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発明の名称 沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置およびその測定方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−205799(P2007−205799A)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
出願番号 特願2006−23425(P2006−23425)
出願日 平成18年1月31日(2006.1.31)
代理人 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久
発明者 伊丸岡 浩充 / 佐藤 寿樹 / 狩野 喜二 / 宮崎 禎司 / 帆足 英二 / 安部 信明 / 清水 武司 / 中田 耕太郎
要約 課題
ダウンカマ部あるいは炉心入口部の冷却材温度およびその温度分布を合理的かつ正確に測定し、測定された冷却材温度分布に基づく炉心流量測定および炉心性能監視を正確に精度よく行なうことができるもの。

解決手段
本発明に係る沸騰水型原子炉10の冷却材温度測定装置は、原子炉圧力容器11内に原子炉炉心12を収容し、この原子炉炉心12の下部に炉心入口部24を形成するとともに原子炉炉心12を炉心シュラウド14で囲み、この炉心シュラウド14と原子炉圧力容器11との間にダウンカマ部21が設けられたものである。沸騰水型原子炉10は原子炉圧力容器11の中心から炉心シュラウド14に至る径方向中央位置に、かつ、原子炉給水系からの給水ノズル30に対応する周方向位置の炉心入口部24に複数個の温度計31を設け、各温度計31により炉心入口部24の冷却材温度およびその温度分布を測定するものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器内に原子炉炉心を収容し、この原子炉炉心の下部に炉心入口部を形成するとともに上記原子炉炉心を炉心シュラウドで囲み、この炉心シュラウドと原子炉圧力容器との間にダウンカマ部が設けられた沸騰水型原子炉において、
前記原子炉圧力容器の中心から炉心シュラウドに至る径方向中央位置に、かつ、原子炉給水系からの給水ノズルに対応する周方向位置の炉心入口部に複数個の温度計を設け、
上記各温度計により炉心入口部の冷却材温度およびその温度分布を測定することを特徴とする沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置。
【請求項2】
原子炉圧力容器内に原子炉炉心を収容し、この原子炉炉心の下部に炉心入口部を形成するとともに上記原子炉炉心を炉心シュラウドで囲み、この炉心シュラウドと原子炉圧力容器との間にダウンカマ部が設けられた沸騰水型原子炉において、
前記ダウンカマ部の下部に複数台の再循環ポンプを周方向に間隔をおいて設け、
前記原子炉圧力容器の中心から炉心シュラウドに至る径方向中央位置に、かつ前記再循環ポンプに対応する周方向位置の炉心入口部に複数個の温度計を設け、
上記各温度計により炉心入口部の冷却材温度およびその温度分布を測定することを特徴とする沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置。
【請求項3】
原子炉圧力容器内に原子炉炉心を収容し、この原子炉炉心の下部に炉心入口部を形成するとともに上記原子炉炉心を炉心シュラウドで囲み、この炉心シュラウドと原子炉圧力容器との間にダウンカマ部が設けられた沸騰水型原子炉において、
前記ダウンカマ部に、原子炉給水系からの給水ノズルに対応する周方向位置および上記給水ノズル間の中間位置に対応する周方向位置に温度計を設け、
上記各温度計によりダウンカマ部における冷却材温度およびその温度分布を測定することを特徴とする沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置。
【請求項4】
前記温度計は、原子炉圧力容器の中心部における炉心入口部にも設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置。
【請求項5】
前記原子炉圧力容器の中心から炉心シュラウドに至る径方向中央付近に、かつ原子炉給水系の給水ノズルに対応する周方向位置あるいは再循環ポンプに対応する周方向位置に温度計をそれぞれ配置し、
上記各温度計により炉心入口部の冷却材温度およびその温度分布を測定することを特徴とする請求項1,3または4記載の沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置。
【請求項6】
前記原子炉圧力容器の中心付近における炉心入口部に温度計を配置し、この温度計で炉心入口部の冷却材温度を測定することを特徴とする請求項5記載の沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置。
【請求項7】
沸騰水型原子炉の炉心入口部の冷却材温度およびその温度分布を測定する方法において、
原子炉圧力容器の中心から炉心シュラウドに至る径方向の中央位置と、原子炉給水系の給水ノズルあるいは再循環ポンプに対応する周方向位置との交点を代表点とし、
上記各代表点付近に温度計を配置し、各温度計にて炉心入口部の冷却材温度およびその温度分布を測定することを特徴とする沸騰水型原子炉の冷却材温度測定方法。
【請求項8】
前記沸騰水型原子炉は自然循環型沸騰水型原子炉であり、この沸騰水型原子炉のダウンカマ部であって、原子炉給水系に接続される全ての給水ノズルに対応する周方向位置および上記給水ノズル間の各中間位置の周方向位置に、温度計をそれぞれ配置し、
上記各温度計によりダウンカマ部における冷却材温度およびその温度分布を測定することを特徴とする請求項7記載の沸騰水型原子炉の冷却材温度測定方法。
【請求項9】
前記沸騰水型原子炉は強制循環型沸騰水型原子炉であり、この沸騰水型原子炉のダウンカマ部に設置される再循環ポンプに対応する周方向位置および上記再循環ポンプ間の中間位置における周方向位置のダウンカマ部に温度計を設置し、
上記各温度計によりダウンカマ部における冷却材温度およびその温度分布を測定することを特徴とする請求項7記載の沸騰水型原子炉の冷却材温度測定方法。
【請求項10】
前記炉心入口部の冷却材温度分布とダウンカマ部の冷却材温度分布との相関から冷却材温度測定値の重み計数および補正係数をそれぞれ求め、
前記ダウンカマ部の冷却材温度測定値、重み計数および補正係数を用いて炉心入口部の冷却材温度分布を予測することを特徴とする請求項7記載の沸騰水型原子炉の冷却材温度測定方法。
【請求項11】
高温領域と低温領域が交互あるいは周期的に存在するように予測される前記炉心入口部の冷却材温度分布を測定するため、前記高温領域と低温領域の代表測定点に温度計を設置するとともに、
上記各代表測定点間における周方向中間点位置に温度計を追設し、上記代表測定点に設置の温度計と中間点位置設置の温度計により、炉心入口部の冷却材温度およびその温度分布を測定することを特徴とする請求項7記載の沸騰水型原子炉の冷却材温度測定方法。
【請求項12】
高温領域と低温領域が交互あるいは周期的に存在することが予測される前記ダウンカマ部の冷却材温度分布を測定するために、前記高温領域と低温領域の代表測定点に温度計を設置するとともに、
上記各代表測定点間における周方向中間点位置にも温度計を追設し、
前記代表測定点設置の温度計と周方向中間点設置の温度計により前記ダウンカマ部の冷却材温度およびその温度分布を測定することを特徴とする請求項8または9記載の沸騰水型原子炉の冷却材温度測定方法。
【請求項13】
前記代表測定点の冷却材測定温度と中間点位置の冷却材測定温度とを用いて代表測定点間の冷却材温度分布を測定し、代表測定点平均温度の修正を行なうことを特徴とする請求項11または12記載の沸騰水型原子炉の冷却材温度測定方法。
【請求項14】
前記代表測定点の平均温度を算出する際、予測した冷却材の温度分布を基に重み付けして平均化処理を行なうことを特徴とする請求項13記載の沸騰水型原子炉の冷却材温度測定方法。
【請求項15】
請求項7ないし14のいずれか記載の炉心入口部の冷却材温度分布測定方法に基づいて得られた冷却材温度の平均値を原子炉ヒートバランス炉心流量測定法における炉心入口の冷却材温度として炉心流量を算出することを特徴とする沸騰水型原子炉の炉心流量測定方法。
【請求項16】
請求項7ないし14のいずれか記載の炉心入口部の冷却材温度分布測定方法に基づいて得られた冷却材温度を、炉心性能監視システムにおける3次元炉心核熱水力計算コードに入力として用いることを特徴とする沸騰水型原子炉の炉心性能監視方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は沸騰水型原子炉の冷却材温度測定技術に係り、特に沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置およびその測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の沸騰水型原子炉は、自然循環型沸騰水型原子炉と強制循環型沸騰水型原子炉とに大別される。
【0003】
自然循環型沸騰水型原子炉においては、原子炉圧力容器内の炉心で加熱された冷却材が気液二相流となって気水分離器に導かれ、蒸気は上部の蒸気乾燥器に、また、高温冷却材である水は気水分離器外に排出され、ダウンカマ部に案内される。
【0004】
気水分離器から排水された高温冷却材は、ダウンカマ部の上部空間において原子炉給水系の給水スパージャから噴出される低温冷却材と混合されて、ダウンカマ部を下降し、原子炉圧力容器内底部の炉心下部プレナムに入り、ここで反転して炉心入口部に至る。
【0005】
一方、強制循環型沸騰水型原子炉では、ダウンカマ部の下流側に原子炉内再循環ポンプが設置される。原子炉内再循環ポンプはダウンカマ部の周方向に沿って略等間隔に複数台、例えば10台設置される。
【0006】
ダウンカマ部下流側設置の原子炉内再循環ポンプにより、気水分離器からの高温冷却材および給水スパージャからの低温冷却材は再度混合された後、炉心下部プレナムに導かれ、自然循環型沸騰水型原子炉と同様に炉心入口部に至る。
【0007】
原子炉圧力容器内で高温冷却材と低温冷却材の混合が行なわれる沸騰水型原子炉において、炉心入口部での冷却材温度分布を正確に捉えることは、炉心性能監視にとって極めて有用である。
【0008】
沸騰水型原子炉では、特許文献1に記載された原子炉ヒートバランス炉心流量測定法により、炉心入口での冷却材のエンタルピ平均値を用いて炉心流量を算出したり、また、原子炉炉心を構成する各燃料ハンドルの軸方向ボイド率分布や軸方向出力分布、および最大線出力密度(MLHGR)や最小限界出力比(MCPR)等の各種炉心特性を算出している。
【0009】
原子炉ヒートバランス炉心流量測定法は、冷却材の原子炉内循環の圧力損失を小さくとる必要がある自然循環型沸騰水型原子炉において、特に有用な炉心流量測定法である。この炉心流量測定法は、原子炉を出入りする冷却材のエンタルピと冷却材の質量流量を乗じた熱量の流出入量、炉心で発生する熱量、および原子炉からの放熱量の定常状態のバランス式をもとに、そのなかのパラメータである炉心流量を算出する方法である。
【0010】
原子炉ヒートバランス炉心流量測定法により炉心流量、すなわち冷却材の質量流量を求めるに当たり、炉心入口部での冷却材の平均温度を高精度に測定することが要求される。
【0011】
また、強制循環型沸騰水型原子炉において、原子炉ヒートバランス炉心流量測定法により、炉心流量計測を行なった例を非特許文献1に示す。
【0012】
一方、沸騰水型原子炉の炉心性能監視においては、炉心入口部の冷却材温度、炉心状態データ、および局所出力領域モニタ(LPRM)等の炉内核計装装置による物理量の実測値を用いて、3次元炉心核熱水力計算により、原子炉炉心を構成する各燃料バンドル(燃料集合体)の軸方向ボイド率分布や、軸方向出力分布、および最大線出力密度(MLHGR)や最小限界出力比(MCPR)等の各種炉心特性の計算を行なう。
【0013】
沸騰水型原子炉では、原子炉炉心の炉心入口における冷却材の温度分布を正確に捉えることでその計算精度を高めることができ、炉心性能監視を正確に精度よく行なうことができる。
【特許文献1】特開平9−133782号公報
【非特許文献1】A. Takagi, et al., “Development of the Heat Balance Method to Calculate the Mass Flow Rate”, The 6th International Conference on Nuclear thermal Hydraulics Operations and Safety (NUTHOS-6), Nara, Japan, October 4-8, 2004, Paper ID N6P240
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
沸騰水型原子炉の原子炉性能監視には、ダウンカマ部および炉心入口部における冷却材温度分布を正確に測定することが重要であり、ダウンカマ部および炉心入口部の冷却材温度分布の形成の様子を知ることは有意義である。
【0015】
沸騰水型原子炉においては、図11に示すように、原子炉圧力容器1とこの原子炉圧力容器1内に収納される炉心シュラウド2とによりトーラス状あるいはスリーブ状のダウンカマ部3が形成される。炉心シュラウド2は内部に原子炉炉心4が設けられる一方、炉心シュラウド3の頂部はシュラウドヘッド5により覆われる。
【0016】
シュラウドヘッド5の上方には気水分離器(セパレータ)6が、図12および図13に示すように設けられ、この気水分離器6から排出される高温の冷却材(実線矢印A)と、給水スパージャ7から噴出される低温の冷却材(破線矢印B)との混合による冷却材温度分布形成の様子を図11ないし図13に示す。図12および図13は図11におけるC−C線およびD−D線に沿う断面図をそれぞれ示す。
【0017】
シュラウドヘッド5上の気水分離器6からの高温冷却材Aは周方向が略一様にダウンカマ部3に流れ、このダウンカマ部3に案内される際に給水スパージャ7の各スパージャノズル7aから噴出される低温冷却材Bと混合せしめられる。
【0018】
沸騰水型原子炉の給水スパージャノズル7aはダウンカマ部3上方で周方向に一様に配置されておらず、給水スパージャ7,7間および給水ノズル7bの炉心シュラウド3側(放射方向内側)にスパージャノズル7aの空白領域が存在する。このうち、給水スパージャ7,7間は給水スパージャノズル7aのノズル口の向きを放射方向に対し交差するように調整することで、低温冷却材Bの一様噴射を図っている。
【0019】
しかし、給水ノズル7bのノズル口直近には給水スパージャノズル7aが配置されておらず、給水ノズル7bのノズル口近傍両側の給水スパージャノズル7aは原子炉圧力容器1の半径方向内方を向くため、給水スパージャ7からの低温冷却材Bの割合が少ない。このため、給水ノズル7bのノズル口方向の低温冷却材Bの割合が少なく、給水ノズル7b,7b間の中間で低温冷却材Bの割合が大きい。
【0020】
逆に、給水ノズル7bのノズル口方向は、気水分離器6から排出される高温冷却材Aが占める割合が大きく、給水ノズル7bのノズル口付近領域のダウンカマ部3には図12に示すように、高温の冷却材Aが流れ込む。一方、給水ノズル7b,7bの中間では、図13に示すように、給水スパージャ7から噴射される低温冷却材Bの割合が大きく、この領域のダウンカマ部3では給水ノズル7bのノズル口領域に較べて低温の冷却材Bが流れ込む。
【0021】
このように、ダウンカマ部3には、図14に示すように、給水ノズル7bの配置に応じて周方向に高温領域8aと低温領域8bの冷却材の温度分布が交互に形成される。ダウンカマ部3の周方向温度分布は自然循環型沸騰水型原子炉および強制循環型沸騰水型原子炉に共通である。
【0022】
また、沸騰水型原子炉ではダウンカマ部3に、給水ノズル7bの配置に応じて周方向に冷却材の温度分布が形成されるが、このダウンカマ部3の下流側に再循環ポンプの設置の有無により、炉心入口部における冷却材温度分布の形成が異なる。すなわち、再循環ポンプを備えない自然循環型沸騰水型原子炉と再循環ポンプを備えた強制循環型沸騰水型原子炉とでは、炉心入口部の冷却材温度分布が異なる。
【0023】
自然循環型沸騰水型原子炉では、図15に示すように再循環ポンプが存在しないために、炉心入口部における冷却材温度分布は、ダウンカマ部3における冷却材温度分布と同様、周方向に交互に、かつ給水ノズル7bの配置の周方向位置に応じて形成される。
【0024】
一方、強制循環型沸騰水型原子炉では、図16に示されるようにダウンカマ部3の冷却材の温度分布は、自然循環型沸騰水型原子炉と略同様な温度分布を持って再循環ポンプPに流入されるが、この再循環ポンプPで冷却材が積極的に混合される。このため、炉心下部プレナムには各再循環ポンプP毎に異なる温度の冷却材が流入され、流入された冷却材は炉心下部プレナムで反転して炉心入口部に案内される。炉心入口部における冷却材温度分布は再循環ポンプPの配置に応じて、高温領域9a、低温領域9bおよび中間温度領域9cがそれぞれ周方向に形成される。
【0025】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、ダウンカマ部または炉心入口部の冷却材温度分布を合理的かつ正確に測定し、測定された冷却材の温度分布に基づき炉心流量測定および炉心性能監視を正確に精度よく行なうことができる沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置およびその測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明に係る沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置は、上述した課題を解決するために、原子炉圧力容器内に原子炉炉心を収容し、この原子炉炉心の下部に炉心入口部を形成するとともに上記原子炉炉心を炉心シュラウドで囲み、この炉心シュラウドと原子炉圧力容器との間にダウンカマ部が設けられた沸騰水型原子炉において、前記原子炉圧力容器の中心から炉心シュラウドに至る径方向中央位置に、かつ、原子炉給水系からの給水ノズルに対応する周方向位置の炉心入口部に複数個の温度計を設け、上記各温度計により炉心入口部の冷却材温度およびその温度分布を測定するものである。
【0027】
また、本発明に係る沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置は、上述した課題を解決するために、原子炉圧力容器内に原子炉炉心を収容し、この原子炉炉心の下部に炉心入口部を形成するとともに上記原子炉炉心を炉心シュラウドで囲み、この炉心シュラウドと原子炉圧力容器との間にダウンカマ部が設けられた沸騰水型原子炉において、前記ダウンカマ部の下部に複数台の再循環ポンプを周方向に間隔をおいて設け、前記原子炉圧力容器の中心から炉心シュラウドに至る径方向中央位置に、かつ前記再循環ポンプに対応する周方向位置の炉心入口部に複数個の温度計を設け、上記各温度計により炉心入口部の冷却材温度およびその温度分布を測定するものである。
【0028】
さらに、本発明に係る沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置は、上述した課題を解決するために、原子炉圧力容器内に原子炉炉心を収容し、この原子炉炉心の下部に炉心入口部を形成するとともに上記原子炉炉心を炉心シュラウドで囲み、この炉心シュラウドと原子炉圧力容器との間にダウンカマ部が設けられた沸騰水型原子炉において、前記ダウンカマ部に、原子炉給水系からの給水ノズルに対応する周方向位置および上記給水ノズル間の中間位置に対応する周方向位置に温度計を設け、上記各温度計によりダウンカマ部における冷却材温度およびその温度分布を測定するものである。
【0029】
またさらに、本発明に係る沸騰水型原子炉の冷却材温度測定方法は、上述した課題を解決するために、沸騰水型原子炉の炉心入口部の冷却材温度およびその温度分布を測定する方法において、原子炉圧力容器の中心から炉心シュラウドに至る径方向の中央位置と、原子炉給水系の給水ノズルあるいは再循環ポンプに対応する周方向位置との交点を代表点とし、上記各代表点付近に温度計を配置し、各温度計にて炉心入口部の冷却材温度およびその温度分布を測定する方法である。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置およびその測定方法は、冷却材温度を測定する温度計を炉心入口部あるいはダウンカマ部に効率的にかつ能率よく配置することで、炉心入口部またはダウンカマ部の冷却材温度およびその温度分布を合理的にかつ少ない温度計で正確に測定し、測定された冷却材温度およびその温度分布に基づき、炉心流量および炉心性能監視を正確に精度よく行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明に係る沸騰水型原子炉の冷却材温度測定装置およびその測定方法の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0032】
水を冷却材とする軽水炉は加圧水型原子炉と沸騰水型原子炉に分けられ、このうち沸騰水型原子炉は再循環ポンプを備えない自然循環型沸騰水型原子炉と再循環ポンプを備えた強制循環型沸騰水型原子炉に大別される。
【0033】
[第1の実施形態]
図1は再循環ポンプを備えない自然循環型沸騰水型原子炉の縦断面図を示すものである。
【0034】
自然循環型沸騰水型原子炉10は、密閉された原子炉圧力容器11内に多数の燃料集合体が装架されて原子炉炉心12が形成され、この原子炉炉心12の上方にチムニ13が設けられる。原子炉炉心12およびチムニ13は炉心シュラウド14で覆われ、この炉心シュラウド14はシュラウドヘッド15で覆われる。
【0035】
シュラウドヘッド15の上部には、セパレータとしての気水分離器16が設けられ、この気水分離器16で原子炉炉心12で加熱作用を受けた気液二相流は蒸気分と液分(水)とに分離される。分離された蒸気分は蒸気乾燥器17で乾燥され、乾き蒸気となって主蒸気系18から蒸気タービンに送られ、発電機を駆動して発電するようになっている。
【0036】
蒸気タービンで仕事をし、膨張した蒸気は復水器(図示せず)で凝縮して復水となり、この復水は原子炉復水系および原子炉給水系20を経て原子炉圧力容器11内に給水(還流)される。
【0037】
一方、原子炉圧力容器11と炉心シュラウド14との間には、円筒状あるいはスリーブ状のダウンカマ部21が形成され、このダウンカマ部21に気水分離器16から排出される水(高温冷却材A)と、原子炉給水系20に接続され、給水スパージャ22から噴射される給水(低温冷却材B)とが混合せしめられる。この混合流はダウンカマ部21を下降して炉心下部プレナム23に至る。高温冷却材Aと低温冷却材Bの混合流は炉心下部プレナム23で反転し、炉心入口部24に導かれる。
【0038】
炉心入口部24から原子炉炉心12に案内される冷却材(炉水)が、この原子炉炉心12を上昇する間に冷却材は核反応作用を受けて加熱され、気液二相流となる。この気液二相流は原子炉炉心12からチムニ13を経て炉心上部プレナム25に導かれ、気水分離器16に案内される。
【0039】
また、原子炉炉心12の下部には原子炉の停止や炉出力制御を行なう制御棒27が制御棒駆動機構28により、原子炉炉心12に下方から出し入れ自在に設けられる。また、符号29は局所出力モニタ(LPRM)計装管である。
【0040】
図2は、自然循環型沸騰水型原子炉10に、複数本、例えば6本の給水ノズル30を備えた場合における炉心入口部24への温度計31の配置例を示すものである。
【0041】
図2は2系統の原子炉給水系20にヘッダ配管(図示せず)を介して給水スパージャ22が、例えば3本ずつ6本取り付けられた例を示す。原子炉給水系20に接続される各給水ノズル30には平面視弧状の給水スパージャ22がそれぞれ接続される。各給水スパージャ22は原子炉圧力容器11内の周方向に等間隔に配置され、ダウンカマ部21の上方に位置される。
【0042】
給水ノズル30がダウンカマ部21の上方周方向位置、例えば0°,60°,120°,180°,240°,300°の周方向位置に配置されるとすると、原子炉炉心12の炉心入口部24には0°,60°,120°,180°,240°,300°の周方向位置周辺が冷却材の高温領域33aに、30°,90°,150°,210°,270°,330°の周方向位置周辺が冷却材の低温領域33bに形成され、冷却水温度分布は炉心入口部24の周方向に高温領域と低温領域が交互あるいは周期的に形成される。
【0043】
炉心入口部24では、給水ノズル30に対応する周方向位置領域が高温領域33aに、給水ノズル30,30間の中間位置に対応する周方向位置領域が低温領域33bに形成される。温度計31は原子炉圧力容器11の中心から炉心シュラウド14に至る放射方向(径方向)に略中央位置に配置される。温度計31は給水ノズル30に対応する周方向位置と、給水ノズル30,30間の中間位置に対応する周方向位置であって炉心入口部24に配置するとともに、原子炉圧力容器11の中心位置の炉心入口部24にも温度計31が配置される。
【0044】
また、図3は沸騰水型原子炉のダウンカマ部21への温度計35の配置例を示す。ダウンカマ部21には温度計35が等間隔に配置され、給水ノズル30に対応する周方向位置の冷却材高温領域36aと、給水ノズル30,30間の中間位置に対応する周方向位置の冷却材低温領域36bに温度計35がそれぞれ設けられる。
【0045】
ダウンカマ部21には給水ノズル30に対応する周方向位置に高温領域36aが、給水ノズル30,30間の中間位置に対応する周方向位置に低温領域36bがそれぞれ形成され、高温領域36aと低温領域36bはダウンカマ部21の周方向に交互に形成される。各高温領域36aと低温領域36bのほぼ中央部に温度計35が配置される。温度計35は炉心シュラウド14の外周と原子炉圧力容器の内周側に至るダウンカマ部21の略中央部あるいはその内側に設けられる。
【0046】
次に、自然循環型沸騰水型原子炉10の作用を説明する。
【0047】
この実施形態に示された自然循環型沸騰水型原子炉10では、原子炉圧力容器11に取り付けられる給水ノズル30の周方向位置(0°,60°,120°,180°,240°,300°の周方向位置)および各給水ノズル30間の中間位置(30°,90°,150°,210°,270°,330°の周方向位置)に、かつ、原子炉圧力容器11の炉心中心から炉心シュラウド14に至る放射方向(径方向)中央位置の炉心入口付近に温度計31が、図2に示すように配置される。この温度計31の配置位置は、炉心入口領域の周方向に高温領域33aおよび低温領域33bが交互に形成されるが、この周方向交互に形成される高温領域33aおよび低温領域33bの略中央に当たり、温度勾配が小さい。
【0048】
したがって、温度計31が配置される位置近傍の代表温度、すなわち炉心入口部における冷却材の温度を小さなバラツキで計測可能であるとともに高温領域33aと低温領域33bを代表するサンプリングとなり、冷却材の温度分布の予測精度が向上する。
【0049】
さらに、原子炉炉心12の炉心入口24に配設される温度計31は、少ない計測点数で計測温度の平均値を真の炉心入口部24の体積平均温度に近付けることができる。
【0050】
また、原子炉圧力容器11の中心位置付近では、高温および低温の冷却材が混合しており、炉心入口部24全体に亘る冷却材温度の平均に近い。このため、炉心入口部24の中心位置付近にも温度計31を配置することで、冷却材の温度分布の予測精度をより一層向上させることができ、冷却材計測温度の平均値を真の炉心入口部24の体積平均温度に近付けることができる。
【0051】
この自然循環型沸騰水型原子炉10では、温度計31を図2に示すように配置することで、少ない温度計31で炉心入口部24における冷却材温度分布を合理的にかつ精度よく直接測定することができる。これにより、炉心入口部24の正確な冷却材温度分布を得て炉心性能監視を高精度に行なうことができる。
【0052】
また、原子炉炉心12の炉心入口部24に亘る冷却材温度の真の平均値と測定温度の算術平均値の差を小さくすることができるため、原子炉ヒートバランス炉心流量測定法による炉心流量測定を精度よく行なうことができる。
【0053】
他方、自然循環型沸騰水型原子炉10においては、ダウンカマ部21に、図3に示すように温度計35を配置して、各温度計35の温度測定値に基づき、炉心入口部24の冷却材温度分布を予測することができる。
【0054】
図4は、ダウンカマ部21に配置される各温度計35による温度測定値に基づき、炉心入口部24における冷却材温度分布を予測するフローチャートを示すものである。
【0055】
ダウンカマ部21には気水分離器16から排出される高温冷却材Aと給水スパージャ22から噴出される低温冷却材Bとが導かれる。高温冷却材Aと低温冷却材Bが混合する混合領域からダウンカマ部21を下降して炉心入口部24に至るまでの冷却材の熱流動解析を既知の方法で予め実施する。
【0056】
熱流動解析結果から、ダウンカマ部21の冷却材周方向の温度分布と炉心入口部24の冷却材温度分布との相関関係を予めデータベース化しておく。
【0057】
このデータベースに、ステップS1でダウンカマ部21に配置された各温度計による冷却材の温度測定値を入力し、熱流動解析結果に基づく炉心入口部24の温度分布を予測する(ステップS2)。
【0058】
そして、ステップS3にて、冷却材温度に影響を与えるパラメータ、例えば原子炉圧力容器11からの放熱、炉心からのガンマ加熱等のうちデータベースで考慮しなかったパラメータ(強制循環型沸騰水型原子炉10Aの場合における再循環ポンプの入熱)、に対する補正を必要に応じて行ない、最終的な炉心入口部24における冷却材温度分布の予測結果を出力する(ステップS4)。
【0059】
この自然循環型沸騰水型原子炉10では、ダウンカマ部21に複数の温度計35を図3に示すように配置する。ダウンカマ部21に配置される温度計35は、給水ノズル30に対応する各周方向位置、例えば0°,60°,120°,180°,240°,300°の全ての位置と、給水ノズル30,30間の中間位置、例えば30°,90°,150°,210°,270°,330°の全ての周方向位置に、かつダウンカマ部12の幅の略中央部に配置される。
【0060】
このようにダウンカマ部21に各温度計35を配置すると、各温度計35は、ダウンカマ部21における冷却材温度分布が高温領域36aと低温領域36bの中央領域に配置され、温度勾配も小さい。したがって、ダウンカマ部21に配置される温度計35により高温領域36aおよび低温領域36bの代表温度を小さなバラツキで計測可能となり、かつ、高温領域36aおよび低温領域36bを代表する良好な冷却材温度のサンプリングとなるため、冷却材温度分布の予測精度が向上する。
【0061】
また、各温度計による測定値をデータベースに入力することで、炉心入口部24における冷却材温度分布を計算により、間接的にかつ正確に予測することが可能である。
【0062】
自然循環型沸騰水型原子炉10において、保守が容易なダウンカマ部21に温度計35を配置した場合でも、少ない温度計35の数でダウンカマ部21における冷却材温度分布を合理的に測定することができ、この測定値を基に炉心入口部24における冷却材温度分布を演算計算により間接的に予測することができる。
【0063】
これにより、沸騰水型原子炉10の炉心性能監視、および原子炉ヒートバランス炉心流量測定法による炉心流量測定を、保守が容易なダウンカマ部21に温度計35を設置するだけで高精度に行なうことができる。
【0064】
また、図2および図3を組み合せ、ダウンカマ部21に各温度計35を、また、炉心入口部24に温度計31をそれぞれ配置することで、炉心入口部24における冷却材の温度分布をより一層正確かつ精度よく測定することができる。
【0065】
[第2の実施形態]
図5は、本発明に係る第2実施形態の強制循環型沸騰水型原子炉を示す縦断面図である。
【0066】
この強制循環型沸騰水型原子炉10Aは、ダウンカマ部21の下部に複数台の再循環ポンプ40が周方向に間隔をおいて配置される一方、原子炉炉心12の上方にチムニ13が設けられていない点が、図1に示された自然循環型沸騰水型原子炉10と基本的に相違し、他の構成は実質的に異ならないので同じ構成には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0067】
この強制循環型沸騰水型原子炉10Aは、原子炉炉心12の上方はシュラウドカバー15で覆われ、シュラウドカバー15内に炉心上部プレナム25が形成される。シュラウドカバー15は炉心シュラウド14の頂部に設けられる。この炉心シュラウド14と原子炉圧力容器11との間に円筒状あるいはスリーブ状のダウンカマ部21が形成され、このダウンカマ部21の下部に原子炉内再循環ポンプ40が設けられる。
【0068】
図6は、原子炉内再循環ポンプ40をダウンカマ部21の周方向に例えば10台等間隔に設置した例を示す。再循環ポンプ40は、ダウンカマ部21の周方向位置が0°,36°,72°,108°,144°,180°,216°,252°,288°,324°の位置に設置された場合、温度計45は炉心入口部24において、再循環ポンプ40に対応する周方向位置で、かつ原子炉炉心中心から炉心シュラウド14に至る放射方向(径方向)中央部の交点位置に配置される。
【0069】
この場合、原子炉炉心12の炉心入口部24においては、周方向位置が0°,180°の位置を中心に高温領域46aが、36°,144°,216°,324°の位置を中心に低温領域46bが、また、72°,108°,252°,288°の位置を中心に高温と低温の中間温度領域46cがそれぞれ形成され、炉心入口部24は周方向に冷却材温度分布が形成される。
【0070】
原子炉炉心12の炉心入口部24における冷却材の温度分布を考慮し、温度計45を炉心入口部24の中央に配置するとともに、全ての再循環ポンプ40に対応した炉心入口部24の周方向位置に、かつ原子力発電プラント11の中心から炉心シュラウド14に至る径方向位置の中央付近に配置される。この場合、炉心入口部24の径方向(放射方向)中央位置と全ての再循環ポンプ40に対応する周方向位置の交点ならびに炉心入口部24の中央部に温度計45がそれぞれ設けられる。炉心入口部24の中央部には、高温冷却材Aと低温冷却材Bが混合しており、冷却材温度が略平均化されているので、この位置にも温度計45が配置される。
【0071】
しかして、強制循環型沸騰水型原子炉10Aでは、原子炉炉心12の炉心入口部24は、再循環ポンプ40に対応する周方向位置の全て、例えば0°,36°,72°,108°,144°,180°,216°,252°,288°,324°の周方向位置を中心とした領域で、かつ原子炉圧力容器11の中心から炉心シュラウド14に至る径方向の中央付近位置は、それぞれ高温領域46a、低温領域46bあるいは中間領域46cにあり、冷却材の温度勾配が小さい。
【0072】
したがって、各温度計45を図6に示すように、炉心入口部24に配置することで、温度計設置位置近傍の代表温度を小さなバラツキで計測可能となり、しかも、高温領域46a、低温領域46bおよび中間領域46cを代表する良好なサンプリングにより、冷却材の温度分布の予測精度を向上させることができる。さらに、炉心入口部24に温度計45を効率よく配置することで、少ない計測点数で冷却材計測温度の平均値を炉心入口部24における真の体積平均温度に近付けることが可能である。
【0073】
また、原子炉圧力容器11の中心付近の領域では高温冷却材Aおよび低温冷却材Bが混合しており、平均温度に近い。この中心付近領域に温度計45を配置することで、冷却材の温度分布予測精度をさらに向上させることができ、冷却材予測温度の平均値を真の炉心入口部24の体積平均温度に近付けることができる。
【0074】
第2実施形態では、冷却体の温度および温度分布を計測する温度計45を、図6に示すように配置することで、炉心入口部24の冷却材温度分布を少ない温度計45の設置数で合理的に測定することができる。これにより、沸騰水型原子炉10Aの炉心性能監視を高精度に行なうことができる。さらに、炉心入口部24における冷却材温度の真の平均値と測定温度の算術平均値の差を小さくすることができるために、原子炉ヒートバランス炉心流量測定法による炉心流量測定を正確に精度よく行なうことができる。
【0075】
この強制循環型沸騰水型原子炉10Aにおいても、図3に示すようにダウンカマ部21に給水ノズル30に対応させて温度計35を配置するとともに、給水ノズル30,30間の中間位置にも温度計35をそれぞれ設置し、各温度計35によりダウンカマ部21における周方向の冷却材温度分布を計測するとともに、このダウンカマ部21の冷却材温度分布から炉心入口部24における冷却材の温度分布を測定して原子炉ヒートバランス炉心流量測定法により、炉心か流量測定を精度よく行なうことができる。
【0076】
[第3の実施形態]
図7は、本発明に係る第3実施形態を示すもので、炉心シュラウド14の周方向における炉心入口部24の冷却材温度分布を示す模式図である。この模式図は自然循環型沸騰水型原子炉10および強制循環型沸騰水型原子炉10Aに適用することができる。
【0077】
原子炉炉心12の炉心入口部24において、図15に示すように、炉心入口部の周方向に高温領域9aと低温領域9bが交互に存在し、また、図16に示すように炉心入口部の周方向に高温領域9aと低温領域9bと中間温度領域9cとが周期的に存在すると予測される場合、図2および図6に示す炉心入口部24の測定点に温度計31および45をそれぞれ設置する一方、図3に示すようにダウンカマ部21の測定点に温度計35を、それぞれ必要に応じて設置する。
【0078】
図7に示された冷却材温度分布のグラフでは、図2(図6)および図3に示された炉心入口部24の測定点およびダウンカマ部21の測定点を代表測定点とし、この代表測定点と、この代表測定点間の中間位置にさらに温度計を追設した例を示す。
【0079】
冷却材の温度を図2(図6)および図3に示す代表測定点で測定するとともに、代表測定点間の周方向中間位置である中間点でも冷却材温度を測定することにより、冷却材の平均温度分布をより正確かつ高精度に測定することができる。
【0080】
図7に実線aで示す本来予測される温度分布から中間点温度を用いて代表測定点間の温度分布(実線b)を測定することができる。仮に、実際の温度分布が予測される温度分布からずれている場合、一点鎖線線cおよび破線dで示すように、中間点温度を用いて計算される代表測定点間の温度勾配が一点鎖線線eおよび破線fで示すように異なる。これにより、高温領域46aと低温領域46bの予測を修正することができ、代表点から平均温度を求める際に、修正された温度分布に応じた重み付けを行なって平均化することができる。
【0081】
このように、代表測定点だけでなく、中間点の温度測定を追加することで、沸騰水型原子炉において、炉心入口部24もしくはダウンカマ部21における冷却材の温度分布を合理的に高精度に予測することができる。炉心入口部24、ダウンカマ部21の冷却材の温度分布を正確に測定することで、炉心性能監視を精度よく行ない、原子炉ヒートバランス炉心流量測定を精度よく行なうことができる。
【0082】
[第4の実施形態]
図8は、本発明に係る第4実施形態を示す概略的な模式図である。
【0083】
図8は沸騰水型原子炉10(10A)の炉心性能監視装置50を表わしたもので、この炉心性能監視装置50は、中央演算処理装置としてのプロセス計算機51を備え、このプロセス計算機51に炉心入口部24もしくはダウンカマ部21に配置された複数の温度計31(45)もしくは35からの冷却材温度測定データ(物理量測定データ)が入力され、炉心入口冷却材温度分布計算部52に演算処理される。
【0084】
炉心入口冷却材温度計算部52では、各温度計31(45)もしくは35で測定された冷却材の測定温度を入力し、炉心入口冷却材温度分布を演算処理して、沸騰水型原子炉10(10A)内の各燃料バンドル(燃料集合体)の炉心入口冷却温度を求める。
【0085】
炉心入口冷却材温度計算部52で算出された各燃料バンドルの炉心入口冷却材温度は、3次元炉心核熱水力計算部53に入力される。
【0086】
一方、3次元炉心核熱水力計算部53では、炉心入口冷却材温度分布計算部52から入力された炉心入口冷却材温度と炉心状態データおよび局所出力領域モニタ(LPRM)等の炉内核計装装置実測値54を用いて3次元炉心核熱水力計算により出力分布計算を行なう。計算結果は表示装置55により表示され、運転員が確認することができる。
【0087】
次に、沸騰水型原子炉10(10A)の炉心性能監視装置50の作用を説明する。
【0088】
沸騰水型原子炉10(10A)の原子炉炉心12の炉心入口部24に配置された各温度計31(45)の測定データは、図8に示すように、プロセス計算機51の炉心入口冷却材温度分布計算部52へ伝送され、炉心入口冷却材温度分布が演算される。
【0089】
また、炉心入口冷却材温度分布をもとに、原子炉炉心12の各燃料バンドルの炉心入口冷却材温度を演算処理で求める。3次元炉心核熱水力計算部53は、炉心入口冷却材温度分布計算部52において演算された各燃料バンドルの炉心入口温度と、実機の炉心状態データおよび局所出力領域モニタ(LPRM)等の炉内核計装装置実測値54を用いて3次元炉心核熱水力計算による出力分布計算を行なう。3次元炉心核熱水力計算により、軸方向ボイド率分布、軸方向出力分布、最大線出力密度(MLHGR)、および最小限界出力比(MCPR)といった各種炉心特性が求められ、炉心性能監視が行なわれる。
【0090】
炉心入口冷却材温度分布については、温度計測データの最大温度と最低温度の間を等温度間隔で2種類以上の温度領域に分割し、各温度領域の炉心入口冷却材温度を1つの代表温度に設定したものを用いてもよい。こうすることで、各燃料バンドルの炉心入口冷却材温度は幾つかの代表温度で代用されるため、沸騰水型原子炉10(10A)内の全ての燃料バンドルに対して炉心入口冷却材温度を求めるよりも計算時間を短縮することができる。
【0091】
図9は、沸騰水型原子炉10(10A)の原子炉炉心12の平断面を示す模式図であり、この沸騰水型原子炉10(10A)は原子炉炉心12の炉心入口冷却材温度を3領域に分けた一例を示す。
【0092】
従来の3次元炉心核熱水力計算では各種炉心特性を1点の炉心入口代表温度で算出しているが、本実施形態では各燃料バンドルに対して炉心入口温度を設定するため、従来に比べての測定精度の良いボイド率分布や出力分布およびMLHGRやMCPRの各種炉心特性を計算することができる。
【0093】
図10は、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)、すなわち強制循環型沸騰水型原子炉10Aにおいて、最外周を除く燃料バンドル(ホットバンドル;燃料集合体)について、ホットバンドルのうち1体の炉心入口冷却材温度が5℃低下した場合の平均ボイド率及び燃料バンドルに流れる冷却材流量の変化を示した一例である。
【0094】
ボイド率は基準ケースのホットバンドルのバンドル平均ボイド率が約63%であるのに対し、炉心入口冷却材温度が5℃低下したケースでは、炉心入口冷却材温度が低下することでサブクールが増加し平均ボイド率は7%程度低下する。
【0095】
また、バンドル平均ボイド率が低下することで、バンドル内の気液二相流圧損が減少するため、バンドル内の冷却材流量が約0.6%増加する。このように、各燃料バンドルの炉心入口冷却材温度を算出し、3次元炉心核熱水力計算を行なうことで、従来に比べて精度の良い炉心特性を計算することができる。
【0096】
また、燃料バンドルのチャンネルボックス外のバイパス部においても、炉心入口温度分布を用いることでバイパス部における温度分布を計算することができるため、例えばバイパス部でのボイド発生の有無や、軸方向ボイド率分布を計算することも可能である。
【0097】
本実施の形態によれば、従来の沸騰水型原子炉のように炉心入口温度を1点で代表して3次元炉心核熱水力計算を実施するのに対し、原子炉炉心12内における炉心入口部の冷却材温度の温度分布を詳細に求め、各燃料バンドルの炉心入口冷却材温度を用いて3次元炉心核熱水力計算を行なうことで、各燃料バンドルの出力分布やボイド率、冷却材流量を精度良く求めることができる。したがって、最大線出力密度(MLHGR)や最小限界出力比(MCPR)といった原子炉運転中に監視する熱的制限値の精度を向上することができ、炉心入口冷却材温度を一定とする従来手法での不確定性による保守性を小さくすることができ、運転融通性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に係る第1実施形態を示すもので、自然循環型沸騰水型原子炉に適用される場合を示す縦断面図。
【図2】本発明の自然循環型沸騰水型原子炉に適用される炉心入口部の温度計の配置例を示す平断面図。
【図3】本発明の沸騰水型原子炉に適用されるダウンカマ部の温度計の配置例を示す平断面図。
【図4】本発明の沸騰水型原子炉のダウンカマ部における温度測定値の熱流動解析による炉心入口部の冷却材温度分布を予測するフローチャート。
【図5】本発明に係る第2実施形態を示すもので、強制循環型沸騰水型原子炉に適用される場合を示す縦断面図。
【図6】本発明の強制循環型沸騰水型原子炉に適用される炉心入口部の温度計の配置例を示す平断面図。
【図7】本発明に係る第3実施形態を示すもので、中間測定点を付加して炉心入口部の周方向の冷却材温度分布と代表測定点間の温度勾配を示す模式図。
【図8】本発明に係る第4実施形態を示すもので、原子炉の炉心性能監視装置を示す模式図。
【図9】炉心性能監視装置における炉心入口部の冷却材温度領域を3領域に分けた例を示す図。
【図10】改良型沸騰水型原子炉(ABWR)の燃料バンドルについて、炉心入口部の冷却材温度が5℃低下した場合における平均ボイド率および燃料バンドルに流れる冷却材の流量変化割合を示す図。
【図11】沸騰水型原子炉において気水分離器からの高温冷却材と給水スパージャからの低温冷却材との混合による冷却材の温度分布形成の説明図。
【図12】図11のC−C線に沿う部分的な断面図。
【図13】図11のD−D線に沿う部分的な断面図。
【図14】沸騰水型原子炉におけるダウンカマ部の温度分布形成を示す説明図。
【図15】自然循環型沸騰水型原子炉における炉心入口部の冷却材温度分布形成を示す説明図。
【図16】強制循環型沸騰水型原子炉における炉心入口部の冷却材温度分布形成を示す説明図。
【符号の説明】
【0099】
10,10A 自然循環型沸騰水型原子炉
11 原子炉圧力容器
12 原子炉炉心
13 チムニ
14 炉心シュラウド
15 シュラウドヘッド
16 気水分離器(セパレータ)
17 蒸気乾燥器
18 原子炉主蒸気系
20 原子炉給水系
21 ダウンカマ部
22 給水スパージャ
23 炉心下部プレナム
24 炉心入口部
25 炉心上部プレナム
27 制御棒
28 制御棒駆動機構
29 局所出力領域モニタ(LPRM)計装管
30 給水ノズル
31,35 温度計
33a,36a 高温領域
33b,36b 低温領域
40 原子炉内再循環ポンプ
45 温度計
46a 高温領域
46b 低温領域
46c 中間領域
50 炉心性能監視装置
51 プロセス計算機(中央演算処理装置)
52 炉心入口冷却材温度分布計算部
53 3次元炉心核熱水力計算部
54 炉心状態データLPRM実測値
55 表示装置(表示部)




 

 


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