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発明の名称 キャスクおよびキャスクの取扱方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−71787(P2007−71787A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−261205(P2005−261205)
出願日 平成17年9月8日(2005.9.8)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 月山 俊尚 / 清水 仁 / 平沼 健
要約 課題
所定の遮へい機能を維持し、軽量化を図り、しかも収納可能な放射性物質の量を制限せずにコストを低減する。

解決手段
キャスクCは、内部に放射性物質を収納するための収納部10Aが形成された有底筒状の胴部10と、胴部10の上部開口に取り付けられた蓋11,12と、を有し、胴部10の底部を包む状態に取り付けられた下部緩衝体20Aと、胴部10の上部および蓋12を包む状態に取り付けられた上部緩衝体20Bとに、放射性物質からの放射線を遮へいする遮へい部30を設ける。
特許請求の範囲
【請求項1】
内部に放射性物質を収納するための収納部が形成された有底筒状の胴部と、この胴部の上部開口に取り付けられた蓋と、を有するキャスクであって、
前記胴部の底部を包む状態に取り付けられた下部緩衝体と、
前記胴部の上部および前記蓋を包む状態に取り付けられた上部緩衝体と、を備え、
前記下部緩衝体および前記上部緩衝体に、前記胴部に収納された放射性物質からの放射線を遮へいする遮へい部を設けたことを特徴とするキャスク。
【請求項2】
内部に放射性物質を収納するための収納部が形成された有底筒状の胴部と、この胴部の上部開口に取り付けられた蓋と、を有するキャスクであって、
前記胴部の底部を包む状態に取り付けられた下部緩衝体と、
前記胴部の上部および前記蓋を包む状態に取り付けられた上部緩衝体と、を備え、
前記下部緩衝体および前記上部緩衝体は、
前記胴部に収納された放射性物質からの放射線を遮へいする遮へい部と、
前記遮へい部の側方に設けられ、前記下部緩衝体および前記上部緩衝体の外部から前記遮へい部へ伝わる熱を断熱する断熱部と、を具備したことを特徴とするキャスク。
【請求項3】
前記遮へい部および前記断熱部は、前記遮へい部が、前記断熱部よりも前記胴部側に配置される状態で、前記胴部の軸線方向に層状に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のキャスク。
【請求項4】
前記下部緩衝体の前記遮へい部は、前記胴部の底部を少なくとも覆う大きさに形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項5】
前記上部緩衝体の前記遮へい部は、前記胴部の上部および前記蓋を少なくとも覆う大きさに形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項6】
内部に放射性物質を収納するための収納部が形成された有底筒状の胴部と、この胴部の上部開口に取り付けられた蓋と、を有するキャスクであって、
前記胴部の底部を包む状態に取り付けられた下部緩衝体と、
前記胴部の上部および前記蓋を包む状態に取り付けられた上部緩衝体と、を備え、
前記下部緩衝体の、前記胴部の底部との対向部位、および前記上部緩衝体の、前記胴部の上部および前記蓋との対向部位に、前記胴部に収納された放射性物質からの放射線を遮へいする遮へい部をそれぞれ設けたことを特徴とするキャスク。
【請求項7】
前記下部緩衝体および前記上部緩衝体には、前記下部緩衝体および前記上部緩衝体の外部から前記遮へい部へ伝わる熱を断熱する断熱部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項6に記載のキャスク。
【請求項8】
前記遮へい部は、中性子を遮へいする中性子遮へい材からなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項9】
前記遮へい部は、γ線を遮へいするγ線遮へい材からなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項10】
前記遮へい部は、中性子およびγ線の両方を遮へいする遮へい材からなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のキャスクを取り扱うキャスクの取扱方法であって、
放射性物質の収納された前記キャスクを施設に搬送する際に、前記下部緩衝体が前記胴部の底部を包む状態に取り付けられ、かつ、前記上部緩衝体が前記胴部の上部および前記蓋を包む状態に取り付けられることを特徴とするキャスクの取扱方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の炉心から発生する使用済燃料等の放射性物質を収納するキャスクおよびキャスクの取扱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の原子炉炉心で一定期間使用された後、炉心から取り出された使用済燃料は、発電所内の使用済燃料貯蔵プールに所定の冷却期間保管される。そして、所定の冷却期間が終了した使用済燃料は、ウラン、プルトニウム等の再利用可能な核燃料物質を回収するため、放射線の遮へい機能を有したキャスクに収納され、トレーラ、船舶等で燃料再処理施設や放射性物質貯蔵施設に輸送される。なお、使用済燃料は、再処理施設に輸送される前に、原子力発電所内外の中間貯蔵施設において、キャスクに収納された状態で保管されることもある。
【0003】
一般的に、キャスクは、使用済燃料を収納する収納部が形成された胴部と、この胴部の上部開口に取り付けられる一次蓋および二次蓋とから構成されており、胴部に一次蓋および二次蓋を封止することにより、キャスクの密封状態が維持されるように構成されている。通常、胴部の側壁や底部、さらに、一次蓋には、放射線を遮へいする遮へい材が組み込まれている。
そして、キャスクは、輸送時および取扱い時の万一の事故に備え、落下に対しても、所定の遮蔽機能および密封機能を有していることが義務付けられている。そこで、輸送時および取扱い時には、通常、胴部の上下端に衝撃緩衝体を取り付け、万一の落下に対して衝撃が緩和されるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−83291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、原子力発電所、中間貯蔵施設等におけるキャスクの受け入れ時や搬出時、施設内におけるキャスクの吊り上げ、吊下し作業を伴う移動等の取扱時には、主として施設に設置された天井クレーンが用いられる。そのため、キャスクには、クレーンの能力を超えないように重量制限が課せられており、キャスクはできるだけ軽く形成されている方が望ましいものとなっている。一方、キャスクには、収納した放射性物質から放出される放射線による作業員の被ばく線量を低減させるために、所定の遮へい機能を具備することが要求されており、軽量化の目的でキャスクの胴部や一次蓋等をやみくもに薄く形成することはできない。そこで、収納可能な使用済燃料の体数を少なくして、その分、胴部や一次蓋等を薄く形成することが挙げられるが、1基あたりの収納量が減じられるため、コストが高くなるという難点がある。また、線量当量率の分布に対応させて胴部や蓋の形状を適宜分厚く、あるいは薄く形成して対処することも考えられるが、そのようにすると、形状が複雑化して製造コストがかかり、現実的ではない。
【0006】
本発明の目的は、所定の遮へい機能を維持しつつ軽量化を図ることができ、しかも収納可能な放射性物質の量を制限せずにコストを低減することができるキャスクおよびキャスクの取扱方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明では、胴部の底部を包む状態に取り付けられた下部緩衝体、および胴部の上部および蓋を包む状態に取り付けられた上部緩衝体に、胴部に収納された放射性物質からの放射線を遮へいする遮へい部が設けられているので、従来のように胴部の底部や蓋に遮へい材を設ける必要がなくなり、その分、胴部の底部や蓋を薄く形成することができる。したがって、胴部や蓋の重量を低減することができる。ここで、施設内におけるキャスクの取り扱いは、下部緩衝体および上部緩衝体が外された状態で行われるので、胴部や蓋の重量が低減されることにより、キャスクの重量が効果的に低減されることとなり、施設内における天井クレーン等の取り扱いがスムーズに行われる。
また、輸送時には、下部緩衝体および上部緩衝体が取り付けられるので、キャスクの万が一の落下に好適に対処することができるとともに、輸送時における作業者等の被ばくを下部緩衝体および上部緩衝体に設けられた遮へい部で確実に防止することができる。
【0008】
さらに、下部緩衝体および上部緩衝体の遮へい部の側方に、断熱部を設けることで、下部緩衝体および上部緩衝体の外部から遮へい部へ伝わる熱を断熱することができ、熱の影響を受けて遮へい部が劣化するのを好適に防止することができる。したがって、所定の遮へい機能が維持されたキャスクが得られる。
また、胴部の底部と、胴部の上部および前記蓋とを少なくとも覆う大きさに遮へい部を形成することで、胴部の底部および上部における放射線の漏洩を好適に防止することができ、健全性を担保することのできるキャスクが得られる。
【0009】
また、本発明のキャスクの取扱方法では、放射性物質の収納されたキャスクを施設に搬送する際に、下部緩衝体および上部緩衝体で放射線を好適に遮へいすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所定の遮へい機能を維持しつつ軽量化を図ることができ、しかも収納可能な放射性物質の量を制限せずにコストを低減することができるキャスクおよびキャスクの取扱方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明のキャスクを適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、放射性物質として原子力発電所から発生する使用済燃料を収納するためのキャスクCについて説明する。また、以下の説明において、「上」「下」は、キャスクCが立てられた状態(図1の状態)を基準とする。
図1に示すように、本実施形態のキャスクCは、キャスク本体C1と、このキャスク本体C1の輸送に用いられる下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bとを備える。キャスク本体C1は、有底円筒状の胴部10と、この胴部10の上部開口に取り付けられる蓋としての一次蓋11および二次蓋12とを備えて構成される。また、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bは、輸送時の万一の落下に備えて、キャスク本体C1を衝撃から保護する保護機能を備えるとともに、内部に遮へい部30を有して、キャスク本体C1に収納された使用済燃料からの放射線を遮へいする放射線遮へい機能を備えて構成されている。
【0012】
キャスク本体C1の胴部10は、炭素鋼等の材料からなり、有底円筒状を呈している。胴部10の内部には、使用済燃料(不図示、以下同じ)を収納するための収納部10Aが形成されている。収納部10Aには、使用済燃料が保持されるバスケット10Bが設けられている。胴部10の周壁10Cには、放射線を遮へいする遮へい体10Dが周方向全体に埋設されている。また、胴部10の周壁10Cの上部および下部には、キャスク本体C1の吊上げ吊下し等に使用するトラニオン10Eが周方向に所定の間隔を置いて上下で各4個(計8個、図1では上下で各2個のみ図示)設けられている。本実施形態では、周壁10Cの下部端10Cおよび周壁10Cの上部端10Cにも遮へい体10Dが埋設されている。
【0013】
一次蓋11および二次蓋12は炭素鋼等の材料からなり、胴部10の上部開口を密封してキャスクCの輸送時および貯蔵時の密封境界を形成する。
一次蓋11は、図2に示すように、胴部10の開口を塞ぐ状態に、胴部10の上部開口縁に形成された上下二段からなる段部の下段10aに載置されて、ボルト10bによって取り付けられる。二次蓋12は、一次蓋11を覆う状態に前記段部の上段10cに載置されて、ボルト10dによって取り付けられる。ここで、前記段部の下段10aと一次蓋11との間、段部の上段10cと二次蓋12との間、あるいは一次蓋11と二次蓋12との間には、図示しないリング状のシール部材が配置される。なお、一次蓋11および二次蓋12は、原子力発電所等の施設内でキャスクCが取り扱われる過程において、下段10a、上段10cに仮置き状態で載置されることがある。つまり、一次蓋11および二次蓋12は、キャスクCの取扱作業中等において、一時的に放射線(γ線)を遮へいする目的で使用されることがある。これにより、作業環境等における線量当量率を低減することができる。なお、一次蓋11および二次蓋12は、中性子を遮へいするための中性子遮へい材を備えていないので、その分のスペースを内部に確保する必要がなく、これを設けた場合に比べて相対的に薄く形成することができ、重量を軽減することができる。また、内部に中性子遮へい材を設けるためのスペースがないので、その分、剛性を高めることができる。
【0014】
図1に示すように、下部緩衝体20Aは、胴部10の底部を包む状態に取り付けられ、また、同じく上部緩衝体20Bは、胴部10の上部および二次蓋12を包む状態に取り付けられる。下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bは、前記した放射線遮へい機能として作用する遮へい部30と、この遮へい部30の側方(ここでは、下方または上方)に設けられ、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bの外部から遮へい部30へ伝わる熱(火災を想定した熱)を断熱する作用をなす断熱部40とを内包した構造を備えている。本実施形態では、遮へい部30が、断熱部40よりもキャスク本体C1側に配置される状態で、キャスク本体C1の軸線方向に遮へい部30と断熱部40とが層状に設けられている。本実施形態では、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bが同一の形状もしくはほぼ同じ形状とされているので、以下では、上部緩衝体20Bを例にとって説明し、適宜、下部緩衝体20Aについて説明する。
【0015】
図2に示すように、上部緩衝体20Bは、胴部10の上部および二次蓋12を包む断面凹形状に形成されており、外殻部21がステンレス鋼製等から形成され、内部22が木材もしくは木質ボード等から形成されている。本実施形態では、内部22を形成する材料として軽量で衝撃緩衝性に優れたバルサ材が用いられている。
遮へい部30は、キャスク本体C1の軸線方向に所定の厚さを備えるとともに、キャスク本体C1の直径より大きい直径を備えた円板形状とされており、本実施形態では、中性子を遮へいすることが可能な中性子遮へい材からなっている。このような遮へい部30は、上部緩衝体20B内に所定の空間を予め形成しておき、その空間に中性子遮へい材を充填することにより設けられる。中性子遮へい材としては、例えば、一般に入手できるレジンや、ポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子の樹脂にホウ素を混入したもの、または、ホウ酸水等の中性子減速材(水素H、炭素C等)と中性子吸収材(ホウ素B等)を含む物質等を使用することができる。
ここで、遮へい部30としては、中性子を遮へいすることが可能な中性子遮へい材の他に、γ線を遮へいするγ線遮へい材を用いて構成することもでき、また、中性子遮へい材とγ線遮へい材の両方を用いて構成することもできる。γ線遮へい材としては、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼,鉛等を使用することができる。
【0016】
断熱部40は、遮へい部30と略同様の厚さおよび直径を備えた円板形状とされており、本実施形態では、断熱性に優れたフッ素樹脂化合物、グラスファイバー等の断熱材が用いられている。このような断熱部40は、上部緩衝体20Bの外部(主として上部緩衝体20Bの上方)から遮へい部30へ熱が伝わるのを遮断または抑制し、遮へい部30における遮へい機能が損なわれないように作用する。つまり、火災時の高温環境に対して、上部緩衝体20Bの外部から遮へい部30への入熱を遮断または抑制することができ、遮へい部30の遮へい機能を担保する。なお、断熱部40の厚さは、使用される断熱材の熱伝導率、想定する熱通過量等を考慮して、適宜決定される。また、断熱部40は、遮へい部30との間に所定の間隔を置いて設けたが、遮へい部30に隣接して設けてもよいし、接触させて設けてもよい。
【0017】
このような上部緩衝体20Bは、凹部23を胴部10の上部に嵌めることによって、胴部10の上部および二次蓋12と上部周りの周壁10Cを包む状態に保持して、万一の落下時の衝撃を十分に緩和する役割をなす。また、下部緩衝体20Aは、凹部23を胴部10の底部に嵌めることによって、胴部10の底部と底部周りの周壁10Cを包む状態に保持して、万一の落下時の衝撃を十分に緩和する役割をなす。加えて、上部緩衝体20Bにおいては、遮へい部30により、キャスク本体C1の上方向に放射された放射線(ここでは、中性子)を遮へいすることができる。また、下部緩衝体20Aにおいては、遮へい部30により、キャスク本体C1の下方向に放射された放射線(中性子)を遮へいすることができる。なお、後記するように、原子力発電所から中間貯蔵施設へのトラックによる搬送時に、キャスクCは、トラックの荷台に横置きに寝かされた状態で載置され、キャスク本体C1の底部および上部が水平方向に向く状態にされるが、このような下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bでキャスク本体C1の底部および上部が包まれことにより、水平方向に放射される中性子を好適に遮へいすることができる。
【0018】
このように、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bは、キャスク本体C1の輸送時に使用されるものであるので、後記するように、キャスク本体C1が中間貯蔵施設等に受入れられた後は、これらがキャスク本体C1から取り外されて不要となり、他のキャスク本体C1の輸送にまわすことができる。これにより、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bは、複数基のキャスク本体C1において共用することができ、少ない個数で多数のキャスク本体C1の輸送に対応するという取り扱いが可能となる。
【0019】
ここで、図3(a)(b)、図4(a)〜(c)に、上部緩衝体20B(下部緩衝体20A)についての変形例を示す。
図3(a)(b)に示した上部緩衝体20Bでは、遮へい部30と断熱部40とが、共に複数層設けられた構成を有している。このうち、図3(a)に示した上部緩衝体20Bでは、胴部10の軸線方向において、胴部10側に近い側(下側)から遮へい部30、断熱部40の順序で胴部10側から離れる側(上側)へ交互に積層されており、下側の遮へい部30B(30)が、上側の遮へい部30Aよりも分厚く形成されている。このような上部緩衝体20Bによれば、遮へい部30が複数層(遮へい部30A,30B)設けられているので、中性子を遮へいする機能に優れている。しかも、遮へい部30と断熱部40とが交互に積層されているので、上部緩衝体20Bの外側からの熱を2つの断熱部40で段階的に断熱することができる。さらに、下側の遮へい部30B(30)が分厚く形成されているので、仮に、火災による上部緩衝体20Bの外側からの熱(上方向からの熱)で、上側の遮へい部30A(30)に劣化を来たした場合にも、下側の遮へい部30Bで中性子を好適に遮へいすることができ、これによって、遮へい機能の担保された上部緩衝体20Bが得られる。
【0020】
図3(b)に示した上部緩衝体20Bでは、遮へい部30と断熱部40とが共に複数層連続して設けられた構成となっているので、遮へい部30においては中性子を遮へいする機能をより一層高めることができ、また、断熱部40においては、断熱機能をより一層高めることができる。なお、各層は密着した状態に設けることもできる。
【0021】
また、図4(a)に示した上部緩衝体20Bは、上下2つに分割されて図示しないボルト等により連結された緩衝体20B,20Bからなり、上側の緩衝体20Bに断熱部40が設けられ、下側の緩衝体20Bに遮へい部30が設けられている。緩衝体20Bに設けられた遮へい部30は、有底円筒状を呈しており、その筒部31が、緩衝体20Bの凹部23を形成している凹部壁23aの内側に沿う状態に配置されている。これにより、遮へい部30は、胴部10の上部および二次蓋12を緩衝体20B2と同様に包むように配置され、これによって、キャスク本体C1の上方へ放射する中性子を好適に遮へいすることができる。
また、この上部緩衝体20Bは、上下2つに分割可能であるので、仮に、このうちのいずれか一方が破損する等して、緩衝体として使用するのに不適切な状態となったときには、図示しないボルト等の連結を解除して、これを良好なものに交換することができる。したがって、全体を交換する場合に比べて経済的である。
【0022】
さらに、図4(b)に示した上部緩衝体20Bは、遮へい部30が、小径の円板部30aと、この円板部30aの直径より大きな内径を備えた円筒部30bとからなり、断面略H形状を呈している。一方、断熱部40は、上部緩衝体20Bの上方から遮へい部30の円板部30aへ熱が伝わるのを断熱すべく円板部30aの上方に配置されて、円板部30aと同様の大きさに形成された円板部40aと、上部緩衝体20Bの側方から遮へい部30の円筒部30bへ熱が伝わるのを断熱すべく、円筒部30bの外周壁を側方から覆う状態に設けられた円筒部40bとからなる。
このような上部緩衝体20Bによれば、遮へい部30が、胴部10の上部および二次蓋12を包むように配置されるので、キャスク本体C1の上方へ放射する中性子をより一層好適に遮へいすることができる。しかも、断熱部40の円筒部40bにより上部緩衝体20Bの側方からの熱も好適に断熱することができ、中性子の遮へい機能が好適に担保された上部緩衝体20Bが得られる。
【0023】
また、図4(c)に示した上部緩衝体20Bは、遮へい部30が、凹部23とその凹部壁23aに沿う有底円筒状を呈しており、さらに、上部緩衝体20Bの底部24に沿うフランジ状の張り出しを備えて、全体として断面ハット状に形成されている。このような上部緩衝体20Bによれば、遮へい部30が、フランジ状の張り出しを備えているので、胴部10の上部および二次蓋12が遮へい部30でより一層包まれるようになり、キャスク本体C1の上方へ放射する中性子をより一層効果的に遮へいすることができる。
【0024】
なお、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bは、万一の落下に対してキャスク本体C1(図1参照)の一部が着床するのを防ぐために、落下に対して許容変形量内で衝撃が吸収されるようになっている。
【0025】
このような下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bは、原子炉建屋等において、図5(a)(b)に示すように、キャスク本体C1が横置きにされた状態で、キャスク本体C1の胴部10の底部および上部に取り付けられる(図では上部側のみ図示)。取り付けにあたっては、原子炉建屋の搬出エリア等に設けられた天井クレーン等にワイヤWで吊り下げられて行われる。なお、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bは、キャスク本体C1に図示しないボルト等により固定される。
【0026】
次に、このようなキャスクCの取扱について図6、図7を参照して説明する(適宜その他各図参照)。一般的に、キャスクCは、原子力発電所で使用済燃料を内部に収納した後に、トレーラや船舶(不図示)により中間貯蔵施設に輸送されて貯蔵され、所定の貯蔵期間後に、再処理施設へ輸送されるが、ここでは、主として原子力発電所および中間貯蔵施設における取り扱いについて、以下詳細に説明する。
図6に示すように、製造工場で製造されたキャスク本体C1や図示しないキャスク保管庫等に保管されていたキャスク本体C1(A1)が、トレーラT等により原子力発電所の原子炉建屋に運び込まれる(B1)。ここで、B1において、キャスク本体C1の胴部10の底部に補助用の図示しない底部遮へい材を取り付けることもできる。
【0027】
B2において、原子炉建屋に設けられた天井クレーンの吊下アームがキャスク本体C1のトラニオン10Eに保持され、キャスク本体C1が立て起こしされて図示しない使用済燃料の装荷エリアに搬送される。ここで、キャスク本体C1の一次蓋11および二次蓋12には、前記のように、中性子遮へい材が設けられておらず、その分、例えば、一次蓋11の厚さが薄く形成されていてキャスク本体C1の軽量化が図られているので、キャスク本体C1の重量が天井クレーンの容量をオーバーすることが防止され、キャスク本体C1の吊上げ吊下し作業がスムーズに行われる。
【0028】
装荷エリアでの詳細は図示しないが、装荷エリアでは、一次蓋11および二次蓋12が外され、キャスク本体C1の収納部10Aに使用済燃料が装荷された後に一次蓋11が仮締めされる。このとき、図示しない作業被ばく防止用の放射線遮へい機能を備えた追加遮へい体が一次蓋11の上に続けて装着される。この追加遮へい体は、一次蓋11が密封されるまで装着されるので、その間、放射線を好適に遮へいすることができる。なお、この追加遮へい体は、通常、1枚用いられ、一次蓋11の直上や胴部10の上端に装着されるが、複数枚積層配置されるようにしてもよい。このような追加遮へい体を用いることにより、作業者の被ばく低減を図ることができる。
その後、一次蓋11が密封され二次蓋12が装着されるが、ここで、図示しない輸送被ばく防止用の遮へい体を二次蓋12の上に装着してもよい。
【0029】
その後、二次蓋12の密封を確認して、搬出エリアのトレーラTに天井クレーンで搭載し、キャスク本体C1をトレーラT上に横置きに設置する(B3)。このとき、原子炉建屋の搬出エリアにおいて、キャスク本体C1に下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bを装着して(B4)、キャスクCを中間貯蔵施設へ輸送する(D2)。これにより、キャスク本体C1の底部および上部から放射される放射線が好適に遮へいされた状態での輸送が可能となる。
【0030】
図7(a)に示すように、トレーラTによって輸送されたキャスクCは(E1)、中間貯蔵施設の受入エリアに搬入されて(F1)、施設のクレーン等により積み下される(F2)。そして、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bがキャスク本体C1から取り外される(F3)。ここで、取り外された下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bは、中間貯蔵施設の搬出エリアに搬送され、あるいは、再処理施設や原子力発電所の搬出エリア(図6に示すB4参照)等へ輸送されて、他のキャスク本体C1の輸送に用いられる。また、このときに、補助用の図示しない底部遮へい材がキャスク本体C1に取り付けられている場合には、これが取り外されてキャスク保管庫や原子力発電所に運ばれて再利用される。
【0031】
その後、キャスク本体C1がクレーン等により立て起こされ(F4)、施設の天井クレーンで搬送されて(F5)、検査架台Dに装着される(F6)。この搬送においても、キャスク本体C1の軽量化によって、キャスク本体C1の重量が天井クレーンの容量をオーバーすることが防止されるので、キャスク本体C1の吊上げ吊下し作業がスムーズに行われる。なお、キャスク本体C1から下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bが取り外されることにより、立て起された状態のキャスク本体C1の上部からは放射線が放射されることとなるが、これは施設の天井を多少厚く設けることで、建築コストに対する影響も少なくして対応することができる。その後、図示しないセンサ等が取り付けられて外観検査、線量当量率検査等が行われ(F7)、キャスク本体C1が、貯蔵エリアに搬送される(G1)。
【0032】
そして、図7(b)に示すように、貯蔵エリアにおいて、キャスク本体C1が所定期間貯蔵される(G2)。貯蔵期間中は、適宜、遮へい機能検査等が行われる。そして、所定期間貯蔵後、キャスク本体C1は輸送用の受入エリアに移動される(H1)。ここで、キャスク本体C1は、検査架台Dに載置されて、輸送前の検査が行われる。
その後、キャスク本体C1が施設の天井クレーンにより吊上げられて搬送され(H2,H3)、横置きに配置される(H4)。このとき、キャスク本体C1の胴部10の底部に補助用の図示しない底部遮へい材を取り付けることもできる。
【0033】
次に、キャスク本体C1に下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bが取り付けられ(H5)、キャスク本体C1の底部および上部から放射される放射線が好適に遮へいされた状態でキャスクCが一時保管される(H6)。その後、天井クレーン等でキャスクCが吊上げられ、トレーラTに積まれて(H7)、再処理施設に向けて輸送される(J1)。
【0034】
以下では、本実施形態において得られる効果を説明する。
(1)本実施形態では、胴部10の底部を包む状態に取り付けられた下部緩衝体20A、および胴部10の上部および二次蓋12を包む状態に取り付けられた上部緩衝体20Bに、胴部10に収納された使用済燃料からの放射線を遮へいする遮へい部30が設けられているので、従来のように胴部10の底部や一次蓋11等に遮へい材を設ける必要がなくなり、その分、胴部10の底部や一次蓋11等を薄く形成することができる。つまり、遮へい材の一部をキャスク本体C1側から下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20B側に設けることによって、胴部10や一次蓋11等の重量を低減することができ、キャスク本体C1の軽量化を図ることができる。ここで、施設内におけるキャスクCの取り扱いは、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bが取り外された状態で行われるので、胴部10や一次蓋11等の重量が低減されることにより、キャスク本体C1の重量が効果的に低減されることとなり、施設内における天井クレーン等の取り扱いがスムーズに行われる。
また、輸送時には、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bがキャスク本体C1に取り付けられるので、キャスクCの万が一の落下に好適に対処することができるとともに、輸送時における作業者等の被ばくを下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bに設けられた遮へい部30で確実に防止することができる。
(2)キャスク本体C1の重量を減少させることができるので、収納可能な使用済燃料の体数が制限されず、また、遮へい材、特に中性子遮へい材の総量が増加することもなく、コスト高となることもない。
(3)下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bは、キャスク本体C1の輸送時に使用されるものであるので、キャスク本体C1が中間貯蔵施設等に受入れられた後は、他のキャスク本体C1の輸送にまわすことができ、複数基のキャスク本体C1において共用することができる。したがって、少ない個数で多数のキャスク本体C1の輸送に対応することができて、経済的である。
(4)下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bには、断熱部40が設けられているので、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bの外部から遮へい部30へ伝わる熱を断熱することができ、熱の影響を受けて遮へい部30が劣化するのを好適に防止することができる。したがって、遮へい部30による所定の遮へい機能が維持されたキャスクCが得られる。
(5)遮へい部30は、胴部10の底部と、胴部10の上部および二次蓋12とを少なくとも覆う大きさに形成されているので、胴部10の底部および上部における放射線の漏洩を好適に防止することができ、健全性を担保することのできるキャスクCが得られる。また、線量当量率の分布に基づいて放射線の漏洩に対処するときのように構造が複雑化することがなく、所定の遮へい機能を維持しつつ構造が簡単で軽量化を図ることができるキャスクCが得られる。
(6)作業者は、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bがキャスク本体C1に取り付けられているか否かで、視覚的に現在の放射線の遮へい状況を把握することができる。
【0035】
図8(a)(b)に本実施形態のキャスクCの変形例を示す。図8(a)に示すように、この変形例のキャスクCは、遮へい部30’が上部緩衝体20B(下部緩衝体20A、以下同じ)と別体に構成され、凹部23に設けられている点に特徴がある。また、図8(b)に示したものは、図8(a)に示した上部緩衝体20B内に、断熱部40を設けたものである。遮へい部30’は、凹部23に配置することが可能な平板円板状に形成されており、キャスク本体C1に対して、取り付け可能に設けられている。つまり、上部緩衝体20Bの、胴部10の上部との対向部位、および下部緩衝体20Aの、胴部10の底部との対向部位に、遮へい部30’が設けられている。遮へい部30’の取り付けにあたっては、図9(a)に示すように、はじめにキャスク本体C1に対して遮へい部30’がワイヤW等に吊り下げられて、胴部10の上部(下部緩衝体20Aにあっては、胴部10の底部、以下同じ)に図示しないボルト等により固定され、その後、図9(b)に示すように、ワイヤW等に吊り下げられて上部緩衝体20Bが胴部10の上部に近づけられて、図9(c)に示すように、遮へい部30’が取り付けられた上から胴部10の上部に図示しないボルト等により固定される。このような変形例によれば、上部緩衝体20Bと遮へい部30’とが別々になるので、上部緩衝体20Bと遮へい部30’とを個々に管理することができ、上部緩衝体20Bが破損等した場合には、上部緩衝体20Bのみを交換することで対処することができて経済的である。
【0036】
また、図10に示すように、キャスク本体C1の一次蓋11に中性子遮へい材35を設けてもよく、さらに、胴部10の底部に中性子遮へい材36を設けてもよい。このようなキャスクCによれば、キャスク本体C1の上部側においては、中性子遮へい材35と上部緩衝体20Bの遮へい部30との組み合わせによって中性子を遮へいすることができ、また、キャスク本体C1の底部側においては、中性子遮へい材36と下部緩衝体20Aの遮へい部30との組み合わせによって中性子を遮へいすることができる。これにより、例えば、線量当量率の分布に対応した遮へいを実現することができ、収納される使用済燃料の特性等に合わせた遮へいが可能となる。なお、図10に示した例では、下部緩衝体20Aの遮へい部30の厚さを上部緩衝体20Bの遮へい部30の厚さより薄く形成してあり、所定の遮へい機能を維持しつつキャスク本体C1の軽量化が図られている。
【0037】
前記実施形態では、下部緩衝体20Aと上部緩衝体20Bとにおける遮へい部30、断熱部40の数(単層、複数層等)や配置は任意に設定することができ、また、断熱部40は必ずしも設けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係るキャスクを示す模式断面図である。
【図2】図1のキャスク本体の上部を示す模式拡大断面図である。
【図3】(a)(b)は変形例を示す模式断面図である。
【図4】(a)〜(c)は変形例を示す模式断面図である。
【図5】(a)(b)は緩衝体の取り付けを示す模式図である。
【図6】キャスクの取り扱いを示す模式図である。
【図7】(a)(b)はキャスクの取り扱いを示す模式図である。
【図8】(a)(b)は変形例を示す模式断面図である。
【図9】(a)〜(c)は変形例のキャスクにおける上部緩衝体の取り付けを示す模式図である。
【図10】その他の例のキャスクを示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 胴部
10A 収納部
11 一次蓋
12 二次蓋
20A 下部緩衝体
20B 上部緩衝体
23 凹部
30 遮へい部
40 断熱部
C キャスク
C1 キャスク本体




 

 


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