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発明の名称 原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工装置および同施工方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−163242(P2007−163242A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2005−358472(P2005−358472)
出願日 平成17年12月13日(2005.12.13)
代理人 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久
発明者 亀山 育子 / 戸松 勉 / 衣笠 邦彦 / 森 啓 / 奥田 健
要約 課題
炉内施工場所に容易にアクセスして各種構造物のピーニング処理を効率よく、かつ確実に行うことができ、処理後のショットの回収も漏れなく迅速かつ確実に行え炉内構造物のショットピーニング装置とする。

解決手段
ピーニングヘッド機構6は一面が開口する函体でその開口面を原子炉内構造物の表面に密着させることにより一定容積の閉じた空間を形成するヘッドカバー9と、このヘッドカバーの内部に少なくとも一端が挿入されて超音波振動し、ヘッドカバー内の空気を超音波振動させる超音波振動用ホーン13と、ヘッドカバーに連通する一定容量の空間として形成され、内部にショットを収容してヘッドカバー内にショットの供給および回収を行うショット供給・回収機構30とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉内構造物の表面をショットピーニングによって応力改善するためのショットピーニング施工装置であって、原子炉内に導入可能な超音波発生用制御装置および機器移動用駆動制御装置と、前記超音波発生用制御装置により制御されて施工対象となる原子炉内構造物の表面に超音波ショットピーニングによる応力改善処理を施すピーニングヘッド機構と、前記機器移動用駆動制御装置により移動制御されて前記ピーニングヘッド機構を前記原子炉内構造物の表面に沿って移動する移動機構とを備え、前記ピーニングヘッド機構は、一面が開口する函体でその開口面を前記原子炉内構造物の表面に密着させることにより一定容積の閉じた空間を形成するヘッドカバーと、このヘッドカバーの内部に少なくとも一端が挿入されて超音波振動し、前記ヘッドカバー内の空気を超音波振動させる超音波振動用ホーンと、前記ヘッドカバーに連通する一定容量の空間として形成され、内部にショットを収容して前記ヘッドカバー内への前記ショットの供給および回収を行うショット供給・回収機構とを備えたことを特徴とする原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工装置。
【請求項2】
前記ピーニングヘッド機構のヘッドカバーの壁は、開口面側に向って次第に低くなる傾斜壁とされている請求項1記載の原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工装置。
【請求項3】
前記ピーニングヘッド機構は、前記超音波振動用ホーンから発生する超音波振動を前記ヘッドカバー内で反射する反射板を備えた請求項1記載の原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工装置。
【請求項4】
前記反射板は角度調整可能とされている請求項3記載の原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工装置。
【請求項5】
前記ショット供給・回収機構は、前記ヘッドカバーの一部に連通孔を介して連通接続された一定容量のシリンダ部と、このシリンダ部内で往復移動するピストンと、このピストンを駆動するピストン駆動機構とを有する請求項1記載の原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工装置。
【請求項6】
前記ピーニングヘッド機構のヘッドカバーは、前記超音波振動用ホーンに対して角度調整可能な構成とされている請求項1記載の原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工装置。
【請求項7】
原子炉の開蓋、解体および炉内除染後に、前記原子炉内に請求項1〜6のいずれか一項記載の原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工装置を搬入し、前記原子炉内の表面応力改善対象となる炉心シュラウドおよびその支持構造物、制御棒駆動機構ハウジングまたはインコアモニタハウジングの表面に前記ピーニングヘッドを装着して超音波ショットピーニング施工を行うことを特徴とする原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は原子力発電プラントの点検・補修等の際、原子炉内に搬入して炉内構造物の表面応力改善を行うための原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工装置および同装置を使用して超音波ショットピーニングを行う施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラント、例えば沸騰水型原子力プラントにおいては、所定期間の運転経過後に点検・補修等が行われる。その際、原子炉圧力容器内の炉心シュラウドおよびその支持構造物、制御棒駆動機構ハウジングまたはインコアモニタハウジング等の炉内構造物の表面応力改善が実施される。
【0003】
すなわち、原子炉内構造物はオーステナイト系ステンレス鋼およびインコネル材などの十分な耐食性と高温強度を有する材料で構成されているが、高温高圧下での長期に亘る運転および中性子照射に起因する材料劣化の問題が懸念されている。特に炉内構造物の溶接部近傍には、溶接入熱による材料の鋭敏化および引張り残留応力が形成されているため、潜在的な応力腐食割れの可能性を有している。
【0004】
このような炉内構造物の表面応力改善による予防保全手段として、ショットピーニング処理が有効な技術である。ショットピーニング処理は金属の小球であるショットを炉内構造物の表面応力改善個所に高速で投射し、その運動エネルギを利用して材料表面を塑性変形させ、引張り残留応力を圧縮応力に変えることにより、応力腐食割れの3要因(材料、環境、応力)の一つである応力因子(特に溶接時の引張り残留応力)を除去して、溶接部近傍の応力腐食割れを防止する技術である。
【0005】
図10は、このようなショットピーニング処理を行う場合に適用される従来のショットピーニング施工装置を示している。この図10に示すように、従来ではオペレーションフロア101上にショット噴射・回収機構102が設置され、このショット噴射・回収機構102からショット噴射・回収ホース103が原子炉圧力容器104内に導入される。ショット噴射・回収ホース103にはピーニングヘッド機構105が接続され、このピーニングヘッド機構105が炉内構造物の応力改善位置、例えば炉心シュラウド106の下端部等に設置される。
【0006】
施工時には原子炉圧力容器104上方での遠隔操作により、炉内底部側に導入されたショット噴射・回収ホース103等を介してピーニングヘッド機構105にショットを供給するとともに、ピーニングヘッド機構105を施工面に沿って移動させ、原子炉圧力容器104内の炉心シュラウド106表面等の応力改善施工が行われる。施工後には、ピーニングヘッド機構105からショットをショット噴射・回収ホース103等を介してオペレーションフロア101上のショット噴射・回収機構102に回収した後、ピーニングヘッド機構105を遠隔操作によって取外し、炉上に引上げる。
【0007】
従来ではこのように、原子炉圧力容器上方からの遠隔操作によって原子炉圧力容器上方から炉内底部側まで導入されたショット噴射・回収ホース等を介してピーニングヘッドを駆動させる技術が種々提案されている(例えば特許文献1,2等参照)。
【特許文献1】特開2001−99988号公報
【特許文献2】特開2002−120153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
原子炉内構造物の応力改善個所の表面は例えば鉛直面、上向き傾斜面等の種々の形状となっており、ピーニングヘッド機構によるショットの投射を横向き、下向き等と種々の向きに設定する必要がある。このため、ピーニングヘッド機構を施工場所にアクセスする移動制御が複雑であり、上述の遠隔操作ではアクセス用の移動操作が困難であった。また、投射したショットが散乱したり、回収漏れが生じる場合があった。
【0009】
このことから、原子炉内構造物のうち通常の定期点検作業の際にアクセス困難な炉底部近傍などの部位では、炉内構造物の取替えなどと平行して気中でショットピーニングを施工することが考えられている。この場合、原子炉圧力容器内の解体、十分な除染後に、仮設架台などを炉内に設置して超音波発生用制御装置を設置し、作業員が当該溶接部近傍へピーニングヘッド機構をアクセスしてショットピーニング施工を行えば、作業効率の向上およびショット回収率の向上等が可能になると考えられる。
【0010】
なお施工に際しては、原子炉内の除染が十分に行われた後でも炉内構造物自体が幾分放射化していること、また洗浄によっても除去できない放射性物質が若干残ることがあり、作業員が施工場所に接近して作業する場合には、被曝防止のため施工時間をできる限り短縮することが望ましい。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、構成がコンパクトで、炉内施工場所に容易にアクセスして各種構造物のピーニング処理を効率よく、かつ確実に行うことができるとともに、処理後のショットの回収も漏れなく迅速かつ確実に行え、炉内処理の能率および安全性の向上が図れる炉内構造物のショットピーニング装置および同装置を用いたショットピーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明では、原子炉内構造物の表面をショットピーニングによって応力改善するためのショットピーニング施工装置であって、原子炉内に導入可能な超音波発生用制御装置および機器移動用駆動制御装置と、前記超音波発生用制御装置により制御されて施工対象となる原子炉内構造物の表面に超音波ショットピーニングによる応力改善処理を施すピーニングヘッド機構と、前記機器移動用駆動制御装置により移動制御されて前記ピーニングヘッド機構を前記原子炉内構造物の表面に沿って移動する移動機構とを備え、前記ピーニングヘッド機構は、一面が開口する函体でその開口面を前記原子炉内構造物の表面に密着させることにより一定容積の閉じた空間を形成するヘッドカバーと、このヘッドカバーの内部に少なくとも一端が挿入されて超音波振動し、前記ヘッドカバー内の空気を超音波振動させる超音波振動用ホーンと、前記ヘッドカバーに連通する一定容量の空間として形成され、内部にショットを収容して前記ヘッドカバー内に前記ショットの供給および回収を行うショット供給・回収機構とを備えたことを特徴とする原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工装置を提供する。
【0013】
また、本発明は、原子炉の開蓋、解体および炉内除染後に、前記超音波ショットピーニング施工装置を搬入し、前記原子炉内の表面応力改善対象となる炉心シュラウドおよびその支持構造物、制御棒駆動機構ハウジングまたはインコアモニタハウジングの表面に前記ピーニングヘッドを装着して超音波ショットピーニング施工を行うことを特徴とする原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置構成がコンパクトで、炉内の種々の施工場所に容易にアクセスして炉内構造物の応力改善処理を効率よく、かつ確実に行うことができるとともに、処理後のショットの回収も漏れなく迅速かつ確実に行え、作業能率および安全性の向上が図れるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0016】
[第1実施形態(図1〜図4)]
図1は、本発明の第1実施形態による原子炉内構造物の超音波ショットピーニング施工装置の全体構成を示す説明図である。図1において、原子炉圧力容器104は点検補修時の解体状態にあり、炉外除染等が行われ、炉心シュラウド106の上部が切断撤去されている。炉内には炉心シュラウド106の下端部、そのサポート部分であるサポートシリンダ107およびサポートレグ108等が残存している。また、炉内底部にはCRDハウジング109およびICMハウジング等が残存している。
【0017】
炉壁内周面には放射線防護壁110が設置され、炉底部にも図示省略の防護壁が設置されている。また、CRDハウジング109上には作業台111が設置され、この作業台111の中央部上方には塔状の作業用足場112が設置されている。
【0018】
本実施形態の超音波ショットピーニング施工装置1は、施工用制御装置として、超音波発生用制御装置2と機器移動用駆動制御装置3とを備え、これらは作業台111上に導入設置されている。超音波発生用制御装置2は高周波電源および電圧制御器等を備え、施工対象に応じた超音波ショットピーニング用の超音波発生および制御を行うものである。機器移動用駆動制御装置3は、後述のピーニングヘッド機構の移動、ショット噴射等の制御を行うものである。
【0019】
超音波発生用制御装置2および機器移動用駆動制御装置3には電源ケーブル4が設けられ、この電源ケーブル4は原子炉圧力容器104の上方に設置した図示省略の電源装置に接続されている。また、超音波発生用制御装置2および機器移動用駆動制御装置3から制御用ケーブル5が引出され、この制御用ケーブル5の先端側にピーニングヘッド機構6が接続されている。
【0020】
図2は、図1に示したピーニングヘッド機構6の構成および施工個所を拡大して示す構成図である。この図2に示すように、本実施形態の施工個所は、炉心シュラウド106の下端部と、そのサポート部分であるショートリング113との間の溶接部114の表面部分である。この溶接部114の周囲に、ピーニングヘッド機構6が取付けられる。
【0021】
ピーニングヘッド機構6は、ボックス状の駆動用本体部8と、この駆動用本体部8に支持されたヘッドカバー9とを有している。駆動用本体部8は、ショートリング113の外周面に周方向に沿って設けられたガイドレール7に走行可能に支持され、機器移動用駆動制御装置3により駆動制御される。すなわち、駆動用本体部8には、駆動機構として、モータ10を駆動源とするギア機構10aが設けられており、このギア機構10aは、ガイドレール7の外周面に設けたラック11に噛合している。そして、機器移動用駆動制御装置3から駆動信号が駆動制御用ケーブル5aを介して駆動用本体部8に伝達され、これにより駆動用本体部8がモータ10の動力によってガイドレール7上を移動し、ピーニング施工個所である炉心シュラウド106の溶接部114に沿って移動するようになっている。
【0022】
また、ヘッドカバー9は、一面が開口する函体でその開口面を炉心シュラウド106の溶接部114表面部分に密着させることにより、一定容積の閉じた空間を形成する構成となっている。このヘッドカバー9の内部には、駆動用本体部8に超音波振動増幅機構12を介して取付けられた超音波振動用ホーン13の一端が挿入されて超音波振動し、ヘッドカバー9内の空気を超音波振動させるようになっている。すなわち、超音波振動増幅機構12には、超音波発生用制御装置2から導かれた超音波伝達用ケーブル5bにより、所定の超音波振動制御信号が送られ、超音波振動用ホーン13の超音波振動制御が行われる。
【0023】
なお、図2には炉心シュラウド106の下端部とショートリング113の上端部との溶接部114のほか、ショットピーニング施工の他の対象個所として、ショートリング113の下端部とサポートシリンダ107の上端部との溶接部115、およびサポートシリンダ107の下端部とサポートレグ108の上端部との溶接部116等が示されている。
【0024】
図3は、図2に示したピーニングヘッド機構6をさらに拡大して示す拡大断面図である。この図3に示すように、ショートリング113の外周面に設けられたガイドレール7は縦長な断面形状を有し、このガイドレール7の上下端縁が山形断面のガイド部7a,7bとされている。このガイドレール7のガイド部7a,7bに、駆動用本体部8に軸支されたローラ14,15が回転自在に係合している。なお、ローラ14,15の少なくとも一方、例えば下側配置のローラ15は上下方向に位置調節可能とされており、この下側配置のローラ15を下方に移動させることにより、ローラ14,15間の幅を広げてガイドレール7への着脱操作が行えるようになっている。
【0025】
また、上述したガイドレール7の外周面のラック11に噛合するギア機構10aは、モータ10によって回転駆動される駆動ギア16と、この駆動ギア16に噛合する従動ギア17とからなり、従動ギア17がガイドレール7のラック11に噛合している。
【0026】
また、図3にはヘッドカバー9を中央部で切断した縦断面構成が示されている。この図3に示すように、ヘッドカバー9は側面視六角形状の函体として構成されており、図示左側の一側面全体が開口部18とされている。この開口部18に対向する図示右側の他側壁19と、この他側壁19の両側(図3の紙面厚さ方向両側)の側壁20,21とは鉛直壁とされている。上壁22の一部、すなわち他側壁19側から開口部18側に向う一定長さ部分は水平壁22aとなっており、その水平壁22aから開口部18側は次第に下方に傾斜する下向き傾斜壁22bとなっている。また、下壁23は全体に開口部18側に向って下方に傾斜する下向き傾斜壁となっている。これらの壁により構成されるヘッドカバー9内が一定容積の気中空間24となっている。ヘッドカバー9の開口部18の周辺全体には、側壁20,21、上壁22および下壁23の延長方向に沿って伸びるショット飛散防止用のブラシ25が密な配置で設けられている。
【0027】
このような構成のヘッドカバー9の下壁23の略中央部に、超音波振動用ホーン13を挿通するホーン挿通孔26が開設されている。このホーン挿通孔26に、ホーン13の先端面部分である振動面13が挿入配置されている。そして、超音波増幅機構13によって増幅された超音波振動がホーン13に伝達され、このホーン13の振動面13aの超音波振動により、ヘッドカバー9内の気中に超音波振動が発生するようになっている。なお、ホーン13の軸心は例えば鉛直方向に配置されており、上端の振動面13aはヘッドカバー9内で水平面となっている。したがって、ホーン13の振動方向は上下方向(矢印a方向)であり、ヘッドカバー9内には上下方向に向う空気振動が発生する。
【0028】
ヘッドカバー9内におけるホーン13の上方部位には、超音波振動を反射するための傾斜状の反射板27が配置されている。この反射板27は例えば後壁19に支持部材27を介して角度調整可能に支持されている。この反射板27の傾斜角の調整により、例えばホーン13の軸方向(上下方向a)に対して超音波振動をヘッドカバー9の開口部18側に的確に反射することができる。例えば反射板27の傾斜角θを大きくした場合にはホーン13からの超音波が開口部18の上側に向き、反射板27の傾斜角θを小さくした場合にはホーン13からの超音波が開口部18の下側に向くようになる。このように、ホーン13が気中振動として超音波振動した場合、超音波振動波は反射板27で反射し、あるいは左右の側壁20,21および上下壁22,23等でさらに反射する。そして、超音波振動は最終的にヘッドカバー9の開口部18に向う超音波振動波となる。
【0029】
また、ヘッドカバー9の開口部18側に位置する下壁23部分の一部には、所定量のショット29をヘッドカバー9内に供給および回収するためのショット供給・回収機構30が設けられている。このショット供給・回収機構30は、ヘッドカバー9に連通する一定容量の空間として形成されており、内部に金属またはセラミックス等の小径剛球からなる所定量のショット29を収容し得る構成となっている。具体的には、ショット供給・回収機構30は、ヘッドカバーの下壁23部分の最も開口部18側に位置する部分に連通孔からなるショット出入口31を有し、このショット出入口31の周囲に筒状の周壁22が垂下している。この周壁22により、ショット出入口31介してヘッドカバー9内に連通接続された一定容量のシリンダ部33が形成されている。シリンダ部33内には、上下方向に沿って往復移動する昇降ピストン34が設けられ、その下方には昇降ピストン34を駆動するピストン駆動機構35が設けられている。ピストン駆動機構35は上述の機器移動用駆動制御装置3によって動作制御され、例えば昇降ピストン34を上昇駆動することにより、ヘッドカバー9内へショット29を供給することができる。また、昇降ピストン34を下降動作させた場合には、ヘッドカバー9の内底部の最も低い開口部18側の位置からショット出入口31介してヘッドカバー9内にショット29を回収することができる。
【0030】
図4は、本実施形態による超音波ショットピーニングの状態を、さらに拡大断面図として示す作用説明図である。昇降ピストン34は不使用状態では図3に示したように、ショット保持用のシリンダ33内の最下方に下降した状態で配置されている。この状態ではショット保持用のシリンダ33内の空間が最大限となっており、ショット保持用のシリンダ33内にはショット29が全量収容されている。
【0031】
この状態から、図4に仮想線で示すように、昇降ピストン34を瞬時的に上昇させると、ショット29がシリンダ33内からヘッドカバー9内に飛散する。一方、超音波振動用ホーン13を上下方向(矢印a方向)に超音波振動させると、このホーン13の振動面13aの超音波振動によってヘッドカバー9内の気中に超音波振動が発生する。発生した超音波振動は反射板27で反射されるとともに、左右の側壁20,21および上下壁22,23等でも反射して、図4に矢印bで示すように、ヘッドカバー9の開口部18に向う超音波振動波が発生する。この超音波振動波により、ヘッドカバー9内に飛散したショット29が施工個所である炉心シュラウド106の下端部とショートリング113との間の溶接部114の表面部分の周囲に衝突し、その衝突エネルギによって材料表面が塑性変形され、引張り残留応力が圧縮応力に変わる。この結果、溶接部近傍の応力腐食割れを防止する表面改質が行える。なお、反射板27の角度調整を行うことにより、最も効率のよい超音波ショットピーニング状態を得ることができる。このような超音波ショットピーニング作用を行いながら、ガイドレール7に沿ってピーニングヘッド機構6を炉心シュラウド106の周囲に沿って連続的に移動させることにより、施工を終了させることができる。
【0032】
ショットピーニング作用が終了した後は、図4に実線で示したように、昇降ピストン34を降下させ、ショット保持用シリンダ33内の最下方に下降させるとともに、超音波振動用ホーン13の超音波振動を停止させる。このように、ホーン13の超音波振動を停止させた場合には、ヘッドカバー9内のショット29は、ヘッドカバー9の下向き傾斜の下壁23に沿い開口部18側に向って落下する。この場合、ショット29の落下途中位置にはショット供給・回収機構30のショット出入口31が開口しているので、ショット29は全てシリンダ部33内に落下回収される。
【0033】
したがって、本実施形態によれば、施工個所が炉心シュラウド106の下端部とショートリング113との溶接部114の表面部分の周囲で鉛直面であるにも拘らず、装置構成がコンパクトであるため、ピーニングヘッド機構6を容易に施工個所にアクセスすることができ、据付作業が容易に行えるとともに、ピーニング処理を効率よく、かつ確実に行うことができる。
【0034】
そして、ショットピーニング施工後においては、ショット29がヘッドカバー9の下向き傾斜の下壁23に沿って落下し、ショット供給・回収機構30のショット出入口31から全てシリンダ部33内に落下回収されるため、処理後のショット29の回収も漏れなく、迅速かつ確実に回収することができる。この結果、本実施形態によれば、施工時間を短縮することができ、炉内処理全体の能率および安全性の向上が図れ、作業員が施工場所に接近して作業する場合であっても被曝防止も図れるものとなる。
【0035】
[第2実施形態(図5)]
本発明の第2実施形態では、施工面が傾斜面である場合、または鉛直面と傾斜面とが複合する場合など、施工面形状が複雑な場合に好適な実施形態について説明する。図5は、この例として、シュラウドサポートシリンダ107とシュラウドサポートレグ108との溶接部116の表面をショットピーニングする場合に好適な炉内構造物の超音波ショットピーニング装置1を一部断面で示す構成図である。
【0036】
図5に示すように、本実施形態が第1実施形態と異なる点は、ピーニングヘッド機構6のヘッドカバー9を、駆動用本体部8および超音波振動用ホーン13に対して角度調整可能な構成とした点にある。すなわち、本実施形態の超音波ショットピーニング装置1では、駆動用本体部8の上端側に軸受取付部材41が設けられ、この軸受取付部材41に軸受42が取付けられている。そして、軸受42に水平な支軸43が支持され、この支軸43を中心としてヘッドカバー9が回動可能に設けられている。
【0037】
カバー9は例えば支軸43を中心とする半円筒状部分44と、この半円筒状部分44の円弧状開口面側に連設された例えば角筒状部分45とからなっている。そして、半円筒状部分44が支軸43を中心として回動できるとともに、角筒状部分45の先端に開口部18が形成され、この開口部18がショット面としてシュラウドサポートシリンダ107とシュラウドサポートレグ108との溶接部116に当接する構成となっている。
【0038】
半円筒状部分44の内部には、超音波振動用ホーン13の振動面13aが挿入されるとともに、半円筒状部分44の内部における超音波振動用ホーン13との対向部位には反射板27が設けられている。ショット供給・回収機構30は角筒状部分45の先端の開口部18付近の下部壁部分に第1実施形態と同様に設けられている。他の構成については、第1実施形態と略同様であるから、図5に図1〜図4と同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
本実施形態によれば、第1実施形態の構成に加え、ピーニングヘッド機構6のヘッドカバー9を、駆動用本体部8および超音波振動用ホーン13に対して角度調整可能な構成としたことにより、施工面の向きや角度が変化する施工面に対し、ヘッドカバー9の開口部18が常に塞がる状態にヘッドカバー9を施工面の角度に追随させて回動することができ、シュラウドサポートシリンダ107とシュラウドサポートレグ108との溶接部116等への応力改善処理を効率よくかつ確実に行える等の効果が奏される。
【0040】
[第3実施形態(図6)]
本発明の第3実施形態では、ピーニングヘッド機構6の簡易な構成例について説明する。図6は、この例として、炉心シュラウド106等の鉛直壁の周壁溶接部付近の表面をショットピーニングする場合に好適な炉内構造物の超音波ショットピーニング装置1を一部断面で示す構成図である。
【0041】
図6に示すように、本実施形態が第1実施形態と異なる点は、ヘッドカバー9が直円筒状等の簡易な筒状として構成され、このヘッドカバー9内の開口部18と対向する部位にホーン13全体が挿入され、ホーン13の振動面13aが直接、開口部18に対面する構成とされた点にある。本実施形態では、反射板が設けられていない。他の構成については、第1実施形態と略同様であるから、図6に図1〜図4と同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施形態の超音波ショットピーニング装置1によれば、第1実施形態と略同様の機能を有することに加え、部品数が少なく、構成が簡易であるため、より小型化することができ、狭隘な空間等へのアクセスが容易となり、種々の施工面に対して超音波ショットピーニング処理を施すことができるとともに、取扱いが容易となる。
【0043】
[第4実施形態(図7)]
本発明の第4実施形態では、ピーニングヘッド機構6のショット供給・回収機構30の変形例について説明する。図7は、この例として、炉心シュラウド106等の鉛直壁の周壁溶接部付近の表面をショットピーニングする場合に好適な炉内構造物の超音波ショットピーニング装置1を一部断面で示す構成図である。
【0044】
図7に示すように、本実施形態が第1実施形態と異なる点は、ショット供給・回収機構30を構成するシリンダ部33内には昇降ピストン34が設けられず、ホース51を介してピーニングヘッド機構6から離間した位置にピストン機構(図示省略)が配置された点にある。このホース51はシリンダ部33に接続具52を介して接続されている。他の構成については、第1実施形態と略同様であるから、図7に図1〜図4と同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
本実施形態の超音波ショットピーニング装置1によれば、第1実施形態と略同様の機能を有することに加え、ピーニングヘッド機構6から離間した位置にピストン機構を配置することにより、施工時に使用するショット29の種類、数量等の変更や調整を例えば機器移動用駆動制御装置3側等で行うことができ、作業種類に対応する変更等が容易に行える利点が得られる。
【0046】
[第5実施形態(図8)]
本発明の第5実施形態では、ピーニングヘッド機構6の炉内における駆動用本体部8の移動機構の変形例について説明する。図8は、この例として、炉心シュラウド106の外周面側に設けられているバッフルプレート120上を車輪によって走行移動できる無軌道型構成の炉内構造物の超音波ショットピーニング装置1を一部断面で示す構成図である。
【0047】
図8に示すように、本実施形態では、ピーニングヘッド機構6の駆動用本体部8の下端部および両側部に複数の車輪61,62,63が設けられている。これらの車輪61,62,63の少なくともいずれかが駆動輪とされ、図示省略のモータ等によって駆動される。この駆動輪の制御は、機器移動用駆動制御装置3によって行われる。他の構成については、第1実施形態と略同様であるから、図8に図1〜図4と同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態の超音波ショットピーニング装置1によれば、第1実施形態と略同様の機能を有することに加え、ピーニングヘッド機構6をバッフルプレート120上に載置するだけで走行移動することができ、炉内構造物である施工個所にガイドレール等を取付けたり、取外す等の必要がないため、装置の着脱に係る手間,設備等を省略して、より簡易に超音波ショットピーニング処理を行うことができる利点が得られる。
【0049】
[適用個所の具体例(図9)]
図9は、以上の各実施形態によって超音波ショットピーニング処理を行う施工対象となる原子炉内構造物を例示したものである。
【0050】
この図9に示すように、本発明ではショットピーニング施工の他の対象個所として、上述した炉心シュラウド106の下端部とショートリング113の上端部との溶接部114、ショートリング113の下端部とサポートシリンダ107の上端部との溶接部115、およびサポートシリンダ107の下端部とサポートレグ108の上端部との溶接部116等の表面改善処理を施すことができる。
【0051】
また、サポートレグ108の下端部と原子炉圧力容器104の炉壁との溶接部117、ICMハウジング121の溶接部122,123、およびCRDハウジング109の溶接部124,125等についても本発明のショットピーニング施工の対象個所とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態による炉内構造物のショットピーニング装置の適用例を示す炉内説明図。
【図2】本発明の第1実施形態による炉内構造物のショットピーニング装置を示す全体構成図。
【図3】図2に示した炉内構造物のショットピーニング装置の要部(A部)を拡大して示す拡大断面図。
【図4】本発明の第1実施形態におけるショットピーニング処理作用を説明するための拡大断面図。
【図5】本発明の第2実施形態による炉内構造物のショットピーニング装置を示す構成図。
【図6】本発明の第3実施形態による炉内構造物のショットピーニング装置を示す構成図。
【図7】本発明の第4実施形態による炉内構造物のショットピーニング装置を示す構成図。
【図8】本発明の第5実施形態による炉内構造物のショットピーニング装置を示す構成図。
【図9】本発明の対応施工個所を例示する説明図。
【図10】従来例を示す説明図。
【符号の説明】
【0053】
1‥超音波ショットピーニング施工装置、2‥超音波発生用制御装置、3‥機器移動用駆動制御装置、4‥電源ケーブル、5‥制御用ケーブル、5b‥超音波伝達用ケーブル、6‥ピーニングヘッド機構、7‥ガイドレール、8‥駆動用本体部、9‥ヘッドカバー、10‥モータ、11‥ラック、12‥超音波振動増幅機構、13‥超音波振動用ホーン、14,15‥ローラ、16‥駆動ギア、17‥従動ギア、18‥開口部、19‥他側壁、20,21‥側壁、22‥上壁、23‥下壁、24‥気中空間、25‥ブラシ、26‥ホーン挿通孔、27‥反射板、29‥ショット、30‥ショット供給・回収機構、31‥ショット出入口、33‥シリンダ部、34‥昇降ピストン、35‥ピストン駆動機構、104‥原子炉圧力容器、106‥炉心シュラウド、107‥サポートシリンダ、108‥サポートレグ、109‥CRDハウジング、110‥放射線防護壁、111‥作業台、112‥作業用足場、113‥ショートリング、114、115,116‥溶接部、121‥ICMハウジング。




 

 


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