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発明の名称 中性子検出器の寿命判定装置およびその寿命判定方法ならびに原子炉炉心監視装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−225296(P2007−225296A)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
出願番号 特願2006−43501(P2006−43501)
出願日 平成18年2月21日(2006.2.21)
代理人 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久
発明者 泉 幹雄 / 宮崎 禎司 / 後藤 泰志 / 伊藤 敏明
要約 課題
実用炉に挿設される中性子検出器の出力を、中性子検出器ごとに実測値の履歴を利用することによって正確に補正することができ、この補正した中性子検出器出力を用いて原子炉炉心監視性能を向上させることのできる、中性子検出器の寿命判定装置およびその寿命判定方法ならびにこの寿命判定装置を用いた原子炉炉心監視装置を提供する。

解決手段
本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置10は、演算手段11と、演算手段11に接続される記憶手段12とを備える。また、寿命判定装置10は、放射線検出手段としての局所出力領域モニタ(LPRM:Low Power Range Monitor)群21とマルチプレクサ22を介して接続される。また、寿命判定装置10は、炉心性能計算手段31と接続される。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉に挿設される放射線検出手段から出力される電気信号中の直流成分を測定する直流成分測定手段と、
前記直流成分の測定値を履歴として記憶する直流成分履歴記憶手段と、
この直流成分履歴記憶手段から前記直流成分測定値の履歴を読み出し、この履歴を補正する直流成分補正手段と、
前記電気信号中のゆらぎ成分を測定するゆらぎ成分測定手段と、
前記ゆらぎ成分の測定値を履歴として記憶するゆらぎ成分履歴記憶手段と、
このゆらぎ成分履歴記憶手段から前記ゆらぎ成分測定値の履歴を読み出し、この履歴を補正するゆらぎ成分補正手段とを備えたことを特徴とする中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項2】
あらかじめ、原子炉に挿設される放射線検出手段の、直流成分中性子感度のゆらぎ成分中性子感度に対する感度比を記憶しておく定数記憶手段と、
前記放射線検出手段から出力される電気信号中の直流成分を測定する直流成分測定手段と、
前記直流成分の測定値を履歴として記憶する直流成分履歴記憶手段と、
この直流成分履歴記憶手段から前記直流成分測定値の履歴を読み出し、この履歴から前記直流成分測定値の突発的な変化を抽出し補正する直流成分補正手段と、
前記電気信号中のゆらぎ成分を測定するゆらぎ成分測定手段と、
前記ゆらぎ成分の測定値を履歴として記憶するゆらぎ成分履歴記憶手段と、
前記直流成分補正手段から受けた突発的な変化のデータをもとに、前記ゆらぎ成分履歴記憶手段から読み出した前記ゆらぎ成分の履歴に対し補正を行うゆらぎ成分補正手段と、
前記補正後のゆらぎ成分に前記定数記憶手段から読み込んだ前記感度比を乗じて前記補正後の直流成分中の中性子成分を求める検出器特性判定手段とを備え、
この検出器特性判定手段は、測定値履歴にもとづく前記補正後の直流成分と前記中性子成分とを比較することによって、前記補正後の直流成分を中性子成分とガンマ線成分とに分離可能に構成したことを特徴とする中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項3】
前記定数記憶手段はあらかじめ核的寿命比および前記感度比を記憶した定数記憶手段であり、
前記補正後の直流成分中の中性子成分を前記ガンマ線成分で除した比が、前記定数記憶手段から読み込んだ前記核的寿命比以下になることによって前記放射線検出手段の核的寿命終了と判定する核的寿命判定手段をさらに備えた請求項2記載の中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項4】
前記定数記憶手段に記憶された感度比は、前記放射線検出手段の原子炉初挿設時の直流成分から前記放射線検出手段の設計仕様で定まる直流成分中のガンマ線成分を減じて求まる前記初挿設時の直流成分中の中性子成分を、前記初挿設時のゆらぎ成分で除することにより得たものである請求項2または3に記載の中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項5】
前記定数記憶手段に記憶された感度比は、同一構造で中性子有感物質の有無のみが異なる一対の前記放射線検出手段を、原子炉挿設前に同一照射条件下において出力測定し、前記中性子有感物質を有する放射線検出手段の直流成分から前記中性子有感物質のない放射線検出手段の直流成分を減じることにより求まる直流成分中の中性子成分を、前記中性子有感物質を有する放射線検出手段のゆらぎ成分で除することにより得たものである請求項2または3に記載の中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項6】
前記定数記憶手段はあらかじめ前記感度比および基準となる前記放射線検出手段のガスの電子移動度をさらに記憶した定数記憶手段であり、
あらかじめ前記放射線検出手段のゆらぎ成分の印加電圧特性曲線の傾きに対して前記放射線検出手段のガスの電子移動度を関連付けて記憶したガスμ記憶手段と、
前記放射線検出手段に対する印加電圧を変化させ、この印加電圧値を履歴として記憶する印加電圧履歴記憶手段と、
前記ゆらぎ成分測定手段が測定する、前記放射線検出手段に対する印加電圧を変化させたときのゆらぎ成分値を、履歴として記憶するガスμ補正用ゆらぎ成分履歴記憶手段とをさらに備え、
前記ゆらぎ成分補正手段は、前記ガスμ補正用ゆらぎ成分履歴記憶手段および前記印加電圧履歴記憶手段からそれぞれデータを読み込み前記ゆらぎ成分の印加電圧特性曲線の傾きを求め、この傾きをもとに前記ガスμ記憶手段を検索し対応するガスの電子移動度を抽出し、この抽出されたガスの電子移動と前記定数記憶手段から読み込んだ前記基準となるガスの電子移動度との比をもとに前記補正後のゆらぎ成分履歴を補正可能に構成した請求項2または3に記載の中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項7】
前記定数記憶手段は、前記感度比および前記放射線検出手段に対する印加電圧を0Vとして前記ゆらぎ成分測定手段が測定したゆらぎ成分値をノイズ成分値としてさらに記憶した定数記憶手段であり、
前記ゆらぎ成分補正手段は、前記補正後のゆらぎ成分値から、前記定数記憶手段より読み込んだ前記ノイズ成分値を減ずる補正を可能に構成した請求項2または3に記載の中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項8】
あらかじめ基準となる前記放射線検出手段の周波数特性を記憶しておく周波数特性履歴記憶手段をさらに備え、
前記ゆらぎ成分補正手段は、前記放射線検出手段のゆらぎ成分の周波数特性を測定し、この周波数特性と前記周波数特性履歴記憶手段から読み出した前記基準となる周波数特性のスペクトル解析を行い比較することにより前記ゆらぎ成分の中性子感度の相対的な変化比率を求め、この変化比率をもとに前記補正後のゆらぎ成分履歴を補正可能に構成した請求項2または3に記載の中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項9】
前記ゆらぎ成分補正手段は、前記ゆらぎ成分の履歴に対する補正にあたり、前記放射線検出手段の敷設ケーブルによる前記ゆらぎ成分の減衰量を考慮する機能をさらに有するよう構成した請求項2または3に記載の中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項10】
制御棒操作時刻から起算した経過時間を求める経過時間提供手段と、
この経過時間提供手段から前期経過時間を受けこの経過時間の履歴を記憶する経過時間履歴記憶手段とをさらに備え、
前記直流成分補正手段は、前記経過時間履歴に対して前記補正後の直流成分履歴を対応させたデータを作成し前記検出器特性判定手段に与えるように構成され、
前記ゆらぎ成分補正手段は、前記経過時間履歴に対して前記補正後のゆらぎ成分履歴を対応させたデータを作成し前記検出器特性判定手段に与えるように構成され、
前記検出器特性判定手段は、前記補正後のゆらぎ成分履歴がほぼ一定となる経過時間と前記補正後の直流成分履歴がほぼ一定となる経過時間とにおける前記補正後の直流成分値を取得して差を求め、前記補正後の直流成分を、前記ガンマ線成分の即発成分および中性子成分からなる成分と、前記ガンマ線成分の遅発成分からなる成分とに分離可能に構成した請求項2または3に記載の中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項11】
前記定数記憶手段はあらかじめ構造的寿命照射量をさらに記憶した定数記憶手段であり、
前記検出器特性判定手段から受けた前記補正後の直流成分中の中性子成分を、前記放射線検出手段が照射をうけている熱中性子束で除することにより、前記放射線検出手段の直流成分中性子感度を求め、この直流成分中性子感度の変化から、前記放射線検出手段が照射をうけた熱中性子束の積算を行うとともに、この熱中性子束の積算値から、前記放射線検出手段の収容器が照射をうけた高速中性子の積算照射量を算出する検出器照射量判定手段と、
前記高速中性子の積算照射量があらかじめ前記定数記憶手段に記憶されている構造的寿命照射量以上になることにより、前記放射線検出手段の構造的寿命終了と判定する構造的寿命判定手段と、
前記核的寿命判定手段および前記構造的寿命判定手段の判定結果を受け、いずれか一方が寿命と判定した場合に前記放射線検出手段の寿命終了と判定する検出器寿命判定手段とをさらに備えた請求項3記載の中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項12】
前記検出器寿命判定手段は、現在前記放射線検出手段が照射をうけている中性子束にもとづいて、現在から次回の定期検査までの間に前期放射線検出手段に対して照射される中性子束を予測することにより、前記次回の定期検査開始時における各LPRMに対する積算中性子束を予測する次回定検照射量評価手段と、
前記補正後の直流成分中の中性子成分をガンマ線成分で除した比を、前記次回の定期検査開始時における前期放射線検出器に対する積算中性子束の予測値で補正することにより前期次回の定期検査開始時における前記放射線検出器の直流成分中の中性子成分をガンマ線成分で除した比を予測し、この予測した比が前期定数記憶手段から読み込んだ前記核的寿命比と比較することによって、前記次回の定期検査開始時において前記放射線検出手段の核的寿命が終了するか判定するとともに、前記放射線検出手段の収容器が照射をうけた高速中性子の積算照射量を、前記次回の定期検査開始時における前期放射線検出器に対する積算中性子束の予測値で補正することにより、前期次回の定期検査開始時における前記放射線検出手段の収容器が照射をうけた高速中性子の積算照射量を予測し、この予測した前期高速中性子の積算照射量を前記定数記憶手段に記憶されている構造的寿命照射量と比較することによって、前記次回の定期検査開始時において前記放射線検出手段の構造的寿命が終了するか判定する次回定検寿命判定手段と、
前記現在放射線検出手段が照射をうけている中性子束および燃料条件から得られる前記次回の定期検査開始時の前記放射線検出手段が照射をうける中性子束の予測値にもとづいて、現在から次々回の定期検査までの間に前期放射線検出手段に対して照射される中性子束を予測することにより、前記次々回の定期検査開始時における各LPRMに対する積算中性子束を予測する次々回定検照射量評価手段と、
前記補正後の直流成分中の中性子成分をガンマ線成分で除した比を、前記次々回の定期検査開始時における前期放射線検出器に対する積算中性子束の予測値で補正することにより前記次々回の定期検査開始時における前記放射線検出器の直流成分中の中性子成分をガンマ線成分で除した比を予測し、この予測した比が前期定数記憶手段から読み込んだ前記核的寿命比と比較することによって、前記次々回の定期検査開始時において前記放射線検出手段の核的寿命が終了するか判定するとともに、前記放射線検出手段の収容器が照射をうけた高速中性子の積算照射量を、前記次々回の定期検査開始時における前期放射線検出器に対する積算中性子束の予測値で補正することにより、前記次々回の定期検査開始時における前記放射線検出手段の収容器が照射をうけた高速中性子の積算照射量を予測し、この予測した前期高速中性子の積算照射量を前記定数記憶手段に記憶されている構造的寿命照射量と比較することによって、前記次々回の定期検査開始時において前記放射線検出手段の収容器の構造的寿命が終了するか判定する次々回定検寿命判定手段と、
前記次回の定期検査と次々回の定期検査の間に核的寿命または前期収容器が構造的寿命を迎えると判定された前期放射線検出手段について、次回の定期検査時に交換する必要ありと判定し、所要の表示器などに表示するなどしてユーザーにその旨を提示する交換検出器提示手段とを有するものである請求項11記載の中性子検出器の寿命判定装置。
【請求項13】
原子炉に挿設される放射線検出手段から出力される電気信号中の直流成分を測定するステップと、
前記直流成分の測定値を履歴として記憶するステップと、
この直流成分の測定値の履歴を補正するステップと、
前記電気信号中のゆらぎ成分を測定するステップと、
前記ゆらぎ成分の測定値を履歴として記憶するステップと、
このゆらぎ成分の測定値の履歴を補正するステップと、
を有することを特徴とする中性子検出器の寿命判定方法。
【請求項14】
あらかじめ、原子炉に挿設される放射線検出手段の、直流成分中性子感度および直流成分ガンマ線感度を記憶しておく感度記憶手段と、
前記放射線検出手段から出力される電気信号中の直流成分を測定する直流成分測定手段と、
前記直流成分の測定値を履歴として記憶する直流成分履歴記憶手段と、
この直流成分履歴記憶手段から前記直流成分測定値の履歴を読み出し、この履歴から前記直流成分測定値の突発的な変化を抽出し補正を行う直流成分補正手段と、
前記電気信号中のゆらぎ成分を測定するゆらぎ成分測定手段と、
前記ゆらぎ成分の測定値を履歴として記憶するゆらぎ成分履歴記憶手段と、
前記直流成分補正手段から受けた突発的な変化のデータをもとに、前記ゆらぎ成分履歴記憶手段から読み出した前記ゆらぎ成分の履歴に対し補正を行うゆらぎ成分補正手段と、
前記補正後の直流成分中の中性子成分およびガンマ線成分を、感度記憶手段から読み込んだ直流成分中性子感度および直流成分ガンマ線感度でそれぞれ除することにより、前記放射線検出手段に照射された中性子束とガンマ線束を求め、前記放射線検出手段に照射された中性子束とガンマ線束の比を算出する照射中性子束/ガンマ線束比算出手段とを備えたことを特徴とする原子炉炉心監視装置。
【請求項15】
あらかじめ核的寿命比および前記放射線検出手段の直流成分中性子感度のゆらぎ成分中性子感度に対する感度比を記憶しておく定数記憶手段と、
前記補正後のゆらぎ成分に前記定数記憶手段から読み込んだ前記感度比を乗じて前記補正後の直流成分中の中性子成分を求め、前記補正後の直流成分を中性子成分とガンマ線成分に分離する検出器特性判定手段と、
前記補正後の直流成分中の中性子成分を前記ガンマ線成分で除した比が、前記定数記憶手段から読み込んだ前記核的寿命比以下になることによって前記放射線検出手段の寿命終了と判定する核的寿命判定手段とをさらに備えた請求項14記載の原子炉炉心監視装置。
【請求項16】
あらかじめ前記放射線検出手段に照射される中性子束/ガンマ線束比に対してボイド率を関連付けて記憶しておくボイド率記憶手段と、
前記照射中性子束/ガンマ線束比算出手段から受けた前記放射線検出手段に照射された中性子束/ガンマ線束比をもとに前記ボイド率記憶手段を検索し対応するボイド率を取得し、このボイド率を、炉心性能計算を行う手段に与える周辺ボイド率評価手段とをさらに備えた請求項14または15に記載の原子炉炉心監視装置。
【請求項17】
前記照射中性子束/ガンマ線束比算出手段から前記放射線検出手段に照射された中性子束/ガンマ線束比を、原子炉に挿設されたガンマ線検出器から炉心内ガンマ線束分布を、それぞれ受け、この炉心内ガンマ線束分布に対して前記中性子束/ガンマ線束比を乗じることにより炉心内中性子束分布を求めるガンマ線出力分布補正手段をさらに備えた請求項14または15に記載の原子炉炉心監視装置。
【請求項18】
前記照射中性子束/ガンマ線束比算出手段から前記放射線検出手段に照射された中性子束/ガンマ線束比を受け、この中性子束/ガンマ線束比から炉心内ガンマ線束分布を求め、この炉心内ガンマ線束分布を、炉心性能計算を行う手段に与えるガンマ線出力分布補正手段をさらに備えた請求項14または15に記載の原子炉炉心監視装置。
【請求項19】
あらかじめ前記放射線検出手段に照射される中性子束/ガンマ線束比に対して前記放射線検出手段による中性子の自己吸収量を関連付けて記憶しておく自己吸収量記憶手段と、
前記照射中性子束/ガンマ線束比算出手段から受けた前記放射線検出手段に照射された中性子束/ガンマ線束比をもとに前記自己吸収量記憶手段を検索し対応する自己吸収量を取得し、この自己吸収量を、炉心性能計算を行う手段に与える中性子自己吸収量補正手段とをさらに備えた請求項14または15に記載の原子炉炉心監視装置。
【請求項20】
あらかじめ、原子炉に挿設される放射線検出手段の、直流成分中性子感度のゆらぎ成分中性子感度に対する感度比を記憶しておく定数記憶手段と、
前記放射線検出手段から出力される電気信号中の直流成分を測定する直流成分測定手段と、
前記直流成分の測定値を履歴として記憶する直流成分履歴記憶手段と、
この直流成分履歴記憶手段から前記直流成分測定値の履歴を読み出し、この履歴から前記直流成分測定値の突発的な変化を抽出し補正する直流成分補正手段と、
前記電気信号中のゆらぎ成分を測定するゆらぎ成分測定手段と、
前記ゆらぎ成分の測定値を履歴として記憶するゆらぎ成分履歴記憶手段と、
前記直流成分補正手段から受けた突発的な変化のデータをもとに、前記ゆらぎ成分履歴記憶手段から読み出した前記ゆらぎ成分の履歴に対し補正を行うゆらぎ成分補正手段とを備えた中性子検出器の寿命判定装置を複数個並列設置し、
前記寿命判定装置の設置個数は、前記放射線検出手段として起動領域中性子検出器を用いたものおよび局所出力領域モニタを用いたものが、それぞれ一個または複数個であり、
前記起動領域中性子検出器側の寿命判定装置から受けた前記補正後のゆらぎ成分の履歴および前記局所出力領域モニタ側の寿命判定装置から受けた前記補正後のゆらぎ成分の履歴を監視し、原子炉の停止時においては前記起動領域中性子検出器の出力について、原子炉の起動時においては前記局所出力領域モニタの出力について、原子炉出力に対して線形になる前に異常を検知するオーバーラップ領域評価手段を備えたことを特徴とする原子炉炉心監視装置。
【請求項21】
前記定数記憶手段は、あらかじめ核的寿命比および前記感度比を記憶した定数記憶手段であり、
前記寿命判定装置は、前記補正後のゆらぎ成分に前記定数記憶手段から読み込んだ前記感度比を乗じて前記補正後の直流成分中の中性子成分を求め、前記補正後の直流成分を中性子成分とガンマ線成分とに分離する検出器特性判定手段と、
前記補正後の直流成分中の中性子成分を前記ガンマ線成分で除した比が、前記定数記憶手段から読み込んだ前記核的寿命比以下になることによって前記放射線検出手段の寿命終了と判定する核的寿命判定手段とをさらに備えた請求項20記載の原子炉炉心監視装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、中性子検出器の寿命判定技術に係り、特に中性子検出器の出力履歴にもとづき寿命判定を行う中性子検出器の寿命判定装置およびその寿命判定方法ならびに原子炉炉心監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉の出力と、原子炉の炉心内の中性子束との間には、密接な関係がある。したがって、原子炉の出力にかかわる原子炉核計装では、原子炉の炉心内の中性子束を測定することが重要である。この炉心内中性子束の測定を行うために、中性子検出器が原子炉の炉心内に挿設される。中性子検出器は、一般に円筒形である原子炉の炉心の、半径方向および高さ方向に複数挿設され、炉心内中性子束分布の測定用および原子炉出力モニタ用として利用される。
【0003】
炉心内中性子束を測定するための中性子検出器として、沸騰水型原子炉などの軽水減速型原子炉では、たとえば小型核分裂電離箱などの、核分裂を利用した中性子検出器が広く用いられている。核分裂を利用した中性子検出器は、一般に、互いに離して配置されかつ電気的に絶縁された一対の電極、たとえばウラン−235などの中性子有感物質および電離ガスを、気密容器内に収容した構造を持つ。
【0004】
核分裂を利用した中性子検出器内の中性子有感物質は、中性子検出器に入射した中性子によって核分裂を誘発され、核分裂生成物を生じる。この核分裂生成物は、中性子検出器内の中性子束に比例して、電離ガスを電離する。したがって、中性子検出器は、中性子検出器内の電極間に直流電圧が印加されると、中性子検出器内の中性子束に比例した電流を出力する。
【0005】
中性子検出器には寿命(使用可能期間)がある。その原因は、大きく次の2つに分けることができる。
【0006】
第一の原因は、中性子有感物質の消耗である。
【0007】
核分裂を利用した中性子検出器内の中性子有感物質は、中性子検出器に照射された中性子束の積算量に応じて、中性子有感物質が燃焼によって消耗する。このため、中性子検出器内の中性子束に対する中性子検出器出力の大きさ(以下、中性子感度という)が、低下する。この結果、中性子検出器は寿命(以下、核的寿命という)が尽きる。
【0008】
第二の原因は、中性子検出器の構造材の劣化である。
【0009】
中性子束により、中性子検出器の構造材、とくに溶接部が劣化して、中性子検出器の気密性が悪くなる。この結果、中性子検出器は寿命(以下、構造的寿命という)が尽きる。
【0010】
中性子検出器の核的寿命または構造的寿命が尽きる前に確実に新品と交換するためには、中性子検出器の寿命判定を適切に行うことが重要である。
【0011】
中性子検出器の核的寿命は、中性子束による中性子有感物質の消耗が原因で迎える。したがって、核的寿命を判定するためには、中性子検出器出力中の、中性子検出器内の中性子束に比例する中性子由来成分(以下、中性子成分という)を、正確に評価することが重要である。
【0012】
中性子検出器出力中の中性子成分を評価するにあたって、次の二点が大きな問題となる。
【0013】
第一の問題は、炉心内のガンマ線が中性子検出器出力に与える影響である。
【0014】
ガンマ線は、中性子と同様に、中性子検出器内の電離ガスを電離する。このため、ガンマ線も、中性子検出器内のガンマ線束に比例する出力を与える。この結果、中性子検出器の出力には、中性子成分だけでなく、中性子検出器内のガンマ線束に比例したガンマ線由来成分(以下、ガンマ線成分という)が常に混在する。このガンマ線成分が、中性子検出器出力中の中性子成分の評価を困難にする。
【0015】
第二の問題は、中性子検出器の気密性である。
【0016】
たとえば中性子検出器と接続ケーブルとの封止部の溶接が破損するなどの結果、中性子検出器の気密性が損なわれると、ガスリークによって中性子検出器内のガス成分またはガス圧が変化する。中性子検出器内のガス成分またはガス圧が変化すると、中性子検出器内のガスの電子移動度が変化し、中性子検出器の中性子感度が変化する。したがって、中性子検出器の気密性が損なわれた際は、中性子検出器出力中の中性子成分が変化してしまう。
【0017】
中性子検出器出力は、中性子検出器出力の平均値(以下、直流成分という)と、中性子検出器出力の時間的ゆらぎの2乗平均値(以下、ゆらぎ成分という)とに分離できる。これは、中性子と中性子有感物質との反応が、ランダムに起こり、統計的なゆらぎの成分を持つためである。
【0018】
一般的に、中性子検出器は、中性子由来のゆらぎ成分がガンマ線由来のゆらぎ成分よりも遥かに大きくなるように、設計されている。このため、中性子検出器出力のゆらぎ成分は、中性子検出器出力の直流成分に比べて、ガンマ線の影響を受けにくいという性質を有する。
【0019】
従来、この種の、中性子検出器出力のゆらぎ成分が有する、ガンマ線の影響を受けにくいという性質を利用した、中性子検出器出力を監視する技術に、特開平4−218792号公報(特許文献1)、特開昭58−100767号公報(特許文献2)、特開昭59−9594号公報(特許文献3)および特開昭61−59280号公報(特許文献4)に開示されたものがある。
【0020】
特開平4−218792号公報(特許文献1)に記載された中性子検出器の監視法は、中性子検出器出力の直流成分とゆらぎ成分との比を利用して中性子検出器を監視する方法である。この方法では、中性子検出器に照射される中性子束およびガンマ線の強度が、ほとんど変化しないことを仮定している。この直流成分とゆらぎ成分との比が基準値以下になると、中性子検出器の核的寿命が尽きたと判断している。また、この直流成分とゆらぎ成分との比が急激に変化するときは、ガスリークが起きたと判断し、ガスリークによって影響を受けた直流成分およびゆらぎ成分を、この直流成分とゆらぎ成分との比を用いて補正している。
【0021】
特開昭58−100767号公報(特許文献2)に記載された中性子検出器の寿命評価装置は、中性子検出器出力の直流成分とゆらぎ成分とを利用して、直流成分を、中性子成分とガンマ線成分とに分離して算出する演算器を備えている。この分離に必要な、中性子検出器の特性値は、中性子検出器製作後に計測しておく。また、この演算器で全出力に対するガンマ線成分の比を求め、この比が1/6以上であれば核的寿命が尽きたと判断している。
【0022】
特開昭59−9594号公報(特許文献3)に記載された放射線監視装置は、中性子検出器出力の直流成分とゆらぎ成分とを利用して、直流成分を、中性子成分とガンマ線成分とに分離して算出するマイクロコンピュータを備えている。この分離に必要な、中性子検出器の特性値は、中性子検出器製作後に計測しておく。また、このマイクロコンピュータで、中性子検出器の中性子感度とガンマ線感度とを既知の定数として利用し、中性子検出器内の中性子束とガンマ線束を算出している。
【0023】
特開昭61−59280号公報(特許文献4)に記載された中性子測定装置は、中性子検出器出力の直流成分とゆらぎ成分とを利用して、直流成分を、中性子成分とガンマ線成分とに分離する分離回路を備えている。この分離に必要な、中性子検出器の特性値は、中性子検出器に対して標準となる中性子またはガンマ線を照射して求めている。直流成分中の中性子成分とガンマ線成分との比を監視し、この直流成分中の中性子成分とガンマ線成分との比が所定の値を下回った時に中性子成分を適切に増幅することで、中性子有感物質の消耗による中性子検出器の感度低下を補正するようになっている。
【特許文献1】特開平4−218792号公報
【特許文献2】特開昭58−100767号公報
【特許文献3】特開昭59−9594号公報
【特許文献4】特開昭61−59280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
特許文献1は、中性子検出器に照射される中性子束およびガンマ線束の強度がほとんど変化しないと仮定している。また、特許文献2、特許文献3および特許文献4は、原子炉の炉心内に挿設する以前に得た、中性子検出器の特性値を利用している。
【0025】
このため、従来の技術では、中性子検出器を実用炉に挿設した場合、実用炉の環境にあった補正を行うことができない。
【0026】
実用炉の炉心内に複数挿設された各中性子検出器の、中性子感度などの特性値は、たとえば中性子検出器の中性子有感物質の消耗などが原因となり、常に変化しつづける。中性子有感物質は、中性子検出器に照射された中性子束の積算量に応じて、消耗する。中性子検出器に照射される中性子束の強度は挿設位置により異なる。したがって、中性子有感物質の消耗の程度は、各中性子検出器によって異なる。
【0027】
この中性子検出器に照射される中性子束およびガンマ線の強度の、挿設位置による違いは、実用炉で実測しなければ観測することができない。
【0028】
また、運転中の実用炉と、一般に中性子検出器の特性値が測定される実験炉とは、中性子検出器の温度が異なる。一般に、中性子検出器の温度は、実験炉では室温程度なのに対し、実用炉ではおよそ300℃に達する。このため、中性子検出器の中性子感度およびガンマ線感度は、実験炉と実用炉とで異なる。
【0029】
この温度条件の変化による中性子検出器の中性子感度およびガンマ線感度の変化もまた、実用炉で実測しなければ観測できない。
【0030】
また、従来の技術では、1回の測定で得る中性子検出器出力をもとに、寿命判定を行っている。しかし、一回の測定値のみでは、測定値に異常が認められても、この原因が、中性子検出器に照射される中性子束の変化か、中性子検出器のガスリークか、判別することが困難である。
【0031】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、実用炉に挿設される中性子検出器の出力を正確に補正することができ、この補正した中性子検出器出力を用いて原子炉炉心監視性能を向上させることのできる中性子検出器の寿命判定装置およびその寿命判定方法ならびにこの寿命判定装置を用いた原子炉炉心監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、原子炉に挿設される放射線検出手段から出力される電気信号中の直流成分を測定する直流成分測定手段と、前記直流成分の測定値を履歴として記憶する直流成分履歴記憶手段と、この直流成分履歴記憶手段から前記直流成分測定値の履歴を読み出し、この履歴を補正する直流成分補正手段と、前記電気信号中のゆらぎ成分を測定するゆらぎ成分測定手段と、前記ゆらぎ成分の測定値を履歴として記憶するゆらぎ成分履歴記憶手段と、このゆらぎ成分履歴記憶手段から前記ゆらぎ成分測定値の履歴を読み出し、この履歴を補正するゆらぎ成分補正手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0033】
また、本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置は、上述した課題を解決するために、請求項2に記載したように、あらかじめ、原子炉に挿設される放射線検出手段の、直流成分中性子感度のゆらぎ成分中性子感度に対する感度比を記憶しておく定数記憶手段と、前記放射線検出手段から出力される電気信号中の直流成分を測定する直流成分測定手段と、前記直流成分の測定値を履歴として記憶する直流成分履歴記憶手段と、この直流成分履歴記憶手段から前記直流成分測定値の履歴を読み出し、この履歴から前記直流成分測定値の突発的な変化を抽出し補正する直流成分補正手段と、前記電気信号中のゆらぎ成分を測定するゆらぎ成分測定手段と、前記ゆらぎ成分の測定値を履歴として記憶するゆらぎ成分履歴記憶手段と、前記直流成分補正手段から受けた突発的な変化のデータをもとに、前記ゆらぎ成分履歴記憶手段から読み出した前記ゆらぎ成分の履歴に対し補正を行うゆらぎ成分補正手段と、前記補正後のゆらぎ成分に前記定数記憶手段から読み込んだ前記感度比を乗じて前記補正後の直流成分中の中性子成分を求める検出器特性判定手段とを備え、この検出器特性判定手段は、測定値履歴にもとづく前記補正後の直流成分と前記中性子成分とを比較することによって、前記補正後の直流成分を中性子成分とガンマ線成分とに分離可能に構成したことを特徴とするものである。
【0034】
また、本発明に係る中性子検出器の寿命判定方法は、上述した課題を解決するために、請求項13に記載したように、原子炉に挿設される放射線検出手段から出力される電気信号中の直流成分を測定するステップと、前記直流成分の測定値を履歴として記憶するステップと、この直流成分の測定値の履歴を補正するステップと、前記電気信号中のゆらぎ成分を測定するステップと、前記ゆらぎ成分の測定値を履歴として記憶するステップと、このゆらぎ成分の測定値の履歴を補正するステップと、有することを特徴とする方法である。
【0035】
また、本発明に係る原子炉炉心監視装置は、上述した課題を解決するために、請求項14に記載したように、あらかじめ、原子炉に挿設される放射線検出手段の、直流成分中性子感度および直流成分ガンマ線感度を記憶しておく感度記憶手段と、前記放射線検出手段から出力される電気信号中の直流成分を測定する直流成分測定手段と、前記直流成分の測定値を履歴として記憶する直流成分履歴記憶手段と、この直流成分履歴記憶手段から前記直流成分測定値の履歴を読み出し、この履歴から前記直流成分測定値の突発的な変化を抽出し補正を行う直流成分補正手段と、前記電気信号中のゆらぎ成分を測定するゆらぎ成分測定手段と、前記ゆらぎ成分の測定値を履歴として記憶するゆらぎ成分履歴記憶手段と、前記直流成分補正手段から受けた突発的な変化のデータをもとに、前記ゆらぎ成分履歴記憶手段から読み出した前記ゆらぎ成分の履歴に対し補正を行うゆらぎ成分補正手段と、前記補正後の直流成分中の中性子成分およびガンマ線成分を、感度記憶手段から読み込んだ直流成分中性子感度および直流成分ガンマ線感度でそれぞれ除することにより、前記放射線検出手段に照射された中性子束とガンマ線束を求め、前記放射線検出手段に照射された中性子束とガンマ線束の比を算出する照射中性子束/ガンマ線束比算出手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0036】
また、本発明に係る原子炉炉心監視装置は、上述した課題を解決するために、請求項20に記載したように、あらかじめ、原子炉に挿設される放射線検出手段の、直流成分中性子感度のゆらぎ成分中性子感度に対する感度比を記憶しておく定数記憶手段と、前記放射線検出手段から出力される電気信号中の直流成分を測定する直流成分測定手段と、前記直流成分の測定値を履歴として記憶する直流成分履歴記憶手段と、この直流成分履歴記憶手段から前記直流成分測定値の履歴を読み出し、この履歴から前記直流成分測定値の突発的な変化を抽出し補正する直流成分補正手段と、前記電気信号中のゆらぎ成分を測定するゆらぎ成分測定手段と、前記ゆらぎ成分の測定値を履歴として記憶するゆらぎ成分履歴記憶手段と、前記直流成分補正手段から受けた突発的な変化のデータをもとに、前記ゆらぎ成分履歴記憶手段から読み出した前記ゆらぎ成分の履歴に対し補正を行うゆらぎ成分補正手段とを備えた中性子検出器の寿命判定装置を複数個並列設置し、前記寿命判定装置の設置個数は、前記放射線検出手段として起動領域中性子検出器を用いたものおよび局所出力領域モニタを用いたものが、それぞれ一個または複数個であり、前記起動領域中性子検出器側の寿命判定装置から受けた前記補正後のゆらぎ成分の履歴および前記局所出力領域モニタ側の寿命判定装置から受けた前記補正後のゆらぎ成分の履歴を監視し、原子炉の停止時においては前記起動領域中性子検出器の出力について、原子炉の起動時においては前記局所出力領域モニタの出力について、原子炉出力に対して線形になる前に異常を検知するオーバーラップ領域評価手段を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置およびその寿命判定方法ならびにこの寿命判定装置を用いた原子炉炉心監視装置は、中性子検出器ごとに実測値の履歴を利用することによって実用炉に挿設される中性子検出器の出力を正確に補正することができ、この補正した中性子検出器出力を用いて原子炉炉心監視性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置およびその寿命判定方法ならびに原子炉炉心監視装置の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0039】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第1実施形態を示す全体構成図である。
【0040】
寿命判定装置10は、演算手段11と、演算手段11に接続される記憶手段12とを備える。また、寿命判定装置10は、放射線検出手段としての局所出力領域モニタ(LPRM:Low Power Range Monitor)群21とマルチプレクサ22を介して接続される。また、寿命判定装置10は、炉心性能計算手段31と接続される。
【0041】
放射線検出手段としては、LPRMのほか、たとえば起動領域中性子検出器(SRNM:Start-up Region Neutron Monitor)など、核分裂を利用した中性子検出器を用いることができる。
【0042】
LPRM群21は、LPRM21a〜21dを備え、この各LPRMはそれぞれ図示しない高電圧電源と接続され、原子炉の炉心内中性子束を監視するために、原子炉の炉心内に配置される。このLPRM群21の各LPRMはそれぞれ、中性子束を検出して電気信号に変換し、この電気信号を、マルチプレクサ22を介して寿命判定装置10に与える機能を有する。また、図示しない高電圧電源は、寿命判定装置10と接続され、LPRM群21の各LPRMに対する印加電圧の値を、記憶手段12内の印加電圧履歴記憶手段12dに書き込む機能を有する。
【0043】
マルチプレクサ22は、LPRM群21のLPRM21a〜21dうち任意の一つのLPRMを選択し、選択したLPRMと寿命判定装置10とを電気的に接続する機能を有する。なお、マルチプレクサ22は、LPRM群21を構成するLPRMの数が1つの場合などは設けなくてもよい。
【0044】
演算手段11は、コンピュータにプログラムが読み込まれることにより、あるいは所要の回路により構成されて、直流成分測定手段11a、ゆらぎ成分測定手段11b、直流成分補正手段11c、ゆらぎ成分補正手段11d、検出器特性判定手段11eおよび核的寿命判定手段11fとして機能し、さらに記憶手段12と接続される。また、演算手段11は、記憶手段12内の各データを、必要に応じて読み込む機能を有する。
【0045】
記憶手段12は、コンピュータ読み取り可能であり、直流成分履歴記憶手段12a、ゆらぎ成分履歴記憶手段12b、積算中性子束履歴記憶手段12c、印加電圧履歴記憶手段12d、周波数特性履歴記憶手段12e、定数記憶手段12f、ガスμ記憶手段12gおよびガスμ補正用ゆらぎ成分履歴記憶手段12hを記録する機能を有する。
【0046】
次に、中性子検出器の寿命判定装置10の作用について説明する。
【0047】
LPRM群21のLPRM21a〜21dは、実用炉の炉心内に挿設される。
【0048】
中性子と中性子有感物質(U−235)との反応はランダムに起こり、統計的なゆらぎの成分をもつ。このため、中性子と中性子有感物質との反応を検出して電気信号に変換したものであるLPRMの出力も、統計的なゆらぎの成分をもつことになる。そこで、LPRM群21の各LPRMの出力を、出力の平均値である直流成分と、出力の時間的ゆらぎの2乗平均値であるゆらぎ成分とに分離して扱う。
【0049】
直流成分測定手段11aは、LPRM群21の各LPRMからマルチプレクサ22を介して電気信号を受けて、この電気信号中の直流成分値を測定する。続いて、直流成分測定手段11aは、この測定した直流成分値を、直流成分補正手段11cに与える。また、直流成分測定手段11aは、この直流成分値を、LPRM群21のLPRMごとに分類して、直流成分履歴記憶手段12aに記録または追記する。
【0050】
また、ゆらぎ成分測定手段11bは、LPRM群21の各LPRMからマルチプレクサ22を介して電気信号を受けて、この電気信号中のゆらぎ成分値を測定する。この測定は、一般に、キャンベル計測またはMSV(Mean Square Value)計測といわれる。続いて、ゆらぎ成分測定手段11bは、測定したゆらぎ成分値を、ゆらぎ成分補正手段11dに与える。また、ゆらぎ成分測定手段11bは、このゆらぎ成分値を、LPRM群21のLPRMごとに分類して、ゆらぎ成分履歴記憶手段12bに記録または追記する。
【0051】
この結果、直流成分履歴記憶手段12aおよびゆらぎ成分履歴記憶手段12bには、それぞれ、直流成分値およびゆらぎ成分値の履歴が作成される。
【0052】
直流成分測定手段11aによるLPRM出力の直流成分測定と、ゆらぎ成分測定手段11bによるLPRM出力のゆらぎ成分測定とは、図1に示すように、同時に接続し測定することが可能である。また、スイッチ等によって直流成分測定手段11aとゆらぎ成分測定手段11bとをつなぎ変えるなどして、交互に測定を行うよう構成してもよい。
【0053】
また、炉心性能計算手段31は、炉心性能計算を行って炉心内中性子束分布を算出し、この分布から各LPRMの挿設位置における中性子束を求め、この中性子束の値を積算して各LPRMに照射された積算中性子束の値を求める。続いて、炉心性能計算手段31は、この積算中性子束の値を、LPRM群21のLPRMごとに分類して、積算中性子束履歴記憶手段12cに記録または追記する。
【0054】
ここで、炉心性能計算とは、沸騰水型原子炉で一般的に行われている炉心性能計算を指し、具体的には、炉心内の中性子の挙動や熱水力挙動などの様々な物理現象をシミュレーションする数値計算のことをいう。
【0055】
また、図示しない高電圧電源は、LPRM群21の各LPRMに対する印加電圧の値を、LPRM群21のLPRMごとに分類して、印加電圧履歴記憶手段12dに記録または追記する。
【0056】
続いて、直流成分補正手段11cおよびゆらぎ成分補正手段11dの作用について説明する。
【0057】
図2は、LPRM群21の任意の一つのLPRMについて、このLPRMに照射された積算中性子束と、このLPRMの出力の直流成分値との関係を示す説明図である。
【0058】
一般に、図2に示すように、LPRM出力の直流成分は、中性子成分とガンマ線成分とに分けることができる。
【0059】
中性子成分は、LPRM出力のうち、LPRM内の中性子有感物質の核分裂の結果生じた核分裂生成物が、LPRM内のガスを電離することに由来する成分である。この中性子有感物質の核分裂は、中性子有感物質と中性子との反応に誘発されておこる。
【0060】
ガンマ線成分は、LPRMの出力のうち、炉心内のガンマ線によってLPRM内の構造材からはじき出された電子が、LPRM内のガスを電離することに主に由来する成分である。ガンマ線成分には、この他に、このはじき出された電子がガスを電離せず直接電流として寄与する成分、放射化によるベータ線が電流として寄与する成分、ガンマ線が直接LPRM内のガスを電離する成分など、中性子成分以外のLPRM出力をすべて含めるものとする。
【0061】
図3(a)は、ガスリークがあった場合の、LPRMに照射された積算中性子束と、このLPRMの出力の直流成分値との関係を示す説明図である。
【0062】
運転中の実用炉では、中性子検出器に照射される中性子束およびガンマ線の強度には、挿設位置依存性がある。
【0063】
また、各中性子検出器の、ガスリークなどによる特性値の変化は、炉心内挿設後に、個体ごとに様々に起こる。
【0064】
また、一般に、ある挿設位置での中性子とガンマ線の強度の比率変動による中性子検出器の出力変化は、制御棒操作などを行わなければ、ガスリークによる出力変化のような、突発的な変化ではなく、緩やかな変化である。
【0065】
従来の中性子検出器出力を監視する技術では、ある位置に挿設された中性子検出器の出力が変動した場合、この原因が、中性子検出器のガスリークによる突発的変動なのか、この中性子検出器の挿設位置における中性子束とガンマ線の強度比率変動なのか、区別することが困難である。この突発的な変動か否かは、測定値の履歴を監視することにより、判別することができる。
【0066】
そこで、測定値を記録して履歴を作成し、この測定値履歴を利用して、中性子検出器出力のガスリークによる変動を補正する。
【0067】
直流成分補正手段11cは、直流成分測定手段11aから直流成分値を、ゆらぎ成分補正手段11dからゆらぎ成分値から得られる直流成分値の補正に必要な情報を、それぞれ受ける機能を有し、直流成分履歴記憶手段12aからLPRM群21の各LPRM出力の直流成分値の履歴を、積算中性子束履歴記憶手段12cから各LPRMに照射された積算中性子束の値を、それぞれ読み込み、直流成分が突発的なシフトをした時点を、ガスリーク発生時点として抽出する。
【0068】
続いて、直流成分補正手段11cは、この直流成分のシフト量から、各LPRMのガス圧の変化量を求め、直流成分値の履歴を補正し、この補正後の直流成分値の履歴を、検出器特性判定手段11eに与える。続いて、直流成分補正手段11cは、直流成分値から得られるゆらぎ成分値の補正に必要な情報である、ガスリーク発生時点とこの時点における各LPRMのガス圧の変化量とを、ゆらぎ成分補正手段11dに与える。
【0069】
図3(b)は、LPRMに照射された積算中性子束と、このLPRM出力の補正後のゆらぎ成分値との関係を示す説明図である。
【0070】
ゆらぎ成分補正手段11dは、ゆらぎ成分測定手段11bからゆらぎ成分値を、直流成分補正手段11cから直流成分値から得られるゆらぎ成分値の補正に必要な情報を、それぞれ受ける機能を有し、ゆらぎ成分履歴記憶手段12bからLPRM群21の各LPRM出力のゆらぎ成分値の履歴を、積算中性子束履歴記憶手段12cから各LPRMに照射された積算中性子束の値を、それぞれ読み込む。
【0071】
また、ゆらぎ成分補正手段11dは、直流成分補正手段11cから受けたガスリーク発生時点と、この時点における各LPRMのガス圧の変化量とを用いて、ゆらぎ成分値の履歴を補正する。そして、ゆらぎ成分補正手段11dは、この補正後のゆらぎ成分値の履歴を、検出器特性判定手段11eに与える。
【0072】
以上の手順により、中性子検出器の寿命判定装置10は、中性子検出器の出力に対し、実用炉での実測値の履歴を用いて正確に補正を行うことができ、この履歴を監視することで、各中性子検出器のガスリークを容易に的確に検知することができる。
【0073】
また、ガスリーク以外の原因で中性子検出器出力に変動がおきた場合であっても、履歴の監視により変動を容易に検知でき、この変動に対して補正できる。
【0074】
なお、積算中性子束の値は、本実施形態においては、各測定値の履歴を評価するにあたり各測定値を区別するための指標としての役割しか持たない。この指標としての役割とは、具体的には、たとえば図2、図3(a)または図3(b)に示すような、中性子検出器の直流成分履歴およびゆらぎ成分履歴のグラフにおける、横軸としての役割である。このグラフの横軸として、測定時間を用いても、たとえばガスリークの発生時点の抽出を行うなどの履歴の評価をすることができる。また、測定間隔が一定であれば、測定回数を各履歴グラフの横軸にとる(測定値を測定順に横軸方向に対し等間隔にプロットする)ことでも、たとえばガスリークの発生時点の抽出を行うなどの履歴の評価をすることができる。したがって、本実施形態において、積算中性子束の値は、測定時間または測定回数に置き換えることが可能である。
【0075】
次に、核的寿命判定に必要な各LPRM出力の直流成分中の中性子成分とガンマ線成分を求める。
【0076】
まず、中性子検出器の中性子感度について説明する。
【0077】
中性子検出器の中性子感度とは、中性子検出器に照射される中性子束に対する中性子検出器出力中の中性子由来成分の大きさをいい、直流成分の中性子感度とゆらぎ成分の中性子感度に分けることができる。
【0078】
この直流成分の中性子感度とゆらぎ成分の中性子感度は、中性子有感物質の消耗以外に感度変化要因がない場合、ともに、中性子有感物質の残量のみに比例する。このため、直流成分中性子感度をゆらぎ成分中性子感度で除すると、定数(以下、定数Bという)を得ることができる。
【0079】
中性子検出器出力の中性子由来成分は、直流成分中の中性子成分と、ゆらぎ成分とに分けることができ、直流成分中の中性子成分は、直流成分中性子感度に対して中性子検出器に照射された中性子束を乗じたものである。
【0080】
ゆらぎ成分は、ほとんどガンマ線の影響を受けない性質を有する。このため、ゆらぎ成分は全て中性子に由来すると仮定する。この場合、ゆらぎ成分は、ゆらぎ成分中性子感度に対してこの中性子検出器に照射された中性子束を乗じたものである。
【0081】
この直流成分中の中性子成分と、ゆらぎ成分とは、ともに、中性子検出器に照射される中性子束のみに比例する。この比例定数が、それぞれ、直流成分中性子感度およびゆらぎ成分中性子感度である。このため、直流成分中の中性子成分をゆらぎ成分で除して得られる定数は、直流成分中性子感度をゆらぎ成分中性子感度で除したものと等しく、定数Bとなる。
【0082】
したがって、ゆらぎ成分に定数Bを乗ずることにより、直流成分中の中性子成分を求めることができる。
【0083】
この定数Bの評価方法として、次の3つの方法をあげることができる。
【0084】
第一の定数B評価方法(以下、定数B評価方法1という)は、中性子検出器の設計仕様から直流成分中性子感度のゆらぎ成分中性子感度に対する比(設計感度比)の値を求め、この設計感度比を定数Bとする方法である。
【0085】
図3(c)は、定数B評価方法1を適用した場合の、LPRMに照射された積算中性子束と、このLPRM出力の補正後の直流成分中の中性子成分およびガンマ線成分との関係を示す説明図である。
【0086】
補正後のゆらぎ成分値は、図3(b)に示すような減衰をする。この減衰の原因が中性子有感物質の消耗のみであると仮定すれば、中性子検出器出力のゆらぎ成分値に対して、直流成分中性子感度のゆらぎ成分中性子感度に対する比(定数B(設計感度比))を乗ずることで、中性子検出器出力の直流成分中の中性子成分値を得ることができる。
【0087】
まず、定数記憶手段12fに、あらかじめ、この中性子検出器の設計仕様によって定まる直流成分中性子感度のゆらぎ成分中性子感度に対する比を、LPRM群21のLPRMごとに分類して、定数Bとして記録しておく。
【0088】
また、定数記憶手段12fに、あらかじめ、核的寿命と判断すべき直流成分中の中性子成分に対する直流成分中のガンマ線成分の比(以下、核的寿命DCn/γ比という)を記録しておく。この、核的寿命DCn/γ比は、定数である。各中性子検出器の核的寿命終了は、中性子成分のガンマ線成分に対する比(以下、DCn/γ比という)が、核的寿命DCn/γ比以下になることによって、探知されることになる。この、DCn/γ比は、変数である。
【0089】
定数B評価方法1においては、検出器特性判定手段11eおよび核的寿命判定手段11fにより、次の手順で各LPRMの核的寿命判定を行う。
【0090】
検出器特性判定手段11eは、直流成分補正手段11cから補正後の直流成分値の履歴を、ゆらぎ成分補正手段11dから補正後のゆらぎ成分値の履歴をそれぞれ受ける機能を有し、あらかじめ定数記憶手段12fに記録されている定数Bを読み込み、ゆらぎ成分補正手段11dから受けた補正後のゆらぎ成分値の履歴に対し、この定数Bを乗ずることにより、直流成分中の中性子成分値を算出する。
【0091】
図3(c)に示すように、直流成分全体から中性子成分を除いた残りの成分は、ガンマ線成分である。検出器特性判定手段11eは、算出した直流成分中の中性子成分値と、直流成分補正手段11dから受けた補正後の直流成分値の履歴を相互比較することにより、直流成分中のガンマ線成分を算出する。この結果、検出器特性判定手段11eは、直流成分を、中性子成分とガンマ線成分に分離することができる。検出器特性判定手段11eは、この直流成分中の中性子成分とガンマ線成分を、核的寿命判定手段11fに与える。
【0092】
核的寿命判定手段11fは、検出器特性判定手段11eから直流成分中の中性子成分とガンマ線成分を受け、この中性子成分をガンマ線成分で除することにより、DCn/γ比を算出する。そして、核的寿命判定手段11fは、この比があらかじめ定数記憶手段12fに記録されている核的寿命DCn/γ比を下回った場合、LPRMが寿命を迎えたと判定する。
【0093】
以上の手順によって、中性子検出器の寿命判定装置10は、中性子検出器出力の履歴を監視して、正確に直流成分およびゆらぎ成分を補正でき、この正確に補正された直流成分およびゆらぎ成分を用いて、この直流成分を中性子成分とガンマ線成分とに分離する。したがって、寿命判定装置10によって分離される直流成分の中性子成分とガンマ線成分は、従来の手順により得られるものと比べ、正確であり、中性子検出器の核的寿命判定を行うことができる。
【0094】
また、この中性子検出器の寿命判定装置10は、中性子検出器出力の直流成分中の中性子成分とガンマ線成分を、中性子検出器を実用炉内の様々な挿設位置で駆動しながら、評価することができる。このため、中性子検出器出力に対する補正は、各中性子検出器の個体差を反映したものであり、かつ、各中性子検出器の温度、炉心内中性子束分布および炉心内ガンマ線束分布などの、実用炉の環境を反映したものである。
【0095】
次に、第二の定数B評価方法(以下、定数B評価方法2という)を説明する。
【0096】
定数B評価方法2では、設計で評価した、中性子検出器出力の直流成分中のガンマ線成分(以下、設計時ガンマ線成分という)を用いる。
【0097】
図4は、定数B評価方法2を適用した場合の、LPRMに照射された積算中性子束と、このLPRM出力の補正後の直流成分中の中性子成分およびガンマ線成分との関係を示す説明図である。
【0098】
まず、定数記憶手段12fに、あらかじめ、LPRM群21のLPRMごとに分類して、設計時ガンマ線成分を記録しておく。
【0099】
次に、LPRM群21のLPRM21a〜21dを実際に原子炉の炉心内に挿設した直後(初挿設時)において、直流成分測定手段11aは、各LPRM出力の直流成分を測定し、この測定値を直流成分補正手段11cに与える。
【0100】
また、ゆらぎ成分測定手段11bは、各LPRM出力のゆらぎ成分値を測定し、ゆらぎ成分補正手段11dに与える。
【0101】
次に、直流成分補正手段11cは、この初挿設時の直流成分値を直流成分測定手段11aから受け、検出器特性判定手段11eに与える。また、ゆらぎ成分補正手段11dは、ゆらぎ成分測定手段11bから受けた初挿設時のゆらぎ成分値を、検出器特性判定手段11eに与える。
【0102】
次に、検出器特性判定手段11eは、直流成分補正手段11cから受けた初挿設時直流成分値から、あらかじめ定数記憶手段12fに記録されている設計時ガンマ線成分値を引き、初挿設時におけるLPRM出力の直流成分中の中性子成分を算出する。検出器特性判定手段11eは、この初挿設時中性子成分値の、ゆらぎ成分補正手段11dから受けた初挿設時ゆらぎ成分値に対する比を算出する。
【0103】
次に、検出器特性判定手段11eは、この初挿設時ゆらぎ成分値に対する比を定数Bとして、LPRM群21のLPRMごとに分類して、定数記憶手段12fに記録しておく。
【0104】
定数B評価方法2においては、検出器特性判定手段11eおよび核的寿命判定手段11fにより、この定数Bを用いて、定数B評価方法1と同様の手順で、炉心内に挿設されたLPRM出力の直流成分中の中性子成分を求め、各LPRMの核的寿命判定を行う。
【0105】
定数B評価方法2を適用する場合、中性子検出器の寿命判定装置10は、実際に原子炉に挿設してから算出した定数Bを用いる。このため、設計感度比を定数Bとして用いる定数B評価方法1に比べ、各中性子検出器について、さらに正確な直流成分中の中性子成分を求めることができ、精度の高い核的寿命判定を行うことができる。
【0106】
次に、第三の定数B評価方法(以下、定数B評価方法3という)を説明する。
【0107】
定数B評価方法3では、中性子有感物質を塗布しない中性子検出器を利用する。
【0108】
まず、実用炉に挿設する通常のLPRMを用意する。また、このLPRMと同一の形状で、検出器内に中性子有感物質を塗布しない、比較用のLPRMを用意する。この通常のLPRMと比較用のLPRMとを、実験炉内に挿設し、同一照射条件下で両者の出力の直流成分およびゆらぎ成分を測定する。通常のLPRMの出力の直流成分は中性子成分とガンマ線成分の合計値である一方、比較用のLPRMの出力の直流成分はガンマ線成分のみとなる。このため、両者の直流成分の比較から、LPRM出力の直流成分中の中性子成分を求めることができる。
【0109】
実験炉で測定した、このLPRM出力の直流成分中の中性子成分とゆらぎ成分との比を、定数Bとして、LPRM群21のLPRMごとに分類して、あらかじめ定数記憶手段12fに記録しておく。
【0110】
定数B評価方法3においては、検出器特性判定手段11eおよび核的寿命判定手段11fにより、この定数Bを用いて、定数B評価方法1と同様の手順で、炉心内に挿設されたLPRM出力の直流成分中の中性子成分を求め、各LPRMの核的寿命判定を行う。
【0111】
定数B評価方法3を適用する場合、中性子検出器の寿命判定装置10は、中性子検出器を実験炉に挿設して実測したガンマ線成分を用いて算出した定数Bを用いる。このため、設計感度比を用いる定数B評価方法1に比べ、より各中性子検出器の個体差を反映させた定数Bを用いることができる。このため、さらに正確な直流成分中の中性子成分を求めることができ、精度の高い核的寿命判定を行うことができる。
【0112】
定数B評価方法1、定数B評価方法2および3で評価した定数Bは、中性子検出器の駆動中に変化する可能性がある。これは、主に中性子検出器出力のゆらぎ成分が、中性子検出器の駆動中に変化しやすいことが原因である。
【0113】
中性子検出器出力のゆらぎ成分の補正方法として、次の4つをあげることができる。
【0114】
第一のゆらぎ成分の補正方法(以下、ゆらぎ成分補正方法1という)は、中性子検出器内に封入された電離性ガスの電子移動度の変動が原因で起こる、ゆらぎ成分の変化を、補正する方法である。
【0115】
図5(a)は、LPRM出力のゆらぎ成分の、LPRM印加電圧特性を示す説明図である。
【0116】
中性子検出器内の電離性ガスの電子移動度は、この電離性ガスについて圧力、成分、温度などに変化が起こると、変化する。このガスの電子移動度の変化が起こると、中性子検出器出力のゆらぎ成分が変化する。このため、ゆらぎ成分の印加電圧特性は、ガスの電子移動度の変化に応じて変化する。
【0117】
図5(b)は、実際に実用炉に挿設された中性子検出器に対して、通常の測定時に印加する電圧(以下、駆動電圧Vという)における、ゆらぎ成分の印加電圧特性曲線の傾きが、図5(a)と比較して増加した場合の、ゆらぎ成分のLPRM印加電圧特性を示す説明図である。一般に、駆動電圧Vとして約100V程度の電圧が印加される。
【0118】
駆動電圧V付近において、ゆらぎ成分の印加電圧に対する傾きと、ガスの電子移動度とは、相関がある。ゆらぎ成分補正方法1では、この相関関係を利用して、ガスの電子移動度の変化が原因である場合のゆらぎ成分の変化に対する補正を行う。
【0119】
あらかじめ、駆動電圧V付近におけるゆらぎ成分の印加電圧特性曲線の傾きと、ガスの電子移動度との相関関係を得ておく。この相関関係は、中性子検出器固有であり、中性子検出器の挿設環境に依存しない。したがって、たとえば実験炉での駆動中に測定するなどして、この相関関係を得ておけばよい。この相関関係を、二次元配列データとして、ガスμ記憶手段12gに記録しておく。
【0120】
また、あらかじめ、補正するための基準とする時(評価基準時)に、ゆらぎ成分の印加電圧特性を測定しておく。この特性曲線の駆動電圧Vにおける傾きから評価できるガスの電子移動度を、評価基準時のガスの電子移動度として、定数記憶手段12fに記録しておく。評価基準時の測定としては、たとえば、実験炉での測定、初挿設時の測定または直近の測定などが挙げられる。
【0121】
このガスの電子移動度は、次の手順で評価する。
【0122】
まず、LPRM群21のLPRM21a〜21dに対して、図示しない高電圧電源から、駆動電圧V付近の任意の電圧を印加する。
【0123】
次に、ゆらぎ成分測定手段11bは、この各LPRMの出力のゆらぎ成分を測定し、このガスの電子移動度変化に対する補正用のゆらぎ成分値を、LPRM群21のLPRMごとに分類して、ガスμ補正用ゆらぎ成分履歴記憶手段12hに記録する。ただし、この記録は、ガスμ補正用ゆらぎ成分履歴記憶手段12hに一つ以上の、ガスの電子移動度変化に対する補正用のゆらぎ成分値が記録されている場合は、追記による記録とする。
【0124】
また、図示しない高電圧電源は、LPRM群21の各LPRMに対する印加電圧の値を、LPRM群21のLPRMごとに分類して、印加電圧履歴記憶手段12dに記録する。ただし、この記録は、印加電圧履歴記憶手段12dに一つ以上の印加電圧値が記録されている場合は、追記による記録とする。
【0125】
ここまでの手順を、LPRM群21の各LPRMに対する印加電圧を駆動電圧Vの前後に挿引し、ゆらぎ成分の印加電圧特性曲線から駆動電圧V付近の曲線の傾きを求めるために必要なデータが集まるまで、繰り返す。
【0126】
次に、ゆらぎ成分補正手段11dは、ガスμ補正用ゆらぎ成分履歴記憶手段12hからLPRM群21の各LPRM出力のガスの電子移動度変化に対する補正用のゆらぎ成分値の履歴を、印加電圧履歴記憶手段12dから各LPRMに印加された電圧の履歴を、それぞれ読み込む。続いて、ゆらぎ成分補正手段11dは、駆動電圧Vにおける、ゆらぎ成分の印加電圧特性曲線の傾きを算出する。
【0127】
そして、ゆらぎ成分補正手段11dは、ガスμ記憶手段12gから、この算出した傾きに対応するガスの電子移動度を取得するために、相関関係の二次元配列データを検索し、対応するガスの電子移動度を取得する。
【0128】
以上の手順により、ガスの電子移動度を評価することができる。
【0129】
評価基準時には、このガスの電子移動度を、定数記憶手段12fに、評価基準時のガスの電子移動度として記録しておく。
【0130】
次に、ガスの電子移動度の変化の比率を用いて、ゆらぎ成分を補正する。
【0131】
ゆらぎ成分補正手段11dは、あらかじめ定数記憶手段12fに記録されている評価基準時のガスの電子移動度を読み込み、現測定で得たガスの電子移動度との比を算出する。
【0132】
続いて、ゆらぎ成分補正手段11dは、ガスμ補正用ゆらぎ成分履歴記憶手段12hからゆらぎ成分値の履歴を読み込み、この算出した比を用いて、ゆらぎ成分値の履歴を補正する。そして、ゆらぎ成分補正手段11dは、この補正したゆらぎ成分値の履歴を、検出器特性判定手段11eに与える。
【0133】
ゆらぎ成分補正方法1においては、検出器特性判定手段11eおよび核的寿命判定手段11fにより、このガスの電子移動度変化に対する補正後のゆらぎ成分値の履歴を用いて、定数B評価方法1と同様の手順で、LPRM出力の直流成分中の中性子成分を求め、各LPRMの核的寿命判定を行う。
【0134】
ゆらぎ成分補正方法1を適用する場合、中性子検出器の寿命判定装置10は、中性子検出器内に封入された電離性ガスの電子移動度の変化が原因で起こる、ゆらぎ成分の変化に対する補正を行うことができる。このため、中性子検出器内のガスの圧力、成分、温度等が変化しても、正確な直流成分中の中性子成分を求めることができ、精度の高い核的寿命判定を行うことができる。
【0135】
なお、ゆらぎ成分補正方法1を適用する場合、ゆらぎ成分補正手段11dは、算出したゆらぎ成分の印加電圧特性曲線の駆動電圧における傾きと、この傾きの初挿設時の値との比を、検出器特性判定手段11eに与えてもよい。
【0136】
この場合、ゆらぎ成分補正手段11dは、ゆらぎ成分履歴記憶手段12bからゆらぎ成分値の履歴を読み込んで、この履歴に対してガスの電子移動度変化に対する補正を行わずに、検出器特性判定手段11eに与える。検出器特性判定手段11eは、ゆらぎ成分補正手段11dから受けた比を用いて、あらかじめ定数記憶手段12fに記録されている定数Bの値を補正する。検出器特性判定手段11eは、この補正後の定数Bを、ゆらぎ成分値の履歴に乗ずることにより、直流成分中の中性子成分を求めることができる。
【0137】
つまり、ゆらぎ成分補正手段11dでゆらぎ成分値の履歴を補正する変わりに、検出器特性判定手段11eで定数Bを補正する。ゆらぎ成分値の履歴の補正と定数Bの補正とは、手順は異なるが、同一の傾きの比を利用しているため、原理は全く同じであり、得られる直流成分中の中性子成分の値も同じである。
【0138】
次に、第二のゆらぎ成分の補正方法(以下、ゆらぎ成分補正方法2という)について説明する。
【0139】
ゆらぎ成分補正方法2は、誘導ノイズが原因で起こるゆらぎ成分の誤差を補正する方法である。
【0140】
図6は、中性子検出器出力に誘導ノイズが混入した場合の、LPRM出力のゆらぎ成分のLPRM印加電圧特性を示す説明図である。
【0141】
中性子検出器出力のゆらぎ成分の印加電圧特性は、通常は図5のような曲線となる。しかし、中性子検出器の出力に対して外来ノイズが誘導されると、このゆらぎ成分の印加電圧特性は、図6に示すような曲線となる。特にLPRM出力は、通常、LPRMと測定系とが別々に接地された、いわゆる2点接地の状態で測定されており、ノイズを誘導しやすい。この誘導ノイズが混入すると、中性子検出器出力のゆらぎ成分値に、ノイズ成分の値が足されてしまう。この結果、直流成分とゆらぎ成分の比率である定数Bが変化する。
【0142】
ゆらぎ成分補正方法2では、印加電圧0Vにおけるゆらぎ成分の値を、印加電圧に対して一定なノイズ成分としてあつかう。このノイズ成分の値を、ゆらぎ成分の値から差し引く。この結果、ノイズの影響を取り除いたゆらぎ成分を得ることができる。
【0143】
まず、LPRM群21のLPRM21a〜21dに対する、図示しない高電圧電源からの印加電圧を、0Vにする。
【0144】
次に、ゆらぎ成分測定手段11bは、この各LPRMの出力のゆらぎ成分を測定し、この印加電圧0Vにおけるゆらぎ成分値を、ノイズ成分値として、LPRMごとに分類して、定数記憶手段12fに記録する。
【0145】
ゆらぎ成分補正方法2では、このノイズ成分値を用いて、ゆらぎ成分値履歴の補正を行う。
【0146】
ゆらぎ成分補正手段11dは、ゆらぎ成分履歴記憶手段12bからゆらぎ成分値の履歴を、定数記憶手段12fからノイズ成分値を、それぞれ読み出して、ゆらぎ成分値からノイズ成分値を差し引き、ノイズ除去補正後のゆらぎ成分値を求める。そして、ゆらぎ成分補正手段11dは、このノイズ除去補正後のゆらぎ成分値の履歴を、検出器特性判定手段11eに与える。
【0147】
ゆらぎ成分補正方法2においては、検出器特性判定手段11eおよび核的寿命判定手段11fにより、このノイズ除去補正後のゆらぎ成分値の履歴を用いて、定数B評価方法1と同様の手順で、LPRM出力の直流成分中の中性子成分を求め、各LPRMの核的寿命判定を行う。
【0148】
ゆらぎ成分補正方法2を適用する場合、中性子検出器の寿命判定装置10は、中性子検出器出力信号中の誘導ノイズを除去することができる。このため、中性子検出器と測定系とが別々に接地された、いわゆる2点接地の状態で使用するなど、中性子検出器出力のゆらぎ成分値に誘導ノイズが混入しやすい場合でも、ゆらぎ成分値からこの誘導ノイズを除去することができる。したがって、正確な直流成分中の中性子成分を求めることができ、精度の高い核的寿命判定を行うことができる。
【0149】
次に、第三のゆらぎ成分の補正方法(以下、ゆらぎ成分補正方法3という)について説明する。
【0150】
ゆらぎ成分補正方法3は、ゆらぎ成分の中性子感度の変化が原因で起こるゆらぎ成分の変化を、補正する方法である。
【0151】
図7(a)は、LPRM出力のゆらぎ成分の周波数特性を示す説明図である。
【0152】
中性子検出器出力のゆらぎ成分は、図7(a)に示すような周波数特性をもつ。この周波数特性は、中性子検出器の出力パルスの形状を反映したものである。中性子検出器の出力パルスの形状は、中性子検出器のゆらぎ成分中性子感度を反映したものである。ゆらぎ成分中性子感度が高ければ、出力パルスの形状は鋭くなり、図7(b)に示すように、高周波成分が多く現れる。
【0153】
そこで、ゆらぎ成分補正方法3では、中性子検出器出力のゆらぎ成分の周波数特性を測定し、この周波数特性のスペクトル解析によってパルス形状の変動を推定する。この推定結果から、中性子検出器のゆらぎ成分中性子感度の変化量を推定し、この推定した変化量を用いてゆらぎ成分値を補正する。
【0154】
あらかじめ、補正するための基準とする時(評価基準時)にゆらぎ成分の測定を行い、ゆらぎ成分の周波数特性を評価しておく。この評価基準時の測定として、たとえば、実験炉での測定、初挿設時の測定または直近の測定などが挙げられる。
【0155】
実用炉挿設前を評価基準時に選ぶ場合は、ゆらぎ成分補正手段11dは、評価基準時の測定の際に、ゆらぎ成分の周波数特性を、LPRMごとに、あらかじめ周波数特性履歴記憶手段12eに記録しておく。ただし、この記録は、周波数特性履歴記憶手段12eに一つ以上の周波数特性が記録されている場合は、追記による記録とする。
【0156】
また、実用炉挿設後を評価基準時に選ぶ場合は、ゆらぎ成分補正手段11dは、実用炉挿設後の各測定時に、ゆらぎ成分の周波数特性を、LPRMごとに、周波数特性履歴記憶手段12eに記録しておけばよい。ただし、この記録は、周波数特性履歴記憶手段12eに一つ以上の周波数特性が記録されている場合は、追記による記録とする。
【0157】
まず、ゆらぎ成分測定手段11bは、LPRM群21のLPRM21a〜21dの出力を、マルチプレクサ22を介して受けて、各LPRM出力のゆらぎ成分を測定する。続いて、ゆらぎ成分測定手段11bは、このゆらぎ成分値を、LPRMごとに分類して、ゆらぎ成分履歴記憶手段12bに記録する。ただし、この記録は、ゆらぎ成分履歴記憶手段12bに一つ以上のゆらぎ成分値が記録されている場合は、追記による記録とする。
【0158】
また、ゆらぎ成分測定手段11bは、この測定したゆらぎ成分を、ゆらぎ成分補正手段11dに与える。
【0159】
次に、ゆらぎ成分補正手段11dは、ゆらぎ成分測定手段11bから受けたゆらぎ成分の、周波数特性を評価する。続いて、ゆらぎ成分補正手段11dは、周波数特性履歴記憶手段12eから、評価基準時に得たゆらぎ成分の周波数特性を読み込み、それぞれのスペクトル解析結果を比較して、ゆらぎ成分中性子感度の相対的な変化比率を算出する。
【0160】
続いて、ゆらぎ成分補正手段11dは、ゆらぎ成分履歴記憶手段12bからゆらぎ成分値の履歴を読み込む。ゆらぎ成分補正手段11dは、このゆらぎ成分値履歴を、ゆらぎ成分の周波数特性変化から得た、ゆらぎ成分中性子感度の相対的な変化比率で除することにより、ゆらぎ成分中性子感度の変化によるゆらぎ成分値の変化を補正する。続いて、ゆらぎ成分補正手段11dは、この補正したゆらぎ成分値の履歴を、検出器特性判定手段11eに与える。
【0161】
ゆらぎ成分補正方法3においては、検出器特性判定手段11eおよび核的寿命判定手段11fにより、このゆらぎ成分中性子感度変化に対する補正後のゆらぎ成分値の履歴を用いて、定数B評価方法1と同様の手順で、LPRM出力の直流成分中の中性子成分を求め、各LPRMの核的寿命判定を行う。
【0162】
ゆらぎ成分補正方法3を適用する場合、中性子検出器の寿命判定装置10は、たとえば中性子検出器内に封入された電離性ガスの電子移動度の変化など原因で起こる、ゆらぎ成分中性子感度の変化に対する補正を行うことができる。このため、中性子検出器内のガスの圧力、成分、温度等が変化しても、正確な直流成分中の中性子成分を求めることができ、精度の高い核的寿命判定を行うことができる。
【0163】
次に、第四のゆらぎ成分の補正方法(以下、ゆらぎ成分補正方法4という)について説明する。
【0164】
ゆらぎ成分補正方法4は、ケーブルによるゆらぎ成分の減衰を、補正する方法である。
【0165】
中性子検出器出力のゆらぎ成分は、中性子検出器と測定系をつなぐケーブルの長さに応じて減衰する。このケーブル長に応じたゆらぎ成分の減衰は、測定誤差の原因となる。
【0166】
図8(a)は、ケーブルによるゆらぎ成分の減衰量を評価する手順を示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップである。
【0167】
まず、ステップS1において、寿命判定装置10から対象LPRMに向かうように、ケーブルに対してパルスを印加する。
【0168】
また、ステップS2において、原子力プラントのケーブル敷設データベースから、寿命判定装置10と対象LPRMをつなぐケーブルについて、長さ、コネクタ等の有無などの敷設データを取得する。
【0169】
次に、ステップS3において、ステップS1で印加したパルスの反射波から、対象LPRMまでのケーブル長を算出する。
【0170】
また、原子力プラントのケーブル敷設データベースを用いて対象LPRMまでのケーブル長を求めてもよい。この場合は、ステップS3において、ステップS2で取得したケーブルの敷設データから、寿命判定装置10から対象LPRMまでのケーブル長を求める。
【0171】
図8(b)は、敷設ケーブルの周波数と減衰率の関係をあらわす信号減衰データを示す説明図である。
【0172】
ステップS4において、ステップS3で求めた寿命判定装置10と対象LPRMをつなぐケーブルの長さを用い、図8(b)に示すようなケーブルの信号減衰データを参照して、ケーブルによるゆらぎ成分の減衰を評価する。
【0173】
次に、ステップS5において、ステップS2で取得したケーブルの敷設データから、寿命判定装置10から対象LPRMまでのケーブルにコネクタ等が使用されているか調べる。
【0174】
次に、ステップS6において、ステップS5で調べたコネクタ等の情報を用い、コネクタ等によるゆらぎ成分の減衰を評価する。
【0175】
次に、ステップS7において、ステップS4およびステップS6で評価したゆらぎ成分の減衰を足し合わせて、寿命判定装置10と対象LPRMの間に敷設されたケーブルおよびコネクタ等による、ゆらぎ成分の全減衰量を算出する。
【0176】
そして、ステップS8において、このケーブルによるゆらぎ成分の全減衰量を、ゆらぎ成分補正手段11dに与える。
【0177】
以上の手順によって、ケーブルによるゆらぎ成分の減衰に対する補正を行うために必要なデータを、ゆらぎ成分補正手段11dに与えることができる。
【0178】
ゆらぎ成分補正手段11dは、このケーブルによるゆらぎ成分の全減衰量を用いて、ゆらぎ成分値履歴の補正を行う。
【0179】
ゆらぎ成分補正方法4においては、検出器特性判定手段11eおよび核的寿命判定手段11fにより、このケーブルによるゆらぎ成分の減衰に対する補正後のゆらぎ成分値の履歴を用いて、定数B評価方法1と同様の手順で、LPRM出力の直流成分中の中性子成分を求め、各LPRMの核的寿命判定を行う。
【0180】
ゆらぎ成分補正方法4を適用する場合、中性子検出器の寿命判定装置10は、中性子検出器と測定系の間に敷設されたケーブルおよびコネクタ等による、ゆらぎ成分の減衰に対する補正を行うことができる。このため、中性子検出器の挿設位置にかかわらず、ケーブルによる減衰を補正したゆらぎ成分を求めることができる。したがって、正確な直流成分中の中性子成分を求めることができ、精度の高い核的寿命判定を行うことができる。
【0181】
なお、本実施形態において、定数B評価方法1、定数B評価方法2および定数B評価方法3ならびにゆらぎ成分補正方法1、ゆらぎ成分補正方法2、ゆらぎ成分補正方法3およびゆらぎ成分補正方法4を、それぞれ任意に組み合わせて適用してもかまわない。
【0182】
[第2実施形態]
図9は、本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第2実施形態を示す全体構成図である。
【0183】
この実施形態に示された寿命判定装置10Aは、中性子検出器出力の時間応答が監視できるようにしたものであり、寿命判定装置10に経過時間提供手段33を接続し、寿命判定装置10の記憶手段12にさらに経過時間履歴記憶手段12iを記録するものである。第1実施形態に示された寿命判定装置10と同じ構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0184】
制御棒操作情報取得手段32は、コンピュータにプログラムが読み込まれることにより構築することができ、あるいは所要の回路により構成することができ、経過時間提供手段33と接続される
経過時間提供手段33は、コンピュータにプログラムが読み込まれることにより、あるいは所要の回路により構成され、寿命判定装置10Aと接続される。
【0185】
制御棒操作情報取得手段32は、制御棒を操作した際、この操作が行われた時刻を取得する機能を有する。また、制御棒操作情報取得手段32は、この操作時点の情報を、経過時間提供手段33に与える機能を有する。
【0186】
経過時間提供手段33は、制御棒操作情報取得手段32から制御棒の操作時刻の情報を受け、制御棒の操作時から経過した時間(以下、経過時間という)を求める機能を有する。また、経過時間提供手段33は、この経過時間を、経過時間履歴記憶手段12iに書き込む機能を有する。
【0187】
次に、中性子検出器の寿命判定装置10Aの作用について説明する。
【0188】
まず、本実施形態において寿命判定を行うにあたり必要となる、直流成分の即発成分と遅発成分について説明する。
【0189】
図10(a)は、LPRM出力の直流成分およびゆらぎ成分の時間応答を相対比較して示す説明図である。直流成分値とゆらぎ成分値はスケールが異なるため、一つのグラフにプロットして相対比較できるように、図10(a)では、直流成分値またはゆらぎ成分値を適当に拡大縮小している。
【0190】
図10(a)に示すように、ゆらぎ成分は、ほぼ全て中性子に由来するため、制御棒操作後数秒で一定値に達する。
【0191】
一方、直流成分は、中性子成分のほかにガンマ線成分を含む。ガンマ線成分は、即発ガンマ線に由来する成分と、遅発ガンマ線に由来する成分に分けることができる。
【0192】
直流成分は、制御棒操作後に中性子成分と即発ガンマ線成分が一定値に達した後も、遅発ガンマ線成分の影響によって、数分から数十分の範囲でゆっくりと増加する。このため、直流成分の時間応答は図10(a)に示すような曲線となる。
【0193】
そこで、直流成分を、中性子成分と即発ガンマ線成分の合計(以下、即発成分という)と、遅発ガンマ線成分(以下、遅発成分という)に分けて考える。
【0194】
ゆらぎ成分が一定値に達する経過時間において直流成分を測定すれば、直流成分の即発成分値を得ることができる。また、この経過時間から数分後に測定して得られる直流成分値からこの即発成分値を引くことで、遅発成分値を得ることができる。
【0195】
直流成分中の遅発成分を監視することで、図10(b)に示すような直流成分の履歴を得ることができる。
【0196】
本実施形態では、中性子検出器の寿命判定を行うにあたって、この直流成分全体に対する遅発成分の比(以下、遅発成分比という)を用いる。
【0197】
まず、定数記憶手段12fに、寿命と判断すべき直流成分全体に対する遅発成分の比の値(以下、寿命遅発成分比という)を、あらかじめ記録しておく。
【0198】
制御棒操作情報取得手段32は、制御棒の操作状況を監視し、制御棒が操作された際には、この操作が行われた時刻(以下、制御棒操作時刻という)を取得する。続いて、制御棒操作情報取得手段32は、この取得した制御棒操作時刻の情報を、経過時間提供手段33に与える。
【0199】
次に、経過時間提供手段33は、LPRM群21の各LPRM出力を測定するごとに測定時刻を計測し、制御棒操作情報取得手段32から受けた制御棒操作時刻から起算した、経過時間を算出する。続いて、経過時間提供手段33は、この経過時間を、LPRM群21のLPRMごとに分類して、経過時間履歴記憶手段12iに記録する。ただし、この記録は、経過時間履歴記憶手段12iに一つ以上の経過時間が記録されている場合は、追記による記録とする。
【0200】
直流成分補正手段11cは、直流成分履歴記憶手段12aからLPRM群21の各LPRM出力の直流成分値の履歴を、経過時間履歴記憶手段12iから経過時間を、それぞれ読み込む。続いて、直流成分補正手段11cは、直流成分履歴を、経過時間と直流成分値の二次元配列データとして、検出器特性判定手段11eに与える。
【0201】
また、ゆらぎ成分補正手段11dは、ゆらぎ成分履歴記憶手段12bからLPRM群21の各LPRM出力のゆらぎ成分値の履歴を、経過時間履歴記憶手段12iから経過時間を、それぞれ読み込む。続いて、ゆらぎ成分補正手段11dは、ゆらぎ成分履歴を、経過時間とゆらぎ成分値の二次元配列データとして、検出器特性判定手段11eに与える。
【0202】
次に、検出器特性判定手段11eは、ゆらぎ成分補正手段11dから受けたゆらぎ成分値の履歴から、ゆらぎ成分値が一定となる経過時間を評価する。続いて、検出器特性判定手段11eは、直流成分補正手段11cから受けた直流成分値の履歴から、この経過時間における直流成分値である即発成分値と、この経過時間から数分後における直流成分値を求める。続いて、検出器特性判定手段11eは、この経過時間から数分後における直流成分値から即発成分値を引くことにより遅発成分値を算出する。続いて、検出器特性判定手段11eは、この直流成分の即発成分と遅発成分を、核的寿命判定手段11fに与える。
【0203】
続いて核的寿命判定手段11fは、検出器特性判定手段11eから直流成分の即発成分と遅発成分を受け、両者の合計を遅発成分で除することによって遅発成分比を求める。そして、核的寿命判定手段11fは、この比をあらかじめ定数記憶手段12fに記録されている寿命遅発成分比と比較し、寿命遅発成分比を下回った場合、LPRMが寿命を迎えたと判定する。
【0204】
以上の手順によって、中性子検出器出力の直流成分中の中性子成分、即発ガンマ線成分および遅発ガンマ線成分を比較し、中性子検出器の核的寿命判定を行うことができる。
【0205】
この中性子検出器の寿命判定装置10Aによれば、中性子検出器出力の直流成分を、即発成分(中性子成分および即発ガンマ線成分)と遅発成分(遅発ガンマ線成分)に区別して測定することが可能である。このため、中性子検出器の寿命を、即発成分と遅発成分の比から判定することができる。
【0206】
したがって、この寿命判定装置10Aによれば、各中性子検出器について、遅発ガンマ線を考慮した、正確で精度の高い核的寿命判定を行うことができる。
【0207】
[第3実施形態]
図11は、本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第3実施形態を示す全体構成図である。
【0208】
この実施形態に示された寿命判定装置10Bは、中性子検出器の核的寿命および構造的寿命を判定することにより、中性子検出器の交換時期が監視できるようにしたものである。この寿命判定装置10Bは、炉心性能計算手段31の寿命判定装置10に与えるデータ、および演算手段11が、第1実施形態に示された寿命判定装置10と異なる。他の構成および作用については寿命判定装置10と異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0209】
なお、LPRM群21のケースの溶接部が構造的寿命を迎えた場合、LPRM群21のケースのみの交換が可能な場合はケースのみを交換してもよいし、LPRM群21の各LPRMをふくめて、LPRM群21に係る機器の全てを交換してもよい。本実施形態においては、LPRM群21のケースの構造的寿命は、各LPRMの構造的寿命と同視するものとする。
【0210】
中性子検出器の寿命判定装置10Bの演算手段11は、直流成分測定手段11a、ゆらぎ成分測定手段11b、直流成分補正手段11c、ゆらぎ成分補正手段11d、検出器特性判定手段11e、核的寿命判定手段11f、検出器照射量評価手段11g、構造的寿命判定手段11hおよび検出器寿命判定手段11iとして機能し、さらに記憶手段12と接続される。
【0211】
記憶手段12は、コンピュータ読み取り可能であり、直流成分履歴記憶手段12a、ゆらぎ成分履歴記憶手段12b、積算中性子束履歴記憶手段12c、印加電圧履歴記憶手段12d、周波数特性履歴記憶手段12e、定数記憶手段12f、ガスμ記憶手段12g、ガスμ補正用ゆらぎ成分履歴記憶手段12hおよび次回定検時燃料交換計画記憶手段12jを記録する機能を有する。
【0212】
次回定検時燃料交換計画記憶手段12jには、次回の定期検査に行われる燃料交換のデータが記録される。
【0213】
炉心性能計算手段31は、炉心性能計算を行うことによって現在の炉心内中性子束分布を算出し、この分布から各LPRMの挿設位置における現在の照射中性子束を求め、この中性子束を検出器照射量評価手段11gに与える。また、炉心性能計算手段31は、この中性子束を積算して各LPRMに照射された積算中性子束の値を求め、この積算中性子束の値を記憶手段12内の積算中性子束履歴記憶手段12cに書き込む機能を有する。
【0214】
ここで、現在とは、測定が行われる一時点を表すものとする。また、本実施形態において、中性子束とは、熱中性子束をいう。
【0215】
検出器特性判定手段11eは、直流成分補正手段11cから受けた補正後の直流成分値、ゆらぎ成分補正手段11dから受けた補正後のゆらぎ成分値および定数記憶手段12fから読み込んだ定数を利用して、LPRM群21の各LPRMについて、出力電気信号の直流成分中の中性子成分とガンマ線成分を、分離する機能を有する。また、検出器特性判定手段11eは、この中性子成分とガンマ線成分を核的寿命判定手段11fに、中性子成分を検出器照射量判定手段11gに、それぞれ与える機能を有する。
【0216】
核的寿命判定手段11fは、検出器特性判定手段11eから受けた直流成分中の中性子成分とガンマ線成分と、定数記憶手段12fから読み込んだ定数とを用いて、各LPRMの核的寿命の判定を行う機能を有する。また、核的寿命判定手段11fは、この核的寿命の判定結果を、検出器寿命判定手段11iに与える機能を有する。
【0217】
検出器照射量判定手段11gは、検出器特性判定手段11eから受けた直流成分中の中性子成分を、炉心性能計算手段31から受けた各LPRMの挿設位置における現在の照射中性子束で除することにより、各LPRMの直流成分中性子感度を求める機能を有する。また、検出器照射量判定手段11gは、この直流成分中性子感度の、あらかじめ定数記憶手段12fに記録されている初挿設時の値からの変化量から、各LPRMに対して照射された積算中性子束を求める機能を有する。
【0218】
また、検出器照射量判定手段11gは、この積算中性子束から、各LPRMに対する高速中性子の積算照射量を推定し、LPRM21a〜21dが格納されているLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量を求める機能を有する。そして、検出器照射量判定手段11gは、この溶接部に対する高速中性子の積算照射量を、構造的寿命判定手段11hに与える機能を有する。
【0219】
構造的寿命判定手段11hは、検出器照射量判定手段11gから受けたLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量と、定数記憶手段12fから読み込んだ構造的寿命判定を行う際の基準となるLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量(以下、構造的寿命照射量という)とを比較して、各LPRMの構造的寿命の判定を行う機能を有する。また、構造的寿命判定手段11hは、この構造的寿命の判定結果を、検出器寿命判定装置11iに与える機能を有する。
【0220】
次に、検出器寿命判定装置11iについて説明する。
【0221】
図12は、図11に示した中性子検出器の寿命判定装置10Bの検出器寿命判定装置11iの構成を示す図である。
【0222】
検出器寿命判定手段11iは、次回定検照射量評価手段11i1、次回定検寿命判定手段11i2、次々回定検照射量評価手段11i3、次々回定検寿命判定手段11i4および交換検出器提示手段11i5として機能する。核的寿命判定手段11fから各LPRMの核的寿命判定結果を、構造的寿命判定手段11hから各LPRMの構造的寿命判定結果を、それぞれ受けて、これらの結果からLPRMの寿命を判定する。
【0223】
次回定検照射量評価手段11i1は、現在の炉心内中性子束分布を炉心性能計算手段31から受けて、現在から次回の定期検査までの間に各LPRMに対して照射される中性子束を予測することにより、次回の定期検査開始時における各LPRMに対する積算中性子束を予測する機能を有する。
【0224】
次回定検寿命判定手段11i2は、核的寿命判定手段11fから受けた現在のDCn/γ比を、次回の定期検査開始時における各LPRMに対する予測積算中性子束で補正し、次回定期検査開始時における各LPRMのDCn/γ比を予測する機能を有する。この予測DCn/γ比から、次回定検寿命判定手段11i2は、各LPRMが次回定期検査開始時において核的寿命を迎えるかどうかを判定する機能を有する。
【0225】
また、次回定検寿命判定手段11i2は、構造的寿命判定手段11hから受けた現在のLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量を、次回の定期検査開始時における各LPRMに対する予測積算中性子束で補正し、次回定期検査開始時におけるLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量を予測する機能を有する。この高速中性子の予測積算照射量から、次回定検寿命判定手段11i2は、LPRM群21が次回定期検査開始時において構造的寿命を迎えるかどうかを判定する機能を有する。
【0226】
次々回定検照射量評価手段11i3は、現在の炉心内中性子束分布および次回の定期検査開始時における炉心内中性子束分布を炉心性能計算手段31から受けて、現在から次々回の定期検査までの間に各LPRMに対して照射される中性子束を予測することにより、次々回の定期検査開始時における各LPRMに対する積算中性子束を予測する機能を有する。
【0227】
次々回定検寿命判定手段11i4は、核的寿命判定手段11fから受けた現在のDCn/γ比を、次々回の定期検査開始時における各LPRMに対する予測積算中性子束で補正し、次々回定期検査開始時における各LPRMのDCn/γ比を予測する機能を有する。この予測DCn/γ比から、次々回定検寿命判定手段11i4は、各LPRMが次々回定期検査開始時において核的寿命を迎えるかどうかを判定する機能を有する。
【0228】
また、次々回定検寿命判定手段11i4は、構造的寿命判定手段11hから受けた現在のLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量を、次々回の定期検査開始時における各LPRMに対する予測積算中性子束で補正し、次々回定期検査開始時におけるLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量を予測する機能を有する。この高速中性子の予測積算照射量から、次々回定検寿命判定手段11i4は、LPRM群21が次々回定期検査開始時において構造的寿命を迎えるかどうかを判定する機能を有する。
【0229】
交換検出器提示手段11i5は、次回定検寿命判定手段11i2および次々回定検寿命判定手段11i4から情報をうけて、次回の定期検査と次々回の定期検査の間に寿命が来ると判定されたLPRMについて、次回の定期検査時に交換する必要ありと判定し、所要の表示器などに表示するなどすることにより、その旨をユーザーに提示する機能を有する。
【0230】
次に、中性子検出器の寿命判定装置10Bの作用について説明する。
【0231】
図13は、図11に示す中性子検出器の寿命判定装置10Bにより、中性子検出器の寿命判定にあたり必要な、核的寿命判定および構造的寿命判定を行う際の手順を示すフローチャートである。図13において、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを表す。
【0232】
この手順は、検出器特性判定手段11eが、第1実施形態に示した手順により、直流成分補正手段11cから受けた補正後の直流成分値、ゆらぎ成分補正手段11dから受けた補正後のゆらぎ成分値および定数記憶手段12fから読み込んだ定数を利用して、LPRM群21の各LPRMについて、出力電気信号の直流成分中の中性子成分とガンマ線成分を分離した時点でスタートとなる。
【0233】
また、あらかじめ、定数記憶手段12fには、核的寿命DCn/γ比などに加え、初挿設時における各中性子検出器の直流成分中性子感度と、LPRM群21の構造的寿命照射量を記憶させておく。
【0234】
まず、ステップS11において、核的寿命判定手段11fは、検出器特性判定手段11eから受けた直流成分中の中性子成分とガンマ線成分と、定数記憶手段12fから読み込んだ定数とを用いて、第1実施形態に示した手順により、各LPRMの核的寿命判定を行う。続いて、核的寿命判定手段11fは、この核的寿命の判定結果を、検出器寿命判定手段11iに与える。
【0235】
また、ステップS12において、炉心性能計算手段31は、炉心性能計算を行うことによって現在の炉心内中性子束分布を算出し、この分布から各LPRMの挿設位置における現在の照射中性子束を求め、この中性子束を検出器照射量評価手段11gに与える。
【0236】
次に、ステップS13において、検出器照射量判定手段11gは、検出器特性判定手段11eから受けた直流成分中の中性子成分を、炉心性能計算手段31から受けた各LPRMの挿設位置における現在の照射中性子束で除することにより、各LPRMの直流成分中性子感度を求める。
【0237】
次に、ステップS14において、検出器照射量判定手段11gは、この直流成分中性子感度の、あらかじめ定数記憶手段12fに記録されている初挿設時の値からの変化量から、各LPRMに対して照射された積算中性子束を求める。
【0238】
中性子感度の減少は、中性子有感物質の消耗による。中性子有感物質の消耗は、中性子束の照射による。このため、中性子感度の減少から算出したこの積算中性子束は、各LPRMの個体差を反映した正確なものである。
【0239】
次に、ステップS15において、検出器照射量判定手段11gは、この積算中性子束から各LPRMに対する高速中性子の積算照射量を算出する。この算出は、中性子検出器が検出する熱中性子の強度に対する、高速中性子の強度の比が、炉内全体で一定であると仮定することにより行うことができる。つまり、ステップS4で求めた積算中性子束にこの強度比を乗ずることにより、各LPRMに対する高速中性子の積算照射量を算出することができる。
【0240】
次に、ステップS16において、検出器照射量判定手段11gは、この各LPRMに対する高速中性子の積算照射量を、LPRM21a〜21dが格納されているLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量に換算する。続いて、検出器照射量判定手段11gは、この溶接部に対する高速中性子の積算照射量を、構造的寿命判定手段11hに与える。
【0241】
次に、ステップS17において、構造的寿命判定手段11hは、検出器照射量判定手段11gから受けたLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量と、定数記憶手段12fから読み込んだ構造的寿命照射量とを比較して、LPRM群21の構造的寿命の判定を行う。続いて、構造的寿命判定手段11hは、この構造的寿命の判定結果を、検出器寿命判定装置11iに与える。
【0242】
そして、ステップS18において、検出器寿命判定手段11iは、核的寿命判定および構造的寿命判定の結果をもとに、各LPRMの寿命判定を行う。
【0243】
以上の手順により、中性子検出器の寿命判定を行うために必要な、核的寿命判定および構造的寿命判定を行うことができる。
【0244】
次に、図13に示されたステップS18で行われる各LPRMの寿命判定について、詳細に説明する。
【0245】
図14は、中性子検出器の寿命判定装置10Bにより、中性子検出器の寿命判定を行い、寿命と判定された中性子検出器を提示する際の手順を示すフローチャートである。図14において、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを表す。
【0246】
この手順は、核的寿命判定手段11fがDCn/γ比を、構造的寿命判定手段11hがLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量を、それぞれ検出器寿命判定手段に与えた時点でスタートとなる。
【0247】
まず、ステップS21において、炉心性能計算手段31は、炉心性能計算を行うことによって算出した現在の炉心内中性子束分布から、各LPRMの挿設位置における現在の照射中性子束を求め、この中性子束を次回定検照射量評価手段11i1に与える。
【0248】
次に、ステップS22において、次回定検照射量評価手段11i1は、現在の炉心内中性子束分布を炉心性能計算手段31から受けて、現在から次回の定期検査までの間に各LPRMに対して照射される中性子束を予測することにより、次回の定期検査開始時における各LPRMに対する積算中性子束を予測する。続いて、次回定検照射量評価手段11i1は、この予測積算中性子束を、次回定検寿命判定手段11i2に与える。
【0249】
次に、ステップS23において、次回定検寿命判定手段11i2は、核的寿命判定手段11fから受けた現在のDCn/γ比を、次回の定期検査開始時における各LPRMに対する予測積算中性子束で補正し、次回定期検査開始時における各LPRMのDCn/γ比を予測する。また、次回定検寿命判定手段11i2は、構造的寿命判定手段11hから受けた現在のLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量を、次回の定期検査開始時における各LPRMに対する予測積算中性子束で補正し、次回定期検査開始時におけるLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量を予測する。
【0250】
次に、ステップS24において、次回定検寿命判定手段11i2は、次回定期検査開始時における各LPRMの予測DCn/γ比と、定数記憶手段から読み込んだ核的寿命DCn/γ比を比較することにより、各LPRMについて、次回定期検査開始時において核的寿命を迎えるかどうか判定する。
【0251】
さらに、次回定検寿命判定手段11i2は、次回定期検査開始時におけるLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の予測積算照射量と、定数記憶手段から読み込んだLPRM群21の構造的寿命照射量を比較することにより、LPRM群21について、次回定期検査開始時において構造寿命を迎えるかどうか判定する。
【0252】
一方、ステップS25において、炉心性能計算手段31は、炉心性能計算を行うことによって算出した現在の炉心内中性子束分布および次回の定期検査開始時における炉心内中性子束分布から、各LPRMの挿設位置における現在の照射中性子束および次回の定期検査開始時における照射中性子束を求め、この中性子束を次々回定検照射量評価手段11i3に与える。
【0253】
ここで、炉心性能計算手段31は、次回の定期検査開始時における炉心内中性子束分布を算出するにあたり、次回定検時燃料交換計画記憶手段12jから読み込んだ燃料交換データを用いる。炉心性能計算手段31は、この燃料交換データから次回の定期検査開始時の燃料条件を求め、炉心性能計算によりこの燃料条件における炉心内中性子束分布を計算して、次回の定期検査開始時における炉心内中性子束分布を求める。
【0254】
次に、ステップS26において、次々回定検照射量評価手段11i3は、現在の炉心内中性子束分布および次回の定期検査開始時における炉心内中性子束分布を炉心性能計算手段31から受けて、現在から次々回の定期検査までの間に各LPRMに対して照射される中性子束を予測することにより、次々回の定期検査開始時における、各LPRMに対する積算中性子束を予測する。続いて、次々回定検照射量評価手段11i3は、この積算中性子束を、次々回定検寿命判定手段11i4に与える。
【0255】
次に、ステップS27において、次々回定検寿命判定手段11i4は、核的寿命判定手段11fから受けた現在のDCn/γ比を、次々回の定期検査開始時における各LPRMに対する予測積算中性子束で補正し、次々回定期検査開始時における各LPRMのDCn/γ比を予測する。また、次々回定検寿命判定手段11i4は、構造的寿命判定手段11hから受けた現在のLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量を、次々回の定期検査開始時における各LPRMに対する予測積算中性子束で補正し、次々回定期検査開始時における、LPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の積算照射量を予測する。
【0256】
次に、ステップS28において、次々回定検寿命判定手段11i4は、次々回定期検査開始時における各LPRMの予測DCn/γ比と、定数記憶手段から読み込んだ核的寿命DCn/γ比を比較することにより、各LPRMについて、次々回定期検査開始時において核的寿命を迎えるかどうか判定する。
【0257】
さらに、次々回定検寿命判定手段11i4は、次々回定期検査開始時におけるLPRM群21のケースの溶接部に対する高速中性子の予測積算照射量と、定数記憶手段から読み込んだLPRM群21の構造的寿命照射量を比較することにより、LPRM群21について、次々回定期検査開始時において構造寿命を迎えるかどうか判定する。
【0258】
次に、ステップS29において、交換検出器提示手段11i5は、次回定検寿命判定手段11i2および次々回定検寿命判定手段11i4から寿命に関する情報を受け、次回の定期検査と次々回の定期検査の間に核的寿命または構造的寿命を迎えると判定されたLPRMについて、次回の定期検査時に交換する必要ありと判定し、所要の表示器などに表示するなどしてユーザーにその旨を提示する。
【0259】
以上の手順により、中性子検出器の寿命判定を行い、次回定期検査と次々回定期検査の間に寿命を迎えると判定された中性子検出器をユーザーに提示することができる。
【0260】
この中性子検出器の寿命判定装置10Bは、中性子検出器出力の履歴を監視することで、各中性子検出器について、実測値にもとづいて直流成分中の中性子成分を求めることができ、精度の高い核的寿命判定を行うことができる。
【0261】
従来、構造的寿命判定に用いられてきた積算中性子束は、炉心性能計算によって求められる炉心内中性子束分布をもとに積算して得たものである。このため、燃料のシャッフリングなどによって各中性子検出器に対する照射条件が変化した場合、各中性子検出器の正確な照射履歴を管理しておく必要があり、各中性子検出器に対する中性子束の積算照射量を正確に求めることは困難である。
【0262】
一方、この寿命判定装置10Bは、測定履歴を用いることにより分離可能となった直流成分中の中性子成分値を用いて、現在の照射中性子束強度から現在の直流成分中性子感度を求めることができる。このため、寿命判定装置10Bは、この現在の直流成分中性子感度の初挿設時からの減少量から、直接、正確な積算中性子束を逆算することができる。
【0263】
したがって、この寿命判定装置10Bは、たとえ燃料シャッフリングなどによって炉心内中性子束分布およびガンマ線束分布が変化し、各LPRMの挿設位置における照射中性子束強度とガンマ線強度が変化し、中性子束強度とガンマ線強度の比が変化しても、簡単に正確な積算中性子束を求めることができる。
【0264】
この寿命判定装置10Bによれば、各LPRMに対する正確な照射積算中性子束を用いることにより、精度の高い構造的寿命判定を行うことができる。
【0265】
したがって、寿命判定装置10Bは、核的寿命および構造的寿命を精度よく判定することができ、これらの判定結果を用いて、正確に各LPRMの寿命判定を行うことができる。
【0266】
この正確な寿命判定を利用して、寿命判定装置10Bは、次回定期検査時および次々回定期検査時における寿命を予測し、正確に交換時期を提示することができる。
【0267】
[第4実施形態]
図15は、本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第4実施形態を示す全体構成図である。
【0268】
この実施形態に示された中性子検出器の寿命判定装置10を用いた原子炉炉心監視装置20は、中性子検出器周辺のボイド率を最適化できるようにしたものである。この実施形態において、寿命判定装置10については、中性子束分布補正手段40に対する出力が第1実施形態に示された寿命判定装置10と異なるほかは、図1に示された寿命判定装置10と同等の作用効果を奏するため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0269】
原子炉炉心監視装置20は、寿命判定装置10、LPRM群21、マルチプレクサ22、炉心性能計算手段31および中性子束分布補正手段40を備える。
【0270】
中性子束分布補正手段40は、演算手段41および記憶手段42を備え、寿命判定装置10および炉心性能計算手段31と接続される。
【0271】
寿命判定装置10の検出器特性判定手段11eは、直流成分中の中性子成分とガンマ線成分を、中性子束分布補正手段40に与える機能を有する。
【0272】
演算手段41は、コンピュータにプログラムが読み込まれることにより、あるいは所要の回路により構成されて、照射n/γ比算出手段41aおよび周辺ボイド率評価手段41bとして機能し、さらに記憶手段42と接続される。また、演算手段41は、記憶手段42内のデータを、必要に応じて読み込む機能を有する。
【0273】
記憶手段42は、コンピュータ読み取り可能であり、感度記憶手段42aおよびボイド率記憶手段42bを記録する機能を有する。
【0274】
照射n/γ比算出手段41aは、検出器特性判定手段11eから受けた各LPRMの直流成分の直流成分履歴およびゆらぎ成分履歴と、感度記憶手段42aから読み出した各LPRMの直流成分中性子感度およびガンマ線感度を用いて、各LPRMの挿設位置における中性子束とガンマ線束の比を求める機能を有する。また、照射n/γ比算出手段41aは、この算出した比を、周辺ボイド率評価手段41bに与える機能を有する。
【0275】
周辺ボイド率評価手段41bは、ボイド率記憶手段42bにしたがって、照射n/γ比算出手段41aから受けた各LPRMについての比を検索し、この比に対応するボイド率を取得する機能を有する。また、周辺ボイド率評価手段41bは、この各LPRM周辺のボイド率の値を、炉心性能計算手段31に与える機能を有する。
【0276】
炉心性能計算手段31は、中性子束分布補正手段40から各LPRM周辺のボイド率の値を受け、このボイド率値にもとづいて炉心性能計算を行うことによって、原子炉の炉心内中性子束分布を求める機能を有する。また、炉心性能計算手段31は、この分布から各LPRMの挿設位置における中性子束を求め、この中性子束の値を積算して各LPRMに照射された積算中性子束の値を求め、この積算中性子束の値を記憶手段12内の積算中性子束履歴記憶手段12cに書き込む機能を有する。
【0277】
次に、中性子検出器の寿命判定装置10を用いた原子炉炉心監視装置20の作用について説明する。
【0278】
まず、LPRMに照射される中性子束およびガンマ線と、ボイド率との関係について説明する。
【0279】
中性子およびガンマ線の、燃料からの出射強度は、ほぼ一定の既知の値をとる。したがって、中性子束とガンマ線束の、出射時の強度比は、ほぼ一定の既知の値である。
【0280】
水に対する反応性は、中性子とガンマ線で異なる。このため、ボイドを透過してLPRMに到達する(照射される)中性子束およびガンマ線束の強度比は、ボイド率によって異なる。
【0281】
したがって、ボイドを透過してLPRMに照射される中性子束とガンマ線束の比(以下、照射n/γ比という)に対してボイド率を関連付けることが可能である。
【0282】
はじめに、あらかじめ、ボイド率記憶手段42bに、ボイドを透過してLPRMに照射される中性子束とガンマ線束の比(以下、照射n/γ比という)に対してボイド率を関連付けて記憶したボイド率データを記憶しておく。
【0283】
また、あらかじめ、感度記憶手段42aに、各LPRMの直流成分中性子感度および直流成分ガンマ線感度を記録しておく。
【0284】
寿命判定装置10の検出器特性判定手段11eは、直流成分中の中性子成分とガンマ線成分を、照射n/γ比算出手段41aに与える。
【0285】
照射n/γ比算出手段41aは、検出器特性判定手段11eから各LPRMの直流成分中の中性子成分とガンマ線成分を受ける。また、照射n/γ比算出手段41aは、感度記憶手段42から、各LPRMの直流成分中性子感度および直流成分ガンマ線感度を読み出す。続いて、照射n/γ比算出手段41aは、中性子成分を中性子感度で除することによりLPRMに照射された中性子束値を、ガンマ線成分をガンマ線感度で除することにより各LPRMに照射されたガンマ線束値を、それぞれ求める。
【0286】
続いて、照射n/γ比算出手段41aは、中性子束値をガンマ線束値で除することにより、照射n/γ比を求める。続いて、照射n/γ比算出手段41aは、この照射n/γ比を、周辺ボイド率評価手段41bに与える。
【0287】
続いて、周辺ボイド率評価手段41bは、照射n/γ比算出手段41aから受けた照射n/γ比を、ボイド率記憶手段42bにしたがって検索し、この比に対応するボイド率を取得する。続いて、周辺ボイド率評価手段41bは、この各LPRM周辺の水中のボイド率の値を、炉心性能計算手段31に与える。
【0288】
続いて、炉心性能計算手段31は、この各LPRM周辺のボイド率の値を、周辺ボイド率評価手段41bから受け、このボイド率値にもとづいて炉心性能計算を行うことによって、炉心内中性子束分布を求める。また、炉心性能計算手段31は、この分布から各LPRMの挿設位置における中性子束を求め、この中性子束の値を積算して各LPRMに照射された積算中性子束の値を求め、この積算中性子束の値を記憶手段12内の積算中性子束履歴記憶手段12cに書き込む。
【0289】
この原子炉炉心監視装置20によれば、寿命判定装置10を用いることにより、測定履歴を用いることにより分離可能となった直流成分中の中性子成分値とガンマ線成分値を利用することができる。この中性子成分値とガンマ線成分値を用いることにより、中性子分布補正手段40によって、各中性子検出器に対する正確な照射n/γ比を求めることができる。中性子検出器が炉心全体に挿設されていれば、この照射n/γ比から、正確な炉心内の中性子束とガンマ線束の比の分布(以下、炉心内n/γ比分布という)を得ることが可能となる。
【0290】
また、この原子炉炉心監視装置20によれば、各中性子検出器の照射n/γ比を用いて、各中性子検出器周辺のボイド率を得ることができる。
【0291】
ボイド率は、炉心性能計算で炉心内中性子束分布を求めるにあたり、ボイドに対する補正のために用いられる。
【0292】
従来、このボイド率として、あらかじめ予測した値を用いていた。このため、運転中の実用炉に適用する際に、ボイド率の変化への対応が困難であった。
【0293】
原子炉炉心監視装置20によれば、各中性子検出器周辺のボイド率を、実測結果から求めることができる。したがって、この実測により求められたボイド率を用いて炉心性能計算を行うことにより、より正確で精度の高い炉心内中性子束分布を得ることができる。
【0294】
また、この正確な炉心内中性子束分布を原子炉の出力監視に利用することにより、原子炉の炉心監視性能の向上が期待できる。
【0295】
なお、原子炉炉心監視装置20で用いられる寿命判定装置10として、図1に示された寿命判定装置10にかえて、10Aまたは10Bを用いても、同等の作用効果を奏することが可能である。
【0296】
また、寿命判定装置10もしくは寿命判定装置10Aの核的寿命判定手段11f、または寿命判定装置10Bの核的寿命判定手段10f、検出器照射量評価手段11g、構造的寿命判定手段11hおよび検出器寿命判定手段11iは、本実施形態においては必要なく、省略してもかまわない。
【0297】
[第5実施形態]
図16は、本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第5実施形態を示す全体構成図である。
【0298】
この実施形態に示された中性子検出器の寿命判定装置10を用いた原子炉炉心監視装置20Aは、炉心内ガンマ線束分布を用いて精度の高い原子炉出力監視をできるようにしたものである。この実施形態において、中性子束分布補正手段40の機能が図15に示された原子炉炉心監視装置20と相違する。他の構成および作用については図15に示す原子炉炉心監視装置20と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0299】
演算手段41は、コンピュータにプログラムが読み込まれることにより、あるいは所要の回路により構成されて、照射n/γ比算出手段41aおよびガンマ線出力分布補正手段41cとして機能し、さらに記憶手段42と接続される。また、演算手段41は、記憶手段42内のデータを、必要に応じて読み込む機能を有する。
【0300】
記憶手段42は、コンピュータ読み取り可能であり、感度記憶手段42aを記録する機能を有する。
【0301】
照射n/γ比算出手段41aは、検出器特性判定手段11eから受けた各LPRMの直流成分の直流成分履歴およびゆらぎ成分履歴と、感度記憶手段42aから読み出した各LPRMの直流成分中性子感度およびガンマ線感度を用いて、各LPRMの照射n/γ比を求める機能を有する。また、照射n/γ比算出手段41aは、この照射n/γ比を、ガンマ線出力分布補正手段41cに与える機能を有する。
【0302】
ガンマ線出力分布補正手段41cは、照射n/γ比算出手段41aから各LPRMの照射n/γ比を、ガンマ線検出器出力からガンマ線束分布を評価する図示しない手段から炉心内ガンマ線束分布を、それぞれ受ける機能を有する。また、ガンマ線出力分布補正手段41cは、各LPRMの照射n/γ比から炉心内n/γ比分布を求め、この炉心内n/γ比分布と炉心内ガンマ線束分布を乗じて、炉心内中性子束分布を求める機能を有する。
【0303】
また、ガンマ線出力分布補正手段41cは、各LPRMの照射n/γ比から炉心内ガンマ線束分布を求め、この炉心内ガンマ線束分布を炉心性能計算手段31に与える機能を有する。
【0304】
炉心性能計算手段31は、ガンマ線出力分布補正手段41cから受けた炉心内ガンマ線束分布を用いて、従来の炉心内中性子束分布計算結果を補正する。また、炉心性能計算手段31は、この補正した炉心内中性子束分布から各LPRMの挿設位置における中性子束を求め、この中性子束の値を積算して各LPRMに照射された積算中性子束の値を求め、この積算中性子束の値を記憶手段12内の積算中性子束履歴記憶手段12cに書き込む。
【0305】
次に、中性子検出器の寿命判定装置10を用いた原子炉炉心監視装置20Aの作用について説明する。
【0306】
まず、炉心内ガンマ線束分布を用いた原子炉出力監視を行うにあたり、ガンマ線検出器を利用する場合について説明する。
【0307】
原子炉の出力分布を監視する際、たとえばγサーモメータなどの、ガンマ線検出器を用いる場合がある。このガンマ線検出器を用いた原子炉出力分布(中性子束分布)監視は、一般に、次の手順によって炉心内中性子束分布を求めることにより行う。
【0308】
まず、炉心内全体に挿設したガンマ線検出器の出力から、炉心内ガンマ線束分布を得る。次に、この炉心内ガンマ線束分布に対し、炉心性能計算によって算出される炉心内n/γ比分布を乗ずる。
【0309】
従来の原子炉出力監視においては、この結果得られる炉心内中性子束分布を用いて、原子炉出力分布監視を行っている。
【0310】
本実施形態では、炉心内n/γ比分布として、炉心性能計算で算出される分布ではなく、各中性子検出器の照射n/γ比を用いて、次の手順によって得られる炉心内n/γ比分布を適用する。
【0311】
まず、ガンマ線出力分布補正手段41cは、照射n/γ比算出手段41aから各LPRMの照射n/γ比を、ガンマ線検出器出力からガンマ線束分布を評価する図示しない手段から炉心内ガンマ線束分布を、それぞれ受ける。続いて、ガンマ線出力分布補正手段41cは、各LPRMの照射n/γ比を用いて、炉心内n/γ比分布を求める。続いて、ガンマ線出力分布補正手段41cは、炉心内ガンマ線束分布に炉心内n/γ比分布を乗ずることにより、炉心内中性子束分布を求める。
【0312】
この原子炉炉心監視装置20Aは、寿命判定装置10を用いているため、測定履歴を用いることにより分離可能となった直流成分中の中性子成分値とガンマ線成分値を利用することができる。この中性子成分値とガンマ線成分値を用いることにより、中性子分布補正手段40によって、各中性子検出器に対する正確な照射n/γ比を求めることができる。この照射n/γ比を利用して得られる炉心内n/γ比分布を利用して、ガンマ線検出器出力から炉心内中性子束分布を求めることができる。
【0313】
各LPRMの照射n/γ比を用いて得る炉心内n/γ比分布は、実測にもとづいて得るものであり、炉心性能計算によって得られる炉心内n/γ比分布に比べより正確である。
【0314】
このため、原子炉炉心監視装置20Aによりガンマ線検出器を利用して炉心内中性子束分布を求める場合、従来に比べ、より正確な分布が得られる。したがって、ガンマ線検出器を利用した原子炉出力分布監視を、精度よく行うことができる。
【0315】
次に、炉心内ガンマ線束分布を用いた原子炉出力監視を行うにあたり、炉心性能計算で求めた炉心内中性子束分布を補正する場合について、説明する。
【0316】
ガンマ線出力分布補正手段41cは、照射n/γ比算出手段41aから受けた各LPRMの照射n/γ比から炉心内ガンマ線束分布を求め、この炉心内ガンマ線束分布を炉心性能計算手段31に与える。
【0317】
次に、炉心性能計算手段31は、炉心内ガンマ線束分布をガンマ線出力分布補正手段41cから受ける。続いて、炉心性能計算手段31は、炉心性能計算により求めた炉心内中性子束分布に対して、この炉心内ガンマ線束分布を適用し、炉心内中性子束分布を補正する。また、炉心性能計算手段31は、この補正した炉心内中性子束分布から各LPRMの挿設位置における中性子束を求め、この中性子束の値を積算して各LPRMに照射された積算中性子束の値を求め、この積算中性子束の値を記憶手段12内の積算中性子束履歴記憶手段12cに書き込む。
【0318】
この原子炉炉心監視装置20Aによれば、従来の炉心内中性子束分布の炉心性能計算に、炉心内ガンマ線束分布の情報を加えることができ、正確な炉心内中性子束分布を構成できる。したがって、この正確な炉心内中性子束分布を原子炉の出力監視に利用することにより、原子炉の炉心監視性能の向上が期待できる。
【0319】
なお、原子炉炉心監視装置20Aで用いられる寿命判定装置10として、図1に示された寿命判定装置10に換えて、10Aまたは10Bを用いても、同等の作用効果を奏することが可能である。
【0320】
また、寿命判定装置10もしくは寿命判定装置10Aの核的寿命判定手段11f、または寿命判定装置10Bの核的寿命判定手段10f、検出器照射量評価手段11g、構造的寿命判定手段11hおよび検出器寿命判定手段11iは、本実施形態においては必要なく、省略してもかまわない。
【0321】
[第6実施形態]
図17は、本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第6実施形態を示す全体構成図である。
【0322】
この実施形態に示された中性子検出器の寿命判定装置10を用いた原子炉炉心監視装置20Bは、中性子検出器による中性子の自己吸収量を評価できるようにしたものである。この実施形態において、中性子分布補正手段40の機能が図15に示された原子炉炉心監視装置20と異なる。他の構成および作用については図15に示す原子炉炉心監視装置20と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0323】
演算手段41は、コンピュータにプログラムが読み込まれることにより、あるいは所要の回路により構成されて、照射n/γ比算出手段41aおよび中性子自己吸収量補正手段41dとして機能し、さらに記憶手段42と接続される。また、演算手段41は、記憶手段42内のデータを、必要に応じて読み込む機能を有する。
【0324】
記憶手段42は、コンピュータ読み取り可能であり、感度記憶手段42aおよび自己吸収量記憶手段42cを記録する機能を有する。
【0325】
照射n/γ比算出手段41aは、検出器特性判定手段11eから受けた各LPRMの直流成分の直流成分履歴およびゆらぎ成分履歴と、感度記憶手段42aから読み出した各LPRMの直流成分中性子感度およびガンマ線感度を用いて、各LPRMの照射n/γ比を求める機能を有する。また、照射n/γ比算出手段41aは、この照射n/γ比を、中性子自己吸収量補正手段41dに与える機能を有する。
【0326】
中性子自己吸収量補正手段41dは、自己吸収量記憶手段42cにしたがって、照射n/γ比算出手段から受けた各LPRMの照射n/γ比を検索し、この比に対応する自己吸収量を取得する機能を有する。また、中性子自己吸収量補正手段41dは、この各LPRMの自己吸収量を、炉心性能計算手段31に与える機能を有する。
【0327】
炉心性能計算手段31は、中性子束分布補正手段40から各LPRMの自己吸収量を受け、この自己吸収量を考慮に入れた炉心性能計算を行うことによって、原子炉の炉心内中性子束分布を求める機能を有する。また、炉心性能計算手段31は、この分布から各LPRMの挿設位置における中性子束を求め、この中性子束の値を積算して各LPRMに照射された積算中性子束の値を求め、この積算中性子束の値を記憶手段12内の積算中性子束履歴記憶手段12cに書き込む機能を有する。
【0328】
次に、中性子検出器の寿命判定装置10を用いた原子炉炉心監視装置20Bの作用について説明する。
【0329】
中性子およびガンマ線は、LPRMを透過する際、主にLPRMの構造材によって吸収される。このLPRMによる吸収率は、中性子とガンマ線で異なる。したがって、LPRMの照射n/γ比に対してLPRMによる中性子の自己吸収量を関連づけることができる。
【0330】
はじめに、あらかじめ、自己吸収量記憶手段42cに、LPRMの照射n/γ比に対してLPRMによる中性子の自己吸収量を関連付けて記憶した、自己吸収量データを記憶しておく。
【0331】
中性子自己吸収量補正手段41dは、照射n/γ比算出手段41aから受けた照射n/γ比を、自己吸収量記憶手段42cにしたがって検索し、この比に対応する自己吸収量を取得する。続いて、中性子自己吸収量補正手段41dは、この各LPRMの中性子の自己吸収量を、炉心性能計算手段31に与える。
【0332】
続いて、炉心性能計算手段31は、この各LPRMの中性子の自己吸収量を用いて炉心性能計算を行うことによって、炉心内中性子束分布を求める。また、炉心性能計算手段31は、この分布から各LPRMの挿設位置における中性子束を求め、この中性子束の値を積算して各LPRMに照射された積算中性子束の値を求め、この積算中性子束の値を記憶手段12内の積算中性子束履歴記憶手段12cに書き込む。
【0333】
以上の手順により、各LPRMの照射n/γ比を用いて、各LPRMによる中性子の自己吸収量を得ることができる。
【0334】
自己吸収量は、炉心性能計算で炉心内中性子束分布を求めるにあたり、中性子検出器による中性子自己吸収に対する補正のために用いられる。
【0335】
従来、この自己吸収量は、炉心性能計算において、一定値と仮定して取り扱われている。しかし、運転中の実用炉においては、この自己吸収量は一定値とはいえず、各中性子検出器の照射n/γ比が変化することにより変化する。
【0336】
原子炉炉心監視装置20Bによれば、各中性子検出器の中性子自己吸収量を、寿命判定装置10の測定履歴を利用して得た正確な照射n/γ比をもとに、評価することができる。このため、ボイド率や中性子スペクトルが変化するなど、中性子検出器の照射n/γ比が変化した場合にも、この変化に応じた自己吸収量を評価することができる。この自己吸収量を用いることにより、中性子検出器による中性子自己吸収に対する補正を正確に行うことができ、精度の高い炉心性能計算を行うことが可能となる。
【0337】
また、この精度の高い炉心性能計算を原子炉の出力監視に利用することにより、原子炉の炉心監視性能の向上が期待できる。
【0338】
なお、原子炉炉心監視装置20Bで用いられる寿命判定装置10として、図1に示された寿命判定装置10に換えて、他の寿命判定装置10Aまたは10Bを用いても、同等の作用効果を奏することが可能である。
【0339】
また、寿命判定装置10もしくは寿命判定装置10Aの核的寿命判定手段11f、または寿命判定装置10Bの核的寿命判定手段10f、検出器照射量評価手段11g、構造的寿命判定手段11hおよび検出器寿命判定手段11iは、本実施形態においては必要なく、省略してもかまわない。
【0340】
[第7実施形態]
図18は、本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第7実施形態を示す全体構成図である。
【0341】
この実施形態に示された、中性子検出器の寿命判定装置10を用いた原子炉炉心監視装置20Cは、起動領域中性子検出器とLPRMのオーバーラップ領域を監視できるように構成したものである。この実施形態において、寿命判定装置10については、図1に示された寿命判定装置10と同等の作用効果を奏する。したがって、原子炉炉心監視装置20を説明するにあたり、寿命判定装置10と同様の構成および作用については、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0342】
原子炉炉心監視装置20Cは、寿命判定装置10、LPRM群21、SRNM21z、マルチプレクサ22、炉心性能計算手段31およびオーバーラップ領域評価手段34を備える。
【0343】
原子炉炉心監視装置20Cは、2つの寿命判定装置10を、一つのオーバーラップ領域評価手段34を介して接続した構造を有する。
【0344】
一方の寿命判定装置10は、マルチプレクサ22を介してLPRM群21と接続され、また、炉心性能計算手段31と接続される。
【0345】
他方の寿命判定装置10は、起動領域中性子検出器(SRNM:Start-up Region Neutron Monitor)21zと接続され、また、炉心性能計算手段31と接続される。
【0346】
SRNMは、一般に、原子炉の停止中および低出力運転時に炉心内中性子束分布を測定する中性子検出器である。
【0347】
LPRM群21側の寿命判定装置10とSRNM21z側の寿命判定装置10は、どちらも、オーバーラップ評価手段34と接続される。
【0348】
なお、寿命判定装置10は2つである必要はなく、LPRM群21の数にあわせて、また、SRNM21zの数にあわせて、寿命判定装置10を用いればよい。いずれの場合においても、全ての寿命判定装置10は互いの出力を比較するために、一つのオーバーラップ評価手段34に接続されることに注意する。
【0349】
検出器特性判定手段11eは、直流成分補正手段11cから受けた補正後の直流成分値、ゆらぎ成分補正手段11dから受けた補正後のゆらぎ成分値を、オーバーラップ領域評価手段34に与える機能を有する。
【0350】
オーバーラップ領域評価手段34は、LPRM群21側の寿命判定装置10から受けた補正後のLPRM出力の直流成分値およびゆらぎ成分値と、SRNM21z側の寿命判定装置10から受けた補正後のSRNM出力の直流成分値およびゆらぎ成分値とを比較し、LPRM出力とSRNM出力のオーバーラップ異常を検知する機能を有する。オーバーラップ領域評価手段34は、LPRM出力とSRNM出力のオーバーラップ異常を事前に検知した場合には、検知した異常を、図示しない表示器に表示する機能を有する。
【0351】
次に、中性子検出器の寿命判定装置10を用いた原子炉炉心監視装置20Cの作用について説明する。
【0352】
図19(a)は、原子炉を停止させる場合におけるLPRM出力とSRNM出力を比較して示した説明図である。LPRM出力とSRNM出力はスケールが異なるため、一つのグラフにプロットして相対比較できるように、図19(a)では、LPRM出力またはSRNM出力を適当に拡大縮小している。
【0353】
たとえばSRNM出力に異常がある場合、運転中の原子炉を停止するために原子炉出力を低下させると、LPRMとSRNMの監視範囲(図19(a)における線形領域)が重ならない(オーバーラップしない)可能性がある。この場合、たった一つのSRNMの異常でさえ、異常信号出力がされてしまうことになる。
【0354】
この異常信号出力による弊害を回避するためには、原子炉出力がオーバーラップ領域に入る前の段階でSRNMの異常を検知すればよい。このために、SRNM出力の直流成分とゆらぎ成分の履歴を監視する。
【0355】
SRNMの監視は、一般に、ゆらぎ成分値の監視をもって行われる。SRNM出力に異常がある場合、SRNM出力のゆらぎ成分の履歴を監視しておけば、図19(a)に示すように、原子炉出力を低下させる前の通常運転時(SRNM出力が一定値のとき)であっても、異常を検知することができる。
【0356】
したがって、原子炉を停止させる場合、オーバーラップ領域に到達する前にSRNMの異常を検知するために、原子炉出力を低下させる前または低下開始直後に、SRNM出力の履歴を評価する。
【0357】
オーバーラップ領域評価手段34は、LPRM群21側の寿命判定装置10から補正後のLPRM出力の直流成分値およびゆらぎ成分値を、SRNM21z側の寿命判定装置10から補正後のSRNM出力の直流成分値およびゆらぎ成分値を、それぞれ受ける。
【0358】
オーバーラップ領域評価手段34は、原子炉出力低下前または低下開始直後に、SRNM出力のゆらぎ成分値履歴を評価する。オーバーラップ領域評価手段34は、平常時のゆらぎ成分値と比較して異常がある場合、図示しない表示器に異常を検知したことを知らせる表示をする。
【0359】
また、オーバーラップ領域評価手段34は、原子炉出力低下前または低下直後に、SRNM出力の、ゆらぎ成分値の直流成分値に対する比を評価する。オーバーラップ領域評価手段34は、この比が平常時と比較して異常がある場合、図示しない表示器に異常検知したことを知らせる表示をする。
【0360】
この、SRNM出力のゆらぎ成分の直流成分に対する比は、SRNMの出力パルスあたりの電荷に比例する。このため、この比の変化はSRNM特性の変化を示唆する。したがって、SRNMの異常検知にあたり、ゆらぎ成分値履歴評価に加え、この比の評価を補助的に用いる。
【0361】
この原子炉炉心監視装置20Cによれば、寿命判定装置10を用いることにより、SRNM出力の履歴を監視することができる。この履歴を監視することにより、原子炉を停止する場合において、原子炉出力低下前または低下直後にSRNM出力の異常を検知することができる。したがって、オーバーラップ領域に到達する前に、出力異常のあるSRNMの修理を行ったり、このSRNMをバイパスしたりするといった適切な処置を取ることができ、不用意な異常信号出力を無くすことができる。
【0362】
図19(b)は、原子炉を起動する場合におけるLPRM出力とSRNM出力を比較して示した説明図である。LPRM出力とSRNM出力はスケールが異なるため、一つのグラフにプロットして相対比較できるように、図19(b)では、LPRM出力またはSRNM出力を適当に拡大縮小している。
【0363】
たとえばLPRMに異常がある場合、停止中の原子炉を起動すると、LPRMとSRNMの監視範囲がオーバーラップしない可能性がある。この場合、たった一つのLPRMの異常でさえ、異常信号出力がされてしまうことになる。
【0364】
この異常信号出力による弊害を回避するには、原子炉出力がオーバーラップ領域に入る前の段階でLPRMの異常を検知すればよい。このために、LPRM出力の直流成分とゆらぎ成分の履歴を監視する。
【0365】
LPRM出力のゆらぎ成分は、ガンマ線の影響をほとんど受けないため、直流成分に比べて原子炉起動後の早い段階から、原子炉出力に対して線形な出力になるという特徴を有する。この特徴を利用し、LPRM出力の異常検知を行う。LPRM出力に異常がある場合、LPRM出力のゆらぎ成分の履歴を監視しておけば、図19(b)に示すように、原子炉起動直後の、オーバーラップ領域到達前に、異常を検知することができる。
【0366】
オーバーラップ領域評価手段34は、LPRM群21側の寿命判定装置10から補正後のLPRM出力の直流成分値およびゆらぎ成分値を、SRNM21z側の寿命判定装置10から補正後のSRNM出力の直流成分値およびゆらぎ成分値を、それぞれ受ける。
【0367】
オーバーラップ領域評価手段34は、原子炉起動直後に、LPRM出力のゆらぎ成分値履歴を評価する。オーバーラップ領域評価手段34は、このゆらぎ成分の立ち上がりに異常がある場合、図示しない表示器に異常検知したことを知らせる表示をする。
【0368】
この原子炉炉心監視装置20Cは、寿命判定装置10を用いることにより、LPRM出力の履歴を監視することができる。このため、この履歴を用いることにより、原子炉を起動する場合において、原子炉起動直後にLPRM出力の異常を検知することができる。したがって、オーバーラップ領域に到達する前に、出力異常のあるLPRMの修理を行ったり、このLPRMをバイパスしたりするといった適切な処置を取ることができ、不用意な異常信号出力を無くすことができる。
【0369】
なお、原子炉炉心監視装置20Cで用いられる寿命判定装置10として、図1に示された寿命判定装置10に換えて、10Aまたは10Bを用いても、同等の作用効果を奏することが可能である。
【0370】
また、寿命判定装置10もしくは寿命判定装置10Aの核的寿命判定手段11f、または寿命判定装置10Bの核的寿命判定手段10f、検出器照射量評価手段11g、構造的寿命判定手段11hおよび検出器寿命判定手段11iは、本実施形態においては必要なく、省略してもかまわない。
【0371】
なお、第1ないし第7実施形態は、任意の数の実施形態を選択し組み合わせて実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0372】
【図1】本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第1実施形態を示す全体構成図。
【図2】LPRMに照射された積算中性子束と、LPRM出力の直流成分値との関係を示す説明図。
【図3】(a)はガスリークがあった場合のLPRMに照射された積算中性子束と、LPRM出力の直流成分値との関係を示す説明図、(b)はLPRMに照射された積算中性子束と、補正後のLPRM出力のゆらぎ成分値との関係を示す説明図、(c)は方法1を適用した場合における、LPRMに照射された積算中性子束と、補正後のLPRM出力の直流成分中の中性子成分およびガンマ線成分との関係を示す説明図。
【図4】方法2を適用した場合における、LPRMに照射された積算中性子束と、補正後のLPRM出力の直流成分中の中性子成分およびガンマ線成分との関係を示す説明図。
【図5】(a)はLPRM出力のゆらぎ成分のLPRM印加電圧特性を示す説明図、(b)は駆動電圧における特性曲線の傾きが(a)より大きい場合の、LPRM出力のゆらぎ成分のLPRM印加電圧特性を示す説明図。
【図6】中性子検出器出力にノイズ誘導がある場合の、LPRM出力のゆらぎ成分のLPRM印加電圧特性を示す説明図。
【図7】(a)はLPRM出力のゆらぎ成分の周波数特性を示す説明図、(b)はLPRMのゆらぎ成分中性子感度が変化した場合のゆらぎ成分の周波数特性を示す説明図。
【図8】(a)は施設ケーブルによるゆらぎ成分減衰量を評価する手順を示すフローチャート、(b)は敷設ケーブルの信号減衰データを示す説明図。
【図9】本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第2実施形態を示す全体構成図。
【図10】(a)はLPRM出力の直流成分およびゆらぎ成分の時間応答を相対比較して示す説明図、(b)はLPRMに照射された積算中性子束と、LPRM出力の直流成分の即発成分および遅発成分との関係を示す説明図。
【図11】本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第3実施形態を示す全体構成図。
【図12】図11に示した中性子検出器の寿命判定装置の検出器寿命判定装置の構成を示す図。
【図13】本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置により、中性子検出器の寿命判定にあたり必要な、核的寿命判定および構造的寿命判定を行う際の手順を示すフローチャート。
【図14】本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置により、中性子検出器の寿命判定を行い、寿命と判定された中性子検出器を提示する際の手順を示すフローチャート
【図15】本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第4実施形態を示す全体構成図。
【図16】本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第5実施形態を示す全体構成図。
【図17】本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第6実施形態を示す全体構成図。
【図18】本発明に係る中性子検出器の寿命判定装置の第7実施形態を示す全体構成図。
【図19】(a)は原子炉を停止する場合におけるLPRM出力とSRNM出力を比較して示した説明図、(b)は原子炉を起動する場合におけるLPRM出力とSRNM出力を比較して示した説明図。
【符号の説明】
【0373】
10、10A、10B 寿命判定装置
11 演算手段
11a 直流成分測定手段
11b ゆらぎ成分測定手段
11c 直流成分補正手段
11d ゆらぎ成分補正手段
11e 検出器特性判定手段
11f 核的寿命判定手段
11g 検出器照射量評価手段
11h 構造的寿命判定手段
11i 検出器寿命判定手段
11i1 次回定検照射量評価手段
11i2 次回定検寿命判定手段
11i3 次々回定検照射量評価手段
11i4 次々回定検寿命判定手段
11i5 交換検出器提示手段
12 記憶手段
12a 直流成分履歴記憶手段
12b ゆらぎ成分履歴記憶手段
12c 積算中性子束履歴記憶手段
12d 印加電圧履歴記憶手段
12e 周波数特性履歴記憶手段
12f 定数記憶手段
12g ガスμ記憶手段
12h ガスμ補正用ゆらぎ成分履歴記憶手段
12i 経過時間履歴記憶手段
12j 次回定検時燃料交換計画記憶手段
20、20A、20B、20C 原子炉炉心監視装置
21 LPRM群
21a、21b、21c、21d LPRM
21z SRNM
22 マルチプレクサ
31 炉心性能計算手段
32 制御棒操作情報取得手段
33 経過時間提供手段
34 オーバーラップ領域評価手段
40 中性子束分布補正手段
41 演算手段
41a 照射n/γ比算出手段
41b 周辺ボイド率評価手段
41c ガンマ線出力分布補正手段
41d 自己吸収量補正手段
42 記憶手段
42a 感度記憶手段
42b ボイド率記憶手段
42c 自己吸収量記憶手段




 

 


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