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発明の名称 キャスクおよびキャスクの取扱方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24755(P2007−24755A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−209772(P2005−209772)
出願日 平成17年7月20日(2005.7.20)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 藤村 幸治 / 熊谷 直己 / 鴨志田 守 / 平沼 健 / 安井 啓裕 / 星川 忠洋 / 堂守 生剛 / 金森 健児
要約 課題
所定の遮へい性能を維持しつつ、軽量化を図ることができ、しかも収容可能な使用済燃料の体数を制限する要因とならず、遮へい材、特に中性子遮へい材の総量を少なくしてコストを低減するキャスクおよびキャスクの取扱方法。

解決手段
使用済燃料を輸送または貯蔵するためのキャスクは、内部に使用済燃料を収容するための収容部10Aが形成された有底筒状の胴部10と、この胴部10の上部開口を密封し、胴部10に収容された使用済燃料からの放射線を遮へいする一次蓋11および二次蓋12とを備え、二次蓋12上に、放射線を遮へいする少なくとも複数枚の貯蔵用遮へい蓋13を、積層状態に設置可能に構成した。
特許請求の範囲
【請求項1】
使用済燃料を輸送または貯蔵するためのキャスクであって、
内部に前記使用済燃料を収容するための収容部が形成された有底筒状の胴部と、この胴部の上部開口を密封し、前記胴部に収容された使用済燃料からの放射線を遮へいする一次蓋および二次蓋とを備え、
前記二次蓋上に、放射線を遮へいする少なくとも複数枚の貯蔵用遮へい蓋を、積層状態に設置可能に構成したことを特徴とするキャスク。
【請求項2】
使用済燃料を輸送または貯蔵するためのキャスクであって、
内部に前記使用済燃料を収容するための収容部が形成された有底筒状の胴部と、この胴部の上部開口を密封し、前記胴部に収容された使用済燃料からの放射線を遮へいする一次蓋および二次蓋とを備え、
前記二次蓋上における放射線線量当量率の分布に基づいて、
放射線を遮へいする貯蔵用遮へい蓋を、
少なくとも前記二次蓋上の放射線線量当量率が他の部位に比べて高い部位に位置する状態に設置したことを特徴とするキャスク。
【請求項3】
少なくとも複数枚の前記貯蔵用遮へい蓋は、前記二次蓋上の放射線線量当量率が他の部位に比べて高い部位に、積層される状態に設置可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のキャスク。
【請求項4】
前記貯蔵用遮へい蓋は、前記二次蓋の上に取り付け取り外し可能に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項5】
前記貯蔵用遮へい蓋は、貯蔵期間と前記二次蓋上における放射線線量当量率との予め定められた関係に基づいて、前記二次蓋上に所定枚数積層されることを特徴とする請求項1、請求項3および請求項4のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項6】
前記貯蔵用遮へい蓋は、設置場所周辺における放射線線量当量率が予め与えられた制限値以下となるように、前記二次蓋上に所定枚数積層されることを特徴とする請求項1、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項7】
複数の前記貯蔵用遮へい蓋は、相互に径の異なる円板状の板から構成され、複数枚積層されるときに、前記二次蓋から離れるものほど面積の小さいものが積層されて、全体として階段状に積層されることを特徴とする請求項1、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項8】
複数の前記貯蔵用遮へい蓋は、平面視で円環状を呈していることを特徴とする請求項1、請求項3から請求項7のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項9】
複数の前記貯蔵用遮へい蓋は、前記二次蓋上における放射線線量当量率が他の部位に比べて高い部位に対応させて積層されることを特徴とする請求項1、請求項3から請求項8のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項10】
複数の前記貯蔵用遮へい蓋は、中性子遮へい材を備えていることを特徴とする請求項1、請求項3から請求項9のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項11】
使用済燃料を輸送または貯蔵するためのキャスクであって、
内部に前記使用済燃料を収容するための収容部が形成された有底筒状の胴部と、この胴部の上部開口を密封し、前記胴部に収容された使用済燃料からの放射線を遮へいする一次蓋および二次蓋とを備え、
前記二次蓋上に、放射線を遮へいする少なくとも複数枚の貯蔵用遮へい蓋を、積層状態に設置し、前記二次蓋の上の放射線線量当量率の測定結果、および貯蔵期間の少なくともいずれか1つに基づいて、積層枚数が減じられるように構成したことを特徴とするキャスク。
【請求項12】
使用済燃料を輸送または貯蔵するためのキャスクであって、
内部に前記使用済燃料を収容するための収容部が形成された有底筒状の胴部と、この胴部の上部開口を密封し、前記胴部に収容された使用済燃料からの放射線を遮へいする一次蓋および二次蓋とを備え、
前記胴部の底部に設けられた窪み部と、前記窪み部に取り付け取り外し可能に設けられ、放射線を遮へいする底部遮へい材と、を具備したことを特徴とするキャスク。
【請求項13】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のキャスクであって、
前記胴部の底部に設けられた窪み部と、前記窪み部に取り付け取り外し可能に設けられ、放射線を遮へいする底部遮へい材と、を具備したことを特徴とするキャスク。
【請求項14】
前記底部遮へい材は、前記窪み部に全体が収容された状態で、前記底部遮へい材の底面が前記窪み部内に位置することを特徴とする請求項12または請求項13に記載のキャスク。
【請求項15】
前記底部遮へい材は、前記窪み部に対する取り付け取り外しに際して、前記窪み部に対向する側から前記窪み部に向けて吊設移動する取付具に固定された状態で垂直姿勢を保ちつつ、前記窪み部に挿入され、あるいは前記窪み部から引き出されることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のキャスク。
【請求項16】
使用済燃料を輸送または貯蔵するためのキャスクであって、
内部に前記使用済燃料を収容するための収容部が形成された有底筒状の胴部と、この胴部の上部開口を密封し、前記胴部に収容された使用済燃料からの放射線を遮へいする一次蓋および二次蓋と、
前記胴部の底部を包む状態に取り付けられた下部緩衝体と、
前記胴部の上端および前記二次蓋を包む状態に取り付けられた上部緩衝体とを備え、
前記下部緩衝体の前記底部との対向部位、および前記上部緩衝体の前記二次蓋との対向部位に、中性子遮へい材をそれぞれ配置したことを特徴とするキャスク。
【請求項17】
請求項12から請求項15のいずれか1項に記載のキャスクであって、
前記胴部の底部を包む状態に取り付けられた下部緩衝体と、
前記胴部の上端および前記二次蓋を包む状態に取り付けられた上部緩衝体とを備え、
前記下部緩衝体の前記底部との対向部位、および前記上部緩衝体の前記二次蓋との対向部位に、中性子遮へい材をそれぞれ配置したことを特徴とするキャスク。
【請求項18】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のキャスクを取り扱うキャスクの取扱方法であって、
前記キャスクを原子炉建屋に搬入する搬入手順と、
前記原子炉建屋内に設置されたキャスクピットで使用済燃料を装荷した後に、中間貯蔵施設へ搬送するための第1の搬送手順と、
前記中間貯蔵施設へ前記キャスクを受入れる受入手順と、
受入れた前記キャスクを長期貯蔵する貯蔵手順と、
貯蔵後、前記キャスクを再処理施設へ搬送するための第2の搬送手順と、
を含み、
前記受入手順において、前記キャスクの前記二次蓋の上に、前記貯蔵用遮へい蓋を取り付け、
前記貯蔵手順において、前記キャスクの周辺の放射線線量当量率の測定結果の情報、設置場所周辺の放射線遮へい設備状況の情報および貯蔵期間の情報のうちの少なくともいずれか1つの情報に基づいて、前記二次蓋の上に積層される前記貯蔵用遮へい蓋の枚数を所定の枚数に減じ、
前記第2の搬送手順において、前記貯蔵用遮へい蓋が前記キャスクから取り外されている状態にすることを特徴とするキャスクの取扱方法。
【請求項19】
前記受入手順において、複数枚の前記貯蔵用遮へい蓋が、前記二次蓋の上に積層状態に設置されることを特徴とする請求項18に記載のキャスクの取扱方法。
【請求項20】
請求項12から請求項15のいずれか1項に記載のキャスクを取り扱うキャスクの取扱方法であって、
前記キャスクを原子炉建屋に搬入する搬入手順と、
前記原子炉建屋内に設置されたキャスクピットで使用済燃料を装荷した後に、中間貯蔵施設へ搬送するための第1の搬送手順と、
前記中間貯蔵施設へ前記キャスクを受入れる受入手順と、
受入れた前記キャスクを長期貯蔵する貯蔵手順と、
貯蔵後、前記キャスクを再処理施設へ搬送するための第2の搬送手順と、
を含み、
前記搬入手順において、前記胴部の底部に設けられた前記窪み部に、前記底部遮へい材が取り付けられ、
前記受入手順において、前記窪み部から前記底部遮へい材が取り外され、
前記第2の搬送手順において、前記窪み部に、前記底部遮へい材が取り付けられることを特徴とするキャスクの取扱方法。
【請求項21】
請求項16または請求項17に記載のキャスクを取り扱うキャスクの取扱方法であって、
前記キャスクを原子炉建屋に搬入する搬入手順と、
前記原子炉建屋内に設置されたキャスクピットで使用済燃料を装荷した後に、中間貯蔵施設へ搬送するための第1の搬送手順と、
前記中間貯蔵施設へ前記キャスクを受入れる受入手順と、
受入れた前記キャスクを長期貯蔵する貯蔵手順と、
貯蔵後、前記キャスクを再処理施設へ搬送するための第2の搬送手順と、
を含み、
前記第1の搬送手順および前記第2の搬送手順における前記キャスクの搬送に際し、前記キャスクの前記胴部の底部に前記下部緩衝体を取り付けるとともに、前記キャスクの前記二次蓋の上に、前記上部緩衝体を取り付け、
前記受入手順における前記キャスクの受入れに際し、前記胴部の底部から前記下部緩衝体を取り外すとともに、前記二次蓋から前記上部緩衝体を取り外すことを特徴とするキャスクの取扱方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の炉心から発生する使用済燃料を収容するキャスクおよびキャスクの取扱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の原子炉炉心で一定期間使用された後、炉心より取り出された使用済燃料は、発電所内の使用済燃料貯蔵プールに一時保管されて冷却される。所定の冷却期間が終了した使用済燃料は、ウラン、プルトニウム等の再利用可能な核燃料物質を回収するため、放射線の遮へい性能を有したキャスクに収容され、トレーラや船舶等で再処理施設に輸送される。なお、使用済燃料は、再処理施設に輸送される前に、原子力発電所内外の中間貯蔵施設において、キャスクに収容された状態で保管されることもある。
【0003】
一般的に、キャスクは、使用済燃料を収容する収容部が形成された胴部と、この胴部の上部開口に取り付けられる一次蓋および二次蓋とから構成されており、胴部に一次蓋および二次蓋を封止することにより、キャスクの密封状態が維持されるように構成されている。
なお、貯蔵施設の天井部の遮へい負担を軽減する目的で、貯蔵期間中に二次蓋の上に三次蓋が取り付けられるものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−287893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、使用済燃料に含まれる放射性核種は、それぞれの半減期に応じて時間の経過とともに崩壊し、ガンマ線の発生数も経過時間とともに指数関数的に減少する。また、中性子発生数も同様の傾向となる。
しかしながら、従来のキャスクでは、貯蔵期間中の放射線源の減衰を考慮せずに保守側の線源強度を想定して、一次蓋および二次蓋の厚さが設定され、また、三次蓋の厚さが設定されていた。このため、キャスクの重量が増加するという問題があった。
このことは、収容可能な使用済燃料の体数を制限する要因となり、また、遮へい材、特に中性子遮へい材の総量が増加するためコスト高の要因ともなっていた。
【0005】
本発明の目的は、所定の遮へい性能を維持しつつ、軽量化を図ることができ、しかも収容可能な使用済燃料の体数を制限する要因とならず、遮へい材、特に中性子遮へい材の総量を少なくしてコストを低減することができるキャスクおよびキャスクの取扱方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明では、使用済燃料を収容する胴部の上部開口を密封して放射線を遮へいする二次蓋上に、放射線を遮へいする少なくとも複数枚の貯蔵用遮へい蓋を、積層状態に設置可能に構成したので、収容する使用済燃料の放射線線量当量率にあわせて貯蔵用遮へい蓋を複数枚積層して取り付けることができ、放射線を好適に遮へいすることができる。つまり、例えば、貯蔵当初は、所定期間貯蔵後に比べて放射線線量当量率が高いので、積層する貯蔵用遮へい蓋の枚数を多くしておき、所定期間貯蔵後に放射線線量当量率が低下したときに、貯蔵用遮へい蓋の枚数を減ずるようにすることができる。つまりこのような取り扱いを可能とするキャスクによれば、一次蓋および二次蓋を当初から分厚く形成する必要が無くなるので、重量を減少させることができる。また、キャスクの胴部の底部に窪み部を設けて、この窪み部に放射線を遮へいする底部遮へい材を取り付け取り外し可能に設けることで、キャスクの底部側の放射線を適宜遮へいすることができる。さらに、胴部の底部を包む下部緩衝体と、胴部の上端および二次蓋を包む上部緩衝体とに中性子遮へい材を配置することで、輸送時の放射線遮へいに優れたキャスクが得られる。
また、本発明のキャスクの取扱方法では、原子炉建屋から中間貯蔵施設、さらには再処理施設にキャスクを輸送する過程、あるいは中間貯蔵施設でキャスクを貯蔵する過程で、放射線を好適に遮へいすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定の遮へい性能を維持しつつ、軽量化を図ることができ、しかも収容可能な使用済燃料の体数を制限する要因とならず、遮へい材、特に中性子遮へい材の総量を少なくしてコストを低減することができるキャスクおよびキャスクの取扱方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明のキャスクを適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態のキャスクCは、キャスク本体C1(図1参照)と緩衝体20,20(図8参照)とを備える。図1に示すように、キャスク本体C1は、有底円筒状の胴部10と、この胴部10の上部開口に取り付けられる一次蓋11および二次蓋12と、二次蓋12の上に複数枚積層可能に取り付けられる貯蔵用遮へい蓋13(13a〜13d)とを備えて構成される。また、胴部10の底部には底部遮へい材14が取り付け可能である。緩衝体20,20は、図8に示すように、キャスク本体C1の上部と下部とを覆う状態に取り付けられ、キャスク本体C1を衝撃から保護するようになっている。
【0009】
胴部10は、炭素鋼等の材料からなり、有底円筒状を呈している。胴部10の内部には、使用済燃料(不図示、以下同じ)を収容するための収容部10Aが形成されている。収容部10Aには、使用済燃料が保持されるバスケット10Bが設けられている。胴部10の周壁10Cには、放射線を遮へいする遮へい体10Dが周方向全体に埋設されている。また、胴部10の周壁10Cの上部および下部には、キャスク本体C1の吊上げ吊下し等に使用するトラニオン10Eが周方向に所定の間隔を置いて上下で計8個設けられている。
【0010】
一次蓋11および二次蓋12は炭素鋼等の材料からなり、胴部10の上部開口を密封してキャスクCの輸送時および貯蔵時の密封境界を形成する。
一次蓋11は、図2に示すように、胴部10の開口を塞ぐ状態に、胴部10の上部開口縁に形成された上下二段からなる段部の下段10aに載置されて、ボルト10bによって取り付けられる。二次蓋12は、一次蓋11を覆う状態に前記段部の上段10cに載置されて、ボルト10dによって取り付けられる。ここで、前記段部の下段10aと一次蓋11との間、段部の上段10cと二次蓋12との間、あるいは一次蓋11と二次蓋12との間には、図示しないリング状のシール部材が配置される。なお、一次蓋11および二次蓋12は、後記するようにキャスクCが取り扱われる過程において、下段10a、上段10cに仮置き状態で載置されることがある。つまり、一次蓋11および二次蓋12は、キャスクCの取扱作業中等において、一時的に放射線を遮へいする目的で使用される。これにより、作業環境等における放射線線量当量率を低減することができる。
【0011】
(貯蔵用遮へい蓋)
貯蔵用遮へい蓋13(13a〜13d)は、炭素鋼等の材料からなり、相互に径の異なる円板状の板から構成されている。貯蔵用遮へい蓋13は、図3に示すように、放射線を遮へいすることが可能な中性子遮へい材13Aを内包した構造を有している。なお、貯蔵用遮へい蓋13の厚さ、中性子遮へい材13Aの材質や厚さは、収容する使用済燃料の種類や貯蔵建屋の遮へい能力等を考慮して適宜設定することができる。中性子遮へい材13Aとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の高分子の樹脂にホウ素を混入したもの、または、ホウ酸水等の中性子減速材(水素、炭素等)と中性子吸収材(ホウ素等)を含むものを使用することができる。そして、貯蔵用遮へい蓋13は、図2に示すように、複数枚積層されるときに、二次蓋12から離れるものほど面積の小さいものが順次積層されて、全体として側面視で階段状に積層されるように構成されている。これにより、キャスク本体C1の中心Oに近い位置ほど、積層される貯蔵用遮へい蓋13(13a〜13d)の枚数が多くなり、中心Oに近い位置ほど放射線の遮へい能力が高くなるようにされている。貯蔵用遮へい蓋13のうち、二次蓋12の直上に位置する貯蔵用遮へい蓋13aは、胴部10の上端部に対してボルト10eにより取り付けられ、また、その他の貯蔵用遮へい蓋13b〜13dは、取付部材13eによって、下側に位置するそれぞれの貯蔵用遮へい蓋13a,13b,13cの上面に取り付けられる。これにより、地震等における貯蔵用遮へい蓋13の横ずれを防止した貯蔵を実現できる。
【0012】
図4は本実施形態のキャスク本体C1に所定の使用済燃料を収容したときの、二次蓋12の上における半径方向の放射線線量当量率の分布を表した例であり、縦軸は放射線線量当量率、横軸はキャスク本体C1の中心Oからの距離である。同図に示すように、放射線線量当量率は、中心O(距離0)で最大となり、中心Oから離れるにしたがってしだいに小さくなって表れている。すなわち、二次蓋12の周辺における必要遮へい厚さは、中心部よりも薄くて済むということがこのグラフにより分かる。本実施形態の貯蔵用遮へい蓋13は、前記のように、階段状に積層されて中心Oに近い部位ほど分厚くされて放射線の遮へい能力が高くされているので、図4に示した特性と合致したものとなり、放射線の遮へいを良好に行うことができる。したがって、このような貯蔵用遮へい蓋13を用いることにより放射線遮へい能力の高いキャスク本体C1が得られる。
【0013】
ここで、前記のように、使用済燃料に含まれる放射線核種はそれぞれの半減期に応じて時間の経過とともに崩壊することから、例えば、軽水炉の使用済燃料におけるガンマ線発生数(個/秒)は、図5に示すように、時間の経過とともに指数関数的に減少する。図5において、縦軸はガンマ線発生数(相対値)、横軸は使用済燃料を取り出した後の経過期間(冷却期間(年))である。
したがって、二次蓋12の上に積層可能に取り付けられる貯蔵用遮へい蓋13は、貯蔵期間(貯蔵期間の情報)に応じて減少する放射線線量当量率に対応させて、積層枚数を減じるように取り扱うことで、キャスク本体C1の取り扱いや状況等に応じて適切な枚数を設置できる。つまり、貯蔵当初の放射線線量当量率の高い時期は放射線線量当量率に対応させて、貯蔵用遮へい蓋13を複数枚積層して対処し、その後、貯蔵期間に応じて、貯蔵用遮へい蓋13の積層枚数を減じるようにするという貯蔵手法を採ることができる。これにより、一次蓋11および二次蓋12では放射線の遮へい性能が不十分な場合でも、貯蔵用遮へい蓋13を積層することで対応することができる。したがって、一次蓋11および二次蓋12を分厚く形成する必要がなくなり、その分、軽量化を図ることができる。また、状況に応じて適切な枚数の貯蔵用遮へい蓋13とすることができるので、例えば、貯蔵期間に応じて二次蓋12の上から外した貯蔵用遮へい蓋13を、他のキャスク本体C1の貯蔵にまわして使用することができ、複数のキャスク本体C1間で貯蔵用遮へい蓋13を共用することができて、経済的である。
【0014】
また、キャスクC(キャスク本体C1)の取扱手法としては、貯蔵期間毎に貯蔵用遮へい蓋13の積層枚数を予め設定しておいて、その設定にしたがって貯蔵期間毎に所定の枚数の貯蔵用遮へい蓋13となるように二次蓋12の上から貯蔵用遮へい蓋13を減じるようにする手法を採ることもできる。この場合、例えば、貯蔵期間と放射線線量当量率との関係から、貯蔵当初の放射線線量当量率別に作られた図示しないマップに基づいて、貯蔵期間毎の貯蔵用遮へい蓋13の積層枚数を設定することができる。一例として、貯蔵期間を5つの期間に分けた場合、各貯蔵期間において積層枚数を次のように設定することができる。
(期間1)0年〜a年は、4枚の貯蔵用遮へい蓋13(13a〜13d)を積層する。
(期間2)a+1年〜b年は、3枚の貯蔵用遮へい蓋13(13a〜13c)を積層する。
(期間3)b+1年〜c年は、2枚の貯蔵用遮へい蓋13(13a,13b)を積層する。
(期間4)c+1年〜d年は、1枚の貯蔵用遮へい蓋13(13a)のみを積層する。
(期間5)d〜最終年は、貯蔵用遮へい蓋13(13a)を取り外す。すなわち、一次蓋11および二次蓋12のみで放射線を遮へいする。
このようにすることで、貯蔵期間毎の積層枚数の設定を簡易に行うことができる。
また、各貯蔵期間において放射線線量当量率の測定結果(測定結果の情報)に基づいて積層枚数の検討を合わせて行うことにより、より一層確実な放射線の遮へいを行うことができる。
なお、貯蔵前に測定した放射線線量当量率の測定結果によっては、貯蔵開始時点、つまり貯蔵期間が0年でも貯蔵用遮へい蓋13が不要になる場合もあり得る。この場合には、一次蓋11および二次蓋12で対応することができるので、貯蔵用遮へい蓋13を他のキャスク本体C1の貯蔵にまわすことができる。
【0015】
(底部遮へい材)
底部遮へい材14は、図6に示すように、炭素鋼等の材料からなる有底円筒状の容器14aに、中性子遮へい材14bが設けられた構成となっている。中性子遮へい材14bとしては、前記貯蔵用遮へい蓋13で使用したものと同様の材料等を使用することができる。このような底部遮へい材14は、胴部10(図1参照、以下同じ)の底部に形成された窪み部10F内に全体が収容されるようになっており、そのための構成として、底部遮へい材14の高さ寸法H1が窪み部10Fの窪み寸法H2よりも小さく形成されている。これにより、図6に二点鎖線で示すように、窪み部10F内に底部遮へい材14が収容されて取り付けられると、底部遮へい材14は、その底面14dが胴部10の底面10fよりも上方に位置することとなる。言い換えれば、底部遮へい材14の底面10fが窪み部10F内に位置することとなる。このような底部遮へい材14は、ボルト14cにより窪み部10Fに取り付けられる。
【0016】
底部遮へい材14は、原子炉建屋等において、図7(a)(b)に示すように、通常、キャスク本体C1が横置きにされた状態で、胴部10の底部の窪み部10Fに取り付けられる。取り付けにあたっては、原子炉建屋の受入エリア等に設けられた天井クレーン等にワイヤWで吊り下げられた取付具30等が用いられる。取付具30は、ワイヤWが接続される基部31と、この基部31の側方に一体的に突設された保持部32とを有しており、基部31側から保持部32を通じて底部遮へい材14の保持穴14e(図6参照)に挿入されたボルト33により、保持部32の側面に対して底部遮へい材14が取り付けられるようになっている。保持部32は、窪み部10F内に挿入可能な形状および寸法を備えて形成されている。
このような、取付具30は、保持部32に底部遮へい材14を取り付けた状態で、ワイヤWにより吊設移動されるときの姿勢が垂直の状態に保たれるように、ワイヤWの取り付け位置が調整されてバランスがとられている。これにより、底部遮へい材14を窪み部10Fに取り付ける際に、底部遮へい材14の窪み部10Fとの対向面が、窪み部10Fに片当り等を生じて傷つくことがない。
なお、このような取付具30により、窪み部10F内に配置された底部遮へい材14は、取付具30に保持された状態のまま、図示しない取付具30に設けられた挿通孔を通じて挿入された前記ボルト14c(図6参照)により、窪み部10Fに固定される。そして、固定後にボルト33が外されて、底部遮へい材14から取付具30が引き離される。
【0017】
図7(c)に示すように、窪み部10Fに底部遮へい材14が取り付けられた状態では、前記したように、底部遮へい材14は、その底面14dが胴部10の底面10fよりも上方(この場合は底部遮へい材14から見て、図中左方となる収容部10A側)に位置することとなるので、図7(d)に示すように、胴部10を横置きから縦置きにした場合には、底部遮へい材14の底面14dと床面G等との間に隙間Sが形成されることとなり、底部遮へい材14が床面G等からの外力を受けないため構造を簡素化できる。
また、図7(e)に示すように、緩衝体20を胴部10の下部に取り付けたときにも、緩衝体20の対向面20aと底部遮へい材14の底面14dとの間には、やはり隙間Sが形成されることとなるので、底部遮へい材14が緩衝体20に密着することが防止される。
【0018】
(緩衝体)
緩衝体20は、図8に示すように、胴部10の底部を包む状態に取り付けられた下部緩衝体20Aと、胴部10の上端および二次蓋12を包む状態に取り付けられた上部緩衝体20Bとを備えて構成される。
下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bには、キャスク本体C1との対向部位に放射線を遮へいすることが可能な中性子遮へい材21がそれぞれ配置されている。中性子遮へい材21は前記した貯蔵用遮へい蓋13で用いたもの(符合13A、図3参照)と同様のもの等が用いられる。本実施形態では、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bが同一形状もしくはほぼ同じ形状とされているので、ここでは、下部緩衝体20Aについて説明する。図9に示すように、下部緩衝体20Aは、断面が凹形状に形成されており、外殻部分がステンレス鋼製等からなり、内部に木材もしくは木質ボード等が充填されて構成されている。中性子遮へい材21は、中央に形成された凹部22に配置されている。下部緩衝体20Aは、凹部22を胴部10(図8参照)の底部(上部緩衝体20Bでは上部)に嵌めることによって、胴部10の底部から下部の周面を包む状態に保持して、万一の落下時の衝撃を十分に緩和する役割をなす。
なお、下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20Bは、万一の落下に対してキャスク本体C1(図8参照)の一部が着床するのを防ぐために、落下に対して許容変形量内で衝撃が吸収されるようになっている。
【0019】
このような緩衝体20は、原子炉建屋等において、図10(a)(b)に示すように、キャスク本体C1が横置きにされた状態で、キャスク本体C1の胴部10の底部および上部に取り付けられる(図では底部側のみ図示)。取り付けにあたっては、原子炉建屋の搬出エリア等に設けられた天井クレーン等にワイヤWで吊り下げられて行われる。なお、緩衝体20はキャスク本体C1に図示しないボルト等により固定される。
【0020】
図11(a)〜(c)に変形例の緩衝体20’を用いたキャスク本体C1への取り付けを示す。この例の緩衝体20’では、中性子遮へい材21が別体に構成され、キャスク本体C1に対して、これらが順次に取り付けられるようになっている。つまり、図11(a)に示すように、はじめにキャスク本体C1に対して中性子遮へい材21がワイヤW等に吊り下げられて、胴部10の底部(上部、以下同じ)に図示しないボルト等により固定される。その後、図11(b)に示すように、ワイヤW等に吊り下げられて緩衝体20’が胴部10の底部に近づけられ、図11(c)に示すように、中性子遮へい材21が取り付けられた上から胴部10の底部に図示しないボルト等により固定される。このような変形例によれば、緩衝体20’と中性子遮へい材21とが別々になるので、緩衝体20’と中性子遮へい材21とを個々に管理することができ、緩衝体20’が破損等した場合には、緩衝体20’のみを交換することで対処することができて経済的である。
【0021】
次に、このようなキャスクCの取扱について図12〜図14を参照して説明する(適宜その他各図参照)。一般的に、キャスクCは、図12に示すように、原子力発電所50で使用済燃料を内部に収容した後に、トレーラTや船舶(不図示)により中間貯蔵施設51に輸送されて貯蔵され、所定の貯蔵期間後に、再処理施設52へ輸送されるが、ここでは、主として原子力発電所50および中間貯蔵施設51における取り扱いについて、以下詳細に説明する。
図13(a)に示すように、製造工場で製造されたキャスク本体C1や図示しないキャスク保管庫等に保管されていたキャスク本体C1(A1)が、トレーラT等により原子力発電所の原子炉建屋に運び込まれる(B1)。ここで、B1において、キャスク本体C1は、トレーラT上に横置きにされて輸送されてくるので、この状態で、胴部10の底部に底部遮へい材14が取り付けられる。ちなみに、これ以降の図示しない使用済燃料の装荷においては、キャスク本体C1が縦置きの状態で取り扱われるため、この時点で底部遮へい材14を取り付けることが有効である。
【0022】
B2において、原子炉建屋に設けられた天井クレーンの吊下アームがキャスク本体C1のトラニオン10Eに保持され、キャスク本体C1が立て起こしされて図示しない使用済燃料の装荷エリアに搬送される。装荷エリアでの詳細は図示しないが、装荷エリアでは、一次蓋11および二次蓋12が外され、キャスク本体C1の収容部10Aに使用済燃料が装荷された後に一次蓋11が仮締めされる。このとき、図示しない作業被ばく防止用の放射線遮へい機能を備えた追加遮へい体が一次蓋11の上に続けて装着される。この追加遮へい体は、一次蓋11が密封されるまで装着されるので、その間、放射線を好適に遮へいすることができる。なお、この追加遮へい体は、通常、1枚用いられ、一次蓋11の直上や胴部10の上端に装着されるが、本実施形態の貯蔵用遮へい蓋13のように、複数枚積層配置される構造とすることができる。
その後、一次蓋11が密封され二次蓋12が装着されるが、ここで、図示しない輸送被ばく防止用の遮へい体を二次蓋12の上に装着してもよい。この遮へい体は、後記する輸送時に、緩衝体20に代えて一般的な中性子遮へい材21が装着されていない緩衝体を使用する場合に特に有効である。
【0023】
その後、二次蓋12の密封を確認して、搬出エリアのトレーラTに搭載し、キャスク本体C1をトレーラT上に横倒しに設置する(B3)。このとき、キャスク本体C1の底部側がトレーラの後方に向けて露出するが、底部には、底部遮へい材14が配置されているので、放射線が好適に遮へいされ、作業被ばくを好適に防止することができる。その後、原子力発電所内等のキャスク保管庫にキャスク本体C1をトレーラTで搬送し(B4)、キャスク保管庫において、キャスク本体C1に緩衝体20(下部緩衝体20A,上部緩衝体20B)を装着する(D1)。その後、トレーラTで緩衝体20の装着されたキャスクCが中間貯蔵施設へ輸送される(D2)。
【0024】
ここで、図13(b)に示すように、原子炉建屋の搬出エリアにおいて、キャスク本体C1に緩衝体20(下部緩衝体20A,上部緩衝体20B)を装着して(B5)、キャスクCを中間貯蔵施設へ搬送するようにしてもよい(D2)。この場合、キャスク保管庫にキャスク本体C1を輸送する時間と手間が省かれ、コストが低減される。
【0025】
図14(a)に示すようにトレーラTによって輸送されたキャスクCは(E1)、中間貯蔵施設の受入エリアに搬入されて(F1)、クレーン等により積み下される(F2)。そして、緩衝体20(下部緩衝体20A,上部緩衝体20B)が外される(F3)。また、ここで、底部遮へい材14(不図示)は、キャスク本体C1の底部から外されキャスク保管庫や原子力発電所に運ばれて再利用される。このあとの手順でキャスク本体C1がクレーン等により立て起こされ(F4)、その後、長期間にわたってキャスク本体C1が縦置き状態とされるからである。立て起こされたキャスク本体C1は、搬送されて(F5)、検査架台Dに装着され(F6)、図示しないセンサ等が取り付けられて外観検査、放射線線量当量率検査等が行われる(F7)。
このとき、主として放射線線量当量率検査による検査結果に基づいて、貯蔵用遮へい蓋13が二次蓋12の上に所定枚数取り付けられる。ここで、二次蓋12の上に積層される貯蔵用遮へい蓋13は、二次蓋12の上や設置場所周辺における放射線線量当量率があらかじめ与えられた制限値以下となるように、所定枚数積層される。また、設置場所周辺の放射線遮へい設備の状況(情報)を加味して、積層枚数を設定することができる。
【0026】
その後、キャスク本体C1は、貯蔵エリアに搬送される(G1)。
そして、図14(b)に示すように、所定期間貯蔵が行われる(G2)。貯蔵期間中は、遮へい性能検査が行われ、例えば、前記したように、貯蔵期間と放射線線量当量率との関係から、貯蔵当初の放射線線量当量率別に作られた図示しないマップに基づいて、貯蔵期間毎の貯蔵用遮へい蓋13の積層枚数を減じる取り扱いが行われる。これにより、貯蔵期間に対応した的確な枚数の貯蔵用遮へい蓋13を二次蓋12の上に積層することができ、少ない枚数で放射線を確実に遮へいすることができる。なお、取り外された貯蔵用遮へい蓋13は、後から貯蔵されるキャスク本体C1に対して使用することができ、貯蔵用遮へい蓋13の無駄のない共用を実現することができる。
【0027】
所定期間貯蔵後、キャスク本体C1は輸送用の受入エリアに搬送される(H1)。ここで、キャスク本体C1は、検査架台Dに載置されて、輸送前の検査が行われる。
その後、キャスク本体C1が吊上げられて搬送され(H2,H3)、横置きに配置される(H4)。このとき、作業中、輸送中の被ばくを防止するために、胴部10の底部に底部遮へい材14(不図示)が取り付けられる。
【0028】
次に、キャスク本体C1に緩衝体20(下部緩衝体20A,上部緩衝体20B)が取り付けられ(H5)、一時保管される(H6)。その後、クレーン等でキャスクCが吊上げられ、トレーラTに積まれて(H7)、再処理施設に向けて輸送される(J1)。
なお、再処理施設で使用済燃料が取り出されたキャスク本体C1からは、底部遮へい材14が取り外されて、図示しないキャスク保管庫や原子力発電所へ輸送される(図13(a)に示すA1参照)。
【0029】
以下では、本実施形態において得られる効果を説明する。
(1)本実施形態では、使用済燃料を収容する胴部10の上部開口を密封して放射線を遮へいする二次蓋12上に、放射線を遮へいする貯蔵用遮へい蓋13を、複数枚積層可能に設けたので、収容する使用済燃料の放射線線量当量率にあわせて貯蔵用遮へい蓋13を複数枚積層して取り付けることができ、放射線を好適に遮へいすることができる。つまり、例えば、貯蔵当初は、所定期間貯蔵後に比べて放射線線量当量率が高いので、貯蔵用遮へい蓋13の積層枚数を多くしておき、所定期間貯蔵後に放射線線量当量率が低下した時点で、貯蔵用遮へい蓋13の枚数を減ずるようにすることができる。つまり、このような取り扱いを可能にするキャスクCによれば、一次蓋11および二次蓋12を当初から分厚く形成する必要が無くなるので、重量を減少させることができる。
(2)キャスクCの重量を減少させることができるので、収容可能な使用済燃料の体数が制限されず、また、遮へい材、特に中性子遮へい材13Aの総量が増加することもなく、コスト高となることもない。
(3)貯蔵用遮へい蓋13は、二次蓋12の上の放射線線量当量率の分布に基づいて、放射線線量当量率が他の部位に比べて高い部位に位置する状態に複数枚積層可能に設けたので、放射線線量当量率の高い部位、言い換えれば、放射線を遮へいする必要のある部位を他の部位に比べて複数枚積層された貯蔵用遮へい蓋13で積極的に遮へいすることができ、効率のよい放射線の遮へいを実現することができる。つまり、一律に最も厳しい放射線線量当量率に併せて、全体を遮へいする必要がなくなり、その分、大幅な重量の削減を実現することができる。さらに、一次蓋11および二次蓋12に中性子遮へい材13Aを内包させる必要がなくなるので、その分コストを低減することができる。
(4)本実施形態では、貯蔵用遮へい蓋13が、二次蓋12の上に取り付け取り外し可能に設けられているので、放射線線量当量率の測定結果に合わせて、好適な積層枚数となるように調整して取り付けることができる。また、貯蔵期間の経過後に、貯蔵用遮へい蓋13の積層枚数を減じる作業も取付部材13eを取り外すことにより簡単に行うことができる。
(5)キャスク本体C1の貯蔵期間と二次蓋12の上における放射線線量当量率との予め定められた関係に基づいて、二次蓋12上に貯蔵用遮へい蓋13が所定枚数積層される構成としたときには、作業者は、従来のような、煩雑な検査を行わずとも前記関係から一律に好適な積層枚数を得ることができるので、キャスクCの取り扱いがより簡単になる。また、この場合において、ある種の検査を併用して実施することにより、より一層確実な放射線の遮へいを実現することができる。
(6)キャスク本体C1の設置場所周辺における放射線線量当量率が予め与えられた制限値以下となるように、二次蓋12の上に貯蔵用遮へい蓋13が所定枚数積層される構成としたときには、キャスク本体C1が貯蔵される周囲の遮へい能力を考慮した積層枚数で貯蔵用遮へい蓋13を取り付けることができる。したがって、中間貯蔵施設の遮へい能力が高い場合などには、貯蔵用遮へい蓋13の積層枚数を通常より減じて取り付けることも可能となり、キャスク本体C1の貯蔵される周辺の状況に合わせた的確な放射線の遮へいを実現することができて、貯蔵用遮へい蓋13の積層枚数が過剰になるのを防止することができる。
(7)貯蔵用遮へい蓋13は、相互に径の異なる円板状の板から構成され、複数枚積層されるときに、二次蓋12から離れるものほど面積の小さいものが積層されて、全体として階段状に積層されるので、キャスク本体C1の中心Oに近い位置ほど、積層される貯蔵用遮へい蓋13(13a〜13d)の枚数が多くなり、中心Oに近い位置ほど放射線の遮へい能力が高くなる。したがって、放射線線量当量率が他の部位に比べて高い部位、例えば、図4に示すように、放射線線量当量率が、中心O(距離0)で最大となるキャスク本体C1の特性に好適に合致したものとすることができる。これにより、放射線の遮へいを最小限の貯蔵用遮へい蓋13で確実に行うことができる。また、貯蔵用遮へい蓋13が階段状に積層されるので、作業者は、積層される高さにより、視覚的に現在の放射線の遮へい状況を把握することができる。
(8)貯蔵用遮へい蓋13は、中性子遮へい材13Aを備えているので、その分、一次蓋11および二次蓋12に中性子遮へい材13Aを設ける必要がなくなり、その分、一次蓋11および二次蓋12の重量を低減することができる。また、貯蔵用遮へい蓋13は、放射線線量当量率に応じて必要枚数積層されるので、全体として、キャスク本体C1の重量を低減することができる。
(9)貯蔵用遮へい蓋13を二次蓋12の上に予め取り付けてセットしておくこともできるので、貯蔵に至るまでの作業被ばくの防止を考慮したキャスク本体C1の取り扱いを実現することができる。また、二次蓋12の上の放射線線量当量率の測定結果、および貯蔵期間の少なくともいずれか1つに基づいて、積層枚数が減じられるように取り扱うことで、より確実性の高い作業被ばくの防止を実現することができる。
(10)胴部10の底部には、底部遮へい材14が取り付けられるので、キャスク本体C1を横に倒したとき(輸送時等)の、キャスク本体C1の底部側の放射線を良好に遮へいすることができる。
(11)底部遮へい材14は、底部の窪み部10Fに取り付け取り外し可能に設けられているので、キャスク本体C1の取り扱い過程において放射線の遮へいが必要なときに取り付けて用いることができ、また、胴部10の底部が床面に向く、縦置き状態等の、底部遮へい材14が不必要なときには、これを外してキャスク本体C1の重量を低減することができる。
(12)底部遮へい材14は、底部の窪み部10F内に全体が収容されるようになっており、その底面14dが胴部10の底面10fよりも上方に位置することとなるので、図7(d)に示すように、胴部10を横置きから縦置きにした場合には、底部遮へい材14の底面14dと床面G等との間に隙間Sが形成されることとなり、底部遮へい材14が床面G等からの外力を受けないため構造を簡素化でき、その分、コストの低減を図ることができる。
(13)緩衝体20(下部緩衝体20Aおよび上部緩衝体20B)には、キャスク本体C1との対向部位に放射線を遮へいすることが可能な中性子遮へい材21がそれぞれ配置されているので、輸送時等における放射線の遮へいを確実に行うことができる。しかも、前記変形例の緩衝体20’において、中性子遮へい材21を取り付け取り外し可能に設けたものにあっては、緩衝体20’と中性子遮へい材21とを別々に管理することができ、緩衝体20’が破損等した場合には、緩衝体20’のみを交換することで対処することができて経済的である。
【0030】
(第2実施形態)
第2実施形態であるキャスクCを説明する。本実施形態のキャスクCは、そのキャスク本体C1の二次蓋12の上に取り付けられる貯蔵用遮へい蓋13’に特徴があり、その他の点に変わりはない。図15(a)(b)に示すように、貯蔵用遮へい蓋13’(13a’,13b’,13c’,13d’)は、炭素鋼等の材料からなり、相互に径の異なる平面視で円環状を呈した板から構成されている。貯蔵用遮へい蓋13’は、前記実施形態と同様の放射線を遮へいすることが可能な中性子遮へい材13A(不図示)を内包した構造を有している。なお、貯蔵用遮へい蓋13’の厚さ、中性子遮へい材13Aの材質や厚さは、収容する使用済燃料の種類や貯蔵建屋の遮へい能力等を考慮して適宜設定することができる。
【0031】
また、貯蔵用遮へい蓋13’は、図15(a)に示すように、複数枚積層されるときに、二次蓋12から離れるものほど面積の小さいものが順次積層されて、全体として側面視で階段状に積層されるように構成されている。
図16は本実施形態のキャスク本体C1に所定の使用済燃料を収容したときの、二次蓋12の上における半径方向の放射線線量当量率の分布を表した例であり、縦軸は放射線線量当量率、横軸はキャスク本体C1の中心Oからの距離である。この例では、二次蓋12の半径方向の周辺に高燃焼度の使用済燃料を、また、中央よりに低燃焼度の使用済燃料を配置したものであり、同図に示すように、放射線線量当量率は、中心O(距離0)から所定の距離離れたところで最大となり、その後、急激に小さくなって表れている。つまり、前記のように貯蔵用遮へい蓋13’が、円環状を呈して階段状に積層され、中心Oから所定の距離離れたところで高く積層される構造とされていることが、前記放射線線量当量率の分布と合致したものとなっている。したがって、このような貯蔵用遮へい蓋13’を用いることにより放射線遮へい能力の高いキャスクCが得られる。
【0032】
本実施形態は、前記効果(1)から(13)に加えて以下に記す効果を有する。
(14)本実施形態では、二次蓋12の上における放射線線量当量率に併せて、実質的に貯蔵用遮へい蓋13’の無駄な面積が削除されて軽量化を図ることができる。
なお、収容される使用済燃料の配置にかかわらず、中間貯蔵施設における放射線線量当量率の測定の結果、前記第1実施形態の図4に示した放射線線量当量率の分布と、図16に示した放射線線量当量率の分布とを組み合わせたような放射線線量当量率の分布が得られた場合には、第1実施形態で示した貯蔵用遮へい蓋13と貯蔵用遮へい蓋13’とを適宜組み合わせて貯蔵用遮へい蓋を構成することによって、このような放射線線量当量率の分布に柔軟に対応した放射線の遮へい能力の高いキャスクCを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態に係るキャスクにおけるキャスク本体の構成を示す断面図である。
【図2】図1のキャスク本体の上部を示す拡大断面図である。
【図3】貯蔵用遮へい蓋の模式拡大断面図である。
【図4】放射線線量当量率とキャスク本体の中心からの距離との関係を示したグラフである。
【図5】ガンマ線発生数と冷却期間との関係を示したグラフである。
【図6】底部遮へい材を示す拡大断面図である。
【図7】(a)〜(e)は底部遮へい材に係る態様を示した模式図である。
【図8】緩衝体を取り付けた状態のキャスクの断面図である。
【図9】第1実施形態に係る下部緩衝体の断面図である。
【図10】(a)(b)は緩衝体の取り付けを示す模式図である。
【図11】(a)〜(c)は変形例の緩衝体の取り付けを示す模式図である。
【図12】キャスクの取り扱いの概要を示す模式図である。
【図13】(a)(b)はキャスクの取り扱いを示す模式図である。
【図14】(a)(b)はキャスクの取り扱いを示す模式図である。
【図15】(a)は第2実施形態に係るキャスクにおけるキャスク本体の上部を示す拡大断面図、(b)は同じく平面図である。
【図16】放射線線量当量率とキャスク本体の中心からの距離との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
【0034】
10 胴部
10A 収容部
10D 中性子遮へい体
10F 窪み部
11 一次蓋
12 二次蓋
13 貯蔵用遮へい蓋
13A 中性子遮へい材
13a〜13d 貯蔵用遮へい蓋
13e 取付部材
14 底部遮へい材
14d 底面
14e 保持穴
20 緩衝体
20A 下部緩衝体
20B 上部緩衝体
21 中性子遮へい材
22 凹部
30 取付具
31 基部
32 保持部
50 原子力発電所
51 中間貯蔵施設
52 再処理施設
C キャスク
C1 キャスク本体




 

 


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