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炉内化学除染装置およびその除染方法 - 株式会社東芝
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発明の名称 炉内化学除染装置およびその除染方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232531(P2007−232531A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−53698(P2006−53698)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
代理人 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久
発明者 金田 雅之 / 遠田 正見 / 吉井 敏浩 / 稲見 一郎
要約 課題
オゾンガスを安定的かつ連続的に供給して適正濃度オゾンのオゾン水を得、原子炉一次系の除染対象物を効率よく有効的に化学除染を行なうことができるもの。

解決手段
本発明に係る炉内化学除染装置は、原子炉一次系の除染対象物を、有機酸を還元剤に、オゾン水を酸化剤に用いて化学除染するものである。炉内化学除染装置10は、原子炉一次系の原子炉内(11)に除染液を供給する除染液供給手段30と、原子炉一次系12,16,18,19の原子炉内にオゾンガスを注入するオゾン供給手段40と、注入されたオゾンガスでオゾン水を発生させるオゾン水発生手段24と、発生したオゾン水を原子炉一次系内に循環させるオゾン水循環手段12とを有し、オゾン供給手段40はオゾン水発生手段24の吸込側にオゾンガスを注入(散気)させるオゾン散気管43を備えたものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉一次系の除染対象物を、有機酸を還元剤に、オゾン水を酸化剤に用いて化学除染する炉内化学除染装置において、
原子炉一次系の原子炉内に除染液を供給する除染液供給手段と、
原子炉一次系の原子炉内にオゾンガスを注入するオゾン供給手段と、
注入されたオゾンガスでオゾン水を発生させるオゾン水発生手段と、
発生したオゾン水を原子炉一次系内に循環させるオゾン水循環手段とを有し、
前記オゾン供給手段はオゾン水発生手段の吸込側にオゾンガスを散気させるオゾン散気管を備えたことを特徴とする炉内化学除染装置。
【請求項2】
前記除染液供給手段は、原子炉圧力容器内上部に仮設された除染液のスプレイリングを備える一方、
前記オゾン発生手段は原子炉圧力容器と炉心シュラウドの間のアニュラス部に設けられたジェットポンプで構成され、
前記オゾン水循環手段は原子炉再循環系で構成された請求項1記載の炉内化学除染装置。
【請求項3】
前記オゾン供給手段のオゾン散気管は、原子炉圧力容器と炉心シュラウドとの間に形成されるアニュラス部に設置された複数対のジェットポンプの上方近傍あるいはジェットポンプ対間の上方近傍に複数本設置された請求項1記載の炉内化学除染装置。
【請求項4】
前記オゾン供給手段のオゾン散気管は、原子炉圧力容器内上部に立設状態で設置された長尺管であり、上記オゾン供給管は原子炉圧力容器内に上下複数箇所で固定された請求項3記載の炉内化学除染装置。
【請求項5】
前記オゾン供給手段のオゾン散気管は、その下端部が炉心シュラウドの上部シュラウドリングに固定された請求項4記載の炉内化学除染装置。
【請求項6】
前記オゾン供給手段のオゾン散気管の上部は、給水スパージャ、炉心スプレイ配管あるいは除染液散布用スプレイリングに固定された請求項4記載の炉内化学除染装置。
【請求項7】
原子炉一次系の除染対象物を、有機酸を用いた還元剤とオゾン水を用いた酸化剤で化学除染する炉内化学除染方法において、
原子炉再循環系をポンプ運転させて原子炉再循環系および原子炉内に循環水の流動を生じさせるとともに、
原子炉内アニュラス部の上部に設置されたオゾン散気管からオゾンガスを注入し、
注入されたオゾンガスを前記循環水に供給して溶存オゾンのオゾン水を生成させ、
除染液供給手段により原子炉内を供給される除染液と溶存オゾンのオゾン水とを組み合せて前記原子炉一次系の除染対象物を化学除染させることを特徴とする炉内化学除染方法。
【請求項8】
オゾン散気管から注入されるオゾンガスは、原子炉圧力容器と炉心シュラウドとで形成されるアニュラス部に設置された複数のジェットポンプ対の上方近傍あるいはジェットポンプ対間の上方近傍からアニュラス部の上部に注入される請求項7記載の炉内化学除染方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉圧力容器の炉内化学除染技術に係り、特に原子炉機器や配管等の原子炉一次系の除染対象物を化学除染する炉内化学除染装置およびその除染方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントにおいては、原子炉機器や各種配管がステンレス鋼や炭素鋼等の鉄鋼材料で製作されている。原子炉機器や配管内表面は高温水との接触によって腐食作用を受け、酸化皮膜が形成される。高温水に晒される原子炉機器や配管内表面の接液部位に形成される酸化皮膜に炉水中の放射能が取り込まれ、これが被曝線源となる。
【0003】
原子炉機器や各種配管内表面の接液部位に形成される酸化皮膜は化学除染技術により化学的に溶解され、除去される。この化学除染法は、酸化皮膜を化学的に溶解させる放射能除去技術であり、除染対象物の形状が複雑である場合や取外しが困難で除染後に再び使用される部位の化学除染に適しており、近年化学除染を適用した多くの技術が報告されている。
【0004】
化学除染においては、鉄酸化物を溶解させる除染剤とクロム酸化物を溶解させる酸化剤を組み合せることで除染効果を高めている。酸化剤には、過マンガン酸、過マンガン酸カリウム溶液、オゾン水等が用いられる。オゾン水の場合、オゾンの自己分解性が強いため常時供給しなければならないという条件がある。
【0005】
一方、原子炉一次系の炉内除染のように、除染対象物の規模が大きい場合、オゾンの自己分解性のために、循環する間にオゾン濃度が減少し、充分な除染効果が得られない虞がある。除染に必要なオゾン濃度は1ppm以上であるとの報告が、例えば非特許文献1に存在する。
【0006】
また、原子炉関連施設の除染対象物の金属表面を除染するために、効率的なオゾン注入方法として原子炉再循環系の再循環ポンプ入口にオゾンを注入する例が、例えば特許文献1に開示されている。また、気体を水に効率よく混合させる方法としてエゼクタを用いて、このエゼクタに気体を吸い込ませて混入させる技術が、例えば特許文献2に開示されており、さらに、オゾンを下降流に注入し、水に溶解させる技術が、例えば特許文献3に記載されている。
【0007】
また、原子炉構造物の放射能汚染除去を行なう原子炉構造物の化学洗浄装置にイオン交換樹脂を用いる技術が、例えば特許文献4に開示されている。
【特許文献1】特開2003−98294号公報
【特許文献2】特開2005−34760号公報
【特許文献3】特開平8−192176号公報
【特許文献4】特開2001−91692号公報
【非特許文献1】青井他、“オゾン法化学除染技術の開発(その2)−除染性能と材料への影響評価−”,日本原子力学会「2001年春の年会」講演番号M38,講演要旨集第III分冊p.691
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
原子力発電プラントにおいて、原子炉機器や各種配管等の除染対象物を循環する水は高温水となっており、除染温度は通常70℃以上である。除染水は水とオゾンの気液混合流となるため、原子炉再循環ポンプのポンプ上流側へのオゾン注入は、注入されたオゾンによるポンプキャビテーションが再循環ポンプのポンプ部に発生し、ポンプ損傷の虞がある。
【0009】
また、特許文献2に記載された気体溶解装置のようにエゼクタを用いる技術を原子炉の炉内化学除染装置やその除染方法に適用すると、原子炉内へのエゼクタの設置は工事の遅延を招いたり、炉内構造物との干渉問題が生じ、実施が困難である。
【0010】
エゼクタの設置を簡素化し、容易にするため、仮設循環ループを設置し、この仮設循環ループにエゼクタを設置することとなるが、原子炉一次系の炉内除染を行なう場合、全体の系統容積が大きいため、高濃度のオゾンが要求され、オゾン濃度を充分に確保し、維持することが困難である。
【0011】
さらに、引用文献3のように、下降流にオゾンを散気する方法も存在するが、このオゾン散気方法を原子炉の炉内化学除染装置に適用することは困難である。原子炉では炉内下降流が生じるシュラウドと原子炉圧力容器との隙間のアニュラス部(ダウンカマ部)までは、上部フランジから数m以上、例えば6m程度下方にあり、多量、例えば1600m/hの炉内流動と気体の噴出に耐えるオゾン注入治具が必要となる。
【0012】
またさらに、特許文献4に記載の原子炉構造物の化学洗浄装置では、放射能汚染除去のために大型のイオン交換樹脂塔や逆洗型フィルタ装置を設ける必要があり、装置が複雑化する。
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、オゾンガスを安定的に供給して適正オゾン濃度のオゾン水を得、除染効率の高い炉内化学除染装置およびその除染方法を提供することを目的とする。
【0014】
本発明の別の目的は、炉内流動に耐えるオゾン散気管をアニュラス部の上方に安定的に設置し、連続的にかつ安定的に注入されるオゾンガスによる適正オゾン濃度を得、オゾン散気管の設置位置による除染効率を向上させた炉内化学除染装置およびその除染方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る炉内化学除染装置は、上述した課題を解決するために、原子炉一次系の除染対象物を、有機酸を還元剤に、オゾン水を酸化剤に用いて化学除染する炉内化学除染装置において、原子炉一次系の原子炉内に除染液を供給する除染液供給手段と、原子炉一次系の原子炉内にオゾンガスを注入するオゾン供給手段と、注入されたオゾンガスでオゾン水を発生させるオゾン水発生手段と、発生したオゾン水を原子炉一次系内に循環させるオゾン水循環手段とを有し、前記オゾン供給手段はオゾン水発生手段の吸込側にオゾンガスを散気させるオゾン散気管を備えたものである。
【0016】
また、本発明に係る炉内化学除染方法は、上述した課題を解決するために、原子炉一次系の除染対象物を、有機酸を用いた還元剤とオゾン水を用いた酸化剤で化学除染する炉内化学除染方法において、原子炉再循環系をポンプ運転させて原子炉再循環系および原子炉内に循環水の流動を生じさせるとともに、原子炉内アニュラス部の上部に設置されたオゾン散気管からオゾンガスを注入し、注入されたオゾンガスを前記循環水に供給して溶存オゾンのオゾン水を生成させ、除染液供給手段により原子炉内を供給される除染液と溶存オゾンのオゾン水とを組み合せて前記原子炉一次系の除染対象物を化学除染させる方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る炉内化学除染装置およびその除染方法においては、原子炉内にオゾンガスを安定的にかつ連続的に供給し、供給されたオゾンガスにより所定濃度オゾンのオゾン水を効率的に生成し、このオゾン水を原子炉圧力容器内および原子炉一次系内を循環させて原子炉一次系の汚染対象物を効率よく安定的に化学除染し、除染効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る炉内化学除染装置およびその除染方法の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る炉内化学除染装置の第1実施形態を示す構成図である。
【0020】
この炉内化学除染装置10は、原子力発電プラントの原子炉機器や各種配管等の除染対象物を化学除染するものであり、除染対象物として沸騰水型原子力発電プラントの原子炉圧力容器11、原子炉再循環系12の配管13や再循環ポンプ14等、原子炉一次系の除染対象物がある。除染対象物には沸騰水型原子炉(BWR,ABWR)だけでなく加圧水型原子炉の原子炉容器や原子炉一次系がある。原子炉再循環系12は通常2系統設けられ、原子炉圧力容器11に備えられる。
【0021】
沸騰水型原子炉は、原子炉圧力容器11内に炉心シュラウド16が収納され、炉心シュラウド16内に炉心17が形成される。炉心17は炉心支持板18と上部格子板19により支持される。炉心17の下方には炉心下部プレナム21が形成され、その上方に炉心上部プレナム22が形成される。
【0022】
原子炉圧力容器11と炉心シュラウド16の間の隙間はスリーブ状あるいは環状のアニュラス部23として形成される。アニュラス部23には周方向に沿って複数台、6対12基から10対20基のジェットポンプ24が設けられる。ジェットポンプ24は、再循環配管13から分岐されるヘッダ配管25に入口ノズル15bを介して接続されるジェットポンプライザ管26と、このジェットポンプライザ管26を上昇する上昇流を反転させ、二又に分けるジェットポンプノズル27と、このポンプノズル27の周りに形成されるジェットポンプ24吸込口から系統水(炉水)を吸い込んで混合させるスロート部(混合室)28と、混合された水を炉心下部プレナム21に案内するディフューザ29とを有する。
【0023】
また、炉内化学除染装置10は、原子炉圧力容器11の下部外側に付設される仮設除染ループ30を備える。仮設除染ループ30は原子炉圧力容器11の底部に設けられた制御棒駆動機構(CRD)の制御棒ハウジング31に接続される仮設循環ライン32と、この仮設循環ライン32に設けられた循環ポンプ33と化学除染設備34とを有し、化学除染設備34の下流側は仮設のスプレイリング35に接続され、除染剤供給手段を構成している。仮設のスプレイリング35は原子炉圧力容器11の上部に取り付けられ、化学除染作業時にスプレイリング35からシュウ酸等の除染液を原子炉圧力容器11内に散布している。
【0024】
仮設循環ループ30は、循環ポンプ33にて原子炉圧力容器11の下部より仮設循環ライン32を通して除染液を抜き出して化学除染設備34に送るようになっている。化学除染設備34は、化学的に除染を行なう機器であり、例えば加熱用ヒータ、放射能捕集を行なうイオン交換樹脂塔、除染終了後に除染剤を分解する除染剤分解装置、およびシュウ酸等の除染剤(液)を注入する薬液注入ポンプ等で構成される。
【0025】
化学除染設備34からの除染液はスプレイリング35によって原子炉圧力容器11内に上方から散布される。仮設循環ループ30は、化学除染設備34を備えて除染液供給手段を構成している。
【0026】
また、炉内化学除染装置10には、原子炉圧力容器11内や炉心シュラウド16、炉心支持板18、上部格子板19の炉内構造物、ジェットポンプ24等の炉内機器や原子炉再循環系12の原子炉一次系内の除染対象物を化学除染するもので、この除染効率を高める目的で、原子炉圧力容器11内の炉内流動に必要な原子炉再循環ポンプ14の運転を行なう。ジェットポンプ24はオゾン供給手段40から供給されたオゾンガスをミキシングしてオゾン水を発生させるオゾン水発生手段を構成しており、原子炉再循環系12は発生したオゾン水を原子炉一次系の系統内で循環させるオゾン水循環手段を構成している。
【0027】
原子炉再循環ポンプ14を運転することにより、原子炉圧力容器11内のオゾン水または除染液は原子炉再循環系12を通り、その再循環系配管13からジェットポンプライザ26を上昇し、ジェットポンプ24のポンプノズル27から周囲の水を巻き込んで炉心下部プレナム21に吐出している。炉心下部プレナム21に吐出された除染液はここで反転して炉心シュラウド16内を上昇し、再びアニュラス部23に導かれる。アニュラス部23に案内された除染液は下降し、アニュラス部23下部に設けられた原子炉再循環系12に再び案内される。原子炉圧力容器11内の炉内構造物や炉内機器、原子炉再循環系12は原子炉一次系を構成している。
【0028】
化学除染に用いられる除染液には、通常シュウ酸などの有機酸が用いられ、この有機酸による除染液(除染剤)が還元除染工程で用いられる。還元除染工程の実施により、鉄の酸化物およびこの酸化物に取り込まれているCo−60,Co−58などの放射能を除染液中に溶出(溶解)させる。
【0029】
他方、原子炉圧力容器11の上方には、原子炉圧力容器11内にオゾンガスを供給するオゾン供給手段40が設けられる。オゾン供給手段40はオゾン発生装置を構成するオゾナイザ41と、オゾナイザ41で生成されたオゾン(O)ガスが供給されるオゾン供給管(散気管導管)42と、このオゾン供給管42の先端部に接続されるオゾン散気管43とを有する。
【0030】
オゾン散気管43は原子炉圧力容器11の上方、例えばオペレーションフロア(図示せず)から垂設されて先端がアニュラス部23に案内され、ジェットポンプ24のジェットポンプノズル27の上方近傍に立設状態で設置される。オゾナイザ41で生成されたオゾンガスは、ジェットポンプノズル27の吸込口(スロート)近傍に開口するオゾン散気管43から吹き出されるようになっている。オゾン散気管43は原子炉圧力容器11内で先端がアニュラス部23を臨むように複数本、例えば6本〜12本、周方向に配置される。
【0031】
一方、原子炉圧力容器11に収容される除染液による除染対象物である炉内構造物や炉内機器、原子炉再循環系12の原子炉一次系の金属表面に付着した放射能の溶解が納まったことで、シュウ酸等の除染剤で鉄等の金属酸化物を溶解し、分解・浄化する一方、オゾン供給手段40を作動させて酸化皮膜を溶解する酸化処理を行なう酸化工程に移行する。
【0032】
化学除染における酸化処理は、除染対象物の金属表面の内層のクロム酸化物に取り込まれた放射能を溶解するためで、図1に示された炉内化学除染装置10では所定オゾン濃度が例えば1ppm以上のオゾン水が酸化剤として用いられる。
【0033】
オゾンは自己分解性のある気体で短寿命のため、オゾン供給手段40から原子炉圧力容器11内の水中にオゾンガスを常時注入し続ける必要がある。オゾンガスはオゾナイザ41で発生させ、オゾン散気管43を通じて散気され、炉内に注入される。
【0034】
オゾンガスの注入点は、アニュラス部23の上部に原子炉再循環ポンプ14の炉内流動に乗せてジェットポンプ24に強制的に吸い込ませる。オゾン散気管43の設置位置は、ジェットポンプ24の吸込口(スロート)に近い方が好ましいが、オゾンガスの圧力の水深に打ち勝って安定的に注入させるために、加圧ポンプ等の昇圧装置がない場合には、炉心シュラウド16の上端から所要距離、例えば1m程度の範囲内に設けられる。オゾン散気管43はジェットポンプ24の上部近傍でアニュラス部23の上方において、周方向に複数本、例えば数本から10数本設けられる。
【0035】
オゾン水による酸化処理の目的は、除染対象物内層のクロム含有率の高い酸化皮膜の溶解であり、クロムを含む酸化皮膜の溶解が納まると、オゾン水により酸化処理を行なう酸化工程は終了する。酸化工程が終了しても、オゾンの分解を特に行なう必要がなく、オゾンの自己分解性に任せるか、その後の還元工程でシュウ酸を注入することにより処理する。
【0036】
なお、図1において、符号45は原子炉給水系にヘッダ配管を介して接続された給水スパージャであり、符号46は炉心スプレイ配管である。
【0037】
次に、炉内化学除染装置の作用、すなわち炉内化学除染方法を説明する。
【0038】
炉内化学除染装置10を原子炉圧力容器11に設けて、原子炉圧力容器11や炉内構造物、炉内機器、原子炉再循環系12等の原子炉一次系の除染対象物を大規模に化学除染する作業は、原子炉の運転を停止させた定期定検時あるいは保守点検時に行なわれる。
【0039】
化学除染作業は、原子炉一次系の系統水を循環させる原子炉再循環系12の再循環ポンプ1を運転させて、原子炉圧力容器11内に流動を生じさせる一方、オゾン供給手段40を設け、オゾン散気管43を炉内アニュラス部の上部あるいは上方に設置することで、オゾン発生装置のオゾナイザ41で生成されたオゾンガスはジェットポンプ24の吸込口に効率よく注入され、原子炉圧力容器11内を循環せしめられる。すなわち、発生したオゾンガスは、ジェットポンプ24吸込口から吸い込まれて混合室28およびディフューザ29でポンプ水と撹拌されてオゾン水を生じさせ、積極的に混合せしめられる。発生したオゾン水は炉心下部プレナム21に案内される。炉心下部プレナム21に案内された混合流(オゾン水)はここで反転して炉心シュラウド16内に導かれ、炉心シュラウド16内で上昇流となる。
【0040】
原子炉圧力容器11内のアニュラス上部では、炉心シュラウド16内を上昇してきた上昇流が反転して下降流となり、ジェットポンプ24の吸込部(ジェットポンプインレットミキサ)に吸い込まれる。注入されたオゾンガスは、ジェットポンプ24の吸込部に殆ど巻き込まれて吸い込まれる。このため、アニュラス部23の下部に設けられる原子炉再循環系12の出口(出口ノズル15a)にはオゾンが気泡状態で案内されることはない。このため、原子炉再循環系12の再循環ポンプ14にポンプキャビテーションが生じる虞がない。
【0041】
アニュラス部23を構成する原子炉圧力容器11の内周壁や炉心シュラウド16の外周壁に形成された酸化皮膜は、オゾンガスを混入した下降流(オゾン水)により溶解され、除去される。
【0042】
また、原子炉再循環系12の再循環ポンプ14にはオゾンガスの気泡は到達しない。再循環ポンプ14には循環水に溶解され、溶存オゾンとなったオゾン水が案内されるため、再循環ポンプ14の再循環配管13内をオゾン水により効率よく除染し、酸化皮膜を溶解させることができる。
【0043】
さらに、ジェットポンプ24の吸込部から混合室28を通りディフューザ29に案内されたオゾンガスの気泡は、ミキシング効果で撹拌されてオゾン水となって炉底部(炉心下部プレナム)に吐出され、炉底部の酸化皮膜を酸化溶解させる。この酸化溶解後、オゾン水は炉内構造物である炉心支持板18、炉心シュラウド16内周壁および上部格子板19と順次接触し、表面に形成された酸化皮膜を順次溶解させる。一方、ミキシング効果によっても溶解しきれなかった余剰オゾンガスは炉中央の水面から気相部に移行し、外部に排気されるようになっている。
【0044】
この炉内化学除染装置10によれば、大規模な炉内化学除染作業においても、所定オゾン濃度のオゾン水が、原子炉圧力容器11内および原子炉再循環系12全体と原子炉一次系を効率よく行き渡り、循環させることができるので、炉内構造物および炉心外再循環配管に生成されている酸化皮膜を効率的に溶解することができる。
【0045】
オゾン水の酸化皮膜の溶解工程と前後して除染剤、例えばシュウ酸を用いた除染液の還元除染工程を組み合せることで、原子炉内の炉内構造物や原子炉再循環系12の放射化を除く放射線が除去され、放射線量の大幅低減を図ることができる。
【0046】
[第2の実施形態]
図2は、本発明に係る炉内化学除染装置の第2実施形態を示す構成図である。
【0047】
図2は、沸騰水型原子力発電プラントに備えられる原子炉圧力容器11内の平断面図を示すもので、原子炉圧力容器11、炉心シュラウド16、ジェットポンプ24およびオゾン散気管43の配置関係を示す平面図である。図2は、原子炉圧力容器11と炉心シュラウド16の間に形成されるアニュラス部23に10対20基のジェットポンプ24を設置した例を示す。ジェットポンプ24はアニュラス部23の周方向に所定の間隔をおいて設置される。
【0048】
対をなすジェットポンプ24の上方近傍にオゾンガス供給手段40を構成するオゾン散気管43が設けられる。原子力発電プラントの原子炉圧力容器11内の構成や原子炉再循環系、除染液供給装置としての仮設除染ループの構成は第1実施形態に示されたものと異ならないので、同一符号を付してそれらの図示ならびに構成の説明を省略あるいは簡略化する。なお、符号42はオゾン散気管43への散気管導管(オゾン供給管)であり、符号50はアクセスホールカバーである。
【0049】
図2に示された炉内化学洗浄装置10Aにおいても、原子炉再循環系12の再循環ポンプ14の駆動により、原子炉圧力容器11内の系統水の流れは、原子炉再循環系12からヘッダ配管(リングヘッダ)を介してジェットポンプ24のライザ管26を上昇し、ジェットポンプノズル27で二股に分岐され、1対2基のジェットポンプ24に導かれる。
【0050】
一方、オゾンガス供給手段40のオゾン散気管43は10対のジェットポンプノズル27の上部近傍あるいは直上に備えられる。オゾン散気管43をジェットポンプ対に対応させて1本1本分割させたのは、アニュラス部23の上方に給水スパージャ45や炉心スプレイ配管46があり、炉心シュラウド16の外側にも取付ブラケット等の設置上の干渉物があり、これらの干渉物と干渉を生じさせないためである。
【0051】
オゾンガス供給手段40のオゾン散気管43から注入されるオゾンガスは、それぞれ対をなすジェットポンプ24の吸込口に周囲の炉水とともに吸い込まれ、スロート部(混合室)28に案内されて撹拌され、混合される。この混合水はディフューザ29を経て炉心下部プレナム21に吐出される。
【0052】
また、アニュラス部23に導かれた炉水は下降流となってアニュラス下部の原子炉再循環系12の出口に導かれるが、原子炉再循環系12に案内される炉水にはオゾン散気管43から吹き出されるオゾンガスは殆ど含まれない。このため、原子炉再循環系12の再循環ポンプ14にキャビテーションの発生を心配する必要がない。
【0053】
また、原子炉再循環系12の再循環ポンプ14にはオゾンガスの気泡は到達しないが、所定濃度の溶存オゾンとなったオゾン水が循環してくるため、除染効果が悪くなることもない。
【0054】
再循環ポンプ14から吐出されるオゾン水はジェットポンプ24に導かれ、このジェットポンプ24のポンプノズル27から吐出された際に、オゾンガスとともに周囲の炉水(炉内循環水)を巻き込み、ジェットポンプ24の混合室28に導かれる。混合室28に案内されたオゾンガスはミキシング効果で水中に溶け込み、ディフューザ29から炉心下部プレナム21に案内され、ここで炉底部の酸化皮膜を酸化溶解させた後、炉内構造物である炉心支持板18、シュラウド内周壁、上部格子板19の酸化皮膜を順次溶解させる。
【0055】
余剰オゾンガスは炉中央の水面から気相部に移行して排気される。
【0056】
オゾン散気管43が設置されない原子炉圧力容器11のアニュラス部23の0°,180゜の位置は、原子炉再循環系11の出口ノズルが存在し、この出口ノズルへアニュラス部23の下降流が偏向流となって進むため、アニュラス部23の0°,180゜の位置へオゾン散気管を設置する必要はない。
【0057】
第2実施形態に示された炉内化学除染装置10Aにおいても、大規模な炉内化学除染作業を実施することができる。この化学除染作業においても、所定オゾン濃度のオゾン水を原子炉圧力容器11および原子炉再循環系12の原子炉一次系全体に行き渡らせることができる。
【0058】
原子炉圧力容器11の炉内構造物、炉内機器および炉心外の原子炉再循環系12に生成された酸化皮膜を効率的に溶解することができる。
【0059】
図3の破線は、オゾン散気管43を10本設置した場合のオゾン濃度評価点(原子炉圧力容器の炉内各所)a〜lと、その評価点位置における溶存オゾン濃度の関係を示すグラフである。図3のオゾン濃度評価点a〜lは、図4の(A)および(B)に示された原子炉圧力容器の炉内各所a〜lにそれぞれ対応している。
【0060】
第2実施形態においては、オゾン散気管43から吐出されるオゾンガスは、例えば11.5kg/hの割合で供給した例である。図3から原子炉圧力容器11内の溶存オゾン濃度が最も低い場所でも1ppm以上の溶存オゾン濃度が得られている。非特許文献1には1ppm以上の溶存オゾン濃度で充分な除去効果が得られることが報告されている。
【0061】
所要溶存オゾン濃度を有するオゾン水による酸化と、この酸化工程前後に(除染液供給装置を構成する)仮設除染ループ30を活用した還元除染工程を組み合せることにより、原子炉圧力容器11および原子炉再循環系12の放射化を除く放射能が効率よく有効的に除去され、放射線量の大幅低減を達成することができる。
【0062】
また、原子炉再循環系12の再循環ポンプ14を運転させても、再循環ポンプ14にオゾンガスの気泡が混入されないので、オゾンガスの気泡によるキャビテーションが生じるのを未然かつ確実に防止でき、キャビテーションの悪影響を受けない。
【0063】
[第3の実施形態]
図5は、本発明に係る炉内化学除染装置の第3実施形態を示す構成図である。
【0064】
この第3実施形態の炉内化学除染装置10Bを説明するに当り、第1実施形態に示された炉内化学除染装置10と同じ構成には同じ符号を付して図示および説明を簡素化ないし省略する。
【0065】
図5は、沸騰水型原子力発電プラントに備えられる原子炉圧力容器11の平断面を示すもので、原子炉圧力容器11、炉心シュラウド16、ジェットポンプ24およびオゾン散気管43の配置関係を示す平面図である。図5には、原子炉圧力容器11と炉心シュラウド16の間に形成されるアニュラス部23に10対20基のジェットポンプ24が設置される。ジェットポンプ24はアニュラス部23の周方向に所定の間隔をおいて設置される。
【0066】
ジェットポンプ24の各対間の中間部上方にオゾンガス供給装置40を構成するオゾン散気管43が設けられる。オゾン散気管43は、隣接するジェットポンプ対の間の中間部上方近傍に立設状態で配置される。オゾン散気管43は、原子炉再循環系12の出口ノズル15が位置する、例えば0°,180°の周方向位置を除いて、各対のジェットポンプ24と隣接するジェットポンプ対の間に設けられる。
【0067】
原子力発電プラントの原子炉圧力容器11の炉内構成、原子炉再循環系12、除染液供給装置を構成する仮設除染ループの構成は、第1実施形態に示されたものとは異ならない。
【0068】
原子炉再循環系12を循環する炉内の系統水(循環水)の流れは、原子炉再循環系12のヘッダ配管(リングヘッダ)で分岐された後、入口ノズル15bを経てジェットポンプライザ管26を上昇し、ジェットポンプノズル27で二股に分岐され、1対2基のジェットポンプ24に入る。
【0069】
原子炉再循環系12は通常2系統あるので、ジェットポンプ24は10対20基存在する。図5では10対20基のジェットポンプ24の各対の間にオゾンガス供給手段40のオゾン散気管43が設置される。図5に示される例では、オゾン散気管43が8本設置される。オゾン散気管43は、アニュラス部23上部の片側に4本、他側に4本設置した例を示す。オゾン散気管43は8本に限定されず、6本〜10数本の中から選択してもよい。
【0070】
ジェットポンプ24対の中間部において、ジェットポンプノズル27の上方近傍に設置されたオゾン散気管43からオゾンガスが注入されており、このオゾンガスは、隣接するジェットポンプ対間の隣り合うジェットポンプ24,24の各吸込口に殆ど吸い込まれる。ジェットポンプ24に吸い込まれたオゾンガスはスロート部28で撹拌され混合せしめる一方、アニュラス部23を下降して原子炉再循環系12の出口ノズル15aに案内されるオゾンガスは殆ど存在しない。アニュラス部23を下降する下降流にオゾンガスが微量に含まれていても、このオゾンガスは流れの途中で下降流に溶解して溶存オゾンのオゾン水となり、このオゾン水が原子炉再循環ポンプ14に導かれる。このため、再循環ポンプ14にポンプキャビテーションが発生する心配がない。
【0071】
また、原子炉再循環系12の再循環ポンプ14にはオゾンガスの気泡が案内されることは殆どないが、再循環配管13内は所定濃度の溶存オゾンとなったオゾン水が循環してくるため、オゾン水による酸化処理を促進させることができ、除染効果が悪くなることもない。再循環ポンプ14から吐出され、ジェットポンプ24に入口ノズル15bから供給されるオゾン水は、ジェットポンプノズル27から吐出された際に、オゾンガスを含む炉水を巻き込んで、混合室(スロート部)28内で撹拌され、混合せしめられる。
【0072】
ジェットポンプ24の混合室28に案内されたオゾンガスの気泡は、ミキシング効果で水中に溶け込んでディフューザ29内を下降し、炉心下部プレナム21に吐出される。炉心下部プレナム21に吐出される吐出水による酸化処理により、炉底部の酸化皮膜を溶解させる。炉底部の酸化皮膜を溶解させた後、炉内構造物(炉心支持板18、シュラウド内周壁、上部格子板19)の酸化皮膜を順次溶解させる。余剰のオゾンガスは、原子炉圧力容器11内の炉中央の水面から気相部に移行し、外部に排気される。
【0073】
オゾン散気管43は、例えば0°,180°の周方向位置には設置されない。オゾン散気管43が設置されない周方向位置には原子炉再循環系12の出口ノズル15aが設けられており、アニュラス部23の下降流は出口ノズル15aに向う偏向流となるため、酸化皮膜の溶解効果が減少することはない。
【0074】
この炉内化学除染装置10Bによれば、原子炉圧力容器11内および原子炉再循環系12の全体に亘り、大規模な炉内化学除染作業を有効的に、効率よく行なうことができる。炉内化学除染作業には、所定オゾン濃度の水(オゾン水)が用いられ、このオゾン水は原子炉再循環系12の再循環ポンプ14の運転により、原子炉圧力容器11内全体あるいは原子炉再循環系12内全体に亘って循環して行き渡り、炉内構造物および原子炉再循環系12に生成している酸化皮膜を効率的に溶解させる酸化処理を行なうことができる。
【0075】
図3の実線はオゾン散気管43が8本の場合における原子炉圧力容器11の炉内各所(濃度評価点a〜l)のオゾン濃度測定値の例を示すグラフである。この場合、オゾンガスは所定の割合、例えば11.5kg/hの割合で原子炉圧力容器11内に供給した例を示す。この炉内化学除染装置10Bでは、原子炉圧力容器11内の炉内各所a〜l(図4(A),(B)参照)のオゾン濃度が最も低い所でも、1ppm以上得られており、この1ppm以上の溶存オゾン濃度により充分な除染効果を得ることができる。
【0076】
1ppm以上の溶存オゾン濃度を用いた酸化工程と、この酸化処理の前後に除染剤を用いた還元除染工程を組み合せることにより、原子炉圧力容器11内、炉内構造物、原子炉再循環系12の原子炉一次系の放射化を除く放射能を除去することができ、放射線量の大幅低減を達成することができる。シュウ酸等の除染剤は、仮設のスプレイリング35から原子炉圧力容器11内に噴射される。
【0077】
また、原子炉再循環系12の再循環ポンプ14にオゾンガスが気泡状態で案内されることがないので、気泡によるポンプキャビテーションを発生させることもない。
【0078】
[第4の実施形態]
図6は、本発明に係る炉内化学除染装置の第4実施形態を示す構成図である。
【0079】
この実施形態は、オゾンガス供給装置40のオゾン散気管43の取付構造に特徴を有するものである。他の構成は図1に示された炉内化学除染装置10Bと異ならないので、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略ないし簡素化する。
【0080】
図6に示された炉内化学除染装置10Cは、オゾンガス供給手段(装置)40の複数本のオゾン散気管43を原子炉圧力容器11内に立設状態で安定的に設置したものである。オゾン散気管43の先端は、図示しないオペレーションフロアから下方に垂下させ、原子炉圧力容器11と炉心シュラウド16の間のアニュラス部23上部に配置される。オゾン散気管43は数m程度、例えば6m程度の長さの長尺SUS配管であり、その散気管上端は原子炉圧力容器11上部に位置される。オゾン散気管43は原子炉圧力容器11の周壁近くのデッドスペースを利用して配置され、他の炉内機器と干渉するのを有効的に防止することができる。
【0081】
図6は原子炉圧力容器11の下側左半分を示す縦断面図であり、この原子炉圧力容器11内に立設状態で設置される複数本のオゾン散気管43は原子炉圧力容器11内に上下複数箇所、例えば少なくとも上下2箇所で固定される。図6に示された炉内化学除染装置10Cでは、オゾン散気管43はその下端に近いところで、上部シュラウドリング50にクランプ装置51で固定され、その上端に近いところで、給水スパージャ45にクランプ装置52で固定される。
【0082】
上部シュラウドリング50にオゾン散気管43の下部を固定する際、上部シュラウドリング50に立設されるシュラウドヘッドボルト(図示せず)のボルトブラケットを利用することができる。シュラウドヘッドボルトは上部シュラウドリング50の頂部に周方向に沿って複数本が立設され、このシュラウドヘッドボルトにボルトブラケットが設けられる。
【0083】
第4実施形態に示された炉内化学除染装置10Cは、オゾンガス供給装置40のオゾン散気管43を上下複数箇所で原子炉圧力容器11内に取り付け、オゾン散気管43の下端側を上部シュラウドリング50に固定することで、オゾンガスの注入点を安定的にかつ正確に維持することができる。
【0084】
アニュラス部23の上部は炉心シュラウド16内を上昇する上昇流の反転下降流の水流とオゾン散気管43の先端ノズル部から吹き出されるオゾンガスの噴出流とにより激しい揺動を伴なう流れが生じるが、オゾン散気管43の先端部を上部シュラウドリング50に固定させることで、オゾン散気管43を安定的に保持でき、オゾン注入点を正確に維持することができる。
【0085】
また、オゾン散気管43の上部を給水スパージャ45に固定することで長尺のステンレス配管が過剰な振動を起こすことがなく、オゾン散気管43と散気導管(オゾン供給管)42との結合部への負荷を軽減させることができる。
【0086】
第4実施形態に示された炉内化学除染装置10Cにおいても、原子炉圧力容器11内に常に安定した安全な状態でオゾンガスを供給することが可能となり、所定のオゾン濃度のオゾン水を原子炉圧力容器11内および炉心外の原子炉再循環系12の再循環配管13の全体に循環させ、行き渡らせることができ、炉内構造物および原子炉再循環系12等の原子炉一次系内に生成されている酸化皮膜を効率的に溶解させ、酸化処理を施すことができる。
【0087】
したがって、オゾンガス供給装置40からオゾンガスを原子炉圧力容器11内に供給して酸化皮膜を溶解させる酸化工程とその前後の除染剤を用いた還元除染工程とを組み合せることで原子炉圧力容器11内、炉内構造物(炉心支持板18、炉内シュラウド16、上部格子板19)や原子炉再循環系12の再循環配管13内の原子炉一次系の放射化を除く放射能が除去され、放射線量の大幅低減を達成することができる。
【0088】
[第5の実施形態]
図7は、本発明に係る炉内化学除染装置の第5実施形態を示す構成図である。
【0089】
この実施形態は、原子炉圧力容器11内でのオゾンガス供給手段(装置)40のオゾン散気管43の取付構造に関するものである。他の構成は第1実施形態に示された炉内化学除染装置10と異ならないので、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略ないし簡素化する。
【0090】
図7に示された炉内化学除染装置10Dは、オゾンガス供給手段40のオゾン散気管43を図示しないオペレーションフロアから下方に垂下させ、散気管先端を原子炉圧力容器11と炉心シュラウド16の間に形成されるアニュラス部23の上部を臨むように立設状態で配置したものである。オゾン散気管43は数m程度、例えば6m程度の長さを有する長尺SUS配管であり、散気管上端は原子炉圧力容器11内上部に位置される。
【0091】
また、図7は、原子炉圧力容器11の下側左半分を示す縦断面図である。この原子炉圧力容器11内に立設状態で設置されるオゾン散気管43は、原子炉圧力容器11内に上下複数箇所、例えば少なくとも上下2箇所で固定される。第5実施形態に示された炉内化学除染装置10Dでは、オゾン散気管43はその下端に近いところで上部シュラウドリング50にクランプ装置51により固定され、その上端に近いところで炉心スプレイ配管46にクランプ装置53で固定される。
【0092】
上部シュラウドリング50にオゾン散気管43の下部を固定させる際、炉心シュラウド16の頂部のシュラウドヘッドボルトブラケットを利用することもできる。
【0093】
オゾンガス供給手段40のオゾン散気管43を上部シュラウドリング50に固定することで、オゾンガスの注入点を正確にかつ安定的に維持できる。
【0094】
アニュラス部23の上部では、炉心シュラウド16内を上昇する上昇流の反転による下降流が生じ、オゾン散気管43の先端ノズル部から吹き出されるオゾンガスの噴出流により激しい揺動を伴なう流れが生じるが、オゾン散気管43の先端部を上部シュラウドリング50に固定させることで、オゾン散気管43を安定的に保持でき、オゾン注入点を正確に維持することができる。
【0095】
また、オゾン散気管43の上部を炉心スプレイ配管46に固定することで長尺のステンレス配管が過剰な振動を起こすことなく、オゾン散気管43と散気導管(オゾン供給管)42との結合部への負荷を軽減させることができる。オゾン散気管43は原子炉圧力容器11内の周方向に沿ってデッドスペースを利用して配置される。
【0096】
図7に示された炉内化学除染装置10Dにおいても、原子炉圧力容器11内に常に安定した安全な状態でオゾンガスを供給することが可能となり、所定のオゾン濃度のオゾン水を原子炉圧力容器11内および炉心外の原子炉再循環系12の全体に循環させ、行き渡らせることができ、原子炉圧力容器11内や炉内構造物、原子炉再循環系12の再循環配管13内の原子炉一次系に生成されている酸化皮膜を効率的に溶解させる酸化処理を施すことができる。
【0097】
したがって、オゾンガスによる酸化皮膜を溶解させる酸化工程と、この酸化工程の前後に除染剤を用いた還元除染工程とを組み合せることで、原子炉圧力容器11内や炉内構造物、原子炉再循環系12の再循環配管13の放射化を除く放射能が除去され、放射線量の大幅低減を達成することができる。
【0098】
[第6の実施形態]
図8は、本発明に係る炉内化学除染装置の第6実施形態を示す構成図である。
【0099】
この実施形態は、オゾンガス供給手段40のオゾン散気管43の取付構造に関するものである。他の構成は、図1に示された炉内化学除染装置10と異ならないので、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略ないし簡素化する。図8は原子炉圧力容器11内におけるオゾン散気管43の取付に関する実施形態である。
【0100】
オゾンガス供給装置40のオゾン散気管43は、原子炉圧力容器11内に上下複数箇所、例えば少なくとも上下2箇所で固定される。オゾン散気管43は原子炉圧力容器11内に立設状態で原子炉圧力容器11内のデッドスペースを利用して設置される。オゾン散気管43は、数m程度、例えば6m程度の長さを有する長尺ステンレス配管であり、原子炉圧力容器11と炉心シュラウド16との間のアニュラス部23に配設されるジェットポンプ対に対応して複数本、例えば8本〜10本設けられる。
【0101】
オゾン散気管43の先端(下端)はアニュラス部23の上部に位置され、その上端は原子炉圧力容器11内上部に位置される。第6実施形態の炉内化学除染装置10Eにおいては、オゾン散気管43はその下端に近いところで上部シュラウドリング50にクランプ装置51で固定され、その上端に近いところで炉内化学除染に用いられる仮設のスプレイリング55にクランプ装置56により固定される。
【0102】
仮設スプレイリング55は、化学除染時の最高水位WHLにおいても水没しない位置に設置されており、オゾン散気管43は第4および第5実施形態に比べて高い位置での固定となり、炉内流動に対して安定化する。オゾン散気管43をより安定的に固定するために、中間部を給水スパージャ45および炉心スプレイ配管46の少なくとも一方に必要に応じて固定させてもよい。オゾン散気管43の下端部を上部シュラウドリング50に固定する際、シュラウドヘッドボルトブラケットを利用することもできる。
【0103】
この炉内化学除染装置10Eにおいては、オゾンガス供給装置40のオゾン散気管43の下端部を上部シュラウドリング50に固定させることでオゾンガスの注入点を正確に維持でき、安定化させることができる。
【0104】
また、オゾン散気管43の上部を仮設のスプレイリング55に固定することで、長尺のオゾン散気管43が過剰な振動を起こすことなく、オゾン散気管43と散気導管(オゾン供給配管42)の結合部への負荷を軽減させることができる。
【0105】
第5実施形態の炉内化学除染装置10Eにおいては、原子炉圧力容器内や原子炉再循環系の大規模な炉内化学除染に適用することができ、炉内化学除染作業においてオゾンガスを常に安定した安全な状態で供給することができる。オゾンガス供給装置40からオゾンガスを原子炉圧力容器11内に供給し、原子炉再循環系12の運転により、原子炉圧力容器11内や原子炉炉再循環系12に所定オゾン濃度のオゾン水を循環させ、全体に行き渡らせることができ、原子炉圧力容器11内や炉内構造物、炉心外の原子炉再循環系12の再循環配管13内に生成されている酸化皮膜をオゾン水の酸化処理により効率的に溶解させることができる。
【0106】
この炉内化学除染装置10Eは、オゾン水による酸化工程(酸化処理)との前後で除染剤を用いた還元除染工程との組合せにより、原子炉圧力容器11内および原子炉再循環系12の放射化を除く放射能が除去され、放射線量の大幅低減を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明に係る炉内化学除染装置の第1実施形態を示す構成図。
【図2】本発明に係る炉内化学除染装置の第2実施形態を示す構成図。
【図3】原子炉内各所における溶存オゾン濃度を測定したグラフ。
【図4】(A)および(B)はオゾン濃度を測定する原子炉内の各所の測定場所を簡略的にそれぞれ示す図。
【図5】本発明に係る炉内化学除染装置の第3実施形態を示す構成図。
【図6】本発明に係る炉内化学除染装置の第4実施形態を示す構成図。
【図7】本発明に係る炉内化学除染装置の第5実施形態を示す構成図。
【図8】本発明に係る炉内化学除染装置の第6実施形態を示す構成図。
【符号の説明】
【0108】
10 炉内化学除染装置
11 原子炉圧力容器
12 原子炉再循環系(オゾン水循環手段)
13 再循環配管
14 再循環ポンプ
15a 出口ノズル
15b 入口ノズル
16 炉心シュラウド
17 炉心
18 炉心支持板
19 上部格子板
21 炉心下部プレナム
22 炉心上部プレナム
23 アニュラス部
24 ジェットポンプ(オゾン発生手段)
25 ヘッダ配管
26 ジェットポンプライザ管
27 ジェットポンプノズル
28 スロート部(混合室)
29 ディフューザ
30 仮設除染ループ(除染剤供給手段)
31 制御棒(CD)ハウジング
32 仮設循環ライン
33 仮設循環ポンプ
34 化学除染設備
35 (仮設)スプレイリング
40 オゾンガス供給手段(装置)
41 オゾン発生装置(オゾナイザ)
42 オゾン供給管(散気導管)
43 オゾン散気管
45 給水スパージャ
46 炉心スプレイ配管
50 上部シュラウドリング(シュラウドヘッドボルトブラケット)
51,52,53,55 クランプ装置




 

 


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