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発明の名称 硝酸塩廃棄物処理装置および方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−132901(P2007−132901A)
公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
出願番号 特願2005−328863(P2005−328863)
出願日 平成17年11月14日(2005.11.14)
代理人 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久
発明者 大村 恒雄 / 藤江 誠 / 佐藤 光吉 / 日下 謙一
要約 課題
窒素酸化物(NOx)など地球環境に有害な物質を発生せず、硝酸塩廃棄物中の窒素分を窒素ガスとして回収し、簡素な設備で硝酸塩廃棄物を効率的に処理でき、有害物の溶出が少なく安定した固化体を形成することが可能な硝酸塩廃棄物処理装置および処理方法を提供する。

解決手段
硝酸塩廃棄物1を超臨界水中でアンモニウム塩3と反応させて硝酸塩廃棄物1中の窒素成分を窒素ガス10に変換する超臨界水処理部5と、処理した廃棄物分解液11を固化体13にする固化部12とを備えることを特徴とする硝酸塩廃棄物処理装置である。
特許請求の範囲
【請求項1】
硝酸塩廃棄物を超臨界水中でアンモニウム塩と反応させて硝酸塩廃棄物中の窒素成分を窒素ガスに変換する超臨界水処理部と、処理した廃棄物分解液を固化体にする固化部とを備えることを特徴とする硝酸塩廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記アンモニウム塩が、超臨界水中で酸性を示す硫酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載の硝酸塩廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記アンモニウム塩と前記硝酸塩廃棄物とを予め混合する混合器を設けたことを特徴とする請求項1記載の硝酸塩廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記アンモニウム塩の投入量は、硝酸塩廃棄物に対して化学量論量の1.2倍以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の硝酸塩廃棄物処理装置。
【請求項5】
硝酸塩廃棄物を超臨界水中でアンモニウム塩と反応させて硝酸塩中の窒素成分を窒素ガスに還元する還元処理工程と、処理した廃棄物分解液を固化体にする固化工程とを備えることを特徴とする硝酸塩廃棄物処理方法。
【請求項6】
前記硝酸塩廃棄物が硝酸ナトリウムとバインダーとから成る固体状廃棄物である場合には、硝酸塩廃棄物に水を添加して硝酸ナトリウムを水に溶解して硝酸ナトリウム水溶液を調製し、この硝酸ナトリウム水溶液を前記還元処理工程に供給することを特徴とする請求項5記載の硝酸塩廃棄物処理方法。
【請求項7】
前記廃棄物分解液を固化体にする固化工程は、処理した廃棄物分解液に含有される硫酸イオンをアルミナセメントでエトリンガイト化処理し、さらにアルカリ土類金属化合物を添加し、その後セメントを添加して廃棄物分解液をセメント固化することを特徴とする請求項5記載の硝酸塩廃棄物処理方法。
【請求項8】
前記廃棄物分解液を固化体にする固化工程は、処理した廃棄物分解液に含有される硫酸イオンをアルミニウム化合物とカルシウム化合物との混合物またはアルミナセメントでエトリンガイト化処理し、さらにアルカリ土類金属化合物を添加して、安定なセメント固化体とすることを特徴とする請求項5記載の硝酸塩廃棄物処理方法。
【請求項9】
前記廃棄物分解液に、さらに水素置換型ゼオライトまたはリン酸を添加してセメント固化体を調製し廃棄物分解液に含有されるナトリウムイオンを安定固定化することを特徴とする請求項7または8記載の硝酸塩廃棄物処理方法。
【請求項10】
前記水素置換型ゼオライトの添加量を、固化に使用するセメント100重量部に対して5〜70重量部とすることにより前記ナトリウムイオンを安定固定化することを特徴とする請求項9記載の硝酸塩廃棄物処理方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は硝酸塩廃棄物処理装置および方法に係り、特に窒素酸化物(NOx)など地球環境に有害な物質を発生せず、簡素な設備で硝酸塩廃棄物を効率的に処理でき、有害物の溶出が少なく安定した固化体を形成することが可能な硝酸塩廃棄物処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所から発生する使用済燃料を処理する再処理工場では、硝酸で使用済み燃料を処理するので硝酸廃液を主体にした高レベル放射性廃液が排出され、主要な廃棄物として放射性元素を含む硝酸ナトリウム等の硝酸塩が生成する。これらの硝酸塩をセメントなどで固化し、得られた固化体を一時貯蔵施設で貯蔵した後に地下に埋設し地層処分すると、硝酸ナトリウム等の硝酸塩が地下水中に溶解して硝酸イオンとなって周辺環境へ流出する恐れがある。その結果、固化体の健全性が保証できない恐れがある。そこで固化処理を実施する前に硝酸塩を予め処理して固化体中から除去する必要がある。
【0003】
従来からの硝酸塩廃棄物の処理方法としては、焼却法や触媒還元法などが実用化されている。焼却法は、廃棄物を高温度で焼却し可燃物を分解して減容処理する方法であり、生成した焼却灰はドラム缶に保管されたり、さらに必要に応じて固化処理を実施した後にドラム缶中に保管されたりする。一方、触媒還元法としては、硝酸塩をカドミウム、亜鉛、鉛、鉄、銀、銅、水銀、スズ、ニッケル、マンガン、マグネシウム、およびそれらの合金または混合物の群から選択される触媒金属と接触させて還元し、亜硝酸塩を生成させて、さらに生成した亜硝酸塩にアミドを接触させてNガスとして回収する硝酸塩の還元方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また従来の硝酸塩廃棄物の処理方法として、反応容器内に供給された硝酸塩を含む廃棄物とアンモニアとを、水が超臨界流体となる条件で反応させて、アンモニアにより硝酸塩中の窒素分を窒素ガスに還元させると共に廃棄物分解液をガラス固化する廃棄物処理方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに窒素酸化物を生成させずに硝酸塩を含む廃棄物を処理する方法としては、超臨界水酸化反応を利用した処理方法も提案されている。この超臨界水酸化反応を応用した処理方法は、水の臨界点(温度374℃、圧力22MPa)以上の温度・圧力状態にある高温・高圧水処理領域で無機塩含有有機性汚泥を酸化させて処理する技術である(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特表2001−522298号公報
【特許文献2】特開2005−241531号公報
【特許文献3】特開2002−273494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の硝酸塩廃棄物の処理方法としての焼却法では、高温度の焼却処理によって高濃度の窒素酸化物ガス(NOxガス)が大量に発生する。そして、このNOxガスの無害化処理が必須となり、例えば大掛りな脱硝設備が必要となるために、処理設備全体が大型化し、設備コストおよび運転コストが大きく不経済になる課題があった。
【0007】
一方、上記従来の硝酸塩廃棄物の処理方法としての触媒還元法においては、使用する触媒の失活が予想され、触媒の補充再生作業に多大な労力と運転コストを要する可能性があった。
【0008】
また、水が超臨界流体となる条件で反応させてアンモニアにより硝酸塩中の窒素分を窒素ガスに還元させると共に廃棄物分解液をガラス固化する廃棄物処理方法においては、アンモニアの還元力が弱いために窒素成分の効率的な分解還元が困難である一方、アンモニアが存在すると廃棄物分解液が固化しない問題点がある上に、特に廃棄物分解液に硫酸が含有されている場合にはガラス固化体を形成できない課題があった。
【0009】
さらに、超臨界水酸化反応を利用した処理方法においては、廃棄物に含有される窒素分であるアンモニアは、超臨界水中で酸化されて窒素ガスとして回収されるが、硝酸イオンは変化せずにそのまま処理液体中に残存する。したがって、廃棄物中に含まれる窒素成分の内、処理液体中に残存する窒素分については別途の後処理により処理液中から分離する必要があり、処理操作が煩雑になるおそれがあった。
【0010】
すなわち、硝酸を含む廃棄物を従来の処理方法で処理すると、窒素酸化物など地球環境に有害な物質が多量に発生する問題や、廃棄物分解液中に硝酸イオンなどの窒素分が残留するため、固化体にして地下に埋設したときに溶け出して固化体の強度が保てなくなったり、放射性核種への移行が促進され放射能汚染を周囲に拡散したりする可能性があった。
【0011】
以上の技術的背景から硝酸塩廃棄物を処理する方法として窒素酸化物など地球環境に有害な物質を発生させないで効率的に窒素成分を分解還元処理できる方法および装置が望まれている。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、窒素酸化物(NOx)など地球環境に有害な物質を発生させず、硝酸塩廃棄物中の窒素分を窒素ガスとして回収し、簡素な設備で硝酸塩廃棄物を効率的に処理でき、有害物の溶出が少なく安定した固化体を形成することが可能な硝酸塩廃棄物処理装置および処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明に係る硝酸塩廃棄物処理装置は、硝酸塩廃棄物を超臨界水中でアンモニウム塩と反応させて硝酸塩廃棄物中の窒素成分を窒素ガスに変換する超臨界水処理部と、処理した廃棄物分解液を固化体にする固化部とを備えることを特徴とする。
【0014】
ここで超臨界水は、水の臨界点(温度374℃、圧力22MPa)以上の温度圧力状態にある高温高圧の水である。この高温高圧状態の水領域において、硝酸塩のアンモニウム塩による還元反応が効率的に進行し、窒素ガス以外に有害な窒素酸化物ガスを発生させずに窒素成分が効率的に還元される。
【0015】
また、上記硝酸塩廃棄物処理装置において、前記アンモニウム塩が、超臨界水中で酸性を示す硫酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムの少なくとも一方であることが好ましい。アンモニウム塩として硫酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムを使用することにより、他のアンモニウム塩やアンモニア単体を使用した場合と比較して、超臨界水中で酸性度が高まり硝酸塩の分解効率を高くすることが可能になる。
【0016】
さらに上記硝酸塩廃棄物処理装置において、前記アンモニウム塩と前記硝酸塩廃棄物とを予め混合する混合器を設けることが好ましい。この混合器を設けることにより、アンモニウム塩と前記硝酸塩廃棄物との混合度が高まり、より均一な還元反応が進行し硝酸塩の分解効率がさらに改善される。上記混合器としては、攪拌機を装備した混合槽や配管内で混合するラインミキサーを使用することができる。
【0017】
また、上記硝酸塩廃棄物処理装置において、前記アンモニウム塩の投入量は、硝酸塩廃棄物に対して化学量論量の1.2倍以上であることが好ましい。投入したアンモニウム塩の一部が超臨界水処理部の腐食等を生じる際に消耗され、還元反応に寄与するアンモニウム塩量が不足する場合があるためである。したがって、アンモニウム塩の投入量を硝酸塩廃棄物に対して化学量論量の1.2倍以上に調整することにより、硝酸塩の分解還元率をさらに高めることが可能になる。
【0018】
本発明に係る硝酸塩廃棄物処理方法は、硝酸塩廃棄物を超臨界水中でアンモニウム塩と反応させて硝酸塩中の窒素成分を窒素ガスに還元する還元処理工程と、処理した廃棄物分解液を固化体にする固化工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、上記硝酸塩廃棄物処理方法において、前記硝酸塩廃棄物が硝酸ナトリウムとバインダーとから成る固体状廃棄物である場合には、硝酸塩廃棄物に水を添加して硝酸ナトリウムを水に溶解して硝酸ナトリウム水溶液を調製し、この硝酸ナトリウム水溶液を前記還元処理工程に供給することが好ましい。
【0020】
上記のように硝酸塩廃棄物に水を添加して硝酸ナトリウムを水に溶解して硝酸ナトリウム水溶液を調製し、この硝酸ナトリウム水溶液を被処理液として前記還元処理工程に供給することにより、硝酸塩廃棄物を安定した状態で超臨界水処理部に輸送することが可能になり、固体状の硝酸塩廃棄物を液体にして処理できるため、硝酸塩廃棄物の連続処理を安定した状態で実施できる。また、硝酸塩廃棄物の流量制御も容易である。
【0021】
さらに上記硝酸塩廃棄物処理方法において、前記廃棄物分解液を固化体にする固化工程は、処理した廃棄物分解液に含有される硫酸イオンをアルミナセメントでエトリンガイト化処理し、さらにアルカリ土類金属化合物を添加し、その後セメントを添加して廃棄物分解液をセメント固化する工程であることが好ましい。
【0022】
ここで上記エトリンガイト化処理は、硫酸イオンを含む廃棄物分解液にセメント系固化材であるアルミナセメントを混合して水和反応を進行せしめ、水に不溶な針状結晶であるエトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)を形成する処理である。このエトリンガイトが廃棄物分解液中の粒子間に架橋を形成し廃棄物分解液の迅速な固化が促進され、廃棄物成分の溶出がない安定した固化体が形成される。また、上記エトリンガイトおよびアルカリ土類金属化合物をセメントと共に廃棄物分解液に複合添加することにより、セメントの膨潤が抑制された安定したセメント固化体が得られる。
【0023】
また上記硝酸塩廃棄物処理方法において、前記廃棄物分解液を固化体にする固化工程は、処理した廃棄物分解液に含有される硫酸イオンをアルミニウム化合物とカルシウム化合物との混合物またはアルミナセメントでエトリンガイト化処理し、さらにアルカリ土類金属化合物を添加して、安定なセメント固化体とする工程であることが好ましい。前記アルミナセメントに代えて、アルミニウム化合物とカルシウム化合物との混合物を添加した場合においても、前記エトリンガイトを形成でき同様な固化体の安定化効果が得られる。
【0024】
さらに上記硝酸塩廃棄物処理方法において、前記廃棄物分解液に、さらに水素置換型ゼオライトまたはリン酸を添加してセメント固化体を調製し廃棄物分解液に含有されるナトリウムイオンを安定に固定化することが好ましい。上記水素置換型ゼオライトまたはリン酸を廃棄物分解液に添加することにより、廃棄物分解液のセメント固化体に含有されるナトリウムイオンを安定に固定化することができる。すなわち、固化体から溶出するナトリウムイオン量を低減できるために固化体に接触した水のpH値の上昇が効果的に抑制され、有害成分の溶出が少ない安定した固化体を形成できる。
【0025】
また上記硝酸塩廃棄物処理方法において、前記水素置換型ゼオライトまたはリン酸の添加量を、固化に使用するセメント100重量部に対して5〜70重量部とすることにより前記ナトリウムイオンを安定固定化することが好ましい。上記水素置換型ゼオライトまたはリン酸の添加量が5重量部未満であると、上記ナトリウムイオンの固定化効果が少ない一方、70重量部を超えるように過量にしてもさらなる改善効果は期待できない。したがって、上記水素置換型ゼオライトまたはリン酸の添加量は5〜70重量部の範囲とされるが、10〜60重量部の範囲がより好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る硝酸塩廃棄物処理装置および処理方法によれば、硝酸塩廃棄物を超臨界水中でアンモニウム塩とを反応させているために、硝酸塩中の窒素成分を効率的に窒素ガスに還元することが可能であり、処理に際して窒素酸化物など地球環境に有害な物質を発生せず、簡素な設備で硝酸塩廃棄物を効率的に処理でき、有害物の溶出が少なく安定した固化体を形成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に本発明に係る硝酸塩廃棄物処理装置および処理方法の実施形態について、添付図面および以下の実施例を参照して具体的に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は本発明の一実施形態に係る硝酸塩廃棄物処理装置の処理フローおよび機器構成例を示す系統図である。すなわち、本実施例に係る硝酸塩廃棄物処理装置は、硝酸塩廃棄物1を超臨界水中でアンモニウム塩3と反応させて硝酸塩廃棄物中の窒素成分を窒素ガスに変換する超臨界水処理部5と、処理した廃棄物分解液11を固化体13にする固化部12とを主要機器として備えて構成される。
【0029】
さらに、硝酸塩廃棄物1を超臨界水処理部5に供給する硝酸塩廃棄物供給ライン2と、アンモニウム塩3を超臨界水処理部5に供給するアンモニウム塩供給ライン4と、超臨界水処理部5から排出された処理済流体6を冷却する冷却部7と、冷却部7から排出された処理済流体6を減圧する減圧部8と、減圧された処理済流体6から分解ガス10を分離する気液分離部9と、気液分離部9から排出された廃棄物分解液11を固化し、固化体13を形成する固化部12とが装備されている。
【0030】
上記構成を有する本実施例に係る硝酸塩廃棄物処理装置を運転する場合には、硝酸塩廃棄物1が硝酸塩廃棄物供給ライン2を経由して超臨界水処理部5に供給される一方、アンモニウム塩3がアンモニウム塩供給ライン4を経由して超臨界水処理部5に供給される。超臨界水処理部5では高温高圧の超臨界水状態において硝酸塩廃棄物1がアンモニウム塩3によって還元される結果、硝酸塩廃棄物1中の窒素分の大部分が窒素ガスに変換される。窒素ガスを含む処理済流体6は、超臨界水処理部5から連続的に抜き出され、冷却部7において常温まで降温され、さらに減圧弁8を通して常圧まで減圧される。その後、気液分離部9において窒素ガスを含む分解ガス10と廃棄物分解液11とに分離され、廃棄物分解液11は固化部12において、セメント等の固化媒体を添加されることにより固化体13となる。
【0031】
上記のような処理フローによれば、硝酸塩中の窒素成分を効率的に窒素ガスに還元することが可能であり、処理に際して窒素酸化物など地球環境に有害な物質を発生させず、簡素な設備で硝酸塩廃棄物を効率的に処理でき、有害物の溶出が少なく安定した固化体を形成することが可能になる。
【0032】
ここで上記硝酸塩廃棄物を超臨界水によりバッチ処理した分解試験結果について以下に説明する。分解試験では硝酸ナトリウムに水を加え、濃度を調整したものを硝酸塩廃棄物として使用した。この硝酸ナトリウム水溶液と、表1に示す各種アンモニウム塩もしくはアンモニアをSUS製の反応容器(容量5.6ml)に仕込んで密封し、反応容器を加熱した流動砂中に浸漬させアンモニア成分による硝酸廃棄物の還元分解反応を進行せしめた。この流動砂中に15分間浸漬させた後、反応容器を水中に入れて急冷し、還元分解反応を停止させた。なお、反応温度は流動砂の温度とし400℃一定に制御した。アンモニウム塩としては、表1に示すように硫酸アンモニウム、塩酸アンモニウムまたは炭酸アンモニウムを使用した。このとき、アンモニウム塩およびアンモニアは、硝酸塩廃棄物に対して化学量論量を添加した。また、反応圧力は反応容器内に添加する水の量により制御し、30MPaの一定値とした。そして、反応容器内において発生した分解ガスの種類およびそれらの体積比率をガス分析法により定性定量した。さらに、分解ガスの発生量から廃棄物としての硝酸塩の変換率(分解率)を計算して下記表1に示す測定計算結果を得た。
【0033】
【表1】


【0034】
上記表1に示す結果から明らかなように、アンモニウム塩として硫酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムを使用した試料1−1,1−2の場合には、硝酸ナトリウムの窒素ガスへの変換率が99%になり、廃棄物としての硝酸塩が、効率的に分解還元されることが確認できた。
【0035】
一方、アンモニウム塩として炭酸アンモニウムを使用した場合(試料1―3)およびアンモニアを使用した場合(試料1―4)には、硝酸ナトリウム中の窒素分を殆ど窒素ガスへ変換することが不可能であった。この原因としては、硝酸塩廃棄物が硝酸アンモニウムのように超臨界水中で弱酸性を示す化合物については、アンモニアや炭酸アンモニウムでも窒素ガスに変換できるが、硝酸ナトリウムのように超臨界水中で中性を示す化合物については、超臨界水中で酸性を示さないアンモニアや炭酸アンモニウムでは窒素ガスに変換できないためである。
【0036】
本実施例のように、超臨界水中で酸性を示す硫酸アンモニウムや塩化アンモニウムをアンモニウム塩として用いることにより、硝酸塩廃棄物中の窒素分を効果的に窒素ガスに変換できることが判明した。
【実施例2】
【0037】
図2は、本発明の他の実施形態に係る硝酸塩廃棄物処理装置の処理フローおよび機器構成例を示す系統図である。この実施例2に係る硝酸塩廃棄物処理装置は、図1に示す実施例1に示す硝酸塩廃棄物処理装置の硝酸塩廃棄物供給ライン2およびアンモニウム塩供給ライン4の代わりに、アンモニウム塩3と硝酸塩廃棄物1とを予め混合する混合器15と、得られた混合液を超臨界水処理部5に供給する混合液供給ライン14とを設けて構成される。他の構成については図1に示す実施例1に示す硝酸塩廃棄物処理装置と同一であり、同一構成要素には同一符合を付している。
【0038】
図2に示す処理フローに従えば、硝酸塩廃棄物1とアンモニウム塩3とを予め混合させてから超臨界水処理部5に供給され、ここで硝酸塩廃棄物中の窒素分が窒素ガスへ変換される。
【0039】
上記構成の実施例2に係る硝酸塩廃棄物処理装置によれば、アンモニウム塩3と硝酸塩廃棄物1とを予め混合する混合器15が設けられているために、アンモニウム塩3と硝酸塩廃棄物1との混合度が高まり、より均一な還元反応が進行し硝酸塩の分解効率がさらに改善されることが判明した。上記混合器としては、攪拌機を装備した混合槽や配管内で混合するラインミキサーを使用することができる。
【実施例3】
【0040】
次に硝酸塩廃棄物1に対して添加するアンモニウム塩3の投入量(化学量論比)の影響について実施例3に基づいて説明する。
【0041】
すなわち、硝酸塩廃棄物を超臨界水によりバッチ処理した際のアンモニウム塩添加量の影響について比較試験を実施した結果を以下に示す。比較試験では硝酸ナトリウムに水を加え、一定の濃度に調整した硝酸ナトリウム水溶液を硝酸塩廃棄物として使用した。この硝酸ナトリウム水溶液と、アンモニウム塩をステンレス鋼(SUS)製の反応容器(容量5.6ml)に仕込んで密封し、反応容器を流動砂中に浸漬させて超臨界水処理を実施した。流動砂中に15分間浸漬させた後、反応容器を水中に入れて急冷し、分解還元反応を停止させた。なお、反応温度は流動砂の温度とし400℃に一定に制御した。また表2に示すように、アンモニウム塩としては硫酸アンモニウムを使用すると共に、その添加量(窒素バランス)が硝酸塩廃棄物に対して化学量論量の1〜2倍量を添加した。この窒素バランスは、硝酸ナトリウムおよび硫酸アンモニウムに含有する全窒素分を1とし、それに対する分解ガスおよび分解液中に含まれる窒素分を示している。また、反応圧力は添加する水の量により制御し、30MPaの一定値とした。
【0042】
そして、実施例1と同様に超臨界水処理を実施し反応容器内において発生した分解ガスの種類およびそれらの体積比率をガス分析法により定性定量して、分解ガスの発生量から廃棄物としての硝酸ナトリウムの変換率(分解率)を計算して下記表2に示す結果を得た。
【表2】


【0043】
上記表2に示す結果から明らかなように、硫酸アンモニウムの添加量が化学量論量であれば、窒素ガスへの変換率は99.0%であるが、硫酸アンモニウム添加量が化学量論量の1.2倍以上であれば、硝酸ナトリウムの変換率は99.8%になり、より高く安定した変換率(分解率)が得られた。これは、硫酸アンモニウムのうち、若干量が超臨界水処理部の腐食等に使われ浪費されるためであると考えられる。この事実から、アンモニウム塩を、硝酸塩廃棄物に対して化学量論量の1.2倍以上添加することにより、硝酸塩廃棄物中の窒素分の窒素ガスへの変換率を効果的に高めることができる。実施例1〜実施例2についても同様にアンモニウム塩の添加量を化学量論量の1.2倍以上に調整することにより、硝酸塩廃棄物中の窒素分の窒素ガスへの変換率をより高めることができる。
【実施例4】
【0044】
次に固形状の廃棄物を水溶液として調製し超臨界水処理部5に供給した実施例を説明する。すなわち、硝酸ナトリウムとバインダーとから成る固体状の硝酸塩廃棄物に水を添加して硝酸ナトリウムを水に溶解して硝酸ナトリウム水溶液とし、この硝酸ナトリウム水溶液を超臨界水処理部5に供給した。このように固形状の廃棄物を水溶液として調製することにより、硝酸塩廃棄物を安定した状態で超臨界水処理部5に輸送することが可能にある。
【0045】
ここで、硝酸ナトリウムを乾燥・造粒して固体状廃棄物(ペレット)にしたものに水を複数回添加した場合に、硝酸ナトリウムを水中にどの程度の割合で回収できるかを調査するために溶解試験を実施した。この溶解試験では、まず表3に示す水/ペレット重量比で水をペレットに添加混合して攪拌した後に、しばらく静置することにより固液分離した。分離した後の固体状廃棄物に再び水を添加し、混合・攪拌後に固液分離する作業を、表3に示す回数(水入れ替え回数)だけ繰り返して実施した。表3に示すように、水は1回の入れ替え操作毎にペレットに対して重量比で3〜5倍量添加する一方、水の入れ換え回数は3〜5回とした。こうして調製した各硝酸ナトリウム水溶液を実施例1と同様に超臨界水によって処理して、分離回収した窒素ガス量を定量し、ペレットから水中に溶解移行しさらに窒素ガスに分解還元された硝酸ナトリウムの割合(回収率)を測定した。上記溶解試験結果を下記表3に示す。
【0046】
【表3】


【0047】
上記表3に示す結果から明らかなように、水/ペレットの重量比を3〜5とする一方、水入れ替え回数を5回に設定することにより、回収率は100%になり最も効率良く、ペレット中の硝酸ナトリウムを水中に回収できることが判明した。したがって、実施例1〜実施例3についても同様に固体状廃棄物を水溶液として供給することにより廃棄物の回収率を高めることができる。
【0048】
本実施例4のように、硝酸塩廃棄物に水を添加して硝酸ナトリウムを水に溶解して硝酸ナトリウム水溶液を調製し、この硝酸ナトリウム水溶液を被処理液として還元処理工程に供給することにより、硝酸塩廃棄物を安定した状態で超臨界水処理部に輸送することが可能になり、固体状の硝酸塩廃棄物を液体にして処理できるため、硝酸塩廃棄物の連続処理を安定した状態で実施できる。また、硝酸塩廃棄物の流量制御も容易になる。
【実施例5】
【0049】
次に超臨界水処理した廃棄物処理液をエトリンガイト化処理し、さらにアルカリ土類金属化合物を添加して固化処理した実施例を説明する。すなわち、実施例1において超臨界水処理した廃棄物分解液に含有される硫酸イオンをアルミナセメントでエトリンガイト化処理することにより水和反応を進行せしめ、水に不溶な針状結晶であるエトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)を形成した。このエトリンガイトが廃棄物分解液中の粒子間に架橋を形成し廃棄物分解液の迅速な固化が促進された。さらにアルカリ土類金属化合物を0.5〜5%の範囲で添加し、その後セメントを加えることにより、セメントの膨潤を抑制するセメント固化体を抑制することができた。ちなみに、廃棄物処理液の固化前後における寸法変化率は1%以内であった。
【0050】
また、処理した廃液に含有する硫酸イオンを、アルミニウム化合物及びカルシウム化合物の混合物またはアルミナセメントでエトリンガイト化処理し、さらにアルカリ土類金属化合物を添加することにより、廃棄物成分の溶出が少ない安定したセメント固化体が得られた。ちなみに上記セメント固化体を温度50℃の水に100時間浸漬した場合においても溶出イオン量から算出した廃棄物成分の溶出量は0.01質量%未満であった。
【実施例6】
【0051】
次にエトリンガイト化した廃棄物分解液に水素置換型ゼオライトまたはリン酸を添加して固化処理した実施例を説明する。すなわち、実施例5のように超臨界水処理した後に、さらにエトリンガイト化処理した廃棄物分解液に水素置換型ゼオライトまたはリン酸を添加してからセメント固化体を形成した。このようにエトリンガイト化処理した廃棄物分解液に水素置換型ゼオライトまたはリン酸を添加してからセメント固化体とすることにより、さらに含有するナトリウムイオンを安定に固定化することができた。
【0052】
具体的には、下記のようなナトリウムイオンの安定固定化試験を実施した。この安定固定化試験においては廃棄物分解液として濃度が25%の硫酸ナトリウムの溶液を用い、下記の試料a〜cに係るセメント固化体を調製した。
(試料a)廃棄物分解液に水酸化バリウムによる硫酸イオン安定化処理を施してセメントによりセメント固化したもの:
(試料b)廃棄物分解液に水酸化バリウムによる硫酸イオン安定化処理を施し、さらにセメント100重量部に対して67重量部の水素置換型ゼオライトを添加してナトリウムを安定化させてセメントによりセメント固化したもの:
(試料c)廃棄物分解液にアルミナセメントおよび水酸化バリウムによる硫酸イオン安定化処理を施して、さらにセメント100重量部に対して67重量部の水素置換型ゼオライトを添加してナトリウムを安定化してセメントによりセメント固化したもの:
をそれぞれ作製し、養生後にこれを粒径が200μm以下となるように粉砕した。そして、各試料1gに対して、水10mlを注入し、注入後の液相のpHを測定した。その結果、各液相のpHは試料aで13.03、試料bで12.46、試料cで12.91となった。なお、当該セメントのみを水で混練した試料について同様の試験を行うと、pH値は12.94であった。
【0053】
上記試験結果から明らかなように、水素置換型ゼオライトを添加しない試料aの場合ではpH値が上昇する傾向があるのに対して、水素置換型ゼオライトを添加した試料b〜cの場合ではpH値の上昇を抑制できることが明白になった。なお、固化に用いるセメントとして、アルミナセメントのような低アルカリセメントを用いることにより、液相のpHをさらに低下させることも可能であった。このとき、水素置換型ゼオライトの添加量を、固化に使用するセメント100重量部に対して5〜70重量部とすることにより、pH値の上昇をより効果的に抑制できナトリウムイオンをより安定的に固定化できることが確認されている。したがって、実施例5についても同様に水素置換型ゼオライトまたはリン酸を添加することにより、ナトリウムイオンをより安定的に固定化することができる。
【0054】
以上、実施例1〜6に係る硝酸塩廃棄物処理装置および処理方法によれば、硝酸塩廃棄物に含まれる窒素分を窒素ガスに変換した後に固化体としているため、固化体を処分場に埋設した場合においても、地下水により硝酸イオン等の有害成分が溶出する恐れがなくなり、固化体の健全性および安全性が保証されるという効果が得られる。
【0055】
また、固体状の硝酸塩廃棄物を液体にして処理できるために、硝酸塩廃棄物の連続処理を安定的に実施することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る硝酸塩廃棄物処理装置の処理フローおよび機器構成例を示す系統図。
【図2】本発明の他の実施形態に係る硝酸塩廃棄物処理装置の処理フローおよび機器構成例を示す系統図であり、硝酸塩廃棄物とアンモニウム塩とを予め混合する混合器を設けた機器構成を示す系統図。
【符号の説明】
【0057】
1 硝酸塩廃棄物
2 硝酸塩廃棄物供給ライン
3 アンモニウム塩
4 アンモニウム塩供給ライン
5 超臨界水処理部
6 処理済流体
7 冷却部
8 減圧部
9 気液分離部
10 分解ガス
11 分解液
12 固化部
13 固化体
14 混合液供給ライン
15 混合器




 

 


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