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発明の名称 自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置及び原子力発電プラント
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232392(P2007−232392A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−50914(P2006−50914)
出願日 平成18年2月27日(2006.2.27)
代理人 【識別番号】100122884
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 芳末
発明者 水出 有俊 / 長谷川 真
要約 課題
原子炉水位の制御を積極的に利用して、自然循環型原子炉の制御が良好にできるようにする。

解決手段
自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御を行う場合に、原子炉1から出力される主蒸気流量と、原子炉への給水流量と、原子炉内の水位計測信号と、原子炉の水位設定値との偏差を検出し、この検出した偏差と負荷要求偏差信号とから原子炉への給水流量制御信号を演算し、その演算された給水流量制御信号により原子炉への給水ポンプ23の回転速度指令を作成するようにした。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器の内部に円筒状のチムニを配し、
前記チムニの内側に冷却材の上昇流路と、前記チムニの外側に冷却材の下降流路とを形成し、
前記上昇流路における冷却材と前記下降流路における冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置において、
原子炉から出力される主蒸気流量と、原子炉への給水流量と、原子炉内の水位計測信号と、原子炉の水位設定値との偏差を検出し、この検出した偏差と負荷要求偏差信号とから原子炉への給水流量制御信号を演算する水位制御手段を備え、
前記水位制御手段が出力する給水流量制御信号により原子炉への給水ポンプの回転速度指令を作成することを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置において、
前記原子炉の水位設定値に、原子炉の出力制御信号に対応した信号を加算した加算信号を得、
前記水位制御手段は、前記加算信号と、原子炉から出力される主蒸気流量と、原子炉への給水流量と、原子炉内の水位計測信号と、原子炉の水位設定値との偏差を検出し、この検出した偏差と負荷要求偏差信号とから原子炉への給水流量制御信号を演算することを特徴とする
自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置において、
前記水位制御手段が出力する給水流量制御信号に、原子炉の出力制御信号に対応した信号を加算する加算手段を備え、
前記加算手段の出力により原子炉への給水ポンプの回転速度指令を作成することを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置。
【請求項4】
請求項1記載の自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置において、
前記原子炉内の水位計測信号は、異なる検出レンジの複数の水位計測手段より入力した水位計測信号であり、目的の水位制御範囲に応じて、前記複数の水位計測手段のいずれか一方の水位計測信号を使用することを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置。
【請求項5】
請求項1記載の自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置において、
前記水位制御手段による前記給水流量制御信号を使用した給水制御は、原子炉出力がほぼ定格状態で安定した運転時に行うことを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置。
【請求項6】
原子炉圧力容器の内部に円筒状のチムニを配し、前記チムニの内側に冷却材の上昇流路と、前記チムニの外側に冷却材の下降流路とを形成し、前記上昇流路における冷却材と前記下降流路における冷却材との密度差によって冷却材を循環させる自然循環型沸騰水型の原子炉と、
前記原子炉から出力される主蒸気により駆動されるタービンと、
前記主蒸気を復水する復水手段と、
前記復水手段により復水された冷却材を、前記原子炉に送る給水ポンプと、
前記主蒸気流量を計測する主蒸気流量計測手段と、
前記原子炉への給水流量を計測する給水流量計測手段と、
前記原子炉内の水位計測手段と、
前記主蒸気流量計測手段で計測された主蒸気流量と、前記給水流量計測手段で計測された原子炉への給水流量と、前記水位計測手段で検出された原子炉内の水位計測信号と、原子炉の水位設定値との偏差を検出し、この検出した偏差と負荷要求偏差信号とから原子炉への給水流量制御信号を演算する水位制御手段を備え、
前記水位制御手段が出力する給水流量制御信号により前記給水ポンプの回転速度指令を作成することを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項7】
請求項6記載の原子力発電プラントにおいて、
前記原子炉の出力制御手段を備え、
前記水位制御手段は、前記原子炉の水位設定値に、前記出力制御手段が出力する原子炉の出力制御信号に対応した信号を加算した加算信号を得、前記主蒸気流量計測手段で計測された主蒸気流量と、前記給水流量計測手段で計測された原子炉への給水流量と、前記水位計測手段で検出された原子炉内の水位計測信号と、原子炉の水位設定値との偏差を検出し、この検出した偏差と負荷要求偏差信号とから原子炉への給水流量制御信号を演算することを特徴とする
原子力発電プラント。
【請求項8】
請求項6記載の原子力発電プラントにおいて、
前記原子炉の出力制御手段を備え、
前記水位制御手段は、前記給水流量制御信号に、前記出力制御手段の出力制御信号に対応した信号を加算する加算手段を備え、
前記加算手段の出力により前記給水ポンプの回転速度指令を作成することを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項9】
請求項6記載の原子力発電プラントにおいて、
前記原子炉内の水位計測手段として、それぞれ異なる検出レンジの第1の水位計測手段と第2の水位計測手段とを備え、
前記水位制御手段は、目的の水位制御範囲に応じて、前記複数の水位計測手段のいずれか一方の水位計測信号を使用することを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項10】
請求項6記載の原子力発電プラントにおいて、
前記水位制御手段による前記給水流量制御信号を使用した給水制御は、原子炉出力がほぼ定格状態で安定した運転時に行うことを特徴とする原子力発電プラント。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子炉、特に冷却材を自然循環によって循環させる自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御装置、及びその給水制御装置によって制御される原子力発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、沸騰水型原子炉は、その冷却材(冷却水)の循環方式によって強制循環型と自然循環型とに大別することができる。強制循環型沸騰水型原子炉(以下、強制循環型原子炉と記述する)は、ジェットポンプ又はインターナルポンプ等を備えており、このポンプを用いて強制的に炉心に冷却水を送り込むようになっている。
【0003】
一方、自然循環型沸騰水型原子炉(以下、自然循環型原子炉と記述する)は、上記強制循環型原子炉のように強制的に冷却水を循環させるポンプを備えておらず、炉心を取り囲む原子炉シュラウドの外側の冷却水と原子炉シュラウド内側の水と蒸気が混在する気液混合流との密度差(水頭差)に基づく自然循環力によって冷却水が循環されるようになっている。
【0004】
このように、自然循環型原子炉においては、自然循環力により冷却水を循環するので、ポンプにより強制的に冷却水を循環させる強制循環型原子炉と同等の炉心内の冷却水流量を得ることが難しく、この結果、強制循環型原子炉と比べて炉心出力密度は小さくなる傾向にある。
【0005】
このため、炉心内の冷却水流量を増やして炉心出力密度を大きくするために、シュラウドを上方に延長し、炉心上方に沸騰水が充満するチムニと呼ぶ空間を設けることにより、シュラウド内外の密度差を増大させて、炉心内の冷却水流量を増大させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−130982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自然循環型原子炉の場合には、強制的に炉心を循環させる再循環ポンプがないため、炉内の炉心流量はダウンカマ部の原子炉水位レベル(静水頭)に依存したものとなる。炉内の炉心流量が増えると炉内に反応度が投入され、原子炉出力が増加することとなるため、自然循環炉では原子炉水位レベルの制御が重要である。
【0008】
しかしながら、従来の強制循環炉における給水制御装置では、原子炉水位レベルを一定にする制御方式が基本であり、原子炉の出力制御と原子炉水位とを対応して制御することは、従来全く行われていない。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、原子炉水位の制御を積極的に利用して、自然循環型原子炉の制御が良好にできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、自然循環型沸騰水型原子炉の給水制御を行う場合に、原子炉から出力される主蒸気流量と、原子炉への給水流量と、原子炉内の水位計測信号と、原子炉の水位設定値との偏差を検出し、この検出した偏差と負荷要求偏差信号とから原子炉への給水流量制御信号を演算し、その演算された給水流量制御信号により原子炉への給水ポンプの回転速度指令を作成するようにしたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、計測した各値と原子炉の水位設定値との偏差と、負荷要求偏差信号とに基づいて、自然循環型沸騰水型原子炉への給水を行う給水ポンプの給水流量を制御することで、自然循環型沸騰水型原子炉に特有の出力変動のゆらぎを、給水流量の制御で抑えることが可能になり、結果的に原子炉出力の制御を安定化することに貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図9を参照して説明する。
【0013】
図1は、本例の自然循環型の沸騰水型軽水炉(以下、BWRと略す)及びその制御系統を備えた原子力発電プラントの全体構成を示す模式図である。
【0014】
本実施の形態に係る原子力発電プラントは、図1に示すように、自然循環型BWR1と、これに連結されたタービン系2とを備えている。自然循環型BWR1は、複数の燃料棒を整列させた燃料棒集合体4と、燃料棒集合体4の間隙に挿入または抜き出されて炉心の反応度を制御する制御棒5を配置した炉心6を内包する原子炉圧力容器7を有している。原子炉圧力容器7の下部には、図示しないが、炉心6内で制御棒5を上下方向に挿抜可能に駆動する制御棒駆動機構が設けられている。制御棒は原子炉出力、すなわち炉心出力を調整するものであり、制御棒制御装置36により制御される。
【0015】
原子炉圧力容器7内には、炉心6を囲むようにして円筒状のシュラウド8が配設されている。シュラウド8の内側には、冷却材が上昇するための上昇流路が形成され、またシュラウド8と原子炉圧力容器7との間隙には、冷却材が下降するための下降流路であるダウンカマ13が形成されている。炉心上部には自然循環流量を増加させるための機器であるチムニ9が設置されており、さらにチムニ9の上方には、気水分離器11及び蒸気乾燥器12が設けられている。
【0016】
タービン系2では、原子炉圧力容器7に接続された主蒸気管14と冷却材を供給する給水管15を有する。主蒸気管14には原子炉、すなわち原子炉圧力容器7内で発生する蒸気が供給される。この主蒸気管14は、これに繋がる蒸気加減弁16を介して高圧タービン17に接続され、さらに湿分分離器または湿分分離加熱器18を介して低圧タービン19に接続される。各タービン17,19には、発電機20が接続してある。蒸気加減弁16は、主蒸気管14から高圧タービン17に流入する蒸気量を調整する調整弁である。主蒸気管14内の蒸気の流量は、主蒸気流量検出器33で検出されて、その検出信号である原子炉蒸気流量信号S4が、後述する給水制御装置40に供給される。
【0017】
低圧タービン19の出口には、低圧タービン19から排出された蒸気を凝集する復水器21が設置され、復水器21の下流側には低圧給水加熱器22、給水ポンプ23及び高圧給水加熱器24が設置されている。この高圧給水加熱器24の出口に給水管15が接続され、原子炉圧力容器7に供給される。給水管15内の冷却水(冷却材)の流量は、給水流量検出器34で検出されて、その検出信号である原子炉給水流量信号S3が、後述する給水制御装置40に供給される。
【0018】
復水器21の下流側、すなわち復水器21から原子炉圧力容器7に至る給水管15の途上には、順次、復水器21から供給された給水を加熱する低圧給水加熱器22と、給水を加圧して原子炉圧力容器7に供給する給水ポンプ23と、給水を加熱する高圧給水加熱器24が配置されている。給水ポンプ23は、後述するポンプ駆動装置38により給水量に対応した給水ポンプの回転速度が制御される。ポンプ駆動装置38には、給水制御装置40から、ポンプ回転速度指令S7が供給されて、回転速度を制御する。
【0019】
自然循環型BWR1では、炉心6で加熱され一部が沸騰して蒸気となった気液二相の冷却材がチムニ9を上昇流で流れ、気水分離器11及び蒸気乾燥器12で気水に分離される。分離されたうちの、気相の蒸気は主蒸気管14に送られ、液相の高温水は再循環水とる。再循環水と、炉心6及びチムニ9を流れる上昇流の冷却材とは、シュラウド8で分離され、互いに混ざり合うことはない。再循環水は下降流として流れ、途中で給水管15の給水ノズル25から供給される給水と混合して、下部プレナム28を通った後に炉心6の下部から供給される。
【0020】
原子炉圧力容器7内では、チムニ9内を流れる気液二相の上昇流体の体積密度が液単相より小さく、チムニ9外の下降流体(冷却材)の体積密度が高いことにより、この密度差により、冷却材は自然循環される。
【0021】
一方、原子炉圧力容器7から主蒸気管14に送られた蒸気は、蒸気加減弁16を通じて高圧タービン17に導かれ、さらに湿分分離器または湿分分離加熱器18を介して低圧タービン19に導かれ、タービン17,19に接続された発電機20を回転させて発電する。
【0022】
低圧タービン19を回転させた蒸気は、復水器21に導入され、凝縮される。この復水器21で凝縮した冷却水(復水)は、給水ポンプ23により給水管15から原子炉圧力容器7内へ還流される。復水器21からの冷却水(復水)は、給水管15の途中で低圧給水加熱器22及び高圧給水加熱器23により冷却水を適当な温度まで昇温される。
【0023】
原子炉圧力容器7内には、2つの原子炉水位検出器31,32が取付けてあり、炉内の水位を検出する。それぞれの水位検出器31,32は、水位を検出する検出レンジが異なるレンジに設定してあり、本例の給水制御のためには、目的とする水位制御範囲に応じて、いずれか一方の検出出力が使用される。水位検出器31は、第1の原子炉水位検出信号S2を出力し、給水制御装置40に供給する。水位検出器32は、第2の原子炉水位検出信号S8を出力し、給水制御装置40に供給する。
【0024】
また、原子炉圧力容器7内の圧力を検出する圧力センサ35を備え、その圧力センサ35が出力する原子炉圧力信号S1を出力制御装置37に供給する。出力制御装置37は、供給される原子炉圧力信号S1により、出力要求信号S5と負荷要求偏差信号S9を出力し、制御棒制御装置36に出力要求信号S5に供給し、給水制御装置40に出力要求信号S5と負荷要求偏差信号S9を供給する。
【0025】
制御棒制御装置36では、出力要求信号S5に対応して、制御棒駆動指令S6を制御棒5の駆動系に供給する。給水制御装置40では、水位検出信号S2又はS8と、原子炉給水流量信号S3と、原子炉蒸気流量信号S4と、出力要求信号S5と、負荷要求偏差信号S9とに基づいて、ポンプ回転速度指令S7を生成させて、ポンプ駆動装置38に供給する。
【0026】
図2は、図1に示した給水制御装置40の構成例を示した図である。給水制御装置40は、原子炉水位設定器41を備え、その原子炉水位設定器41が炉内の水位設定信号を出力し、加算器42に供給する。また、出力制御装置37からの出力要求信号S5を、信号変換器43に供給して必要とする特性の出力要求信号とし、その変換された出力要求信号を、加算器42に供給して、水位設定信号と加算する。加算器43の加算出力は、減算器44に供給する。
【0027】
給水制御装置40に供給される第1の原子炉水位検出信号S2と第2の原子炉水位検出信号S8は、切替スイッチ45に供給して、いずれか一方の水位検出信号a1を選択的に減算器44に供給する。切替スイッチ45の切替えは、水位信号切換信号a4により制御される。原子炉給水流量信号S3と原子炉蒸気流量信号S4は、減算器46に供給して、蒸気流量と給水流量との差分を検出し、その差分の検出信号を係数乗算器47に供給して係数乗算された値とし、その係数乗算された差分の検出信号を減算器44に供給する。
【0028】
減算器44では、加算器42の出力から、切替スイッチ45が出力する水位検出信号a1と、係数乗算器47の出力とを減算し、減算出力を得る。減算器44の減算出力は、減算器50に供給する。また、負荷要求偏差信号S9を信号変換器48に供給し、負荷要求偏差信号S9の特性を変換し、その変換された負荷要求偏差信号を積分器49に供給して積分させ、積分信号を減算器50に供給する。
【0029】
減算器50では、積分器49が出力する負荷要求偏差信号の積分信号から、減算器44の出力を減算し、その減算信号である原子炉水位偏差信号a2を主水位制御器51に供給する。主水位制御器51では、供給される原子炉水位偏差信号a2に基づいて、主水位制御器出力信号a3を出力し、その主水位制御器出力信号a3を、給水制御装置40の出力信号であるポンプ回転速度指令S7として、ポンプ駆動装置38(図1)に供給する。
【0030】
図3は、図1に示した出力制御装置37の構成例を示した図である。出力制御装置37は、原子炉圧力設定器61を備え、圧力センサ35からの原子炉圧力信号S1と、原子炉圧力設定器61の設定出力信号との差分を、減算器62で得る。得られた差分の信号は、係数乗算器63に供給して、所定の特性の差分信号とし、全蒸気流量要求信号b1を得る。
【0031】
得られた全蒸気流量要求信号b1は、減算器64に供給し、原子炉出力設定器65の出力との差分をとり、得られた差分の信号を、負荷要求偏差信号S9とする。また、原子炉出力設定器65の出力を、そのまま出力要求信号S5として出力する。
【0032】
なお、図2に示した給水制御装置40での原子炉の給水流量制御は、基本的に本例の場合には、原子炉の出力が定格状態で安定した状態で行われる。
【0033】
次に、本例の構成にて、給水制御装置40で原子炉への給水制御が行われる状態について説明する。
まず図4は、出力要求信号S5の変化により水位設定を行って、制御する場合の例を示したものである。この例では、原子炉の出力変更指示があった場合の例で、特に図4では出力を増加させる指示があった場合の例である。出力を増加させる指示があることで、図2の信号変換器43に供給される出力要求信号S5が高くなり、図4(a)に示すように、その指示があったタイミングT0で、給水制御装置40での原子炉水位設定値(加算器42の出力)が、その出力増加量に対応した値Δlだけ高くなる。このように高くなると、図4(b)に示すように、原子炉水位が比較的迅速に上昇する。給水流量についても、図4(c)に示すように、原子炉出力が徐々に増加するのに伴い、徐々に増加する。そして、原子炉出力である主蒸気流量についても図4(d)に示すように増加し、出力が徐々に増加していることが判る。
【0034】
この図4に示す制御状態をフローチャートに示したのが図5である。図5のフローチャートについて説明すると、まず、原子炉出力がある程度以上となって、ある程度の範囲内の出力が維持された定格運転状態となっているか否か判断される(ステップS101)。ここで、定格運転状態と判断されて、本例の制御が可能になり、この例では出力増加指示があるか否か判断される(ステップS102)。出力増加指示があると、給水制御装置40では原子炉設定水位の変更処理が行われ(ステップS103)、それに従って給水水量が増加し(ステップS104)、最終的に図4(d)に示すように原子炉出力が徐々に増加する。なお、図4、図5の例は、出力を増加させる場合の例であるが、出力を減少させる制御を、逆の処理で行うようにしてもよい。
【0035】
次に、原子炉出力に変動があった場合に、その変動を抑える処理を給水水量の制御で行う場合の例を、図6を参照して説明する。この例では図6(d)に示すように、定格運転状態で何らかの要因で、一時的に原子炉出力が低下したとする。このような場合には、図6(a)に示すように、原子炉出力の低下に伴って原子炉水位設定値が徐々に高くなり、図6(b)に示すように、原子炉水位も上昇する。給水流量については、図6(c)に示すように一時的に低下する。出力制御装置37が出力する負荷要求偏差信号S9については、図6(e)に示すように、原子炉出力の低下に伴って増加する。
【0036】
このような制御が行われて、図6(a)に示す水位が上昇することで、原子炉出力の低下が抑えられ、徐々に元の出力に復帰していく。出力が復帰した段階では、給水流量が元に戻ると共に、負荷要求偏差信号S9についても徐々に元の値に復帰していく。
【0037】
この図6に示す制御状態をフローチャートに示したのが図7である。図7のフローチャートについて説明すると、まず、原子炉出力がある程度以上となって、ある程度の範囲内の出力が維持された定格運転状態となっているか否か判断される(ステップS201)。ここで、定格運転状態と判断された後に、原子炉出力が低下したか否か判断され(ステップS202)、低下したと判断された場合、その低下に対応した値だけ、原子炉の設定水位を変更(上昇)させる(ステップS203)。そして、出力の低下に対応した図6(c)に示す給水流量の調整が行われ(ステップS204)、結果的に原子炉出力が元の状態に戻るように調整される(ステップS205)。なお、図6、図7の例は、出力が一時的に減少した場合の制御例であるが、出力が一時的に増加した場合の制御を、逆の処理で行うようにしてもよい。
【0038】
次に、原子炉に取付けられた2つの原子炉水位検出器31,32の切替処理例を、図8を参照して説明する。2つの原子炉水位検出器31,32の内で、原子炉水位検出器31については通常時に使用され、原子炉水位検出器32については、ATWS(Anticipated Trangent Without Scram:スクラム失敗)時に使用される。図8(a)に示すように、通常状態では設定水位レンジHとなり、ATWS時には設定水位レンジLとなる。設定水位レンジH時には、検出レンジが高い範囲の水位検出器31が使用され、設定水位レンジL時には、検出レンジが低い範囲の水位検出器32が使用される。この水位検出器31,32の切替えは、切替スイッチ45(図2)により行われる。
【0039】
図8(a)に示すように、タイミングT1でATWS状態となって、設定水位レンジLとなると、原子炉水位は図8(b)に示すように比較的大きく低下し、給水水量についても図8(c)に示すように低下して、最終的に原子炉出力である主蒸気流量(図8(d))が低下し、原子炉を安全な状態に維持できるようになる。
【0040】
この図8に示す制御状態をフローチャートに示したのが図9である。図9のフローチャートについて説明すると、まず、ATWS状態であるか否か判断される(ステップS301)。ATWS状態となったことが判断されると、設定水位を低下させ(ステップS302)、水位検出器を通常用の水位検出器31から水位検出器32に切替えられる(ステップS303)。このようにして設定水位を比較的大きく低下させる制御が行われることで、図8に示すように炉内の水位、給水水量、主蒸気流量のいずれもが低下して、結果的に原子炉出力が低下する(ステップS305)。
【0041】
以上説明したように、本例の構成によると、給水制御に基づいて原子炉出力の制御が可能になり、安定して運転している状態での出力の上昇や下降の制御や、安定運転状態中の出力変動の抑制制御ができる。また、ATWS時の出力低下制御も行える。
【0042】
なお、図2に示した給水制御装置40としては、原子炉水位設定器41の出力に、出力要求信号S5を加算するようにしたが、主水位制御器51の出力に、出力要求信号S5を加算するようにしてもよい。即ち、例えば図10に示すように、給水制御装置40′として、原子炉水位設定器41の出力は、そのまま減算器44に供給して、他の信号との差分をとるようにする。そして、給水制御装置40′に入力した出力要求信号S5は、信号変換器52で信号特性を変換した後、加算器53に供給し、主水位制御器51の出力信号a3と、信号変換器52の出力とを加算して、その加算信号をポンプ回転速度指令S7とする。その他の部分は、図2に示した給水制御装置40と同様に構成する。
【0043】
この図10に示す制御構成とした場合の制御例を示したのが、図11である。この例では、図11(a)に示すように、原子炉水位設定値をタイミングT2で高くした場合の例である。このように原子炉水位設定値をタイミングT2で高くすることで、図11(b)に示すように原子炉水位が上昇し、図11(c)に示すように給水流量についても増加し、結果的に図11(d)に示すように原子炉出力である主蒸気流量が増加する。原子炉水位設定値を低くすることで、逆に原子炉出力を低下させる制御も可能である。この図10、図11例の場合にも、上述した実施の形態の場合と同様の制御が可能である。
【0044】
なお、ここまで示した図2、図3や図10の制御装置構成については、入力信号の加算などを行うハードウェア構成としたが、例えばコンピュータ装置などのデータ処理演算装置に同様の信号を入力させて、その装置内での演算処理やテーブルの参照などのソフトウェア処理で、同様の制御データを出力させる制御を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態による原子力発電プラント及びその制御系統の例を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態による給水制御装置の例を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施の形態による出力制御装置の例を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態による水位制御例を示すタイミング図である。
【図5】図4例の制御処理状態を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態による水位制御例を示すタイミング図である。
【図7】図6例の制御処理状態を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態による水位制御例を示すタイミング図である
【図9】図8例の制御処理状態を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施の形態による給水制御装置の例を示す構成図である。
【図11】本発明の他の実施の形態による水位制御例を示すタイミング図である。
【符号の説明】
【0046】
1…自然循環型BWR、2…タービン系、4…燃料棒集合体、5…制御棒、6…炉心、7…原子炉圧力容器、8…シュラウド、9…チムニ、11…気水分離器、12…蒸気乾燥器、13…ダウンカマ、14…主蒸気管、15…給水管、16…蒸気加減弁、17…高圧タービン、18…湿分分離加熱器、19…低圧タービン、20…発電機、21…復水器、22…低圧給水加熱器、23…給水ポンプ、24…高圧給水加熱器、31,32…原子炉水位検出器、33…主蒸気流量検出器、34…給水流量検出器、35…圧力センサ、36…制御棒制御装置、37…出力制御装置、38…ポンプ駆動装置、40,40′…給水制御装置、41…原子炉水位設定器、42…加算器、43…信号変換器、44…減算器、45…切替スイッチ、46…減算器、47…係数乗算器、48…信号変換器、49…積分器、50…減算器、51…主水位制御器、61…原子炉圧力設定器、62…減算器、63…係数乗算器、64…減算器、65…原子炉出力設定器、S1…原子炉圧力信号、S2…第1の水位検出信号、S3…原子炉給水流量信号、S4…原子炉蒸気流量信号、S5…出力要求信号、S6…制御棒駆動指令、S7…ポンプ回転速度指令、S8…第2の水位検出信号、S9…負荷要求偏差信号




 

 


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