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発明の名称 原子力発電プラント及び原子炉起動用加圧装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232398(P2007−232398A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−50920(P2006−50920)
出願日 平成18年2月27日(2006.2.27)
代理人 【識別番号】100122884
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 芳末
発明者 木藤 和明 / 石井 佳彦 / 村瀬 道雄 / 茶木 雅夫
要約 課題
自然循環型BWRの起動時の炉心の不安定を回避して起動時間の短縮を図る。

解決手段
自然循環型BWR1の原子炉内に所要圧力の蒸気を供給する蒸気供給手段33を備え、蒸気を原子炉内部のシュラウド8の外側で且つ水面29より上方の領域に供給することにより、原子炉1を起動器に初期加圧する。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉と、
前記原子炉内部で核反応により熱を発生する炉心と、
前記炉心を囲むシュラウドとを有し、
前記シュラウドで分離された外側と内側の冷却材密度差により冷却材が循環する自然循環型沸騰水型軽水炉に連結される原子炉起動用加圧装置であって、
前記原子炉内部のシュラウドの外側で且つ水面より上方の領域に所要圧力の蒸気を供給する蒸気供給手段を備えることを特徴とする原子炉起動用加圧装置。
【請求項2】
前記蒸気供給手段は、加圧器容器の内部にヒータを設置した加圧器本体で構成され、
前記加圧器本体に給水する加圧器給水管と前記加圧器本体から前記原子炉内部に蒸気を供給する加圧用蒸気管を備え、前記加圧器給水管上と前記加圧用蒸気管上には、それぞれ逆止弁または閉止弁または流量調整弁のうち少なくとも1つ以上を備えることを特徴とする請求項1記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項3】
前記加圧器給水管は、前記原子炉内部のシュラウドの外側で且つ水面より下方の領域から水を抜き取って、前記加圧器本体内に給水する配管であることを特徴とする請求項2記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項4】
前記加圧器給水管は、原子炉以外の水源から前記加圧器本体に給水する配管であることを特徴とする請求項2記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項5】
前記シュラウドの外側で且つ水面より下方の領域の冷却水温度を計測する温度計測器と、
原子炉内圧力を計測する圧力計測器とを有し、
前記圧力計測器で計測した圧力における冷却水の飽和温度が、温度計測器で計測した原子炉内冷却水の計測温度よりも高くなるように前記加圧器本体のヒータ出力を制御する制御系を備えることを特徴とする請求項2記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項6】
前記飽和温度と前記計測温度の温度差は、飽和温度−計測温度≧5℃に設定されることを特徴とする請求項5記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項7】
前記加圧器給水管上に給水ポンプを備えることを特徴とする請求項3記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項8】
前記加圧器給水管上に給水ポンプを備えることを特徴とする請求項4記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項9】
加圧器本体内に水位計測器を備え、
前記加圧器本体内のヒータが常に冠水するように前記給水ポンプの回転数を制御することを特徴とする請求項7記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項10】
加圧器本体内に水位計測器を備え、
前記加圧器本体内のヒータが常に冠水するように前記給水ポンプの回転数または閉止弁の開閉または流量調整弁の開度を制御することを特徴とする請求項8記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項11】
前記加圧器本体のヒータの上端高さは、前記原子炉内部の水面高さよりも下の位置にあることを特徴とする請求項2記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項12】
前記蒸気供給手段には、他の原子力発電プラントまたは火力発電プラントまたはボイラが用いられ、
前記他の原子力発電プラントまたは火力発電プラントまたはボイラから前記シュラウドの外側で且つ水面より上方の領域に、所要圧力の蒸気を供給する加圧用蒸気管が接続され、
前記加圧用蒸気管上に閉止弁または流量調整弁のうち、少なくとも1つ以上を備えることをことを特徴とする請求項1記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項13】
前記シュラウドの外側で且つ水面より下方の領域の冷却水温度を計測する温度計測器と、
原子炉内圧力を計測する圧力計測器とを有し、
前記圧力計測器で計測した圧力における冷却水の飽和温度が、温度計測器で計測した原子炉内冷却水の計測温度よりも高くなるように、前記閉止弁の開閉または前記流量調整弁の開度を制御する制御系を備えることを特徴とする請求項12記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項14】
前記飽和温度と前記計測温度の温度差は、飽和温度−計測温度≧5℃に設定されることを特徴とする請求項13記載の原子炉起動用加圧装置。
【請求項15】
原子炉と、前記原子炉内部で核反応により熱を発生する炉心と、前記炉心を囲むシュラウドとを有し、前記シュラウドで分離された外側と内側の冷却材密度差により冷却材が循環する自然循環型沸騰水型軽水炉と、タービン系とを備えた原子力発電プラントにおいて、
前記自然循環型沸騰水型軽水炉に連結された原子炉起動用加圧器を備え、
前記原子炉起動用加圧器は、前記原子炉内部のシュラウドの外側で且つ水面より上方の領域に所要圧力の蒸気を供給する蒸気供給手段を有することを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項16】
前記蒸気供給手段は、加圧器容器の内部にヒータを設置した加圧器本体で構成され、
前記加圧器本体に給水する加圧給水管を備えることを特徴とする請求項15記載の原子力発電プラント。
【請求項17】
前記原子炉起動用加圧装置は、
前記シュラウドの外側で且つ水面より下方の領域の冷却水温度を計測する温度計測器と、
原子炉内圧力を計測する圧力計測器とを有し、
前記圧力計測器で計測した圧力における冷却水の飽和温度が、温度計測器で計測した原子炉内冷却水の計測温度よりも高くなるように前記加圧器本体のヒータ出力を制御する制御系を備えることを特徴とする請求項16記載の原子力発電プラント。
【請求項18】
前記原子炉起動用加圧装置における前記加圧器給水管上に、給水ポンプと、逆止弁または閉止弁または流量調整弁のうち、少なくとも1つ以上とを備え、
前記加圧器本体内に水位計測器を備え、
前記加圧器本体内のヒータが常に冠水するように前記給水ポンプの回転数または閉止弁の開閉または流量調整弁の開度を制御することを特徴とする請求項17記載の原子力発電プラント。
【請求項19】
前記原子炉起動用加圧装置における前記蒸気供給手段には、他の原子力発電プラントまたは火力発電プラントまたはボイラが用いられ、
前記他の原子力発電プラントまたは火力発電プラントまたはボイラから前記シュラウドの外側で且つ水面より下方の領域に、所要圧力の蒸気を供給する加圧用蒸気管が接続され、
前記加圧用蒸気管上に閉止弁または流量調整弁のうち、少なくとも1つ以上を備えることをことを特徴とする請求項15記載の原子力発電プラント。
【請求項20】
前記原子炉起動用加圧装置は、
前記シュラウドの外側で且つ水面より下方の領域の冷却水温度を計測する温度計測器と、
原子炉内圧力を計測する圧力計測器とを有し、
前記圧力計測器で計測した圧力における冷却水の飽和温度が、温度計測器で計測した原子炉内冷却水の計測温度よりも高くなるように、前記閉止弁の開閉または前記流量調整弁の開度を制御する制御系を備えることを特徴とする請求項19記載の原子力発電プラント。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電プラントに係り、特に、再循環ポンプや原子炉インターナルポンプを持たず、炉心内外の密度差により冷却材を自然循環させる自然循環型の沸騰型軽水炉(以下、BWRと略す)の起動用加圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にBWRはその冷却材(冷却水)の循環方式によって強制循環型と自然循環型とに大別することができる。現在運転されているBWRはその殆どが再循環ポンプまたは原子炉インターナルポンプの動力を用いて炉心の冷却材を強制的に循環する強制循環型BWRである。この強制循環型BWRでは、ポンプの回転数を制御することで再循環流量を制御し、起動時であっても十分な炉心流量を確保できる。
【0003】
近年では、プラント簡素化にために、再循環用のポンプを持たない自然循環型BWRも検討されている。自然循環型BWRに関しては、これまでも特許文献1を始め多くの例示が成されている。自然循環型BWRでは、起動時に十分な炉心流量を確保出来ない可能性があり、炉心の安定性が損なわれる可能性がある。炉心が不安定になる領域は分かっているため、予め不安定領域を特定しておき、不安定領域を回避するように起動曲線を予め設定すれば炉心の不安定を回避することは可能である。しかし、原子炉の起動時間が長くなり、経済性が悪化する。
【0004】
一方、上記の炉心不安定は、原子炉を予め加圧した状態から起動することで回避可能であることが知られている。原子炉を加圧するには、加圧器を設置すれば良く、加圧器の構造が上記特許文献1で提案されている。ここで提案されている加圧器は加圧水型軽水炉と類似の圧縮水を原子炉に供給するか、または高圧のガスを原子炉に供給して原子炉を加圧するものである。
【0005】
【特許文献1】特開平5ー72387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、圧縮水を供給すると、原子炉上部の蒸気が凝縮したり、非凝縮性ガスが圧縮されるため、原子炉上部の気水分離器や蒸気乾燥器まで冠水し、起動後に十分な蒸気乾燥度が得られない可能性がある。また、高圧ガスを供給した場合は、運転開始までに供給したガスを原子炉内から排出し、また放射化されたガスを処理する必要がある。
【0007】
本発明は、上述のような不都合を生じることなく、自然循環型BWRの起動時において炉心の不安定を回避し、起動時間の短縮を可能にした原子力発電プラント、及び原子炉を初期加圧する原子炉起動用加圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る原子力発電プラントは、自然循環型沸騰水型軽水炉に連結された蒸気供給手段を有する原子炉起動用加圧装置を備え、この蒸気供給手段からの蒸気を原子炉内部のシュラウドの外側で且つ水面より上方の領域に供給するように構成される。
【0009】
本発明の原子力発電プラントでは、原子炉内部のシュラウドの外側で且つ水面より上方の領域に蒸気を供給することにより、原子炉を起動時に初期加圧することができる。
【0010】
本発明に係る原子炉起動用加圧装置は、蒸気供給手段を備え、この蒸気供給手段からの蒸気を原子炉内部のシュラウドの外側で且つ水面より上方の領域に供給するように構成される。
【0011】
本発明の原子炉起動用加圧装置では、原子炉内部のシュラウドの外側で且つ水面より上方の領域に蒸気を供給することにより、原子炉を起動時に初期加圧することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る原子力発電プラントによれば、再循環ポンプや原子炉インターナルポンプを持たない自然循環型BWRにおいて、蒸気供給手段を有する起動用加圧装置を設置することにより、原子炉起動時の炉心の不安定を回避し、起動時間を短縮することができる。蒸気を用いるので、圧縮水や高圧ガスを用いた場合の前述の不都合は回避される。
【0013】
本発明に係る原子炉起動用加圧装置によれば、蒸気供給手段を備え、蒸気により原子炉起動時の初期加圧をするので、再循環ポンプや原子炉インターナルポンプを持たない自然循環型BWRに対して、原子炉起動時の炉心の不安定を回避し、起動期間を短縮させることができる。蒸気を用いるので、圧縮水や高圧ガスを用いた場合の前述の不都合は回避される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る原子力発電プラント及びその自然循環型BWRの初期加圧に適した原子炉起動用加圧装置(以下、初期加圧装置という)の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
まず、図4を用いて本発明の自然循環型BWRの初期加圧装置が適用される原子力発電プラントの一実施の形態を説明する。本実施の形態に係る原子力発電プラントは、図4に示すように、自然循環型BWR1と、これに連結されたタービン系2とを備えている。自然循環型BWR1は、複数の燃料棒を整列させた燃料棒集合体4と、燃料棒集合体4の間隙に挿入または抜き出されて炉心の反応度を制御する制御棒5を配置した炉心6を内包する原子炉圧力容器7を有している。原子炉圧力容器7の下部には、図示しないが、炉心6内で制御棒5を上下方向に挿抜可能に駆動する制御棒駆動機構が設けられている。制御棒は原子炉出力、すなわち炉心出力を調整するものである。
【0016】
原子炉圧力容器7内には、炉心6を囲むようにして円筒状のシュラウド8が配設されている。シュラウド8の内側には、冷却材が上昇するための上昇流路が形成され、またシュラウド8の外側、すなわちシュラウド8と原子炉圧力容器7との間隙には、冷却材が下降するための下降流路であるダウンカマ13が形成されている。炉心上部には自然循環流量を増加させるための機器であるチムニ9が設置されており、さらにチムニ9の上方には、気水分離器11及び蒸気乾燥器12が設けられている。
【0017】
タービン系2では、原子炉圧力容器7に接続された主蒸気管14と冷却材を供給する給水管15を有する。主蒸気管14には原子炉、すなわち原子炉圧力容器7内で発生する蒸気が供給される。この主蒸気管14は、これに繋がる蒸気加減弁16を介して高圧タービン17に接続され、さらに湿分分離器または湿分分離過熱器18を介して低圧タービン19に接続される。蒸気加減弁16は、主蒸気管14から高圧タービン17に流入する蒸気量を調整する調整弁である。20は低圧タービン19に接続された発電機である。
【0018】
低圧タービン19の出口には抽気ラインを介して低圧タービン19から排出された蒸気を凝集する復水器21が設置され、復水器21の下流側には低圧給水加熱器22、給水ポンプ23及び高圧給水加熱器24が設置されている。この高圧給水加熱器24の出口に給水管15が接続されている。
【0019】
また、主蒸気管14には、分岐してタービンバイパス弁26を介して直接復水器21に接続されたタービンバイパス管27が設けられている。タービンバイパス管27は、蒸気加減弁16の上流側の主蒸気管14から蒸気の一部を抜き取り復水器21に供給するバイパス流路である。タービンバイパス弁26は、このバイパス流路上にあってタービンバイパス管27を通る蒸気量を調整する調整弁である。
【0020】
復水器21の下流側、すなわち復水器21から原子炉圧力容器7に至る給水管15の途上には、順次、復水器21から供給された給水を加熱する低圧給水加熱器22と、給水を加圧して原子炉圧力容器7に供給する少なくとも1段以上の給水ポンプ23と、給水を加熱する高圧給水加熱器24が配置されている。
【0021】
自然循環型BWR1では、炉心6で加熱され一部が沸騰して蒸気となった気液二相の冷却材がチムニ9を上昇流で流れ、気水分離器11及び蒸気乾燥器12で気水に分離される。分離されたうちの、気相の蒸気は主蒸気管14に送られ、液相の高温水は再循環水とる。再循環水と、炉心6及びチムニ9を流れる上昇流の冷却材とは、シュラウド8で分離され、互いに混ざり合うことはない。再循環水は下降流として流れ、途中で給水管15の給水ノズル25から供給される給水と混合して、下プレナム28を通った後に炉心6の下部から供給される。
【0022】
原子炉圧力容器7内では、チムニ9内を流れる気液二相の上昇流体の体積密度が液単相より小さく、チムニ9外の下降流体(冷却材)の体積密度が高いことにより、この密度差により、冷却材は自然循環される。
【0023】
一方、原子炉圧力容器7から主蒸気管14に送られた蒸気は、蒸気加減弁16を通じて高圧タービン17に導かれ、さらに湿分分離器または湿分分離過熱器18を介して低圧タービン19に導かれ、低圧タービン19に接続された発電機20を回転させて発電する。
【0024】
低圧タービン19を回転させた蒸気は、抽気ラインを介して復水器21に導入され、凝縮される。この復水器21で凝縮した冷却水(復水)は、給水ポンプ23により給水管15から原子炉圧力容器7内へ還流される。復水器21からの冷却水(復水)は、給水管15の途中で低圧給水加熱器22及び高圧給水加熱器24により冷却水を適当な温度まで昇温される。
【0025】
次に、上述の原子力発電プラントに設置される本発明の自然循環型BWRの初期加圧装置の実施の形態を示す。
図1は、本発明に係る自然循環型BWRの初期加圧装置の第1実施の形態の構成図である。図1では初期加圧装置制御系を模式的に示している。原子炉本体、すなわち自然循環型BWR1は、図4で説明したと同様に、原子炉圧力容器7と、原子炉圧力容器7内で核反応により熱を発生する炉心6と、炉心の上部に設置されて炉心内で発生した蒸気と水を分離する気水分離器11および蒸気乾燥器12と、炉心6を通って蒸気を含む冷却材(水)が流れる上昇流路と気水分離器11で分離された冷却材が流れる下降流路とを分離するシュラウド8とから構成される。原子炉圧力容器7の内部には冷却材の水面29がある。なお、通常の原子炉では、気水分離器11は下部の一部のみ冠水しており、気水分離器11の上部や蒸気乾燥器は冠水していない。
【0026】
そして、本実施の形態においては、原子炉圧力容器7の外部に初期加圧装置30が設置される。初期加圧装置30は、原子炉圧力容器7に所要圧力(高圧)の蒸気を供給する蒸気供給手段、本例では加圧器容器31の内部にヒータ32が設置されてなる加圧器本体33と、各種計測器、配管及び制御器からなる初期加圧の制御系35とを有して構成されている。この制御系35では初期加圧装置への給水制御も含まれる。
【0027】
すなわち、原子炉圧力容器7と加圧器本体33間には、原子炉圧力容器7の内部から水を抜き取り加圧器本体33内へ送る加圧器給水管36と、加圧器本体33内で発生した高圧の蒸気を原子炉圧力容器7内へ送る加圧器蒸気管37とが接続されている。加圧器給水管36は、原子炉圧力容器7内においてシュラウド8の外側(すなわち下流流路)で且つ水面29よりも下側の領域に接続される。加圧器蒸気管37は、原子炉圧力容器7内において、シュラウド8の外側で且つ水面29よりも上側の領域に接続される。
【0028】
加圧器給水管36上には閉止弁38と給水ポンプ39が設置される。本例では閉止弁38は原子炉圧力容器7側に、給水ポンプ39は加圧器本体33側に設けられている。加圧器蒸気管37上には逆止弁41が設置されている。加圧器給水管36上の閉止弁38と加圧器蒸気管37上の逆止弁41は、これらの管36、37の破断による原子炉運転中の原子炉冷却材喪失事故を防止するために設置している。加圧器給水管36上の閉止弁38は、流量調整弁で代用することも可能である。また、逆止弁を設置しても良いが、この場合は閉止弁や流量調整弁と一緒に用いると効果的である。加圧器蒸気管37上の逆止弁41は、閉止弁または流量調整弁で代用することが可能である。
【0029】
また、原子炉圧力容器7にはシュラウド8よりも外側で水面29よりも下側に水温を計測する温度計測器(以下、温度センサという)42が設置されている。原子炉圧力容器7上部には原子炉圧力を測定する圧力計測器(以下圧力センサという)43が設置されている。加圧器本体33内には、加圧器本体33内部の差圧を測定することで加圧器容器31内部の水位40を計測する水位計測器(以下、水位センサという)44が設置されている。これらのセンサ43、43、44は、目的とした数値を測定できれば設置位置やセンサのタイプは別のものでもよい。
【0030】
一方、原子炉圧力容器の外側には、原子炉圧力制御器46と加圧器給水流量制御器47が配置されている。温度センサ42で計測した水温すなわち原子炉圧力容器7内の冷却水温度の計測値と、圧力センサ43で測定した原子炉圧力の計測値は、原子炉圧力制御器46の入力として用いる。また、水位センサ44で測定した加圧器本体33内部の水位40は、加圧器給水制御器47の入力として用いる。
【0031】
次に、この初期加圧装置30の動作を説明する。原子炉起動時には、まず炉心6の発熱により原子炉圧力容器7内の冷却材が沸騰しない程度まで加熱する。冷却材温度の上昇は、温度センサ42より水温の計測値T1(以下、計測温度T1という)として原子炉圧力制御器46に入力される。原子炉圧力制御器46内部では、現在の原子炉圧力における飽和温度Tsatと計測温度T1を比較する。飽和温度Tsatは常に計測温度T1よりも大きな値となる。飽和温度Tsatと計測温度T1との差が小さくなると、原子炉圧力制御器46は加圧器本体33内部のヒータ32に対してヒータ出力の増加を指示し、加圧器本体33から加圧器蒸気管37を介して原子炉圧力容器7に供給する蒸気量を増加して原子炉圧力容器7内の圧力を増加させる。
【0032】
すなわち、制御系35では、原子炉圧力制御器46からの出力により、飽和温度Tsatが計測温度T1よりも高くなるようにヒータ出力が制御される。したがって、飽和温度Tsatと計測温度T1との差は常に所定の温度差以上となるように設定される。飽和温度Tsatと計測温度T1の温度差は、圧力や温度の測定遅れや測定誤差、そして加圧器本体33に水を給水する給水ポンプ39のキャビティーションの防止を考慮すると、最低でも5℃以上(Tsat−T1≧5℃)確保することが好ましい。
【0033】
このような制御を行うことで、原子炉内部の炉心6で発生する熱を最大限活用して冷却材を加温し、加圧器本体33内部のヒータ32では水を測定値の温度T1から飽和温度Tsatまで加熱する熱量と蒸発潜熱のみ供給すれば良いことになる。このため、ヒータ容量は小さくできると共に、ヒータ32の電気加熱量は削減できる。また、加加圧器本体33を小型化できる。
【0034】
ヒータ容量の増大とヒータ32の電気加熱量をある程度許容できるならば、常に飽和温度Tsatと計測温度T1の温度差を大きくとれるため、圧力センサ43、温度センサ42及び原子炉圧力制御器46は、省略することも可能である。
【0035】
加圧器本体33内部で蒸気が発生すると、加圧器本体33内部の水位40が低下する可能性がある。このため、加圧器本体33内部の水位40を常に監視し、水位センサ44による水位の測定値から加圧器給水流量制御器47において、必要な加圧器本体33への給水量を評価する。給水量は給水ポンプ39の回転数に変換して給水ポンプ39に指示される。この指示で給水量が制御され、必要な水位40が確保される。本例では加圧器本体33内の水位40と原子炉内の水位31が一致している。
【0036】
本実施の形態では、加圧器給水流量制御器47で給水ポンプ39の回転数を制御したが、原子炉圧力容器7から加圧器本体33への加圧器給水管36上に流量制御弁を設置しておき、流量制御弁の開度を調整することで給水量を制御しても良い。または流量調整弁の替わりに閉止弁を設置し、閉止弁の開閉で流量を調整することも可能である。
【0037】
加圧器本体33内部のヒータ32の上端高さを、原子炉圧力容器7内部の水面高さよりも低くしておくと、加圧器本体33への給水ポンプ39が停止した場合でも常にヒータ32を冠水させておくことも可能である。よって、加圧器本体33内部のヒータ32の上端高さは、原子炉圧力容器7内部の水面高さよりも低くしておくことが望ましい。この場合、ヒータ32の発熱量を適正に制御することで加圧器本体33への給水ポンプ39を省略することも可能である。
【0038】
第1実施の形態によれば、原子力発電プラントの自然循環型BWRの起動時に、蒸気を供給して原子炉を初期加圧することで炉心の不安定を回避することができ、起動時間を短縮できる。しかも蒸気供給により加圧するので、圧縮水や高圧ガスでの前述した不都合を回避することができる。本実施の形態の初期加圧装置は、炉心での発熱を活用できるため、加圧装置を小型化でき、加圧に必要な電気加熱量も削減することができる。
【0039】
図5に、起動時の炉心の安定領域と不安定領域を示す。図5は横軸に原子炉起動時の原子炉出力(%)を、縦軸にサブクール温度(℃)をとったものである。実線は原子炉圧力が低圧時の安定領域と不安定領域の境界線を示し、点線は高圧時の安定領域と不安定領域の境界線を示している。
【0040】
サブクール温度は冷却水の飽和温度Tsatと実際の計測温度T1との差分である。この温度差が小さいときに炉心は安定し、大きくなると不安定領域に突入する。図5に示されるように、原子炉出力が低い場合は通常安定領域になっているので、サブクール温度が高くても安定領域の運転が可能であるが、原子炉の運転が開始して徐々に原子炉出力が上がってくると、実線で示すように不安定領域が増えてくる。原子炉圧力が増大すると、図の点線で示したように不安定領域が移動して広い範囲にわたって安定領域になる。従って、サブクール温度を変更しなくても、原子炉圧力を上げれば安定な運転が可能となり、次第に原子炉出力を定格出力まで上昇させることが可能になる。
本実施の形態では、起動時に予め蒸気を原子炉圧力容器7に供給して原子炉内部を初期加圧するので、不安定領域を回避して炉心の安定性を確保することができる。
【0041】
図2に、本発明に係る自然循環型BWRの初期加圧装置の第2実施の形態を示す。本実施の形態の初期加圧装置51は、加圧器本体33と初期加圧の制御系52からなり、特に、加圧器本体33への給水を原子炉圧力容器7の内部からではなく、別の水源から給水管53を通して供給するように構成される。この給水管53上には前述の実施の形態と同様に、給水ポンプ39が設けられ、この給水ポンプ39の回転数が加圧器給水流量制御器47からの出力により制御される。給水管53上には、図示しないが閉止弁を設置することができる。この閉止弁は、流量調整弁で代用することも可能である。また、逆止弁を設置しても良いが、この場合は閉止弁や流量調整弁と一緒に用いると効果的である。その他の構成は、前述の図1の第1実施の形態と同様であるので、詳細説明は省略する。なお、加圧器本体33への給水を加圧器本体よりも上部に設置された水源から供給する場合には給水ポンプ39を削除することも可能である。
【0042】
第2実施の形態では、加圧器給水流量制御器47で給水ポンプ39の回転数を制御したが、上記したように給水管53に流量制御弁を設置しておき、流量制御弁の開度を調整することで給水量を制御しても良い。または流量調整弁の替わりに閉止弁を設置し、閉止弁の開閉で流量を調整することも可能である。
【0043】
原子炉圧力容器7を貫通する配管を増やすと、その配管の破断による原子炉冷却材喪失事故の発生確率が増加することになる。水面29よりも上にある配管が破断した場合には、蒸気が流出するだけであるので原子炉圧力容器7内部の冷却水の減少速度は遅くなるが、水面29よりも下にある配管が破断すると原子炉圧力容器7内部の冷却水が直接流出するため影響が大きくなる。そのため、本実施の形態では、原子炉圧力容器7内部の水面29よりも下に位置する加圧給水管36を省略したものである。
【0044】
第2実施の形態の初期加圧装置51の動作は、圧力容器本体34への水の供給が別水源から行われる以外は第1実施の形態と同様であるので、詳細説明を省略する。
【0045】
第2実施の形態に係る初期加圧装置51によれば、炉心6の核熱を活用できなくなるため、加圧装置の小型化と、加圧に必要な電気加熱量削減の観点では第1実施の形態に劣るが、通常運転時の原子炉の安全性を向上することができる。
【0046】
図3に、本発明に係る自然循環型BWRの初期加圧装置の第3実施の形態を示す。本実施の形態の初期加圧装置55は、前述の加圧器本体33、その内部のヒータ32及び加圧器給水流量制御器47を省略し、原子炉圧力容器7内部に供給する蒸気を、他の原子力発電プラントまたは火力発電プラントまたはボイラから供給するように構成される。すなわち、他の原子力発電プラントまたは火力発電プラントまたはボイラで発生した蒸気は、加圧用蒸気管56を通して、原子炉圧力容器7のシュラウド8の外側で水面29よりも上側の領域に供給される。
【0047】
本実施の形態の原子力発電プラントの運転時には、これら他の原子力発電プラントまたは火力発電プラントまたはボイラと隔離する必要があるため、加圧用蒸気管56上には閉止弁38を設けることが必須である。加圧用蒸気管56上には流量調整弁57が設置され、この流量調整弁57により加圧蒸気管56を通して原子炉圧力容器7内部に供給される蒸気量を調整するように成される。
【0048】
本実施の形態の初期圧力装置の動作を説明する。原子炉圧力制御器46には、温度センサ42で測定された原子炉内の水温の計測温度T1と圧力センサ43で測定した原子炉圧力の計測値を入力し、現在の原子炉圧力における飽和温度Tsatと水温の計測温度T1を比較する。飽和温度Tsatは常に計測温度T1よりも大きな値となるが、飽和温度Tsatと計測温度T1の差(Tsat−T1)が小さくなると、原子炉圧力制御器46からの出力により流量調整弁57の開度を増加させ、原子炉圧力容器7に供給する蒸気量を増加させることで原子炉圧力が増加される。
【0049】
原子炉の初期圧力に必要な蒸気量は、定格運転時のプラントの蒸気発生量からするとわずかであるので、他のプラントに大きな影響を与えずに実現することができる。本実施の形態は、近くに他の原子力発電プラント又は火力発電プラントまたはボイラがある場合にしか使えないが、この条件を満たす場合には特別な装置無しに原子炉の初期圧力を実現できる。
【0050】
第3実施の形態に係る初期圧力装置においても、原子炉を初期加圧して炉心の不安定を回避することができる。起動時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による自然循環型BWRの初期加圧装置の第1実施の形態を示す構成図である。
【図2】本発明による自然循環型BWRの初期加圧装置の第2実施の形態を示す構成図である。
【図3】本発明による自然循環型BWRの初期加圧装置の第3実施の形態を示す構成図である。
【図4】本発明に係る初期加圧装置が適用される原子力発電プラントの一実施の形態を示す模式的構成図である。
【図5】本発明の説明の供する起動時の炉心の安定領域と不安定領域を示す表示画面の説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1・・自然循環型BWR、2・・タービン系、4・・燃料棒集合体、5・・制御棒、6・・炉心、7・・原子炉圧力容器、8・・シュラウド、9・・チムニ、11・・気水分離器、12・・蒸気乾燥器、13・・ダウンカマ、14・・主蒸気管、15・・給水管、16・・蒸気加減弁、17・・高圧タービン、18・・湿分分離器または湿分分離過熱器、19・・低圧タービン、20・発電機、21・・復水器、22・・低圧給水加熱器、23・・給水ポンプ、24・・高圧給水加熱器、26・・タービンバイパス弁、27・・タービンバイパス管、28・・下プレナム、29・・水面、30,51、55・・初期加圧装置、31・・加圧容器、32・・ヒータ、33・・加圧器本体、35・・再循環流量制御系、36・・加圧器給水管、37・・加圧器蒸気管、38・・閉止弁、39・・給水ポンプ、40・・水位、42・・温度センサ、43・・圧力センサ、44・・水位センサ、46・・原子炉圧力制御器、47・・加圧器給水流量制御器、53・・給水管、56・・加圧用蒸気管、57・・流量調整弁




 

 


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