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発明の名称 錆付着低減方法及び原子力プラント
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−192694(P2007−192694A)
公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
出願番号 特願2006−11927(P2006−11927)
出願日 平成18年1月20日(2006.1.20)
代理人 【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
発明者 西岡 映二 / 渡辺 敦志 / 長瀬 誠 / 細川 秀幸 / 泉 清志 / 足立 浩一
要約 課題
プラント部材の表面に錆が付着するのを低減する好適な錆付着低減方法を実現する。

解決手段
錆付着低減方法は、プラントを構成する例えばDSP16又はプラントに使用される例えば切断装置18又は回収装置20のうち、錆の起因となる水中浮遊物を含む水が接触する接水部にフェライト皮膜を成膜する。
特許請求の範囲
【請求項1】
プラントを構成する部材の表面又はプラントに使用される部材の表面のうち、錆の起因となる水中浮遊物を含む水が接触する接水部にフェライト皮膜を成膜することを特徴とする錆付着低減方法。
【請求項2】
前記フェライト皮膜は、前記プラントの運転停止の際、かつ前記プラントの廃棄対象物を水中で切断する前に成膜されることを特徴とする請求項1に記載の錆付着低減方法。
【請求項3】
前記プラントを構成する部材は、前記廃棄対象物が切断されるプールを構成する壁又は床であることを特徴とする請求項2に記載の錆付着低減方法。
【請求項4】
前記プラントに使用される部材は、前記廃棄対象物を切断する切断装置、該切断装置に付帯する治具の少なくとも一方であることを特徴とする請求項2に記載の錆付着低減方法。
【請求項5】
前記プラントに使用される部材は、前記プラント内に搬入される前に前記フェライト皮膜が形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の錆付着低減方法。
【請求項6】
燃料集合体が収納された原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器の頂部に原子炉ウェルを介して連通された部材切断用のプールと、前記原子炉圧力容器内の廃棄対象物を前記プールの水中で切断する切断装置を備えた原子力プラントにおいて、
前記プールを構成する壁又は床、前記切断装置又は該切断装置に付帯する治具の少なくとも1つの表面のうち、錆の起因となる水中浮遊物を含む水が接触する接水部にフェライト皮膜が成膜されてなることを特徴とする原子力プラント。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントなどに使用される部材の表面に錆が付着することを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子力発電プラントに代表されるプラントとして、燃料集合体を収納する原子炉と、原子炉の頂部に原子炉ウェルを介して連通した部材切断用のプールと、原子炉の炉内構造物をプールの水中で切断する切断装置とを備えたものが知られている。
【0003】
このようなプラントにおいては、炉内構造物を廃棄保管するに際し、炉内の構造物をプールに搬出するための一次切断や、プールに搬出された構造物を切断装置により細断する二次切断が行われる。ここでの廃棄対象物を切断する方法としては、例えば、研磨材が含まれた高圧水流を切断装置から噴出して廃棄対象物をプール内で切断するアブレッシブウォータジェット法などが適用される。
【0004】
ところで、廃棄対象物をプール内で切断すると、切断粉や研磨材などが水中を浮遊する。水中浮遊物の大部分は回収装置により回収されるが、水中浮遊物の一部は回収されずに腐食反応が進行して錆になることがある。その錆は、プールを構成する壁又は床や切断装置などの部材(以下、プラント部材という)の表面に強靭に固着する。このようにプラント部材の表面に錆が固着すると、錆を除去する洗浄作業量が増大し、また錆が放射能を帯びているときは除染作業の実施が余儀なくされるので、作業時間が増大するおそれがある。
【0005】
そこで、プラント部材の表面に錆が付着するのを低減するために、液体ナトリウムを用いて対象部材の表面に防錆層を形成する方法(例えば、特許文献1)や、樹脂系の防錆テープを対象部材の表面に被覆する方法(例えば、特許文献2)などが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−129255号公報
【特許文献2】特開平10−44320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のような方式では、液体ナトリウムは水との反応性が高いなど活性が強いものであるから、その取扱いが難しいため、液体ナトリウムで防錆層を形成する作業は煩雑かつ困難である。特許文献2のような方式では、樹脂系の防錆テープが水中に浸漬されるし、また炉内構造物からの放射能に照射されることから、防錆テープそのものが劣化して破損や剥離を起こす場合がある。このようにプラント部材の表面に錆が付着するのを低減する方法に改善すべき点がある。
【0008】
本発明は、プラント部材の表面に錆が付着するのを低減するのにより好適な錆付着低減方法及び原子力プラントを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の錆付着低減方法は、プラントを構成する部材の表面又はプラントに使用される部材の表面のうち、錆の起因となる水中浮遊物を含む水が接触する接水部にフェライト皮膜を成膜することを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、フェライト膜(例えば、マグネタイト膜やニッケルフェライト膜)は、水中浮遊物がプラント部材に接触するのを阻止する遮蔽膜になるので、プラント部材に対する錆の付着が回避される。
【0011】
そして、フェライト原料から形成されるフェライト皮膜は表面が緻密なものになるので、膜表面に錆が付着してもその錆を除去するのが容易であるから、作業の所要時間を短縮できる。またフェライト原料は、その特性に由来して取扱いが比較的容易であるため、フェライト膜の成膜作業を簡単かつ迅速に実施できる。さらにフェライト膜は、水中又は放射線照射環境下でも耐久性の優れた安定なものであるから、比較的長い時間にわたって遮蔽膜としての機能を発揮できる。
【0012】
この場合において、前記フェライト皮膜は、前記プラントの運転停止の際、かつ前記プラントの廃棄対象物を水中で切断する前に成膜される。
【0013】
また、本発明の望ましい一態様によれば、前記プラントを構成する部材は、前記廃棄対象物が切断されるプールを構成する壁又は床である。また前記プラントに使用される部材は、前記廃棄対象物を切断する切断装置、該切断装置に付帯する治具の少なくとも一方である。
【0014】
また、本発明の望ましい一態様によれば、前記プラントに使用される部材は、前記プラント内に搬入される前に前記フェライト皮膜が形成される。
【0015】
また、本発明の原子力プラントは、燃料集合体が収納された原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器の頂部に原子炉ウェルを介して連通された部材切断用のプールと、前記原子炉圧力容器内の廃棄対象物を前記プールの水中で切断する切断装置を備え、前記プールを構成する壁又は床、前記切断装置又は該切断装置に付帯する治具の少なくとも1つの表面のうち、錆の起因となる水中浮遊物を含む水が接触する接水部にフェライト皮膜が成膜されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プラント部材の表面に錆が付着するのを低減するのにより好適な錆付着低減方法及び原子力プラントを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を適用した錆付着低減方法及び原子力プラントの一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の沸騰水型原子力発電プラントの構成を示す図である。なお、沸騰水型原子力発電プラントを例に説明するが、プラント部材に接触する水の中で錆が発生する他のプラントにも本発明を適用できる。またシュラウド交換作業を例に説明するが、他の炉内構造物を交換する場合にも適用できる。
【0018】
図1に示すように、沸騰水型原子力発電プラントは、燃料集合体を包囲するシュラウド10が収納された原子炉圧力容器12と、原子炉圧力容器12の頂部に原子炉ウェル14を介して連通された部材切断用のプールとしてのドライヤセパレータプール16(以下、DSP16)と、原子炉圧力容器12内の廃棄対象物(例えば、シュラウド10)をDSP16の水中で切断する切断装置18などを備えている。
【0019】
そして、本実施形態の沸騰水型原子力発電プラントは、DSP16を構成する壁又は床や、切断装置18又は切断装置18に付帯する治具の表面のうち、錆の起因となる水中浮遊物を含む水が接触する接水部にフェライト皮膜が成膜されている。要するに、本実施形態の錆付着低減方法は、プラントを構成する部材の表面又はプラントに使用される部材の表面のうち、錆の起因となる水中浮遊物を含む水が接触する接水部にフェライト皮膜を成膜するものとする。なお、プラントを構成する部材とは、DSP16の喫水面を含む壁面又は床面などである。プラントに使用される部材とは、切断装置18やそれに付帯する治具などである。またプラントを構成する部材とプラントに使用される部材をプラント部材と適宜総称する。
【0020】
このようにすれば、フェライト皮膜(例えば、マグネタイト皮膜やニッケルフェライト皮膜)は、水中浮遊物がプラント部材に接触するのを阻止する遮蔽膜になるので、プラント部材に対する錆の付着が回避される。そして、ここでのフェライト原料から形成したフェライト皮膜は表面が緻密なものになるので、膜表面に錆が付着してもその錆を除去するのが容易であるから、除去作業の所要時間を短縮できる。またフェライト原料は、その特性に由来して取扱いが比較的容易であるため、フェライト皮膜の成膜作業を簡単かつ迅速に実施できる。さらにフェライト皮膜は、水中又は放射線照射環境下でも耐久性の優れた安定なものであるから、比較的長い時間にわたって遮蔽膜としての機能を発揮できる。
【0021】
より詳細に、本実施形態の錆付着低減方法及び原子力プラントについて説明する。図1に示すように、原子力圧力容器12は、鉛直方向に起立して設けられた筒形容器であり、その頂部にドライヤやセパレータが脱着可能に配設されている。シュラウド10は、燃料集合体の周囲に配設されたステンレス製のものである。原子炉ウェル14は、原子力圧力容器12を底部に収納している空間である。この原子炉ウェル14は、廃棄対象物(例えば、シュラウド10)の廃棄保管作業をする際は、廃棄対象物から照射される放射線を遮蔽するための水が注入される。
【0022】
DSP16は、原子炉ウェル14に隣接して連通された空間であり、例えばシュラウド10の廃棄保管作業をする際は、その内部に水が注入される。シュラウド10を廃棄保管する作業の際は、DSP16内に切断装置18や回収装置20が配設される。切断装置18は、架台22と切断ノズル24を備えている。架台22は、例えば、原子炉圧力容器12から一次切断により搬出したシュラウド10´が載置される。切断ノズル24は、研磨材が含まれた高圧水流つまりウォータジェットを噴出することによってシュラウド10´を細断する。回収装置20は、シュラウド10´の切断作業で発生した切断粉や研磨材を回収する。
【0023】
なお、原子力圧力容器12の例えばシュラウド10を取り出すクレーン26が天井に配設されている。また、燃料集合体を保管する燃料プール28が、原子炉ウェル14を挟んでDSP16の反対側に設けられている。
【0024】
このように構成される沸騰水型原子力発電プラントのシュラウド交換作業について図2を参照して説明する。図2は、シュラウド交換作業の全体工程を示す図である。まず、プラントが稼動中のときは、その運転が停止される(S1)。次いで、原子炉圧力容器12が開放される(S2)。その後、ドライヤやセパレータなどの炉内機器が取り外される(S3)。その炉内機器の取外し後に原子炉ウェル14やDSP16に水が注入される。次に、原子炉圧力容器12内の燃料が取り出された後(S4)、原子炉圧力容器12内からシュラウド10を搬出するための一次切断用の切断装置が設置される(S5)。一次切断用の切断装置によりシュラウド10が一次切断される(S6)。
【0025】
一方、DSP16内に切断装置18や回収装置20が設置される(S7)。そして、プラント部材の表面にフェライト皮膜を成膜する処理が施される(S8)。ここでのプラント部材は、切断装置18、回収装置20、及びDSP16の内表面を含む。次に、工程S6で切断されたシュラウド10は、クレーン26により吊り出されながら原子炉ウェル14を介して搬出される(S9)。搬出後のシュラウド10´は、架台22に載置される(S10)。架台22上のシュラウド10´は、切断装置18により二次切断される(S11)。二次切断により細断されたシュラウドは、輸送容器に収納された後にDSP16から搬出される(S12)。ここでの輸送容器は、シュラウド細断片から照射される放射能を遮蔽する機能を有する。搬出後のシュラウドは、サイトバンカプールで保管される(S13)。
【0026】
DSP16からシュラウドが搬出された後は、DSP16内の切断装置18や回収装置20などを除染して撤去する(S14、S15)。また、原子炉圧力容器12内の一次切断用の切断装置も、その表面に付着の放射能や錆などが洗浄処理により除去された後、原子炉圧力容器12から撤去される(S16)。原子炉圧力容器12内を清掃した後、新たなシュラウド10が据付けられる(S17)。その後、シュラウド10に燃料が再装荷される(S18)。次に、原子炉ウェル14やDSP16内の水が抜き出された後、ドライヤやセパレータなどの炉内機器が再設置される(S19)。そして、原子炉圧力容器12が閉止された後(S20)、プラントが再起動される(S21)。
【0027】
要するに、図2に示す工程によれば、工程S11でシュラウド10を二次切断する前に、工程S8でプラント部材の表面にフェライト皮膜が成膜される。これにより、プラント部材の表面に錆が付着することを低減できるし、フェライト皮膜の表面に錆が付着しても工程S14の除染作業の所要時間を短縮できる。
【0028】
図3〜図5を参照して、フェライト皮膜の成膜工程(S8)、シュラウド10´の二次切断工程(S11)、プラント部材の除染工程(S14)について更に説明する。図3は、それら各工程の詳細を示す図である。図4は、フェライト皮膜を成膜する装置の構成を示した図である。図5は、シュラウド10´を二次切断する際の装置構成を示した図である。
【0029】
まず、図4に示すように、プラント部材の表面にフェライト皮膜を成膜する成膜装置は、フェライト原料を供給するフェライト原料供給装置30と、フェライト原料供給装置30から原料供給管32を介して供給された原料を対象部材に噴射する皮膜施工装置34と、フェライト膜の形成に寄与しなかった飛散フェライト原料を受け入れる回収コレクタ36と、回収コレクタ36から移送管38を介してフェライト原料を回収する原料回収装置40などを備えている。なお、フェライト原料供給装置30と原料回収装置40は、DSP16の外側に配設されている。皮膜施工装置34は、作業者42によって保持される。回収コレクタ36は、DSP16内の床面のうち皮膜施工装置34の噴射孔に対応した位置に設置される。また、ここでのフェライト原料は、皮膜の主成分となる鉄(II)イオンを有機酸で溶解させた溶液と、酸化剤およびpH調整剤を含む溶液との混合液である。
【0030】
このような成膜装置を用いることにより、作業者は、所定範囲に対してフェライト皮膜を成膜する。ここでの所定範囲は、例えば、シュラウドの二次切断時にシュラウドから跳ね返った研磨材が付着する切断ノズル24、切断装置18、切断ノズル24に装着の水供給用ホース44や研磨材供給用ホース46、切断ノズル24を走査する走査機構48、錆が集まりやすい喫水面近傍を含むDSP16の壁面、研磨材が沈降するシュラウド下方周辺を含む床面などの水中浮遊物が集積する箇所のうち少なくとも1つを含むことが望ましい。なお、フェライト皮膜の成膜工程は、DSP16に水が注入される前に施工される。
【0031】
次に、図5に示すように、シュラウド10´を二次切断する切断する際は、シュラウド10´を載置する加工架台43と、切断装置18と、水供給用ホース44と、研磨材供給用ホース46と、走査機構48がDSP16内に配置されている。また水供給用ホース44の上流端が接続された超高圧ポンプ45と、研磨材供給用ホース46の上流端が接続された研磨材供給装置47がDSP16の外側に配置されている。
【0032】
また、シュラウド10´の切断時に生じる水中浮遊物を回収する回収装置20は、水中浮遊物の吸引口としてのコレクタ50と、コレクタ50を介して水中浮遊物を吸引する吸引ポンプ52と、吸引ポンプ52の吐出流体に対して気水分離処理を施す気水分離装置54と、気水分離装置54から移送配管56を介して流出された水から廃棄物を分離する分離装置58と、分離装置58から排出された廃棄物を貯蔵する廃棄物貯蔵容器60と、分離装置58から流出された水に対してフィルタ処理を施すフィルタ格納容器62などを備えている。なお、作業者42の作業場になる走査機構64がDSP16を跨いで架けられている。また、フェライト皮膜を成膜する所定範囲として、コレクタ50、吸引ポンプ52、気水分離装置54、分離装置58、廃棄物貯蔵容器60、フィルタ格納容器62などの表面を含めてもよい。
【0033】
ここで図3を参照する。まず、図4に示した成膜装置によりプラント部材の表面にフェライト皮膜が形成される(S101)。成膜工程が施工された後、原子炉圧力容器12からシュラウド10´がDSP16に搬入される。そして、図5に示した装置によりシュラウド10´が二次切断される(S102)。シュラウド10´を二次切断するに際し、シュラウド10´の切断粉や研磨材の粉砕粉からなる浮遊物が発生する(S103)。浮遊物の大部分は、DSP16内に設定された回収装置20により回収される(S104)。一方、浮遊物の一部は、回収装置20に回収されずにDSP16内の水中を飛散する(S105)。DSP16内を飛散する浮遊物は、腐食反応が進行して錆になってDSP16や切断装置18及び回収装置20などのプラント部材の表面に付着する(S106)。ここで本実施形態では、プラント部材の表面にフェライト皮膜が成膜されているので、プラント部材の表面に対する錆の付着が低減される。なお、シュラウド10´を二次切断する方法としてアブレッシブウォータジェット法を適用した例を説明したが、放電切断、プラズマ切断、レーザ切断などの他の切断方法を適用してもよい。要するに、錆の起因となる水中浮遊物が発生する場合に本発明を適用すればよい。
【0034】
図6は、錆付着量測定結果の例を示すグラフである。本例は、サンプル水にステンレス鋼製試験片を浸漬し、浸漬後の試験片の重量変化を測定したものである。ここでのサンプル水は、水中浮遊物として鋳鋼研磨材の粉砕粉が混入された純水である。この水中浮遊物は、腐食反応が進行して錆になって試験片の表面に付着する。試験片aは、フェライト皮膜が未施工のものである。試験片bは、フェライト原料を混入した水温90℃の処理水槽中に浸漬されることによって、その表面にフェライト皮膜が成膜されたものである。フェライト原料は、皮膜の主成分となる鉄(II)イオンを有機酸で溶解させた溶液と、酸化剤およびpH調整剤を含む溶液の混合液である。なお、試験片aを用いた測定と試験片bを用いた測定に関し、単位体積あたりの水中浮遊物の濃度や、試験片の表面の面積や、試験片のサンプル水への浸漬時間を同じに設定した。
【0035】
図6の縦軸は、試験片の浸漬前後の重量変化から換算した錆の付着量であり、試験片aの値を100とした相対重量比である。図6に示すように、試験片aを用いた測定結果と試験片bを用いた測定結果を比較すると、試験片bに対する錆の付着量は、試験片aを用いた場合の例えば1/5であった。このような試験結果からも分かるように、試験片の表面にフェライト皮膜を成膜すると、フェライト皮膜は緻密な膜であることから、その試験片に対する錆の付着量が低減する。
【0036】
さて、図3のシュラウド10´の二次切断作業が終了すると(S107)、切断装置18や回収装置20などに対して除染処理が施される(S108)。すなわち、切断装置18や回収装置20などに付着した錆の一部は、元々は放射線の被照射部位であるシュラウドの切断粉であるから、比較的高い放射能を帯びている。そこで、切断装置18や回収装置20などをDSP16から撤去する前に、図7に示す除染装置と図8に示す工程によって切断装置18や回収装置20などの付着錆を除去する。除染処理が終了すると、切断装置18や回収装置20などが撤去される(S109)。そして、DSP16内の水が排水された後(S110)、DSP16の内表面に対しても除染処理が施される(S111)。
【0037】
図7は、除染装置の構成を示す図である。図8は、図7の除染装置による除染処理の工程を示す図である。なお、除染処理としては、機械除染法と化学除染法がある。機械除染法は、高圧水やブラッシングにより付着錆を除去する手法である。化学除染は、洗剤、有機溶媒、酸、アルカリなどを使用して付着錆を除去する手法である。ここでは機械除染法を適用した例を説明する。
【0038】
図7に示すように、本実施形態の除染装置は、図4の成膜装置のフェライト原料供給装置30に代えて配設された機械除染供給装置70と、皮膜施工装置34に代えて設けられた機械除染装置72と、原料回収装置40に代えて配設された錆回収装置74などを備えている。機械除染供給装置70は、機械除染に必要な洗浄水や駆動用の電気信号を機械除染装置72に供給する。機械除染装置72は、機械除染供給装置70から供給された洗浄水を噴射する水噴射機構と、駆動用の電気信号に応じて回転駆動するブラッシング器具を有する。錆回収装置74は、回収コレクタ36から移送管38を介して移送して錆を回収する。
【0039】
図8に示すように、まず、機械除染を開始する指令が機械除染供給装置70に入力される(S201)。開始指令が入力されると、機械除染供給装置70は、機械除染装置72に洗浄水を供給することによって、錆が付着した部材の表面つまりフェライト皮膜の表面に対し、機械除染装置72から水を噴射させる(S202)。その後、予め規定された放射線測定位置で放射線量が測定される(S203)。放射線量の測定値が閾値を超過する場合は、例えば、機械除染供給装置70は、機械除染装置72に駆動信号を供給することによって、フェライト皮膜の表面に対し、機械除染装置72のブラッシング器具でブラッシングをする(S204)。ここでの閾値は、部材(例えば、切断装置18や回収装置20)を撤去するのに許容される値である。なお、ブラッシングをするに際しては、他の器具(例えば、ハンドドリル)を用いてもよい。ブラッシングの終了後に再び放射線量が測定される(S205)。放射線量の測定値が閾値を依然として超過する場合は、その放射線量が閾値以下になるまで工程S204のブラッシング作業が繰り返される。工程S203又は工程S205の放射線測定作業において、放射線量の測定値が閾値以下のときは機械除染作業が終了する(S206)。
【0040】
このような機械除染作業では、工程S204のブラッシング作業は、工程S202の水噴射作業よりもその作業量が多い。したがって、工程S202の水噴射作業で出来るだけの錆を除去することが望ましい。図9は、本実施形態の水洗浄による錆除去特性を示すグラフである。本例は、図6に示した試験片a,bに対して超音波洗浄を実施し、洗浄前後の試験片a,bの重量変化から錆の除去率を測定した例である。ここでの超音波洗浄は、本実施形態の水洗浄を模擬している。
【0041】
図9に示すように、試験片aの場合は、その錆の除去率は、洗浄前に付着していた錆の例えば20重量%であった。これに対し、試験片bの場合は、その錆の除去率は、洗浄前に付着していた錆の例えば95重量%であった。すなわち、フェライト皮膜が表面に形成された試験片bは、フェライト皮膜が未施工の試験片aよりも超音波洗浄で4倍以上の錆が除去された。このような試験結果からも分かるように、プラント部材の表面にフェライト皮膜を成膜すると、フェライト皮膜は緻密な膜であることから、プラント部材に対する錆の付着量が低減するほかに、膜表面に錆が付着してもその錆を効果的に除去できる。すなわち、フェライト皮膜を成膜すると、フェライト皮膜が未施工の場合よりもブラッシング作業量が減ることから、除染作業の所要時間を短縮できる。
【0042】
以上、上述の実施形態により本発明の錆付着低減方法と原子力プラントを説明したが、これに限られるものではない。例えば、図4に示した形態は、DSP16内でプラント部材の表面にフェライト皮膜を成膜する例であるが、プラント部材のうち例えば切断装置18や回収装置20は、DSP16内に常時設置されずにプラント運転停止の際に、プラント外からDSP16内に搬入して設置されるものであるし、作業終了後はDSP16から撤去されるものである。したがって、図10に示すように、切断装置18や回収装置20などのプラント部材については、その製造または組み立て過程でフェライト皮膜を成膜してもよい。フェライト皮膜の成膜装置や成膜工程については上述の実施形態と同じである。廃棄対象物を切断して回収する作業は時間的な制約を受けるが、図10に示す形態によれば、その切断回収作業中に切断装置18や回収装置20などのプラント部材に皮をせずに済むため、廃棄対象物の切断回収作業の所要時間をより一層短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を適用した沸騰水型原子力発電プラントの一実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1のシュラウドを交換する作業の全体工程を示す図である。
【図3】図2の成膜工程と二次切断工程と除染工程の詳細を示す図である。
【図4】フェライト皮膜を成膜する装置の構成を示した図である。
【図5】シュラウドを二次切断する際の装置構成を示した図である。
【図6】錆付着量測定結果の例を示すグラフである。
【図7】除染装置の構成を示す図である。
【図8】図7の除染装置による除染処理の工程を示す図である。
【図9】水洗浄による錆除去特性を示すグラフである。
【図10】フェライト皮膜を成膜する装置の他の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0044】
10 シュラウド
12 原子炉圧力容器
16 DSP
18 切断装置
20 回収装置
30 フェライト原料供給装置
34 皮膜施工装置
45 超高圧ポンプ
47 研磨材供給装置
70 機械除染供給装置
72 機械除染装置




 

 


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