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発明の名称 未臨界度監視装置及び方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−121156(P2007−121156A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−315239(P2005−315239)
出願日 平成17年10月28日(2005.10.28)
代理人 【識別番号】100077849
【弁理士】
【氏名又は名称】須山 佐一
発明者 植田 精 / 吉岡 研一
要約 課題
核燃料を取り扱う体系における未臨界度監視装置及び監視方法を提案する。

解決手段
本発明の未臨界度監視装置は、測定対象に中性子を照射する中性子照射部3と、測定対象から放出される中性子を計測する中性子計測部5と、中性子を透過させる透過部2と中性子の透過量を減らす遮蔽部21とを有する中性子透過調整部1と、中性子透過調整部の透過部と遮蔽部の位置を移動させる中性子透過調整部駆動装置13と、透過部の位置を検出する位置検出器12と、透過調整部駆動装置により中性子透過調整部を制御して、中性子が透過部を透過して測定対象に照射される状態の時間を可変にする計測制御部7と、中性子が測定対象に照射されている状態の中性子計測部の計測値と中性子が遮蔽されている状態の中性子計測部の計測値とを求めて、測定対象の実効増倍率を求める計測値処理部8とを具備する。
特許請求の範囲
【請求項1】
測定対象に中性子を照射する中性子照射部と、
前記測定対象から放出される中性子を計測する中性子計測部と、
前記測定対象と前記熱中性子照射部との間に設置され前記中性子を透過させる透過部と前記中性子の透過量を減らす遮蔽部とを有する中性子透過調整部と、
前記中性子透過調整部の透過部と遮蔽部の位置を移動させる中性子透過調整部駆動装置と、
前記透過部の位置が前記中性子を測定対象に照射する位置にあることを検出する位置検出器と、
前記位置検出器からの検出値を受け取り前記透過調整部駆動装置により前記中性子透過調整部を制御して、前記中性子が前記透過部を透過して前記測定対象に照射される状態の時間を可変にする計測制御部と、
前記位置検出器からの検出値に基づき、前記中性子が前記透過部を透過して前記測定対象に照射されている状態の前記中性子計測部の計測値と前記中性子が前記遮蔽部により
遮蔽されている状態の前記中性子計測部の計測値とを求め、これらの計測値を用いて前記測定対象の実効増倍率を求める計測値処理部と
を具備することを特徴とする未臨界度監視装置。
【請求項2】
前記中性子透過調整部駆動装置が、前記中性子透過調整部の前記透過部と前記遮蔽部とを往復移動させることを特徴とする請求項1に記載の未臨界度監視装置。
【請求項3】
前記中性子透過調整部が、前記透過部の面積と前記遮蔽部の面積の比が異なる複数の領域を有し、前記中性子透過調整部駆動装置により前記中性子透過調整部の位置を移動して前記測定対象と前記中性子照射部の間に配置される前記領域を変えることにより、前記透過部を透過して前記中性子が測定対象に照射される時間を可変にすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の未臨界度監視装置。
【請求項4】
前記中性子透過調整部が、回転円板であり、前記透過調整部駆動装置が、前記回転円板を回転させるモータであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の未臨界度監視装置。
【請求項5】
前記中性子照射部は、中性子が放出される中性子源と、前記中性子源の周りに設置され前記中性子源からの中性子を受けて中性子を反射する中性子反射体と、前記中性子源から前記測定対象までの空間を形成する空洞とを有することを特徴とする請求項1に記載の未臨界度監視装置。
【請求項6】
測定対象に中性子を照射する中性子照射部と、
前記測定対象から放出される中性子を計測する中性子計測部と、
前記中性子照射部の位置を移動させる中性子照射部移動装置と、
前記測定対象と前記中性子照射部の間に設置され、前記中性子照射部の移動範囲内で、前記中性子照射部からの中性子を透過させて前記測定対象へ照射させる透過部と前記中性子照射部から前記測定対象への中性子の照射量を前記透過部を透過する照射量より少なくする遮蔽部とを有する中性子減速遮蔽体と、
前記中性子照射部が、該中性子照射部から放出される中性子が前記透過部を透過して測定対象に照射される位置にあることを検出する位置検出器と、
前記位置検出器からの検出値を受け取り、前記中性子照射部移動装置により前記中性子照射部の移動を制御して、前記中性子が前記透過部を透過して前記測定対象に照射される時間を可変にする計測制御部と、
前記位置検出器からの検出値に基づき、前記中性子が前記透過部を透過して照射されている状態の前記中性子計測部の計測値と前記中性子照射部と測定対象の間に前記遮断部がある状態の前記中性子計測部の計測値とを求め、これらの値を用いて前記測定対象の実効増倍率を求める計測値処理部と
を具備することを特徴とする未臨界度監視装置。
【請求項7】
前記中性子照射部移動装置は、前記中性子照射部を往復移動させることを特徴とする請求項6に記載の未臨界度監視装置。
【請求項8】
前記中性子照射部移動装置は、前記中性子照射部が設置される回転円板と、該回転円板を回転させるモータとを有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の未臨界度監視装置。
【請求項9】
前記中性子減速遮蔽体の遮蔽部の外表面に熱中性子を吸収する熱中性子吸収体が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の未臨界度監視装置。
【請求項10】
前記中性子照射部が、中性子散乱断面積の大きな物質を含有する中性子反射体を有し、前記中性子照射部からの中性子が、前記透過部を透過して前記測定対象に照射される位置にあるとき、前記中性子照射部が、前記中性子反射体と前記透過部の間にあることを特徴とする請求項6に記載の未臨界度監視装置。
【請求項11】
前記中性子反射体は、前記中性子照射部からの中性子を受け熱中性子を放出する物質を含有することを特徴とする請求項10に記載の未臨界度監視装置。
【請求項12】
前記中性子減速遮蔽体が、前記透過部を少なくとも2つ有し、前記中性子照射部から各透過部を透過した中性子が前記測定対象に到る長さが異なることを特徴とする請求項6に記載の未臨界度監視装置。
【請求項13】
測定対象に中性子を照射する中性子照射部と、
前記測定対象から放出される中性子を計測する中性子計測部と、
前記測定対象と前記中性子照射部との間に設置され、中性子を減速させる減速物質が導入され、または排出される中性子案内部と、
前記中性子案内部へ前記減速物質を導入する減速物質導入装置と、
前記中性子案内部へ前記減速物質が導入されていないことを検出する検出器と、
前記検出器からの検出値を受け取り、前記減速物質導入装置による前記減速物質の前記中性子案内部への導入および排出を制御して、前記減速物質が前記中性子案内部に導入されていない時間を可変にする計測制御部と、
前記検出器からの検出値に基づき、前記減速物質が前記中性子案内部に導入されていない状態の前記中性子計測部の計測値と前記減速物質が前記中性子案内部に導入されている状態の前記中性子計測部の計測値とを求め、これらの計測値を用いて、前記測定対象の実効増倍率を求める計測値処理部と
を具備することを特徴とする未臨界度監視装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13に記載の未臨界度監視装置を用いて未臨界度を監視する未臨界度監視方法において、
静的増倍中性子測走法により実効増倍率を求め、
この求めた実効増倍率が0.8より大きい場合には、パイルオッシレータ法により実効増倍率を求め、
静的増倍中性子測走法により求めた実効増倍率とパイルオッシレータ法により求めた実効増倍率の大きい方を実効増倍率として監視することを特徴とする未臨界度監視方法。
【請求項15】
請求項1ないし請求項13に記載の未臨界度監視装置を用いて未臨界度を監視する未臨界度監視方法において、
パルス中性子法により実効増倍率を求め、
この求めた実効増倍率が0.9より小さい場合には、静的増倍中性子測定法またはパイルオッシレータ法ににより実効増倍率を求める
ことを特徴とする未臨界度監視方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、核燃料を取り扱う体系における未臨界度監視装置及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本来、原子炉は、核燃料体系を臨界にする目的で設置されるが、原子炉以外の核燃料体系は、それと反対に、決して臨界にしてはならない。
【0003】
原子力開発の初期の段階では、原子炉以外の核燃料を取扱う体系で、臨界事故が発生するおそれもあったが、核燃料を取扱う体系の特性を予め予測できるようになってからは、臨界事故の可能性は殆どない。
【0004】
しかしながら、不注意な者が、勝手に臨界事故対策を軽視して操作することがあれば、臨界事故に到る可能性がある。
【0005】
原子炉は、万一臨界事故を起こすと、大規模な被害を起こす恐れがあるが、核燃料を取扱う体系が決まっており、制御棒により臨界性を確実に制御できる制御装置を有しているので、万一臨界事故が発生しても、自動的に未臨界になるように設計されている。
【0006】
一方、核燃料の輸送・貯蔵及び処理施設等は、万一臨界事故が発生すると、核燃料を取扱う体系を未臨界にすることができる制御装置を有していない。このため、一般には、核燃料を取扱う体系が、臨界にならないように設計されている。
【0007】
しかしながら、原理的に設計条件を無視することがあれば、例えば、許可された制限値より高い燃料濃度を使用すれば、核燃料を取扱う体系が、臨界になる恐れがある。
【0008】
放射性物質を大量に含む原子炉の臨界事故は、地球規模になり、極めて深刻な問題を起こすが、核燃料の輸送・貯蔵及び処理施設等における臨界事故でも、限定的な範囲ではあるが深刻な問題を引き起こす可能性がある。
【0009】
従来、原子炉の未臨界実験法(非特許文献1)や使用済燃料集合体の燃焼度を評価するために中性子増倍率を測定する方法(非特許文献2)が、本発明者らにより開発されており、核燃料取扱い施設の未臨界度を評価する方法の概念的な提案(例えば、非特許文献3)もされているが、核燃料を取り扱う体系における未臨界度の監視装置及び監視方法を具体的に示した提案は殆ど見当たらない。
【非特許文献1】原子力学会臨界実験専門委員会編「原子力物理実験」コロナ社、昭和38年、p.150
【非特許文献2】Ueda et al., "Active Neutron Multiplication Method for Fuel Lattices in Water"Nuclear Technology, vol.97, p.131(1992)
【非特許文献3】Gareris,Russel,Nuclear Science and Engineering, 16, p.263(1963)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、核燃料の輸送・貯蔵及び処理施設における臨界事故を防止するためには、核燃料を取り扱う体系における未臨界度監視装置及び監視方法を具体化して備えることが重要である。この様な背景から、本発明は、核燃料を取り扱う体系における未臨界度監視装置及び監視方法装置を具体的に提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の未臨界度監視装置は、測定対象に中性子を照射する中性子照射部と、測定対象から放出される中性子を計測する中性子計測部と、測定対象と熱中性子照射部との間に設置され中性子を透過させる透過部と中性子の透過量を減らす遮蔽部とを有する中性子透過調整部と、中性子透過調整部の透過部と遮蔽部の位置を移動させる中性子透過調整部駆動装置と、透過部の位置が中性子を測定対象に照射する位置にあることを検出する位置検出器と、位置検出器からの検出値を受け取り透過調整部駆動装置により中性子透過調整部を制御して、中性子が透過部を透過して測定対象に照射される状態の時間を可変にする計測制御部と、位置検出器からの検出値に基づき、中性子が透過部を透過して測定対象に照射されている状態の中性子計測部の計測値と中性子が遮蔽部により遮蔽されている状態の中性子計測部の計測値とを求め、これらの計測値を用いて測定対象の実効増倍率を求める計測値処理部とを具備することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の未臨界度監視装置は、測定対象に中性子を照射する中性子照射部と、測定対象から放出される中性子を計測する中性子計測部と、中性子照射部の位置を移動させる中性子照射部移動装置と、測定対象と中性子照射部の間に設置され、中性子照射部の移動範囲内で、中性子照射部からの中性子を透過させて測定対象へ照射させる透過部と中性子照射部から測定対象への中性子の照射量を透過部を透過する照射量より少なくする遮蔽部とを有する中性子減速遮蔽体と、中性子照射部が該中性子照射部から放出される中性子が透過部を透過して測定対象に照射される位置にあることを検出する位置検出器と、位置検出器からの検出値を受け取り、中性子照射部移動装置により中性子照射部の移動を制御して、中性子が透過部を透過して測定対象に照射される時間を可変にする計測制御部と、
位置検出器からの検出値に基づき、中性子が透過部を透過して照射されている状態の中性子計測部の計測値と中性子照射部と測定対象の間に遮断部がある状態の中性子計測部の計測値とを求め、これらの値を用いて測定対象の実効増倍率を求める計測値処理部とを具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の未臨界度監視装置は、測定対象に中性子を照射する中性子照射部と、測定対象から放出される中性子を計測する中性子計測部と、測定対象と中性子照射部との間に設置され、中性子を減速させる減速物質が導入され、または排出される中性子案内部と、中性子案内部へ減速物質を導入する減速物質導入装置と、中性子案内部へ減速物質が導入されていないことを検出する検出器と、検出器からの検出値を受け取り、減速物質導入装置による減速物質の中性子案内部への導入および排出を制御して、減速物質が中性子案内部に導入されていない時間を可変にする計測制御部と、検出器からの検出値に基づき、減速物質が中性子案内部に導入されていない状態の中性子計測部の計測値と減速物質が中性子案内部に導入されている状態の中性子計測部の計測値とを求め、これらの計測値を用いて、測定対象の実効増倍率を求める計測値処理部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、(1) 静的増倍中性子測定法(SSM法) 、(2) パイルオッシレータ法(PO法)、及び (3)パルス中性子法(PNS法)の3種の何れか1種またはそれらの組み合わせたものを採用できる装置と方法を提供することができる。
【0015】
上記の方法は、それぞれ特徴があり、複数の方法による測定を比較して総合的に安全性を確認することができるとともに、定量的に臨界安全性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施の形態の具体的な装置の例を説明する前に、本発明に使用する公知の理論とその特徴を簡単に説明する。
【0017】
本発明では、(1) 静的増倍中性子測定法(Static Source Multiplication Method:以下SSM法と呼ぶ) 、(2) パイルオッシレータ法(Pile Oscillator Method:以下PO法と呼ぶ)及び (3)パルス中性子法(Pulse Neutron Source Method:以下PNS法と呼ぶ)の3種類の測定理論を採用する。
【0018】
SSM法は、本発明者らによって開発された方法であり、その出典は、従来の技術の段落に示したとおり、「Nuclear Technology, vol.97, p.131(1992), Ueda et al., "Active Neutron Multiplication Method for Fuel Lattices in Water"」に開示されている。
【0019】
この方法では、計測される中性子計数率として中性子束φが計測される。中性子計数率をφとすると、φと2個の定数a、b及び中性子の実効増倍率kの間に、実験式 φ=a+b/(1−k)で示される関係が存在する。ここで、中性子の実効増倍率kが1のとき臨界を示し、中性子の実効増倍率kが1以下のとき未臨界度を与える。
【0020】
したがって、別途理論計算から求めた定数a,bと、SSM法により求めた中性子計数率φから、中性子の実効増倍率kは、下式で求められる。
【0021】
k=1−(a+b)/φ (1)
このSSM法には、上式を直接用いる第1の方法(以下SSM1法と呼ぶ)と、2ケ所の中性子計数率φの比(φ1 /φ2 )を使用する第2の方法(以下SSM2法と呼ぶ)とがある。SSM1法は、単にSSM法と呼ぶこともあり、SSM2法のみ明確に区別する。SSM2法は、さらに、2ケ所の中性子計数率φの比(φ1 /φ2 )の対数をとって、
ln(φ1 /φ2 )=ln(b1 /b2
+(1−k)[a1 /b1 −a2 /b2
×[1−0.5 (1−k)(a1 /b1 +a2 /b2 )] +…………
と表すこともできる。
【0022】
図1は、SSM法の測定の原理を説明する図である。図1(a)は、SSM法における照射/非照射のタイミングを示したものであり、図1(b)は、それに対応する中性子計数率φの経時変化を示したものである。中性子計数率φは、それが一定になった状態で計測される。バックグラウンドレベル(以下BGレベルと呼ぶ)は、非照射状態で計測する。
【0023】
PO法は、本来、臨界体系の原子炉の炉心において、試料から中性子源を取り除き、残った試料を、通常、周期 0.5秒〜2分程度で炉心に挿入したり取り出したりするサイクルを多数回繰り返し、その多数サイクルの中性子計数率φ(又は中性子計数率に起因する電流)のデータを積み重ねて測定データとする。
【0024】
図2は、PO法の原理を説明する図である。図2(a)は、試料を炉心に挿入・引抜きする様子を時間軸(t)に対して示したものであり、図2(b)は、炉出力としての中性子計数率φの時間変動を示したものである。通常のPO法では、この中性子計数率φの臨界中性子計数率(臨界レベル)からの変化分が略矩形状に変化し、その矩形の振幅あるいは面積が、試料の反応度(臨界レベルからの偏り)によって変化するという特性が利用されている。
【0025】
これに対して、未臨界体系では、通常、自発中性子計数率(自発中性子レベル)は非常に低いので、中性子源を使用して未臨界中性子レベルを確保しなければならない。
【0026】
そこで、本願発明の未臨界体系においては、臨界体系の試料の代わりに、中性子源を、例えば、周期1〜3分程度で体系に挿入したり(又は近付けたり)、取り出したり(又は遠ざけたり)すると、臨界体系の場合と類似の略矩形波が現れ、遅発中性子残留レベルが中性子BGレベルに加算される。
【0027】
図2(c)は、この様子を示したものである。周期を長くすると図1(b)に示したSSM法のようになるが、周期を短くすると、例えば 0.1〜30秒にすると、中性子計数率レベルは、図2(d)に示すように、遅発中性子が減衰する時間が大幅に削減されるため、略矩形状から鋸の刃のような形状になり、さらに周期を短くすると、 Sin波に近付いてくる。そのときは、図2(d)に示すように、BGレベルの上に遅発中性子残留レベルが形成され、図2(c)に示した波形が、時間的に縮小されて変形した波形になって、遅発中性子残留レベルの上に乗り、波形の中央高さが、平均中性子源増倍レベルとなる。
【0028】
これは、臨界炉心における臨界レベルに似ているが、この平均中性子源増倍レベルの値は、中性子実効増倍率をk、中性子源の実効的な強度をSとした場合、ほぼS/(1−k)に比例するものであり、臨界レベル(k=1)とは特性の異なるものである。
【0029】
上述したように、PO法(Pile Oscillation Method)は、中性子計数率(中性子束レベル)が、遅発中性子残留レベルの上に乗り、略矩形状(周期を短くすると鋸の刃状)に変化する。本願発明では、PO法と呼ぶが、PO法ではなく、中性子源往復法と呼んだり、中性子照射・非照射法などと呼ぶこともできる。即発中性子のみを考えた場合にはほぼ矩形になるが、実際には、遅発中性子の影響で矩形波からずれた形になる。
【0030】
通常、試料(本発明では中性子源)を体系に挿入したり(又は近付けたり)、取り出したり(遠ざけたり)した場合は、同一時間幅とされるが、本発明では、必ずしも厳密に同一に限定する必要はないとしている。
【0031】
中性子源からの中性子を試料に照射することと非照射とすることを繰り返してPO法を実施する場合には、照射時と非照射時の計数率の差を面積又は振幅として求めて、反射度を仲介にして未臨界度と相関付ける。このとき、非照射時の計数率がBGレベルを与える。
【0032】
通常、1サイクルの長さは 0.3 〜3分程度であるが、1秒程度あるいは 0.1秒程度でも実施することは可能であり、その場合には、以下に述べるように、平均中性子源増倍レベルに対する中性子計数率振動部の面積又は振幅の比を用いることができる。
【0033】
例えば、図2(d)において、実効遅発中性子割合をβとすると、主に即発中性子の増倍率(1−β)kに対応して振動する部分(図の遅発中性子残留レベルより上)の面積で、即発中性子と遅発中性子の和である通常の実効増倍率kに対応する部分(BGレベルを除く全体の計数値が作る部分)の面積を割った値を考える。
【0034】
それぞれの値をそれぞれ1から差し引いた値の比、即ち、(1−k)/{1−(1−β)k}の値は、kの値が1に近付くに連れてゼロに近付く特性が現れ、kの値が1よりかなり小さければこの比は殆ど1となるので、kに対する感度は殆ど無くなる性質がある。サイクル長さがこのように短い場合には、上述のように比を取るため、以下に示すPNS法における「 Sjoestrandの面積法」と同様に、中性子源強度の絶対値に関係なく未臨界度(すなわち、kの値)と相関付けることができる。
【0035】
したがって、サイクル長さが遅発中性子の減衰を無視できる程度に短ければ、理論計算の支援を必要としなくても実効増倍率kの値(すなわち、未臨界度)をほぼ決定することができる。
【0036】
PNS法(Pulse Neutron Source Method)は、未臨界の原子炉炉心に加速器を用いて、パルス状に、例えば10〜100μsecのパルス幅で中性子を打ち込み、打ち込んでいない時間幅(例えば1〜100 msec幅)における即発中性子計数率の時間減衰特性を未臨界度に結び付ける方法である。その際、パルスを多数回繰り返してデータを積み重ねることによって、十分な計数精度を確保する。
【0037】
その方法としては、Sjoestrandの面積法(Arkiv Fysik, 11, p.233(1956))やSimons-King法 (Nuclear Science and Engineering, 6, p.595(1958))が広く知られている。後者の改良案はいろいろあり、臨界時の減衰定数を用いなくても未臨界度を求めることができる。その代表例として、Gareris-Russel法 (Nuclear Science and Engineering, 16, p.263(1963))が知られている。
【0038】
図3は、PNS法の原理を説明する図である。図3(a)は、パルス的な中性子打ち込み強度の時間経過を示したものであり、中性子を打ち込んだ時を照射率100%としている。また、図3(b)は、その場合の中性子計数率の対数値を縦軸、経過時間を横軸に示したものである。
【0039】
PNS法では、1回のパルスでは十分な中性子計数率は得られないので、PO法以上に多数回のサイクルデータを積み重ねることになる。中性子計測は、パルス終了直後から開始して、次のパルス打ち込み開始のわずか前、即ち次のパルスに対する待ち時間の余裕を残して終了する。従って、計測時間は、サイクル長さより僅かに短いが、通常、パルス幅と待ち時間は共に計測時間より非常に短いので、計測時間はほぼサイクル時間の長さと等しい。このような条件では、「即発中性子成分の面積A (A2 の破線の上側で左上の破線以下)と遅発中性子成分の面積A2 (A1 の下の破線の下)との比(A1 /A2 )はドル単位(反応度単位)の未臨界度に等しい」というのが「Sjoestrandの面積法」と呼ばれるものである。古い研究ではあるが、後年見直され、信頼できる方法であることが分かっている。この理論を以下に簡単に説明する。
【0040】
実効遅発中性子割合をβ、中性子源実効強度をSとすると、
1 =S/[1−k(1−β)]、 A1 +A2 =S/(1−k)
と書くことができる。両式から
1 /A2 =(1−k)/(βk)=ρ/β=ρd (ドル単位の未臨界度)
が得られる。
ドル単位の反応度(ρd )とk単位の反応度(ρk )とは次式
ρd =(1−1/k)/β=(α−1) x(L/β) =ρk /β
で結ばれている。Lは即発中性子寿命である。
【0041】
以上述べた3種類の測定理論の特徴は、次のとおりである。
SSM法は、深い未臨界度(すなわち、実効増倍率の小さな値)まで測定できる、中性子源の利用効率が非常に高いこと、駆動を殆ど必要としないことなどの特徴を持っているが、中性子計数値と実効増倍率(すなわち、未臨界度)との相関は理論計算で求める必要がある。非常に臨界に近付くと、中性子計数率は著しく増大するので、それだけでも臨界近接を容易に監視することは出来るが、未臨界度を定量的に決定するためには理論計算の支援が必要になる。
【0042】
PO法は、比較的深い未臨界度まで測定できること、中性子源の利用効率がかなり高いこと、駆動速度が比較的ゆっくりでよいことなどの特徴を持っているが、中性子計数率(面積あるいは振幅)と実効増倍率(未臨界度)との相関は、理論計算で求める必要がある。非常に臨界に近付くと中性子計数率(面積あるいは振幅)は著しく増大するので、それだけでも臨界近接を容易に監視することはできるが、未臨界度を定量的に決定するためには理論計算の支援が必要になる。しかし、サイクルの長さを短くすると、理論計算を介しなくても実効増倍率をある程度評価することが可能になる。
【0043】
PNS法は、理論計算の支援なしに未臨界度を決定することができるという大きな特徴を持っているが、通常は、あまり深い未臨界度を簡単に精度よく求めることはできないことと、臨界近傍で測定値(即発中性子の減衰定数)が急激に増大するという性質が無いという性質を持っている。水素を含む燃料体系では、即発中性子の減衰定数は 100〜200/sec程度であることが多い。
【実施例1】
【0044】
以下に、本発明の方法とそれを実施する具体的な装置について、図面を用いて説明する。
【0045】
図4は、本発明の実施例1に係る未臨界度監視装置の構成図である。図4(a)は、図4(b)のA−A矢視横断面図であり、計測制御ユニット7(計測制御部)と計測値処理ユニット8(計測値処理部)も合わせて示している。図4(b)は、図4(a)のB−B矢視縦断面図であり、図4(c)は、図4(a)のC−C矢視側面図である。回転式円板1に熱中性子透過窓2(回転窓)を設けた中性子照射部3と中性子検出器4を含む中性子計測部5が、核燃料収納容器6を挟んで隣接配置されている。
【0046】
回転円板1の表面には、カドミウム(Cd)などの熱中性子吸収板9(図示せず)が、熱中性子透過窓2(透過部)と光透過孔10を除いて、全面的に装着され、中性子の透過量を減少またはゼロにさせる遮蔽部を構成している。回転円板1自体に熱中性子吸収材を含ませ、遮蔽部とすることもできる。
【0047】
熱中性子透過窓2と光透過孔10は、それぞれ円板の回転軸を中心とした同心円上に等間隔、かつ回転軸対称に4個ずつ配置されている。光透過孔10は、回転円板1の回転や計数開始を制御するために設けられたものであり、回転円板1の一方の面側に光源11を配置し、反対の面側に位置検出用光検出器12を配置して、位置検出器を構成している。
【0048】
中性子検出器4は、水素を含む検出器用反射体17で取り囲まれており、核燃料収納容器6に面して中性子検出器用案内スリット18が設けられている。
【0049】
計測制御ユニット7により円板駆動装置13を動作させて、回転円板1が回転して熱中性子透過窓2が所定の位置にくると、位置検出用光検出器12が計測制御ユニット7に信号を送る。計測制御ユニットは、円板駆動装置13を停止し、回転円板1の回転を止める。
【0050】
中性子源14から放出され、中性子反射体15等により減速・反射されて熱中性子となった中性子は、中性子流案内部16の空洞(必要に応じて空洞壁面にはCdなどの熱中性子吸収体を配置してもよい。)を通過し、熱中性子透過窓2を通過して、核燃料収納容器6を照射するので、この容器に含まれているU235やPu239などの核分裂物質が核分裂を起こし、誘発中性子を放出する。
【0051】
放出された誘発中性子は、中性子検出器用案内スリット18を通過し、中性子検出器4で計測される。
【0052】
中性子検出器4は、検出器用反射体17で取り囲まれているため、測定対象である核燃料収納容器6以外からの中性子が計測されないようになっている。
【0053】
このようにして、中性子照射部3からの熱中性子が、回転円板1の透過部(熱中性子透過窓2)を透過して、測定対象に照射されている状態に対して、中性子計測部5は、計測値を得ることができる。
【0054】
一方、中性子照射部3と核燃料収納容器6の間に円板1の遮蔽部がある状態で、中性子計測部5が計測値を得る場合には、計測制御ユニット7は、円板駆動装置13を動作させ、回転円板1を回転させて、熱中性子が熱中性子透過窓2を通過して核燃料収納容器6に照射されている状態をはずさなければならない。
【0055】
この時、円板駆動装置13は、回転円板1を所定の角度または所定時間回転させた後に停止させて、中性子照射部3からの熱中性子が通過する熱中性子透過窓2が、熱中性子が核燃料収納容器6に照射されることのない位置に移動する。
【0056】
熱中性子透過窓2が、図4(c)に示すような形状であれば、回転円枚1の回転角度は正確でなくてもよい。
【0057】
中性子照射部3と核燃料収納容器6との間に回転円板1の遮蔽部があることは、位置検出用光検出器12からの信号が、計測制御ユニット7に送られていないことで確認できる。
【0058】
また、光源11からの光が、光透過孔10を透過して位置検出器用光検出器12に届いていないことを示す信号を、位置検出器用光検出器12から計測制御ユニット7に送るようにしてもよい。このようにすれば、中性子照射部3と核燃料収納容器6との間に、回転円板1の遮蔽部がある状態を認識して、熱中性子が核燃料収納容器6に照射されていない状態での計測を行なうことができる。
【0059】
上述したように、中性子照射部3からの熱中性子が、回転円板1の熱中性子透過窓2を透過して、核燃料収納容器6に照射されている状態の時間と、中性子照射部3と核燃料収納容器6との間に回転円板1の遮蔽部がある状態の時間は、計測ユニット7で変更することができる。
【0060】
したがって、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されている状態と、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されていない状態のいずれも1分以上として、計測値処理ユニット8によりSSM法を用いて実効増倍率を求めることができる。
【0061】
この時、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されている状態での計測の開始および終了時間と、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されていない状態での計測の開始および終了時間は、計測ユニット7から計測値処理ユニット8に信号として送られる。
【0062】
また、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されている状態と、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されていない状態の繰り返しのサイクルを、0.1秒から3分程度となるように計測ユニット7で制御し、計測値処理ユニット8で、PO法を用いて実効増倍率を求めることができる。
【0063】
また、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されている状態と、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されていない状態の繰り返しのサイクルを、0.01〜0.1秒となるように計測ユニット7で制御し、計測値処理ユニット8でPNS法を用いて実効増倍率を求めることができる。
【0064】
実施例1では、計測ユニット7により、回転円板1に対して回転と停止を繰り返す断続回転をして計測する場合を示したが、計測ユニット7により、回転円板1に対して連続回転させて計測することも可能である。
【0065】
この場合、SSM法を用いて実効増倍率を求めるときには、熱中性子が、熱中性子透過窓2を透過して核燃料収納容器6に照射されている状態と、熱中性子が核燃料収納容器6に照射されていない状態が、いずれも1分以上となるように、計測ユニット7で円板駆動装置13を制御し、回転円板1をゆっくりと回転する必要がある。なぜなら、SSM法では、遅発中性子が実効的に消滅した後に行なう必要があり、熱中性子の照射強度が変化終了した後、少なくとも1分、望ましくは2分くらい待つ必要があるからである。
【0066】
一方、PNS法を用いる場合には、熱中性子が熱中性子透過窓2を透過して核燃料収納容器6に照射されている状態と、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されていない状態の繰り返しのサイクルが、0.01〜0.1秒となるように、計測ユニット7で円枚駆動装置13を制御し、回転円板1を速く回転する必要がある。
【0067】
PNS法では、即発中性子の減衰特性(α)を測定する。この特性は、過渡状態を除くと、以下のように表わせる。
φ(t)=φ・exp(−αt)
ここで、φ:初期中性子束、φ(t):t秒後の中性子束、αは減衰定数と呼ぶ。軽水体系のα値は水だけのとき、4200[s−1]程度、臨界体系で、100−200[s−1]程度である。臨界時のα値はαと呼ばれる。
【0068】
未臨界度ρは、近似的にρ≒α/α−1(ドル単位)で与えられる。すなわち、
α≒(ρ+1)α
である。ρ(ドル単位の未臨界度)から△k/k単位の未臨界度ρに換算するには実効遅発中性子割合βeffの値が必要であり、この値は燃料がPuかUかによってかなり変わり、体系の大きさによっても変化するが、通常 0.003<βeff<0.009の範囲にある。
近似的に、βeff=0.006、α=150とすると、
ρ=(1/keff)−1=βeff・ρ,keff=1/(1+ρ),ρが、
10$なら ρ=0.006×10=0.06→keff=0.943,α=1650
20$なら ρ=0.006×20=0.12→keff=0.892,α=3150
30$なら ρ=0.006×30=0.18→keff=0.847,α=4650
40$なら ρ=0.006×40=0.24→keff=0.801,α=6150
一般に、水だけの体系では、α≒4200、小さな体系では、αはさらに大きくなる。
【0069】
PNS法では、30$より大きいρの測定は困難である。本願では、20$程度、keff≒0.90を目安とし、ρが小さい(keffが大)時には、PNS法を使用する。
【0070】
PNS法を実施する際にはパルス間隔は、中性子束が十分減衰する時間以上に設定する必要がある。例えば、パルス打ち込み後の中性子束から1/100まで減衰するとすれば、次式のようになる。
exp(−αt)<0.01
この式を変形し、 αt>1n(100)=4.6,t>4.6/α, α=150なら、t>0.03s となり、パルス間隔は0.03秒以上となる。
【0071】
すなわち、PNS法の1サイクルの長さは、未臨界度によって変えてよいが、極めて臨界に近い時(実効増倍率の値が1に近い時)は、1サイクルの長さは、0.03秒より短くしない方がよい。実用的には、この大まかな値を目安とするが、長くすると待ち時間が長くなることもあり、0.1秒より長くするのは得策でない。未臨界度が深く(すなわち、実効増倍率の値が小さく)なると短くすることができる。
【0072】
また、PO法では、遅発中性子の寿命あるいはそれ以上の時間が、1サイクルの測定時間の目安となる。遅発中性子は、通常6群に分割され、半減期が最も短いもので、0.2秒程度、最も長いもので55秒程度である。したがって、PO法の1サイクルの時間としては、PNS法(<0.1秒)とSSM法(>2分)の間の時間が利用される。
【0073】
PNS法を用いる場合には、繰り返しのサイクルが短いので、回転円板1を連続的に回転させる方がよく、SSM法は、それぞれの状態の時間が長いので、断続運転の方が時間の管理がしやすい。
【0074】
実施例1では、実効増倍率を求める方法により、回転円板1の断続回転、連続回転を選択して行なえるようにすることができる。また、回転円板1の回転速度を、熱中性子透過窓2の位置により変えることもできる。
【0075】
回転円板1を連続回転する場合には、回転円板1の回転速度と時間が関連する。そこで、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されている状態での計測の開始および終了時間と、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されていない状態での計測の開始および終了時間の信号を計測ユニット7から計測値処理ユニット8に送る替わりに、それぞれの状態の計測の開始および終了時刻に、光源11と同様な光源から光が放出され、光透過孔10と同様な光透過孔を通過し、位置検出器用光検出器12と同様な光検出器で検出されて、信号を発生するようにして、この検出器からの信号を計測の開始および終了時間の信号として、計測値処理ユニット8に送るように構成してもよい。
【0076】
実施例1において、回転円板1を一定の回転速度で連続回転する場合には、熱中性子が熱中性子透過窓2を透過して核燃料収納容器6に照射されている状態の時間と、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されていない状態の時間は、熱中性子透過窓2の形状と配置によって決まる。
【0077】
図5に回転円板1の実施例1の変形実施例を示す。
図5は、図4(C)に対応する図面であり、回転円板1以外の構成は、図4の実施例1と同じである。
【0078】
この回転円板1の熱中性子透過窓2aは、比較的小さな円形であるので、回転円板1を連続回転させた場合に、熱中性子透過窓2aを透過して核燃料収納容器6に照射されている状態の時間が短くなるので、PNS法を用いて実効増倍率を求めるのに適している。
【0079】
図6は、回転円板1の実施例1の第2の変形実施例を示す図であり、図4(C)に対応する図面である。回転円板1以外の構成は、図4の実施例1と同じである。
【0080】
この回転円板1の熱中性子透過窓2bは、回転円枚1の周方向に長い「長窓」となっており、その長さが、それと同一周上の遮蔽部の長さとほぼ同じになっている。
このため、回転円板1を連続回転させた場合に、熱中性子が熱中性子透過窓2bを透過して核燃料収納容器6に照射されている状態の時間と、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されていない状態の時間がほぼ同じとなるので、PO法を用いて実効増倍率を求めるのに適している。
【0081】
実施例1において、回転円板1を回転軸19に取り外し可能に固定し、適当な熱中性子透過窓の形状および配置を有する回転円板1に交換して、中性子計測部5での計測を行い、PO法により実効増倍率を求めることもできる。
【0082】
なお、図4(c)、図5、図6のいずれの回転円板1を用いた場合であっても、回転円板1を断続回転させることにより、熱中性子透過窓を透過して核燃料収納容器6に照射されている状態の時間と、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されていない状態の時間のぞれぞれを調整することが可能である。
【0083】
また、実施例1では、回転円板1を一方向に回転させる場合について説明したが、回転円板1を反転させるようにしてもよい。このような反転させる構成とした場合、例えば図6に示す回転円板1を用いて、反転する位置を調整することにより、中性子照射部3と核燃料収納容器6の間にある熱中性子透過窓の範囲と回転円板1の遮断部の範囲を変えることにより、熱中性子透過窓を透過して核燃料収納容器6に照射されている状態の時間と、核燃料収納容器6に熱中性子が照射されていない状態の時間の比を変えることもできる。
【0084】
ここで、実施例1の未臨界度監視装置を用いて、核燃料収納容器6の未臨界度を監視する未臨界度監視方法にについて述べる。
【0085】
まず、静的増倍中性子測定法(SSM法)により実効増倍率を求め、つぎに、求めた実効増倍率が0.8より大きい場合には、パイルオッシレータ法(PO法)により実効増倍率を求め、静的増倍中性子測定法(SSM法)により求めた実効増倍率とパイルオッシレータ法(PO法)により求めた実効増倍率の大きい方を実効増倍率として監視する。
【0086】
すなわち、通常は、1サイクルの周期が長く、回転円板を駆動するエネルギーなどが小さいSSM法(静的増倍中性子測走法)により、実効増倍率を求め、つぎに、実効増倍率が大きい場合には、PO法(パイルオッシレータ法)によっても実効増倍率を求め、その大きい方を実効増倍率として監視することにより、未臨界度監視の安全性を高めることができる。なぜなら、実効増倍率が大きい場合には、SSM法に比較して、PO法の方が絶対値の精度が高い性質があるからである。
【0087】
また、SSM法またはPO法により求めた実効増倍率が0.9より大きくなった場合には、パルス中性子法(PNS法)により実効増倍率を求めるようにしてもよい。
【0088】
PNS法は、実効増倍率が小さい場合の実効増倍率の絶対値の精度は低いが、実効増倍率が大きい場合の実効増倍率の絶対値の精度は高く、理論計算の支援なしに実効増倍率を求めることができるため、実効増倍率が大きい場合の絶対値の精度を高められることによって、未臨界度監視の安全性をさらに高めることができるからである。
【0089】
実施例1の未臨界度監視装置を用いて、核燃料収納容器6の未臨界度を監視する未臨界度監視方法の他の方法について述べる。
【0090】
まず、パルス中性子法(PNS法)により実効増倍率を求め、この求めた実効増倍率が0.9より小さい場合には、静的増倍中性子測定法(SSM法)またはパイルオッシレータ法(PO法)により、実効増倍率を求めて、核燃料収納容器6の未臨界度を監視する。
【0091】
この未臨界度監視方法によれば、実効増倍率がまったくどのような値となるか不明な 核燃料収納容器6の監視において、まず、理論計算の支援なしに実効増倍率を求めることができるPNS法により実効増倍率を求め、求められた実効増倍率が小さい場合には、SSM法またはPO法により実効増倍率を求めることにより、どのような実効増倍率であっても、実効増倍率の絶対値の精度を高められるため、未臨界度監視の安全性を向上することができる。
【実施例2】
【0092】
図7(C)は、回転円板1を円板回転軸シフタ28に取り付けた実施例2の構成を示す図である。
実施例2では、回転円板1の回転軸19が、円板回転軸シフタ28に、円板回転軸シフタ28の軸から偏心した位置に取り付けられている。
【0093】
円板回転軸シフタ28は、ピストン29Aが図7(C)上の左右に移動すると、ピストン29Aと円板回転軸シフタ28を連結する駆動棒30により、回転させられる。回転円板1の回転軸19A(または19B)は、円枚回転軸シフタ28の軸から偏心して取り付けられているため、円板回転軸シフタ28が回転することにより、回転軸19の位置を、図7(A)のように、図面上の左側に移動させられたり、図7(B)のように、図面上の右側に移動させられたりする。
【0094】
このため、円板回転軸シフタ28を時計回りに回転させて、図7(A)とした場合は、中性子の案内部16の前面にある回転円板1中の位置が、回転円板1の半径方向の内径側になる。回転円板1の内径側には、図7(A)に示すように、円形の短窓が設けられているので、図5と同様に、PNS法を用いて実効増倍率を求めるのに適している。
【0095】
一方、円板回転軸シフタ28を反時計周りに回転させて、図7(B)とした場合は、回転円板1の外径側に、図7(B)に示すように長窓が設けられているので、図6と同様に、PO法を用いて実効増倍率を求めるのに適している。
【0096】
このように、本実施例2では、回転円板1の内径側または外径側に異なる形状の窓を設け、円板回転軸シフタ28を用いて、案内部16の前面となる回転円板1の半径位置を変化させて、PNS法を用いて実効増倍率を求めるのに適した窓またはPO法を用いて実効増倍率を求めるのに適した窓を切替えることにより、1枚の回転円板で、複数の実効増倍率を求めることができる。
【0097】
実施例2においても、実施例1と同様に、回転円板1の回転、断続回転でも連続回転でも行なうことができる。
【0098】
また、円板駆動装置13は、円枚回転軸シフタ28に取り付けることもできるし、ギアなどを用いて回転軸19に回転を伝達することにより、円枚回転軸シフタ28でない位置に取り付けることもできる。
【0099】
また、円枚回転軸シフタ28の回転は、ステッピングモータなどを用いて行なうこともできる。
【0100】
また、図7の図面上を左右に移動する板を用いて、その板の上に回転軸19を固定することにより、中性子の案内部16の前面となる回転円板1中の半径位置を変えてもよい。
【0101】
実施例2の未臨界度監視装置を用いても、実施例1に記載したいずれの未臨界度監視方法を実施することができ、同様な効果を得ることができる。このような未臨界度監視方法の実施と効果は、以降のいずれの実施例の未臨界度監視装置においても同様に得ることができる。
【実施例3】
【0102】
図8および図9は、実施例3に係る未臨界度監視装置の構成図である。図8は、正面図であり、図9は、平面図である。
【0103】
実施例1の回転円板1と円板駆動装置13に替えて、窓板31と窓板駆動装置32を用いたものであって、中性子照射部3(中性子源14、中性子反射体15、中性子流案内部16を含む)、中性子計測部5(中性子検出器4、検出用反射体17、中性子検出用案内スリット18を含む)および計測処理ユニット8は、実施例1と同様であるので、同一の符号を付し説明を省略する。
【0104】
窓板31が、ローラ60などにより移動可能に窓板ガイド枠33に取り付けられている。窓板31には、窓板31の移動方向の窓幅が異なる大窓34と小窓35が、窓板31の移動方向に位置を変えて設けられている。窓板31には、駆動棒36が取り付けられている。駆動棒36は、駆動棒36の軸方向に、離間して設けられた2つのソレノイドコイル37 を貫通している。
【0105】
ソレノイドコイル37は、非磁性体のソレノイドコイルホルダ38に固定され、ソレノイドコイルホルダ38、は窓板ガイド枠33に固定されている。
【0106】
2つのソレノイドコイル37の間に、永久磁石39が駆動棒36に固定されており、永久磁石39の極性は、駆動棒36の軸方向の一端側がN極、他端側がS極となっている。
【0107】
2つのソレノイドコイル37間には、永久磁石39の移動範囲を制限するストッパ40 が突出している。
【0108】
ストッパ40は、非磁性体のストッパホルダ41に、移動可能に取り付けられている。ストッパホルダ41には、ストッパ駆動コイル42が固定されており、ストッパ駆動コイル42には、ストッパ40が貫通している。また、ストッパ40には、ストッパ用永久磁石43が取り付けられている。また、ストッパ40には、スプリング44が取り付けられており、このスプリング44により、ストッパ40は、駆動棒36側へ移動した状態となっている。
【0109】
2つのソレノイドコイル37は、計測制御ユニット7aにより、それぞれのソレノイドコイル37の永久磁石39側どうしが同極になるように励磁される。これにより、永久磁石39では、両側のソレノイドコイル37と対面する側のうち、ソレノイドコイル37と同極となった側が反発力を発生し、異極となった側が吸引力を発生するため、吸引力が発生しているソレノイドコイル37側へ移動する。永久磁石39に働く力により、駆動棒36および駆動棒36に接続された窓板31が移動する。
【0110】
この時、ストッパ40により永久磁石39の移動範囲が制限されているため、例えば、図8(A)の場合には、図面左側のソレノイドコイル37に永久磁石37が接触し、窓板移動方向の窓幅が小さな小窓35が、中性子流案内部16の前面となり、小窓35を通過して熱中性子が核燃料収納容器6に照射されている状態と、ストッパ40と永久磁石39 が接触し、窓板の窓のない部分が、中性子流案内部16の前面となり熱中性子が遮蔽された状態とが出現する。
【0111】
この2つの状態を繰り返し、熱中性子が照射されている状態と照射されていない状態における中性子検出器4での計測値により、実施例1と同様にして実効増倍率を求めることができる。
【0112】
この2つの状態の間を繰り返す周期や繰り返し速度は、計測制御ユニット7aにより調整することができる。
【0113】
図8(A)の場合は、小窓35が中性子流案内部16の前面となる時間が短いため、小窓35を通過して熱中性子が照射される時間も短いので、窓板移動の繰り返しの周期を短くして、PNS法により実効増倍率を求めるのに適した測定を行うことができる。
【0114】
一方、計測制御ユニット7aによりストッパ駆動コイル42を励磁すると、ストッパ用永久磁石43とストッパ駆動コイル42に反発力が発生し、ストッパ40を図面の上方へ移動させことができる。
【0115】
この状態で、永久磁石39が、図面の右側へ移動するようにソレノイドコイル37を励磁させると、永久磁石39は、ストッパ40に制限されることなく、右側のソレノイド37に接触するまで移動することができる。図8(B)は、この状態を示している。
【0116】
このように移動させた後に、ストッパ駆動コイル42の励磁を止めると、ストッパ40は、スプリング44により駆動棒36側へ移動され、永久磁石39の移動範囲を、右側のソレノイドコイル37からストッパ40までの間に制限する状態となる。
【0117】
図8(B)の状態においては、永久磁石39が、ソレノイドコイル37に接触し、窓板移動方向の窓幅が大きな大窓34が、中性子流案内部16の前面となり、大窓34を通過して熱中性子が核燃料収納容器6に照射されている状態と、ストッパ40と永久磁石39 が接触し、窓板の窓のない部分が、中性子流案内部16の前面となり、熱中性子が遮蔽された状態とが出現する。
【0118】
この2つの状態の間を繰り返し、熱中性子が照射されている状態と照射されていない状態における中性子検出器4での計測値により、実効増倍率を求めることができる。
【0119】
この場合は、大窓34が、中性子流案内部16の前面となる時間と、窓板の窓のない部分により遮蔽されている時間を、同程度にすることができるため、SSM法やPO法により、実効増倍率を求めるのに適した測定を行うことができる。
【0120】
実施例3では、ストッパ40を上下させ、永久磁石39の移動範囲を変えることにより、SSM法やPO法に適する大窓34と、PNS法に適する小窓35を切り換えて測定を行い、実効増倍率を求めることができる。
【実施例4】
【0121】
図10は、実施例4に係る未臨界度監視装置を説明するための構成図である。
実施例3のソレノイドコイル等による窓板の移動に替えて、大窓小窓駆動装置45を用いるものであり、中性子照射部、中性子計測部、計測処理ユニット、核燃料収納容器は、実施例3と同様である。
【0122】
2つの大小窓交換円板46が、離間して大窓小窓駆動装置45に取り付けられている。それぞれの大小窓交換円板46には、その周辺部に近い位置に窓板駆動円板47の軸が、回転可能に固定されている。2つの大小窓交換円板46は、大小窓交換連結棒48で連結されており、少なくとも一方の大小窓交換円板46を、図示しない大小窓交換円板回転装置により回転させると、同期して回転するようになっている。2つの大小窓交換円板46が同期して回転する構成であれば、大小窓交換連結棒48以外の手段を用いてもよい。
【0123】
少なくとも一方の大小窓交換円板46には、周方向にスリット49が設けられ、そのスリット49内にはストッパ40が設けられ、ストッパ40は、大小窓交換円板46が回転できる角度範囲を制限している。大小窓交換円板46の回転範囲を特定の角度範囲内に制限する構成であれば、他の手段を用いてもよい。
【0124】
2つの窓板駆動円板47は、窓板駆動連結棒50で連結されている。窓板駆動連結棒50には、窓板31の一端が固定されている。窓板31の他端は、2枚の窓板案内板51の間に挿入され、紙面に垂直方向に窓板31が振れないようにして、窓板31が、図面上の上下左右にのみ移動可能になっている。窓板31には、開口面積の大きな大窓34と開口面積の小さな小窓35が設けられており、その他の部分は、熱中性子が遮蔽できるようになっている。
【0125】
少なくとも一方の窓板駆動円板47を、図示しない窓板駆動円板回転装置により回転させると、2つの窓板駆動円板47は同期して回転し、窓板駆動連結棒50を介して窓板31も、大窓34および小窓35の軌跡が円となるように上下左右に移動する。
【0126】
図10は、大小窓交換円板46が、最も時計回りに回転されてストッパにより止まった状態を示しており、窓板駆動円板47の軸の位置が、最も下がった状態近くとなっている。また、窓板駆動円板47の回転位置は、窓板が図面上において最も右側近くに移動した状態を示している。この状態では、図示しない中性子照射部の中性子流案内部の前面に、窓板31の上側に設けられた大窓が位置するようになっており、中性子照射部からの熱中性子が、大窓34を通過して核燃料収納容器に照射されるようになっている。
【0127】
この状態で窓板駆動円板47を回転させると、中性子照射部の中性子流案内部の前面に大窓34が位置し、中性子照射部からの熱中性子が大窓を通過して核燃料収納容器に照射される状態と、中性子照射部の中性子流案内部の前面に窓以外の部分が位置し、中性子照射部からの熱中性子が遮蔽される状態とを繰り返すことができ、実施例3と同様に、実効増倍率を求めることができる。
【0128】
この時、窓板駆動円板47の回転速度を変えることにより、熱中性子が大窓34を通過して核燃料収納容器に照射される状態と、熱中性子が遮蔽される状態との繰り返し周期を変えることができ、大窓34は開口面積が大きいので、熱中性子が大窓34を通過して核燃料収納容器に照射される時間と、熱中性子が遮蔽されている時間を同程度とし、その繰り返し周期を長くして、SSM法またはPO法により実効増倍率を求めるのに適した測定を行うことができる。
【0129】
一方、大小窓交換円板46が、図面上において、反時計回りに回転されてストッパにより止まった状態にすると、窓板駆動円板47の軸P1の位置が、図面上において最も上がった状態となる。
【0130】
この状態においては、窓板駆動円板47を回転させることにより、窓枠31の下側に設けられた小窓35が、図示しない中性子照射部の中性子流案内部の前面を通過することになる。
【0131】
小窓35は開口面積が小さいので、中性子照射部からの熱中性子が小窓35を通過して核燃料収納容器6に照射される時間が短くなるので、PNS法により実効増倍率を求めるのに適した測定を行うことができる。
【0132】
このように、本実施例4においても、実施例3と同様な効果を得ることができる。本実施例4では、大小窓交換円板46により窓板駆動円板47を上下させたが、他の手段により上下させることもできる。
【0133】
また、実施例4では、大窓34と小窓35を窓板31の上下に配置したが、窓板31の水平方向に配置し、窓板駆動円板47を水平方向に移動させ、大窓と小窓を切り換えて測定するようにしてもよい。
【実施例5】
【0134】
図11は、実施例5に係る、回転式円板1に中性子源14を装着する構成、即ち回転中性子源方式を示す構成図であり、実施例1における図4(a)に対応するものである。ただし、計測制御ユニット7や計測値処理ユニット8は変わらないので図示を省略している。実施例1では、熱中性子を照射するよう考慮されていたが、実施例5は、高速中性子を照射するよう考慮されている点で、実施例1と異なっている。
【0135】
中性子照射部3は、回転円板にCf252などの中性子源14を装着した回転円板1、高速中性子反射体15a、高速中性子流案内部20、及び高速中性子減速遮蔽体21で構成されている。
【0136】
回転円板1には中性子源14を装着するが、同心円上に複数個回転軸対称に配置してもよい。回転円板1に装着する中性子源14は、核燃料収納容器6に収納されている核燃料が使用済燃料であることは希であるため、通常は、検出器校正用の比較的弱い強度のものでよい。
【0137】
高速中性子減速遮蔽体21は、内壁にCdを張り付けた中性子流案内部20を除けば、含水素物質で構成され、その外周の、少なくとも核燃料収納容器6に対向する部分は、Cdなどの熱中性子吸収板9で取巻かれている。
【0138】
なお、位置検出用光検出器12を光学的に作動させるために、光通過スリット22が高速中性子減速遮蔽体21に、光透過孔10が回転円板1にそれぞれ設けられている。これによって、中性子照射部3からの高速中性子が、高速中性子流案内部20を通って核燃料収納部6に照射されているか否かを知ることができる。
【0139】
高速中性子反射体15aは、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、ディスプロシウム(Dy)等の中性子散乱断面積の大きい、そして中性子に比べて質量数の大きいもの、即ち水素を殆ど含まない物質で構成されている。水素含有量が大きいと熱中性子化される割合が大きくなり、核燃料収納容器6への高速中性子の照射量が減少する。なお、散乱断面積は、Niが 1.60、Feが 0.93、Dyが 3.17 、Dy2O3 が 2.7/cmである。
【0140】
実施例5では、核燃料収納容器6に高速中性子を照射する。高速中性子は核燃料収納容器6の内部まで侵入し、そこで減速され熱中性子となって核燃料物質に吸収され、核分裂を誘発し、誘発中性子が減速されて熱中性子となり、中性子検出器4で検出される。高速中性子を照射すると、核燃料収納容器6の内部まで照射中性子を侵入させる事ができるメリットがある半面、高速中性子を減速遮蔽するために、高速中性子減速遮蔽体21の肉厚を、例えば10cm以上に厚くする必要がある。
【0141】
なお、測定手法のSSM法、PO法、及びPNS法は、実施例1と同様に、実施することができる。
【0142】
図12は、図11で示した実施例5の変形実施例であり、図11と異なる点は、高速中性子減速遮蔽体21の外面である、照射中性子の出口に、熱中性子吸収体9を装着していない点である。このため、熱中性子も照射することができる。したがって、中性子反射体15には、減速して熱中性子化する水素を含有していても差支えない。高速中性子を照射すると、核燃料収納容器6の内部まで照射中性子が到達するメリットがあるが、多くの場合熱中性子が混在しても支障ないことが多い。本実施例5の変形実施例は、この点に着目したものである。
【0143】
なお、実施例5の第2の変形実施例として、高速中性子減速遮蔽体21を取り払い、回転円板1の面を核燃料収納容器6と直交するように配置した構成を考えると、PO法のみであれば実施することができる。この様な構成では、中性子源14を核燃料収納容器に近付けたり離したりすることになるので、中性子源オッシレーション法(SO法)と呼ぶこともできる。
【0144】
実施例5では、中性子源14を回転円枚1に装着したが、実施例3で、回転円板1および円板駆動装置13に替えて、窓板と窓板駆動装置を用いたのと同様に、回転円板1を図8に示す窓板31と窓板駆動装置32に替えて、その窓板に中性子源14を装着することでも実現できる。
【0145】
この場合、窓板31には大窓34や小窓35などは設けず、その小窓35の位置などに中性子源14を装着すればよい(窓板には窓がないが説明の都合上、ここでは 窓板と呼んでいる。以下において同様である。)。また、実施例4の大窓小窓駆動装置45を用いることもできる。
【実施例6】
【0146】
図13は、実施例6に係る装置であって、図13(a)は、図13(b)のA−A矢視横断面図であり、実施例1に係る図4(a)及び実施例5における図11に対応するものであり、図13(b)は、図13(a)のB−B矢視縦断面図である。
【0147】
回転式円板1に中性子源14を装着する点で、実施例5の形態の構成(回転中性子源方式)と変りはないが、実施例5と異なる点は、高速中性子流案内部20が2か所設けられている点である。この構成により、第1の高速中性子流案内部20aを通過して中性子検出器4に検出される中性子計数率φ1 と、第2の高速中性子流案内部20bを通過して中性子検出器4に検出される中性子計数率φ2 との比(φ1 /φ2 、またはこの逆数)を求めることができる。
【0148】
この時、実施5に示したのと同様に、図示しない光通過スリットが高速中性子減速遮蔽体21に、図示しない光透過孔が回転円板1にそれぞれ設けられている。この光通過スリットおよび光透過孔は、高速中性子流案内部の数に対応して2か所設けられており、図示しない光源および位置検出用光検出器も高速中性子流案内部の数に対応して2か所設けられている。
【0149】
光透過孔は、例えば回転円板1の径方向に違う場所に取り付けられており、中性子源14からの高速中性子が、第1の高速中性子流案内部20aを通過して核燃料収納容器6へ照射されている場合に、光源からの光が、第1の光透過孔および光通過スリットを通過して第1の位置検出用光検出器で検出され、中性子源14からの高速中性子が、第2の高速中性子流案内部20bを通過して核燃料収納容器6へ照射されている場合に、光源からの光が、第2の光透過孔および光通過スリットを通過して第2の位置検出用光検出器で検出される。
【0150】
したがって、光が検出される位置検出用光検出器によって、いずれの高速中性子流案内部を通過して核燃料収納容器6へ高速中性子が照射されているかを知ることができる。
【0151】
時間的な過渡変化が無くなった後の中性子計数率の比を求めると、前述のSSM2法を実施することができる。検出された中性子計数率の比を用いるため、中性子源の強度の変化に関係しないという特徴がある。
【0152】
時間的な過渡変化を利用するPO法の一環として、例えば、大きい振幅と小さい振幅の比を取ることも考えられる。この比も中性子増倍率の特性を含んでいるので、未臨界度を評価することができる。
【0153】
図13に示す装置において、第2の高速中性子流案内部2bをポリエチレンなどの水素含有物質で塞ぐことは容易であり、その場合には、当然、図4に示した装置と等価になり、SSM法(SSM1法)、PO法及びPNS法を実施することができる。
【0154】
反対に、第1の高速中性子流案内部20aを塞ぎ、第2の高速中性子流案内部20bを活用してもよい。この場合には、中性子源14の実効的な強度が低下するが、中性子源14から放出された中性子が反応を起こしながら中性子検出器4へ到達する際の核燃料収納容器内部6を通過する距離が長くなり、核燃料物質と反応する機会が大きくなるため、中性子増倍特性に対する感度を向上させることができる。
【0155】
なお、計測制御ユニット7や計測値処理ユニット8は変わらないので図示を省略している。
【実施例7】
【0156】
図14は、実施例7に係る装置の構成図を示すものであり、実施例1における図4(b)に対応するものである。
【0157】
高速中性子を照射する点では、実施例2及び3と同じであるが、回転式円板1は用いず、また、高速中性子流案内部20に、高速中性子を減速する含水素物質26(この実施例では水)を満たした場合には、高速中性子が核燃料収納容器6へ照射されないようにし、含水素物質26を排除して空洞とした場合には、高速中性子が核燃料収納容器6へ照射されるように構成されている。
【0158】
含水素物質26の注入(挿入)・排除の機構として、この図の例では、連通管方式を採用し、貯水槽23を上下させる構成を示したが、多くの変形が容易に考えられる。例えば、ピストン操作、空気や水の加圧操作、ポリエチレンなどの固体物質の操作(例えば、中性子流案内孔を有する回転円板構成、板状体のピストン駆動)を行うことができる構成等であり、いずれも本発明の一部に含まれる。
【0159】
本装置を用いることにより、SSM法やPO法の実施ができるが、水を用いる方式では、急速な操作が容易ではないので、PNS法の実施には適していない。しかし、固体減速材をピストンや回転円板のような方法で駆動する構成の場合には、急速な操作が容易なので、PNS法も当然実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】(a)、(b)は各々静的増倍中性子測定法(SSM法)の原理を説明する特性図。
【図2】(a)から(d)は各々パイルオッシレータ法(PO法)の原理を説明する特性図。
【図3】(a)、(b)は各々パルス中性子法(PNS法)の原理を説明する特性図。
【図4】実施例1に係る未臨界度監視装置の構成図であり、(a)は(b)のA−A横断面矢視図、(b)は(a)のB−B縦断面矢視図、(c)は(a)のC−C矢視側面図。
【図5】実施例1に係る未臨界度監視装置の第1変形実施例の構成図。
【図6】実施例1に係る未臨界度監視装置の第2変形実施例の構成図。
【図7】実施例2に係る未臨界度監視装置の構成図であり、(a)は接近した状態、(b)は離した状態を示し、(c)は要部拡大概略図。
【図8】(a)、(b)は実施例3に係る未臨界度監視装置の構成図の縦断面図。
【図9】実施例3に係る未臨界度監視装置の構成図の横断面図。
【図10】実施例4に係る未臨界度監視装置の概略構成図。
【図11】実施例5に係る未臨界度監視装置の主要部横断面図。
【図12】実施例5に係る未臨界度監視装置の変形実施例の主要部横断面図である。
【図13】実施例6に係る未臨界度監視装置の構成図であり、(a)は(b)のA−A横断面矢視図、(b)は(a)のB−B縦断面矢視図。
【図14】実施例7に係る未臨界度監視装置の主要部縦断面図。
【符号の説明】
【0161】
1…回転式円板、2…熱中性子透過窓、2a…短窓、2b…長窓、3…中性子照射部、4…中性子検出器、5…中性子計測部、6…核燃料収納容器、7…計測制御ユニット、8…計測値処理ユニット、9…熱中性子吸収体、10…光透過孔、11…光源、12…位置検出用光検出器、13…円板駆動装置、14…中性子源、15…中性子反射体、15a…高速中性子反射体、16…中性子流れ案内部、17…検出器用反射体、18…中性子検出器用案内スリット、19…回転軸、20…高速中性子流案内部、20a…第1の高速中性子流案内部、20b…第2の高速中性子流案内部、21…高速中性子減速遮蔽体、22…光通過スリット、23…貯水槽、24…連通管、25…オーバーフロー防止空タンク、26…含水素物質、27…信号ケーブル、28…円板回転軸シフタ、28a…円板回転軸シフタの回転軸、29…シリンダ、29a…ピストン、30,36…駆動棒、31…窓板、31a…窓板ストッパ、32…窓板駆動装置、33…窓板ガイド枠、34…大窓、35…小窓、37…ソレノイドコイル、38…ソレノイドコイルホルダ、39…永久磁石、40…ストッパ、41…ストッパホルダ、42…ストッパ駆動コイル、43…ストッパ用永久磁石、44…スプリング、45…大窓小窓駆動装置、46…大小窓交換円板、47…窓板駆動円板、48…大小窓交換連絡棒、49…スリット、50…窓板駆動連絡棒、51…窓板案内板、60…ローラ。




 

 


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