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発明の名称 原子炉の気液二相流の流動振動抑制装置及びその方法並びにその方法を用いた自然循環型沸騰水型原子炉の冷却材の循環方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−155632(P2007−155632A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−354296(P2005−354296)
出願日 平成17年12月8日(2005.12.8)
代理人 【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
発明者 廣川 文仁 / 高橋 志郎 / 椿 正昭
要約 課題
気液二相流が上昇する流路内での流動振動を抑える構造を実現する。

解決手段
自然循環型沸騰水型原子炉の炉心9の上部格子板10に筒状のチムニー11を備え、そのチムニー11内を格子構造物により複数の直立した流路に仕切って格子流路16と成し、その格子流路16内に、単独または複数の攪拌装置1または偏流装置20を設けて、炉心9から上昇してきた気液二相流を格子流路16内で攪拌混合または偏流させることで、格子流路16内を流れる気液二相流の流動状態を、環状流によるチャーン流の流動状態から混合状態または偏流状態の流動状態に変換し、チャーン流の流動状態で発生する圧力変動荷重を抑制する。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器内の炉心の上方に装備されるチムニーと、
前記チムニー内を複数の上下方向の流路に仕切る構造物と、
前記流路内に設けられ、前記流路内の流体を攪拌する攪拌手段と、
を備えた原子炉の気液二相流の流動振動抑制装置。
【請求項2】
請求項1において、前記攪拌手段は、前記構造物から前記流路の横断面内に突き出た突起を備えた構成である原子炉の気液二相流の流動振動抑制装置。
【請求項3】
原子炉圧力容器内の炉心の上方に装備されるチムニーと、
前記チムニー内を複数の上下方向の流路に仕切る構造物と、
前記流路の流路内壁に沿って流れる液膜流を前記流路横断面の一方向へ導いて、液相が前記一方向へ偏って上昇させる偏流手段と、
を備えた原子炉の気液二相流の流動振動抑制装置。
【請求項4】
請求項3において、前記偏流手段は、前記構造物から前記流路の横断面内に突き出され、且つ上下方向に傾斜した突起を備えた構成である原子炉の気液二相流の流動振動抑制装置。
【請求項5】
原子炉圧力容器内の炉心の上方に装備されるチムニーと、
前記炉心の周囲に設けられて、前記炉心の内側と外側の流路を分離する炉心シュラウドと、
前記チムニーと前記炉心シュラウドとで前記原子炉圧力容器内に形成された冷却材の再循環流路と、
前記チムニーよりも上方の前記原子炉圧力容器内の部位に配置されて、前記炉心での核反応により発生した蒸気を湿分分離する蒸気乾燥器と、
前記原子炉圧力容器に装備されて、前記蒸気乾燥器で湿分分離した蒸気を前記原子炉圧力容器外へ導く主蒸気ノズルと、
前記原子炉圧力容器に装備されて、前記原子炉圧力容器外から前記原子炉圧力容器内へ給水を導く給水ノズルと、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の原子炉の気液二相流の流動振動抑制装置とを備えた自然循環型沸騰水型原子炉。
【請求項6】
原子炉圧力容器内の炉心に冷却材を通して気液二相流を発生させ、
前記気液二相流を、前記炉心の上方のチムニー内を仕切った複数の流路内に通して上昇させ、
前記流路を前記気液二相流が上昇する過程で前記気液二相流を攪拌して環状流の崩壊を成す原子炉の気液二相流の流動振動抑制方法。
【請求項7】
原子炉圧力容器内の炉心に冷却材を通して気液二相流を発生させ、
前記気液二相流を、前記炉心の上方のチムニー内を仕切った複数の流路内に通して上昇させ、
前記流路を前記気液二相流が上昇する過程で、前記流路の流路内壁に沿って流れる液膜流を前記流路横断面の一方向へ導いて偏流させて環状流の崩壊を成す原子炉の気液二相流の流動振動抑制方法。
【請求項8】
原子炉圧力容器内の炉心周りの炉心シュラウドと前記炉心の上方に装備されたチムニーとによって前記炉心の内側と外側の流路を分けて前記原子炉圧力容器内に前記炉心を通過する冷却材の再循環流路を形成し、
前記炉心に循環して来た前記冷却材を、前記炉心内の核反応による加熱で気液二相流を発生させ、
前記気液二相流を前記チムニー内に通して上昇させるとともに、前記内側と外側の流路内の前記冷却材の密度差によって前冷却材を前記炉心へ自然循環させ、
前記自然循環の過程で前記気液二相流を前記チムニー内に通して上昇させ、
前記気液二相流の前記チムニー内での上昇過程で請求項6又は請求項7に記載の原子炉の気液二相流の流動振動抑制方法を適用する自然循環型沸騰水型原子炉の冷却材の循環方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の炉心上方のチムニー内を流れる気液二相流の流動振動を抑える方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自然循環型沸騰水型原子炉は、原子炉圧力容器内の冷却材の循環流路を炉心の上部に設けた円筒状のチムニーと炉心の周囲を囲う炉心シュラウドとを利用して形成されている。炉心シュラウドやチムニーの外周面と原子炉圧力容器内面との間はダウンカマと呼ばれている下降流路に利用され、チムニーの内側は上昇流路として利用されている。
【0003】
このような循環流路を自然循環型沸騰水型原子炉は原子炉圧力容器内に備えているので、炉心で核反応による熱を受けて加熱された冷却材が蒸気を伴う気液二相流となって炉心からチムニー内に抜け出て上昇流路にて上昇し、その気液二相流は液体と気体に分離装置で分離されて、気体を伴う蒸気は原子炉圧力容器外のタービンなどに供給され、液体は下降流路側に戻される。
【0004】
その下降流路では冷却材がチムニー内の冷却材よりも低温で密度が大きいので、その密度差に基づく自然循環力で下降して行く。下降した液体の流れは原子炉圧力容器の底部で上側に反転して再度炉心へ下方から入り加熱される。このように冷却材を取り扱う際にポンプを利用しないで自然循環を繰り返すように原子炉圧力容器内の冷却材は扱われている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
そのため、自然循環型沸騰水型原子炉は、冷却材をポンプで強制的に循環させる強制循環型沸騰水型原子炉に対しての最大の違いが、冷却材を循環させるための系統及び機器が簡略化されているといえる。
【0006】
その冷却材の効率の良い循環を期待して、炉心の上方に格子構造物でチムニー内の上昇流路を複数の直立した流路(以下、格子流路とも言う。)に仕切って、その複数の格子流路内を炉心から上昇してきた気液二相流を通して上昇させるようにした例もある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平08−094793号公報
【特許文献2】特開平06−265665号公報
【特許文献3】特公平07−027051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このチムニー内に、格子状に仕切られた複数の直立した格子流路を設ける場合、炉心内部には発生熱量(中央部で多く、周辺部で低い。)の違いにより炉心の横断面内で発生蒸気量に分布が存在し、相対的に炉心中央が蒸気量が多く、周辺部が少ない。
【0009】
炉心の中央部では蒸気量が多い分、その中央部上方のチムニー内の格子流路内でも多くの蒸気が保持されるため、炉心の周辺部に比べ相対的に密度が低くなり、冷却材の下降流路であるダウンカマとの水頭圧差が大きくなって、より多くの冷却水が炉心中央部へと導かれ、炉心の冷却効果の良い冷却材の循環が成せる。
【0010】
このようなチムニー内に格子流路を持つ自然循環型沸騰水型原子炉においては、その下部に位置する炉心での冷却水と蒸気の流量の違いから、チムニーの各格子流路それぞれにも水・蒸気流量に違いが生じる。
【0011】
以上を考慮し、格子流路を模擬した実験装置にて、水と空気の流量を変化させ、気液二相流の流動試験を実施したところ、格子流路内面に圧力変動荷重が掛かることが分かった。このような振動は、格子流路間を仕切る格子構造物の板同士の接合部に長期的に悪影響を及ぼす可能性がある。また、原子炉内部機器の損傷は、安全性・経済性の面から憂慮すべき問題である。この問題を解決するには、例えば板厚を厚くする等が考えられるが、構造物量が増加する課題を生じる。
【0012】
また、チムニーの格子流路と、格子流路内での流動を模擬した実験を行った結果、気液が混合した気液二相流は垂直に上昇するに従い発達し、例えば、図1のように、格子流路内の流路の中央部が気相で占められ、その気相の外側に格子流路内壁面に沿って液相が存在する状態3(このような気相と液層との分離状態での流れを環状流という。)と、流路断面内を液相が満たす状態4とが交互に繰り返されて通過する、チャーン流に近い流動様式となり、このとき格子流路を形成する格子構造物の板の壁に数kPa〜十数kPaの圧力変動荷重がかかることがわかった。
【0013】
またこの実験で、流路入口で水と空気の流れが分離した状態で流れ込み、液相が流路断面内で壁のある一面方向に偏った状態で上昇する流れでは、圧力変動の発生が抑えられ、荷重をなくすあるいは低減できることが分かった。
【0014】
したがって、本発明の目的は、原子炉の炉心の上方に配備されたチムニーを複数の流路に仕切って冷却材の上昇流路とした際に発生する圧力変動荷重を抑制して原子炉を安全にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の原子炉の気液二相流の流動振動抑制装置の基本的要件は、原子炉圧力容器内の炉心の上方に装備されるチムニーと、前記チムニー内を複数の上下方向の流路に仕切る構造物と、前記流路内に設けられ、前記流路内の流体を攪拌する攪拌手段とを備えた構成にある。
【0016】
また、他の装置発明の基本的要件は、原子炉圧力容器内の炉心の上方に装備されるチムニーと、前記チムニー内を複数の上下方向の流路に仕切る構造物と、前記流路の流路内壁に沿って流れる液膜流を前記流路横断面の一方向へ導いて、液相が前記一方向へ偏って上昇させる偏流手段とを備えた構成にある。
【0017】
また、原子炉の気液二相流の流動振動抑制方法の基本的要件は、原子炉圧力容器内の炉心に冷却材を通して気液二相流を発生させ、前記気液二相流を、前記炉心の上方のチムニー内を仕切った複数の流路内に通して上昇させ、前記流路を前記気液二相流が上昇する過程で前記気液二相流を攪拌して環状流の崩壊を成すことにある。
【0018】
また、他の方法発明の基本要件は、原子炉圧力容器内の炉心に冷却材を通して気液二相流を発生させ、前記気液二相流を、前記炉心の上方のチムニー内を仕切った複数の流路内に通して上昇させ、前記流路を前記気液二相流が上昇する過程で、前記流路の流路内壁に沿って流れる液膜流を前記流路横断面の一方向へ導いて偏流させて環状流の崩壊を成すことにある。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、原子炉の炉心の上方に配備されたチムニーを複数の流路に仕切って冷却材の上昇流路とした際に発生する圧力振動荷重を抑制して原子炉の安全維持及び安全を維持するための作業の低減を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の第1実施例は以下の通りである。即ち、自然循環型沸騰水型原子炉は、図2のように、原子炉圧力容器5内には、複数の燃料集合体15が装荷されている炉心9と、炉心9の外周囲を囲う筒状の炉心シュラウド17と、炉心9の上部を構成している上部格子板10と、上部格子板10上に立設してある筒状のチムニー11と、チムニー11上に装備されてチムニー11の上端を覆うスタンドパイプ付きの気水分離器12と、気水分離器12を下部のスカート部で囲うように気水分離器12の上方に装備された蒸気乾燥器13とを炉内構造物として内蔵している。この原子炉圧力容器5には、主蒸気ノズル14と給水ノズル6とが装備されている。
【0021】
チムニー11内の筒状の空間には、上方から見て矩形の格子を有する格子構造物が配備されている。その格子構造物の格子の辺を構成する金属製の板同士は隣接する板同士と溶接等により接合されて、格子構造物は溶接構造となっている。この格子構造物によりチムニー11内の領域が格子状に仕切られて、炉心9の上方に直立した格子流路16が複数形成される。
【0022】
各格子流路16は、流路横断面が矩形を成し、チムニーの上端よりも低い位置に上部の開放端部を有する。各格子流路16の開放端部からチムニーの上端までの間は格子状には仕切られずに横断的には一連の領域とされている。
【0023】
原子炉圧力容器5内には、冷却材として軽水が気水分離器12の途中の高さにまで入れられている。その冷却材は、原子炉が運転されることにより、炉心9内で、燃料集合体
15に格納されている核燃料による核反応で生じる熱を受ける。その熱によって加熱された冷却材は、蒸気と水の気液二相流を伴って比重が軽くなるので、自然に上昇して炉心から各格子流路16の下端から各格子流路16内に入って上昇する。
【0024】
このように、冷却材は炉心9を上昇し通過する際、核反応により発生する熱で加熱されて水と蒸気の気液二相流となる。その後、気液二相流となった冷却材は、炉心9上部の上部格子板10を通りチムニー11へと入る。そして、冷却材は、チムニー11内を上昇し上部の気水分離器12を通過する。気液二相流状態の冷却材は、気水分離器12を通過する際に気液二相流から水と蒸気が分離され、分離された水は、炉心シュラウド17やチムニー11と原子炉圧力容器5内壁面との間の垂直な流路であるダウンカマ7へと導かれる。さらに、分離された水は、ダウンカマ7を下降流路として利用して下方へ流下する。
【0025】
その一方、気水分離器12で分離された蒸気は、更に湿分を除去するため蒸気乾燥器
13へと導かれ、蒸気乾燥器13で十分に湿分分離された後に上方へ抜け出て、主蒸気ノズル14を通り、蒸気を駆動エネルギーとする蒸気タービンへと送られる。尚、気水分離器12を設けずに、蒸気乾燥器13のみで湿分分離を実施する場合もある。
【0026】
蒸気タービンで用いられた蒸気は凝縮されて水に戻された上で冷却材として給水ノズル6を通り原子炉圧力容器5内に流入し、ダウンカマ7内の冷却材と混合して下降してゆく。
【0027】
このように原子炉圧力容器5内での冷却材の流れは、ダウンカマ7での下降域と炉心9内側での上昇域に分けられ、冷却水の上昇域では炉心9で発生した蒸気を含むため、下降域と比べ相対的に密度が小さい。そのため、ダウンカマ7での下降域と炉心9内側での上昇域との冷却材間に水頭圧の差ができ、冷却材はダウンカマ7を下降して下部プレナム8領域へ抜けて反転上昇して炉心9下部へと冷却材が流れ込む力が生ずる。
【0028】
このように自然循環型沸騰水型原子炉は、冷却材の密度差を利用して自然循環するので、従来の強制循環型沸騰水型原子炉とは相違して、冷却材を循環させるための系統及び機器が無い。また、炉心での冷却材の加熱度合いは、炉心中央部で高く、周辺部で低いという、炉心の横断面内での加熱の分布が発生する。その加熱の分布で冷却材の上昇速度に分布を生じて流れが乱れようとするが、その乱れを冷却材の流れの道を細かく格子流路で仕切って防止し、逆流などを防いで、安定して効率よく冷却材を循環する。
【0029】
隣接する格子流路16間を仕切る格子構造物の金属性の板23,24,25,26には、格子流路16の内側に攪拌手段として攪拌装置1が、格子流路16の下端部分ないしは途中高さ部位に配備されている。攪拌装置1の配備個数と配置高さについては、必要に応じて任意に設定する。
【0030】
攪拌装置1は、図3のように、直角三角形の縦断面を有する突起19を、格子流路16を囲う4辺の各板23,24,25,26に固定して設ける構成を有する。その突起19の断面が直角三角形の斜辺部分は格子流路16の内側斜め下向きに向けられているので、板23,24,25,26に沿って上昇してきた冷却材は、図3の矢印に示す流線のように、格子流路16の中央部に向けて流れが変更させられ中央部を流れている冷却材と混合攪拌させるという機能を発揮する。
【0031】
このように、格子流路16の流路の内壁を構成する板23,24,25,26に、流路内壁に沿って上昇する液相の流れを流路中央方向へ向かう方向へ導くための突起19を設けている。
【0032】
突起19の形状は、流路入口から遠ざかるほど流路の内壁から突き出るような傾斜をつけている。このような突起19が設けられることで、図1に示すように、流路の内壁に接して流れる液膜が流路横断面中央部側へと強制的に集められ、図1の攪拌装置1の下方で発達した環状流やチャーン流の流動状態が、攪拌装置1より上方のように壊されて混合二相流2となる。
【0033】
なお、図3では突起19は、格子流路16を囲う前面、即ち流路4面に設置しているが、そうでなくてもよい。突起19の形状は、より円滑に二相流が導かれるように、曲面で構成されてもよい。なお、格子流路横断面内で突起19が占める割合は、小さすぎると攪拌が不十分になってしまうため、適切に設定する必要がある。
【0034】
この攪拌装置1により攪拌された気液二相流は、ある程度の高さを上昇すると次第に環状流の規模が発達してチャーン流の流動様式へと戻り、再び圧力変動荷重が増加する。よって、格子流路16にはある程度の上下間隔をおいて攪拌装置1を設置しておくことが好ましい。但し、攪拌装置1を過剰に設置することは、冷却材を循環させる際の圧力損失の増加を招くので必要最小限に抑える。
【0035】
このように、攪拌装置1の設置場所は、格子流路16内の外周とする。また、チムニー11を格子流路16に区切ることで、気液二相流の液相が格子流路の内壁に沿って流れる状態が作り出さることに成るので、格子流路の内壁側の液相が流れる領域のみに攪拌装置1を設置すればよく、突起19の突き出し長さはそれを考慮して短くなっている。
【0036】
好ましくは、一体の燃料集合体15に対して一本の格子流路16が対応するように各格子流路が炉心9の上方に配置されることが好ましい。このような好ましい形態の場合には、燃料集合体15の炉心9への装荷・引き抜きを上方から行うときに、突起19が装荷・引き抜きのための上下移動中の燃料集合体15に干渉しやすいので、その干渉が無い程度に、格子流路の内壁から突き出る長さを抑える。
【0037】
このように突起19の突き出し長さを抑えることで、突起19が燃料交換作業時の干渉とならないようにすることで、燃料交換作業時の作業工程の増加を抑え、経済性の向上に寄与することができる。また、突起19の突き出し長さを抑えることで、気液二相流が通過する際の圧力損失の増加を抑えることにも寄与できる。
【0038】
本発明の第2実施例は、以下の通りである。即ち、第2実施例は、図4のように、第1実施例の攪拌装置1を偏流装置20に置き換えたものである。その他の構成や作用は第1実施例と同様なので説明を省略する。
【0039】
第2実施例では、図4に示すように、格子流路16の下端である入り口もしくは途中に、格子流路16の内壁に沿って流れる液膜流を流路横断面の一方向へ導いて、液相が流路断面内の一方向へ偏って上昇する状態21を作り出す偏流装置20を設ける。この偏流装置20で気液二相流を偏流させることで、発達した気液二相流が通過する際に生じる、格子流路16の内壁を成す格子構造物の板23,24,25,26に掛かる圧力変動荷重の発生を抑制することができる。
【0040】
第1実施例と同様に、偏流装置20の設置場所は、格子流路16内の内周囲のみとし、大きさに関しては、格子流路16の内壁から格子流路16横断面中央側へ突き出る長さを、燃料集合体の装荷・引き抜きの際干渉しない程度に抑える。
【0041】
偏流装置20の具体的な構造の一例を図5に示す。ここでは、格子流路16内に、気液二相流の内の液相の流れを板23側に気相の流れを板25側に沿って上昇させるように、板23に近づくに従い高くなる傾斜となる姿勢で板24,25,26に傾斜突起22を固定する。このような傾斜突起22は、金属製の板を上下方向に傾斜して板24,25,
26に結合することで構成できる。
【0042】
このように傾斜がつけられた傾斜突起21を格子流路16内に突き出して設けているので、板24,25,26に沿って下方から上昇してきた気液二相流の内の液膜は、この傾斜に導かれて流れ方向が板23に向かい、偏流装置20上方で液相が格子流路横断面の一方向(板23側)に偏って集合し、板25側に気液二相流の内の気相が偏って集合する状態の気液二相流の流れを作りだす。なお、傾斜突起21の形状は、より円滑に格子流路
16内の流れが導かれるよう、曲線形状で傾斜させてもよい。
【0043】
本実施例では、図4に示すように、格子流路16内をチャーン流の流動様式で上昇してきた気液二相流の環状流の液相を強制的に偏向させて気相と液相の各流れを左右に分けて環状流を破壊し、偏流装置20の上方で気液二相流の左右分離状態を作り出し、攪拌装置1の上方での環状流の発達やチャーン流の流動様式の発生を抑制する。これにより、気液二相流が格子流路を通過する際に生じる、格子構造物の格子の4辺を成す板23,24,25,26に掛かる圧力変動荷重の発生を抑制することができる。
【0044】
このように、本発明の各実施例によれば、チムニー11内を仕切って複数の格子流路
16を採用した原子炉にあっても、格子流路16内の気液二相流を強制的に攪拌、もしくは偏流させる機能を持たせ、環状流への発達を防止することで、チャーン流の流動状態で発生する、圧力変動の発生を抑制することが出来る。
【0045】
したがって、本発明の各実施例によれば、格子流路13の仕切りを成す構造物にかかる圧力変動荷重をなくす、あるいは十分低減することができ、原子炉運転期間中のチムニー11や格子流路13の損傷の可能性を小さくすることができる。そのため、長期間の使用にも耐えられ、原子炉定期点検時の点検・保守の手間も省け、万一の場合のチムニー11や格子流路13の仕切り構造物の交換の回数をなくすか減らすことができ、交換時のプラント停止による経済損失を最小限に収めることができる。さらに、チムニー11内に格子構造を具備させても、燃料交換時の燃料集合体の移動の邪魔にならないような構造とすることで、燃料交換時の工程の増加を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、原子力発電所の原子炉に適用され、例えば、炉心上部のチムニー内での気液二相流のチャーン流に起因する圧力変動を抑制するのに利用される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施例による原子炉炉心上方における格子流路内の気液二相流の流動の様子を表す格子流路の縦断面図である。
【図2】本発明が実施される自然循環型沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器の縦断面図である。
【図3】図1の攪拌装置の一部切り欠き表示による斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例による原子炉炉心上方における格子流路内の気液二相流の流動の様子を表す格子流路の縦断面図である。
【図5】図4の偏流装置の一部切り欠き表示による斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1…攪拌装置、2…混合二相流、5…原子炉圧力容器、6…給水ノズル、7…ダウンカマ、9…炉心、10…上部格子板、11…チムニー、16…格子流路、17…炉心シュラウド、19…突起、20…偏流装置、22…傾斜突起、23,24,25,26…板。




 

 


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