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発明の名称 炉心溶融物冷却装置、原子炉格納容器および炉心溶融物冷却装置の設置方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−232529(P2007−232529A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−53660(P2006−53660)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
代理人 【識別番号】100103333
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 治
発明者 濱崎 亮一 / 田原 美香 / 小島 良洋 / 及川 弘秀
要約 課題
床面積を広くすることなく、原子炉容器内の炉心が溶融して原子炉容器を貫通した際に発生する炉心溶融物を冷却する効率を向上させる。

解決手段
原子炉容器の下方に、給水チェンバー10と、これに接続された下部入口部21および上方に開いた上部出口部22をもった複数の水チャンネル11、および、水チャンネル11の上面に取り付けられた耐熱材12を備えた炉心溶融物冷却装置30を設置する。複数の水チャンネル11は上に開いた円錐状となるように組み合わせされている。給水チェンバー10には注水配管8を介して冷却水が供給される。冷却水は給水チェンバー10で各水チャンネル11に分配され、傾きを持った冷却水流路25を上昇し、上部出口部22から溢れ、耐熱材12の上に堆積した炉心溶融物13を冷却する。また、溢れた水は、循環配管9を通って、給水チェンバー10に戻される。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉容器内の炉心が溶融して前記原子炉容器を貫通した際に発生する炉心溶融物を受け止めて冷却する炉心溶融物冷却装置において、
前記原子炉容器の下方に設置された給水チェンバーと、
前記給水チェンバーに接続された開口である下部入口部および前記下部入口部よりも高い位置にある上方に開いた開口である上部出口部を備えて前記下部入口部から前記上部出口部に向かう方向を半径方向とするリング状の投影形状を持つ水チャンネル集合体と、
前記水チャンネル集合体の上面に取り付けられた耐熱材と、
前記水チャンネル集合体の外側に上方に開いた開口を備えて前記給水チェンバーに接続された循環配管と、
を有することを特徴とする炉心溶融物冷却装置。
【請求項2】
前記下部入口部から前記上部出口部に向かって前記水チャンネル集合体の水平に対する傾きが大きくなっていくことを特徴とする請求項1記載の炉心溶融物冷却装置。
【請求項3】
前記水チャンネル集合体の内壁には複数の凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の炉心溶融物冷却装置。
【請求項4】
前記耐熱材は、金属酸化物および玄武岩系コンクリートのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか記載の炉心溶融物冷却装置。
【請求項5】
前記耐熱材は、少なくとも金属酸化物層およびコンクリート層を備えたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか記載の炉心溶融物冷却装置。
【請求項6】
前記給水チェンバーに接続された注水配管と、
溶融炉心落下の徴候を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記徴候を検出したら前記注水配管を介して前記給水チェンバーに冷却水を供給する冷却水供給手段と、
を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか記載の炉心溶融物冷却装置。
【請求項7】
前記冷却水供給手段は、
前記上部出口部よりも上方に位置している冷却水を貯える第1の水槽と、
前記注水配管の途中に挿入された注入弁と、
前記検出手段が前記徴候を検出したら前記注入弁を開放する、前記検出手段に接続された注入弁制御器と、
を有することを特徴とする請求項6記載の炉心溶融物冷却装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記原子炉圧力容器の下方の雰囲気の温度を検出するものであって、
前記注入弁制御器は、前記原子炉圧力容器の下方の雰囲気の温度が所定の温度を越えた場合に前記注入弁を開放するものである
ことを特徴とする請求項7記載の炉心溶融物冷却装置。
【請求項9】
前記検出手段は、前記原子炉圧力容器の下部ヘッドの温度を検出するものであって、
前記注入弁制御器は、前記下部ヘッドの温度が所定の温度を越えた場合に前記注入弁を開放するものである
ことを特徴とする請求項7記載の炉心溶融物冷却装置。
【請求項10】
前記検出手段は、前記原子炉圧力容器の内部の水位を検出するものであって、
前記注入弁制御器は、前記水位が所定の水位を下回ったまま所定の時間が経過した場合に前記注入弁を開放するものであることを特徴とする請求項7記載の炉心溶融物冷却装置。
【請求項11】
前記冷却水供給手段は、
冷却水を貯える第2の水槽と、
前記第2の水槽から前記給水チェンバーに冷却水を送り出すポンプと、
前記検出手段が前記徴候を検出したら前記ポンプを起動する、前記検出手段に接続されたポンプ制御器と、
を有することを特徴とする請求項6記載の炉心溶融物冷却装置。
【請求項12】
原子炉容器と、
前記原子炉容器の下方に位置するペデスタル床と、
前記原子炉容器を支持する、前記ペデスタル床の周囲を囲む円筒面状のペデスタル側壁と、
前記ペデスタル床の上に設置された給水チェンバー、前記給水チェンバーに接続された開口である下部入口部および前記下部入口部よりも高い位置にある上方に開いた開口である上部出口部を備えて前記下部入口部から前記上部出口部に向かう方向を半径方向とするリング状の投影形状を持つ水チャンネル集合体、前記水チャンネル集合体の上面に取り付けられた耐熱材、および、前記水チャンネル集合体の外側に開口を備えて前記給水チェンバーに接続された循環配管、を具備し、前記原子炉容器内の炉心が溶融して前記原子炉容器を貫通した際に発生する炉心溶融物を受け止めて冷却する炉心溶融物冷却装置と、
を有することを特徴とする原子炉格納容器。
【請求項13】
原子炉容器内の炉心が溶融して前記原子炉容器を貫通した際に発生する炉心溶融物を受け止めて冷却する炉心溶融物冷却装置の設置方法において、
前記原子炉容器の下方に位置するペデスタル床の上に給水チェンバーを配設する工程と、
前記給水チェンバーに接続された開口である下部入口部および前記下部入口部よりも高い位置にある上方に開いた開口である上部出口部を備えて前記下部入口部から前記上部出口部に向かう方向を半径方向とするリング状の投影形状を持つ水チャンネル集合体を設置し、前記水チャンネル集合体の上面に耐熱材を取り付ける水チャンネル集合体設置工程と、
前記水チャンネル集合体の外側に開口を備え、前記給水チェンバーに接続された循環配管を設置する工程と、
を有することを特徴とする炉心溶融物冷却装置の設置方法。
【請求項14】
前記水チャンネル集合体設置工程は、
ブロック状の耐熱材片を製造する工程と、
前記耐熱材片を前記水チャンネル集合体の上面に取り付ける工程と、
を有することを特徴とする請求項13記載の炉心溶融物冷却装置の設置方法。
【請求項15】
前記水チャンネル集合体は、前記下部入口部から前記上部出口部に向かう方向を半径方向とする扇形の投影形状を持つ複数の水チャンネルをリング状の投影形状を持つように組み合わせたものであって、
前記水チャンネル集合体設置工程は、
それぞれの前記水チャンネルの上面に前記耐熱材を取り付ける工程と、
前記耐熱材が取り付けられた前記水チャンネルを組み合わせて水チャンネル集合体を組み立てる工程と、
を有することを特徴とする請求項13記載の炉心溶融物冷却装置の設置方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉心溶融物冷却装置、原子炉格納容器および炉心溶融物冷却装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水冷却型原子炉では、原子炉圧力容器内への給水の停止や、原子炉圧力容器に接続された配管の破断による冷却水の喪失によって、原子炉水位が低下し炉心が露出して冷却が不十分になる可能性がある。このような場合を想定して、水位低下の信号により自動的に原子炉は非常停止され、非常用炉心冷却装置(ECCS)による冷却材の注入によって炉心を冠水させて冷却し、炉心溶融事故を未然に防ぐようになっている。
【0003】
しかしながら、極めて低い確率ではあるが、上記非常用炉心冷却装置が作動せず、かつ、その他の炉心への注水装置も利用できない事態も想定され得る。このような場合、原子炉水位の低下により炉心は露出し、十分な冷却が行われなくなり、原子炉停止後も発生し続ける崩壊熱によって燃料棒温度が上昇し、最終的には炉心溶融に至るおそれがある。
【0004】
このような事態に至ると、高温の炉心溶融物(コリウム)が原子炉圧力容器内下部に溶け落ち、さらに原子炉圧力容器下部ヘッドを溶融貫通して、コリウムは原子炉格納容器内の床上に落下する。コリウムは格納容器床に張られたコンクリートを加熱し、接触面が高温状態になるとコンクリートと反応し、二酸化炭素、水素等の非凝縮性ガスを大量に発生させるとともにコンクリートを溶融浸食する。
【0005】
発生した非凝縮性ガスは格納容器内の圧力を高め、原子炉格納容器を破損させる可能性があり、また、コンクリートの溶融浸食により格納容器バウンダリを破損させたり、格納容器構造強度を低下させる可能性がある。結果的に、コリウムとコンクリートの反応が継続すると格納容器破損に至り、格納容器内の放射性物質が外部環境へ放出させるおそれがある。
【0006】
このようなコリウムとコンクリートの反応を抑制するためには、コリウムを冷却し、コリウム底部のコンクリートとの接触面の温度を浸食温度以下(一般的なコンクリートで1500K以下)に冷却するか、コリウムとコンクリートが直接接触しないようにする必要がある。従来は、落下したコリウムの上から注水して冷却することにより、コリウム温度を下げコンクリート浸食反応の抑制が図られてきた(たとえば特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−333357号公報
【特許文献2】特開2005−195595号公報
【非特許文献1】T.G.Theofanous、外1名、"The Coolability Limits of A Reactor Pressure Vessel Lowerhead”、1997年、Nuclear Engineering and Design、Volume 169、p.59 - p.76
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コリウムの上からの注水だけでは、コリウム上面の水の沸騰による冷却のみであり、コリウム堆積厚さが厚いとコリウム底部まで十分に冷却できない可能性がある。したがって、床面積を広くとり、コリウムの堆積厚さを冷却可能な厚さ以下にする必要があった。しかし、十分大きな床面積を確保することは格納容器構造設計上困難であった。
【0008】
たとえば、典型的なコリウムの崩壊熱は、定格熱出力の約1%程度であり、定格熱出力4000MWの炉の場合には、40MW程度の発熱量になる。上面の沸騰熱伝達量にはコリウム上面の状態により幅があるが、すくなくとも0.4MW/m程度の熱流束が想定される。この場合には、コリウムの発熱量を上面の熱伝達のみで取るとすると、100m程度(円直径で11.3m)の床面積が必要になる。これまでの格納容器の構造を考慮すると、この面積を確保することは困難であった。
【0009】
そこで本発明は、床面積を広くすることなく、原子炉容器内の炉心が溶融して原子炉容器を貫通した際に発生する炉心溶融物を冷却する効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、原子炉容器内の炉心が溶融して前記原子炉容器を貫通した際に発生する炉心溶融物を受け止めて冷却する炉心溶融物冷却装置において、前記原子炉容器の下方に設置された給水チェンバーと、前記給水チェンバーに接続された開口である下部入口部および前記下部入口部よりも高い位置にある上方に開いた開口である上部出口部を備えて前記下部入口部から前記上部出口部に向かう方向を半径方向とするリング状の投影形状を持つ水チャンネル集合体と、前記水チャンネル集合体の上面に取り付けられた耐熱材と、前記水チャンネル集合体の外側に上方に開いた開口を備えて前記給水チェンバーに接続された循環配管と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、原子炉格納容器において、原子炉容器と、前記原子炉容器の下方に位置するペデスタル床と、前記原子炉容器を支持する、前記ペデスタル床の周囲を囲む円筒面状のペデスタル側壁と、前記ペデスタル床の上に設置された給水チェンバー、前記給水チェンバーに接続された開口である下部入口部および前記下部入口部よりも高い位置にある上方に開いた開口である上部出口部を備えて前記下部入口部から前記上部出口部に向かう方向を半径方向とするリング状の投影形状を持つ水チャンネル集合体、前記水チャンネル集合体の上面に取り付けられた耐熱材、および、前記水チャンネル集合体の外側に開口を備えて前記給水チェンバーに接続された循環配管、を具備し、前記原子炉容器内の炉心が溶融して前記原子炉容器を貫通した際に発生する炉心溶融物を受け止めて冷却する炉心溶融物冷却装置と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、原子炉容器内の炉心が溶融して前記原子炉容器を貫通した際に発生する炉心溶融物を受け止めて冷却する炉心溶融物冷却装置の設置方法において、前記原子炉容器の下方に位置するペデスタル床の上に給水チェンバーを配設する工程と、前記給水チェンバーに接続された開口である下部入口部および前記下部入口部よりも高い位置にある上方に開いた開口である上部出口部を備えて前記下部入口部から前記上部出口部に向かう方向を半径方向とするリング状の投影形状を持つ水チャンネル集合体を設置し、前記水チャンネル集合体の上面に耐熱材を取り付ける水チャンネル集合体設置工程と、前記水チャンネル集合体の外側に開口を備え、前記給水チェンバーに接続された循環配管を設置する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、床面積を広くすることなく、原子炉容器内の炉心が溶融して原子炉容器を貫通した際に発生する炉心溶融物を冷却する効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る炉心溶融物冷却装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図2は、本発明に係る第1の実施の形態における、原子炉格納容器の立断面図である。
【0016】
原子炉格納容器2には、下部に位置するペデスタル床7、および、その周りを取り囲む円筒面状のペデスタル側壁24によって、ペデスタル15が形成されている。炉心23を内蔵する原子炉圧力容器1は、ペデスタル側壁24によって支持されている。
【0017】
また、原子炉格納容器2の下部には、ペデスタル側壁24を取り囲むようにサプレッションプール4が形成されている。サプレッションプール4には、水が貯えられている。
【0018】
ペデスタル床7の上には、溶融炉心冷却装置30が配設されている。溶融炉心冷却装置30には、注水配管8が接続されている。また、注水配管8は、注入弁14を介して、原子炉格納容器2の上部に位置する水槽5に接続されている。
【0019】
原子炉格納容器2の上には、冷却器6が配設されている。冷却器6は、たとえば、原子炉格納容器2の蒸気を導いて水中に沈めた熱交換機6aで凝縮させ、水槽5に凝縮水を戻すものである。このような冷却器6として、静的格納容器冷却設備やドライウェルクーラーなどを用いることができる。
【0020】
図1は、第1の実施の形態における、ペデスタル床7近傍の立断面図である。なお、図1には、冷却水の流れを模式的に破線の矢印で示した。また、コリウム13が溶融炉心冷却装置30の上に落下した場合の、コリウム13の堆積状況も併せて示した。
【0021】
原子炉冷却装置30は、ペデスタル床7の上に設置されている。原子炉冷却装置30は、給水チェンバー10、水チャンネル集合体31、耐熱材12および循環配管9を有している。
【0022】
給水チェンバー10は、中空の円盤状に形成されており、ペデスタル床7の上面に配置されている。給水チェンバー10には、注水配管8が接続されている。
【0023】
水チャンネル集合体31は、給水チェンバー10からペデスタル側壁24に向かって傾きを持って上昇し、ペデスタル側壁24の近傍で鉛直に立ち上がって、その上端は開口している。水チャンネル集合体31の鉛直に立ち上がった外周部よりも内側は、上に開いた円錐状である。
【0024】
水チャンネル集合体31とペデスタル側壁24の間には、循環配管9の一端が開口している。循環配管9のもう一方の端は、給水チェンバー10に接続されている。図1において、循環配管9と注水配管8は、水チャンネル集合体31を挟んで、それぞれ1本ずつ記載しているが、適宜増減してもよい。水チャンネル集合体31とペデスタル側壁24の間で、循環配管9と注水配管8以外の部分は、リング状の蓋で覆って、水チャンネル11の下方の空間29に冷却水が流れ込まないようにしてもよい。
【0025】
水チャンネル集合体31の上面およびペデスタル側壁24に沿って鉛直に立ち上がっている部分の内側には、その全体を覆うように、耐熱材12が配設されている。
【0026】
耐熱材12としては、たとえば、ZrO、MgOなどの金属酸化物や、玄武岩系コンクリートを用いることができ、金属酸化物とコンクリートの二層構造としてもよい。また、耐熱材12として、このような材料の直方体のブロックとして、敷き詰めるように配設してもよい。なお、この場合、ブロックの形状は直方体に限定されるものではない。
【0027】
図3は、第1の実施の形態における、給水チェンバー10と水チャンネル集合体31の平面図である。
【0028】
水チャンネル集合体31は、給水チェンバー10の周りに放射状に延びる複数の水チャンネル11を組み合わせたものである。それぞれの水チャンネル11の投影形状は扇形をしていて、水チャンネル11の間は隙間なく接触している。本実施の形態では、たとえば16個の水チャンネル11を組み合わせて、水チャンネル集合体31を形成しているが、水チャンネル11の個数は適宜増減してもよい。
【0029】
水チャンネル11の内部に形成された冷却水流路25は、給水チェンバー10につながる下部入口部21から外周に向かって周方向に広がり、上部出口部22につながっている。
【0030】
なお、本実施の形態では、複数の水チャンネル11を組み合わせて水チャンネル集合体31を形成しているが、給水チェンバーから広がりながら上昇する冷却水流路25を持っていれば、どのような形状でもよい。たとえば、2枚の円錐面状の板を所定の間隔を保つように保持したものであってもよい。
【0031】
炉心溶融事故が発生し、コリウム13が原子炉圧力容器下部ヘッド3を貫通してペデスタルへ落下すると、溶融炉心冷却装置30の耐熱材12に受け止められる。コリウム13が落下すると、給水チェンバー10へ冷却水が供給され、下部入口部21から各水チャンネル11に冷却水が分配される。
【0032】
高温のコリウム13の熱は耐熱材12に伝わり、さらに水チャンネル11の壁を介して冷却水に伝えられる。コリウム13の熱が伝達されることにより、水チャンネル11の内部の冷却水流路25を流れる冷却水は、いずれ沸騰する。
【0033】
図4は、非特許文献1に示された下向きの伝熱面の角度に対する沸騰限界熱流束の実験結果を示すグラフである。
【0034】
図4から、たとえば、20°の傾斜を持った下向きの伝熱面の場合は、下向きの水平面(角度0°)よりも、沸騰限界熱流束が約60%程度向上することがわかる。本実施の形態では、冷却水流路25は傾斜を持っているため、沸騰により生じた蒸気泡は、浮力によって伝熱面である水チャンネル11の内面から離脱しやすく、良好な熱伝達率が得られる。
【0035】
下部入口部21から水チャンネル11に入った冷却水は、冷却水流路25を通って上昇し、外周に位置する上部出口部22から溢れ出る。上部出口部22から溢れ出た冷却水の大部分は、水チャンネル集合体30の円錐形の部分に流れ込む。水チャンネル11を出た冷却水は、耐熱材12の上に溢水し、コリウム12の上に水プールを形成する。この水プールを形成した冷却水は、コリウム13の表面で沸騰し、コリウム13を冷却する。
【0036】
このように、水チャンネル11の内部での沸騰と、コリウム13の表面の沸騰の両方によって、コリウム13は冷却される。
【0037】
給水チェンバーへの初期の給水は、たとえば、溶融炉心冷却装置より上方に設置されたプール水を重力落下させることにより注水配管8を介して行われる。初期注水が終了した後は、ペデスタル15の内部の水チャンネル集合体30の上部へ溢水した冷却水が、冷却水流路25での沸騰により生じる自然循環によって、循環配管9より給水チェンバー10に供給される。
【0038】
溶融炉心を冷却することにより生じた蒸気は、格納容器上部の冷却器6で凝縮されて、水槽5に戻される。水槽5に戻された蒸気を凝縮した冷却水は、再びコリウム13の冷却に用いられるようになっており、水が自然循環することによってコリウム13の冷却が継続される。
【0039】
耐熱材12の融点は、たとえばZrOを耐熱材12に用いた場合には約2200℃程度なので、コリウム13の温度(平均的には2200℃程度)よりも高く、溶融するおそれは小さい。また、耐熱材12を配設することにより、コリウム13が直接、水チャンネル11に接触せず、また、耐熱材12の熱抵抗によって熱流束が抑えられるため、水チャンネル11の壁が破損するおそれも小さい。
【0040】
このように、本実施の形態の炉心溶融物冷却装置30によって、効果的にコリウムの温度を下げることができ、コリウム13は溶融炉心冷却装置30の内部に安定的に保持される。
【0041】
また、コリウム13は、ペデスタル床7のコンクリートと直接接触しないため、コンクリート浸食反応も起きない。したがって、二酸化炭素や水素などの非凝縮性ガス発生による加圧や、原子炉格納容器の損傷が生じるおそれも小さくなる。
【0042】
水チャンネル11の壁面の熱伝達は、その角度を水平から20°とすると、限界熱流束は0.5MW/m以上となる。たとえば、既設炉と同程度の直径10mのペデスタル場合でも、水チャンネル壁の合計伝熱面積は82m程度となるため、水チャンネルだけで最大41MW程度の除熱が可能である。
【0043】
さらに、溢水した水がコリウム13の表面からコリウム13を冷却する除熱としては、0.4MW/m程度の熱流束を見込むことができ、伝熱面積を75m(等価直径が9.8m)とすると、耐熱材12の上での冷却により最大30MW程度の除熱が可能である。
【0044】
定格熱出力4000MWの炉の場合には、コリウム13の発熱量は40MW程度となるため、水チャンネル11の内部と、耐熱材12の上面の冷却によって、十分にコリウムの崩壊熱を除去可能であり、コリウムを安定的に冷却可能である。さらに、熱的には余裕があるため、より熱出力が大きな原子炉に対して適用可能である。
【0045】
また、本実施の形態では、水チャンネル11、耐熱材12、給水チェンバー10、および、給水配管8などの配管の組み合わせで構成されているため、大型の容器などを製造する必要が無い。このため、既設の格納容器に新たに炉心溶融物冷却装置を設置する場合など、大きな物をペデスタル15に搬入することが困難なときであっても、別途製造した各構成部材をペデスタル15の内部に持ち込んで、現場で組み立て施工が可能であり、施工性が優れている。
【0046】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明に係る第2の実施の形態における、水チャンネル11の斜視図である。
【0047】
本実施の形態の水チャンネル11は、第1の実施の形態の水チャンネルの上面に耐熱材12を張り付け一体としたものである。このような水チャンネル11を、予め原子力発電所の外部の工場などで製造しておき、その水チャンネル11をペデスタル15に搬入して組み立てると、炉心溶融物冷却装置30の設置に要する時間が短くなる。
【0048】
また、この水チャンネル11の内部の冷却材流路25を形成する壁面には、多数の凹凸が備えられている。この凹凸により、水チャンネル11の内面での熱伝達は促進され、コリウムをより速く冷却することができるようになる。
【0049】
[第3の実施の形態]
本発明に係る第3の実施の形態は、水チャンネル集合体30を円錐形状ではなく、下に凸のお椀型にしたものである。
【0050】
図6は、第3の実施の形態における、ペデスタル床7近傍の立断面図である。
【0051】
本実施の形態の水チャンネル集合体30は、給水チェンバー10から離れペデスタル側壁25に近づくに従って段階的に冷却水流路25の傾きが増加するようにしたものである。なお、水チャンネル集合体30は、第1の実施形態と同様に、投影形状が扇型の水チャンネルを組み合わせたものである。
【0052】
図5に示すように冷却面の水平からの傾きが大きいほど、沸騰限界熱流束が大きくなるため、冷却性能は高まる。このため、コリウムを受け止める耐熱材12およびその耐熱材12を介してコリウムを冷却する水チャンネル集合体30の上面の面積をより小さくしても、コリウム13の冷却と安定保持が可能となる。
【0053】
[第4の実施の形態]
本発明に係る第4の実施の形態は、溶融炉心冷却装置30に冷却水を供給する注入配管8に取り付けられた注入弁14の制御方法に関するものである。
【0054】
図7は、第4の実施の形態における、炉心溶融物冷却装置を原子炉格納容器の立断面とともに示す説明図である。
【0055】
注入弁14には注入弁制御器36が接続されていて、注入弁制御器36には溶融炉心が落下する徴候を検出するセンサー37が接続されている。
【0056】
注入弁14は、ペデスタル15の内圧などによって自動的に開くようにしてもよいが、本実施の形態では、注入弁制御器36によって注入弁14を開くようにしている。注入弁制御器36は、センサー37からの信号を受け取り、溶融炉心が落下する徴候があると判定したら、注入弁14を開き、溶融炉心冷却装置30に冷却水を供給する。
【0057】
センサー37として、たとえば、ペデスタル雰囲気温度を測定する温度計を用い、ペデスタル雰囲気温度が所定の温度を超えた場合に、制御装置36によって注入弁14を開くようにする。ペデスタル雰囲気温度の代わりに、原子炉圧力容器下部ヘッド3の温度を測定する温度計を用いて、その温度が所定の温度を超えた場合に注入弁14が開くようにしてもよい。
【0058】
また、センサー37として、原子炉水位を検出する検出器を用いて、原子炉水位低の信号が所定の時間継続した場合に、制御装置36は溶融炉心が落下する徴候があると判定して、注入弁14を開くようにしてもよい。
【0059】
さらに、これらのセンサー37を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
本実施の形態では、適切なセンサーによって溶融炉心が落下する徴候を検出して、溶融炉心冷却装置30に冷却水を供給できるため、溶融炉心が落下しても、すぐにコリウムを冷却できる。
【0061】
[第5の実施の形態]
図8は、本発明に係る第5の実施の形態における、炉心溶融物冷却装置を原子炉格納容器の立断面とともに示す説明図である。
【0062】
本実施の形態では、注水配管8に、外部冷却水貯水槽38とつながった外部冷却水供給配管40が接続されている。外部冷却水供給配管40には、ポンプ37が挿入されている。また、ポンプ37には、ポンプ制御器39を接続する。
【0063】
ポンプ制御器39は、溶融炉心が落下する徴候を検出した場合には、ポンプ37を起動して、外部冷却水貯水槽38から冷却水を炉心溶融物冷却装置30に供給する。これによって、ポンプ37を駆動するための外部電源が利用できる場合には、水槽5に貯えられた冷却水だけでなく、外部冷却水貯水槽38に貯えられた冷却水もコリウムの冷却に用いることができる。したがって、より速くコリウムを冷却することができるようになる。
【0064】
なお、以上の説明は単なる例示であり、本発明は上述の各実施の形態に限定されず、様々な形態で実施することができる。また、上述の各実施の形態の特徴を組み合わせて実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態における、ペデスタル床近傍の立断面図である。
【図2】本発明に係る第1の実施の形態における、原子炉格納容器の立断面図である。
【図3】本発明に係る第1の実施の形態における、給水チェンバーと水チャンネル集合体の平面図である。
【図4】下向きの伝熱面の角度に対する沸騰限界熱流束の実験結果を示すグラフである。
【図5】本発明に係る第2の実施の形態における、水チャンネルの斜視図である。
【図6】本発明に係る第3の実施の形態における、ペデスタル床近傍の立断面図である。
【図7】本発明に係る第4の実施の形態における、炉心溶融物冷却装置を原子炉格納容器の立断面とともに示す説明図である。
【図8】本発明に係る第5の実施の形態における、炉心溶融物冷却装置を原子炉格納容器の立断面とともに示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1…原子炉圧力容器、2…原子炉格納容器、3…原子炉圧力容器下部ヘッド、4…サプレッションプール、5…水槽、6…格納容器冷却器、7…ペデスタル床、8…注水配管、9…循環配管、10…給水チェンバー、11…水チャンネル、12…耐熱材、13…コリウム(炉心溶融物)、14…注入弁、15…ペデスタル、21…下部入口部、22…上部出口部、24…ペデスタル側壁、25…冷却水流路、30…炉心溶融物冷却装置、31…水チャンネル集合体、36…制御装置、37…センサー、38…外部冷却水貯水槽、39…ポンプ、40…外部冷却水供給配管




 

 


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