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自然循環型原子炉の出力制御装置、自然循環型原子炉の発電システム及び自然循環型原子炉の出力制御方法 - 株式会社日立製作所
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発明の名称 自然循環型原子炉の出力制御装置、自然循環型原子炉の発電システム及び自然循環型原子炉の出力制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232394(P2007−232394A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−50916(P2006−50916)
出願日 平成18年2月27日(2006.2.27)
代理人 【識別番号】100122884
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 芳末
発明者 磯野 公子 / 長谷川 真
要約 課題
原子炉の出力変動を抑え、安定した出力の供給を行うことのできる自然循環型原子炉の出力制御装置を提供する。

解決手段
原子炉出力を制御する出力制御装置16と、原子炉圧力を制御する圧力制御装置15と、を備え、前記圧力制御部16には、前記出力制御部15からの出力調整要求信号S4が入力され、前記圧力制御部16は、前記出力調整要求信号S4に基づいて、低圧タービン18に接続されている湿分分離加熱器22に設けられた入口蒸気加減弁27の開度を制御するように自然循環型原子炉の出力制御装置を構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉出力を制御する出力制御部と、
原子炉圧力を制御する圧力制御部と、を備えた自然循環型原子炉の出力制御装置において、
前記圧力制御部には、前記出力制御部からの出力調整要求信号が入力され、
前記圧力制御部は、前記出力調整要求信号に基づいて、低圧タービンに接続されている湿分分離加熱器に設けられた入口蒸気加減弁の開度を制御することを特徴とする自然循環型原子炉の出力制御装置。
【請求項2】
前記圧力制御部又は前記出力制御部には、中央給電室からの負荷追従要求信号が入力されることを特徴とする請求項1に記載の自然循環型原子炉の出力制御装置。
【請求項3】
前記圧力制御部は、前記入口蒸気加減弁の開度の制御と連動して、主蒸気管に設けられた主蒸気加減弁の開度を制御することを特徴とする請求項1に記載の自然循環型原子炉の出力制御装置。
【請求項4】
前記圧力制御部は、前記入口蒸気加減弁の開度の制御と連動して、主蒸気管から分岐するタービンバイパス管に設けられたタービンバイパス弁の開度を制御することを特徴とする請求項1に記載の自然循環型原子炉の出力制御装置。
【請求項5】
前記圧力制御部は、前記入口蒸気加減弁の開度の制御と連動して、主蒸気管に設けられた主蒸気加減弁の開度及びタービンバイパス弁の開度を制御することを特徴とする請求項1に記載の自然循環型原子炉の出力制御装置。
【請求項6】
前記自然循環型原子炉の出力の変動が過渡的な場合に、
前記圧力制御部は、前記出力調整要求信号に基づいて、湿分分離加熱器に設けられた入口蒸気加減弁の開度を制御することを特徴とする請求項1に記載の自然循環型原子炉の出力制御装置。
【請求項7】
前記圧力制御部は、ゲート部を有し、前記出力調整要求信号が予め定めた閾値よりも大きい場合には、前記タービンバイパス加減弁が開くように制御し、前記出力調整要求信号が閾値よりも小さい場合には、前記入口蒸気加減弁が閉じるように制御することを特徴とする請求項1に記載の自然循環型原子炉の出力制御装置。
【請求項8】
前記圧力制御部は、ゲート部を有し、前記負荷追従要求信号が予め定めた閾値よりも大きい場合には、前記タービンバイパス加減弁が開くように制御し、前記負荷追従要求信号が閾値よりも小さい場合には、前記入口蒸気加減弁が閉じるように制御することを特徴とする請求項2に記載の自然循環型原子炉の出力制御装置。
【請求項9】
前記出力制御部には、前記圧力制御部からの原子炉出力相当信号が入力され、この原子炉出力相当信号に基づいて、制御棒に設けられた制御棒駆動装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の自然循環型原子炉の出力制御装置。
【請求項10】
前記圧力制御部は、前記負荷追従要求信号が小幅で短周期の場合に、前記入口蒸気加減弁の開度の制御と連動して、主蒸気器管に設けられた主蒸気加減弁の開度を制御することを特徴とする請求項2に記載の自然循環型原子炉の出力制御装置。
【請求項11】
前記圧力制御部は、原子炉圧力容器から入力された原子炉圧力信号が小幅で短周期の場合に、前記入口蒸気加減弁の開度の制御と連動して、主蒸気管に設けられた主蒸気加減弁の開度を制御することを特徴とする請求項2に記載の自然循環型原子炉の出力制御装置。
【請求項12】
内部で冷却水を自然循環させることにより蒸気を発生する自然循環型原子炉と、
前記原子炉内で発生させた蒸気によって回転するタービンと、
前記自然循環型原子炉の出力を制御する出力制御装置と、を備えた自然循環型原子炉の発電システムにおいて、
前記出力制御装置は、原子炉出力を制御する出力制御部と、原子炉圧力を制御する圧力制御部と、を備えており、
前記圧力制御部には、前記出力制御部からの出力調整要求信号が入力され、
前記圧力制御部は、前記出力調整要求信号に基づいて、湿分分離加熱器に設けられた入口蒸気加減弁の開度を制御することを特徴とする自然循環型原子炉の発電システム。
【請求項13】
原子炉出力を制御する出力制御部と、原子炉圧力を制御する圧力制御部と、を備えた自然循環型原子炉の出力制御方法であって、
前記圧力制御部に負荷追従要求信号又は出力調整要求信号が入力されると、前記圧力制御部は、低圧タービンに接続されている入口蒸気加減弁の開度の制御と連動して、主蒸気管に設けられている主蒸気加減弁の開度を制御し、その後、前記出力制御部に原子炉出力相当信号が入力されると、前記出力制御部は、制御棒に設けられた制御棒駆動装置の駆動を制御するようにしたことを特徴とする自然循環型原子炉の出力制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の出力制御装置、特に冷却材を自然循環によって循環させる自然循環型原子炉の出力制御装置に関する。また、この出力制御装置を備えた自然循環型原子炉の発電システムに関する。さらには、自然循環型原子炉の出力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原子炉は、その冷却材(冷却水)の循環方式によって強制循環型と自然循環型とに大別することができる。強制循環型原子炉は、ジェットポンプ又はインターナルポンプ等の再循環ポンプを備えており、このポンプを用いて強制的に炉心に冷却水を送り込むようになっている。
【0003】
一方、自然循環型原子炉は、上記強制循環型原子炉のように再循環ポンプを備えておらず、炉心を取り囲む原子炉シュラウドの外側の冷却水と、シュラウドの内側の水と蒸気が混在する気液混合流との密度差に基づく自然循環力によって、冷却水が循環されるようになっている。
【0004】
このように自然循環型原子炉は再循環ポンプを備えていないため、原子炉の負荷変動の要求がなされた場合には、制御棒の操作により原子炉の出力を変更させて対応する必要がある。しかし、制御棒の操作を用いる場合には、制御棒の操作から発電機等の出力が変更されるまでの時定数が大きいため、負荷変動に対する追従性が問題となる。
【0005】
ここで、制御棒の操作によらずに原子炉の出力を変動させるものとして、タービン蒸気(主蒸気)加減弁とタービンバイパス弁とを連動させて、原子炉の熱出力を制御する自然循環型原子炉が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特許2521256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献に開示された自然循環型原子炉においては、発電機の出力を下げる、すなわち原子炉の出力を下げる場合には、タービンバイパス弁を開き、蒸気を復水器へ逃すことによって達成する。また、発電機の出力を上げる、すなわち原子炉の出力を上げる場合には、一旦タービン蒸気加減弁を閉じて、原子炉内の圧力を上昇させ、ボイドを潰すことによって達成する。
【0008】
しかしながら、タービン蒸気加減弁を閉じて原子炉内の圧力を上昇させる際には、タービンに供給される蒸気流量が減少してしまうため、発電機の出力が低下し、原子炉の出力が変動してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上述の問題点を考慮し、発電機の出力変動を抑え、安定した電気出力を供給するとともに原子炉出力の変動も抑制することのできる自然循環型原子炉の出力制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、原子炉出力を制御する出力制御部と、原子炉圧力を制御する圧力制御部と、を備えた自然循環型原子炉の出力制御装置において、前記圧力制御部に入力される前記出力制御部からの出力調整要求信号と、前記圧力制御部に入力される前記出力調整要求信号とにより、湿分分離加熱器に設けられた入口蒸気加減弁の開度を制御するものである。
【0011】
これにより、原子炉に対して負荷変動が要求された際に、入口蒸気加減弁の開閉を制御することで、入口蒸気加減弁を通過する蒸気流量を調節して、原子炉の出力の変動を抑える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自然循環型原子炉の出力制御装置によれば、原子炉の出力を大きく変動させることなく、安定した原子炉の出力を供給することができる。また、負荷変動に対する追従性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の自然循環型原子炉の発電システムによれば、原子炉の出力を大きく変動させることなく、原子炉による安定した電力の供給を行うことができる。
【0014】
さらに、本発明の自然循環型原子炉の出力制御方法によれば、原子炉の出力が大きく変動することなく、安定した原子炉の出力を供給するようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る自然循環型原子炉の出力制御装置を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明に係る自然循環型原子炉の出力制御装置を備えた発電システムの実施形態を示す模式図である。
【0017】
図1に示すように、自然循環型原子炉の発電システムが有する自然循環型原子炉は、燃料集合体1と、燃料集合体1の間隙に挿入されて炉心の反応度を制御する制御棒3を配置した炉心4を内包する原子炉圧力容器6とを備えている。
【0018】
原子炉圧力容器6の下部には、炉心4内で制御棒3を上下方向に挿抜可能に駆動する制御棒駆動装置8が設けられている。また、原子炉圧力容器6には、主蒸気管32と給水管33とが接続されている。
【0019】
炉心4を囲むようにして円筒状のシュラウド5を配設することにより、シュラウド5の内側には、図に示した矢印方向に冷却材が上昇するための上昇流路が形成され、また、シュラウド5の外側には、冷却材が下降するための下降流路であるダウンカマ7が形成されている。また、シュラウド5の上部には、円筒状のチムニー9が配設され、さらに、チムニー9の上方には、気水分離器10と蒸気乾燥機11とが設けられている。
【0020】
原子炉圧力容器6内部では、冷却材が、チムニー9の内を通過する炉心4で沸騰した気液二相の冷却材と、ダウンカマ7内を通過する液単相の冷却材との密度差によって自然循環する。原子炉圧力容器6の内部には、冷却材が、ダウンカマ7を下降した後に炉心4を通過してチムニー9内を上昇し、気水分離器10により蒸気が分離されて再びダウンカマ7を下降するというような循環流路が形成されている。
【0021】
気水分離器10で飽和水と分離された蒸気は、さらに蒸気乾燥器11で微少な水滴が除去されて、主蒸気管32を介して高圧タービン17に導かれ、次に低圧タービン18に導かれる。低圧タービン18に導かれた蒸気は、タービンの回転エネルギーに変換され、さらに、低圧タービン18に接続された発電機21によって電気エネルギーに変換される。
【0022】
また、高圧タービン17と低圧タービン18との間には、高圧タービン17で温度が低下した蒸気を加熱して、エネルギー効率を回復するための湿分分離加熱器22が設けられている。
【0023】
低圧タービン18を回転させた蒸気は、冷却源を有する復水器23で凝縮されて復水となる。この復水器23で凝縮された復水は、給水ポンプ24により給水管33を通じて原子炉圧力容器6内へ還流される。
【0024】
なお、主蒸気管32には、高圧タービン17に流入する蒸気流量を調節する主蒸気加減弁28が設けられており、また、主蒸気管32には、入口蒸気管29及びタービンバイパス管30が接続されている。入口蒸気管29には、湿分分離加熱器22へ流入する蒸気量を調整する入口蒸気加減弁27が設けられている。また、タービンバイパス管30には、復水器23への蒸気流量を調節するタービンバイパス弁31が設けられている。
【0025】
自然循環型原子炉の出力制御装置は、原子炉出力を所定出力に制御する出力制御部である出力制御装置15と、原子炉圧力を所定圧力に制御する圧力制御部である圧力制御装置16とを備えている。
【0026】
圧力制御装置16には、図示しない中央給電室からの負荷追従要求信号S2と、出力制御装置15からの出力調整要求信号S4と、原子炉圧力容器6に設けられた原子炉圧力検出器13からの原子炉圧力信号S9とが入力する。なお、負荷追従要求信号S2と出力調整要求信号S4は、いずれか一方の信号が入力すればよい。
【0027】
ここで負荷追従要求信号S2とは、例えば、発電システム系統全体の発電力の安定化を図るために、中央給電室から出力される比較的小幅で短周期の信号であって、ガバナフリーのような秒単位で変化するサインウェーブ的な信号をいう。
【0028】
また、圧力制御装置16からは、入口蒸気加減弁27に対する入口蒸気加減弁開度指令信号S8と、主蒸気加減弁28に対する主蒸気加減弁開度指令信号S5と、タービンバイパス弁31に対するタービンバイパス弁開度指令信号S7が出力される。さらに、圧力制御装置16からは、出力制御装置15に入力する原子炉出力相当信号S20が出力される。
【0029】
出力制御装置15には、原子炉圧力容器6に設けられた原子炉出力検出器12からの原子炉出力信号S1と、上述した原子炉出力相当信号S20が入力する。
【0030】
また、出力制御装置15からは、上述した出力調整要求信号S4と、制御棒駆動制御装置14に対する制御棒駆動指令信号S21が出力される。
【0031】
原子炉出力相当信号S20が入力された出力制御装置15は、制御棒駆動指令信号S21を出力し、この制御棒駆動指令信号S21によって、制御棒駆動制御装置14が駆動される。原子炉出力相当信号S20が、原子炉の出力を上げる指令信号の場合には、制御棒駆動装置8により制御棒3を燃料集合体2から引き抜くような制御を行う。また、原子炉出力相当信号S20が、原子炉の出力を下げるような指令信号の場合には、制御棒3を燃料集合体1に挿入するような制御を行う。
【0032】
図2は、図1に示した自然循環型原子炉の発電システムにおける圧力制御装置16内部の制御系統図である。
【0033】
図2に示すように、圧力制御装置16の内部では、出力制御装置15から、目標出力値から現状の出力値が減算された偏差信号である出力調整要求信号S4が出力されて、圧力制御装置16の内部に設けられている出力制御器163に入力する。なお、出力調整要求信号S4は、出力制御装置15を介さず、直接出力制御器163に入力されるものであってもよい。
【0034】
原子炉圧力検出器13から出力された原子炉圧力信号S9には、原子炉内の圧力を一定に保つために予め設定されている圧力設定値が減算されて、圧力差分信号S11として、圧力制御装置16の内部に設けられている圧力調整器161に入力する。
【0035】
圧力調整器161では、入力された圧力差分信号S11に調整が加えられて、圧力信号S12が出力される。この圧力信号12には、後述するように低値優先回路164から出力された低値優先信号S15が減算され、偏差信号としてタービンパイパス弁開度指令信号S7となる。その結果、このタービンバイパス弁開度指令信号S7の偏差量に基づいて、タービンバイパス弁31が開かれる。
【0036】
低値優先回路164には、圧力調整器161から出力された圧力信号S12と、タービン速度制御器から出力されたタービン速度制御出力信号S14と、圧力制御装置16の内部に設けられている負荷制限器162から出力された負荷制限信号S13とが入力する。低値優先回路164は、圧力信号S12と負荷制限信号S13とタービン速度制御出力信号S14との何れかの低値の信号を選択し、低値優先信号S15を出力する。
【0037】
原子炉出力が低下した場合には、出力制御器163では、入力された出力調整要求信号S4に、例えば比例積分制御を行い、閉指令である入口蒸気加減弁開度指令信号S8を出力する。その結果、この入口蒸気加減弁開度指令信号S8に基づいて、入口蒸気加減弁27が閉じられ、原子炉出力を増加する。なお、出力制御器163に入力される信号は、中央給電室から出力される負荷追従要求信号S2であってもよい。
【0038】
負荷追従要求信号S2が発電機出力増加要求を出力した場合には、前述と同様に入口蒸気加減弁開度指令信号S8に基づいて、入口蒸気加減弁27が閉じられ、原子炉出力を増加する。
一方、低値優先信号S15には、出力制御器163から出力された出力制御信号S16が加算されて、主蒸気加減弁開度指令信号S5となり、この主蒸気加減弁開度指令信号S5の加算量に基づいて、主蒸気加減弁28の開動作が行われる。
【0039】
本実施形態の原子炉出力制御装置では、上述したように、閉指令として入口蒸気調整弁開度指令信号S8が出力されると、入口蒸気加減弁27の開度が0%となるように、すなわち入口蒸気加減弁が閉じるように制御される。これにより、入口蒸気管29に供給されるべき蒸気流が、入口蒸気加減弁27によって遮られて、主蒸気加減弁28に流入し、この結果、高圧タービン17に供給される蒸気流量が増加し、発電機21の出力、すなわち原子炉の出力を増加させることができる。このように、本実施形態の原子炉出力制御装置によれば、制御棒の操作を行うことなく、短時間で発電機21の出力を増加させることができるため、負荷変動に対する追従性を高めることができる。
【0040】
また、本実施形態の自然循環型原子炉の出力制御装置によれば、原子炉出力が変動した場合でも蒸気流量の多い主蒸気加減弁28を閉じることがないので、原子炉の出力を大きく変動させることなく、原子炉の運転を継続させることができる。
【0041】
本実施形態の自然循環型原子炉の出力制御方法によれば、まず、圧力制御装置16によって、短時間で上述したような一連の弁の開閉制御を行ない、その後、上述したように出力制御装置15によって、制御棒3の操作を必要とするような長時間の制御動作が行われるので、原子炉の出力が大きく変動することなく、安定した原子炉の運転を行うことができる。
【0042】
また、本実施形態の原子炉出力制御装置において行われる制御は、図7に示すように、起動運転時ではなく、主に定格運転時に生じた負荷変動に対して行われる。すなわち、本実施形態における原子炉出力制御装置では、比較的短期で行う制御は圧力制御装置16で行い、比較的長期に行う必要のある制御は、出力制御装置15で行うように設定されている。
【0043】
なお、本実施形態では、入口蒸気加減弁27の開度は、弁開度が0%か100%のいわゆる全開運用で行われているが、例えば、入口蒸気加減弁27の弁開度が50%程度の状態で行うような、いわゆる中間開度運用の構成を採用してもよい。このように入口蒸気加減弁27の開度を中間開度運用とすることで、弁に余裕度を持たせて、原子炉の出力を上げる場合にも、原子炉の出力を下げる場合にも用いることができる。
【0044】
図3は、図1に示した原子炉発電システムにおける圧力制御装置16内部の他の実施形態の制御系統図である。
【0045】
図3が、図2と違う点は、出力制御器163の内部で、例えば比例積分制御がなされた出力調整信号S4が、出力制御信号S17として出力され、この出力制御信号S17が、圧力信号S12から低値優先信号S15が減算された偏差信号S18に加算されて、タービンバイパス弁開度指令信号S7となる点である。このタービンバイパス弁開度指令信号S7の加算量に基づいて、タービンバイパス弁31の開度が制御される。
【0046】
本実施形態の原子炉圧力制御装置によれば、タービンパイパス弁31の開度に比例した蒸気流量が復水器23に送られて復水となるので、発電機21の出力、すなわち原子炉の出力を一定の値に維持することができ、原子炉出力が変動した場合の制御方式として有効である。
【0047】
なお、出力制御器163から二つの出力制御信号S16,S17を出力させて、主蒸気加減弁28の開閉制御と、タービンバイパス弁31の開閉制御を連動させるような構成としてもよい。これにより、主蒸気加減弁28とタービンバイパス弁31の双方を併用して、原子炉の出力を調整することができる。
【0048】
図4は、図1に示した原子炉発電システムにおける圧力制御装置16内部の他の実施形態の制御系統図である。
【0049】
図4が図2と違う点は、本実施形態の圧力制御装置16では、入力される出力調整要求信号S4に対して入力ゲート部160を設けている点である。ここでは、原子炉の出力状態が目標値よりも大きい場合には、出力調整要求信号S4の値を負と定義し、原子炉の出力状態が目標値よりも小さい場合には、出力調整要求信号S4の値を正と定義する。
【0050】
すなわち、入力された出力調整要求信号S4が負の場合には、原子炉の出力を下げるような制御を行い、入力された出力調整要求信号S4が正の場合には、原子炉の出力を上げるような制御を行う。
【0051】
また、図5に示すように、本実施形態では、閾値として0を設定し、さらに入力される出力調整要求信号S4が負の信号の場合には、0以下の上限制限を設け、正の信号の場合には、0以上の下限制限を設けている。これによって、タービンバイパス弁31と入口蒸気加減弁27を個別に制御する。
【0052】
入力される出力調整要求信号S4が負の場合には、出力調整要求信号S4は、ゲートを通り、符号が反転された後、圧力制御装置16内に設けられている出力制御器163aに入力する。出力制御器163aに入力した出力調整要求信号S4には、例えば比例積分制御がなされ、出力制御器163aからは、出力制御信号S16が出力される。この出力制御信号S16は、圧力信号12から低値優先信号S15が減算された偏差信号S18に加算されて、タービンバイパス開度指令信号S7となる。その結果、このタービンバイパス開度指令信号S7の加算量により、タービンバイパス加減弁31の開度が制御される。
【0053】
これにより、本実施形態の原子炉圧力制御装置によれば、出力調整要求信号S4が負の場合には、タービンパイパス弁31の開度に比例した蒸気流量が復水器23に送られて復水となり、発電機21の出力、すなわち何らかの原因で上昇した原子炉の出力が下がる(目標値に戻す)ように制御される。
【0054】
一方、入力される出力調整要求信号S4が正の場合には、出力調整要求信号S4は、ゲートを通り、圧力制御装置16内に設けられている出力制御器163bに入力する。出力制御器163bに入力した出力調整要求信号S4には、例えば比例積分制御がなされ、出力制御器163bからは、閉指令の入口蒸気加減弁開度指令信号S8が出力される。その結果、この入口蒸気加減弁開度指令信号S8により、入口蒸気加減弁27は閉じるように制御される。
【0055】
これにより、本実施形態の原子炉圧力制御装置によれば、出力調整要求信号S4が正の場合には、入口蒸気加減弁27の開度が0%となるように、すなわち入口蒸気加減弁が閉じるように制御される。これにより、入口蒸気管29に供給されるべき蒸気流が、入口蒸気加減弁27によって遮られて、この結果、何らかの原因で低下した原子炉の出力を増加させる(目標値に戻す)ことができる。このように、本実施形態の原子炉出力制御装置によれば、制御棒の操作を行うことなく、短時間で原子炉の出力を調整する(目標値に回復する)ことができるため、安定した出力で原子炉を継続運転させることができる。
【0056】
なお、入力される信号は、出力調整要求信号S4ではなく、出力制御装置15から出力される負荷追従要求信号S2であってもよい。なお、この場合は、出力制御器163aからの信号S16は信号S5を補正し、蒸気加減弁28の開度を調整するような構成とすることが望ましい。
【0057】
以下、本発明の原子炉出力制御装置を適用した場合の自然循環型原子炉の状態について説明する。
【0058】
図6は、原子炉出力制御装置を適用した自然循環型原子炉の状態について、主要パラメータの相対変化を示したものである。
図6に示すように、主要なパラメータとして、原子炉内の中性子束、原子炉圧力、入口蒸気加減弁(MSH−CV)開度を選択し、それらの相対的変化を時系列に沿って説明する。
【0059】
まず、例えば、給水ポンプの運転状態がなんらかの原因で変化して給水温度が変動することにより、原子炉圧力容器6内の中性子束が低下を始め、原子炉の出力が低下し始める(A)。すると、出力調整要求信号S4を受けた圧力制御装置16によって、入口蒸気加減弁27の開度が狭くなるように制御が行われる(B)。つぎに、入口蒸気加減弁27が閉じたことに伴い、原子炉圧力容器6内の圧力が上昇を始める(C)。そして、原子炉圧力容器6内の圧力が上昇すると炉内で発生しているボイドが潰れるため、中性子束が増加し、原子炉の出力が回復する(D)。
【0060】
さらに、原子炉出力相当信号S20を受けた出力制御装置15によって、制御棒3が燃料集合体1から引き抜きかれるように操作されるため、原子炉内の中性子束は緩やかに上昇し、それに伴い原子炉の出力も緩やかに上昇する(E)。また、原子炉の出力の回復に伴い、入口蒸気加減弁27の開度も元の状態に回復する(F)。
【0061】
なお、本発明の原子炉圧力制御装置は、上述の各形態に限定されるものではなく、その他材料、構成等において本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る自然循環型原子炉を備えた原子炉発電システムの一実施形態の全体構成を表す模式図である。
【図2】図1に示した自然循環型原子炉の発電システムにおける圧力制御装置16内部の一実施形態の制御系統図である。
【図3】図1に示した原子炉発電システムにおける圧力制御装置16内部の他の実施形態の制御系統図である。
【図4】図1に示した原子炉発電システムにおける圧力制御装置16内部の他の実施形態の制御系統図である。
【図5】入力される負荷追従要求信号の上限制限と下限制限を説明するための図である。
【図6】本発明の自然循環型原子炉の出力制御装置を適用した原子力発電システムについて、主要パラメータの変化を相対的に示したものである。
【図7】原子炉の運転状態の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1・・燃料集合体、3・・制御棒、4・・炉心、5・・シュラウド、6・・原子炉圧力容器、7・・ダウンカマ、8・・制御棒駆動機構、9・・チムニー、10・・気水分離器、11・・蒸気乾燥機、12・・原子炉出力検出器、13・・原子炉圧力検出器、14・・制御棒駆動制御装置、15・・出力制御装置、16・・圧力制御装置、17・・高圧タービン、18・・低圧タービン、21・・発電機、22・・湿分分離加熱器、23・・復水器、24・・給水ポンプ、27・・入口蒸気加減弁、28・・主蒸気加減弁、29・・入口蒸気管、30・・タービンバイパス管、31・・タービンバイパス弁、32・・主蒸気管、33・・給水管、160・・ゲート部、161・・圧力調整器、162・・負荷制限器、163・・出力制御器、S1・・原子炉出力信号、S2・・負荷追従要求信号、S4・・出力調整要求信号、S5・・主蒸気加減弁開度指令信号、S7・・タービンバイパス弁開度指令信号、S8・・入口蒸気調整弁開度指令信号、S9・・原子炉圧力信号、S11・・圧力差分信号、S12・・圧力信号、S13・・負荷制限信号、S14・・タービン速度制御出力信号、S15・・低値優先信号、S16・・出力制御信号、S17・・出力制御信号、S18・・偏差信号、S20・・原子炉出力相当信号、S21・・制御棒駆動指令信号、




 

 


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