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放射性同位元素製造装置、及びその据付方法 - 株式会社日立製作所
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発明の名称 放射性同位元素製造装置、及びその据付方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−47096(P2007−47096A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−233868(P2005−233868)
出願日 平成17年8月12日(2005.8.12)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 土田 一輝 / 岡▲崎▼ 隆司 / 関 博文 / 田山 隆一
要約 課題
ガン検診や脳や心臓の新陳代謝を検査するPET診断において、患者に注射する放射性薬剤を製造する放射性同位元素製造装置に関し、放射線障害防止法の基準を満たしつつ、主要重量物である遮蔽体を軽量化する技術を提供する。

解決手段
イオンビーム(R)を出射するイオン源(11)と、イオン源(11)から出射されたイオンビーム(R)を加速する加速器(12)と、加速したイオンビーム(R)が照射されると放射性同位元素を生成する原料水が封入されるターゲット(31)と、ターゲット(31)を略中心に配置して、ターゲット(31)から発生する放射線を遮蔽する遮蔽体(20)と、を備え、遮蔽体(20)は、ターゲット(31)を通る水平断面は、略円形又は六角以上の多角形状を有し、天地方向の両端の水平断面は絞られた形状を有していることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
イオンビームを出射するイオン源と、
前記イオン源から出射された前記イオンビームを加速する加速器と、
加速した前記イオンビームが照射されると放射性同位元素を生成する原料水が封入されるターゲットと、
前記ターゲットを略中心に配置して、前記ターゲットから発生する放射線を遮蔽する遮蔽体と、を備え、
前記遮蔽体は、前記ターゲットを通る水平断面が、略円形又は六角以上の多角形状を有し、天地方向の両端の水平断面は絞られた形状を有していることを特徴とする放射性同位元素製造装置。
【請求項2】
前記遮蔽体は、
前記ターゲットを取り出すための開閉扉が分離可能に設けられている主フレーム部と、
前記主フレーム部の下端に配置する下フレーム部と、
前記主フレーム部の上端に配置する上フレーム部と、がそれぞれ分離可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の放射性同位元素製造装置。
【請求項3】
前記遮蔽体は、
その外殻が、肉厚を有する外殻遮蔽部により構成され、その内部は、複数のシートが積層してなる内郭遮蔽部で構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放射性同位元素製造装置。
【請求項4】
前記外殻遮蔽部は、鉄又は鉛を主成分とするものであって、
前記内郭遮蔽部は、ボロンを含有するポリエチレンであることを特徴とする請求項3に記載の放射性同位元素製造装置。
【請求項5】
前記内郭遮蔽部は、前記放射線のうち中性子の線量が、管理区域の外で許容線量の半分以下になるように、前記ターゲットを中心とする半径方向の厚みが設定され、
前記外殻遮蔽部は、前記中性子の線量も含めたトータルの前記放射線が、管理区域の外で許容線量以下になるように、その肉厚が設定されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の放射性同位元素製造装置。
【請求項6】
前記遮蔽体は、
その内部に、前記ターゲットを収納するターゲットボックスと、
このターゲットボックス及び前記遮蔽体の外部を連通するケーブル配管と、を有し、
このケーブル配管が外部に露出するように、前記外殻遮蔽部及び前記内郭遮蔽部の一部が取り外し可能な構造になっていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の放射性同位元素製造装置。
【請求項7】
請求項2に記載の放射性同位元素製造装置において、
前記遮蔽体を、据付場所において前記下フレーム部、前記主フレーム部、前記上フレーム部の順番で組み上げていくことを特徴とする放射性同位元素製造装置の据付方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガン検診及び脳や心臓の新陳代謝を検査するPET診断において、患者に注射する放射性薬剤を製造する放射性同位元素製造装置に関し、特に、イオンビームの照射に伴って発生する人体に有害な放射線を遮蔽する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
18F放射性同位元素(以下、F−18という)のポジトロン放射を利用した、断層撮影による診断(以下、PET(Positron Emission Tomography)診断という)を実施することにより、有効なガン診断が可能であることが知られている。このため、PET診断は、米国、欧州に加え、日本国内の核医学分野で多数利用され始めている。
ところで、PET診断を実施する際、患者に注射するF−18を含む放射性薬剤は、イオンビームを、18O水(以下、O−18水(原料水)という)が封入されているターゲットに照射して、18O(p、n)18F反応により製造されている。
これまでのPET診断用の放射性薬剤(F−18)の製造は、このイオンビームを出力する加速器としてサイクロトロンを用いた放射性同位元素製造装置により行われてきた。しかし、このサイクロトロンを用いた従来の放射性同位元素製造装置は、装置が大型(サイクロトロン自身の重量が約20トン、周囲に設置される遮蔽体が40−50トン)である。このため、サイクロトロンを用いた放射性同位元素製造装置を、既存の施設に収容しようとする場合、建屋床構造を大幅に強化したり、搬入口を広くしたりする大規模な改造工事が必要であった。また、サイクロトロンの装置周辺に遮蔽体を設置できたとしても、装置下面の床方向には遮蔽体を追設できない(例えば特許文献1)。
【0003】
近年、前記したような大規模な改造工事が不要な、線形加速器(ライナック)を用いる放射性同位元素製造装置が普及してきている。
このライナックを加速器として用いる放射性同位元素製造装置が、サイクロトロンを加速器として用いる場合と比較して重量が大幅に低減されるのは、次の二つの理由による。第1は、ライナックの本体自体が、サイクロトロンよりも小型・軽量であるためである。そして第2は、人体に有害な放射線を遮蔽する際に、サイクロトロンを用いる場合では、ターゲット及び加速器本体を含めた全体を遮蔽しなければならないが、ライナックを用いる場合では、加速器(ライナック)とターゲットを分離して設置できるために、ターゲットのみを分離して遮蔽することができるので、遮蔽体の構造物の寸法を大幅に低減することができるからである。
【特許文献1】特開2004−294300号公報(段落0049)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、ライナックを加速器として用いる軽量の放射性同位元素製造装置が普及するにつれ、PET診断の需要も高まり、新規にPET診断装置の導入を検討する病院・医療センタも増えてきた。そうすると、一般的な建屋に、簡便にPET診断装置(及び放射性同位元素製造装置)を据え付けできるように、さらなる軽量化への要求が強まってきた。このためには、PET診断装置の全体重量のかなりの割合を占める遮蔽体の重量を低減させることが要求を実現させるための近道である。
しかし、そのような要求を実現する場合、遮蔽体に本来求められる、有害な放射線を遮蔽して周囲の安全性を確保するといった優先機能を犠牲にしてしまう可能性がある。
よって本発明は、このような問題を解決することを課題として、主要重量物である遮蔽体の材料選定と寸法形状とを適正化することにより、放射線障害防止法の基準を満たしつつ軽量化された放射性同位元素製造装置を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するために、本発明に係る放射性同位元素製造装置は、イオンビームを出射するイオン源と、前記イオン源から出射された前記イオンビームを加速する加速器と、加速した前記イオンビームが照射されると放射性同位元素を生成する原料水が封入されるターゲットと、前記ターゲットを略中心に配置して、前記ターゲットから発生する放射線を遮蔽する遮蔽体と、を備え、前記遮蔽体は、前記ターゲットを通る水平断面は略円形又は六角以上の多角形状を有し、天地方向の両端の水平断面は絞られた形状を有していることを特徴とする 。
【0006】
本発明が係る構成を有することにより、一般に、ターゲットから発生する放射線は、このターゲットを中心に球状に放射されることを鑑みれば、遮蔽体の水平断面が六角以上の多角形状を有していることは、六角未満(例えば正方形)である場合と比較して、放射線を放射線障害防止法の許容線量まで減衰させるのに必要な水平断面に無駄な部分が少ないことは自明である。同様に、内部に縦長のターゲットボックスを内包する遮蔽体の縦断面について検討すると、天地方向の両端の水平断面が絞られている分だけ、許容線量まで減衰させるのに無駄な部分が少ないといえる。このように、遮蔽体は、許容線量まで減衰された後の放射線が通過する部分が減容されている分だけ、軽量化が図られることになる。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、主要重量物である遮蔽体が、放射線障害防止法の基準を満たしつつ軽量化されるので、安全面の要求と、据付の簡易性の要求とを同時に満足する放射性同位元素製造装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態に係る放射性同位元素製造装置について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の放射性同位元素製造装置10は、イオン源11、高周波四重極型線形加速器(以下、RFQ:Radio Frequency Quadrupoleという)12a、ドリフトチューブ型線形加速器(以下、DTL:Drift Tube Linacという)12bおよび遮蔽体20とを有する。なお、このRFQ12aとDTL12bとの組み合わせにより本発明における線形加速器(ライナック)12が形成されている。
また、この放射性同位元素製造装置10は、図2に示されるように、コンクリート壁Tにより囲まれた管理区域Uの内部に設置されている。
【0009】
イオン源11は、イオンとなる源物質(ここでは水素)をイオン化して陽イオンのイオンビームRとして引き出す役割をなし、その周囲には、質量により所望のイオンのみを選択的に取り出す図示しないマグネットや、イオンビームRを整形する図示しない静電レンズ、さらにはイオンビーム発生部等が設けられている。
なお、イオン源11には、熱陰極方式のデュオプラズマトロン型イオン源またはPIG型イオン源を使用することができる。また、長寿命で大電流を発生することのできるマイクロ波放電型イオン源を使用することもできる。
【0010】
RFQ12aは、このイオン源11の後段に設けられ、イオン源11から出射されたイオンビームRを所定のエネルギーに達するまで加速させるものである。RFQ12aの内部には、波形状の四重極電極を有する真空チャンバが備えられている。この四重極電極によりイオンビームRの進行方向と直角な方向に四重極電界が形成され、イオンビームRが集束されながら加速される。
なお、ここで使用されるRFQ12aに替えて、六極以上の偶数の磁極を持つ多重電極型の高周波加速器を用いてもよく、これら以外の高周波加速器を用いることもできる。
【0011】
DTL12bは、RFQ12aで加速されたイオンビームRを入射して、さらに加速するものである。DTL12bの内部の中心には、複数個のドリフトチューブ14が軸方向に並んで配置されている。このドリフトチューブ14の内部には、図示しない四極電磁石が組み込まれていて、イオンビームRは、このドリフトチューブ14内を通過する際に、収束を受ける。そして、このドリフトチューブ14,14の間で、イオンビームRの加速が行われる。
このようなRFQ12aおよびDTL12bは、組み合わされて、最終的に7MeV程度の高エネルギーのイオンビームRを生成する線形加速器(ライナック)12として機能する。
【0012】
遮蔽体20は、主フレーム部21と、開閉扉22(22a,22b)と、下フレーム部23と、上フレーム部24と、天板部25と、底板部26と、ターゲットボックス27とから構成され、水平断面が八角形を示している(図2参照)。そして、遮蔽体20は、イオンビームRがターゲット31に照射されると発生する、人体に有害な放射線を遮蔽する役目を果たすものである。
遮蔽体20の開閉扉22(22a,22b)を開いた状態で、図2に示されるX−X断面をみると図3(a)に示されるように、遮蔽体20の外殻は、所定の厚さの外殻遮蔽部(ガンマ線遮蔽部)Mと、その内側を充填するように設けられている内郭遮蔽部(中性子遮蔽部)Pとから構成されている。
同様に、図3(a)に示されるY−Y断面をみると図3(b)に示されるように、遮蔽体20は、その外殻が外殻遮蔽部(ガンマ線遮蔽部)Mで構成され、その内部は、内郭遮蔽部(中性子遮蔽部)Pで構成されている。
【0013】
主フレーム部21には、二枚の開閉扉22(22a,22b)が開閉自在にとりつけられており、この開閉扉22が閉じた状態では、天地方向の両端部分が末端方向に行くに従い、水平断面が絞られた形状になっている。そして、この水平断面の中心位置には、細長形状のターゲットボックス27が長手方向を遮蔽体20の縦軸に合わせて配置されている。
【0014】
上フレーム部24及び下フレーム部23は、それぞれ主フレーム部21の断面が絞られている両端部に設けられている。これら、上フレーム部24及び下フレーム部23の高さは、図3(a)に示される、ターゲットボックス27の上下の端面から天板部25及び底板部26までの最短距離をuとして、図3(b)で示される、遮蔽体20の水平断面のターゲットボックス27の側壁面から遮蔽体20の側壁面までの最短距離をrとすると、uとrが近似する値となるように設定される。
【0015】
このように、上フレーム部24及び下フレーム部23が設けられて、遮蔽体20の天地方向が突出した形状を有することになる理由は、後記するターゲットステージ部30が配置されるターゲットボックス27の内部では、単なる空間であるために放射線が減衰することがないためである。このような遮蔽体20の天地方向が突出した形状をとれば、細長形状のターゲットボックス27の長手方向に放射される放射線が有効に減衰されることになる。
【0016】
天板部25及び底板部26は、それぞれ上フレーム部24及び下フレーム部23の開口している両端を塞ぐように設けられている。
なお、図面では、遮蔽体20の水平断面は八角形を示しているが、これに限定されることなく、水平断面は、略円形又は六角以上の多角形状のものを任意に含むものとする。
【0017】
内郭遮蔽部(中性子遮蔽部)Pは、厚さ10cm程度のシート状のものが複数積層されて形成されるものであって、ターゲットボックス27の外周を隙間無く囲うものである。その材質は、ボロンが配合されているポリエチレンである。
内郭遮蔽部(中性子遮蔽部)Pは、原料水(18−O濃縮水)にイオンビームR(7MeV程度のエネルギー)が入射した際に放出される中性子(1MeV程度のエネルギー)を、水素の弾性散乱による減速・吸収を利用して遮蔽をする機能を発揮するものである。
そして、この中性子遮蔽部Pの外殻に配置されている外殻遮蔽部(ガンマ線遮蔽部)Mは、材質が鉄又は鉛を主成分とするものであって、イオンビームRが入射した際に放出される二次ガンマ線を遮蔽する機能を発揮するものである。なお、この二次ガンマ線を減衰させる効果は、原子番号の大きい(すなわち密度が大きく、結果として重い)材質ほど高い効果が得られる。
【0018】
図4は、遮蔽体20の開閉扉22が開いた状態を示した斜視図であり、このように、開閉扉22を開くと、ターゲットボックス27の内部空間がみえる。このターゲットボックス27には、ビーム通過孔27aが開口しており、図3(b)に示すビーム入射用ダクト28を通して入射してきたイオンビームR(図1参照)は、このビーム通過孔27aを通してターゲット31に照射する。このターゲット31をメンテナンスする際には、図2に示すように閉じられている開閉扉22a,22bを、図4に示すように解放した後に、後記する方法により脱着する。
【0019】
ターゲットボックス27の内部空間には、図5に示すような、ターゲットステージ部30が配置されている。ターゲットステージ部30は、ターゲット31(31a,31b,31c)と、ガイド33と、レール34とから構成される。
ターゲット31(31a,31b,31c)は、いずれも同じものであって、リリースレバー32の切替によって、脱着自在にガイド33に装着されているものである。
ガイド33は、レール34の長手方向に沿って、図示しない制御装置により、上下方向に移動するものである。このように、ガイド33を移動させることにより、ターゲット31(31a,31b,31c)のうちいずれか1つを、ビーム通過孔27a(図3(b)参照)の位置にあわせて、イオンビームRを照射させることができる。
【0020】
ひとつのターゲット31の内部には、一回のPET診断に必要な放射性同位元素(F−18)を得るために必要な原料水(O−18濃縮水)が封入されており、ターゲット31がイオンビームRの照射を受けると、O−18が核反応して、F−18が生成することになる。そして、1つのターゲット31aにイオンビームRを照射して所定の収量の放射性同位元素(F−18)が得られたら、ターゲットステージ部30を動かして、次のターゲット31bに照射を行えば、連続的に所望の射性同位元素(例えば、C−11やO−15等)の製造を行うことができる。
【0021】
ターゲットボックス27の下面には、図6に示すように、ターゲットステージ部30(図5)の電力供給ケーブル等を遮蔽体20の外部に引き出すためのケーブル引出孔29aが設けられている。このターゲットボックス27の下面のケーブル引出孔29aから下フレーム部23に設けられているケーブル引出孔29bに連通するケーブル配管29は、図示するように蛇行して設けられている。これは放射線が直進してそのままケーブル引出孔29aから漏れ出さないようにするためである。
【0022】
このケーブル配管29は、下フレーム部23の上面蓋23aを取り外し、さらにその下に配置している中性子遮蔽部Pの一部を取り外せば、露出するように配設されている。このように、ケーブル配管29は、遮蔽体20の外部から容易に露出させることができ、このケーブル配管29の内部に通す電力供給ケーブル等の引き回しが簡便にできるため、メンテナンス作業が容易になる。
【0023】
(動作説明)
次に、図1,図2を参照して、以上のように構成された放射性同位元素製造装置10の動作を説明するとともに、図7を参照して、原料水が封入されたターゲット31にイオンビームRが照射された際に放出される放射線(中性子、二次ガンマ線)が、遮蔽体20により減衰されて許容線量の基準値に到達するプロセスについて検証する。
【0024】
まず、放射性同位元素製造装置10を作動させるにあたって、事前に、原料水(O−18)が封入されたターゲット31を遮蔽体20の内部のターゲットステージ部30(図5)に装着し、開閉扉22を確実に閉める。
図示しない作動スイッチを操作すると、RFQ12a、DTL12bに対して、所定の高周波電力がそれぞれ供給され、各RFQ12a、DTL12bに電界が形成される。その後、イオン源11に所定の電力を供給する。これにより、イオン源11のイオンビーム発生部(図示せず)から出射されたイオンビームRがRFQ12aによって所定のエネルギーに達するまで加速される。加速されたイオンビームRは、RFQ12aから出射されて後段のDTL12bに入射され、DTL12bでさらに加速される。
このようにして加速されて高エネルギーとなったイオンビームRは、ターゲット31内の原料水(O−18水)に照射される。そして、O−18がイオンビームRの照射を受けると、核反応によりF−18が生成されると同時に、放射線(中性子、二次ガンマ線)がこのターゲット31を中心に放射される。
【0025】
この放射線は、図7に示されるように、減衰して、管理区域Uの外においてその線量は、許容線量率である100μSv/w以下になる。この図7は、中性子遮蔽部(内郭遮蔽部)Pとして30%B23が配合されたポリエチレンが放射線の進行方向の厚みが62cmとなるように配置され、ガンマ線遮蔽部(外殻遮蔽部)Mとして5cmの厚さの鉄板が配置され、管理区域Uがターゲット31から200cmの距離をおいてコンクリート壁(30cm厚)で仕切られた条件下で解析された結果を示すものである。
【0026】
図7に示すように、ターゲット31から放出された中性子は、破線で示されるように中性子遮蔽部Pの中で急速に減衰した後、外殻遮蔽部M、空気層(管理区域U)を通過して(拡散による減衰のみ)、コンクリート壁Tの遮蔽効果によりさらに減衰され、管理区域Uの外では許容線量率の1/3程度まで減衰されることになる。
一方、二次ガンマ線は、一点鎖線で示されるように、中性子遮蔽部Pにおいてはあまり減衰せず、中性子遮蔽部Pの中心部付近で強度が中性子の強度と逆転するほどである。
そして、この中性子遮蔽部Pを通過した二次ガンマ線は外殻遮蔽部Mにより大きく減衰される。その後は、二次ガンマ線も中性子と同様にして、空気層(管理区域U)を通過して、コンクリート壁Tの遮蔽効果によりさらに減衰されることになる。
このようにして、イオンビームRを照射して放射性同位元素(F−18)を製造する際に伴って発生する、人体に有害な放射線の線量は、管理区域Uの外において許容線量(100μSv/w以下)になるわけである。
【0027】
次に、所望する収量のF−18が得られたところで、イオンビームRの出射をとめて、遮蔽体20の開閉扉22を開いてターゲット31を取り外す。このターゲット31からF−18を含む濃縮水を取り出し、F−18を抽出する。なお、核反応しなかった残りの原料水(O−18濃縮水)は、非常に高価であるため回収して、ターゲット31内に戻されて再利用される。
【0028】
(遮蔽体の構造の寸法について)
次に、遮蔽体20の外殻を構成する外殻遮蔽部Mとその内側を構成する中性子遮蔽部Pの最適寸法について検討を行う。
まず、中性子遮蔽部Pは、管理区域Uの外側で中性子を許容線量の基準値(図7では100μSv/w)の半分以下(図7では約30μSv/w)に減衰させるように厚さを持たせる(30%B23配合ポリエチレンで62cm)。そして、外殻遮蔽部Mは、二次ガンマ線の線量が中性子線も含めたトータル強度で許容線量(図7では100μSv/w)以下となるような厚さを持たせる(鉄では5cm)。
【0029】
まとめると、放射性同位元素製造装置10の遮蔽体20の構造の決定手順は下記のとおりである。
(1)ターゲット31からの照射イオンビームエネルギーに対応した中性子エネルギー強度分布を与える。
(2)考えているポイントで中性子強度が線量許容基準に比べ、十分小さくなる(1/2−1/10以下)ように中性子遮蔽部Pの厚さを決める。
(3)中性子遮蔽部Pで中性子の減衰に伴って発生する二次ガンマ線の遮蔽に必要なガ
ンマ線遮蔽体の材料を選定し、考えているポイントでガンマ線と中性子の合計の線量率が許容線量率を下回るように外殻遮蔽部Mの厚さを決める。
【0030】
(遮蔽体20の据付方法)
図8を参照して遮蔽体の据付方法について説明する。
まず、図8(a)に示すように、コンクリート壁Tに仕切られた管理区域Uの据付場所となる床面に、底板部26を配置する。そして、その上に下フレーム部23を配置する。次に、図8(b)に示すように、下フレーム部23の内側に、シート状の中性子遮蔽部Pを積層して敷き詰めて、さらに、下フレーム部23の上部に主フレーム部21を設置する。
【0031】
次に、図8(c)に示すように、ターゲットボックス27を主フレーム部21の内部に設置するとともに中性子遮蔽部Pを積層して敷き詰める。次に、図8(d)に示すように、上フレーム部24を主フレーム部21の上部に設置するとともに中性子遮蔽部Pを積層して敷き詰める。次に、図8(e)に示すように、天板部25を主フレーム部21の上部に設置するとともに開閉扉22を取り付ける。
【0032】
このように、遮蔽体20の外殻遮蔽部M(図3(a)参照)は、底板部26、下フレーム部23、主フレーム部21、上フレーム部24、天板部25、開閉扉22に分割された構造を有しているので、クレーンないしはジャッキで、管理区域Uの内部で遮蔽体20を下方から順番に組み上げることができる。そして、このようにして組み上げられた、外殻遮蔽部Mの内部にシート状の中性子遮蔽部Pを積み上げて敷き詰める。この作業は、重機を使わずに人手で行うことが可能である。このように、本発明に用いられる遮蔽体20は、完成品をそのまま配置する従来型に比較して、搬入性に優れるとともに、その据付も非常に簡便であるという特徴を有する。
【実施例】
【0033】
次に、本発明に用いられる遮蔽体20の構成に関し、図9に示すように、前記した実施形態で用いた材質以外についても遮蔽性並びに総重量の評価を行ったので説明する。
なお、ここで発生する中性子の遮蔽特性はANISNコード(Engle Jr W.W.,AUser Manual for ANISN:One Dimensional Discrete Ordinates Transport Code with Anisotropic Scattering,Oak Ridge National Laboratory,K1-1613(1967) )を用いて解析されている。
【0034】
その評価結果によれば、中性子遮蔽性能は、10%B23入りポリエチレンが最も優れ、ついで20%B23入りポリエチレン、30%B23入りポリエチレン、高密度ポリエチレンの順となる結果が得られた。これは、ボロン入りポリエチレンは、ボロンの含有量が増すにつれ、水素の源指数密度が低くなるため、速中性子の遮蔽性能が劣化するものの、ボロンによる熱中性子捕獲による遮蔽効果がこれを上回るため、高密度ポリエチレンよりも遮蔽性能が高くなるからであると考えられる。
【0035】
また遮蔽体20の総重量について図7に示す放射線の減衰特性をベースに検討してみると、中性子遮蔽部Pの厚さを増やして中性子の減衰量を増加させることにより、比重が大きな材料で構成される外殻遮蔽部Mの厚さを薄くできる。その方針で遮蔽体20を構成すれば、中性子遮蔽部Pとして30%B23入りポリエチレンを用いた場合、その厚さを61cmから66cmに増加させると、外殻遮蔽部Mの厚さ3cmから1cmに低減できるので、遮蔽体20の前重量をやく73%(2.37トン/3.26トン)にまで低減でき、既設建屋への設置により好適となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る放射性同位元素製造装置の側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る放射性同位元素製造装置の上面図である。
【図3】(a)本実施形態で用いられる遮蔽体において開閉扉が開状態を示す正面断面図である。(b)同上面図である。
【図4】本実施形態で用いられる遮蔽体において開閉扉が開状態を示す斜視図である。
【図5】遮蔽体の内部に配置されるターゲットステージの斜視図である。
【図6】本実施形態で用いられる遮蔽体において配管メンテナンスを行う際の、分解図である。
【図7】本実施形態で用いられる遮蔽体によって、ターゲットから発生する放射線が遮蔽される際の、放射線の減衰特性を示すグラフである。
【図8】(a)〜(e)は、本実施形態で用いられる遮蔽体の据付方法を示す図である。
【図9】遮蔽体によるターゲット周りの放射線の遮蔽評価結果を示す表である。
【符号の説明】
【0037】
10 放射性同位元素製造装置
11 イオン源
12 加速器(線形加速器(ライナック))
20 遮蔽体
21 主フレーム部
22 開閉扉
23 下フレーム部
23a 上面蓋
24 上フレーム部
25 天板部
26 底板部
27 ターゲットボックス
27a ビーム通過孔
29 ケーブル配管
29a ケーブル引出孔
30 ターゲットステージ部
31(31a,31b,31c) ターゲット
M 外殻遮蔽部(ガンマ線遮蔽部)
P 内郭遮蔽部(中性子遮蔽部)
R イオンビーム
T コンクリート壁
U 管理区域




 

 


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