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発明の名称 構造物処理方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−85855(P2007−85855A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−274284(P2005−274284)
出願日 平成17年9月21日(2005.9.21)
代理人 【識別番号】100093492
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 市郎
発明者 渡辺 敦志 / 西岡 映二 / 長瀬 誠 / 清水 禎人
要約 課題
廃棄物量を抑制しながら原子炉内構造物の切断作業が短期間化できるようにした構造物処理方法を提供すること。

解決手段
原子炉圧力容器14内で旧シュラウド1を一次切断し、ドライヤセパレータプール13に搬出して搬出後シュラウド2とし、炉外で二次切断して処理する際、一次切断装置20と二次切断装置21の双方に、アルミナを切断助剤に用いたアブレッシブウォータージェット切断装置を同じく適用し、切断時の二次生成物を回収する装置も同一化できるようにしたもの。これにより放射性廃棄量が低減でき、原子炉内の錆の発生を抑えて洗浄作業量の増加を抑えることができ、工期短縮が得られることになる。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器内の構造物を一次切断作業により複数の部分に切断した後、前記複数の部分の夫々を二次切断作業により更に細断する方式の構造物処理方法において、
前記一次切断作業と前記二次切断作業の双方に、酸化アルミニウムを切断助剤に用いたアブレッシブウォータージェット切断法が適用されていることを特徴とする構造物処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の構造物処理方法において、
前記構造物がシュラウドであり、前記複数の部分が、前記シュラウドを軸方向に分割した部分と周方向に分割した部分の少なくとも一方の部分であることを特徴とする構造物処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の構造物処理方法において、
前記構造物がシュラウドであり、前記複数の部分が、前記シュラウドの上半分を周方向に4等分した部分と下半分の部分であることを特徴とする構造物処理方法。
【請求項4】
請求項1に記載の構造物処理方法において、
前記構造物がシュラウドであり、前記複数の部分が、前記シュラウドの上側の部分と中間の部分、それに下側の部分であることを特徴とする構造物処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の構造物処理方法において、
前記一次切断作業と前記二次切断除去作業の双方に共通の二次生成物回収装置が適用さていることを特徴とする構造材処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の構造物処理方法において、
前記二次生成物回収装置は、遠心分離装置とフィルタ装置の少なくとも一方を備えていることを特徴とする構造材処理方法。
【請求項7】
請求項5に記載の構造物処理方法において、
前記二次生成物回収装置が、二次生成物の吸引口の個数と同数以上の個数の排水口を備えていることを特徴とする構造材処理方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、水流に混入させた切断助剤を対象物に衝突させて切断加工する構造物処理方法に係り、特に原子力プラント構造物の予防保全作業に伴う構造物の処理に好適な構造物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新材料による原子炉内構造物の開発が進み、使用期間が長期にわたる原子力発電プラントの増加も進むにつれ、原子炉の改修や更新が広く検討されるようになり、これに伴い、古くなって交換される原子炉内構造物の処理が必要になっているが、中でも、沸騰水型原子炉のシュラウドを交換する場合には、既設のシュラウドを炉内から搬出するための一次切断と、搬出したシュラウドを廃棄保管するために細断する二次切断が必要になる。
【0003】
ところで、このとき一次切断に関しては、これまでロールカッターによる切断や放電加工切断が主として用いられ、二次切断に関しては、プラズマ切断や切断助剤を水流に混合させるアブレッシブウォータージェット切断が水中切断技術として適用されている。
【0004】
このときロールカッターや放電加工による切断が一次切断に適用されている理由は、切断に伴って発生する粉塵が少ないためであるが、しかし、これらには切断速度が遅いという問題がある。一方、アブレッシブウォータージェット法は切断速度が速く、放射能を有する気体が発生しないという理由から、主として二次切断で使用されているが、しかし、構造材の切断や加工時に大量の切断助剤を衝突させる必要があるため、切断助剤の破片を回収する装置が大型化することが問題となる。
【0005】
また、アブレッシブウォータージェット法では、鋳鋼を切断助剤として用いる場合があるが、この場合は、腐食によって発生する錆が放射能を含んで機器や原子炉内面に付着するため、作業後の洗浄や除染に関わる作業量が多くなり、従って、工期の短縮化に関して要求が強い一次切断作業には適用されていないのである。
【0006】
このとき切断粉や切断助剤を回収するため遠心分離を行う方法やフィルタろ過を行う手法が知られている。このとき、切断作業を行うプール内に専用容器を設置し、限られた空間で作業を行うことで回収効率を向上させる方法が、従来から提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0007】
また、このときの回収方法として密度差を利用した沈降分離を用いる方法についても、従来から提案がなされている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平7−84094号公報
【特許文献2】特開平8−233972号公報
【特許文献3】特許第3249421号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術では、原子炉内の構造物を切断する場合、上述のように、作業工程に影響が大きい一次切断に際しては、加工速度が遅くても、洗浄作業や除染作業が不要な切断工法を採用し、二次切断では、洗浄等の作業を必要としても速度を重視した切断工法を選定しているのが現状である。
【0009】
しかし、一次切断と二次切断で切断工法が異なると、水中や気中に放出される切断粉や気体等の二次生成物の量や粒径分布も一次切断と二次切断で異なってしまうので、この場合は、二次生成物を高効率回収する設備を一次切断と二次切断のそれぞれの切断工法毎に異なったものとして準備しなければならず、使用後は放射性廃棄物として処分する必要があり、このため、放射性廃棄物量及び設備物量が増大し、これと共にコストも増加してしまい、更には回収設備を設置するスペースの確保も問題になってしまう。
【0010】
本発明の目的は、廃棄物量を抑制しながら原子炉内構造物の切断作業が短期間化できるようにした構造物処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、原子炉圧力容器内の構造物を一次切断作業により複数の部分に切断した後、前記複数の部分の夫々を二次切断作業により更に細断する方式の構造物処理方法において、前記一次切断作業と前記二次切断作業の双方に、酸化アルミニウムを切断助剤に用いたアブレッシブウォータージェット切断法が適用されていることにより達成される。
【0012】
このとき、前記構造物がシュラウドであり、前記複数の部分が、前記シュラウドを軸方向に分割した部分と周方向に分割した部分の少なくとも一方の部分であるようにしてもよく、同じく、前記構造物がシュラウドであり、前記複数の部分が、前記シュラウドの上半分を周方向に4等分した部分と下半分の部分であるようにしても、更に、このとき、前記構造物がシュラウドであり、前記複数の部分が、前記シュラウドの上側の部分と中間の部分、それに下側の部分であるようにしてもよい。
【0013】
また、このとき、前記一次切断作業と前記二次切断除去作業の双方に共通の二次生成物回収装置が適用さているようにしても上記目的が達成され、ここで、前記二次生成物回収装置は、遠心分離装置とフィルタ装置の少なくとも一方を備えているようにしてもよく、このとき、二次生成物回収装置が、二次生成物の吸引口の個数と同数以上の個数の排水口を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、既設構造物の取り外しにおける一次切断と二次切断の双方に酸化アルミニウムを切断助剤に用いたアブレッシブウォータージェット切断方法を用いるようにしたので、二次生成物の回収に同一の設備が適用できるようになり、この結果、処理に伴う廃棄物の量を抑制することができ、このとき切断助剤として錆が発生しない酸化アルミニウムを用いていることから、原子炉内の洗浄作業や除染作業が簡便になる。
【0015】
また、本発明によれぱ、既設シュラウドを対象にした場合、それを原子炉内から除去する手順において、シュラウド上半分の4分割化を前提とすることができ、この場合、作業工程の短縮を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明による構造物処理方法について、図示の実施の形態により詳細に説明すると、ここで、まず、図1は、本発明を、原子炉のシュラウドと呼ばれている構造体の取替工事に適用した際の一実施形態における主な作業工程を示したものであり、このとき、図の左側にあるステップ(01)からステップ(17)までは、原子炉側での処理であり、図の右側にあるステップ(21)からステップ(24)までの処理と、ステップ(31)からステップ(34)までの処理は、原子炉外での処理である。
【0017】
そこで、まず、ステップ(01)からステップ(17)までの原子炉側での処理について説明すると、この場合は、対象となる原子炉の停止が前提になり(01)、この後、圧力容器を開放する(02)。そして、このときの作業に干渉する虞がある燃料を取出して保管し(03)、同じく虞がある炉内機器を取出す(04)。次いで切断加工装置を設置して(05)、1回目のシュラウド一次切断を行ない(06)、旧シュラウドから上部シュラウドを切り離す。このときのシュラウドの切断位置は右上に図示されている通りでああり、ここで旧シュラウドとは、このとき交換の対象となっている既設のシュラウドのことである。
【0018】
この後、一旦、切断加工装置を原子炉内から撤去し(07)、次いで旧シュラウドから切り離された上部シュラウドを搬出する(08)。このとき、上記したように、シュラウドの上半分を輪切りにし、上部シュラウドとして切り離しているのは、ドライヤセパレータプール(後述)の水深により放射能の遮蔽が可能になるようにするためで、切り離されたシュラウドが大きいと、ドライヤセパレータプールの水深では放射能の遮蔽が困難になってしまうからである。
【0019】
上部シュラウドが搬出されたら再度、切断加工装置を設置する(09)。そして、2回目のシュラウド一次切断を行ない(10)、今度は下部シュラウドを切り離す。このときのシュラウドの切断位置も右上に図示されている通りであり、この後、最終的に切断加工装置を原子炉内から撤去し(11)、続いて旧シュラウドから切り離された下部シュラウドを搬出する(12)。
【0020】
この後は、まず、原子炉とドライヤセパレータプールの間仕切りとなるゲートを閉止して新たなシュラウドを炉内に取付け(13)、続いて炉内機器を元の通りに復旧させ(14)、燃料を炉内に再装荷する(15)。そして、圧力容器閉止を行い(16)、原子炉を再起動するのである(17)。
【0021】
次に、原子炉外での処理について説明する。ここで、この実施形態では、上記したように、原子炉側でのシュラウド一次切断を1回目と2回目に分けて2回、実行するようになっている。そこで、この原子炉外での処理も、ステップ(21)からステップ(24)までの処理と、ステップ(31)からステップ(34)までの処理に分かれているが、しかし、これらは同じ処理であり、従って、以下、並行して説明することにする。
【0022】
ここでは、まずステップ(08)で搬出された上部シュラウドとステップ(12)で搬出された下部シュラウドが、各々ドライヤセパレータプールに移動される(21)、(31)。次に、それらがドライヤセパレータプールの中で二次切断され(22)、(32)、切断片として搬出される(23)、(33)。この後、サイトバンカプールに保管されるのである(24)、(34)。
【0023】
以上のように、この実施形態では、シュラウド一次切断を1回目と2回目に分けて実行し、その都度、二次切断をしながら原子炉側での処理を続行しているが、このとき、一次切断と二次切断に同一の切断工法を用いた点が特徴であり、以下、この点について、更に具体的に説明する。
【0024】
まず、図2は、本発明の一実施形態による図1の処理において、ステップ(01)からステップ(04)までの処理が終わったときの原子炉を示したもので、ここには、作業に干渉する虞のある燃料や炉内機器が取り出された原子炉圧力容器14が示されている。そして、ここには、更に原子炉ウエル11、燃料プール12、ドライヤセパレータプール13、制御棒案内管16、ジェットポンプ15、それに旧シュラウド1が示されている。
【0025】
次に、図3には、旧シュラウド1が中間部分で切断され、上半分と下半分に2分割された後、上半分が天井クレーン33で吊り上げられ、ドライヤセパレータプール13に搬出している状況が示されている(ステップ(08)からステップ(21)、ステップ(12)からステップ(31))。ここで、旧シュラウド1を2分割する理由は、水面での放射線量を考慮した点にある。
【0026】
既に説明したように、ドライヤセパレータプール13に移送した場合、水深が原子炉内での水深より浅くなり、水による放射能の遮蔽効果が減少してしまう。従って、旧シュラウド1を1回で搬送したのでは、その大きさから水面が近くなって被爆の虞が生じてしまうためである。
【0027】
搬出された上半分のシュラウドは、搬出後シュラウド2として二次切断用架台22上に載置され、この後、細断されてサイトバンカープール(図示しない)に保管される(ステップ(22)からステップ(24))。ここで、この二次切断は、シュラウド以外の炉内機器を対象とすることも可能であり、この場合、切断片は放射能量に応じてサイトバンカープールや規定の容器に保管されることになる。
【0028】
次に、図4は、上半分のシュラウドの細断が完了し、ドライヤセパレータプール内に障害物が無くなった段階で、旧シュラウド1の下半分を切断後、今度は、下半分が天井クレーン33で吊り上げられてドライヤセパレータプール13に搬出され、同じく搬出後シュラウド2として二次切断用架台22上に載置されている状況を示したものである(ステップ(12)からステップ(31))。このときゲート25が閉止されている。
【0029】
そして、この後、細断されてサイトバンカープール(図示しない)に保管される(ステップ(32)からステップ(34))。こうして原子炉内から旧シュラウド1が除去されたら、更にジェットポンプ15を除去し、ここで、新シュラウドを取り付けるため、原子炉内の水位が下げられる。この結果、図5に示す状態になり、ここから新たなシュラウドを取付ける作業に移行し、更に原子炉を起動するまでの作業を実行することができる(ステップ(13)からステップ(17))。
【0030】
次に、ステップ(06)とステップ(10)における一次切断と、ステップ(22)とステップ(32)における二次切断について、図6の実施形態により説明すると、この図の上面図と側面図において、一次切断装置20と二次切断装置21は、何れも水流に切断助剤を混入させるアブレッシブウォータージェット切断法を用いたもので、このとき水中や気中に放出される切断粉や気体などの二次生成物は、それぞれ同じ種類の回収装置40により回収するようになっている。
【0031】
そして、まず、一次切断装置20は、一次切断用架台22の上に設置され、この一次切断用架台22により、ウォータージェットが周方向と軸方向に移動走査されて旧シュラウド1を切断する。このため、この一次切断用架台22は、旧シュラウド1の中で制御棒案内管16の上に載置されている。
【0032】
次に、二次切断装置21は、操作用台車35に固定された上下移動装置24に取付けられ、この上下移動装置24により、搬出後シュラウド1の中でウォータージェットが上下方向に走査され、二次切断用架台23を回転させることにより、搬出後シュラウド2がウォータージェットにより細断される。
【0033】
このとき操作用台車35は車輪を備え、台車レール36に沿って走行移動することができ、従って、旧シュラウド1を二次切断用架台23に設置する場合や、シュラウド以外の炉内機器を切断する場合には、ドライヤセパレータプール13内の任意の位置に二次切断装置21を移動させることができる。
【0034】
一次切断装置20と二次切断装置21のそれぞれには、高圧水供給管33を介して高圧水ポンプ31が各々接続され、同じく切断助剤3を格納し切断助剤供給装置32が、切断助剤供給管34を介して接続されている。ここで、これら一次切断装置20と二次切断装置21は、原理や構成、性能が同じものを2式用意し、各々を個別に使用している。具体的には、切断助剤3に酸化アルミニウム(以下、アルミナという)を用いたアブレッシブウォータージェット切断装置が一次切断装置20と二次切断装置21のそれぞれに用いられている。
【0035】
このような作業の場合、機械装置の故障に備えて、予備機を準備しておくのが通例であり、工程遅延の観点からは予備機を準備しておく方が望ましいが、このとき、この実施形態によれば、一次切断装置と二次切断装置に同じものが使用できるので、相互に予備機として取り扱うことができ、この結果、原子炉内に必要以上の機材を持ち込むのが避けられると共に、工事コストを抑制することができる。
【0036】
このとき一次切断装置20と二次切断装置21の近傍には回収フード38がそれそれ設置されていて、切断に伴って発生する二次生成物は、この回収フード38を吸引口として水と共に回収管37に取り込まれ、該回収管37を介して各々の回収装置40に吸引される。そして、これらの回収装置40により二次生成物が回収され、浄化された水が排水管39の排水口から原子炉ウエル11とドライヤセパレータプール13の中にそれぞれ戻される。
【0037】
この実施形態では、上記したように、アブレッシブウォータージェット切断に用いる切断助剤には酸化アルミニウム、つまりアルミナが用いられているが、これは、錆が発生しにくいからであり、この見地からすれば、他にもジルコニア、チタン、炭化ケイ素などが適用できることになるが、このときジルコニアやチタンはコスト高につき、炭化ケイ素は極めて細かな破砕片を発生させ、水の濁りが著しくなってしまうことから、結局、アルミナが適しているといえる。
【0038】
ここで、一次切断に鉄系の切断助剤を用いた場合は、原子炉内で炉面や切断装置の表面に残存付着したり、炉底に堆積して固着し、発錆してしまう点や放射能を帯びてしまう点が問題となるが、このとき切断助剤としてのアルミナの特徴は、水中溶解性が無く、電気絶縁性で腐食反応に不可欠である酸化反応が起きず、発錆しないことである。
【0039】
ここで、図7は、金属材料(炭素鋼、ステンレス鋼、タングステンカーバイド)に対する切断助剤(鋳鋼、酸化アルミニウム)の固着性を確認した結果を示したもので、これは、シュラウド切断時の二次生成物に含まれる代表核種であるコバルト60を、切断助剤と金属材料と共に容器(ケース)に入れ、計6ケース(金属材料3種×切断助剤2種)を3週間、純水中に浸漬した上で取り出し、内容物を流水洗浄した後で材料表面に固着している錆に含まれるコバルト60の放射能を測定した結果である。
【0040】
そして、この結果から、図示のように、アルミナと一緒に浸漬した場合の材料は放射能汚染が少ないが、鋳鋼と一緒に浸漬した場合は汚染が残存してしまうことが判った。これは、炭素鋼の場合、それ自体も鋳鋼の切断助剤と共に発錆してしまうためであると考えられる。このときアルミナの場合も、炭素鋼に対しては放射能が残存していたが、鋳鋼の場合に比較した場合、その1/10程度に抑制されており、放射能付着抑制効果が充分に見られた。
【0041】
一方、切断助剤にアルミナを用いた場合、ステンレス鋼とタングステンカーバイドに対しては、この図7から、ほとんど放射能付着が無いことが判り、ここで、原子炉内では主にステンレス鋼が使用されているため、アルミナを用いれば錆の発生がなく、放射能も付着しないことになり、従って、この実施形態によれば、洗浄や除染作業が不要になり、一次切断にアブレッシブウォータージェット切断を適用しても工程の遅延を招く虞の無いことが判る。
【0042】
次に、一次切断装置20の回収装置40と二次切断装置21の回収装置40について、図8により説明すると、これらの回収装置40は、それぞれ図示のように、架台41と吸引ポンプ42を備え、架台41には気水分離装置43と固液分離装置44が備えられ、その下には廃棄容器46が備えられているものである。
【0043】
そして、まず吸引ポンプ42により、回収フード38と回収管39を介して、二次生成物が含まれている水を吸引し、気水分離装置43により、水の中に含まれる気体を分離した後、更に水の中に含まれる切断粉などの固形物を、固液分離装置44により分離する。この後、フィルタ45により水をろ過清浄化し、排水管39から排水して炉水の中に戻すのである。
【0044】
二次生成物である切断粉や切断助剤は水よりも密度が大きく、このため気水分離装置43と固液分離装置44に通水されると装置の下部から排出され、架台41の中にある廃棄容器46の中に落下する。そこで、後で容易に回収することができる。このとき一次切断と二次切断が同一の切断方法になっているので、二次生成物の性状も同じであり、従って、この実施形態によれば、気水分離装置43や固液分離装置44、それにフィルタ45には、それぞれ同じ装置を準備すればよい。
【0045】
ところで、図8の実施形態では、気水分離装置43と固液分離装置44の双方が用いられているが、このとき気水分離装置43は気体と水の分離を行ない、固液分離装置44は水と切断除剤などの固体を分離するものであり、従って、いずれも密度差が十分大きく、このため、何れか一方の分離装置だけでも必要な分離が可能であり、従って、一方だけにしても良い。
【0046】
ここで分離装置には遠心分離装置を用いるのが好適で、このとき必要な分離性能が確保できれば、更にフィルタ45も除外し、吸引ポンプ42と気水分離装置43だけにしても良く、この場合、設置場所のスペースに合わせて、更に装置構成を簡略化することができる。
【0047】
ここで、個別に回収装置40を備えた図6の実施形態の場合、一次切断用の回収装置は原子炉ウエル11内に、二次切断用の回収装置はドライヤセパレータプール13に設置することになるが、このとき本発明においては、一次切断用と二次切断用に同じ回収装置が適用できる。
【0048】
そこで、図9の実施形態に示すように、一次切断用と二次切断用の回収装置40を共通化し、共用される1台の回収装置40をドライヤセパレータプール13に設置するようにしてもよい。更に詳しく説明すると、この図9の実施形態では、単一の回収装置40で構成されるため、排水管39は2箇所に設け、原子炉ウエル11側とドライヤセパレータ13側にそれぞれ排水させるようにする。
【0049】
これは、排水管39を一箇所だけにすると大量の水を排水する必要があるため、排水管39の口径が大きくなって操作性が低下したり、排水面が波打ちして水中に設置した機器の視認性が低下する虞があるためであり、このことを避けるためである。
【0050】
従って、この図9の実施形態によれば、原子炉ウエル11内に回収装置を設置する必要がないので、新シュラウドの取付け作業に際して広いスペースが確保できる。そして、この場合、設置場所はドライヤセパレータプール13に限らず、燃料プール12を設置場所に使用することもできる。
【0051】
また、この回収装置40は放射化したシュラウドの切断粉を扱うので、それ自体も放射性廃棄物になってしまうが、このとき、一次切断と二次切断に個別に2台、準備した場合に比較して、この実施形態では同一の回収装置で作業が実施できるため、廃棄すべき放射性廃棄物量が半分に抑制できる。
【0052】
次に、図10は、更に一次切断装置20と二次切断装置21とで、高圧ポンプ31と切断助剤供給装置32も共通化した場合の本発明の一実施形態で、この場合、更に装置コストが抑制できる。このため、図示のように、一次切断装置20の高圧水供給管33と切断助剤供給管34も、二次切断装置21の高圧水供給管33と切断助剤供給管34と一緒になって各々1台の高圧ポンプ31と切断助剤供給装置32に接続されている。
【0053】
次に、本発明の更に別の実施形態について、以下に説明すると、まず、図11は、旧シュラウドの一次切断に際して、シュラウドの上半分を更に周方向に4分割し、部分(イ)、部分(ロ)、部分(ハ)、部分(ニ)としてからドライヤセパレータプール13に搬出するようにした場合の一実施形態で、この場合、上半分が4分割された旧シュラウド1は、搬出後シュラウド2として二次切断用の架台23上に載置され、ここで軸方向に細断される。
【0054】
この図11の実施形態においては、原子炉内における旧シュラウド1の切断回数は増加するが、二次切断では矢印Xで示す直線方向の切断だけを実施すればよいため、二次切断における走査教示や架台調整が容易になり、従って、これらに必要な作業時間が短縮できる。
【0055】
また、図12は、一次切断において旧シュラウド1を切断する際、シュラウドを上下に3分割し、上部分(A)、中間部分(B)、下部分(C)としてからドライヤセパレータプール13に搬出するようにした場合の一実施形態で、この場合、上部分(A)は、上部格子板17が取付けられたままで二次切断用架台23に移送し、この後、中間部分(B)は、上部格子板17の上に移送する。そして、中間部分(B)を細断し、上部格子板17の上に積み重ねた後、上部格子板上17に下部分(C)を移送して二次切断するのである。
【0056】
この図12の実施形態においては、原子炉内における旧シュラウド1の切断長さは増加するが、上部格子板17を取外す必要がなく、二次切断では中間部分(B)の細断のみになるため、原子炉内の切断作業に要する時間を更に短縮させることができる。
【0057】
ここで、図13は、本発明の実施形態による作業ステップの概要を従来技術の場合の作業ステップと比較して示した説明図で、このとき、従来工法とは、図示のように、一切断には放電加工を用い、二次切断にはアブレッシブウォータージェット法を用いた場合であり、本発明1とは例えば図6で説明した実施形態においてシュラウドを上下に2分割した場合で、本発明2とは図11で説明したシュラウドの上半分を更に周方向に4分割した実施形態の場合であり、本発明3とは図12で説明したシュラウドを上下に3分割した実施形態の場合である。
【0058】
まず、一次切断を放電加工、二次切断をアブレッシブウォータージェット切断で実施した従来工法の場合、作業ステップ1では、一次切断として旧シュラウドの上半分を切断する。作業ステップ2では、一次切断として旧シュラウドの下半分を切断し、二次切断としては上半分の細断を実施する。そして、作業ステップ3では、上半分の二次切断による裁断が完了後、旧シュラウドの下半分を移送し、作業ステップ4で細断を実施する。
【0059】
この場合、一次切断と二次切断では切断作業時間が異なるので、移送する時期を必ずしも一致させることができない。
【0060】
次に、本発明1では、一次切断と二次切断をアブレッシブウォータージェット切断により実施しており、このため放電加工に比較して高速切断が可能になり、従って、作業ステップ1と作業ステップ2における原子炉内の作業時間が従来工法の場合よりも短縮されている。しかしながら、この本発明1のシュラウドを上半分と下半分に分割して細断する方法の場合、移送時期の一致は得るのが困難である。
【0061】
このとき、本発明2では、作業ステップ2において旧シュラウドの上半分の4分割切断と下半分の切断作業を実施している。この場合、予め4分割されているため、二次切断で細断に要する時間が短く、従って、作業ステップ2において、旧シュラウドの下半分の一次切断終了時と一致させて移送させることができ、この場合、旧シュラウドの下半分を移送したら、ここで原子炉ウエル11とドライヤセパレータプール13のゲート25を閉じることができる。
【0062】
ゲート25が閉じられれば原子炉ウエル11の水位を下げ、新シュラウドの取り付け作業に取り掛かることができ、このためゲートの締切り時期が、従来工法や本発明1の場合には作業ステップ3になってしまっていたのが、この本発明2では、作業ステップ2で達成でき、従って、工期が短縮できる。
【0063】
次に、本発明3では、旧シュラウドを上下に3分割にしたので、上部シュラウドと共に上部格子板17を移送することができ、従って、上部格子板17を取り外す必要がないため、作業ステップ1における炉内機器の切断に要する時間が削減できる。そのため、ステップ1における一次切断では、上部分に引き続いて中間部部分を切断して移送することができ、ステップ2では下部分の一次切断と中間部分の二次切断を行い、中間部分の細断終了後、下部分の移送が完了される。
【0064】
従って、本発明3は、本発明2よりもゲートを閉じる時期が早くでき、この結果、更に工期の短縮を得ることができる。
【0065】
ここで、以上は、本発明を原子炉のシュラウドに適用した場合の実施形態により説明したが、しかし、本発明はシュラウドに限らず、広く原子炉圧力容器内の構造物に適用可能なことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明による構造物処理方法の一実施形態による作業工程図である。
【図2】炉内機器を取り外した原子炉の一例を示す概要説明図である。
【図3】原子炉から一次切断したシュラウドの上半分を移送する際の手順を示す概要説明図である。
【図4】原子炉から一次切断したシュラウドの下半分を移送する際の手順を示す概要説明図である。
【図5】新シュラウドを取り付ける前の原子炉の一例を示す概要説明図である。
【図6】本発明による構造物処理方法の一実施形態が適用された原子炉の一例を示す概要説明図である。
【図7】切断した材料に付着した放射能量の測定結果の一例を示す特性図である。
【図8】本発明の一実施形態における回収装置の概要を示す構成図である。
【図9】本発明による構造物処理方法の第1の実施形態が適用された原子炉の一例を示す概要説明図である。
【図10】本発明による構造物処理方法の第2の実施形態が適用された原子炉の一例を示す概要説明図である。
【図11】本発明による構造物処理方法の第3の実施形態が適用された原子炉の一例を示す概要説明図である。
【図12】本発明による構造物処理方法の第4の実施形態が適用された原子炉の一例を示す概要説明図である。
【図13】本発明の実施形態による作業ステップを従来技術と対比して示した説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1:旧シュラウド
2:搬出後シュラウド
3:切断助剤(アルミナ)
11:原子炉ウエル
12:燃料プール
13:ドライヤセパレータプール
14:圧力容器
15:ジェットポンプ
16:制御棒案内管
17:上部格子板
20:一次切断装置(アルミナを切断助剤に用いたアブレッシブウォータージェット切断装置)
21:二次切断装置(アルミナを切断助剤に用いたアブレッシブウォータージェット切断装置)
22:一次切断用架台
23:二次切断用架台
24:上下移動装置
25:ゲート
31:高圧水ポンプ
32:切断助剤供給装置
33:高圧水供給管
34:切断助剤供給管
35:操作用台車
36:台車レール
37:回収管
38:回収フード
39:排水管
40:回収装置
41:回収装置架台
42:吸引ポンプ
43:気水分離装置
44:固液分離装置
45:フィルタ
46:廃棄容器




 

 


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