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発明の名称 原子炉監視装置及び出力制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−225511(P2007−225511A)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
出願番号 特願2006−48873(P2006−48873)
出願日 平成18年2月24日(2006.2.24)
代理人 【識別番号】100122884
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 芳末
発明者 石井 佳彦 / 池側 智彦 / 有田 節男 / 伏見 篤 / 長谷川 真
要約 課題
チムニ出口の温度と飽和温度を監視してチムニ出口で沸騰が開始するように原子炉出力を制御すること。

解決手段
チムニ上部に温度検出部を設けて流体温度を測定するとともに、チムニ上部に圧力検出部を配置して流体圧力を測定する。そして、この測定された流体圧力から飽和温度を計算で求め、この飽和温度と現在のチムニ上部の温度からサブクール温度を計算する。このサブクール温度は、予め設定されている安全性限界のサブクール温度とともに表示装置の同一画面上に表示される。このように、流体温度から求めたサブクール温度と予め設定された安全性の限界のサブクール温度が同時に同じ画面に表示されるので、運転員はこれを見ながらリアルタイムで安全運転の確認しつつ原子炉起動時の出力制御を安定に行うことができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器の内部に配置したチムニの内側に冷却材の上昇流路を形成するとともに、該チムニの外側に冷却材の下降流路とを形成した自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉監視装置において、
前記チムニ上部に配置された温度検出部によりチムニ上部の流体温度を測定する温度測定手段と、
前記チムニ上部に配置された圧力検出部により流体圧力を測定する圧力測定手段と、
前記温度測定手段で測定した流体温度に関係する温度と、前記圧力測定手段で測定した流体圧力に基づいて計算される飽和温度に関連して設定される温度とを同一画面上に表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉監視装置。
【請求項2】
前記温度測定手段で測定した流体温度に関係する温度とは、前記流体温度とその飽和温度の差演算で求められるサブクール温度であり、
前記圧力測定手段で測定した流体圧力に基づいて計算される飽和温度に関連して設定される温度とは、予め設定されている安定性境界サブクール温度である
ことを特徴とする請求項1に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉監視装置。
【請求項3】
前記温度測定手段で測定した流体温度に関係する温度とは、前記測定したチムニ温度であり、
前記圧力測定手段で測定した流体圧力に基づいて計算される飽和温度に関連して設定される温度は、予め設定されている安定性境界温度である
ことを特徴とする請求項1に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉監視装置。
【請求項4】
原子炉圧力容器の内部に配置したチムニの内側に冷却材の上昇流路を形成するとともに、該チムニの外側に冷却材の下降流路とを形成した自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉監視装置において、
前記チムニ下部に配置された温度検出部によりチムニの流体温度を測定する温度測定手段と、
前記チムニ上部とチムニ下部に配置された圧力検出部により流体圧力を測定する圧力測定手段と、
前記温度測定手段で測定した流体温度に関係する温度と、前記圧力測定手段で測定した流体圧力に基づいて計算される飽和温度に関連して設定される温度とを同一画面上に表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉監視装置。
【請求項5】
前記温度測定手段で測定した流体温度に関係する温度とは、前記流体温度とその飽和温度の差演算で求められるサブクール温度であり、
前記圧力測定手段で測定した流体圧力に基づいて計算される飽和温度に関連して設定される温度とは、予め設定されている安定性境界サブクール温度である
ことを特徴とする請求項4に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉監視装置。
【請求項6】
前記温度測定手段で測定した流体温度に関係する温度とは、前記測定したチムニ温度であり、
前記圧力測定手段で測定した流体圧力に基づいて計算される飽和温度に関連して設定される温度は、予め設定されている安定性境界温度である
ことを特徴とする請求項4に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉監視装置。
【請求項7】
前記チムニ上部とチムニ下部に配置された圧力検出部で測定された圧力差から前記チムニの任意の位置の圧力を推定し、該推定した圧力からチムニの任意の位置の飽和温度を、圧力と飽和温度との関係を示した計算式、または圧力と飽和温度の関係を示した蒸気表により求めて前記表示手段に表示する
ことを特徴とする請求項4に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉監視装置。
【請求項8】
原子炉圧力容器の内部に炉心を取り囲むように配置したチムニの内側に冷却材の上昇流路を形成するとともに、該チムニの外側に冷却材の下降流路とを形成した自然循環型沸騰水型原子炉の出力制御装置において、
前記チムニ上部配置された温度検出部によりチムニの流体温度を測定する温度測定手段と、
前記チムニ上部に配置された圧力検出部により流体圧力を測定する圧力測定手段と、
前記炉心に挿抜する制御棒の挿抜操作量を制御する出力制御手段と、を備え、
前記出力制御手段は、
前記圧力測定手段で測定した流体圧力に基づいて飽和温度を計算する飽和温度計算部と、
前記飽和温度演算部で求めた飽和温度と前記温度測定部で測定した前記チムニ上部の流体温度との差演算により前記チムニ上部のサブクール温度を計算するサブクール温度計算部と、
前記予め設定される目標サブクール温度を計算する目標サブクール温度計算部と、
前記サブクール温度と予め設定されている目標のサブクール温度とを比較結果に基づいて前記炉心に挿抜する制御棒の挿抜操作量とその操作タイミングを決定する制御信号を出力する制御棒操作及びタイミング計算部と、
から構成されることを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉の出力制御装置。
【請求項9】
前記温度検出部はチムニ下部に配置され、前記圧力検出部は、チムニ上部とチムニ下部の2箇所に配置され、該チムニ上部とチムニ下部の圧力差からチムニの任意の位置の圧力を推定して該推定圧力からチムニの任意の位置の飽和温度を、圧力と飽和温度との関係を示した計算式または圧力と飽和温度の関係を示した蒸気表から目標サブクール温度を求めることを特徴とする請求項8に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の出力制御装置。
【請求項10】
前記目標サブクール温度は、前記圧力測定部で測定された圧力から計算される飽和温度と炉心性能計算装置で評価された炉心流量の関数として設定されていることを特徴とする請求項8記載の自然循環型沸騰水型原子炉の出力制御装置。
【請求項11】
前記目標サブクール温度は、予め設定した値を入力装置から入力されることを特徴とする請求項8記載の自然循環型沸騰水型原子炉の出力制御装置。
【請求項12】
前記制御棒の操作は、前記チムニ温度が予め安定性が良いと評価した流体温度以下になるように操作されることを特徴とする請求項8記載の自然循環型沸騰水型原子炉の出力制御装置。
【請求項13】
前記予め安定性が良いと評価された流体温度は、圧力の関数として設定されていることを特徴とする請求項12に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の出力制御装置。
【請求項14】
前記予め安定性が良いと評価された流体温度は、圧力と炉心性能計算装置で評価した炉心流量との関数として設定されていることを特徴とする請求項12に記載の自然循環型沸騰水型原子炉の出力制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に冷却材を自然循環によって循環させる自然循環型沸騰水型原子炉の監視装置及びその出力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自然循環型沸騰水型原子炉(以下、簡単に「自然循環型原子炉」と呼ぶ。)では、炉心を取り囲むシュラウドの上部にチムニが設置されている。炉心やチムニ内部は冷却水と水蒸気(泡:ボイドともいう。) の混合流(二相流)が上昇し、シュラウド外側と圧力容器壁で囲まれたダウンカマとよぶ環状流路には、給水管から原子炉内に戻された冷却水とチムニから流出した冷却水が混合して下降流として流れ、シュラウド内外を冷却水が循環している。自然循環型原子炉は、再循環ポンプなどの強制循環装置をもたず、シュラウド内の二相流密度とシュラウド外冷却水密度の密度差が前記循環流を引き起こす源になっている。
【0003】
自然循環型沸騰水型原子炉を起動する場合は、低圧状態から制御棒を引き抜いて臨界にし、その後出力を定格熱出力の数%に制御して昇温昇圧し、定格圧力にする。その後圧力を一定に制御しながら制御棒をさらに引き抜き、高圧低出力状態から高圧高出力状態に変化させる。低圧状態から高圧低出力状態に移行する昇温昇圧過程を含む起動初期には、自然循環型不安定と呼ばれる不安定現象が発生する可能性があることが知られている。
【0004】
この状態における不安定現象の原理を説明する。何らかの原因でチムニ内の沸騰開始位置が下がり水蒸気が増える(ボイド率が高くなる)と、チムニ内混合流の密度が軽くなるので、シュラウド内側と外側の密度差が大きくなり、シュラウド内へ流れ込む冷却水量が増大する。すると、炉心が冷えて、炉心出口での冷却水温度が下がり、チムニ内の沸騰開始位置が上がり水蒸気発生量が減少してボイド率が減少する。この結果、今度はシュラウドの内側と外側の密度差が小さくなり、シュラウド内へ流れ込む冷却水量が少なくなる。
【0005】
冷却水の流入量が少なくなると、今度は炉心でより高温に加熱され、チムニ内の沸騰開始位置が下がりボイド率が上昇してシュラウド内外の密度差が大きくなり、シュラウド内へ流れ込む冷却水量が増大する。低圧時は高圧時に比べて水蒸気と水の密度差が大きく、例えば1気圧では水と蒸気の密度比は約1000:1であるのに対し、70気圧での密度比は約20:1である。その結果、低圧では、チムニ内ボイド率変化に起因する自然循環力の変化が大きくなり、この現象が自然循環型不安定と呼ばれている。このように、自然循環型原子炉においては、起動時に、チムニ内での沸騰開始位置が上下に振動して炉心流量が振動する流動不安定が発生する可能性がある。
【0006】
また、起動初期は原子炉出力が小さく、高出力時に比べて自然循環流量絶対値が小さいので、相対的に流動変動の振幅が大きくなる。起動初期は原子炉出力が小さいため流動不安定が発生しても燃料の健全性に問題はないが、流動変動により炉心の冷却水温度が変動して核的な反応度が変化し、中性子束の急上昇を示す原子炉ペリオド短信号が発生して制御棒引き抜き操作ができなくなる恐れがある。
【0007】
この流動不安定を防ぐための方法として、例えば、特許文献1には定期点検時用ボイラの熱を利用して炉水温度を上昇・昇圧し、不安定の発生しにくい高圧状態に移行させてから出力を増加させる技術が公開されている。また、特許文献2には、加圧装置を備え、不安定の発生しにくい高圧状態で自然循環炉を起動する方法が公開されている。いずれも流動不安定の発生しにくい高圧状態にしてから出力を増加させる技術であるが、前者は短時間で起動するためには大容量のボイラ設備が必要であり、後者は起動用の加圧装置を特別に備える必要があり、建設費が上昇する。
【0008】
さらに、特許文献3には、炉心上部とチムニ下部に圧力計と温度計を設置し、圧力から炉心上部とチムニ下部の飽和温度を計算して、炉心出口が飽和でチムニ下部がサブクール状態のときに、圧力を低下するか原子炉出力を増加させて、チムニ内をすべて飽和状態にして安定性を改善する技術が公開されている。これは、低圧においても炉心とチムニ内がすべて二相流状態であれば流動安定性が改善するという知見にもとづいているが、炉心とチムニ全体を飽和状態にするほど高い出力で起動することは現実的な起動を考えると起動初期には実現しにくい。また、昇圧途中で原子炉圧力を減少させることは起動時間の増加になる。
【0009】
【特許文献1】特開昭59−143997号公報
【特許文献2】特開平5−72387号公報
【特許文献3】特開平8−94793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、自然循環型原子炉の起動初期には、原子炉内の圧力は低圧、かつ原子炉出力は低出力となるので、自然循環力が弱くなる。そして、チムニの途中で飽和温度が低下して沸騰が始まるため、自然循環型不安定の流動変動が発生しやすく、その結果原子炉出力が変動するという問題が生じる。
【0011】
本発明は、上述の問題点を解決するためのものであり、チムニ出口の温度とチムニ出口圧力に対応する飽和温度を監視してチムニ出口で沸騰が開始するように原子炉出力を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し本発明の目的を達成するため、本発明の自然循環型原子炉の原子炉監視装置では、チムニ上部に配置された温度検出部によりチムニ上部の流体温度を測定する温度測定手段と、チムニ上部に配置された圧力検出部により流体圧力を測定する圧力測定手段と、温度測定手段で測定した流体温度に関係する温度と、圧力測定手段で測定した流体圧力に基づいて計算される飽和温度に関連して設定される温度とを同一画面上に表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
ここで、上記表示手段で表示される温度は、流体温度とその飽和温度の差演算で求められるサブクール温度または流体温度それ自体であり、圧力測定手段で測定した流体圧力に基づいて計算される飽和温度に関連して設定される温度は、予め設定されている安定性境界サブクール温度または安定性境界温度である。
【0013】
また、本発明の自然循環型原子炉の原子炉監視装置は、チムニ下部に配置された温度検出部によりチムニの流体温度を測定する温度測定手段と、チムニ上部とチムニ下部に配置された圧力検出部により流体圧力を測定する圧力測定手段と、温度測定手段で測定した流体温度に関係する温度と、前記圧力測定手段で測定した流体圧力に基づいて計算される飽和温度に関連して設定される温度とを同一画面上に表示する表示手段とを備えている。
そして、流体温度とその飽和温度の差演算で求められるサブクール温度と安定性境界サブクール温度を同一画面上に表示するか、流体温度自体と安定性境界の温度とを同一画面上に表示するようにしている。
【0014】
このように、本発明の原子炉監視装置においては、流体温度から求めたサブクール温度と予め設定された安定性限界のサブクール温度が同時に同じ画面に表示されるので運転員はリアルタイムで安定な運転の確認を行うことができる。
【0015】
また、本発明の自然循環型原子炉の出力制御装置においては、チムニ上部の流体温度を測定するとともに、チムニ上部の流体圧力を測定し、これらの測定結果に基づいて炉心に挿抜する制御棒の挿抜操作量を制御するものであり、この出力制御装置は、圧力測定部で測定した流体圧力に基づいて飽和温度を計算する飽和温度計算部と、飽和温度計算部で求めた飽和温度と温度測定部で測定したチムニ上部の流体温度との差演算によりチムニ上部のサブクール温度を計算するサブクール温度計算部と、予め設定される目標サブクール温度を計算する目標サブクール温度計算部と、サブクール温度と予め設定されている目標のサブクール温度との比較結果に基づいて炉心に挿抜する制御棒の挿抜操作量とその操作タイミングを決定する制御信号を出力する制御棒操作及びタイミング計算部とから構成されている。
また、本発明の好ましい形態としては、圧力検出部をチムニ上部とチムニ下部の2箇所に配置し、温度検出部をチムニ下部に配置して、このチムニ上部とチムニ下部の圧力差からチムニの任意の位置の圧力と飽和温度を推定してこの飽和温度から目標サブクール温度を計算で求めることを可能としている。
【0016】
本発明の出力制御装置によれば、チムニ出口の温度と飽和温度を監視することにより、チムニ出口付近で沸騰が開始するように起動時の原子力出力を制御することができる。また、圧力が高くなるとチムニ内で沸騰が開始しても流動が比較的安定になるので、チムニ上部(出口)の温度とチムニ下部(入口)の飽和温度とチムニ下部(入口)の冷却水温度を監視することにより、起動時の原子力出力を安定に制御することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、原子炉のチムニ内部の温度と圧力の二つのパラメータを測定するだけで、原子炉内の流動変動を回避することができ、また、原子炉の運転員が常に表示装置の表示画面を見ながら起動時の温度上昇状態を監視することができるので短時間でかつ安全に原子炉を起動することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る自然循環型原子炉の出力制御装置及び原子炉監視装置の実施の形態例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る自然循環型沸騰水型原子炉に本発明の出力制御装置を適用した原子炉システムの全体構成図である。
【0019】
図1に示すように、自然循環型原子炉システムが有する原子炉は、複数の燃料棒を整列させた燃料集合体2と、燃料集合体2の間隙に挿入される制御棒3を配置した炉心4を有している。
また、原子炉圧力容器6の下部には、炉心4内で制御棒3を上下方向に挿抜可能に駆動する制御棒駆動装置8が設けられている。そして、原子炉圧力容器6には、主蒸気管12と給水管13が接続されており、原子炉圧力容器6の内部には炉心4を囲むようにして円筒状のシュラウド5が配設されている。このシュラウドの内側には、冷却材が図に示した矢印方向に上昇するための上昇流路が形成され、また、シュラウド5と原子炉圧力容器6との間隙には、冷却材が下降するための下降流路であるダウンカマ7が形成されている。また、シュラウド5の上部には、円筒状のチムニ9が配設され、さらに、チムニ9の上方には、気水分離器(セパレータ)10と蒸気乾燥機(ドライヤ)11が設けられている。
【0020】
この原子炉圧力容器6内のチムニ9の内側は、炉心4で沸騰した気液二相の冷却材が通過するが、この気液二相冷却材とダウンカマ7内を通過する液単相の冷却材との密度差によって、冷却材がダウンカマ7を下降した後に炉心4側に周り、炉心4を通過してチムニ9内を上昇する循環流路が形成される。そしてチムニ9内を上昇した冷却水と水蒸気の混合流が気水分離器10を通過すると、この気水分離器10で蒸気が分離される。気水分離器10で分離された単相の冷却水は、再びダウンカマ7を下降して原子炉圧力容器6の下部を通ってシュラウド5内の炉心4に送り込まれる。
【0021】
また、気水分離器10で分離された蒸気は、さらに蒸気乾燥器11で微少な水滴が除去されて、主蒸気管12を介してタービン18に供給される。この蒸気の流れの圧力でタービン18とこれに接続された発電機21が回転し、発電が行われる。
【0022】
タービン18を回転させた蒸気は復水器23に導入され、凝縮される。この復水器23で凝縮された冷却水(復水)は、給水ポンプ24により給水管13から原子炉圧力容器6内へ還流される。また、この給水管13には流量調整弁25が設けられており、この流量調整弁25によって原子炉圧力容器6内へ還流する冷却水流量を調整することで、原子炉圧力容器6内の原子炉水位を制御できる。さらに、給水管13には給水加熱器26が設けられており、タービン18の途中段から抽気した蒸気が抽気ライン22を介して給水加熱器26に導かれ、給水加熱器26において、復水器23から供給された冷却水が適当な温度まで昇温されて原子炉圧力容器6内に注入される。
【0023】
また、主蒸気管12には、主蒸気隔離弁27及びタービン18に導入する蒸気量を調節するタービン蒸気流量加減弁28が設けられ、また、逃し管29及びバイパス管30が接続されている。タービン蒸気流量加減弁28を絞る際には、バイパス管30に設けられたタービンバイパス弁31を開き、蒸気の一部をタービン18に導入せずに、バイパス管30を介して直接復水器23に導入するようにしている。また、上記主蒸気隔離弁27を閉鎖する際には、上記逃し管29に設けられた安全弁32を開き、原子炉で発生した蒸気を格納容器内のサプレッションプール(図示せず)中に導いて蒸気を凝縮するようになっている。
【0024】
そして、本発明の実施の形態例においては、特に原子炉圧力容器6内のチムニ9の上部に気液混合流としての冷却材の流体温度と流体圧力を測定する圧力と温度の検出器33が設けられており、ここで検出された圧力と温度は圧力・温度測定装置34に供給される。この圧力・温度測定装置34では、後述するように圧力・温度検出器33で検出された圧力または温度に関係する電気信号が実際の圧力または温度の単位に変換されて、出力制御装置35に送られる。そして、この出力制御装置34では、安定な原子炉の運転を確保するために必要な出力となるように制御信号が発生されて、制御棒駆動制御装置36に供給され、制御棒駆動制御装置36が制御棒3を駆動する電動モータあるいは水圧ピストンなどからなる制御棒駆動装置8を制御する。
【0025】
以下、図2から図7に基づいて、本発明の第1の実施の形態例について詳細に説明する。図2は、図1に示した圧力・温度検出部33、圧力・温度検出部34、及び出力制御装置35をさらに詳細に示した図である。図1と共通する部分は同一符号を付しているが、図1の圧力・温度検出部33を、図2では温度検出部37と圧力検出部38に分けて示し、同様に図1の圧力・温度測定装置34を、図2では温度測定装置39と圧力測定装置40に分けて示している。なお、既に図1で説明した装置部分の機能については、説明を省略する。
【0026】
まず、図2の本発明の実施形態を説明する前に、図3に基づいて、自然循環型原子炉の冷却材の温度変化について概観しておく。
図3は、原子炉圧力容器6内の構造と起動初期における冷却水温度分布の一例を示したものである。蒸気ドーム11a内の圧力が例えば1気圧の場合、蒸気ドーム11aの水蒸気および水面近傍の冷却水温度は、飽和温度の約100℃になっている。ダウンカマ7を下降した冷却水(図3右b部分)は、給水管あるいは冷却材浄化系配管から流入する冷水と混合され、圧力容器6の下部プレナム6aに到達した時には、温度が低下(たとえば95℃に)している(図3右のc〜c’)。ダウンカマ7や下部プレナム6aは、静水頭により蒸気ドーム11aより圧力が高くなっており、蒸気ドーム11aより10m下の位置であれば、その位置の圧力は約2気圧になる。ここで静水頭とは、水の自重による圧力の増加であり、密度が1g/cmの水が貯まった10m下の位置では(密度)×(水の高さ)×(重力加速度)≒1気圧となり、水面より静水頭の1気圧分圧力が増加して2気圧になる。
【0027】
圧力が2気圧の飽和温度は、約120℃であり、95℃の冷却水のサブクール温度(飽和温度と冷却水温度の差)は25℃である。そして、下部プレナム6aから炉心4に流入した冷却水は炉心4で温められる(図3右のc〜d)。たとえば炉心4で110℃まで温められたとすると、炉心4の出口の飽和温度が110℃より高ければ炉心出口では沸騰は起こらない。その後、冷却水がチムニ9を上昇する(図3右のd〜e)につれて静水頭が減少すると圧力が低下して飽和温度が減少する。飽和温度が110℃の高さの位置まで110℃の冷却水が到達すると沸騰が始まり、冷却水から水蒸気が発生し混合流になる(図3右のe〜a)。この冷却水がチムニ9をさらに上昇すると、圧力の低下により飽和温度も低下するので冷却水温度は低下し(図3右のe〜a)、この熱量差が水蒸気の発生を促して冷却水の沸騰を助長する(図3右のa〜a’)。
【0028】
図3からわかるように、冷却水の温度は、原子炉圧力容器6内で大きく変化している。また、炉心の燃料集合体毎に発熱量に違いがあるので、シュラウド内炉心出口においては径方向に対して温度分布がある。一方、シュラウド内の圧力変化はほぼ圧力容器の高さ位置(冷却水の水面からの距離)で定まり、径方向に対しては圧力の差は少ない。
【0029】
次に、図2に基づいて本発明の実施形態例について詳細に説明する。本実施形態例によれば、チムニ9の上部に温度検出部37と圧力検出部38が設けられている。この温度検出部37と圧力検出部38の設置場所については特に制限はないが、定期的に燃料集合体2の入れ替え作業を行う際に、燃料集合体2をチムニ9上部に設けられる不図示の燃料交換機によって引き抜く必要があるので、その作業の際に障害とならない位置、例えばチムニの隔壁(図示せず)の上部あるいはそれに接触させた位置などに配置することが適当である。
【0030】
温度検出部37は例えば熱電対などで構成され、ここで測定された流体温度が電気信号として温度測定装置39に供給されて温度の単位(℃)の信号に変換される。また、圧力検出部38としては、例えばチムニ9の外周上部のダウンカマ7との隔壁に差圧導管の検出部を設け、チムニ絶対圧を、ダイアフラムを有する圧力計で計測することができる。圧力検出部38で検出されたチムニ内流体圧力も電気信号として圧力測定装置40に送られ、ここで圧力の単位(例えばMPa)に変換される。
【0031】
温度測定装置39からの温度信号41と圧力測定装置40からの圧力信号42は、出力制御装置35に供給され、ここで制御棒3の炉心4への挿抜を制御信号が制御棒駆動制御装置36に送られる制御信号が形成される。また、出力制御装置35で作成されるサブクール温度信号や目標とされる安定性限界のサブクール信号等の信号は表示装置43に供給され、表示装置43の画面上に表示される。原子炉の運転員はこの表示画面を見て原子炉の運転状態の安全を確認することができる。
【0032】
図4は、出力制御装置35の具体的なブロック構成図の一例を示したものである。
図4に示すように、出力制御装置35は、圧力測定装置40からの圧力信号42が供給される飽和温度計算部44と、この飽和温度計算部44で計算された飽和温度と温度測定装置39からの温度信号41が供給されるサブクール温度計算部45と、例えば点線で示されるように、圧力信号42が供給されてそれに応じて目標とされるサブクール温度を計算で求める目標サブクール温度計算部46と、サブクール温度計算部45からのサブクール温度と目標サブクール温度計算部46からの目標サブクール温度に基づいて制御棒の操作量及びその操作タイミングを計算で求める制御棒操作量・操作タイミング計算部47とから構成されている。
【0033】
次に、図4に示す出力制御装置35のそれぞれの構成部分の動作を説明する。まず、圧力信号42が供給される飽和温度計算部44は、その内部メモリに圧力に対応する飽和温度が示されている蒸気表(不図示)を持っているか、入力された圧力から飽和温度を計算するための関数式を持っている。そして、この蒸気表または関数式から入力された圧力信号42に対応した飽和温度を計算し、サブクール温度計算部45に供給する。
【0034】
サブクール温度計算部45は、入力される飽和温度の信号と測定された温度信号41の差を演算し、その差の温度をサブクール温度として制御棒操作量・操作タイミング計算部47に送る。また、目標サブクール温度計算部46は、入力される圧力信号42が1気圧であれば、目標サブクール温度を例えば3℃とする、圧力信号42が2気圧であれば、目標サブクール温度を例えば1℃とする、自然循環型不安定が問題とならない圧力になれば目標サブクール温度を0とするというように、入力される圧力信号42の値に応じて予め定めた目標サブクール温度を出力して制御棒操作量・操作タイミング計算部47に供給している。
【0035】
制御棒操作量・操作タイミング計算部47は、入力されるサブクール温度信号と目標サブクール温度信号とから制御棒3の操作量を計算して制御信号として制御棒駆動制御装置36に送る働きを有する部分である。この制御棒操作量・操作タイミング計算部47の詳細な構成図は図5に示されるようなものである。
【0036】
図5に示すように、制御棒操作量・操作タイミング計算部47には、サブクール温度計算部45からのサブクール温度と目標サブクール温度計算部46からの目標サブクール温度が供給される目標温度変化率計算部52と、例えば1時間当たりの変化率が40(℃/h)といった目標炉水温度変化率50が供給されるとともに、上記目標温度変化率計算部で計算した目標温度変化率信号53が供給される変化率制限部51と、炉水温度を検出する炉水温度検出部54と、炉水温度検出部54で検出された炉水温度の変化率を計算する温度変化率変換部55と、変化率制限部51の出力70から温度変化率変換部55の出力71を減算する減算器56と、減算器56の出力72が供給される比例積分回路(PI回路)57と、炉心部分における中性子束を検出する中性子束検出部58と、PI回路57の出力73から中性子束検出部58の出力74を減算する減算器59と、制御棒3の引き抜きと挿入(挿抜)を制御する信号75を形成する制御信号形成部60から構成されている。
【0037】
PI回路57は、積分回路61、比例回路62及び加算器63で構成されており、このPI回路57に、目標とする炉水温度の変化率から実際の炉水温度変化率を減算した信号72が供給される。PI回路57においては、偏差信号72を入力として比例回路62を通った信号と積分回路61を通った信号が加算器63で加算され、信号73として出力される。このPI回路57は、温度変化率の目標との偏差信号72から制御目標とする中性子束レベル信号73を算出する役割を果たしている。
【0038】
次に、上記構成を備えた制御棒操作量・操作タイミング計算部47のPI制御動作について説明する。図5に示すように、まず、目標とする炉水温度変化率50として、例えば運転員が入力した40℃/hが設定され、これが変化率制限部51に供給される。変化率制限部51には、目標温度変化率計算部52において計算された目標温度変化率信号53が入力されている。目標温度変化率計算部52では、現在の温度変化率と現在のサブクール温度から目標サブクール温度となる安定性要求からの目標温度変化率が計算され、これが目標温度変化率信号53として変化率制限部51に供給される。そして、変化率制限部51において、入力される目標炉水温度変化率50(たとえば40℃/h)と上記目標温度変化率計算部52で計算される安定性要求からの目標温度変化率53(たとえば20℃/h)、および運転上の制限値(例えば55℃/h)の中の最小の値(この例の場合では20℃/h)が算出され、出力される。これにより、サブクール温度によって炉水温度の変化率の範囲が所定範囲に制限されるようになっている。
【0039】
このように、原子炉の起動時においては、炉水温度が次第に上昇していくのであるが、その変化率は運転上の制限値(例えば55℃/h)以内でかつ自然循環型不安定が発生しないように制限される。原子炉起動時の昇温昇圧過程を短時間に完了するためには、炉水温度の変化率(上昇率)を制限値になるべく近い値に保つ必要がある。特に、起動時の昇温昇圧過程の初期においては、主蒸気隔離弁27(図1参照)は閉じられた状態であり、炉出力と炉水温度の変化率(上昇率)はほぼ比例関係にあるので、制限値を越えない範囲でなるべく高い出力を維持することが起動時間の短縮につながるのである。
【0040】
変化率制限部51で制限された目標炉水温度変化率50は、減算器56に供給され、この減算器56で実際の炉水温度の変化率と比較される。実際の炉水温度の変化率は炉水温度変化率変換部55において、炉水温度検出部54で検出された例えば数分間の炉水温度を用いてその変化率から計算で求められる。減算器56では、変化率制限部51からの制限された目標炉水温度変化率70から実際の炉水温度変化率71が減算され、この結果が偏差信号72としてPI回路57に送られる。
【0041】
PI回路57では、上述したように上記偏差信号72が所定時間の間積分されて出力されるのであるが、この炉水温度の変化率は原子炉圧力容器6内の炉心4部分の中性子束と比例関係にあるので、PI回路57からの出力は原子炉圧力容器6内の特に炉心4付近の中性子束に相当する。この中性子束に相当するPI回路57からの出力信号73は、別途原子炉の炉心4内で検出される中性子に基づいて中性子束を計算する中性子束検出部58の出力74と減算され、実際の中性子束がPI回路57から得られる中性子束の値より少ない場合は、炉心4内に挿入されている制御棒3を挿入するための制御信号を出力制御信号発生部60から出力する。
【0042】
また、実際の中性子束がPI回路57から得られる中性子束の値より多い場合は、逆に炉心4内に挿入されている制御棒3を引き抜くための制御信号を出力制御信号発生部60から出力するようにしている。この制御信号は制御棒駆動制御装置36に送られて、制御棒駆動制御装置36が駆動する制御棒3を選択して駆動量や駆動開始、駆動停止信号を制御棒駆動装置8に指令する。この結果、制御棒駆動装置8が制御棒3を駆動して、制御棒3が炉心4に対して挿抜される。これにより、原子炉圧力容器6内の炉心部分の中性子束が常に同じような量に保たれるので、核分裂反応は急速に進むことなく安定な原子炉運転が可能となる。
【0043】
図6は、出力制御装置35の他の実施形態例を示したものである。図4に示したものとの違いは、目標サブクール温度を設定する際に圧力信号42のほかに炉心流量信号65を用いている点である。その他の構成は、図4に示したものと同じであるので、同一符号を付して説明は省略する。
【0044】
図6に示されるように、本例の出力制御装置35には、炉心性能計算装置64から炉心流量信号65が目標サブクール温度計算部46に供給されている。
ここで、炉心性能計算装置64は、原子炉の出力分布や各種熱的制限値等を周期的(通常数分から1時間おき程度)に計算して、これをプリンタなどに打ち出す装置であり、原子炉からのオンラインで炉心流量、炉圧、制御棒位置、炉内中性子検出器による中性子束等の測定値が入力され、炉心の適当な物理モデルに基づいて各種パラメータを計算する装置である。
【0045】
このように炉心性能計算装置64では、炉心4を流れる冷却水の流量、すなわち炉心流量信号65が計算で求められる。この炉心性能計算装置64で求められた炉心流量信号65と原子炉出力信号66は、図4で説明した圧力信号42とともに目標サブクール温度計算部46に供給される。そして、目標サブクール温度計算部46において、圧力信号42と炉心流量信号65から所定の計算式や表によって目標サブクール温度が計算され、制御棒操作量・操作タイミング計算部47に供給される。ここで、所定の計算式とは、たとえば原子炉圧力をパラメータとして燃料集合体の発熱量に対するチムニでの安定性境界サブクール温度の関係を示したものである。
【0046】
図7に示す例は、出力制御装置35の他の形態例であり、図4あるいは図6に示す例と異なり、出力制御装置35内で目標サブクール温度を計算によって求めるのではなく、入力装置67から予め定められた所定値を入力する例である。この実施の形態例によれば、入力装置67から予め決めた値の目標サブクール温度が、図5で説明した制御棒操作量・操作タイミング計算部47の変化率制限部51に供給されるので、目標サブクール温度を圧力信号等から計算で求める必要がなく、装置構成が簡単になるという利点がある。
【0047】
次に、図8に基づいて本発明の第2の実施形態例を説明する。図8からわかるように、この実施形態例では、圧力検出部38a、38bがチムニ上部とチムニ下部の2箇所に設けられている。
また温度検出部37はチムニ下部に設けてある。それ以外の構成は、図2に示された本発明の第1の実施形態例と同一であるので、同一符号を付し、その構成及び動作の説明は省略する。
【0048】
図8に示すように、チムニ上部に配置した圧力検出器38aとチムニ下部に配置した圧力検出器38bからは、当然のことながら異なった流体圧力が検出され、これらの2つの異なる値の圧力が圧力測定装置40に供給される。チムニ9の長さを10mとし、チムニ上部の圧力を1気圧とすると、チムニ下部の圧力は2気圧になる。その場合、チムニ上部における冷却水の飽和温度(沸騰温度)が100℃であっても、チムニ下部の飽和温度は120℃程度になる。つまり、チムニ9の上部と下部では飽和温度に20℃の開きが生じている。
【0049】
このチムニ9の下部の圧力からチムニ9の上部の圧力へは、その高さ位置に応じてほぼ比例して減少していくから、その飽和温度も位置によって異なってくる。この場合、例えば110℃の冷却水が炉心4側からチムニ9側に流れ込むとき、チムニ下部の飽和温度は120℃であるからチムニ下部では沸騰しないが、チムニ上部(飽和温度は100℃)に達する前に飽和温度が110℃になる位置が必ず存在する。したがって、チムニ9の入口で110℃の冷却水はチムニの中を上昇する間に飽和温度となり沸騰して水蒸気に変化することになる。
【0050】
このように、チムニ9の出口の流体圧力のみでなく、チムニ9の入口の流体圧力と流体温度を測定することにより、チムニ9のどの位置で沸騰を開始するかがわかる。原子炉圧力が増加すると安定化し、チムニ内で多少の沸騰が起きても流動不安定が発生しなくなる。また、その状態に対応したチムニ入口での安定性境界サブクール温度が算出できる。したがって、本実施例の構成において、圧力に依存した安定性境界温度あるいは安定性境界サブクール温度を与えた場合は、チムニ出口で沸騰が発生しないように原子炉出力を制御した場合よりも起動初期の原子炉出力を増加させることができるので、短時間で安定な運転状態に持っていくことが可能となる。
【0051】
次に、図9から図11に基づいて、本発明の各実施形態において、それぞれの原子炉起動時の出力制御を行う際に、表示装置43の表示画面に表示する内容について説明する。この表示装置43はいうまでもなく本発明の原子炉監視装置の一つの構成要素となるものである。
【0052】
図9は、横軸に原子炉起動時の原子炉出力(%)を、縦軸にサブクール温度(℃)をとったものである。実線は低圧時の安定領域と不安定領域の境界線を示し、点線は高圧時の安定領域と不安定領域の境界線を示している。
【0053】
上述したように、サブクール温度は冷却水の飽和温度と実際の測定温度との差分であるから、流体のサブクール温度が十分大きい場合には安定であり、ある値より小さくなると不安定化する。さらに炉心内で沸騰が開始し、チムニ内がすべて飽和状態になるようにサブクール温度がゼロの場合も安定化する。
【0054】
図9に示されるように、原子炉出力が定格の0.1%程度以下である場合は通常チムニ出口でサブクールになるので安定領域になっている。原子炉出力が定格の1%程度になると、図9の実線で示すように、チムニ内部で沸騰を開始することによる不安定領域が増えてくる。しかし、出力が上がり水蒸気が増えて、蒸気ドームの圧力が増大すると、図の点線で示したようにチムニ内で部分的に沸騰が起きても安定な領域が増え、広い範囲にわたって安定領域になる。この結果、原子炉圧力がある程度増加するとサブクール温度を制御しなくとも、出力を上げて安定な運転が可能となり、次第に原子炉出力を定格の100%まで持っていくことが可能となる。
原子炉の運転には、図9に示されるような、表示装置43の表示画面を見ながら、原子炉出力を調整して、原子炉の起動時の運転を行うことができるので、炉心流量が変動することがなく、安定に立ち上げの運転を行うことができる。
【0055】
図10は、現在の時間(0分)を基準にして、その過去のサブクール温度と安定性境界サブクール温度とを同一画面上に表示したものである。現在のサブクール温度が安定性境界のサブクール温度より常に大きくなるように運転することによって安定な運転を確保することが可能である。すなわち、サブクール温度は飽和温度と現時点の温度との差であるから、安定性境界のサブクール温度はこの差を少なく設定している。したがって、安定性境界のサブクール温度より実際のサブクール温度のほうが大きい状態で運転を行えば、起動時の運転が安全に行われていることが確認できるのである。
【0056】
図11は、サブクール温度ではなく、実際に測定したチムニ温度と安定性境界温度を表示装置43の表示画面に同時表示する例を示したものである。原子炉内の温度は原子炉の出力に大きく関係しているので、安定性境界温度は原子炉出力の安定性限界をしめすものである。測定した原子炉内の温度(例えばチムニ下部の温度)が、この安定性限界を示す安全性境界温度よりも低い値になっていれば、原子炉は安全に運転されているということが確認できる。
【0057】
図9、図10あるいは図11に示した表示装置43の表示画面は、運転員が常時監視するためのものであり、これらの画面は表示画面上で常に切り替え可能とすることもできるが、表示画面上に表示窓を複数設け複数画面を同時に表示するようにしてもよい。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の実施形態を含むものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る自然循環型原子炉を備えた原子炉システムの一実施形態の全体構成を表す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態例を示すブロック構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態例における冷却水の循環を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態例における出力制御装置の具体的ブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態例における出力制御装置の制御棒操作量・操作タイミング計算部をさらに詳細に説明するためのブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態例における出力制御装置の第1の変形例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1実施形態例における出力制御装置の第2の変形例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態例を示すブロック構成図である。
【図9】本発明の第1及び第2の実施形態例に用いられる表示装置に表示する第1の表示画面の例である。
【図10】同じく本発明の第1及び第2の実施形態例に用いられる表示装置に表示する第2の表示画面の例である。
【図11】同じく本発明の第1及び第2の実施形態例に用いられる表示装置に表示する第3の表示画面の例である。
【符号の説明】
【0060】
2・・燃料集合体、3・・制御棒、4・・炉心、5・・シュラウド、6・・原子炉圧力容器、7・・ダウンカマ、8・・制御棒駆動装置、9・・チムニ、10・・気水分離器(セパレータ)、11・・蒸気乾燥機(ドライヤ)、12・・主蒸気管、13・・給水管、18・・タービン、21・・発電機、22・・抽気ライン、23・・復水器、24・・給水ポンプ、25・・流量調整弁、27・・蒸気隔離弁、28・・タービン蒸気流量加減弁、29・・逃し弁、30・・バイパス管、31・・タービンバイパス弁、32・・安全弁、34・・圧力・温度測定装置、35・・出力制御装置、36・・・制御棒駆動制御装置、43・・表示装置、44・・飽和温度計算部、45・・サブクール温度計算部、46・・目標サブクール温度計算部、47・・制御棒操作量・操作タイミング計算部、51・・変化率制限部、57・・比例積分回路(PI回路)、58・・中性子束検出部、64・・炉心性能計算装置、67・・入力装置




 

 


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