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発明の名称 自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232395(P2007−232395A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−50917(P2006−50917)
出願日 平成18年2月27日(2006.2.27)
代理人 【識別番号】100122884
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 芳末
発明者 石井 佳彦 / 高橋 志郎 / 有田 節男 / 伏見 篤 / 池側 智彦
要約 課題
圧力容器内に設置した温度計が破損した場合の交換や定期的な交換を簡単に行うことができる自然循環型原子炉の温度検知装置を提供する。

解決手段
原子炉圧力容器の内部に格子状のチムニを配し、この格子状のチムニの上端部に温度検出用の熱電対とこの熱電対に接続されたケーブルが挿入される熱電対引き出し管が取り付けられる。このように、格子状チムニ上端部に熱電対引き出し管を取り付けることにより、燃料集合体の交換時にも熱電対引き出し管が邪魔になることがない。また、チムニ上部に熱電対引き出し管を設置したため、熱電対の破損時にもその交換を容易に行うことができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器の内部に格子状のチムニを配し、前記格子状チムニの間から燃料集合体の交換を可能とした自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置であって、
前記格子状のチムニの上端部に温度検出用の熱電対と該熱電対に接続されたケーブルが挿入される熱電対引き出し管が取り付けられることを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置。
【請求項2】
前記熱電対引き出し管は支持金具によって前記格子状チムニの上端面に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置。
【請求項3】
前記熱電対引き出し管は、複数個設けられ、前記温度検出用の熱電対は、前記熱電対引き出し管の数と同じ数だけ前記格子状チムニの上面または格子状チムニの交差位置付近のチムニ隔壁に接した位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置。
【請求項4】
原子炉圧力容器の内部に格子状のチムニを配し、前記格子状チムニの間から燃料集合体の交換を可能とした自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置であって、
前記格子状チムニの隔壁の交差線上の任意の位置に温度検出用の熱電対が配置されるように、前記チムニ隔壁の交差線上に前記熱電対と該熱電対に接続されたケーブルが挿入される熱電対引き出し管が配置されることを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置。
【請求項5】
前記熱電対引き出し管が配置される位置は、前記格子状チムニの下方に設けられる炉心内に配置されている中性子計装管集合体の上方位置であることを特徴とする請求項4に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置。
【請求項6】
前記熱電対引き出し管は、前記炉心の上部基板において前記中性子計装管集合体と接続されることを特徴とする請求項5に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置。
【請求項7】
前記中性子計装管集合体内には中性子計装管とともに、前記熱電対引き出し管内に挿入されている熱電対ケーブルと電気的に接続するケーブルが設けられることを特徴とする請求項6に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置。
【請求項8】
前記熱電対引き出し管と前記中性子計装管集合体とはシーリンググランドで圧力シールドがなされていることを特徴とする請求項6に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置。
【請求項9】
前記前記中性子計装管集合体は、前記チムニ隔壁の格子状の交差線数の所定割合で設けられており、前記熱電対引き出し管は前記中性子計装管数と同じか又はそれより少ない数だけ前記格子状チムニの交差線上に配置されることを特徴とする請求項6に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に冷却材を自然循環によって循環させる自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自然循環型沸騰水型原子炉(以下、簡単に「自然循環型原子炉」と呼ぶ。)では、炉心を取り囲むシュラウドの上部にチムニが設置されている。炉心やチムニ内部は冷却水と水蒸気(泡:ボイドともいう。) の混合流(二相流)が上昇し、シュラウド外側と圧力容器壁で囲まれたダウンカマとよぶ環状流路には、給水管から原子炉内に戻された冷却水とチムニから流出した冷却水が混合して下降流として流れ、シュラウド内外を冷却水が循環している。自然循環型原子炉は、再循環ポンプなどの強制循環装置をもたず、シュラウド内の二相流密度とシュラウド外冷却水密度の密度差が前記循環流を引き起こす源になっている。
【0003】
自然循環型沸騰水型原子炉を起動する場合は、低圧状態から制御棒を引き抜いて臨界にし、その後出力を定格熱出力の数%に制御して昇温昇圧し、定格圧力にする。その後圧力を一定に制御しながら制御棒をさらに引き抜き、高圧低出力状態から高圧高出力状態に変化させる。低圧状態から高圧低出力状態に移行する昇温昇圧過程を含む起動初期には、自然循環型不安定と呼ばれる不安定現象が発生する可能性があることが知られている。
【0004】
まず、この状態における不安定現象の原理を説明する。何らかの原因でチムニ内の沸騰開始位置が下がり水蒸気が増える(ボイド率が高くなる)と、チムニ内混合流の密度が軽くなるので、シュラウド内側と外側の密度差が大きくなり、シュラウド内へ流れ込む冷却水量が増大する。すると、炉心が冷えて、炉心出口での冷却水温度が下がり、チムニ内の沸騰開始位置が上がり水蒸気発生量が減少してボイド率が減少する。この結果、今度はシュラウドの内側と外側の密度差が小さくなり、シュラウド内へ流れ込む冷却水量が少なくなる。
【0005】
冷却水の流入量が少なくなると、今度は炉心でより高温に加熱され、チムニ内の沸騰開始位置が下がりボイド率が上昇してシュラウド内外の密度差が大きくなり、シュラウド内へ流れ込む冷却水量が増大する。低圧時は高圧時に比べて水蒸気と水の密度差が大きく、例えば1気圧では水と蒸気の密度比は約1000:1であるのに対し、70気圧での密度比は約20:1である。その結果、低圧では、チムニ内ボイド率変化に起因する自然循環力の変化が大きくなり、この現象が自然循環型不安定と呼ばれている。このように、自然循環型原子炉においては、起動時に、チムニ内での沸騰開始位置が上下に振動して炉心流量が振動する流動不安定が発生する可能性がある。
【0006】
また、起動初期は原子炉出力が小さく、高出力時に比べて自然循環流量絶対値が小さいので、相対的に流動変動の振幅が大きくなる。起動初期は原子炉出力が小さいため流動不安定が発生しても燃料の健全性に問題はないが、流動変動により炉心の冷却水温度が変動して核的な反応度が変化し、中性子束の急上昇を示す原子炉ペリオド短信号が発生して制御棒引き抜き操作ができなくなる恐れがある。
【0007】
この流動不安定を防ぐための方法として、例えば、特許文献1には定期点検時用ボイラの熱を利用して炉水温度を上昇・昇圧し、不安定の発生しにくい高圧状態に移行させてから出力を増加させる技術が公開されている。また、特許文献2には、加圧装置を備え、不安定の発生しにくい高圧状態で自然循環炉を起動する方法が公開されている。いずれも流動不安定の発生しにくい高圧状態にしてから出力を増加させる技術であるが、前者は短時間で起動するためには大容量のボイラ設備が必要であり、後者は起動用の加圧装置を特別に備える必要があり、建設費が上昇する。
【0008】
さらに、特許文献3には、炉心上部とチムニ下部に圧力計と温度計を設置し、圧力から炉心上部とチムニ下部の飽和温度を計算して、炉心出口が飽和でチムニ下部がサブクール状態のときに、圧力を低下するか原子炉出力を増加させて、チムニ内をすべて飽和状態にして安定性を改善する技術が公開されている。これは、低圧においても炉心とチムニ内がすべて二相流状態であれば流動安定性が改善するという知見にもとづいているが、炉心とチムニ全体を飽和状態にするほど高い出力で起動することは現実的な起動を考えると起動初期には実現しにくい。また、昇圧途中で原子炉圧力を減少させることは起動時間の増加になる。
【0009】
【特許文献1】特開昭59−143997号公報
【特許文献2】特開平5−72387号公報
【特許文献3】特開平8−94793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
原子炉圧力容器内の温度を測定する手法としては、例えば、特許文献3に記載された発明のように、炉心上部とチムニ下部の両方に温度計と圧力計をそれぞれ配置するものがあるが、炉心上部あるいはチムニ下部に温度計を設置するものでは、故障時(破損時)に温度計の取替えが極めて困難である。すなわち、それらの構造ではチムニを原子炉圧力容器からとりはずさないとチムニ下部あるいは炉心上部の温度計あるいは信号ケーブルを内蔵する計装管を交換できない。計測機器の交換作業は、燃料集合体の交換時や定期点検時に実施するが、チムニを取り外さないで交換作業ができれば原子炉の稼働率が向上し、経済性が向上する。
【0011】
本発明は、上述の問題点を解決するためのものであり、圧力容器内に設置した温度計が破損した場合の交換や定期的な交換を簡単に行うことができる沸騰型原子炉の温度検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し本発明の目的を達成するため、本発明は、原子炉圧力容器の内部に格子状のチムニを配し、前記格子状チムニの間から燃料集合体の交換を可能とした自然循環型沸騰水型原子炉の温度検出装置であって、格子状のチムニの上端部に温度検出用の熱電対とこの熱電対に接続されたケーブルが挿入される熱電対引き出し管が取り付けられることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の好ましい形態としては、この熱電対引き出し管は、格子状のチムニの上端部に配置される。また、他の好ましい形態では、チムニ隔壁の交差線上の任意の位置に温度検出用の熱電対が配置されるように、チムニ格子の交差線となる鉛直線上に熱電対と該熱電対に接続されたケーブルが挿入された熱電対引き出し管が配置されるようになっている。そして、この場合、この熱電対引き出し管のチムニ下部の端部は、チムニ格子の下方に設けられる炉心内に配置されている中性子束計測用の中性子計装管集合体に接続されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自然循環型原子炉によれば、温度検出部(熱電対)とその引き出し管が、燃料集合体の交換時に、障害となることがなく、かつチムニを取り外さなくとも、破損時の温度計の交換を比較的簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る自然循環型原子炉の温度検出装置の実施形態の例について図面に基づいて説明するが、その前に、本願発明の温度検出装置が適用される自然循環型原子炉の出力制御システムについて概観しておく。
図1は、本発明が適用される自然循環型原子炉システムの全体構成図である。
【0016】
図1に示すように、自然循環型原子炉システムが有する原子炉は、複数の燃料棒を整列させた燃料集合体2と、燃料集合体2の間隙に挿入される制御棒3を配置した炉心4を有している。
また、原子炉圧力容器6の下部には、炉心4内で制御棒3を上下方向に挿抜可能に駆動する制御棒駆動装置8が設けられている。そして、原子炉圧力容器6には、主蒸気管12と給水管13が接続されており、原子炉圧力容器6の内部には炉心4を囲むようにして円筒状のシュラウド5が配設されている。このシュラウドの内側には、冷却材が図に示した矢印方向に上昇するための上昇流路が形成され、また、シュラウド5と原子炉圧力容器6との間隙には、冷却材が下降するための下降流路であるダウンカマ7が形成されている。また、シュラウド5の上部には、円筒状のチムニ9が配設され、さらに、チムニ9の上方には、気水分離器(セパレータ)10と蒸気乾燥機(ドライヤ)11が設けられている。
【0017】
この原子炉圧力容器6内のチムニ9の内側は、炉心4で沸騰した気液二相の冷却材が通過するが、この気液二相冷却材とダウンカマ7内を通過する液単相の冷却材との密度差によって、冷却材がダウンカマ7を下降した後に炉心4側に周り、炉心4を通過してチムニ9内を上昇する循環流路が形成される。そしてチムニ9内を上昇した冷却水と水蒸気の混合流が気水分離器10を通過すると、この気水分離器10で蒸気が分離される。気水分離器10で分離された単相の冷却水は、再びダウンカマ7を下降して原子炉圧力容器6の下部を通ってシュラウド5内の炉心4に送り込まれる。
【0018】
また、気水分離器10で分離された蒸気は、さらに蒸気乾燥器11で微少な水滴が除去されて、主蒸気管12を介してタービン18に供給される。この蒸気の流れの圧力でタービン18とこれに接続された発電機21が回転し、発電が行われる。
【0019】
タービン18を回転させた蒸気は復水器23に導入され、凝縮される。この復水器23で凝縮された冷却水(復水)は、給水ポンプ24により給水管13から原子炉圧力容器6内へ還流される。また、この給水管13には流量調整弁25が設けられており、この流量調整弁25によって原子炉圧力容器6内へ還流する冷却水流量を調整することで、原子炉圧力容器6内の原子炉水位を制御できる。さらに、給水管13には給水加熱器26が設けられており、タービン18の途中段から抽気した蒸気が抽気ライン22を介して給水加熱器26に導かれ、給水加熱器26において、復水器23から供給された冷却水が適当な温度まで昇温されて原子炉圧力容器6内に注入される。
【0020】
また、主蒸気管12には、主蒸気隔離弁27及びタービン18に導入する蒸気量を調節するタービン蒸気流量加減弁28が設けられ、また、逃し管29及びバイパス管30が接続されている。タービン蒸気流量加減弁28を絞る際には、バイパス管30に設けられたタービンバイパス弁31を開き、蒸気の一部をタービン18に導入せずに、バイパス管30を介して直接復水器23に導入するようにしている。また、上記主蒸気隔離弁27を閉鎖する際には、上記逃し管29に設けられた安全弁32を開き、原子炉で発生した蒸気を格納容器内のサプレッションプール(図示せず)中に導いて蒸気を凝縮するようになっている。
【0021】
そして、本発明の実施の形態例においては、特に原子炉圧力容器6内のチムニ9の上部に気液混合流である冷却材の温度検出部37と流体圧力を測定する圧力検出部38が設けられており、ここで検出された温度と圧力はそれぞれ温度測定装置39と圧力測定装置40に供給される。温度測定装置39と圧力測定装置40では、温度検出部37および圧力検出部38で検出された温度または圧力に関係する電気信号が実際の温度または圧力の単位に変換されて、出力制御装置35に送られる。出力制御装置35には、原子炉起動時において、炉心流量が振動する不安定現象がおきないようにチムニ9の温度測定値を使って原子炉出力を制御する制御装置が組み込まれている。そして、この出力制御装置35では、安定な原子炉運転を実現する制御棒操作を実施するための制御信号が発生され、その信号が制御棒駆動制御装置36に供給され、制御棒駆動制御装置36が制御棒3を駆動する電動モータあるいは水圧ピストンなどからなる制御棒駆動装置8を制御する。
【0022】
また、出力制御装置35には、表示装置43が接続されている。この表示装置43には、例えば、チムニ9の流体温度に関する情報や圧力容器内で流動不安定が発生すると予測される安定境界の流体温度に関する情報を同一画面上に表示するようにしている。したがって、原子炉の運転員はこの表示画面を見て原子炉の運転状態の安全を確認することができる。チムニ9の流体温度は、特にその起動時において圧力容器内の流動状態を安定に保った制御を実現するための重要な情報になる。
【0023】
本発明の温度検出装置にかかる実施の形態例を説明する前に、まず本発明が適用される原子炉圧力容器6内の冷却水の流れとその温度について説明する。
図2は、原子炉圧力容器6内の構造と起動初期における冷却水温度分布の一例を示したものである。蒸気ドーム11a内の圧力が例えば1気圧の場合、蒸気ドーム11aの水蒸気および水面近傍の冷却水温度は、飽和温度の約100℃になっている。ダウンカマ7を下降した冷却水(図2右b部分)は、給水管あるいは冷却材浄化系配管から流入する冷水と混合され、圧力容器6の下部プレナム6aに到達した時には、温度が低下(たとえば95℃に)している(図2右のc〜c’)。ダウンカマ7や下部プレナム6aは、静水頭により蒸気ドーム11aより圧力が高くなっており、蒸気ドーム11aより10m下の位置であれば、その位置の圧力は約2気圧になる。ここで静水頭とは、水の自重による圧力の増加であり、密度が1g/cmの水が貯まった10m下の位置では(密度)×(水の高さ)×(重力加速度)≒1気圧となり、水面より静水頭の1気圧分圧力が増加して2気圧になる。
【0024】
圧力が2気圧の飽和温度は、約120℃であり、95℃の冷却水のサブクール温度(飽和温度と冷却水温度の差)は25℃である。そして、下部プレナム6aから炉心4に流入した冷却水は炉心4で温められる(図3右のc〜d)。たとえば炉心4で110℃まで温められたとすると、炉心4の出口の飽和温度が110℃より高ければ炉心出口では沸騰は起こらない。その後、冷却水がチムニ9を上昇する(図2右のd〜e)につれて静水頭が減少すると圧力が低下して飽和温度が減少する。飽和温度が110℃の高さの位置まで110℃の冷却水が到達すると沸騰が始まり、冷却水から水蒸気が発生し混合流になる(図3右のe〜a)。この冷却水がチムニ9をさらに上昇すると、圧力の低下により飽和温度も低下するので冷却水温度は低下し(図2右のe〜a)、この熱量差が水蒸気の発生を促して冷却水の沸騰を助長する(図2右のa〜a’)。
【0025】
低圧低出力状態の原子炉起動初期においては、チムニ9内で沸騰が開始すると沸騰開始点が上下に動くことで自然循環力が変動し、炉心流量が変動する自然循環型不安定という現象が発生する可能性がある。チムニ9内の圧力から蒸気表などを利用して沸騰を開始する飽和温度を簡単に求めることができるので、チムニ9上端の流体温度と圧力を測定すれば、チムニ上端で沸騰が起きているか、あるいは沸騰がおきていないかを把握することができる。また、チムニ上端温度の時間変化を観察すれば、炉心流量が変動する自然循環型不安定の発生の有無を確認することができる。起動初期にチムニ上部で沸騰がほとんどおきなければ安定な流動状態になり、炉心流量が変動する流動不安定が発生しない。したがって、チムニ9出口の温度を測定すれば、自然循環型不安定の発生を確認したり、発生を防止するように原子炉出力を制御することができる。なお、シュラウド内の炉心出口においては燃料集合体2の出力差によって、径方向位置に対して温度分布がある。隔壁で区切られたチムニ9の一区画は通常複数の燃料集合体に対応している。チムニ9下部では、各燃料集合体2からでてきた温度の異なる流体が混合を開始した状態なので、温度測定場所や時刻によって流体温度の変動が大きい。それに対し、チムニ9上部ではチムニ9内を流体が流れる間に温度の異なる流体の混合が進み、温度測定場所や時刻による流体温度の変動が少なくなる。したがって、チムニ内の温度を測定する場合、その冷却水の温度変動が比較的少ないチムニ上部で計測することが適当である。
【0026】
前記温度検出部37と圧力検出部38の設置場所については、燃料集合体2をチムニ9上部に設けられる不図示の燃料交換機によって引き抜く必要があるので、その作業の際に障害とならない位置に設ける必要がある。すなわち、自然循環型原子炉においては、定期的に燃料集合体2の入れ替え作業を行う際に、通常は燃料集合体2をチムニ9側から引き抜くようにしており、その作業の際に障害とならない位置、例えばチムニの隔壁(図示せず)の上部あるいはそれに接触させた位置などに配置することが適当である。
【0027】
図3は、図1のチムニ9上部をA−Aで切断した時の断面図である。原子炉圧力容器6の内部に配置されるチムニ上部は点線で示されるように格子状構造になっている。この格子状の構造はチムニ隔壁50(図4参照)となって、チムニ下部まで続いている。この格子状のチムニの下部にシュラウド5が炉心を囲むように配置されることは上述したとおりである。
【0028】
シュラウド5内部の炉心4には燃料集合体2が配置されており、チムニ9の上側から見ると、図3に示すように、チムニ上部の格子間の位置、つまりチムニ隔壁50で囲まれた位置の下方に燃料集合体2が配置されるようになっている。このように燃料集合体2をチムニ隔壁50で囲まれた空間位置の鉛直下部方向に配置することで、チムニ9を取り外すことなくチムニ9の上側から燃料集合体2を取り外して交換することが可能となる(図5参照)。
【0029】
また、チムニ隔壁50の上部には温度検出部37として機能する熱電対51a〜51c(以下、まとめて、「熱電対51」とする。)を導入するための熱電対引き出し管52が配置されている。この熱電対51の引き出し管52は、通常熱電対51の数に応じて複数個が設けられる。図3では、3つの熱電対51a、51b、51cが配置されているが、これらの熱電対51a〜51cそれぞれに対して熱電対引き出し管52が設けられる。
【0030】
図4は、熱電対51の引き出し管52をチムニ隔壁上端50aに取り付けるための取り付け構造を示した図である。ここで、チムニ隔壁50はSUS等のステンレス鋼で構成される。熱電対引き出し管52は、SUSにシリカ等のミネラルパウダーを充填させた管で構成され、その中に熱電対51とそれに接続されたケーブル(不図示)が導入される。引き出し管52内の熱電対51の位置は、任意の測定部位に配置されるようにしてある。この熱電対引き出し管52は、図示のように、例えば支持金具53によって、チムニ隔壁上端部50aに、ボルト54などの固定手段で固定される。
【0031】
図5は、燃料交換時に燃料集合体2がチムニ9の通過する位置を示した図である。この図からわかるように燃料集合体2は、チムニ隔壁50で囲まれた空間部分を通して図の矢印で示した方向に引き出される。チムニ隔壁50の上端は図4で説明したように、格子状に形成されており、この格子状のチムニ上端部50aに、熱電対引き出し管52が支持金具53で固定されている。
【0032】
図5の例は、熱電対引き出し管52として2つのSUSで作製された引き出し管52a、52bを示している。一つの引き出し管52aは、その先端部がチムニ隔壁の上端部50aに配置されているが、もう一つの引き出し管52bは、その途中部分で曲げ加工されて、その先端部はチムニ隔壁50の側壁に接触した位置に配置されている。温度検出部(熱電対)51は、引き出し管52bの先端付近に配置されるが、熱電対引き出し管52a内にも配置されていることは言うまでもない。このように、温度検出はチムニ隔壁50の上端面の温度またはチムニ隔壁50の上端から少し下がった位置の温度の両方の温度検出を可能としている。熱電対引き出し管52a、52bをこのように配置しているので、燃料集合体2をチムニ情報から引き出す際に、熱電対引き出し管52が邪魔になることがない。
【0033】
図6は、熱電対引き出し管をチムニ隔壁上辺部に複数取り付ける場合の他の例を示した図である。この例では、チムニ隔壁50はその直交配置される一方の隔壁が他方の隔壁より短く加工されており、この短く加工されたチムニ隔壁上端部に、熱電対引き出し管52を複数個まとめて挿入することができる熱電対引き出し管集合体55が設けられている。この熱電対引き出し管集合体55は、短く加工されたチムニ隔壁の一方の上端部に配置されるので、熱電対引き出し管集合体55の上端部は、直交する他方のチムニ隔壁上端部50aの高さに一致するように作製される。
【0034】
上述したような寸法に、チムニ隔壁50と熱電対引き出し管52を作成することによって、他方のチムニ隔壁上端部50aと熱電対引き出し管集合体55の上端部はほぼ同一平面状の高さになるので、支持金具52を格別な湾曲加工をする必要なく、図示のようにボルト54等の固定部材によって、チムニ隔壁上端部50aに固定することができる。
【0035】
図6に示す例では、熱電対引き出し管52は2本設けられているが、チムニ隔壁端部の何箇所で温度測定をするかにより、引き出し管の数をさらに多く設けることが可能である。例えば、図に示すように高さ方向に複数重ねて設ける場合のほか、水平方向に並べて配置することも可能であるし、例えば4箇所で測定する場合であれば、4つの熱電対引き出し管を横に2本並べ、その上に2本重ねるようにして熱電対引き出し管集合体とすることも可能である。
【0036】
図7〜図10は、本発明の第2の実施形態例に係る熱電対の取り付け装置について示した図である。図7は、チムニ上部の断面図(図1のA−A断面図)を示したものであり、図3の断面図と異なるところは、図3のように熱電対引き出し管52が見えていない点である。温度検出部としての熱電対は、たとえば図7のA,B,Cの位置、つまりチムニ隔壁50の交差線の位置に配置される。
【0037】
図8は、図7のチムニ隔壁50の一点鎖線で示した領域Xの部分を拡大して示した図である。このチムニ隔壁50の直交する交差位置に熱電対引き出し管60が配置されている。
この熱電対引き出し管60がどのように配置され、信号の取出しがどのようになされるのかについて図9、図10に基づいて説明する。
図9は、熱電対引き出し管60が配置されているチムニ隔壁の交差部分の縦断面図である。図9に示されるようにチムニ上部の支持板62から多少突き出した位置に温度検出部63としての熱電対(不図示)が配置されている。この温度検出部63は、熱電対引き出し管60上部の先端部分に配置されており、熱電対引き出し管60はチムニ上部支持板62と支持金具64と固定されている。熱電対引き出し管60のチムニ下部に位置する部分は、後述するように、炉心4内に設けられている中性子計装管集合体70(図10参照)に結合されている。
【0038】
一般に、自然循環型原子炉においては、図1に示されるように円筒状のチムニ9の下方に同じく円筒状のシュラウド5が配置されており、このシュラウド5内に炉心4が設けられている。そして、炉心4内には中性子計装管集合体70が配置されている。この中性子計装管集合体70は、チムニ隔壁の交差線の鉛直下に配置されて、炉心4内の中性子束を計測する。図10に示すように、熱電対引き出し管60は、チムニ下部の支持板65に設けられた貫通孔を通り、炉心上部板75に設けられた貫通孔に挿入されている。炉心上部板75はチムニ下部支持板65と接合されて炉心4とチムニ9を結合する板である。熱電対引き出し管の最下部には、コネクタ73が接合されており、このコネクタ73が中性子計装管70の最上部に結合されている。この結合は例えば熱電対引き出し管の下部に雄ネジを作り、この雄ネジを中性子計装管集合体に形成した雌ネジに螺合させることによって、行うことができる。このとき、チムニ内は70気圧程度の圧力がかかっており、また中性子計装管集合体70の中は圧力容器6(図1)の外と同じ1気圧になるので、その圧力差が保たれるようにシーリンググランド74を設けて圧力シーリングを行っている。
【0039】
図10に示されている中性子計装管集合体70は、炉心4内に挿入される格子形状をした制御棒の交差位置に配置されるが、中性子計装管集合体70の数は、格子状の制御棒の交差位置16個に対して1個程度とされる。すなわち、全体の制御棒格子数に対して1/16の割合で中性子計装管集合体70が設けられる。そして、中性子計装管集合体70の内部にはLPRM(Local Power Range Monitor:局所出力領域モニタ)計装管71が配置されており、このLPRM計装管71と並んで熱電対引き出し管60の下部コネクタ73に接続されたケーブルが取り付けられている。このLPRM計装管71とケーブル72は原子炉圧力容器5の外に取り出され、不図示のモニタ装置に接続される。
【0040】
図7から図10に示した本発明の第2の実施形態によれば、チムニ隔壁の交差位置に熱電対引き出し管60を設置し、この熱電対引き出し管内の熱電対ケーブルをその鉛直下部にある中性子計装管集合体70内のケーブルと結合しているので、新たな引き出し管及び引き出し口を作成する必要がなく、自然循環型原子炉の出力制御用に用いられる中性子計装管集合体を利用して温度検出用の熱電対からの信号を取り出すことができる。
【0041】
また、図9に示される熱電対引き出し管60の挿入孔をチムニ隔壁50の交差位置に形成する方法としては、チムニ9の組み立て時に適当なスペースが形成されるように予めチムニ隔壁の必要な隅を加工しておくことなどが考えられる。
本例によれば、チムニを取り外さずに、支持金具64を取り外して温度検出部63としての熱電対と熱電対引き出し管60を交換できる。
【0042】
なお、燃料集合体出力の違いによって径方向に分布がつく流体温度と異なり、チムニ内の圧力は高さが同じであれば径方向の分布は小さいので、ダウンカマ7と接するチムニ9外周壁に圧力導管の検出部を設置することでチムニ内の圧力を計測することができる。例えば、チムニ上部から原子炉の圧力容器に設けた孔を通して流体を圧力計に導き測定する方法や、チムニ上部と蒸気ドームとを差圧導管で接続して差圧計を取り付け、絶対圧を測定している蒸気ドーム圧力との差圧を測定して圧力を測定する方法などがある。しかし、温度を測定する熱電対引き出し管と同様に、差圧導管をチムニ上部に設置してチムニ上部の圧力を測定することも可能である。その場合、熱電対引き出し管と差圧導管を共通の熱電対引き出し管集合体55に格納することもできる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の実施の形態が含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明が適用される自然循環型原子炉を備えた原子炉システムの一実施形態の全体構成を表す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態例における冷却水の循環を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態例を説明するための図(図2のA−Aで切断したときの横断面図)である。
【図4】本発明の第1の実施形態例に用いられる熱電対引き出し管をチムニ隔壁上端に取り付けた例を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態例に用いられる複数の熱電対引き出し管をチムニ隔壁上端部に取り付けた例において燃料集合体を引き抜く過程を示す斜視図である。
【図6】複数の熱電対引き出し管を設けた本発明の第1の実施形態の変形例である。
【図7】本発明の第2の実施形態例を説明するための、図2のA−A断面図である。
【図8】図7の領域Xを拡大して示した図である。
【図9】熱電対引き出し管が配置されているチムニ隔壁の交差部分の縦断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態例において、熱電対引き出し管と中性子計装管集合体とを接合したときの縦断面図である。
【符号の説明】
【0045】
2・・燃料集合体、3・・制御棒、4・・炉心、5・・シュラウド、6・・原子炉圧力容器、7・・ダウンカマ、8・・制御棒駆動装置、9・・チムニ、10・・気水分離器(セパレータ)、11・・蒸気乾燥機(ドライヤ)、12・・主蒸気管、13・・給水管、18・・タービン、21・・発電機、22・・抽気ライン、23・・復水器、24・・給水ポンプ、25・・流量調整弁、27・・蒸気隔離弁、28・・タービン蒸気流量加減弁、29・・逃し弁、30・・バイパス管、31・・タービンバイパス弁、32・・安全弁、50・・チムニ隔壁、52、60・・熱電対引き出し管、51、63・・温度検出部、70・・中性子計装管集合体、71・・LPRM計装管




 

 


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