/kg))+(過酸化水素濃度(mol/kg))
【0055】
原子炉1の炉心7では、水の放射線分解により酸素、過酸化水素、水素が発生するが、水素の方が気相に移行し易いため、水素を給水系から補う必要がある。これには、給水水素濃度を0.1mg/kg以上にする必要がある。
【0056】
一方、給水系から水素を原子炉1内に注入する場合、給水水素濃度が0.4mg/kg以上になると、主蒸気の水の放射化によって生じた放射性窒素を含む化合物が移行し易くなり、タービン2での放射線の量が増加する。
以上の理由から0.1mg/kg以上0.4mg/kg以下の水素を給水系配管16bから原子炉1内に注入する。
【0057】
図9は、本発明の第6実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11の設置状態を示すブロック図である。
給水系への水素の注入をする場合、原子炉1には、図9に示すように、水素注入装置70(水素発生装置75(水素ボンベあるいは水電解装置、メタノール分解装置)、流量計71、流量調整バルブ72、温度計73、圧力計74)を給水ポンプ4の上流に設置し、そこから給水系配管16bを流れる水に水素を給水入口ノズル17から噴射する仕組みになっている。給水への水素注入量は、流量計71による水素噴射量、および温度、圧力を元に次式により算出する。原子炉1内に注入する水素量は、流量調整バルブ72により調整する。これらの仕組みにより、給水水素濃度を調整して原子炉1内に水素を注入できる。
【0058】
この場合、水素注入濃度(mg/kg)は、
(水素注入濃度(mg/kg))=6094×(水素注入量(L/h))×(圧力(atm))÷(温度(K))÷(給水流量(kg/h))
となる。
【0059】
なお、本発明は、前記第1〜6実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造および変更が可能であり、本発明はこれら改造および変更された発明にも及ぶことは勿論である。
例えば、前記層81,82,84、第1層84、および第2層85は、粒子や金属の膜状のものや、ペースト状のものを設置したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの設置状態を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニにおける不溶解性の腐食生成物の付着・蓄積の説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニにおけるイオン性の腐食生成物の付着・蓄積の説明図である。
【図4】チムニに四酸化三鉄層を設置した場合と設置していない場合のイオン性の放射性腐食生成物の付着の違いを調べた結果を示すグラフである。
【図5】本発明の第3実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニにおけるイオン性の腐食生成物の付着・蓄積の説明図である。
【図6】チムニに白金、ロジウム、白金ロジウムが付着している場合と付着していな場合のイオン性の放射性腐食生成物の付着の違いを調べた結果を示すグラフである。
【図7】チムニに白金、ロジウム、白金ロジウムが付着している場合と付着していな場合の重量の変化を示すグラフである。
【図8】本発明の第4実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニにおけるイオン性の腐食生成物の付着・蓄積の説明図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの設置状態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
1 自然循環式沸騰水型原子炉(原子炉)
6 原子炉圧力容器
11 チムニ
16b 給水系配管(給水系)
80 形成体
81,82,84 層
81a,82a,84a,85a 接液表面
84 第1層(層)
85 第2層(層)




 

 


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