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発明の名称 原子力プラント構造物の予防保全方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−178157(P2007−178157A)
公開日 平成19年7月12日(2007.7.12)
出願番号 特願2005−374187(P2005−374187)
出願日 平成17年12月27日(2005.12.27)
代理人 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久
発明者 久保 達也 / 淺野 政之 / 小畑 稔 / 角谷 利恵 / 板谷 雅雄 / 川野 昌平 / 菊池 正明 / 田中 徳彦
要約 課題
構造物部材に高残留応力あるいは高硬度部が残留することなく、SCCの発生を抑制する原子力プラント構造物の予防保全方法を提供する。

解決手段
本発明に係る原子力プラント構造物の予防保全方法は、原子力プラント構造物の応力分布・強度分布のいずれか一方、またはその両方を評価する工程11、12と、この評価にもとづいて前記構造物の応力腐食割れ対策が必要な領域を判定する工程13と、前記対策が必要と判定された領域の腐食環境に接する領域を除去する工程14とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子力プラント構造物の応力分布・強度分布のいずれか一方、またはその両方を評価する工程と、この評価にもとづいて前記構造物の応力腐食割れ対策が必要な領域を判定する工程と、前記対策が必要と判定された領域の腐食環境に接する領域を除去する工程とを備えたことを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
【請求項2】
請求項1記載の原子力プラント構造物の予防保全方法において、前記構造物の応力分布を評価する工程は、応力測定、数値解析のいずれか一方または両方の組み合わせの工程で行うことを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
【請求項3】
請求項1記載の原子力プラント構造物の予防保全方法において、前記構造物の強度分布を評価する工程は、硬さ分布測定、数値解析のいずれか一方または両方の組み合わせの工程で行うことを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
【請求項4】
請求項1記載の原子力プラント構造物の予防保全方法において、前記構造物の応力腐食割れ対策が必要な領域の判定は、応力分布が予め定められたしきい値以上となる領域を要対策領域としていることを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
【請求項5】
請求項1記載の原子力プラント構造物の予防保全方法において、前記構造物の応力腐食割れ対策が必要な領域の判定は、強度分布が予め定められたしきい値以上となる領域を要対策領域としていることを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
【請求項6】
請求項1記載の原子力プラント構造物の予防保全方法において、前記構造物の応力腐食割れ対策が必要な領域の判定は、過去の割れ事例から対策領域を設定することを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
【請求項7】
請求項1記載の原子力プラント構造物の予防保全方法において、前記構造物の応力腐食割れ対策が必要な領域の判定は、請求項4、請求項5、および請求項6のうち、少なくともいずれか2つ以上を組み合わせて行うことを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
【請求項8】
請求項1記載の原子力プラント構造物の予防保全方法において、前記構造物を除去する工程は、機械的切断、溶断、化学的切断のうち、少なくとも1つ以上で行うことを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
【請求項9】
請求項1記載の原子力プラント構造物の予防保全方法において、前記構造物を除去する工程は、除去後、平滑仕上げあるいは残留応力の改善のいずれか一方、あるいはその両方により表面仕上げを行うことを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
【請求項10】
請求項1記載の原子力プラント構造物の予防保全方法において、前記構造物の応力腐食割れ対策が必要な領域の判定は、除去を行う構造物の設計基準に基づいて除去範囲を選定することを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
【請求項11】
請求項1記載の原子力プラント構造物の予防保全方法において、前記構造物の製作過程において除去することを前提として、完成形状に除去分をあらかじめ加えた寸法の構造物を製作することを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
【請求項12】
請求項1記載の原子力プラント構造物の予防保全方法において、前記構造物の除去を、当該構造物の工場製作、現地据付、運転開始後の検査のうち、いずれかの終了後に行うことを特徴とする原子力プラント構造物の予防保全方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラント構造物の予防保全方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉圧力容器の内部に配置された炉内構造物は、オーステナイト系ステンレス鋼あるいは高ニッケル合金等の耐食性および高温強度に優れた材料を使用しているが、高温高圧の環境下での長期に亘る運転および中性子照射に起因して材料劣化の心配がある。
【0003】
特に、炉内構造物の溶接部あるいはその近傍は、溶接入熱による材料の鋭敏化および引張り残留応力の影響で潜在的に応力腐食割れが発生することがある。
【0004】
この応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking:以下SCCと記す)は、腐食性環境におかれた金属材料に引張応力が作用して生ずる割れ現象のことであり、材料、環境、応力の3つの因子が重なったときに発生すると考えられている。
【0005】
これら3つの因子のうち、応力の因子については、不働態皮膜を継続的に破壊するような引張応力や歪、腐食速度よりも遅くゆっくりした変形の進行がSCCの発生に影響があるとされている。
【0006】
また、軽水炉の一次冷却系のステンレス鋼やニッケル基合金等の材料に発生したSCCの要因についても、通常のステンレス鋼の溶接熱影響部の粒界応力腐食割れ(Inter granular SSC)は、溶接熱影響による材料の鋭敏化と溶接残留応力とが重なったために発生したとされている。
【0007】
さらにまた、低炭素ステンレス鋼では、表層部に残留している機械加工等による硬化層、溶接、加工による引張残留応力との3つの要因が重なることがSCC発生の主要因になっている。
【0008】
このため、SCCの発生を防ぐ手段には、材料の耐食性向上、原子炉運転水質の改善など、材料、腐食環境の改善が図られてきた。
【0009】
また、応力因子については、例えば、非特許文献1にも見られるように、表面圧縮応力を対象部分に与え、あるいは、配管の場合、高周波加熱による内面に圧縮力を与えるなどの施工を行ってきた。
【0010】
このような技術の推移、進展の中、SCC対策に係る技術には、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等数多くの発明が開示されている。
【0011】
例えば、特許文献1では、原子炉炉内構造物にレーザ光を照射し、残留応力の改善を行い、また、特許文献2では、対象部分にウォータジェットピーニングを施工して残留応力の改善を行い、また、特許文献3では、溶接施工後、溶接変形の矯正処理を行うため、溶接部分の端部に付加ビードとしてマルテンサイト変態開始温度300〜150℃または400〜200℃の溶接金属を被着させている。
【0012】
このように、従来の構造物では、構造物自身に発生する事象に適した施工手段を選択し、高い強度維持への予防保全を行っていた。
【特許文献1】特許第3306040号公報
【特許文献2】特許第299545号公報
【特許文献3】特開2003−103393号公報
【非特許文献1】原子力百科事典 URL http://mext−atm.jst.go.jp/atomica/02070222
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
構造物部材の応力改善対策に、上述特許文献1〜3または非特許文献1を適用する場合、構造物部材の残留応力は改善されるものの、高硬度部は、依然として構造物部材の表面に残留している。
【0014】
このため、追加補修溶接など何らかの形で外部より新たな負荷が加わった場合などは、再びSCC発生の可能性が高まるおそれがある。
【0015】
本発明は、このような事情にもとづいてなされたものであり、構造物部材の表面処理後、高残留応力あるいは高硬度部が残留することなくSCC発生を抑制する原子力プラント構造物の予防保全方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る原子力プラント構造物の予防保全方法は、上述の目的を達成するために、原子力プラント構造物の応力分布・強度分布のいずれか一方、またはその両方を評価する工程と、この評価にもとづいて前記構造物の応力腐食割れ対策が必要な領域を判定する工程と、前記対策が必要と判定された領域の腐食環境に接する領域を除去する工程とを備えたことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る原子力プラント構造物の予防保全方法は応力腐食割れの要因となる高残留応力部、高強度部を事前に検出し、設定し、除去するので、応力腐食割れの発生を的確に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る原子力プラント構造物の予防保全方法の実施形態を図面および図面に付した符号を引用して説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る原子力プラント構造物の予防保全方法の手順を示すブロック図である。
【0020】
本実施形態に係る原子力プラント構造物の予防保全方法は、構造物中の応力分布、強度分布のいずれか一方、またはその両方を評価する応力分布、強度分布評価としての第1工程11と、この評価にもとづいて構造物中で応力腐食割れ対策が必要な領域に予め定められたしきい値を基に判定を行う応力・強度しきい値判定としての第2工程12と、この第2工程12における判定結果に基づいて対策範囲を策定する対策範囲策定工程としての第3工程13と、対策が必要と判定された領域の腐食環境に接する部分の一部と除去する要対策領域除去工程としての第4工程14とを備える構成になっている。
【0021】
また、構造物中、高応力、高強度部の除去は、構造物の製作過程において、その一部を除去することを前提とし、構造物の完成形状に除去分の寸法を予め加えて作製した構造物についても上述の各工程を採ることができる。
【0022】
また、除去施工は、構造物の工場製作工程、現地据付工程、運転開始後の検査工程のいずれの工程終了後に行ってもよい。
【0023】
このような各工程を採る本実施形態に係る原子力プラント構造物の予防保全方法は、部分除去対策を行った領域において、高温純水中のSCCの要因となる高残留応力部、高強度部を除去しているので、SCC割れの発生を未然に防ぐことができる。
【0024】
一方、上述の各工程中、応力分布・強度分布を評価する第1工程11の具体的手法は、図2に示すように、実際の製作物あるいは製作物と同様の手順を用いて製作した製作物と同一形状、あるいはその一部の模擬試験体を用い、例えばX線法、ひずみゲージ法、光弾性法等に基づいて応力を測定し、応力数値解析を行うか、あるいは、例えばビッカース硬さ、タープ硬さ等により硬さを実測し、数値解析を行うか、さらには構造物の幾何学的形状を基にした数値解析のいずれかの手法を用いて行われる。
【0025】
応力分布評価手段21は、例えば、「最新応力・ひずみ測定・評価技術(監修:河田幸三 イーティーエス社 1992年5月)」に記載されているように、ひずみゲージ法、光弾性法、X線応力測定法、数値解析、磁気ひずみ法、ホログラフィ法、スペックル法、画像処理法、音弾性法、赤外線法、アコーステックス法、応力塗料膜法、モアレトポグラフィ・ホログラフィ干渉などのうち、いずれかの手法を用いる。
【0026】
また、強度(硬さ)分布評価手段22には、硬さ分布、残留ひずみ分布などのうち、いずれかが用いられる。なかでも、硬さ分布の評価には、ビッカース硬さ、タープ硬さ、ブリネル硬さ、ロックウェル硬さ、ショア硬さ、スーパーフィシャル硬さ、反発硬度などのうち、いずれかが用いられる。
【0027】
また、残留ひずみ分布の評価には、数値解析が用いられる。
【0028】
他方、構造物中、応力腐食割れ対策が必要な部分に予め定められたしきい値を基に判定を行う第2工程12の具体的手法は、図3に示すように、上述の第1工程で求めた応力・強度分布から、実機運転中の各部分について、SCC感受性を示すと考えられている応力のしきい値、強度のしきい値を超えるか否かについて判定を行うSCC発生環境判定工程23を備えている。
【0029】
すなわち、このSCC発生環境判定工程23は、計測応力値が応力しきい値を超えているか否かの判定を行う応力判定工程24、強度値が強度しきい値を超えているか否かの判定を行う強度判定工程25、評価対象の構造物と同様の形状の構造物における割れ事例から実機中の対象部分についてSCC感受性を示すか否かについて判定を行う割れ事例有無判定工程26を備えるとともに、これら各判定工程24、25、26のうち、少なくとも二つ以上の判定結果を組み合わせて総合的に検討し、構造物中におけるSCC発生の可能性の高い領域を定めるSCC対策必要性領域判定工程27とを備える構成になっている。
【0030】
第2工程12でSCC対策必要性領域が設定されると、対策範囲策定工程としての第3工程13では、図4に示すように、第2工程12で求めたSCC対策必要性領域の設定結果から除去対策を行う領域の設定をSCC対策必要性設定判定工程28で行い、その設定に基づいて対策項目範囲策定工程29でSCC対策項目範囲を策定するようになっている。
【0031】
第3工程13における対策項目範囲策定工程29でSCC対策項目範囲が策定されると、要対策部分除去工程としての第4工程14では、SCC対策項目範囲の策定に基づいて、順次、対策範囲の選定が対策範囲選定工程30で行われ、対策工法の選定が対策工法選定工程31で行われ、対策実施の判定が対策実施判定工程32でそれぞれ行われる。
【0032】
対策実施の判定は、第3工程13でのSCC対策項目範囲の策定について、施工後の強度計算に基づく設計基準との比較による対策範囲の策定、選択した除去加工方法による難易度の検討を行い、これらの検討結果から除去加工実施の最終判定がなされる。そして、最終判定の結果、除去実施を行わない場合、経過監視が行われ、除去加工が行われると、次の手段が採られる。
【0033】
除去加工手段33は、「最新切断技術総覧(株)産業技術サービスセンター刊」に記載されているように、(1)機械的切断(バイト・カッタによる切断、のこ切断(丸のこ、帯のこ)、砥粒による切断、研削砥石による切断、電解切断)、(2)溶断(ガス切断、プラズマ切断、ワイヤカット放電加工、放電減肉加工)や(3)化学的切断等のうち、いずれかの切断手法が少なくとも1つ以上用いられる。
【0034】
また、除去施工後の作業は、仕上げ加工{粗さ改善(表面みがき加工(CNSなど))}や、応力改善(SP、LP、WJPなど)、組織・応力改善(SR、脱鋭敏化熱処理などのいずれか一つ、あるいは二つ以上組み合わせて行われる。
【0035】
このように、本実施形態は、構造物のSCC割れの予防保全にあたり、構造物の応力・強度を評価し、評価する応力・強度のしきい値を基に応力腐食割れ対策が必要な領域を判定し、判定した応力腐食割れ対策領域の範囲を策定した後、その範囲の除去施工を行うので、適切にして的確に応力腐食割れの発生を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る原子力プラント構造物の予防保全方法の手順を示すブロック図。
【図2】図1における応力分布・強度分布評価としての第1工程を示すブロック図。
【図3】図1における応力・強度しきい値判定としての第2工程を示すブロック図。
【図4】図1における対策範囲策定工程としての第3工程を示すブロック図。
【図5】図1における要対策領域除去工程としての第4工程を示すブロック図。
【符号の説明】
【0037】
11 応力分布・強度分布評価としての第1工程
12 応力・強度しきい値判定としての第2工程
13 対策範囲策定工程としての第3工程
14 要対策領域除去工程としての第4工程
21 応力分布評価手段
22 強度(硬さ)分布評価手段
23 SCC発生環境判定工程
24 応力判定工程
25 強度判定工程
26 割れ事例有無判定工程
27 SCC対策必要性領域判定工程
28 SCC対策必要性設定判定工程
29 対策項目範囲策定工程
30 対策範囲選定工程
31 対策工法選定工程
32 対策実施判定工程
33 除去加工手段




 

 


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