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発明の名称 沸騰水型原子力発電プラント及びその配管浄化方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−71800(P2007−71800A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−261499(P2005−261499)
出願日 平成17年9月9日(2005.9.9)
代理人 【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
発明者 大和田 一雄 / 会沢 元浩
要約 課題

原子力発電プラントの非常用炉心冷却系内の停滞水を浄化する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
注入隔離弁が装備された注入配管を備えて原子炉圧力容器内へ注水する非常用炉心冷却系と、
前記原子炉圧力容器内の冷却水を浄化する浄化装置を備え、
前記浄化装置で浄化された前記冷却水を前記原子炉圧力容器へ供給する原子炉冷却材浄化系と
前記注入配管の前記注入隔離弁よりも下流側部分と、前記原子炉冷却材浄化系の前記浄化装置よりも上流側部分とを連絡する管路とを備えた沸騰水型原子力発電プラント。
【請求項2】
請求項1において、前記管路は、前記管路内を流れる冷却水の流量を制御する弁を備えている沸騰水型原子力発電プラント。
【請求項3】
請求項1において、前記管路には前記管路内を流れる流量を制御する弁を備え、且つ前記管路の少なくとも途中部分が前記注入配管側と前記浄化装置へ前記冷却水を供給する吸込み配管側とに着脱自在な仮設ホースで構成されている沸騰水型原子力発電プラント。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項において、前記管路は前記非常用炉心冷却系の逆止弁に装備されている均圧弁の均圧配管に接続されている沸騰水型原子力発電プラント。
【請求項5】
沸騰水型原子力発電プラントの非常用炉心冷却系の注入隔離弁よりも下流側の注入配管内の水を、前記沸騰水型原子力発電プラントの原子炉冷却材浄化系内に吸い込んで浄化し、前記浄化の後の前記水を前記沸騰水型原子力発電プラントの原子炉圧力容器内に戻し、前記原子炉圧力容器内の水を前記注入隔離弁よりも下流側の前記注入配管内に流入させる沸騰水型原子力発電プラントの配管浄化方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子力発電プラントにおける非常用炉心冷却系注入配管内の浄化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子力発電プラントの非常用炉心冷却系は、残留熱除去系による低圧注水系の3系列と、低圧炉心スプレイ系及び高圧炉心スプレイ系の合計5系列構成となっている。
【0003】
その非常用炉心冷却系は原子炉圧力容器内の冷却材喪失事故時に、原子炉圧力容器へサプレッションプール水を供給して原子炉圧力容器内の水位を安全な水位に維持する機能を有する。
【0004】
よって、事故時状態で無い原子炉通常運転中には非常用炉心冷却系は待機状態であり、非常用炉心冷却系ポンプは停止し、原子炉への注入隔離弁も全閉状態であり、注入隔離弁と原子炉格納容器との間の注入配管内の流体(水)は、原子炉通常運転中の約1年間は常時停滞状態となっている。
【0005】
また、原子炉定期検査中において、原子炉格納容器内の非常用炉心冷却系注入配管上に設置している注入逆止弁等の点検頻度や計画工程にもよるが、注入隔離弁と原子炉格納容器との間の注入配管内の流体(水)は数年間停滞状態となって、錆び等の腐食生成物が注入配管内に発生する可能性がある。
【0006】
なお、非常用炉心冷却系の配管および弁等の材質は、一般的に炭素鋼材料を使用している。
【0007】
原子炉通常運転時および定期検査中における一般的な操作においては、この非常用炉心冷却系の注入配管内で発生した錆び等の腐食生成物は非常時以外には原子炉へ注水されることはない。
【0008】
なお、近年は原子力発電プラントの点検期間を短縮しそのプラントの稼動期間を多く確保することによりそのプラントの利用効率を向上させる取り組みが行われるようになった。点検期間短縮には点検作業の合理化,作業手順の見直し,交代勤務体制の導入等が検討されている。
【0009】
非常用炉心冷却系注入隔離弁と原子炉格納容器との間の注入配管内の水質を浄化することに関する先行技術は無いと考えますが、原子炉冷却材浄化系と非常用炉心冷却系の一部である残留熱除去系間を配管にて接続し、原子炉停止時冷却機能としての残留熱除去系熱交換器の放射能を低減して、定検時の作業員が受ける放射線量を低減する発明を記載したものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
特許文献1では、原子炉通常運転中に原子炉水を浄化する原子炉冷却材浄化系と、原子炉停止時に原子炉水を循環冷却する残留熱除去系間に接続管を設けることで、非常用炉心冷却系の一つである残留熱除去系の注入隔離弁上流側配管や熱交換器等に対し、原子炉冷却材浄化系出口の浄化された高温冷却水を常時通水させることで残留熱除去系に付着する放射能を低減し、定期検査時の作業員が受ける放射線量を低減できることが可能としているものである。
【0011】
【特許文献1】特開平9−68590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
原子力発電プラントの定期検査時には、原子炉圧力容器内と、原子炉圧力容器の上方を覆う位置に形成されている原子炉ウエルというプールに水を張って原子炉圧力容器内からの放射線を水で遮蔽することを実施する。
【0013】
原子炉圧力容器および原子炉ウェルへの水張りは復水貯蔵タンクより、補給水系の配管を経由して復水を供給することで行っている。その水張りに約1日を要していた。
【0014】
原子力発電プラントの点検期間を短縮し、そのプラントの利用効率を向上させる取り組みとして、定期検査時の原子炉圧力容器および原子炉ウェルへの水張り時間を短縮する工夫も行う必要がある。
【0015】
補給水系の配管は非常用炉心冷却系の配管および機器等の保守・点検前の洗浄用として、非常用炉心冷却系の注入隔離弁の上流側にも洗浄用配管が接続してあることから、この非常用炉心冷却水系の洗浄用配管を利用して原子炉圧力容器および原子炉ウェルへ復水を供給することにより、水張り時間の短縮を図る運用が考えられる。
【0016】
しかし、このような運用を行うと以下の課題に直面する。即ち、原子炉圧力容器および原子炉ウェルへの水張り時間短縮のため、非常用炉心冷却水系の洗浄用配管を利用して原子炉圧力容器および原子炉ウェルへの水張りラインとして使用する場合、非常用炉心冷却系注入配管のうち、注入隔離弁と原子炉圧力容器の間の配管内に長期間停滞した停滞水が原子炉圧力容器および原子炉ウェルに腐食生成物とともに供給され、一時的に原子炉水の透明度が低下する。そのために、水張り後に行われる原子炉内の点検作業および燃料装荷作業の実施が困難となる。各作業の実施を早めるためにも、原子炉冷却材浄化系による原子炉圧力容器内や原子炉ウェル内の水を浄化するが、その浄化が進むまで作業着手時間が遅れ、水張り時間の短縮効果が損なわれることが考えられる。
【0017】
さらに、炭素鋼配管で長期間停滞水となる領域では腐食生成物の蓄積量が増加するばかりではなく、蓄積した腐食生成物が凝集することが生じる。
【0018】
この凝集した腐食生成物が原子炉圧力容器底部に沈殿すると、原子炉冷却材浄化系による浄化が困難となり、原子炉圧力容器内に多くの腐食生成物が沈殿したまま運転を開始すると、運転中の燃料被覆管表面に付着する腐食生成物の量が増加し、さらには燃料から発せられる放射線により腐食生成物での放射性物質の量を増加させる結果となるので好ましくない。
【0019】
上述のように、炭素鋼材料で長期停滞水となる非常用炉心冷却系を用いて原子炉圧力容器および原子炉ウェルへの水張り時間の短縮を図るためには、非常用炉心冷却系の長期間停滞水となる範囲に蓄積する腐食生成物を除去するとともに、蓄積した腐食生成物が凝集することを防止することが望ましい。
【0020】
よって、本発明の目的は、沸騰水型原子力発電プラントの非常用炉心冷却系注入配管内の停滞水を浄化することで、そのプラントの定期検査を短縮し、そのプラントの稼動効率を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の目的を達成するための手段は、注入隔離弁が装備された注入配管を備えて原子炉圧力容器内へ注水する非常用炉心冷却系と、
前記原子炉圧力容器内の冷却水を浄化する浄化装置を備え、
前記浄化装置で浄化された前記冷却水を前記原子炉圧力容器へ供給する原子炉冷却材浄化系と、
前記注入配管の前記注入隔離弁よりも下流側部分と、前記原子炉冷却材浄化系の前記浄化装置よりも上流側部分とを連絡する管路とを備えた沸騰水型原子力発電プラントである。
【0022】
また、沸騰水型原子力発電プラントの非常用炉心冷却系の注入隔離弁よりも下流側の注入配管内の水を、前記沸騰水型原子力発電プラントの原子炉冷却材浄化系内に吸い込んで浄化し、前記浄化の後の前記水を前記沸騰水型原子力発電プラントの原子炉圧力容器内に戻し、前記原子炉圧力容器内の水を前記注入隔離弁よりも下流側の前記注入配管内に流入させる沸騰水型原子力発電プラントの配管浄化方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、沸騰水型原子力発電所プラントにおける非常用炉心冷却系の注入隔離弁と原子炉圧力容器との間の注入配管内での腐食生成物の形成を抑えることが出来るので、原子力発電プラントの定期検査中にその注入配管経由で原子炉圧力容器および原子炉ウェルに水張りしても、定期検査を長引かせることなく、そのプラントの稼動効率を向上できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
軽水型原子力発電プラントは、原子炉圧力容器1内で高温高圧蒸気を発生させ、その蒸気で蒸気タービンを駆動し、その蒸気タービンで発電機を駆動することで電力を発生させるプラントである。その原子炉圧力容器1は、核燃料を装荷した炉心を内蔵し、原子炉圧力容器1内の冷却水を原子炉冷却材再循環ポンプ5で原子炉冷却材再循環系配管6を経由して炉心へ循環させ、炉心でその冷却水を加熱して蒸気を発生している。このように、その原子炉圧力容器1には、核燃料を装荷した炉心を備えているので、放射線や放射性物質が意図しない状況で漏洩しない様に原子炉圧力容器1を原子炉格納容器2内に格納されている。
【0025】
その原子炉圧力容器1から冷却水が喪失するような事故を想定した場合には、冷却水の喪失で炉心が冷却水の水面から上方へ露出して冷却できなくなる懸念がある。その懸念を払拭して安全に冷却水喪失事故を終息させるために、原子炉圧力容器1内に冷却水を供給する非常用炉心冷却系が備えられている。
【0026】
軽水型原子力発電プラントにおける非常用炉心冷却系は、残留熱除去系による低圧注水系7を3系列と、低圧炉心スプレイ系8および高圧炉心スプレイ系9の合計5系列の構成となっている。これら非常用炉心冷却系の5系統の構成はいずれも基本的に同一構成であるため、その5系列を代表して高圧炉心スプレイ系9を非常用炉心冷却系と称して以下に例示する。
【0027】
非常用炉心冷却系は、原子炉格納容器2内に装備されているサプレションプール3内のサプレションプール水4を一水源としている。非常用炉心冷却系は、非常用炉心冷却系注入配管12の一端がサプレションプール3内に、他端が原子炉圧力容器1内に連通している。その非常用炉心冷却系注入配管12の途中には、非常用炉心冷却系ポンプ11が設けられている。その非常用炉心冷却系ポンプ11は、サプレションプール3水を非常用炉心冷却系注入配管12に吸い込んで原子炉圧力容器1内へ非常用炉心冷却系注入配管12を通じて供給する駆動力を発揮する。そのため、非常用炉心冷却系においては、サプレションプール3側が上流で、原子炉圧力容器1側が下流となる水の流れとなる。
【0028】
非常用炉心冷却系注入配管12の非常用炉心冷却系ポンプ11よりも下流側の非常用炉心冷却系注入配管12の途中には、原子炉格納容器2の外側において、注入隔離弁13が装備され、サプレションプール3水の原子炉圧力容器1内への供給と停止を司っている。
【0029】
非常用炉心冷却系注入配管12の原子炉格納容器2内の部分には、注入逆止弁14が、原子炉圧力容器1からサプレションプール3側への逆流を防止する向きにして、装備されている。さらに、その注入逆止弁14よりも原子炉圧力容器1寄りの非常用炉心冷却系注入配管12の部分には、メンテナンス用止め弁15が装備されている。そのメンテナンス用止め弁15は、注入逆止弁14を分解点検する際に、原子炉圧力容器1内の冷却水が注入逆止弁14に到達しないように非常用炉心冷却系注入配管12を締め切るのに用いられ、その点検以外の時期においては常時開かれているものである。
【0030】
非常用炉心冷却系注入配管12の非常用炉心冷却系ポンプ11と注入隔離弁13との間の部分には、テストライン17を成す配管の一端が接続され、その配管の他端はサプレションプール3内に接続されている。そのテストライン17の途中部分には、テスト弁16が装備され、非常用炉心冷却系のテストの際、非常用炉心冷却系ポンプ11を試運転時に開かれ、その他の場合には閉じられている。
【0031】
注入隔離弁13と、テストライン17の非常用炉心冷却系注入配管12への接続部と、の間の非常用炉心冷却系注入配管12の部分には、非常用炉心冷却系洗浄用配管41が洗浄弁42と逆止弁とを介して接続されている。この非常用炉心冷却系洗浄用配管41は復水補給水系を構成している配管であり、復水補給水系内のポンプで復水貯蔵タンク等に内蔵した水を高圧にて非常用炉心冷却系注入配管12内に注入して非常用炉心冷却系注入配管12内や非常用炉心冷却系ポンプ11を洗浄することが出来る。その洗浄に際しては、洗浄弁42が開かれる。
【0032】
非常用炉心冷却系のA部を拡大して表したA部(詳細図)に示すように、非常用炉心冷却系注入配管12に装備されている注入逆止弁14には、注入逆止弁14の上流側と下流側との圧力差を均等圧力にする均圧弁19が装備されている。その均圧弁19と注入逆止弁14とは一対の均圧配管18で接続され、原子炉圧力容器1内と同等圧を受ける原子炉圧力容器1寄りの均圧配管と、非常用炉心冷却系注入配管12内と同等圧を受ける注入隔離弁13寄りの均圧配管とで一対をなしている。注入逆止弁14の点検などにおいては、均圧弁19を開いて注入逆止弁14の上流側と下流側との間の差圧を無くして点検できるようにする。原子力発電プラントの点検時以外においては、均圧弁19は閉じられて注入逆止弁14の機能が発揮できるようにされている。
【0033】
注入隔離弁13寄りの均圧配管18には、ドレン配管20が接続されている。ドレン配管20には直列に二個のドレン弁21を装備している。メンテナンス用止め弁15を閉じてドレン弁21と均圧弁19を開くと、メンテナンス用止め弁15と注入隔離弁13との間の非常用炉心冷却系注入配管12内の水がドレン配管20やドレン弁21を通じて排水処理設備へ送られ、注入逆止弁14の点検が可能となる。
【0034】
次に、原子炉冷却材浄化系について説明する。軽水型原子力発電プラントに装備されている原子炉冷却材浄化系は、原子炉冷却材再循環系配管6と原子炉給水系配管34とを接続する原子炉冷却材浄化系吸込み配管31とを有する。その原子炉給水系配管34は原子炉圧力容器1へ接続され、蒸気タービンで使用された蒸気を凝縮した復水を原子炉圧力容器1内に供給する流路となっている。
【0035】
原子炉冷却材浄化系吸込み配管31は、原子炉冷却材浄化系ポンプ32及び原子炉冷却材浄化系浄化設備(例えば、脱塩器が用いられる。)33を直列に接続している。このような原子炉冷却材浄化系は原子炉冷却材浄化系ポンプ32を作動させて原子炉冷却材再循環系配管6や原子炉圧力容器1内から冷却水を原子炉冷却材浄化系吸込み配管31内に吸い込み、同配管を通じて原子炉冷却材浄化系浄化設備33へ供給できる。ここで冷却水は原子炉冷却材浄化系浄化設備33によって浄化される。原子炉冷却材浄化系浄化設備33で浄化された冷却水は、原子炉冷却材浄化系吸込み配管31から原子炉給水系配管34内に供給され、原子炉給水系配管34を通じて原子圧力容器1内へ供給できる。
【0036】
このような原子炉冷却材浄化系と、非常用炉心冷却系とは、以下のようにして接続可能としてある。即ち、二個のドレン弁21の間に位置するドレン配管20の部分には、浄化用配管101の一端が接続され、その他端は、原子炉冷却材浄化系吸込み配管31の、原子炉冷却材浄化系ポンプ32と原子炉冷却材再循環系配管6との間に位置する部分に接続されている。
【0037】
この浄化用配管101のドレン配管20寄りの部位には、止め弁102が設けられ、浄化用配管101の原子炉冷却材浄化系吸込み配管31寄り部位には、止め弁103が設けられている。これら止め弁102,103は、原子力発電所プラントの定期検査に際して開かれ、その他の時期には閉じられている。
【0038】
その定期検査時においては、メンテナンス用止め弁15と均圧弁19と均圧弁19寄りのドレン弁21を開いた状態で、浄化用配管101上の各止め弁102,103を開くと、原子炉冷却材浄化系ポンプ32で注入逆止弁14と原子炉圧力容器1との間の非常用炉心冷却系注入配管12内の水が腐食生成物を同伴して均圧配管18からドレン配管20を経由して浄化用配管101内に吸い込まれる。さらに、浄化用配管101内に吸い込まれた水は、原子炉冷却材浄化系吸込み配管31内に入って、原子炉冷却材浄化系浄化設備
33によって腐食生成物が取り除かれて浄化され、原子炉給水系配管34経由で原子炉圧力容器1内に供給される。
【0039】
非常用炉心冷却系注入配管12内の水が原子炉冷却材浄化系ポンプ32で浄化用配管
101側に吸い込まれるのに伴って、原子炉圧力容器1内の冷却水は、非常用炉心冷却系注入配管12内に入り、非常用炉心冷却系注入配管12内に残存している腐食生成物を同伴して再度同様な浄化作用を受ける。このような浄化作用を繰り返して行うことによって逆止弁と原子炉圧力容器1との間の非常用炉心冷却系注入配管12内が洗浄される。
【0040】
原子炉圧力容器1内や原子炉ウェル内に水を張る際には、洗浄弁42と注入隔離弁13とメンテナンス用止め弁15を開いておく。この状態で、復水補給水系から水が非常用炉心冷却系注入配管12内を通じて原子炉圧力容器1内や原子炉ウェル内へ供給できる。その水を原子炉圧力容器1内や原子炉ウェル内へ供給する際に、非常用炉心冷却系注入配管12内を定期検査ごとに浄化してあるので、腐食性生物などの水の透明度を悪化する要因を原子炉圧力容器1内や原子炉ウェル内に同伴することが無く、定期検査作業を早期に行えるようになる。
【0041】
以上のような構成を備えている原子力発電プラントにあっては、原子炉通常運転中には非常用炉心冷却系は待機状態であり、非常用炉心冷却系ポンプ11は停止状態で、かつ、原子炉圧力容器1への注入隔離弁13も全閉状態である。
【0042】
ただし、非常用炉心冷却系ポンプ11の機能が健全であることを確認するため月1回の頻度で非常用炉心冷却系ポンプ11を起動させる。この際にも原子炉圧力容器1への注入隔離弁13は全閉状態のままであるがテスト弁16は開かれている状態とする。このような状態では、サプレッションプール3からサプレションプール水4を非常用炉心冷却系ポンプ11で吸引し、テスト弁16およびテストライン17を通じて吸引したサプレションプール水4をサプレションプール3へ戻す循環運転でポンプテスト運転を行うことで非常用炉心冷却系ポンプ11の健全性の確認を実施している。
【0043】
また、原子炉圧力容器1への注入隔離弁13の機能が健全であることについても、前記のポンプテスト運転とは別に、月1回の頻度で注入隔離弁13の開動作試験を実施している。この際、原子炉圧力容器1内の高圧水が系統側へ逆流することが無いように、注入隔離弁13下流側に注入逆止弁14が機能している。
【0044】
このように非常用炉心冷却系の構成機器のテストで、非常用炉心冷却系の注入隔離弁
13から原子炉圧力容器の間に設置されている非常用炉心冷却系注入配管12(原子炉格納容器2内に設置されている。)内の流体は、原子炉通常運転中の約1年間は常時停滞状態となっている。
【0045】
原子力発電プラントの定期検査中において、原子炉格納容器2内の非常用炉心冷却系注入配管12上に設置している注入逆止弁14や均圧弁19の開放点検等を行う場合には、非常用炉心冷却系注入配管12内の水をドレン配管20を使用してドレン系および廃棄物処理系などの処理設備へ排水している。ここで、ドレン配管20を使用しての水抜き時には、開放端であるドレン受口から水が飛散したりしないように、ドレン弁21の開度に注意を払いながら排水しており、炭素鋼材料である非常用炉心冷却系注入配管12内で発生した錆び等の腐食生成物のうち、水の色を赤茶色に変えるような微粒子状のものは水抜きによって排水可能である。
【0046】
しかし、炭素鋼配管である非常用炉心冷却系注入配管12内に長期間停滞水を生じる領域、即ち非常用炉心冷却系の注入隔離弁13から原子炉圧力容器の間に設置されている非常用炉心冷却系注入配管12内、では腐食生成物の蓄積量が増加するばかりではなく、蓄積した腐食生成物が凝集することが生じる。特に、炭素鋼配管で長期間停滞水となる環境に、さらに常時酸素の供給があり、腐食生成物の結晶成長が起こる100℃程度以下の適度な温度に保たれる領域では、腐食生成物の凝集が加速する可能性を有すると考えられる。
【0047】
ここで、非常用炉心冷却系の注入配管は図1のA部詳細図に示すように、原子炉格納容器2内で立ち上がって原子炉圧力容器1へ接続している。このため、原子炉圧力容器1内の約280℃に至る高温水は接続部水平配管領域までは同一条件となるが、立ち上がり配管部の上部から下方側にかけて熱伝達効果はあるものの徐々に温度は低下し、注入逆止弁14が設置されている水平配管付近では、原子炉格納容器2内の雰囲気温度である80℃程度まで低下する。
【0048】
また、原子炉が運転中における冷却水中には、原子炉圧力容器1内での放射線による冷却水の放射線による分解反応によって酸素が発生する。よって、原子炉圧力容器1から注入逆止弁14の間の非常用炉心冷却系注入配管12内には充分な酸素の供給があるものと言える。なお、立ち上がり形状を有する非常用炉心冷却系注入配管のルートは、下部が広くて上部が狭い原子炉格納容器2の構造上やむ得ないものである。
【0049】
よって、凝集した腐食性生物を形成させないための有効な手段としては冷却水を長い期間停滞維持されることを防止する。あるいは、原子炉圧力容器1および原子炉ウェルの水張り前に、凝集した腐食生成物を除去することである。
【0050】
前記の注入逆止弁14や均圧弁19の開放点検等による水抜き水張りによる水の入れ替えでも凝集した腐食生成物を形成させない効果はあるが、この注入逆止弁等の開放点検は毎定期検査時に必ず全数実施する必要はないため、定期検査時においても常時停滞状態のままとなる非常用炉心冷却系統もあり、一旦、凝集した腐食生成物が形成すると、ドレン配管20による水抜きでは除去できない。
【0051】
そこで、非常用炉心冷却系の注入逆止弁14等の開放点検とは関係無しに、毎定期検査時に非常用炉心冷却系注入配管12内の停滞水を浄化することが凝集した腐食生成物を形成させないための最も有効な手段である。
【0052】
本発明の実施例では、冷却水が長い期間停滞維持される可能性のある非常用炉心冷却系注入配管12内の水を、以下のようにして毎定期検査時に容易にして、かつ、効果的に浄化する。
【0053】
冷却水が常時停滞となる原子炉格納容器2内の非常用炉心冷却系注入配管12に設置されている注入逆止弁14には、原子炉通常運転中に開閉操作によって逆止弁の機能が維持されていることを確認できるように、注入逆止弁14前後の圧力を均圧するための均圧弁19が設置されている。また、この均圧弁19は原子炉格納容器2内での非常用炉心冷却系注入配管12の最低部に設置されることが多いため、この均圧弁19の均圧配管18に水抜き用のドレン配管20およびドレン弁21が設置されている。
【0054】
このドレン配管20に接続した浄化用配管101や各止め弁102,103は、3系列の低圧注水系7と、低圧炉心スプレイ系8および高圧炉心スプレイ系9の合計5系列全てに設置することが望ましい。
【0055】
原子炉格納容器2内に設置されている部分の非常用炉心冷却系注入配管12内の浄化を行う場合には、上下二個あるドレン弁21のうち非常用炉心冷却系注入配管12側(上側)の第1ドレン弁21と、浄化用配管101に設けた止め弁102,103を開とすることで、原子炉冷却材浄化系ポンプ32によって、各非常用炉心冷却系注入配管12内の水も原子炉圧力容器1内の水と並行して吸引され、原子炉冷却材浄化系浄化設備33で浄化された後、原子炉給水系配管34を経由して再び原子炉圧力容器1へ戻される循環を繰り返す。
【0056】
このように非常用炉心冷却系の冷却水が常時停滞となっている注入隔離弁13と原子炉圧力容器1との間の非常用炉心冷却系注入配管12内の停滞水を浄化する。その浄化後においては、非常用炉心冷却系の注入隔離弁13の上流側に接続されている復水補給水系からの洗浄用配管41を使用して、原子炉圧力容器1内や原子炉ウェル内への水張りを行って水張り時間の短縮と共に張った水の水質上の悪影響を防止することできる。
【0057】
次に、図2を用いてもうひとつの他の実施例を説明すると、以下の通りである。即ち、注入逆止弁14の均圧配管18にドレン配管20を接続し、そのドレン配管20に上下2重のドレン弁21を設け、各ドレン弁21の間のドレン配管20部分から浄化用配管101を分岐させ、原子炉冷却材浄化系吸込み配管31に接続することは前記の実施例と同一であるが、その浄化用配管101の途中部分が仮設ホース106に置き換えられている点が相違している。
【0058】
ドレン配管20側の浄化用配管101には、止め弁102が、原子炉冷却材浄化系吸込み配管31側の浄化用配管101には、止め弁103が設置される。仮設ホース106の浄化用配管101への接続口には、ワンタッチカプラ104,105が設けられている。ワンタッチカプラ104,105には、仮設ホース106が着脱自在に接続自在である。
【0059】
仮設ホース106は、原子炉運転時には、ワンタッチカプラ104,105から外されて、保管場所に保管されている。その他の構成等は先の実施例と同じである。
【0060】
原子力発電プラントの定期検査時に仮設ホース106をワンタッチカプラ104,105間に接続し、ドレン弁21と止め弁102,103を開することで、原子炉冷却材浄化系ポンプ32によって、非常用炉心冷却系注入配管12内の水と原子炉圧力容器1内の水とを仮設ホース106を経由して吸引して、原子炉冷却材浄化系浄化設備33で浄化し、浄化した水を原子炉給水系配管34を経由して再び原子炉圧力容器1へ戻す。
【0061】
このように、ワンタッチカプラ104,105と仮設ホース106による接続とするメリットは、原子炉格納容器2内は狭隘であり、図2のように本設配管で接続すると、たとえ小口径配管であっても3系列の低圧注水系7と、低圧炉心スプレイ系8および高圧炉心スプレイ系9の合計5系列全てに設置すると、原子炉格納容器2内の通路性や機器メンテナンススペースに影響を与えることも懸念されるため、定期検査時に非常用炉心冷却系の注入逆止弁の開放点検を実施しない系統を選択した上で、原子炉格納容器2内の保守・点検作業上支障がない時期(たとえば、夜間のみ)に限定して、仮設ホース106を接続して浄化を行うなど、現状の原子炉格納容器2内の通路性や機器メンテナンススペースに影響を与えることなく、非常用炉心冷却系注入配管12内の停滞水を浄化できるものである。
【0062】
以上のように、本発明の実施例に拠れば、原子炉通常運転時および定期検査時を通じて数年間常時停滞となる可能性がある非常用炉心冷却系注入隔離弁と原子炉圧力容器との間の非常用炉心冷却計注入配管内の停滞水を浄化し、その注入配管を浄化することが出来る。そのため、原子炉圧力容器内や原子炉ウェル内に復水補給水系からその注入配管経由で水張りして、水張りの時間を短縮するようにした際の水質の劣化を抑制できる。
【0063】
また、他の実施例では、原子炉格納容器内のスペース確保を配慮して、必要時のみ仮設ホースを利用して非常用炉心冷却系注入配管の浄化を可能とした。
【産業上の利用可能性】
【0064】
この発明は、原子力発電プラントに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施例による原子力発電プラントにおける非常用炉心冷却系統及びその関連の系統図である。
【図2】本発明の他の実施例による原子力発電プラントにおける非常用炉心冷却系統及びその関連の系統図である。
【符号の説明】
【0066】
1…原子炉圧力容器、2…原子炉格納容器、3…サプレションプール、4…サプレッションプール水、5…原子炉冷却材再循環ポンプ、6…原子炉冷却材再循環系配管、7…低圧注水系、8…低圧炉心スプレイ系、9…高圧炉心スプレイ系、11…非常用炉心冷却系ポンプ、12…非常用炉心冷却系注入配管、13…注入隔離弁、14…注入逆止弁、15…メンテナンス用止め弁、16…テスト弁、17…テストライン、18…均圧配管、19…均圧弁、20…ドレン配管、21…ドレン弁、31…原子炉冷却材浄化系吸込み配管、32…原子炉冷却材浄化系ポンプ、33…原子炉冷却材浄化系浄化設備、34…原子炉給水系配管、41…非常用炉心冷却系洗浄用配管、42…洗浄弁、101…浄化用配管、
102,103…止め弁、104,105…ワンタッチカプラ、106…仮設ホース。




 

 


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