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発明の名称 沸騰水型原子炉の監視方法及びその監視プログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232430(P2007−232430A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−51765(P2006−51765)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 大塚 雅哉 / 藤本 清志 / 椿 正昭
要約 課題
主蒸気系で発生する音響共鳴に伴う圧力振動によって、原子炉圧力容器内の蒸気乾燥器などを損傷させない沸騰水型原子炉の監視方法を提供する。

解決手段
沸騰水型原子炉は、主蒸気系における圧力振動の主たる要因が音響共鳴であることに着目し、主蒸気系の音響解析により、共鳴周波数及び系内の音圧分布を求め、共鳴周波数、音圧の解析結果と実機変動圧力測定結果を比較し、両者が最も一致するように解析条件を決定する。実機変動圧力測定結果と一致する解析条件により、蒸気乾燥器(ドライヤ)に加わる加振力を評価する。疲労評価により、疲労損傷しない音圧の制限値を決定し、その音圧の制限値を用いて実機の変動圧力を監視する。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器で発生した蒸気を該原子炉圧力容器の上部の蒸気ドームから外部へ輸送する蒸気配管と、該蒸気配管に連結して前記蒸気により駆動される高圧タービンとを備えた沸騰水型原子炉の監視方法において、
監視装置が、前記蒸気ドーム及び前記蒸気配管からなる蒸気系に設置された圧力センサからの変動圧力信号を監視する
ことを特徴とする沸騰水型原子炉の監視方法。
【請求項2】
監視装置が、
前記蒸気系内における音響共鳴現象を解析して前記蒸気系内の共鳴周波数と音圧分布を求める解析ステップと、
前記圧力センサからの変動圧力信号を処理して共鳴周波数と変動圧力分布を求める測定信号分析ステップと、
前記解析ステップと前記測定信号分析ステップとで求めた結果を比較し、比較結果が許容値以下であるか否かを判定するステップと、
前記比較結果が許容値以下でない場合に、前記解析ステップの解析条件を変更するステップと、
前記比較結果が許容値以下の場合に、前記解析ステップにより前記蒸気系内の構造物表面に加わる変動圧力分布を求めるステップと、
前記構造物表面の変動圧力分布により前記構造物に生じる応力分布を求めるステップと、
前記構造物が疲労許容応力に達するために必要な前記圧力センサの制限圧力振幅を求めるステップと、
前記圧力センサの変動圧力信号からの変動圧力振幅が、前記制限圧力振幅以下であるか否かを監視するステップとを含んで実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型原子炉の監視方法。
【請求項3】
監視装置が、
前記蒸気系内における音響共鳴現象を解析して前記蒸気系内の共鳴周波数と音圧分布を求める解析ステップと、
前記圧力センサからの変動圧力信号を処理して共鳴周波数と変動圧力分布を求める測定信号分析ステップと、
前記解析ステップと前記測定信号分析ステップとで求めた結果を比較し、比較結果が許容値以下であるか否かを判定するステップと、
前記比較結果が許容値以下でない場合に、前記解析ステップの解析条件を変更するステップと、
前記比較結果が許容値以下の場合に、前記解析ステップにより前記蒸気系内の構造物表面に加わる変動圧力分布を求めるステップと、
前記構造物表面の変動圧力分布により前記構造物に生じる応力分布を求める応力分布ステップと、
前記応力分布ステップにより求めた応力が、前記構造物の疲労許容応力以下であるか否かを監視するステップとを含んで実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型原子炉の監視方法。
【請求項4】
原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器で発生した蒸気を該原子炉圧力容器の上部の蒸気ドームから外部へ輸送する蒸気配管と、該蒸気配管に連結して前記蒸気により駆動される高圧タービンと、前記蒸気ドームと前記蒸気配管からなる主蒸気系に設置された圧力センサとを備えた沸騰水型原子炉の監視プログラムであって、
コンピュータに、
前記蒸気系内における音響共鳴現象を解析して前記蒸気系内の共鳴周波数と音圧分布を求める解析処理と、
前記圧力センサからの変動圧力信号を処理して共鳴周波数と変動圧力分布を求める測定信号分析処理と、
前記解析処理と前記測定信号分析処理とで求めた結果を比較し、比較結果が許容値以下であるか否かを判定する処理と、
前記比較結果が許容値以下でない場合に、前記解析ステップの解析条件を変更する処理と、
前記比較結果が許容値以下の場合に、前記解析ステップにより前記蒸気系内の構造物表面に加わる変動圧力分布を求める処理と、
前記構造物表面の変動圧力分布により前記構造物に生じる応力分布を求める処理と、
前記構造物が疲労許容応力に達するために必要な前記圧力センサの制限圧力振幅を求める処理とを
実行させるための沸騰水型原子炉の監視プログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
前記圧力センサの変動圧力信号データからの変動圧力振幅が、前記制限圧力振幅以下であるか否かを監視する処理を
実行させるための請求項4に記載の沸騰水型原子炉の監視プログラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、主蒸気系で発生する圧力振動を監視するのに好適な沸騰水型原子炉の監視方法及びその監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉における主蒸気系での圧力振動の原因の一つとして音響共鳴に起因する圧力振動がある。言い換えれば、原子炉圧力容器の蒸気ドームから蒸気配管を通って高圧タービンに至る主蒸気系では、蒸気流体の流量変動に起因して圧力波が発生し、蒸気配管の系内を伝播して反射する。これによって、大振幅を持つ定在波(音響共鳴モード)が形成され、圧力振動の振幅が増幅する(つまり、共鳴振動する)可能性がある。特に、発電容量を増大した発電プラントにおいては、蒸気流量の増大に伴って蒸気流量の変動が大きくなるため、大きな音響共鳴を生じることがある。このような音響共鳴の現象は、発電プラントの配管構成や境界条件によって影響を受けるために発電プラントごとに振動特性が異なる。そのため、音響共鳴による振動の周波数、振幅、及び最大振幅の位置などを事前に予測することは困難である。
【0003】
したがって、主蒸気系や各種機器の健全性を確保するためには、主蒸気系や各種機器の設計裕度を十分に大きく取って設計しておく必要がある。そこで、音響共鳴による圧力振動の増加によって生じる主蒸気系の配管及びバルブや各種機器の損傷を避けるために、主蒸気系の流路形状の適正化や構造強度の増大などの対策が採られており、このような事例及びその対策方法が例えば非特許文献1などに報告されている。
【0004】
さらには、火力発電の分野において、ガスタービン燃焼室の音響振動を減衰させるためにヘルムホルツ共鳴管を利用した技術も非特許文献2などに開示されている。
【0005】
【非特許文献1】NRC SPECIAL INSPECTION REPORT, 50-265/03-11
【非特許文献2】Journal of Engineering for Gas Turbines and Power, April 2004, Vol.126 P.271-275
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、音響共鳴によって発生する蒸気乾燥器の損傷時に、蒸気に混入して搬送される水分のキャリオーバを測定し、蒸気乾燥器に何らかの不具合が生じてそのキャリオーバが制限値以上の値になったら沸騰水型原子炉を停止している。つまり、蒸気乾燥器の損傷を未然に防ぐためのインタロック機構は備えられていない。なお、原子力発電プラントの増出力時に発生する主蒸気系配管の変動圧力、加速度、あるいは歪などの測定が行われ、それらの測定結果によって沸騰水型原子炉を停止する技術は存在するが、蒸気乾燥器の損傷を未然に防ぐような対策はなされていない。また、音響共鳴に起因する圧力振動によって生じる主蒸気系の破損を防止するために設計裕度を大きくとることは、発電プラントの設備コストを高騰させる要因となる。さらに、ヘルムホルツ共鳴管を用いてガスタービン燃焼室の音響振動を減衰させる技術が知られているものの、沸騰水型原子炉における主蒸気系の圧力振動を抑制するためにヘルムホルツ共鳴管を利用する技術としては応用されていない。
【0007】
すなわち、従来技術においては、原子炉圧力容器内の蒸気乾燥器の損傷を未然に防止するために主蒸気系の圧力振動を監視及び制御する技術は未だ存在していない。
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、主蒸気系で発生する音響共鳴に伴う圧力振動によって、原子炉圧力容器内の蒸気乾燥器などを損傷させない沸騰水型原子炉の監視方法及びその監視プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による沸騰水型原子炉の監視方法は、原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器で発生した蒸気を該原子炉圧力容器の上部の蒸気ドームから外部へ輸送する蒸気配管と、該蒸気配管に連結して前記蒸気により駆動される高圧タービンとを備えた沸騰水型原子炉の監視方法において、監視装置が、前記蒸気ドーム及び前記蒸気配管からなる蒸気系に設置された圧力センサからの変動圧力信号を監視することを特徴とする。
【0010】
また、沸騰水型原子炉の監視方法は、監視装置が、前記蒸気系内における音響共鳴現象を解析して前記蒸気系内の共鳴周波数と音圧分布を求める解析ステップと、前記圧力センサからの変動圧力信号を処理して共鳴周波数と変動圧力分布を求める測定信号分析ステップと、前記解析ステップと前記測定信号分析ステップとで求めた結果を比較し、比較結果が許容値以下であるか否かを判定するステップと、前記比較結果が許容値以下でない場合に、前記解析ステップの解析条件を変更するステップと、前記比較結果が許容値以下の場合に、前記解析ステップにより前記蒸気系内の構造物表面に加わる変動圧力分布を求めるステップと、前記構造物表面の変動圧力分布により前記構造物に生じる応力分布を求めるステップと、前記構造物が疲労許容応力に達するために必要な前記圧力センサの制限圧力振幅を求めるステップと、前記圧力センサの変動圧力信号からの変動圧力振幅が、前記制限圧力振幅以下であるか否かを監視するステップとを含んで実行することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、主蒸気系で発生する音響共鳴に伴う圧力振動によって、原子炉圧力容器内の蒸気乾燥器などを損傷させないように沸騰水型原子炉を適切に監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
《概要》
本発明の沸騰水型原子炉は、主蒸気系における圧力振動の主たる要因が音響共鳴であることに着目し、主蒸気系の音響解析により、共鳴周波数及び系内の音圧分布を求め、共鳴周波数、音圧の解析結果と実機変動圧力測定結果を比較し、両者が最も一致するように解析条件を決定する。実機変動圧力測定結果と一致する解析条件により、蒸気乾燥器(ドライヤ)に加わる加振力を評価する。疲労評価により、疲労損傷しない音圧の制限値を決定し、その音圧の制限値を用いて実機の変動圧力を監視する。
【0013】
《第1の実施形態》
図1は、第1の実施形態による沸騰水型原子炉の蒸気系及び給水系を示す構成図である。原子炉圧力容器1の内部では、炉心シュラウド2に囲まれたウラン燃料(図示せず)が核分裂したときに生成された熱エネルギによって給水3が加熱沸騰し、そこで発生した蒸気4は気水分離器5及び蒸気乾燥器(ドライヤ)6によって水分が除去された後、蒸気ドーム7の中へ流入する。なお、気水分離器5で除去された水分は再び給水3に混入される。一方、原子炉圧力容器1の内部で生成された蒸気4は、蒸気ドーム7から蒸気配管8を通って高圧タービン9へ流入してその高圧タービン9を高速回転させる。さらに、高圧タービン9から排気された蒸気4は湿分分離器10を介して低圧タービン11へ流入してその低圧タービン11を高速回転させる。このとき、高圧タービン9及び低圧タービン11と図示しない発電機は1軸で構成されているので、高圧タービン9及び低圧タービン11の回転によって発電機を高速回転させて所望の電力を発生させる。
【0014】
さらに、低圧タービン11を通過した蒸気4は、復水器12によって冷却され、水となって給水加熱器13に供給される。給水加熱器13を通過する水は所定の温度に予備加熱されて、ポンプ12aによって再び原子炉圧力容器1の内部に送り込まれる。このようにして給水3が循環しながら原子炉圧力容器1内で再び蒸気4となって高圧タービン9及び低圧タービン11へ送り込まれて発電機を高速回転させる。
【0015】
さらに、制御棒駆動装置15に取り付けられた制御棒16が原子炉圧力容器1の内部に挿入されている。この制御棒16は制御棒駆動装置15によって炉心シュラウド2の内部のウラン燃料の核分裂反応をコントロールして、原子炉圧力容器1内で生成させる蒸気4の発生量を制御している。
【0016】
また、原子炉圧力容器1には、蒸気ドーム7の内部で発生した圧力振動を検出するための圧力センサ17が取り付けられ、蒸気配管8には、その蒸気配管8の内部で発生した変動圧力を検出するための圧力センサ18が取り付けられている。圧力センサ17及び圧力センサ18で検出されたそれぞれの変動圧力の信号は監視装置20へ送信される。
【0017】
図2は、第1の実施形態による沸騰水型原子炉の監視装置を示すブロック図である。監視装置20は、外部装置(例えば、圧力センサ17、圧力センサ18、変動圧力を制御する制御装置40、及び構造データ入力装置41)との入出力のインターフェース部である入出力部21と、実機変動圧力測定データを記憶する記憶部22と、記憶部22から所定のデータを抽出するデータ抽出部23と、主蒸気系の共鳴周波数及び系内の音圧分布を求める音響解析部24と、音響解析の解析条件を変更する解析条件変更部25と、解析結果と実機変動圧力測定結果を比較する第1の比較部26と、蒸気乾燥器(ドライヤ)6に加わる加振力を評価する疲労評価部27と、音圧の制限値を決定する音圧制限値決定部28と、決定された音圧制限値と実機変動圧力を比較する第2の比較部29と、各部(21〜29)の制御をする制御部30とを有している。制御部30は、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。
【0018】
記憶部22は、圧力センサ17及び圧力センサ18で検出されたそれぞれの変動圧力の信号を、入出力部21を介して記憶される。データ抽出部23は、制御部30の指令により、第1の比較部26から要求される実測データを抽出する。
【0019】
音響解析部24は、所定の解析条件で、構造データ入力装置41より入力された構造データをもとに、主蒸気系の音響解析により、共鳴周波数及び系内の音圧分布を求める。なお、構造データは、あらかじめ記憶部22に記憶されている構造データを用いてもよい。例えば、蒸気ドーム7から、蒸気配管8を通り、高圧タービン9に至る蒸気系で、共鳴周波数を持つ音響共鳴モードが形成される場合、それぞれの音響共鳴モードにおける音圧分布を求める。音響共鳴モードは、圧縮性流体の方程式もしくは音波方程式を基礎式として適切な境界条件を用いて数値計算することにより求められ、蒸気ドーム7及び蒸気配管8の各位置における変動圧力を得ることができる。この音響共鳴モードから、圧力センサ17及び圧力センサ18の位置における変動圧力を求めることができる。
【0020】
解析条件変更部25は、蒸気系に影響を与えると考えられる音響共鳴振動の解析条件を記憶し、第1の比較部26の指令により、解析条件を選定する。選定された解析条件は、音響解析部24で使用される。
【0021】
第1の比較部26は、音響解析部24で求められた音響共鳴モードに対して、解析結果の音圧と、圧力センサ17及び圧力センサ18の測定位置における変動圧力を比較する。解析結果と実測値の比較結果が、所定の許容値以下であるか否かを判定する。判定方法には、例えば、平均二乗誤差が、所定の誤差内であるか否かなどの方法を使用するとよい。
【0022】
疲労評価部27は、第1の比較部26での比較結果が、所定の許容値以下になった場合、その音響解析結果を用いて、構造物表面に加わる加振力を計算する。具体的には、疲労評価部27は、蒸気乾燥器6の表面に加わる加振力を計算し、蒸気乾燥器6の表面に加わる変動圧力分布を求め、得られた変動圧力分布により蒸気乾燥器6に生じる応力分布を求める。
【0023】
音圧制限値決定部28は、構造物が疲労許容応力に達するために必要な圧力センサの制限圧力振幅を求める。具体的には、蒸気乾燥器6の疲労許容応力に達するために必要な圧力センサ17及び圧力センサ18の制限圧力振幅を求める。圧力センサ17及び圧力センサ18は、設置位置が異なるため、各々の制限圧力振幅を求める必要がある。
【0024】
第2の比較部29は、圧力センサ17及び圧力センサ18からの変動圧力信号からの変動圧力振幅が、音圧制限値決定部28で求められた制限圧力振幅以下であるか否かを監視する。センサからの変動圧力振幅が、制限圧力振幅以下でなければ、構造物が疲労破壊することを未然に防止するために、入出力部21を介して、音響共鳴振動抑制のための制御装置40に抑制制御指令を発するか、又は、警告指令を発する。
【0025】
次に動作について説明する。
図3は、第1の実施形態による音響共鳴の圧力振動を監視する動作を示すフローチャートである。
【0026】
音響解析部24は、蒸気ドーム7から、蒸気配管8を通り、高圧タービン9に至る蒸気系で、共鳴周波数を持つ音響共鳴モードにおける音圧分布を求める(ステップS101)。
【0027】
データ抽出部23は、圧力センサ17及び圧力センサ18からの変動圧力信号を処理して、共鳴周波数と変動圧力分布を求める。第1の比較部26は、音響解析部24とデータ抽出部23とで求めた結果を比較し、比較結果が許容値以下であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0028】
第1の比較部26による比較結果が許容値以下でない場合には、解析条件変更部25に対して、解析条件変更指令を出す。解析条件変更部25は、解析条件変更指令を受けると、これまでの解析条件を考慮して適切な解析条件を選出し、音響解析部24に指令する(ステップS103)。
【0029】
第1の比較部26による比較結果が許容値以下の場合には、疲労評価部27は、音響解析部24での音響解析結果を用いて、蒸気乾燥器6の表面に加わる加振力を計算し、蒸気乾燥器6の表面に加わる変動圧力分布を求め、得られた変動圧力分布により蒸気乾燥器6の表面に加わる加振力を計算し、蒸気乾燥器6に生じる応力分布を求める(ステップS104)。
【0030】
音圧制限値決定部28は、蒸気乾燥器6に生じる応力分布から、蒸気乾燥器6の疲労許容応力に達するために必要な圧力センサ17及び圧力センサ18の制限圧力振幅を求める(ステップS105)。
【0031】
第2の比較部29は、圧力センサ17及び圧力センサ18からの変動圧力信号からの変動圧力振幅が、音圧制限値決定部28で求められた制限圧力振幅以下であるか否かをオンラインで常時監視する(ステップS106)。
【0032】
圧力センサ17及び圧力センサ18からの変動圧力振幅が、制限圧力振幅以下でなければ、構造物が疲労破壊することを未然に防止するために、第2の比較部29は、入出力部21を介して、音響共鳴振動抑制のための制御装置40に抑制制御指令を発するか、又は、警告指令を発する(ステップS107)。
【0033】
本実施形態によれば、主蒸気系の音響解析により、共鳴周波数及び系内の音圧分布を求め、共鳴周波数、音圧の解析結果と実機変動圧力測定結果を比較し、両者が最も一致(許容値以下)するように解析条件を決定する。実機変動圧力測定結果と一致する解析条件により、蒸気乾燥器に加わる加振力を評価する。疲労評価により、疲労損傷しない音圧の制限値(例えば、圧力センサの制限圧力振幅)を決定する。その音圧の制限値を用いて実機の変動圧力を監視しているので、主蒸気系で発生する音響共鳴に伴う圧力振動によって、原子炉圧力容器内の蒸気乾燥器などを損傷させないように沸騰水型原子炉を適切に監視することができる。
【0034】
《第2の実施形態》
図4は、第2の実施形態による圧力振動を監視する動作を示すフローチャートである。本実施形態では、主蒸気系の音響解析により、共鳴周波数及び系内の音圧分布を求め、共鳴周波数、音圧の解析結果と実機変動圧力測定結果を比較し、両者が最も一致(許容値以下)するように解析条件を決定する。実機変動圧力測定結果と一致する解析条件により、蒸気系内の構造物表面(例えば、蒸気乾燥器表面)に加わる変動圧力分布を求める。この構造物表面の変動圧力分布により、構造物に生じる応力分布を求める。対象とする構造物の所定の疲労許容応力の制限値を用いて、実機の変動応力を監視する。
【0035】
図4に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートと比較して、ステップS204、ステップS205、及びステップS206が異なる。第2の実施形態においても、監視装置20を使用することができる。監視装置20の制御プログラムを設定変更することにより、音圧制限値決定部28では、構造物の疲労許容応力制限値が設定されている。
【0036】
音響解析部24は、蒸気ドーム7から、蒸気配管8を通り、高圧タービン9に至る蒸気系で、共鳴周波数を持つ音響共鳴モードにおける音圧分布を求める(ステップS201)。
【0037】
データ抽出部23は、圧力センサ17及び圧力センサ18からの変動圧力信号を処理して、共鳴周波数と変動圧力分布を求める。第1の比較部26は、音響解析部24とデータ抽出部23とで求めた結果を比較し、比較結果が許容値以下であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0038】
第1の比較部26による比較結果が許容値以下でない場合には、解析条件変更部25に対して、解析条件変更指令を出す。解析条件変更部25は、解析条件変更指令を受けると、これまでの解析条件を考慮して適切な解析条件を選出し、音響解析部24に指令する(ステップS203)。
【0039】
第1の比較部26による比較結果が許容値以下の場合には、疲労評価部27は、音響解析部24での音響解析結果を用いて、蒸気乾燥器6の表面に加わる加振力を計算し、蒸気乾燥器6の表面に加わる変動圧力分布を求める(ステップS204)。
【0040】
疲労評価部27は、蒸気乾燥器6の表面に加わる変動圧力分布により、蒸気乾燥器6の応力分布を求める(ステップS205)。
【0041】
第2の比較部29は、ステップS205で計算された応力分布が、音圧制限値決定部28で設定されている疲労許容応力制限値以下であるか否かをオンラインで常時監視する(ステップS206)。
【0042】
ステップS205で計算された応力分布が、疲労許容応力制限値以下でなければ、構造物が疲労破壊することを未然に防止するために、第2の比較部29は、入出力部21を介して、音響共鳴振動抑制のための制御装置40に抑制制御指令を発するか、又は、警告指令を発する(ステップS207)。
【0043】
本実施形態によれば、構造物の疲労許容応力制限値を用いて計算された変動応力を監視しているので、主蒸気系で発生する音響共鳴に伴う圧力振動によって、原子炉圧力容器内の蒸気乾燥器などを損傷させないように沸騰水型原子炉を適切に監視することができる。
【0044】
《第3の実施形態》
図5は、第3の実施形態による圧力振動を監視する動作を示すフローチャートである。第1の実施形態は、オンライン上で音圧の制限値を決定していたが、第3の実施形態においては、オフラインにおいて、あらかじめ音圧の制限値(例えば、制限圧力振幅)を決定し、その音圧の制限値を用いて、オンライン上で実機の変動圧力振幅を監視する。
【0045】
図5(a)に示すフローチャートは、オフライン情報処理装置(図示していない)で処理される処理であり、図5(b)は、監視装置20により監視される処理である。オフライン情報処理装置は、具体的には、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって実現される。
【0046】
オフライン情報処理装置の制御部(以下、情報処理制御部という。)は、構造設計データを用いて蒸気ドーム7から、蒸気配管8を通り、高圧タービン9に至る蒸気系で、共鳴周波数を持つ音響共鳴モードにおける音圧分布を求める(ステップS301)。
【0047】
情報処理制御部は、あらかじめ入手できている圧力センサ17及び圧力センサ18からの変動圧力信号を処理して、共鳴周波数と変動圧力分布を求める。解析結果と測定データから求めた結果を比較し、比較結果が許容値以下であるか否かを判定する(ステップS302)。なお、圧力センサ17及び圧力センサ18からの測定データは、原子炉の初期運転時のデータ、所定出力時の運転時のデータなど複数の測定データを使用することが好ましい。
【0048】
情報処理制御部は、比較結果が許容値以下でない場合には、解析条件を変更する。(ステップS303)。
【0049】
情報処理制御部は、比較結果が許容値以下の場合には、音響解析結果を用いて、蒸気乾燥器6の表面に加わる加振力を計算し、蒸気乾燥器6の表面に加わる変動圧力分布を求め、得られた変動圧力分布により蒸気乾燥器6に生じる応力分布を求める(ステップS304)。
【0050】
情報処理制御部は、蒸気乾燥器6に生じる応力分布から、蒸気乾燥器6の疲労許容応力に達するために必要な圧力センサ17及び圧力センサ18の制限圧力振幅を求める(ステップS305)。
【0051】
ステップS305で得られた制限圧力振幅は、監視装置20の音圧制限値決定部28に
設定される。制限圧力振幅の設定は、管理者が実施してもよいし、オフライン情報処理装置から、通信回線を利用して監視装置20に設定してもよい。
【0052】
監視装置20の第2の比較部29は、圧力センサ17及び圧力センサ18からの変動圧力信号からの変動圧力振幅が、音圧制限値決定部28に設定された制限圧力振幅以下であるか否かをオンラインで常時監視する(ステップS306)。
【0053】
圧力センサ17及び圧力センサ18からの変動圧力振幅が、制限圧力振幅以下でなければ、構造物が疲労破壊することを未然に防止するために、第2の比較部29は、入出力部21を介して、音響共鳴振動抑制のための制御装置40に抑制制御指令を発するか、又は、警告指令を発する(ステップS307)。
【0054】
なお、第3の実施形態では、オフライン情報処理装置により実施している機能(音響解析部24、解析条件変更部25、第1の比較部26、及び疲労評価部27)を、監視装置20から省略することができる。
【0055】
本実施形態によれば、オフライン情報処理装置により、主蒸気系の音響解析により、共鳴周波数及び系内の音圧分布を求め、共鳴周波数、音圧の解析結果と実機変動圧力測定結果を比較し、両者が最も一致(許容値以下)するように解析条件を決定する。実機変動圧力測定結果と一致する解析条件により、蒸気乾燥器に加わる加振力を評価する。疲労評価により、疲労損傷しない音圧の制限値(例えば、圧力センサの制限圧力振幅)を決定する。その音圧の制限値を用いて実機の変動圧力を監視しているので、主蒸気系で発生する音響共鳴に伴う圧力振動によって、原子炉圧力容器内の蒸気乾燥器などを損傷させないように沸騰水型原子炉を適切に監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1の実施形態による沸騰水型原子炉の蒸気系及び給水系を示す構成図である。
【図2】第1の実施形態による沸騰水型原子炉の監視装置を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態による圧力振動を監視する動作を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態による圧力振動を監視する動作を示すフローチャートである。
【図5】第3の実施形態による圧力振動を監視する動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 原子炉圧力容器
2 炉心シュラウド
3 給水
4 蒸気
5 気水分離器
6 蒸気乾燥器(ドライヤ)
7 蒸気ドーム
8 蒸気配管
9 高圧タービン
10 湿分分離加熱器
11 低圧タービン
12 復水器
13 給水加熱器
15 制御棒駆動装置
16 制御棒
17,18 圧力センサ
20 監視装置




 

 


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