米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 核技術 -> 株式会社日立製作所

発明の名称 自然循環式沸騰水型原子炉
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232423(P2007−232423A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−51513(P2006−51513)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 茶木 雅夫 / 日野 哲士
要約 課題
強制循環式沸騰水型原子炉で実績のある、高い精度の炉心の熱的余裕評価手法を適用できる自然循環式沸騰水型原子炉を提供する。

解決手段
本発明の自然循環式沸騰水型原子炉1は、複数の燃料集合体21を装荷した炉心7と、炉心7の上方に設置され、炉心7から上昇する気液二相流を複数の鉛直方向の格子流路11aに導く流路隔壁11bを有するチムニ11とを備え、前記チムニ11の下部に、流路隔壁11bのない均圧空間35を設けている。従って、各格子流路11aのボイド率を必要とせず、炉心7の上端と下端との差圧計算により、各燃料集合体21の流量配分を計算する。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数の燃料集合体を装荷した炉心と、
前記炉心の上方に設置され、当該炉心から上昇する気液二相流を複数の鉛直方向の格子流路に導く流路隔壁を有するチムニと、を備え、
前記チムニの下部に、前記流路隔壁のない空間を設けたことを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉。
【請求項2】
Uを前記空間中を上昇する蒸気の流速、Dを当該空間の内径、vを当該空間における蒸気中の音速としたとき、
前記空間における圧力を均一とするために、当該空間の高さの下限Hminを、
Hmin=U×D/v
としたことを特徴とする請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の強制循環式沸騰水型原子炉と同等の手法で、炉心の熱的余裕評価を可能とする自然循環式沸騰水型原子炉に関する。
【背景技術】
【0002】
自然循環式沸騰水型原子炉の、原子炉圧力容器内の冷却水の循環流路は、炉心の上部に設けた円筒状のチムニと炉心の周囲を囲う炉心シュラウド等を利用して形成されている。炉心シュラウドやチムニの外周面と原子炉圧力容器内面との間のダウンカマでは、当該ダウンカマを下降流路として、また、炉心やチムニの内側では当該内側を上昇流路として、冷却材が循環している。
【0003】
このような循環流路を原子炉圧力容器内に備えているので、炉心で核反応による熱を受けて加熱された冷却材は、蒸気を伴う気液二相流となって炉心からチムニ内に抜けて出て上昇し、チムニの上部にある分離装置で液体と気体に分離されて、蒸気は原子炉圧力容器外のタービンに供給され、液体は下降流路側に戻される。
その下降流路では冷却材が、チムニ内の冷却材と違い、液体単相でかつ温度も低く密度が大きいので、その密度差に基づく自然循環作用で下降して行く。下降した液体の流れは原子炉圧力容器の底部で上側に反転して再度炉心へ入り加熱される。このように、ポンプを使うことなく、冷却材が原子炉圧力容器内を自然循環している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そのため、自然循環式沸騰水型原子炉は、冷却材をポンプで強制的に循環させる強制循環式沸騰水型原子炉と比べて、冷却材を循環させるための系統および機器が簡略化されていることが最大の特徴であるといえる。
その冷却材を効率良く循環させるため、炉心の上方に流路隔壁でチムニ内の上昇流路を複数の直立した区画(以下、格子流路とも言う)に仕切って、炉心から上昇してきた気液二相流を鉛直方向に導くようにした例もある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平08−094793号公報(段落番号0002〜0006)
【特許文献2】特公平07−027051号公報(第2頁左欄の下から10行目から始まる段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
チムニ内にこのような格子流路を持つ従来型の自然循環式沸騰水型原子炉では、図2の例に示すように、炉心7の個々の燃料集合体21から上昇してくる気液二相流は、チムニ11の各格子流路11aを通過後、上部プレナム11cで各格子流路11aの気液二相流全体が合流し、ここで圧力が均一となる。従って炉心7内の燃料集合体21ごとの流量配分計算による炉心7の熱的余裕評価を厳密に行うためには、均圧空間である上部プレナム11cと、炉心下部プレナム10の間で、各格子流路11a内でのボイド率や流速も評価しつつ、それらと炉心7の流量配分計算を連動させた複雑な手順の3次元核熱水力計算手法が必要であった。
【0007】
そこで、本発明は、チムニ内の格子流路内のボイド率や流速評価を必要とせず、従来の強制循環式沸騰水型原子炉と同等な、燃料集合体ごとの流量配分計算で熱的余裕評価が可能な、自然循環式沸騰水型原子炉を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するために、本発明の自然循環式沸騰水型原子炉は、複数の燃料集合体を装荷した炉心と、前記炉心の上方に設置され、当該炉心から上昇する気液二相流を複数の鉛直方向の格子流路に導く流路隔壁を有するチムニとを備え、前記チムニの下部に、前記流路隔壁のない空間を設けたことを特徴としている。他の手段については後記にて説明する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、強制循環式沸騰水型原子炉と同等の高い精度で炉心の熱的余裕評価を可能とする自然循環式沸騰水型原子炉が提供でき、定格出力向上等による経済性向上が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
自然循環式沸騰水型原子炉1は、図1に示すように、原子炉圧力容器6内には、複数の燃料集合体21が装荷されている炉心7と、炉心7の外周囲を囲う筒状の炉心シュラウド8と、炉心7の上部を構成している上部格子板23と、上部格子板23上に立設してある筒状のチムニ11と、チムニ11上に装備されてチムニ11の上端を覆うスタンドパイプ付きの気水分離器12と、気水分離器12を下部のスカート部で囲うように気水分離器12の上方に装備された蒸気乾燥器13を炉内構造物として内蔵している。この原子炉圧力容器6には、蒸気出口ノズル15と給水入口ノズル17とが装備されている。
【0012】
チムニ11内の筒状の空間には、上方から見て矩形の格子を有する流路隔壁11bが配備されている。その流路隔壁11bの格子の辺を構成する金属製の板同士は隣接する板同士と溶接等により接合されて、流路隔壁11bは溶接構造となっている。この流路隔壁11bによりチムニ11内の領域が格子状に仕切られて、鉛直方向に格子流路11aが複数形成される。
各格子流路11aは、流路横断面が矩形を成し、チムニ11の上端よりも低い位置に上部の開放端部を有する。各格子流路11aの開放端部からチムニ11の上端までの間の上部プレナム11c内では、格子状には仕切られずに横断的な一連の領域とされている。
【0013】
炉心7の上方、即ちチムニ11の下部には、上部プレナム11cと同じような、流路隔壁11bのない均圧空間35を設けている。
【0014】
原子炉圧力容器6内には、冷却材として軽水が気水分離器12の途中の高さにまで入れられている。その冷却材は、原子炉が運転されることにより、炉心7内で、燃料集合体21に格納されている核燃料による核反応で生じる熱を受ける。その熱によって加熱された冷却材は、蒸気と水の気液二相流となり、平均密度が小さくなるので、自然に上昇して炉心7から均圧空間35を通り、そして各格子流路11a内に入って上昇する。
そして冷却材は、さらに、上部プレナム11cを経由して、気水分離器12を通過する。気液二相流状態の冷却材は、気水分離器12を通過する際に気液二相流から水と蒸気が分離され、分離された水は、炉心シュラウド8やチムニ11と原子炉圧力容器6内壁面との間の垂直な流路であるダウンカマ9へと導かれ、ダウンカマ9を下降流路として、さらに流下する。
【0015】
その一方、気水分離器12で分離された蒸気は、さらに湿分を除去するため蒸気乾燥器13へと導かれ、蒸気乾燥器13で十分に湿分分離された後に上方へ抜け出て、蒸気出口ノズル15を通り、蒸気を駆動エネルギとする蒸気タービンへ送られる(図示なし)。なお、気水分離器12を設けずに、蒸気乾燥器13のみで湿分分離を実施する場合もある。
蒸気タービンで用いられた蒸気は、図示しない復水器で凝縮されて水に戻された上で、冷却材(給水)として給水入口ノズル17を通り原子炉圧力容器6内に流入し、ダウンカマ9内の冷却材と混合して下降してゆく。
【0016】
このように原子炉圧力容器6内での冷却材の流れは、ダウンカマ9での下降域と炉心7内側での上昇域に分けられ、冷却水の上昇域では炉心7で発生した蒸気を含むため、下降域と比べ相対的に密度が小さい。そのため、ダウンカマ9での下降域と炉心7内側での上昇域との冷却材間に水頭圧の差ができ、冷却材はダウンカマ9を下降して炉心下部プレナム10領域へ抜けて反転上昇して炉心7下部へと冷却材が流れ込む力が生ずる。
【0017】
このように自然循環式沸騰水型原子炉1は、冷却材の密度差を利用して自然循環するので、従来の強制循環式沸騰水型原子炉とは相違して、冷却材を循環させるための系統および機器が無い。また、炉心7での冷却材の加熱度合いは、炉心中央部で高く、周辺部で低いという、炉心7の横断面内での加熱の分布が発生する。その加熱の分布で冷却材の上昇速度に分布を生じて流れが乱れようとするが、その乱れを冷却材の流れの道を細かく格子流路11aで仕切って防止し、蒸気の偏流等を防いで、安定して効率よく冷却材を循環させる。
【0018】
本実施形態では、前記したようにチムニ11の下部に、圧力が均一となる均圧空間35を設けている。炉心7の燃料集合体21ごとの流量配分計算を行う場合、例えば炉心7の上端(上部格子板23上)の点Pに位置する部分と、炉心7の下端(炉心下部プレナム10上端)の点Pに位置する部分との差圧を計算し、各燃料集合体の流量配分を求めることができる。
【0019】
この計算で求めた差圧から、従来方式の強制循環式沸騰水型原子炉での流量配分計算を使って、燃料集合体21ごとの流量配分を求めることができる。この計算は公知のものであり、例えば下記の文献により参照できる。
HLR−006訂1 「沸騰水形原子力発電所 3次元核熱水力計算手法について」昭和59年9月、株式会社日立製作所(図2 流量配分計算フローチャート)
なお、前記差圧は、各燃料集合体21に共通する数値であるが、それぞれの燃料集合体21は、炉心に装荷された期間等により出力やボイド率が異なるので、個々の燃料集合体21に対して流量配分を計算し、炉心7の熱的余裕評価を行う。
【0020】
この公知の流量配分計算の前提となる、従来方式の強制循環式沸騰水型原子炉の例を図3にて参照し、本実施形態と比較する。
図3の従来方式の強制循環式沸騰水型原子炉では、複数の燃料集合体21を装荷した炉心7の上方には、均圧空間として上部プレナム11cが、炉心7の下側には炉心下部プレナム10がそれぞれ配置されている。そして、上部プレナム11cの圧力と、炉心下部プレナム10の圧力との差圧が各燃料集合体に対して共通にかかっているとして流量配分の計算を行う。
つまり、図3の上部プレナム11cが、本実施形態(図1)の均圧空間35に相当し、炉心7とその周辺の構成は本実施形態と同じなので、本実施形態の点Pと点Pとの差圧は、前記した公知の流量配分計算方法を用いて計算し、炉心7の熱的余裕評価を行うことができる。
【0021】
次に、本実施形態において、均圧空間35として用いることのできる高さについて説明する。
まず、設けられた空間35が均圧となるためには、その空間の一端から他端まで圧力が伝播するための時間tが必要である。圧力伝播の有効な指標の一つとして音速が挙げられるが、炉心7上部はボイド率が一般に50%以上、即ち気液二相流中の蒸気の容積が液体よりも大きいため、圧力伝播に関しては、蒸気中の音速vを指標として用いる。
またチムニ11は円筒形であるため、この空間35の水平断面における一端から他端までの距離は、チムニ11の内径Dに等しい。従って、この空間35において、圧力が伝播するために必要な時間tは、以下の演算式(1)にて得られる。
t=D/v ・・・(1)
【0022】
そして、この時間tの間に、蒸気が空間35を上昇する距離hと同等以上の高さの空間35であれば、均圧となるための条件を満たすことができる。即ち、蒸気の上昇速度をUとすれば、空間35の高さの下限Hminは、以下の演算式(2)にて得られる。
min=h=U×t=U×D/v、即ち
min=U×D/v ・・・(2)
【0023】
例えば、チムニの内径Dを6.0m、蒸気の上昇速度Uを5.0m/s、蒸気中の音速vを488m/s(圧力が約7.2MPaの飽和蒸気とした場合)として演算式(2)に代入すれば、空間35を均圧とするための高さの下限Hminは、6.15cmであることが分かる。
【0024】
次に、均圧空間35の高さの上限Hmaxにつき、説明する。
均圧空間35の高さを必要以上に高くした場合は、蒸気が空間35の流路中央に集まり、蒸気流速が増加し、冷却水が流路外周側に集まる、いわゆる偏流現象が発生することがある。この偏流現象が発生すると、自然循環式沸騰水型原子炉1では、チムニ11の横断面中央に蒸気が集まり、蒸気の流速が大きくなることなどにより、チムニ全体のボイド率の低下を招き、自然循環量が減少してしまう。この偏流が発生しないための均圧空間35の高さは、従来方式の強制循環式沸騰水型原子炉の上部プレナムの例から、上限Hmaxが1mであれば問題はなく、チムニ11での流動特性に悪い影響を及ぼすことはない。
【0025】
なお、本実施形態における差圧計算の変形例として、点Pと点Pとの差圧を、差圧センサ等を使った測定によって得ることも可能である。このとき、炉心7の上端の差圧の測定位置は、均圧空間35内であれば、点Pの圧力と等しい圧力が得られるので、上部格子板上の他の点でもよいし、側壁側の点を測定位置としても構わない。また、炉心下部プレナム10は冷却材が液体で流れる空間なので、炉心7の下端の差圧測定位置は、点Pと同じ高さであれば問題ない。或いは炉心下部プレナム10内で、水頭圧差によって圧力の補正が可能であれば、点Pと高さが異なる測定位置であっても、差圧測定位置とすることができる。
【0026】
このように、自然循環式沸騰水型原子炉1において、均圧空間35をチムニ11の下部に設けることより、チムニ内の各格子流路のボイド率を評価して、各格子流路に対応する燃料集合体の冷却材流量を求めるような複雑な3次元核熱水力計算コードを用いる必要がない。その際、チムニ内のボイド率の解析による評価には相関式等を用いる必要があり、誤差因子となること、また、ボイド率を実際の自然循環式沸騰水型原子炉で測る場合、その測定系を高温、高圧の原子炉内に設置する必要がありコストがかかる。本実施形態では、強制循環式沸騰水型原子炉で実績のある、高い精度での炉心の熱的余裕評価が可能となり、炉心出力増大を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉の概略構成を示した図である。
【図2】従来型の自然循環式沸騰水型原子炉の例を示した構成図である。
【図3】従来方式の強制循環式沸騰水型原子炉の例を示した構成図である。
【符号の説明】
【0028】
1 自然循環式沸騰水型原子炉
6 原子炉圧力容器
7 炉心
8 炉心シュラウド
9 ダウンカマ
10 炉心下部プレナム
11 チムニ
11a 格子流路
11b 流路隔壁
11c 上部プレナム
12 気水分離器
13 蒸気乾燥器
15 蒸気出口ノズル
17 給水入口ノズル
21 燃料集合体
23 上部格子板
35 均圧空間、空間




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013