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発明の名称 制御棒駆動装置、その試験方法及びその試験装置、その点検装置、その保管方法及びその保管装置、並びにトルク伝達装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−163513(P2007−163513A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2007−40979(P2007−40979)
出願日 平成19年2月21日(2007.2.21)
代理人 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次
発明者 徳 山 龍 俊 / 柳 瀬 悟 郎 / 石 里 新 一 / 前 川 治 / 曽 佐 豊
要約 課題
制御棒駆動装置において非接触で駆動トルクを伝達する磁気継手の信頼性を向上させる。

解決手段
各々が複数の磁石を内蔵する第1の継手要素(31)及び第2の継手要素(32)からなる磁気継手において、各継手要素における各磁石を水密または気密に覆うスリーブすなわち外被(57,58)を設けるとともに、前記外被の内側で各磁石の少なくとも一部を水密または気密に覆うスリーブすなわち外被(59)を更に設ける。
特許請求の範囲
【請求項1】
電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の試験装置であって、
前記スプールピースを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加可能なトルク印加手段と、
印加されたトルクを測定するトルク測定手段と、
を備えたことを特徴とする制御棒駆動装置の試験装置。
【請求項2】
電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、前記電動機が発生した回転運動を直線運動に変換するボールナットおよびボールねじと、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手および前記ボールナットおよびボールねじを介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置を試験する方法であって、
前記スプールピースを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記ボールナットの位置を機械的最下限状態または機械的最上限状態とし、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加して、前記磁気継手の異常の有無を判断することを特徴とする制御棒駆動装置の試験方法。
【請求項3】
電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の試験装置であって、
前記スプールピースを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加可能なトルク印加手段と、
前記トルク印加手段により印加されるトルクを制限するトルク制限器と、
を備えたことを特徴とする制御棒駆動装置の試験装置。
【請求項4】
電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、前記電動機が発生した回転運動を直線運動に変換するボールナットおよびボールねじと、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手および前記ボールナットおよびボールねじを介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置を試験する方法であって、
前記スプールピースを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記ボールナットの位置を機械的最下限状態または機械的最上限状態とし、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対して所定の制限値に設定されたトルク制限器を介してトルクを印加して、前記磁気継手の異常の有無を判断することを特徴とする制御棒駆動装置の試験方法。
【請求項5】
前記スプールピースを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に接続可能な、前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の回転角度を測定する回転角測定手段を更に備えたことを特徴とする、請求項1または3に記載の制御棒駆動装置の試験装置。
【請求項6】
前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加する際に、前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の回転角度をトルク値と関連づけて測定し、その測定結果に基づいて前記磁気継手の異常の有無を判断することを特徴とする、請求項2または4に記載の制御棒駆動装置の試験方法。
【請求項7】
電動機アセンブリを前記駆動機構から取り外した状態で、前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加することを特徴とする、請求項2、4および6のいずれか一項に記載の制御棒駆動装置の試験方法。
【請求項8】
前記電動機アセンブリを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記電動機アセンブリの下部から前記電動機アセンブリの軸を回転させ、前記電動機アセンブリの軸を介して前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加することを特徴とする、請求項2、4および6のいずれか一項に記載の制御棒駆動装置の試験方法。
【請求項9】
電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の試験装置であって、前記スプールピースの試験を行う試験装置において、
前記スプールピースを前記駆動機構から取り外した状態で、前記磁気継手を構成する制御棒側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に接続可能であって、制御棒側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の回転を拘束する回転拘束手段と、
前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に接続可能であって、前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸にトルクを印加するトルク印加手段と、
を備えたことを特徴とする制御棒駆動装置の試験装置。
【請求項10】
電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の試験装置であって、前記スプールピースの試験を行う試験装置において、
前記磁気継手を構成する制御棒側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に接続可能であって、制御棒側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸にトルクを印加するトルク印加手段と、
前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に接続可能であって、前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の回転を拘束する回転拘束手段と、
を備えたことを特徴とする制御棒駆動装置の試験装置。
【請求項11】
前記制御棒側の継手要素若しくはこの継手要素に接続された軸、または前記電動機アセンブリ側の継手要素若しくはこの継手要素に接続された軸の一方に接続可能であって、前記トルク印加手段により印加されるトルクを制限するトルク制限器を更に備えたことを特徴とする、請求項9または10に記載の制御棒駆動装置の試験装置。
【請求項12】
前記制御棒側の継手要素若しくはこの継手要素に接続された軸、または前記電動機アセンブリ側の継手要素若しくはこの継手要素に接続された軸の一方に接続可能であって、前記制御棒側の継手要素若しくはこの継手要素に接続された軸、または前記電動機アセンブリ側の継手要素若しくはこの継手要素に接続された軸の回転角度を測定する回転角測定手段を更に備えたことを特徴とする、請求項9または10に記載の制御棒駆動装置の試験装置。
【請求項13】
スプールピースの内部を加圧する圧力供給手段と、スプールピースの内部の圧力を測定する圧力測定手段と、を更に備えたことを特徴とする、請求項9または10に記載の制御棒駆動装置の試験装置。
【請求項14】
電動機を含む電動機アセンブリと磁気継手を内蔵するスプールピースとを有するとともに前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の保管装置であって、前記スプールピースを保管する保管装置において、
前記スプールピースの一部または全部を覆う磁性体の外被を有することを特徴とする制御棒駆動装置の保管装置。
【請求項15】
電動機を含む電動機アセンブリと磁気継手を内蔵するスプールピースとを有するとともに前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の保管装置であって、前記磁気継手を保管する保管装置において、
前記磁気継手の一部または全部を覆う磁性体の外被を有することを特徴とする制御棒駆動装置の保管装置。
【請求項16】
電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の点検装置であって、
前記磁気継手を構成する一方の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の位置を径方向に関して固定する第1の径方向位置固定手段と、
前記磁気継手を構成する他方の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の位置を径方向に関して固定する第2の径方向位置固定手段と、を備え、
前記スプールピース及び前記各継手要素の軸線を固定した状態で、スプールピースの分解あるいは組立を実施することを特徴とする制御棒駆動装置の点検装置。
【請求項17】
電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の保管方法であって、
前記磁気継手の一部または全部を非磁性体の外被により覆い保管することを特徴とする、制御棒駆動装置の保管方法。
【請求項18】
電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の保管方法であって、
前記磁気継手の一部または全部を磁性体の外被により覆い保管することを特徴とする制御棒駆動装置の保管方法。
【請求項19】
電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の点検装置であって、
前記スプールピースの分解組立を行う水槽と、
永久磁石または誘導磁石を用いた前記水槽内の磁性体を収集する手段と、を備えたことを特徴とする制御棒駆動装置の点検装置。
【請求項20】
電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の点検方法であって、
点検前または点検後に、加圧流体を前記磁気継手に噴霧して前記継手要素の表面の異物を除去することを特徴とする制御棒駆動装置の点検方法。
【請求項21】
複数の磁石を内蔵するとともに第1の軸に接続された第1の継手要素と、複数の磁石を内蔵するとともに第2の軸に接続された第2の継手要素と、を含む磁気継手を有するトルク伝達装置において、
前記第1の継手要素の全ての磁石を水密または気密に覆う第1の外被と、前記第2の継手要素の全ての磁石を水密または気密に覆う第2の外被と、を備え、
更に、前記第1の外被の内側において前記第1の継手要素に内蔵された磁石の一部若しくは全部を水密または気密に覆う第3の外被と、前記第2の外被の内側において前記第2の継手要素に内蔵された磁石の一部あるいは全部を水密または気密に覆う第4の外被と、のうち少なくともいずれか一方を備えたことを特徴とする、磁気継手を有するトルク伝達装置。
【請求項22】
原子炉の制御棒を昇降駆動する制御棒駆動装置であって、
電動機と、請求項21に記載のトルク伝達装置と、を有し、前記電動機が発生した駆動力を前記トルク伝達装置を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構と、
前記電動機に電力を供給する電源装置と、
を備えたことを特徴とする制御棒駆動装置。
【請求項23】
原子炉の制御棒を昇降駆動する制御棒駆動装置であって、
電動機と、請求項21に記載のトルク伝達装置とを有し、前記電動機が発生した駆動力を前記トルク伝達装置を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備え、
スプールピース隔壁内部に前記トルク伝達装置の第1の継手要素が設置され、スプールピース隔壁外部に前記トルク伝達装置の第2の継手要素が設置され、
前記第1の継手要素のうち第3の外被に覆われた磁石が機能し、前記第1の継手要素の第3の外被に覆われていない磁石が機能しない状態において、原子炉の通常運転時の制御棒位置保持に必要なトルク以上の最大伝達トルクを前記トルク伝達装置が有していることを特徴とする制御棒駆動装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御棒駆動装置、その試験方法及びその試験装置、その点検装置、その保管方法及びその保管装置、並びにトルク伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御棒駆動機構は制御棒と一体となり、原子炉の反応度を制御するものであり、プラントの運転および安全上特に重要なものである。図7に従来の電動制御棒駆動機構を示す。
【0003】
図7は、沸騰水型原子炉(BWR)の原子炉圧力容器下部に設けられて制御棒(CR)を昇降駆動する電動型の制御棒駆動機構(CRD)を示す縦断面図である。この制御棒駆動機構は下端部に電動機アセンブリを備え、電動機アセンブリの垂直な回転軸1がギアカップリング2を介して、上方の垂直な駆動軸3に接続されている。駆動軸3にはボールねじ4が一体回転可能に連結され、このボールねじ4にボールナット5が螺合してボールねじ4の回転により昇降駆動されるようになっている。
【0004】
ボールナット5の外周部には上下配置で対をなすローラ6が設けられ、これらのローラ6はガイドチューブ7の内周面に形成された軸方向の取付板8を狭持するように取り付けられている。ボールナット5の上部には、ボールねじ4を囲んで上方に伸びる中空ピストン9が設けられ、この中空ピストン9の上端に、カップリング10を介して制御棒11が連結されている。
【0005】
CRDハウジング12内にはアウターチューブ13が設置され、CRDハウジング12、アウターチューブ13、スプールピース14はボルト15で締結されている。
【0006】
ボールねじ4下部にはばね16が設けられ、制御棒全引き抜き位置を超えてボールナット5を下方へ移動した場合、ボールナット5が前記ばね16を圧縮する。このようにボールナット5が前記ばね16を圧縮している状態を、本明細書においては「機械的最下限状態」と呼ぶ。
【0007】
またアウターチューブ13上部にはバッファ17が設けられ、制御棒全挿入状態をこえてボールナット5を上方へ移動した場合、ボールナット5上部に設置された中空ピストン9により前記バッファ17を圧縮する。このように中空ピストン9が前記バッファ17を圧縮している状態を、本明細書においては「機械的最上限状態」と呼ぶ。
【0008】
電動機アセンブリは電動機18、電磁ブレーキ19、位置検出装置20より構成されており、電動機18により制御棒駆動、電磁ブレーキ19により制御棒位置保持、位置検出装置20により制御棒位置を確認している。現在既設の改良型沸騰水型原子炉(ABWR)における電動型制御棒駆動機構では、電動機18としてステップモータが採用されており、電動機電源21としてはインバータ電源が用いられている。
【0009】
電動機アセンブリは電動機ブラケット22を介してスプールピース14に連結されている。
【0010】
スプールピース14において、駆動軸3の貫通部にはグランドパッキン23を使用している。スプールピース14内には、コイルスプリング24及びコイルスプリング24に支持され、分離検出マグネット25を内蔵したマグネットハウジング26が設置されている。中空ピストン9がボールナット5から分離した場合等、コイルスプリング24にかかる荷重が減少すると、コイルスプリング24は伸び、これに伴い分離検出マグネット25が上方へ移動する構造となっている。スプールピース14外側には磁気により作動するリードスイッチを内蔵した分離検出プローブ27が設置され、分離検出マグネット25の移動を検知できるようになっている。
【0011】
中空ピストン9内にはスクラム位置検出マグネット28が内蔵されている。ガイドチューブ7内にはスクラム時のバッファ17の圧縮に伴い移動するフルイン検出マグネット29が設置されている。制御棒駆動機構ハウジング12の外側には磁気により作動するリードスイッチを内蔵したスクラム位置検出プローブ30が設けられ、スクラム位置検出マグネット28及びフルイン検出マグネット29の移動を検知できるようになっている。
【0012】
このように構成された制御棒駆動機構において、電動機18を回転駆動させることにより、回転軸1及び駆動軸3を介してボールねじ4が回転し、このボールねじ4の回転によりボールナット5が上下動する。その際、ボールナット5はローラ6を介して取付板7により回転が規制されて上下動する。ボールナット5の上下動に連動して、中空ピストン9及び制御棒11が上下動し、この制御棒11の上下動により炉心への挿入及び引抜き量が調整され、炉出力がコントロールされる。
【0013】
スクラム時は制御棒11とカップリング10を介して結合した中空ピストン9が、水圧制御ユニットから供給される水圧により急速に押し上げられボールナット5から分離し、急速に制御棒11を炉心に挿入する。このとき、中空ピストン9のボールナット5からの分離は分離検出プローブ27により検出される。また、スクラム中、及びスクラム後の制御棒11の位置はスクラム位置検出プローブ30により検出される。
【0014】
また、定検時に実施する制御棒摩擦測定試験の際は、水圧制御ユニットに制御棒摩擦測定試験装置を接続し、前記試験装置を介して制御棒駆動装置に水圧を供給することにより、制御棒を炉心に挿入する。この時の制御棒駆動機構の動作は挿入速度が遅いことを除き、スクラム時の動作と同様である。制御棒摩擦測定試験においては、前記挿入時の水圧の変動を測定することにより、制御棒と周囲機器との摩擦状態を確証する。
【0015】
以上に示す制御棒駆動機構ではスプールピース14の軸封部としてグランドパッキン23を有し、また電動機18としてインバータ電源を用いるステップモータを採用しているが、近年、制御棒駆動機構について、(1)磁気継手(マグネットカップリング)採用によるスプールピース軸封部の削除、および、(2)電動機型式の変更(誘導電動機化)等の改良が検討されており、これについては例えば特開平10−132997号及び特開平10−274688号に開示されている。
【特許文献1】特開平10−132997号
【特許文献2】特開平10−274688号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところが前述の制御棒駆動機構においては、下記の点において技術の確立あるいは改良の余地があった。
【0017】
図7に示すように従来の電動制御棒駆動機構は電動機としてステップモータを採用しており、電動機電源としてインバータ電源を採用していたが、システムが複雑であり、また電源物量も多かった。そこで現在検討が進められている、誘導電動機を採用した制御棒駆動機構においては、電源システムの簡素化が求められていた。そこで誘導電動機の適用については近年検討が進められてきたが、誘導電動機を適用した場合の電源装置、制御装置、駆動性能健全性を確認する手段等については確立されていない。
【0018】
また、磁気継手を採用した制御棒駆動機構において、磁気継手自体の構造、仕様検討がなされてきてはいるが、保守、試験手段については確立されていない。また、磁気継手部が万一脱調した場合、制御棒の実際の位置が不明となる可能性がある。このため、この問題を解決するためのいくつかの手段が近年提案されているが、システムが複雑であり現実的でなく、合理的な検知手段の確立が求められている。
【0019】
また、磁気継手部を水中で使用するにあたり、万一磁気継手を覆う外被が損傷した場合、内蔵する磁石と水が接触し、発錆等により磁気継手性能が劣化する可能性がある。このため、前記事象が発生した場合でも磁気継手の機能を確保する手段の確立が望まれている。
【0020】
また、従来の制御棒摩擦測定試験においては、個々の水圧制御ユニットへ制御棒摩擦測定試験装置を現場で順次接続しながら実施する必要があり、工程へのインパクトが大きく、また前記接続作業は放射線管理区域内の作業であり、作業性向上、被ばく低減の観点から、より簡易な試験方法の確立が望まれている。
【0021】
本発明は上述した事情を鑑みてなされたもので、制御棒駆動機構及び、電源装置及び制御装置といった関連系の確立、保守、試験手段の確立を行いつつ、信頼性の高い制御棒駆動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明においては特許請求の範囲に記載した発明を提供する。
【0023】
請求項1に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を有する制御棒駆動装置の試験装置において、前記スプールピースを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加可能なトルク印加手段と、印加されたトルクを測定するトルク測定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0024】
請求項2に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、前記電動機が発生した回転運動を直線運動に変換するボールナットおよびボールねじとを有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手、前記ボールナットおよび前記ボールねじを介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を有する制御棒駆動装置を試験する方法において、前記スプールピースを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記ボールねじを構成するボールナットの位置を機械的最下限状態または機械的最上限状態とし、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加して、前記磁気継手の異常の有無を判断することを特徴としている。
【0025】
請求項3に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の試験装置において、前記スプールピースを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加可能なトルク印加手段と、前記トルク印加手段により印加されるトルクを制限するトルク制限器と、を備えたことを特徴としている。
【0026】
請求項4に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、前記電動機が発生した回転運動を直線運動に変換するボールねじとを有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手および前記ボールねじを介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構と、を有する制御棒駆動装置を試験する方法において、前記スプールピースを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記ボールナットの位置を機械的最下限状態または機械的最上限状態とし、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対して所定の制限値に設定されたトルク制限器を介してトルクを印加して、前記磁気継手の異常の有無を判断することを特徴としている。
【0027】
請求項5に記載の発明は、請求項1または3に記載の発明において、前記スプールピースを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に接続可能な、前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の回転角度を測定する回転角測定手段を更に備えたことを特徴としている。
【0028】
請求項6に記載の発明は、請求項2または4に記載の発明において、前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加する際に、前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の回転角度をトルク値と関連づけて測定し、その測定結果に基づいて前記磁気継手の異常の有無を判断することを特徴としている。
【0029】
請求項7に記載の発明は、請求項2、4および6のいずれか一項に記載の発明において、電動機アセンブリを前記駆動機構から取り外した状態で、前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加することを特徴としている。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項2、4および6のいずれか一項に記載の発明において、前記電動機アセンブリを前記駆動機構に取り付けた状態で、前記電動機アセンブリの下部から前記電動機アセンブリの軸を回転させ、前記電動機アセンブリの軸を介して前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に対してトルクを印加することを特徴としている。
【0031】
請求項1乃至8の発明によれば、磁気継手を有するスプールピースを駆動機構に取り付けた状態のまま、伝達トルク、回転角等を測定し、磁気継手の健全性確認が可能である。またトルク制限器の設置により過度なトルク印加による磁気継手の脱調防止が可能である。またトルク制限器の設定値を磁気継手健全性確認のための判定値とし、トルク制限器設定値までトルクを印可し脱調有無を確認することにより、磁気継手の健全性確認が可能である。請求項1乃至8の発明によれば、スプールピースを駆動機構に取り付けた状態のまま、磁気継手の健全性の確認が可能となり、磁気継手の健全性確認を目的としてスプールピースを取外す必要がなくなり、プラント定検時の作業量、工程、被ばく量の低減が可能となる。
【0032】
請求項9に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の試験装置であって、前記スプールピースの試験を行う試験装置において、前記磁気継手を構成する制御棒側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に接続可能であって、制御棒側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の回転を拘束する回転拘束手段と、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に接続可能であって、前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸にトルクを印加するトルク印加手段と、を備えたことを特徴としている。
【0033】
請求項10に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構と、を有する制御棒駆動装置の試験装置であって、前記スプールピースの試験を行う試験装置において、前記磁気継手を構成する制御棒側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に接続可能であって、制御棒側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸にトルクを印加するトルク印加手段と、前記磁気継手を構成する前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸に接続可能であって、前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の回転を拘束する回転拘束手段と、を備えたことを特徴としている。
【0034】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の発明において、前記制御棒側の継手要素若しくはこの継手要素に接続された軸、または前記電動機アセンブリ側の継手要素若しくはこの継手要素に接続された軸の一方に接続可能であって、前記トルク印加手段により印加されるトルクを制限するトルク制限器を更に備えたことを特徴としている。
【0035】
請求項12に記載の発明は、請求項9または10に記載の発明において、前記制御棒側の継手要素若しくはこの継手要素に接続された軸、または前記電動機アセンブリ側の継手要素若しくはこの継手要素に接続された軸の一方に接続可能であって、前記制御棒側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸または前記電動機アセンブリ側の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の回転角度を測定する回転角測定手段を更に備えたことを特徴としている。
【0036】
請求項9乃至12の発明によれば、スプールピースを取外した場合において、磁気継手部の伝達トルクを測定することにより、磁気継手部の健全性確認が可能となる。スプールピースを取外す場合は、請求項9乃至12の発明に基づいて磁気継手部の健全性確認を行うことにより、請求項1乃至8の発明に基づく手法と比較し、格納容器外の作業環境のよい場所で試験実施可能であり、作業性の改善、被ばく低減が可能となる。
【0037】
請求項13に記載の発明は、請求項9または10に記載の発明において、スプールピースの内部を加圧する圧力供給手段と、スプールピースの内部の圧力を測定する圧力測定手段と、を更に備えたことを特徴としている。
【0038】
請求項13の発明によれば、スプールピースを取外した場合に、スプールピース隔壁内側部を加圧することにより、耐圧試験を実施することができる。
【0039】
請求項14に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと磁気継手を内蔵するスプールピースとを有するとともに前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の保管装置であって、前記スプールピースを保管する保管装置において、前記スプールピースの一部または全部を覆う磁性体の外被を有することを特徴としている。
【0040】
請求項15に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと磁気継手を内蔵するスプールピースとを有するとともに前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の保管装置であって、前記磁気継手を保管する保管装置において、前記磁気継手の一部または全部を覆う磁性体の外被を有することを特徴としている。
【0041】
請求項14及び15の発明によれば、磁気継手を有するスプールピースの保管あるいは点検作業時、あるいは磁気継手の保管あるいは点検作業時に、磁気継手等から漏洩する磁場を磁性体の外被により閉じ込めることが可能であり、周囲機器への磁気影響を低減可能である。
【0042】
請求項16に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の点検装置において、前記磁気継手を構成する一方の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の位置を径方向に関して固定する第1の径方向位置固定手段と、前記磁気継手を構成する他方の継手要素またはこの継手要素に接続された軸の位置を径方向に関して固定する第2の径方向位置固定手段と、を備え、前記スプールピース及び前記各継手要素の軸線を固定した状態で、スプールピースの分解あるいは組立を実施することを特徴としている。
【0043】
この請求項16に記載の発明においては、前記磁気継手の一部または全部を覆う磁性体の外被を更に備えることが好適である。
【0044】
磁気継手は強力な磁石を内蔵しているため、軸線を固定していない状態で分解/組立を行うと、内側と外側磁気継手あるいは磁気継手と周囲の磁性体の引き合う力により、磁気継手がスプールピース隔壁部等にあたり、磁気継手破損等をひきおこす可能性がある。そこで請求項24に記載の発明によれば、軸線を固定した状態で内側磁気継手と外側磁気継手の分解/組立を行うことにより、機器の損傷を防止し安全に分解/組立作業の実施が可能となる。
【0045】
請求項17に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の保管方法において、前記磁気継手継手の一部または全部を非磁性体の外被で覆い保管することを特徴としている。
【0046】
スプールピースから磁気継手の取外し、取付けを行う際及び保管する際には、磁気継手の磁場により、周囲の磁性体等が磁気継手に付着する可能性がある。そこで請求項17の発明によれば、磁気継手の周囲を非磁性体で覆うことにより、磁気継手表面への磁性体付着を防止することが可能である。
【0047】
請求項18に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の保管方法において、前記磁気継手の一部または全部を磁性体の外被により覆い保管することを特徴としている。
【0048】
請求項18の発明によれば、磁気継手を有するスプールピースの保管時に、磁気継手等から漏洩する磁場を磁性体の外被により閉じ込めることが可能であり、周囲機器への磁気影響を低減可能である。
【0049】
請求項19に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の点検装置において、前記スプールピースの分解組立を行う水槽と、永久磁石あるいは誘導磁石を用いた前記水槽内の磁性体を収集する手段と、を備えたことを特徴としている。
【0050】
請求項19の発明によれば、スプールピースから磁気継手の取外し、取付けを行う水槽内の磁性粉等を、永久磁石あるいは誘導磁石により収集することにより、磁気継手に付着する磁性体の量を低減することが可能となる。
【0051】
請求項20に記載の発明は、電動機を含む電動機アセンブリと、スプールピースと、前記スプールピースにより隔てられた一対の継手要素を有する磁気継手と、を有するとともに、前記電動機が発生した駆動力を前記磁気継手を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備えた制御棒駆動装置の点検方法において、点検前または点検後に、加圧流体を前記磁気継手に噴霧して前記継手要素の表面の異物を除去することを特徴としている。
【0052】
請求項20の発明によれば、磁気継手表面に付着した磁性体等の異物を、加圧流体を噴出することにより取り除くことが可能となる。
【0053】
請求項21に記載の発明は、複数の磁石を内蔵するとともに第1の軸に接続された第1の継手要素と、複数の磁石を内蔵するとともに第2の軸に接続された第2の継手要素と、を含む磁気継手を有するトルク伝達装置において、前記第1の継手要素の全ての磁石を水密または気密に覆う第1の外被と、前記第2の継手要素の全ての磁石を水密または気密に覆う第2の外被と、を備え、更に、前記第1の外被の内側において前記第1の継手要素に内蔵された磁石の一部若しくは全部を水密または気密に覆う第3の外被と、前記第2の外被の内側において前記第2の継手要素に内蔵された磁石の一部あるいは全部を水密または気密に覆う第4の外被と、のうち少なくともいずれか一方を備えたことを特徴としている。
【0054】
水中環境等では磁石と水が接触し、発生により磁気特性が変化することを防止するため、磁気継手表面を外被で覆う構成が用いられるが、請求項21の発明によれば、内側/外側磁気継手表面を覆う外被の内側に、さらに外被で覆った磁石を設置することにより、万一内側/外側磁気継手表面を覆う外被が破損した場合でも、磁石と水の接触を防止し、磁石の健全性を確保することが可能である。これにより磁気継手の信頼性が向上する。
【0055】
請求項22に記載の発明は、原子炉の制御棒を昇降駆動する制御棒駆動装置でにおいて、電動機と、請求項21に記載のトルク伝達装置と、を有し、前記電動機が発生した駆動力を前記トルク伝達装置を介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構と、前記電動機に電力を供給する電源装置と、備えたことを特徴としている。
【0056】
請求項23に記載の発明は、原子炉の制御棒を昇降駆動する制御棒駆動装置において、電動機と、請求項21に記載のトルク伝達装置とを有し、前記電動機が発生した駆動力を前記トルク伝達装置および前記ボールねじを介して制御棒に伝達して制御棒を昇降させる駆動機構を備え、スプールピース隔壁内部に前記トルク伝達装置の第1の継手要素が設置され、スプールピース隔壁外部に前記トルク伝達装置の第2の継手要素が設置され、前記第1の継手要素のうち第3の外被に覆われた磁石が機能し、前記第1の継手要素の第3の外被に覆われていない磁石が機能しない状態において、原子炉の通常運転時の制御棒位置保持に必要なトルク以上の最大伝達トルクを前記トルク伝達装置が有していることを特徴としている。
【0057】
請求項22及び23に記載の発明によれば、請求項21に記載のトルク伝達装置が制御棒駆動機構に組み込まれているため、磁気継手を用いた信頼性の高い制御棒駆動機構を構築することが可能である。
【発明の効果】
【0058】
以上で説明したように本発明によれば、制御棒駆動機構及び、電源装置及び制御装置といった関連系の確立、保守、試験手段の確立を行いつつ、信頼性の高い制御棒駆動機構を提供することが可能となる。
【発明の実施の形態】
【0059】
以下に図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0060】
[第1の実施形態]
まず、図1及び図2を参照して第1の実施形態について説明する。図1には、第1の実施形態に係る制御棒駆動機構の下部構造、すなわちスプールピース部と電動機アセンブリ部の構造が模式的に表わされている。なお、スプールピース14より上部の構造は、図7を参照して説明した従来技術のものと同一であり、当該部分を構成する部材については図7と同一の符号を付し、重複説明は省略する。また、下部構造についても、図7で説明した部材と同一または類似の部材については、図7と同一の符号を付し、重複説明は省略する。
【0061】
まず、本実施形態に係る制御棒駆動機構の構成を以下に説明する。
【0062】
図1に示す制御棒駆動機構は、スプールピース14隔壁により隔てられた内側磁気継手要素31と外側磁気継手要素32とから構成される磁気継手、分離検出マグネット25、駆動軸3等を有している。
【0063】
また制御棒駆動機構の上部構造内には、ボールねじ4、ボールナット5、中空ピストン9、スクラム位置検出マグネット28、フルイン検出マグネット29等が設けられている。
【0064】
スプールピース14下部には電動機アセンブリが設けられており、スプールピース14側の外側磁気継手32と電動機アセンブリ側の回転軸1はカップリング2を介して結合されている。
【0065】
電動機アセンブリは保持用ブレーキ19と、位置検出装置(シンクロ位置レゾルバ)20と、変速機33と、制動用ブレーキ34が付属した誘導電動機35と、から構成されている。保持用ブレーキ19及び制動用ブレーキ34は原子炉の通常時における制御棒位置保持に必要なトルクとして、両者ともそれぞれ単独でボールねじ4軸に換算して0.3kgfm以上の静止時保持トルクを有している。
【0066】
このように保持用ブレーキ19及び制動用ブレーキ34両者ともに、静止時保持トルクを通常運転時の制御棒位置保持に必要なトルクに設定していることにより、万一の一方のブレーキ機能喪失を考慮しても、確実に制御棒位置保持が可能であり、信頼性の高い制御棒駆動機構を構築できる。
【0067】
また外側磁気継手要素32とスプールピース14の隔壁との間と、誘導電動機35巻線部には、それぞれ温度計36、37が設置されている。なお、温度計36は外側磁気継手要素32の外周面近傍に配置してもよいし、また、温度計37は、誘導電動機35巻線部の近傍位置やケーシング内の適当な位置に配置してもよい。
【0068】
スプールピース14外部には、分離検出プローブ27及びスクラム位置検出プローブ30が設けられており、これらプローブ27、30は、それぞれ磁気で作動するリードスイッチを有している。
【0069】
スクラム位置検出プローブ30のリードスイッチ(図示せず)は上下方向に関して複数配設され、制御棒のフルストロークに対し、0,10,40,60,100%(0%が全引き抜き、100%が全挿入状態を意味する)相当位置を検出することが可能である。また分離検出プローブ27は、分離検出マグネット25の位置を検知する分離検出リードスイッチ38と、磁気継手近傍の磁場状態を検知する磁気継手脱調検知用リードスイッチ39を有している。
【0070】
誘導電動機35は電動機電源装置41が接続されている。電動機電源装置41には例えば60Hzの固定周波数電源44が接続されている。また、固定周波数電源44とは別に可変周波数電源45も設けられており、固定周波数電源44および可変周波数電源45は、いずれか一方を選択的に電動機電源装置41に接続することができる。可変周波数電源45は、ステップ式に周波数を変更できるものであってもよく、連続的に周波数を変更できるものであってもよい。
【0071】
誘導電動機35は、同期回転数が電源周波数に比例し、また負荷によっても回転数が変動する。本実施例では電動機電源として複数の周波数を選択可能としており、原子炉運転中において中速駆動、原子炉停止中においては駆動時間短縮のため高速駆動、原子炉停止時におけるプラント点検時に実施する制御棒摩擦測定試験時においては低速駆動といった、状況に応じてフレキシビリティの高い運用が可能となっている。
【0072】
特に制御棒摩擦測定試験時においては、制御棒を全引き抜き状態から全挿入状態へ低速駆動し、駆動速度を測定することにより摩擦等の負荷変動を検出することができる。制御棒摩擦測定試験等においては、低速で駆動するほうが短期間の負荷変動等まで明確に検出することが可能であり、信頼性の高い試験となる。もちろん原子炉運転中と同様に中速駆動において問題なく短期間の負荷変動等を確認可能な場合は、中速駆動にて試験を制御棒摩擦測定試験を実施することも可能である。
【0073】
また、誘導電動機35の負荷が変動した場合には、誘導電動機35への電気エネルギーの供給が変化するため、電源装置41に電流計、電圧計または電力計等を設置し、これら電流計等の検出値を確認することによっても、制御棒摩擦測定試験を実施することが可能である。
【0074】
また、本実施形態においては、60Hzの固定周波数電源44と可変周波数電源45を個別に設けているため、原子炉運転中は固定周波数電源44に接続、原子炉停止中は必要に応じ可変周波数電源45に接続するように運用することにより、原子炉運転中に誤った電源に接続する可能性を排除し、信頼性の高い運用が可能である。
【0075】
なお、本実施形態では複数種の周波数を選択可能としているが、互いに異なる複数種の電圧を選択可能としても駆動速度をかえて駆動することが可能である。この場合には、固定周波数電源44および可変周波数電源45に代えて、固定電圧電源44および可変電圧電源45を設ければよい。
【0076】
再度図1を参照すると、電動機電源装置41は、直列に接続された2つのスイッチ40を有している。各スイッチ40は、制御装置42から互いに別系統の指令信号伝達経路を介して送信される信号により、それぞれを独立して制御可能である。また電動機電源装置41には保護継電器としてサーマルリレー43が付設されている。誘導電動機35の負荷トルクが増大した場合には、誘導電動機35に供給される駆動電流値が増大し、サーマルリレー43が作動するようになっている。なお、保護継電器はサーマルリレー43に限定されるものではなく、他の保護継電器を用いてもよい。
【0077】
また、保持用ブレーキ19にも、保持用ブレーキ電源装置46が接続されている。電源装置46には、図示しない固定周波数電源が接続されている。保持用ブレーキ電源装置46も、直列に接続された2つのスイッチ47を有している。各スイッチ40も、制御装置42から互いに別系統の指令信号伝達経路を介して送信される信号により、それぞれを独立して制御可能である。
【0078】
このように電動機電源装置41及び保持用ブレーキ電源装置46にそれぞれ直列に2つのスイッチ40、47を設置することにより、単一故障等による制御棒の誤駆動動作を防止可能であり、信頼性が向上する。
【0079】
なお、上記のスイッチ40、47は、接点であってもよいし、半導体スイッチであってもよい。
【0080】
次に、図2を参照して磁気継手部の構成について詳細に説明する。磁気継手を構成する内側磁気継手要素31は8極の磁石50、51を内蔵しており、また、磁気継手を構成する外側磁気継手要素32も同様に、8極の磁石48、49を内蔵している。また、磁石48、49、50、51はそれぞれ、磁気回路52を構成するための磁性体からなるヨーク53、54、55、56を有している。
【0081】
外側磁気継手要素32の磁石48、49の内表面は、スリーブ57により覆われ密閉されており、内側磁気継手要素31の磁石50、51の外表面は、スリーブ57により覆われ密閉されている。内側及び外側磁気継手要素31、32は、各磁石48、49、50、51の磁力により磁気的に結合している。このため、スプールピース14の隔壁部を介して非接触で内側および外側磁気継手要素31、32間で動力を伝達可能である。
【0082】
図2(a)に示すように、外側磁気継手要素32の符号Aを付した磁石51(以下「磁石A」という)は、符号Bを付した他の磁石49(以下「磁石B」という)より小型の磁石となっている。また、内側磁気継手要素31の符号Cを付した磁石50(以下「磁石C」という)は、符号Dを付した他の磁石51(以下「磁石D」という)より小型の磁石となっている。
【0083】
また、外側磁気継手要素32の磁石Aに接する符号Aを付したヨーク(以下「ヨークA」という)は、符号Bを付したヨーク(以下「ヨークB」という)と比較して小型となっている。また。内側磁気継手要素31の符号Cを付した磁石に接する符号Cを付したヨーク(以下「ヨークC」という)は、符号Dを付したヨーク(以下「ヨークD」という)と比較して小型となっている。ただし、ヨークAとヨークBとを一体成形とし、ヨークCとヨークDとを一体成形としても構わない。
【0084】
また、図2(b)に示すように、小型の磁石すなわち磁石A及び磁石Cは、個別に外被59で覆われており、その上部にスペーサ60を有している。なお、図2(b)には、磁石Cおよびその周囲の構成のみが記載されているが、磁石Aおよびその周囲の構成も、ヨークが磁石の外周側に位置している点を除いて磁石Cおよびその周囲の構成と同一である(図2(a)参照)。
【0085】
図2(a)に示すように、磁石A、C、ヨークA、C、はそれぞれ2個づつ設けられるとともに、軸線に対して点対称の位置に配置されており、磁石Aと磁石C50とは互いに対向するように配置されている。
【0086】
この磁気継手は、磁石B、Dの機能を期待せず、磁石A、C間に働く磁気的吸引力のみにより、原子炉通常運転時の制御棒位置保持に必要なトルクとして、ボールねじ4軸に換算して0.3kgfm以上の最大伝達トルクを確保している。
【0087】
なお、前述したように、磁気継手を構成する磁石の表面をスリーブ57,58 で覆うだけでなく、2極分の磁石48(磁石A)、磁石50(磁石C)を個別に外被59を覆い、また他の磁石49(磁石B)、磁石51(磁石D)の機能を期待せずに通常運転時の制御棒位置保持トルクを発揮できる構成としているため、万一スリーブ57、58が破損して磁気継手内部に水等が浸入し、磁石49(磁石B)、51(磁石D)が発錆等により機能喪失しても、より強固に保護された磁石48(磁石A)、磁石50(磁石C)の機能は喪失しないため、確実に制御棒の位置保持が可能である。このため信頼性の高い制御棒駆動機構を構築できる。
【0088】
なお、万一、この磁気継手が脱調した場合には以下の手法(1)〜(2)により検出することができる。
【0089】
(1)まず、第1の手法について説明する。この磁気継手は、正常時には、内側/外側磁気継手31、32間で、小型の磁石Aと小型の磁石Cとが対向している。しかし磁気継手が脱調した場合は小型の磁石A、Cとより大きい磁石B、Dが対向する。また小型磁石A、Cには小型のヨークA,Cが接しており、小型磁石A、Cが大きい磁石B、Dと対向した場合磁力線52をヨーク内に閉じ込めることができなくなり、磁気継手周囲に磁力線を放出し、周囲磁場が変化する。このような磁場状態の変化を分離検出プローブ27内に設けた磁気継手脱調検知用リードスイッチ39により検知することにより、磁気継手の脱調を検出することができる。なお本実施形態では、磁気継手内部に一部小型の磁石を組み込んでいるが、磁気特性(例えば磁束密度)の異なる磁石を組み込む等した場合においても同様の効果が期待できる。
【0090】
(2)次に、第2の手法について説明する。磁気継手が脱調した場合には、内側/外側磁気継手要素31、32間の結合位相が変化するため、外側磁気継手要素32に接続された軸(回転軸1)から位置情報を検知する位置検出装置20の出力と、内側磁気継手要素31に接続された中空ピストン9から位置情報を検知するスクラム位置検出プローブ30の出力の関係が正常時に対して異なってくる。
【0091】
従って、位置検出装置20の出力とスクラム位置検出プローブ30の出力を比較して、両者間に所定の関係が成立しているか否かにより、磁気継手の脱調の有無を確認することができる。
【0092】
以上の手法により、磁気継手の脱調を検知した場合には、制御装置42により、電動機35への電力供給を停止して制御棒の駆動を停止したり、位置検出装置20の出力とスクラム位置検出プローブ30の出力とが所定の関係から外れている旨を表示したり、警報を発生したり等の適切な対応が可能となる。更にその後の処置としては、当該制御棒駆動機構を動作不能の制御棒として隔離する等の適切な対応を実施することが可能であり、信頼性の高い制御棒駆動機構を構築することができる。
【0093】
次に、制御装置42の作用について説明する。制御装置42は下記の機能を有する。
【0094】
(1)制御装置42は、運転員の操作に基づき、制御棒駆動/停止指令を発する。この場合、制御装置42により制御される電源装置41、46が誘導電動機35、制御用ブレーキ34、保持用ブレーキ19への電力供給を開始若しくは停止する。
【0095】
(2)制御棒駆動開始時には、制御装置42は、まず電源装置46を制御し、最初に保持用ブレーキ19を開放する。次いで、制御装置42は電源装置41を制御し、制動用ブレーキ34および誘導電動機35を同時に通電する。なお、制動用ブレーキ34は、通電されると保持動作をやめ開放状態になる。これにより回転軸1が回転を始める。
【0096】
(3)制御棒の駆動を停止する際には、制御装置42はまず電源装置41を制御し、最初に制動用ブレーキ34および誘導電動機35への通電を同時に停止する。なお、制動用ブレーキ34は、非通電時には保持動作を実施する。そして回転軸1の回転が停止した後、制御装置42は電源装置46を制御し、保持用ブレーキ19を保持状態とする。
【0097】
このように保持用ブレーキ19と制動用ブレーキ34の作動時期をずらすことにより、保持用ブレーキ19の摺動による摩耗を低減し、保持用ブレーキ19の使用寿命、信頼性を向上することが可能である。
【0098】
(4)また、制御装置42は、制御棒駆動時に停止目標位置の手前例えば4mm手前に達した時点で、駆動停止指令を発するような制御を行うことが可能である。すなわち、電送遅れ、また制動用ブレーキ35の能力等を考慮すると制御装置42から制御棒停止指令発信後、制御棒は2mm以上進んで停止すると考えられる。そこで停止目標位置の4mm手前で停止指令を発することにより、停止位置の精度を高めているわけである。なお、制御装置は位置検出装置20から送信される信号に基づいて制御棒の位置を把握しているが、分離検出プローブ27及びスクラム位置検出プローブ30からの信号も併せてモニタしている。
【0099】
(5)更に、制御装置42は、(a)温度計37から制御装置42に送信される信号を監視することにより誘導電動機35の巻線部温度を監視し、(b)温度計36から制御装置42に送信される信号を監視することにより磁気継手部温度を監視し、(c)そして位置検出装置20から送信される信号を監視することにより制御棒駆動速度を監視する。制御棒駆動速度は、位置検出装置20により検出された制御棒位置を時間に関して微分することにより、または制御棒位置の単位時間あたりの変化量から算出することができる。
【0100】
そして、これらの値が第1の所定値を超えた場合、図示しない警報発生装置によりオペレータに向けて警報を発する。なお、第1の所定値を超えた場合には、警報の発生に代えて若しくは警報の発生に加えて、その旨を表す情報を適当な表示手段により表示してオペレータに伝えるようにしてもよい。
【0101】
また、上記の値が第1の所定値と比較してより臨界値に近いまた第2の所定値を超えた場合、制御装置42は制御棒の駆動停止指令を発する。
【0102】
なお、上記の説明では、第1の所定値と第2の所定値を設定して、各所定値を超えた場合に制御装置42が所定の処置をとるようにしているが、これに限定されるものではなく、誘導電動機35の巻線部温度、磁気継手部温度、制御棒駆動速度に対して所定の範囲の許容値を設定し、各パラメータが許容される所定の範囲を逸脱した場合に、上記と同様に電動機停止、警報の発生等の処置をとるようにしてもよい。
【0103】
(6)制御装置42はサーマルリレー43が作動した場合には、警報を発し、さらに制御棒駆動停止指令を発する。これにより、制御棒の異常検知を迅速に行えるだけでなく、磁気継手への過大トルクが負荷されることを防止することができ、磁気継手の脱調防止を図ることも可能である。
【0104】
なお、サーマルリレー43を設けることに代えて、電源装置41に電流計、電圧計または電力計を設け、この電流計等から制御装置42に送信される信号を監視することにより誘導電動機35に供給される電流値(電圧値、電力値でもよい)を監視し、その値が第1の所定値を超えた場合、図示しない警報発生装置によりオペレータに向けて警報を発するようにしてもよい。更に、第1の所定値を超えた場合には、警報の発生に代えて若しくは警報の発生に加えて、その旨を表す情報を適当な表示手段により表示してオペレータに伝えるようにしてもよい。また、上記の値が第1の所定値と比較してより臨界値に近いまた第2の所定値を超えた場合、制御装置42は制御棒の駆動停止指令を発するようにしてもよい。
【0105】
(7)制御装置42は、制御棒の駆動停止後の実際の停止位置と目標停止位置または駆動停止指令発生時の制御棒位置とを比較し、実際の停止位置と目標停止位置または駆動停止指令発生時の制御棒位置との差が所定の範囲を逸脱した場合に、前記所定の範囲を逸脱した旨を図示しない表示装置により表示するか、図示しない警報発生装置によりオペレータに向けて警報を発する。
【0106】
あるいは、制御装置42は、制御棒の駆動停止後の停止位置と制御棒の駆動開始前の初期位置とを比較し、停止位置と初期位置との差が所定の範囲を逸脱した場合に、前記所定の範囲を逸脱した旨を図示しない表示装置により表示するか、図示しない警報発生装置によりオペレータに向けて警報を発する。
【0107】
(8)制御装置42は、位置検出装置20の出力とスクラム位置検出プローブ30の出力を比較し、制御棒全挿入位置、制御棒全引き抜き位置またはその他の位置において、両者の関係が所定の関係から外れた場合に、警報を発し、さらに制御棒駆動停止指令を発する。
【0108】
(9)制御装置42は、磁気継手脱調検知用リードスイッチ39が作動した際、警報を発し、制御棒の駆動停止指令を発する。
【0109】
(10)制御装置42は、サーマルリレーが作動した場合、警報を発し、電動機への電力供給を停止する。
【0110】
(11)制御装置42は、制御棒挿入操作時に、一旦目標停止位置を超えて制御棒を挿入し、その後、自動的に制御棒を目標停止位置まで引き抜く駆動モードを実行することができる。
【0111】
上述のように制御装置42により実施される各制御により、制御棒駆動の正確性が担保され、また、制御棒駆動機構の状態に基づいた警報の発生や、制御棒駆動停止といった対応が可能であり、制御棒駆動機構の信頼性が向上する。
【0112】
[第2の実施形態]
次に、図3を参照して第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、制御棒駆動機構の一部をなす磁気継手の点検を行う方法および装置に関する。
【0113】
図3は、図1に示す制御棒駆動機構から電動機アセンブリを取り外した状態を示している。なお、この場合、スクラム位置検出プローブ30、分離検出プローブ27等も取外されている。
【0114】
本実施形態では、図3に示すように、外側磁気継手要素32は、その下部の各磁石の極に対応した位置に開口部61を有する構成となっており、外側磁気継手要素32とスプールピース14隔壁部との間に磁気センサ62を挿入可能な構成としている。
【0115】
次に磁気継手の第1の検査方法について説明する。まず、磁気センサ62と、磁気センサ62に接続したケーブル63及び記録計64を有する第1の試験装置を準備し、原子炉停止時のプラント定検時に電動機アセンブリを取外した際、磁気センサ62を前記外側磁気継手32とスプールピース14隔壁部との間に挿入する。
【0116】
前述したように、磁気継手は内側/外側磁気継手要素31、32間の磁気的相互作用により伝達トルクを発生している。そこで内側/外側磁気継手要素31、32間の磁気(例えば磁場強度)を測定することにより、伝達トルクの劣化傾向等を確認することができる。
【0117】
なお磁気センサ62により磁気測定を実施することに代えて、外側磁気継手32とスプールピース14隔壁部間、あるいはスプールピース14外側の漏洩磁場の強い場所にコイル等を設置し、磁気継手を回転させ、その際に生じる磁場変動に伴う誘導起電力を測定することによっても、同様に磁気継手の伝達トルクを確認することが可能である。
【0118】
なお、磁気センサ62、ケーブル63及び記録計64は当該検査を実施する際に取付け、原子炉運転時は取外しておく。もちろん磁気センサ62、ケーブル63及び記録計64を常時接続し、磁気継手の状態を監視することも可能であるが、仮設接続することにより、常時監視のために必要となるケーブル配線、制御装置等が不要となる。また第1の試験装置をプラント運転中は格納容器外に保管、点検することにより点検作業時の被ばく低減にも寄与する。また磁気センサ62等をプラント運転中は格納容器外に保管することにより、磁気センサ62等への放射線照射条件等が緩和され、機器健全性確保の点でも有効である。
【0119】
次に磁気継手の第2の検査方法について説明する。第2の検査方法を実施する際には、第2の試験装置を用いる。第2の試験装置は、トルクメータ65、トルク制限器66、回転角測定器67及び手回し可能なアーム68が結合された軸69により構成されている。
【0120】
第2の検査を実施する際には、まず、電動機アセンブリを取外した状態で、第2の試験装置の軸69を、スプールピース14下部のカップリング2に結合する。
【0121】
次に、ボールナット5位置を機械的最下限状態(「機械的最下限状態」の定義は[従来の技術]の項を参照)とし、第2の試験装置を接続する。この状態において、アーム68に制御棒引抜き方向にトルクを印可する。しかし、このときボールナット5は機械的最下限状態にありそれ以上引抜きを行うことができないため、内側磁気継手要素31も引抜き方向に回転することはできない。
【0122】
従って、外側磁気継手要素32は、印可されたトルクの大きさに応じて、内側磁気継手31に対して回転し、両者の間には位相差が生じる。
【0123】
図2に示すような8極の磁石を有する磁気継手においては、図4に示すように位相差が約22.5度において最大伝達トルクを発生する。そこでアーム68に 印可するトルクを徐々に増していくと、約22.5度のねじれ角近傍で最大伝達 トルクを発揮する。これ以上アーム68を回すと、トルクが低下するとともに磁気継手が脱調する。
【0124】
この特性を利用して以下の手法により、磁気継手の伝達トルクが所定の規格値以上であることを確認することができる。
【0125】
(1)アーム68にトルクを印加し、トルクメータ65により最大トルクを確認する。
なお、この際には、回転角測定器67の検出値とトルクメータ65の検出値を関連づけて記録することにより、磁気継手の回転角−トルクの関係を把握することがより好ましい。
なお、この手法をとる場合には、トルク制限器66は必ずしも必要ではないが、検査中に磁気継手が脱調してしまうことを防止する観点からは、トルク制限器66を用いた方が好ましい。
【0126】
(2)トルク制限器66による制限トルクを所定の規格値に設定する。そしてアーム68にトルクを印加し、トルク制限値までトルクを印加しても磁気継手が脱調しないことを確認する。トルクメータ65および回転角測定器67は必ずしも必要ではないが、トルクメータ65により回転角測定器67によ測定を行いながら試験を行うこともまた好ましい。
【0127】
上記第1および第2の試験方法によれば、スプールピース14を制御棒駆動機構から取外すことなく、磁気継手の伝達トルク確認可能であり、定検時の作業量/工程/被ばく量の低減を図ることが可能である。また、スプールピース14を制御棒駆動機構から取外すことなく、磁気継手の伝達トルクを確認することが可能であり、定検時の作業量/工程/被ばく量の低減を図ることが可能である。
【0128】
また、特に、第2の検査方法においては、磁気を測定するのではなく直接伝達トルクを測定するため、第1の検査方法と比較し、より精度の高い伝達トルク測定が可能となる。
【0129】
以上説明したように、本実施形態によれば、磁気継手の健全性を確認する有効な手法を確立することができ、そして上記手法を用いることにより、より信頼性の高い、磁気継手を用いた制御棒駆動機構を構築することができる。
【0130】
なお、上記と同様の試験を電動機アセンブリを取り外すことなく実施することもできる。この方法は、電動機アセンブリの回転軸1を制動用ブレーキ34の下方からケーシングを貫通させて突出するよう構成し、突出した回転軸1の先端に上記第2の試験装置を接続することにより可能となる。
【0131】
[第3の実施形態]
次に、図5を参照して第3の実施形態について説明する。第2の実施形態は、制御棒駆動機構の一部をなすスプールピースおよび磁気継手の点検を行う方法および装置に関する。
【0132】
図5には、本実施形態に係るスプールピース試験装置に、制御棒駆動機構から取外したスプールピース14を設置した状態を示している。
【0133】
まず、スプールピース試験装置の構成について説明する。スプールピース試験装置は、スプールピース14の上部開口を塞ぐ上蓋71を有する。上蓋71には、固定治具73を介して軸72が固定されており、軸72の下端には内側磁気継手要素31に接続できるカップリング70aが設けられている。上蓋71には、スプールピース14内部を加圧するための加圧ポンプ76及び圧力測定のための圧力計77が接続されている。
【0134】
次に、上記のスプールピース試験装置を用いてスプールピースおよび磁気継手の点検を行う方法について説明する。
【0135】
まず、制御棒駆動機構から電動機アセンブリおよびスプールピース14を取り外し、スプールピース試験装置の架台70上に載置する。次にカップリング70aを分離検出マグネット25を支持する部材の軸に結合する。すると、軸72は回転不能であるため、内側磁気継手要素31に結合された駆動軸3も回転できない状態となる。次いで、上蓋71をボルト74によりスプールピース14に取り付ける。なお、このとき、上蓋71とスプールピース14との間をOリング75によりシールする。
【0136】
また、スプールピース14下部に位置する外側磁気継手42の軸に結合されたカップリング2には、第2の実施形態で説明した第2の検査装置を接続する。
【0137】
この状態では、駆動軸3が回転不能であるため、アーム68にトルクを印可しても、内側磁気継手要素31は回転することができない。従って、外側磁気継手要素32は、それに印可されたトルクの大きさに応じて、内側磁気継手要素31に対して回転し、両者の間に位相差が生じる。このときの伝達トルクを測定することにより、第2の実施形態と同様に磁気継手の最大伝達トルクを測定することが可能となる。
【0138】
更に、加圧ポンプ76からスプールピース14内部を加圧することにより、スプールピース14の耐圧試験を実施することができる。
【0139】
なお、本実施形態のようにスプールピース14が制御棒駆動機構から取り外されている場合には、外側磁気継手要素32側を固定し、カップリング70aに第2の検査装置を接続して内側磁気継手要素31側を回転させても磁気継手の最大伝達トルクを測定することが可能である。
【0140】
以上説明したように、スプールピース14を点検する際に制御棒駆動機構からスプールピース14を取外し、格納容器外に設置された本実施形態に係る試験装置にて磁気継手のトルク確認を行うことにより、第2の実施形態で説明した方法に比べて容易に作業を行うことが可能であり、被ばく低減にも寄与する。
【0141】
従って、スプールピース14を取外さない場合は第2の実施形態に記載の手法で、スプールピース14を取外す場合は第3の実施形態に記載された手法で磁気継手のトルク確認を実施するのが有効である。
【0142】
[第4の実施形態]
次に、図6を参照して第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、制御棒駆動機構の一部をなすスプールピース14および磁気継手の分解、点検等を行う方法および装置に関する。
【0143】
図6は、本実施形態に係る制御棒駆動機構点検装置内にスプールピース14を設置し、スプールピース14の分解/組立を実施している状態を示している。
【0144】
図6に示すように、点検装置は、スプールピース14および磁気継手を収容可能な水槽78を有する。水槽78内には、スプールピース14を載置するための台79が設けられている。
【0145】
更に、水槽78内には、レール90、91が台79に載置されたスプールピース14の軸線方向に沿って敷設されている。これらレール90、91上には、台車84、85が、レール90、91にそれぞれ沿って移動可能に設けられている。台車84、85は、内側磁気継手要素31および外側磁気継手要素32にそれぞれ対応している。
【0146】
台車84には、軸81が回転可能に取り付けられており、軸81は台79に載置されたスプールピース14の軸線と同一線上に位置している。軸83の先端には、カップリング81が設けられている。カップリング81は、内側磁気継手要素31に結合された軸に結合することができる。同様に、台車85には、軸82が回転可能に取り付けられており、軸82は台79に載置されたスプールピース14の軸線と同一線上に位置している。軸82の先端には、カップリング80が設けられている。カップリング80は、外側磁気継手要素32に接続された軸に結合することができる。
【0147】
更に、レール90、91上には、台車88、89が、レール90、91にそれぞれ沿って台79に載置されたスプールピース14の軸線方向に移動可能に設けられている。台車88には、内側磁気継手要素31の周囲を覆う磁性体の外被86が設けられている。また台車89には、外側磁気継手要素32の周囲を覆う磁性体の外被87が設けられている。
【0148】
また、水槽78内には、超音波発振設備92が設けられており、水で満たされた水槽78内部に入れたスプールピース14等を超音波洗浄可能な構成としている。また水槽78内には移動可能な磁石93が設置されている。更に、この点検装置は、加圧空気を供給するホース94を有している。
【0149】
次に、作用について説明する。内側磁気継手要素31および外側磁気継手要素32が組合わせた状態では、磁力線が磁気継手内に大部分閉じ込められるため特に問題ないものの、内側磁気継手要素31と外側磁気継手要素32とを分離した状態では、周囲に磁力線が放散されるため、周囲機器への磁気影響、及び周囲の磁性体が吸引されることにより接触事故等が起きる可能性がある。
【0150】
一方、上記のような点検装置を用いた場合には、内側磁気継手要素31および外側磁気継手要素32の軸をスプールピース14の軸線上に固定した状態で内側磁気継手要素31および外側磁気継手要素32の分離・結合が可能であるため、磁気継手が他機器と接触することにより損傷することを防止できる。
【0151】
また内側及び外側磁気継手要素31、32の周囲を、それぞれ磁性体の外被86、87で覆うことにより、周囲への磁場漏洩を低減し、周囲機器への影響を低減することができる。
【0152】
更に、水槽78内の磁石93を水槽78内で移動させることにより、水槽78内の磁性粉等を回収可能であり、内側磁気継手要素31と外側磁気継手要素32の表面に磁性粉等が付着すること低減することができる。
【0153】
本実施形態では、水槽78内において内側及び外側磁気継手要素31、32の周囲を覆う磁性体の外被86、87を設けているが、スプールピース14の周囲も磁性体の外被で覆うようにしてもよい。また、内側及び外側磁気継手要素31、32及びスプールピース14の保管、運搬の際にも周囲を磁性体の外被で覆うことにより、周囲機器への磁気影響を低減することができる。
【0154】
また、内側及び外側磁気継手要素31、32の点検、保管、運搬の際、内側及び外側磁気継手要素31、32の周囲を非磁性体例えばビニール等により覆うことにより、磁性体等の異物付着を防止することが可能である。
【0155】
また内側及び外側磁気継手要素31、32に磁性粉等の異物が付着した場合、あるいはその他の機器に異物が付着している場合等は、ホース94から加圧空気を該当機器へむけて噴出することにより、磁性粉あるいはその他の異物を除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明する図であって、本発明による制御棒駆動装置の一実施形態を概略的に示す軸線方向に沿った断面図。
【図2】図1に示す磁気継手の構成を説明する概念図。
【図3】本発明の第2の実施形態を説明する図であって、磁気継手の検査方法およびそのための装置を説明する概略図。
【図4】磁気継手のトルク特性の一例を説明するグラフ。
【図5】本発明の第3の実施形態を説明する図であって、スプールピース試験装置を示す概略図。
【図6】本発明の第4の実施形態を説明する図であって、スプールピース点検装置を示す概略図。
【図7】従来の制御棒駆動装置を概略的に示す軸線方向に沿った断面図。
【符号の説明】
【0157】
4 ボールねじ
5 ボールナット
11 制御棒
14 スプールピース
19 電磁ブレーキ(第2のブレーキ)
20 位置検出装置(第1の位置検出装置)
30 スクラム位置検出プローブ(第2の位置検出装置)
31 内側磁気継手要素(第1の継手要素)
32 外側磁気継手要素(第2の継手要素)
34 制動用ブレーキ(第1のブレーキ)
35 (誘導)電動機
36 温度計(磁気継手用の温度測定手段)
37 温度計(誘導電動機用の温度測定手段)
39 磁気継手脱調検知用リードスイッチ(磁気測定装置)
40 接点(スイッチ)
41 電源装置
42 制御装置
43 サーマルリレー(保護継電器)
44 60Hz固定周波数電源(第1の電源)
45 可変周波数電源(第2の電源)
48 磁石A(第1の磁石)
49 磁石B(第2の磁石)
50 磁石C(第3の磁石)
51 磁石D(第4の磁石)
53 ヨークA(第1の磁性体)
54 ヨークB(第2の磁性体)
55 ヨークC(第3の磁性体)
56 ヨークD(第4の磁性体)
57 スリーブ(第1の外被)
58 スリーブ(第2の外被)
59 外被(第3、第4の外被)
62 磁気センサ(磁気測定装置)
65 トルクメータ(トルク測定手段)
66 トルク制限器
67 回転角測定器(回転角測定手段)
68 アーム(トルク印加手段)
73 固定治具(回転拘束手段)
76 加圧ポンプ(圧力供給手段)
77 圧力計(圧力測定手段)
78 水槽
84、88、90 台車およびレール(第1の径方向位置固定手段)
85、89、91 台車およびレール(第2の径方向位置固定手段)
86、87 磁性体の外被
93 磁石(水槽内の磁性体を収集する手段)




 

 


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