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発明の名称 ホウ酸水注入装置およびホウ酸水注入方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−101332(P2007−101332A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−290736(P2005−290736)
出願日 平成17年10月4日(2005.10.4)
代理人 【識別番号】100103333
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 治
発明者 青木 保高 / 山崎 弘詞
要約 課題
原子炉を停止するために原子炉圧力容器に注入されるホウ酸水を加圧された状態に維持できるようにする。

解決手段
原子炉圧力容器1にホウ酸水を注入するホウ酸水注入装置は、ホウ酸水2を蓄え、原子炉圧力容器1の冷却材の液面よりも上方にホウ酸水2の液面が位置するように設置された蓄圧式ホウ酸水タンク8と、原子炉圧力容器1の蒸気を供給し、蓄圧式ホウ酸水タンク8のホウ酸水2の液面より上方に接続する加圧用配管10と、蓄圧式ホウ酸水タンク8のホウ酸水2の液面より下方と原子炉圧力容器1を接続する注入配管7と、注入配管7の途中に挿入して取り付けられた注入弁4と、を備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入装置において、
ホウ酸水を蓄え、前記原子炉圧力容器の冷却材の液面よりも上方にホウ酸水の液面が位置するように設置されたホウ酸水タンクと、
前記原子炉圧力容器の内圧以上に加圧された流体を供給する加圧手段と、
前記加圧手段を前記ホウ酸水タンクのホウ酸水の液面より上方に接続する加圧用配管と、
前記ホウ酸水タンクのホウ酸水の液面より下方を前記原子炉圧力容器に接続する注入配管と、
前記注入配管の途中に挿入して取り付けられた注入弁と、
を有することを特徴とするホウ酸水注入装置。
【請求項2】
前記加圧手段は前記原子炉圧力容器を含む原子炉であって、前記流体は前記原子炉圧力容器で発生する蒸気であることを特徴とする請求項1記載のホウ酸水注入装置。
【請求項3】
前記ホウ酸水タンクの内部を気密に仕切って容積可変の第一、第二および第三の空間を形成する第一および第二の仕切手段を有し、
前記流体は加圧水であり、
前記第一の空間は前記流体を収容し、
前記第二の空間は窒素ガスを収容し、
前記第三の空間はホウ酸水を収容し、
前記第二の空間は前記第一の空間および前記第三の空間にはさまれていて、
前記加圧用配管は前記第一の空間に接続していることを特徴とする請求項1記載のホウ酸水注入装置。
【請求項4】
前記ホウ酸水タンクの内部を気密に仕切って容積可変の第一および第二の空間を形成する仕切手段を有し、
前記流体は加圧された窒素であり、
前記第一の空間は前記流体を収容し、
前記第二の空間はホウ酸水を収容し、
前記加圧用配管は前記第一の空間に接続していることを特徴とする請求項1記載のホウ酸水注入装置。
【請求項5】
前記加圧手段によって加圧され、前記原子炉圧力容器の冷却材の液面よりも上方に水を蓄えるテストタンクと、
前記注入弁および前記ホウ酸水タンクの間の前記注入配管に挿入して取り付けられたホウ酸水タンク出口弁と、
前記テストタンクの水が蓄えられている位置よりも下方を、前記注入配管の前記注入弁と前記ホウ酸水タンク出口弁の間に接続するテスト配管と、
前記テスト配管に挿入して取り付けられたテスト弁と、
を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか記載のホウ酸水注入装置。
【請求項6】
原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入装置において、
ホウ酸水を蓄え、前記原子炉圧力容器の冷却材の液面よりも上方にホウ酸水の液面が位置するように設置されたホウ酸水タンクと、
前記ホウ酸水タンクの内部に取り付けられたヒータと、
前記ホウ酸水タンク内のホウ酸水の液面より下方を前記原子炉圧力容器に接続する注入配管と、
前記注入配管の途中に挿入して取り付けられた注入弁と、
を有することを特徴とするホウ酸水注入装置。
【請求項7】
原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入装置において、
循環ポンプと、
前記原子炉圧力容器および前記循環ポンプを含む閉ループをつくるループ配管と、
ループ配管に挿入された循環止め弁と、
前記循環止め弁の前後で前記ループ配管に接続する分岐配管と、
前記分岐配管の途中に挿入され、ホウ酸水を蓄えるホウ酸水タンクと、
前記分岐配管の前記ホウ酸水タンクの前後に取り付けられたホウ酸水隔離弁と、
を有することを特徴とするホウ酸水注入装置。
【請求項8】
前記ホウ酸水タンクは、原子炉格納容器の内部に配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7いずれか記載のホウ酸水注入装置。
【請求項9】
原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入方法において、
前記原子炉圧力容器の冷却材の液面よりも上方にホウ酸水の液面が位置するように、前記原子炉圧力容器の外にホウ酸水を蓄え、前記原子炉圧力容器の内圧以上に加圧された流体によってホウ酸水を前記原子炉圧力容器の内圧以上に加圧する加圧工程と、
前記加圧工程で加圧されたホウ酸水を前記原子炉圧力容器に注入する注入工程と、
を有することを特徴とするホウ酸水注入方法。
【請求項10】
原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入方法において、
前記原子炉圧力容器の冷却材の液面よりも上方にホウ酸水の液面が位置するようにホウ酸水を蓄え、ホウ酸水を加熱することによって前記原子炉圧力容器の内圧以上に加圧する加圧工程と、
前記加圧工程で加圧されたホウ酸水を前記原子炉圧力容器に注入する注入工程と、
を有することを特徴とするホウ酸水注入方法。
【請求項11】
前記加圧工程で、前記ホウ酸水は前記原子炉圧力容器を収納する原子炉格納容器内に蓄えられていることを特徴とする請求項9または請求項10いずれか記載のホウ酸水注入方法。
【請求項12】
原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入方法において、
原子炉圧力容器を含む閉ループに水を流す工程と、
前記閉ループにホウ酸水を導入して、前記原子炉圧力容器に注入する注入工程と、
を有することを特徴とするホウ酸水注入方法。
【請求項13】
前記注入工程より前に、ホウ酸水を前記原子炉圧力容器に注入する配管およびその配管に取り付けられた弁を通して、前記流体で加圧された水を前記原子炉圧力容器に注入する動作確認試験工程、
をさらに有することを特徴とする請求項9ないし請求項12いずれか記載のホウ酸水注入方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入装置およびホウ酸水注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉では、通常の起動、停止および出力制御のために、再循環系による炉心冷却材流量の制御と制御棒の操作を行っている。沸騰水型原子炉は、制御棒の大部分を炉心に挿入すれば、炉心を未臨界状態にできるように、すなわち、原子炉を停止できるように設計されている。また、万一、制御棒の操作に支障が生じて制御棒を炉心に挿入することができないなどの異常時に備えて、沸騰水型原子炉にはホウ酸水注入系が配設されている。ホウ酸水注入系は、中性子吸収材であるホウ素を原子炉に注入することにより、原子炉を停止させることができる。ホウ素はホウ酸水として原子炉圧力容器に注入される。
【0003】
従来のホウ酸水注入系では、ホウ酸水を貯留したホウ酸水タンクと原子炉圧力容器との間を注入配管で接続し、この注入配管には注入弁、ホウ酸水タンク出口弁および注入ポンプが取り付けられている。このため、注入弁またはホウ酸水タンク出口弁が開かない場合や、注入ポンプが起動しない場合には、ホウ酸水を原子炉圧力容器に注入できなくなる。そこで、注入配管、注入弁、ホウ酸水タンク出口弁および注入ポンプを2系統配設し、片方の系統の弁またはポンプの故障等によって作動しない場合であっても、他の系統によって原子炉にホウ酸水を注入できるように設計されている。
【0004】
しかし、電源系統の故障などに起因する注入ポンプの不作動により、いずれの注入配管からもホウ酸水が原子炉圧力容器に注入されない事態も懸念される。そこで、注入ポンプを使わずに、蓄圧型ホウ酸水注入系によりホウ酸水を原子炉圧力容器に注入する方法が考案されている(たとえば特許文献1参照)。蓄圧型ホウ酸水注入装置は、たとえば気体窒素を加圧充填した蓄圧式ホウ酸水タンクから、気体の圧力によってホウ酸水を原子炉圧力容器に注入する。なお、蓄圧式ホウ酸水注入系は、従来のホウ酸水注入系と比較して大きくなる傾向にあるが、中性子吸収断面積が大きいホウ素同位体の濃度を高めた濃縮ボロンを用いることで、装置全体の大きさを小さくすることもできる。
【特許文献1】特開平8−114693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄圧型ホウ酸水注入系では、蓄圧式ホウ酸水タンクは原子炉圧力容器の圧力以上に加圧されている必要があるが、ポンプを用いて加圧する場合にはポンプの不作動によって加圧できなくなる懸念がある。しかし、蓄圧式ホウ酸水タンクの圧力を維持する具体的な方法は、特許文献1には開示されていない。
【0006】
また、定期的にホウ酸水注入系の動作確認を行うために試験を実施することが好ましいが、実際に原子炉圧力容器にホウ酸水を注入することは、中性子吸収材であるホウ酸が原子炉圧力容器内に付着することが考えられ、好ましくない。
【0007】
そこで、本発明は、原子炉を停止するために原子炉圧力容器に注入されるホウ酸水を加圧された状態に維持できるようにすること、および、原子炉圧力容器にホウ酸水を注入することなく、その動作の確認試験を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するため、本発明は、原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入装置において、ホウ酸水を蓄え、前記原子炉圧力容器の冷却材の液面よりも上方にホウ酸水の液面が位置するように設置されたホウ酸水タンクと、前記原子炉圧力容器の内圧以上に加圧された流体を供給する加圧手段と、前記加圧手段を前記ホウ酸水タンクのホウ酸水の液面より上方に接続する加圧用配管と、前記ホウ酸水タンクのホウ酸水の液面より下方を前記原子炉圧力容器に接続する注入配管と、前記注入配管の途中に挿入して取り付けられた注入弁と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入装置において、ホウ酸水を蓄え、前記原子炉圧力容器の冷却材の液面よりも上方にホウ酸水の液面が位置するように設置されたホウ酸水タンクと、前記ホウ酸水タンクの内部に取り付けられたヒータと、前記ホウ酸水タンク内のホウ酸水の液面より下方を前記原子炉圧力容器に接続する注入配管と、前記注入配管の途中に挿入して取り付けられた注入弁と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入装置において、循環ポンプと、前記原子炉圧力容器および前記循環ポンプを含む閉ループをつくるループ配管と、ループ配管に挿入された循環止め弁と、前記循環止め弁の前後で前記ループ配管に接続する分岐配管と、前記分岐配管の途中に挿入され、ホウ酸水を蓄えるホウ酸水タンクと、前記分岐配管の前記ホウ酸水タンクの前後に取り付けられたホウ酸水隔離弁と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入方法において、前記原子炉圧力容器の冷却材の液面よりも上方にホウ酸水の液面が位置するように、前記原子炉圧力容器の外にホウ酸水を蓄え、前記原子炉圧力容器の内圧以上に加圧された流体によってホウ酸水を前記原子炉圧力容器の内圧以上に加圧する加圧工程と、前記加圧工程で加圧されたホウ酸水を前記原子炉圧力容器に注入する注入工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入方法において、前記原子炉圧力容器の冷却材の液面よりも上方にホウ酸水の液面が位置するようにホウ酸水を蓄え、ホウ酸水を加熱することによって前記原子炉圧力容器の内圧以上に加圧する加圧工程と、前記加圧工程で加圧されたホウ酸水を前記原子炉圧力容器に注入する注入工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、原子炉圧力容器にホウ酸水を注入するホウ酸水注入方法において、原子炉圧力容器を含む閉ループに水を流す工程と、前記閉ループにホウ酸水を導入して、前記原子炉圧力容器に注入する注入工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、原子炉を停止するために原子炉圧力容器に注入されるホウ酸水を加圧された状態に維持できるようにすること、および、原子炉圧力容器にホウ酸水を注入することなく、その動作の確認試験を行えるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係るホウ酸水注入装置の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
[実施形態1]
図1は本発明に係る実施形態1のホウ酸水注入装置の系統構成図である。
【0017】
この実施形態では、原子炉圧力容器1が原子炉格納容器21に収納され、蓄圧式ホウ酸水タンク8が原子炉格納容器21の外に配置されている。
【0018】
蓄圧式ホウ酸水タンク8の図中上部に接続された加圧用配管10によって、蓄圧式ホウ酸水タンク8は原子炉圧力容器1に接続されている。加圧用配管10は、原子炉圧力容器1の通常運転時に蒸気が満たされている部分に接続されている。加圧用配管10には、原子炉格納容器21の内部および外部に加圧用配管隔離弁9が取り付けられている。
【0019】
また、蓄圧式ホウ酸水タンク8の図中下部に接続された注入配管7によって、蓄圧式ホウ酸水タンク8は原子炉圧力容器1に接続されている。注入配管7には、原子炉格納容器21の外部に、2つの注入弁4が取り付けられている。さらに、注入配管7の注入弁4と蓄圧式ホウ酸水タンク8の間には2つのホウ酸水タンク出口弁5が取り付けられている。2つの注入弁4および2つのホウ酸水タンク出口弁5は、それぞれ並列に取り付けられていて、その取り付け位置では、注入配管7も並列の2本の配管からなっている。蓄圧式ホウ酸水タンク8から2つのホウ酸水タンク出口弁5の間も、2本の注入配管7で接続されている。
【0020】
加圧用配管10の蓄圧式ホウ酸水タンク8と加圧用配管隔離弁9との間と、注入配管7の注入弁4とホウ酸水タンク出口弁5との間は、テスト配管12で接続されている。テスト配管12の途中にはテストタンク13が挿入されている。テスト配管12には、テストタンク13と加圧用配管10の間にテストタンク加圧止め弁23が取り付けられている。また、テスト配管12には、テストタンク13と注入配管7の間にテスト弁11も取り付けられている。
【0021】
蓄圧式ホウ酸水タンク8の内部にはホウ酸水2が蓄えられており、ホウ酸水2に接触するようにヒータ14が配設されている。また、蓄圧式ホウ酸水タンク8には、レベル計22が取り付けられている。蓄圧式ホウ酸水タンク8は、原子炉圧力容器1の内部の水位よりもホウ酸水2の液面が高い位置になるように設置されている。
【0022】
テストタンク13の内部には、水が蓄えられている。テストタンク13は、原子炉圧力容器1の内部の水位よりもテストタンク13の内部の水が高い位置になるように設置されている。
【0023】
次に、実施形態1のホウ酸水注入装置の動作について説明する。
【0024】
原子炉の通常運転時には、加圧用配管隔離弁9を開いた状態にしておくことにより、蓄圧式ホウ酸水タンク8は原子炉圧力容器1の内部の圧力と同じ圧力に加圧される。このとき、注入弁4、ホウ酸水タンク出口弁5、テスト弁11およびテストタンク加圧止め弁23はいずれも閉じた状態にしておく。
【0025】
制御棒駆動機構が動作せずに制御棒による原子炉の停止ができない場合などに、ホウ酸水注入装置には、原子炉圧力容器1にホウ酸水を注入するように指示が与えられる。この指示が与えられたときには、注入弁4およびホウ酸水タンク出口弁5が開く。ホウ酸水2は原子炉圧力容器1の内部の水位よりも高い位置にあり、ホウ酸水2の注入中であっても原子炉圧力容器1と同じ圧力に加圧されているため、原子炉圧力容器1の内部にホウ酸水2が注入される。ホウ素は熱中性子吸収断面積が大きいため、原子炉圧力容器1の内部に十分な量のホウ酸水2を注入することにより、原子炉圧力容器1の内部における核分裂の連鎖反応を止めることができる。
【0026】
蓄圧式ホウ酸水タンク8に取り付けられたレベル計22によって、蓄圧式ホウ酸水タンク8に蓄えられたホウ酸水2の液面位置は常時測定されている。レベル計22で測定した液面位置が所定の位置よりも高い場合には、ヒータ14に通電してホウ酸水2を加熱し、水を蒸発させることにより、液面を低下させる。液面位置が所定の位置よりも低い場合にはヒータ14への通電を停止する。ヒータ14への通電を停止すると、蓄圧式ホウ酸水タンク8の内部の温度は徐々に低下し、蓄圧式ホウ酸水タンク8内部の蒸気の一部は凝縮して、ホウ酸水2の液面は上昇する。このようにして、蓄圧式ホウ酸水タンク8内部のホウ酸水2の液面位置を一定に保ち、ホウ酸水2のホウ酸濃度を一定に保つことができる。
【0027】
さらに、加圧用配管隔離弁9を閉じることにより、原子炉圧力容器1と蓄圧式ホウ酸水タンク8を隔離することができる。このときも、ヒータ14によってホウ酸水2を加熱することにより、蓄圧式ホウ酸水タンク8の圧力を維持することもできる。
【0028】
また、原子炉圧力容器1の内部にホウ酸を注入することなく、ホウ酸水注入装置の動作確認試験を行うことができる。テスト弁11、注入弁4およびテストタンク加圧止め弁23を開くことにより、原子炉圧力容器1の内部の冷却材の水位とテストタンク13の内部の水の水頭差により、テストタンク13の内部の水を原子炉圧力容器1に注入し、注入弁4および注入配管7が適切に使用できることが確認できる。また、蓄圧式ホウ酸水タンク8が適切に加圧されていることが推定できる。
【0029】
さらに、テストタンク13を蓄圧式ホウ酸水タンク8よりも低い位置に配置しておくことにより、蓄圧式ホウ酸水タンク8の加圧状況およびホウ酸水タンク出口弁5の動作を確認できる。まず、テストタンク加圧止め弁23を開き、テストタンク13を原子炉圧力容器1と同じ圧力にしておく。その後、加圧用配管隔離弁9を閉じ、テスト弁11を開く。この状態からホウ酸水タンク出口弁5を開くと、水頭圧によって蓄圧式ホウ酸水タンク8からテストタンク13にホウ酸水2が注入される。原子炉圧力容器1の冷却材の水面はテストタンクよりも低い位置にあることから、蓄圧式ホウ酸水タンク8から原子炉圧力容器1にホウ酸水を注入できることが確認できる。またホウ酸水タンク出口弁5が適切に使用できることを確認できる。
【0030】
なお、注入配管7のホウ酸水タンク出口弁5よりも原子炉圧力容器1に近い側、テスト配管12およびテストタンク13にホウ酸水を流した後に、それらの内部に残留したホウ酸水を除去する手段を配設しておくことが望ましい。注入弁4の動作を確認するために、注入弁4を開いたときに、ホウ酸水が原子炉圧力容器1の内部に流入することを避けるためである。
【0031】
このように、実施形態1のホウ酸水注入装置によって、制御棒挿入ができないときなどに、ポンプを使わずにホウ酸水を原子炉に注入することが可能となる。ポンプを用いないため、ホウ酸水注入装置の起動の際に、ポンプの不作動によるホウ酸水注入の失敗をする危険がなくなり、原子炉の運転の安全性と信頼性が向上する。また、ホウ酸水注入装置の定期的な動作確認試験を行うことができるため、信頼性がさらに向上する。
【0032】
[実施形態2]
図2は本発明に係る実施形態2のホウ酸水注入装置の系統構成図である。
【0033】
実施形態1のホウ酸水注入装置と異なり、加圧用配管10は原子炉圧力容器1ではなく、加圧用配管止め弁15を介して加圧水系に接続している。また、蓄圧式ホウ酸水タンク8の内部には、ホウ酸水仕切板16と、その上方に加圧水仕切板24が設置され、蓄圧式ホウ酸水タンク8は、容積可変の上下に並んだ3つ空間に仕切られている。ホウ酸水仕切板16と加圧水仕切板24は、たとえば、蓄圧式ホウ酸水タンク8の内面に密着しながら上下に移動可能な、ほぼ水平な板である。また、ベローズなどにより変形可能としてもよい。3つの空間は水平に並んでいてもよい。
【0034】
ホウ酸水仕切板16と加圧水仕切板24に仕切られた3つの空間のうち、ホウ酸水仕切板16と加圧水仕切板24ではさまれた空間には窒素ガス26が充填されている。加圧水仕切板24より上方の空間は、加圧用配管10に接続していて、加圧水で満たされている。また、ホウ酸水仕切板16より下方の空間は、注入配管7に接続され、ホウ酸水2で満たされている。
【0035】
実施形態1のホウ酸水注入装置を構成しているテストタンク13、テストタンク加圧止め弁23、ヒータ14およびレベル計22は、実施形態2ではホウ酸水注入装置に含まれていない。
【0036】
加圧水によって圧力が加えられた加圧水仕切板24は、蓄圧式ホウ酸水タンク8の内部の窒素ガス26を介して、ホウ酸水2を原子炉圧力容器1の内圧以上に常時加圧している。ホウ酸水仕切板16と加圧水仕切板24によって、ホウ酸水2と加圧水系の水は隔離されているため、ホウ酸水2の濃度が低下することはない。
【0037】
実施形態2においても、ホウ酸水注入装置に原子炉圧力容器1にホウ酸水を注入するように指示が与えられると、注入弁4およびホウ酸水タンク出口弁5が開き、原子炉圧力容器1の内部にホウ酸水2が注入される。また、ホウ酸水2を注入する際に、加圧水系が機能を喪失していた場合であっても、加圧されていた窒素ガスが膨張することにより、ホウ酸水2は原子炉圧力容器1に注入される。
【0038】
また、テスト弁11および注入弁4を開き、加圧水系の水を原子炉へ注入することにより、注入弁4が適切に動作すること、加圧水系によって供給される水が適切な圧力を有していることを確認できる。
【0039】
このように、実施形態2のホウ酸水注入装置によっても、加圧水系が正常に機能している限り、原子炉圧力容器にホウ酸水を注入することが可能である。また、定期的に動作確認試験を行うこともできる。
【0040】
[実施形態3]
図3は本発明に係る実施形態3のホウ酸水注入装置の系統構成図である。
【0041】
実施形態1のホウ酸水注入装置と異なり、加圧用配管10は原子炉圧力容器1ではなく、加圧用配管止め弁15を介して高圧窒素ガス供給系に接続している。また、蓄圧式ホウ酸水タンク8の内部には、ホウ酸水仕切板16が設置され、蓄圧式ホウ酸水タンク8は、容積可変の上下に並んだ2つの空間に仕切られている。テストタンク13の内部には、テスト用仕切板25が設置され、容積可変の上下に並んだ2つの空間に仕切られている。ホウ酸水仕切板16とテスト用仕切板25は、たとえば、蓄圧式ホウ酸水タンク8の内面に密着しながら上下に移動可能な、ほぼ水平な板である。また、ベローズなどにより変形可能としてもよい。蓄圧式ホウ酸水タンク8およびテストタンク13の内部のそれぞれ2つの空間は、それぞれ水平に並んでいてもよい。
【0042】
蓄圧式ホウ酸水タンク8の2つの空間のうち、上方の空間は加圧用配管10に接続していて、高圧窒素ガスで満たされている。下方の空間は注入配管7に接続され、ホウ酸水で満たされている。
【0043】
同様に、テストタンク13の2つの空間のうち、上方の空間は加圧用配管10に接続していて、高圧窒素ガスで満たされている。下方の空間は注入配管7に接続され、水で満たされている。
【0044】
実施形態1のホウ酸水注入装置を構成していた、ヒータ14およびレベル計22は、実施形態3ではホウ酸水注入装置に含まれていない。
【0045】
実施形態3では、加圧用配管10および蓄圧式ホウ酸水タンク8のホウ酸水仕切板16より上部は、高圧窒素ガスで満たされている。この高圧窒素ガスによって、ホウ酸水2は原子炉圧力容器1の内圧以上に常時加圧されている。また、テストタンク13のテスト用仕切板25の上部も高圧窒素ガスで満たされており、テストタンク13内部の水も常時原子炉圧力容器1の内圧以上に常時加圧されている。
【0046】
実施形態3においても、ホウ酸水注入装置に原子炉圧力容器1にホウ酸水を注入するように指示が与えられると、注入弁4およびホウ酸水タンク出口弁5が開き、原子炉圧力容器1の内部にホウ酸水2が注入される。
【0047】
また、テスト弁11および注入弁4を開き、テストタンク13内部の水を原子炉へ注入することにより、注入弁4が適切に動作すること、高圧窒素ガス供給系によって供給される高圧窒素ガスが適切な圧力を有していることを確認できる。
【0048】
このように、実施形態3のホウ酸水注入装置によっても、高圧窒素ガス供給系が正常に機能している限り、原子炉圧力容器にホウ酸水を注入することが可能である。また、定期的に動作確認試験を行うこともできる。
【0049】
[実施形態4]
図4は本発明に係る実施形態4のホウ酸水注入装置の系統構成図である。
【0050】
実施形態1のホウ酸水注入装置と異なり、蓄圧式ホウ酸水タンク8には加圧用配管10が接続されておらず、レベル計22も取り付けられていない。
【0051】
実施形態4では、ヒータ14によってホウ酸水2を加熱することにより、蓄圧式ホウ酸水タンク8のホウ酸水2の液面より上方での蒸気圧力を高めることで、ホウ酸水2を加圧している。実施形態4においても、原子炉圧力容器1にホウ酸水を注入するようにホウ酸水注入装置に指示が与えられると、注入弁4およびホウ酸水タンク出口弁5が開き、原子炉圧力容器1の内部にホウ酸水2が注入される。
【0052】
また、実施形態1と同様にテストタンク13などを用いて、注入弁4、蓄圧式ホウ酸水タンク出口弁5の動作確認や、蓄圧式ホウ酸水タンク8が適切に加圧されていることを確認することができる。
【0053】
[実施形態5]
図5は本発明に係る実施形態5のホウ酸水注入装置の系統構成図である。
【0054】
実施形態5のホウ酸水注入装置は、原子炉圧力容器1とループ配管31で構成される閉ループを有している。ループ配管31の途中には、循環ポンプ17および循環止め弁20が取り付けられている。また、ループ配管31の循環ポンプ17の前後には分岐配管18が接続されている。分岐配管18の途中には、ホウ酸水2が蓄えられたホウ酸水タンク3が挿入されている。分岐配管18のホウ酸水タンク3の前後には、ホウ酸水隔離弁19がそれぞれ2つずつ並列に取り付けられている。ホウ酸水隔離弁19が取り付けられた部分では、分岐配管18は、並列に2本の配管が配設されている。循環ポンプ17、循環止め弁20、ホウ酸水タンク3、分岐配管およびホウ酸水隔離弁19は原子炉格納容器21の外部に設置されている。
【0055】
原子炉圧力容器1にホウ酸水を注入するようホウ酸水注入装置に指示が与えられると、ホウ酸水隔離弁19が開き、ホウ酸水タンク3に蓄えられていたホウ酸水2は、循環ポンプ17により攪拌されながら、原子炉圧力容器1に注入される。このとき、循環止め弁20を閉じると、ホウ酸水タンク3の攪拌の効果が向上するとともに、ホウ酸水2を原子炉圧力容器1に注入する力を大きくすることができる。
【0056】
なお、ホウ酸水タンク3を原子炉圧力容器1よりも高い位置に配置しておくと、循環ポンプ17が動作しない場合でも、原子炉圧力容器1にホウ酸水を注入することができる。また、ホウ酸水タンク3と並列にテスト配管(図示せず)を配設し、分岐配管18内の流体がホウ酸水タンク3とテスト配管のどちらに流れるかを切り替える切り替え弁(図示せず)を取り付けておくと、ホウ酸水隔離弁19および循環ポンプ17の動作を確認することもできる。すなわち、切り替え弁により、分岐配管18内の流体がテスト配管を流れるようにしておき、ホウ酸水隔離弁19を開くと、分岐配管中を水が流れる。これにより、このホウ酸水注入装置の動作確認ができる。
【0057】
[実施形態6]
図6は本発明に係る実施形態6のホウ酸水注入装置の系統構成図である。
【0058】
この実施形態では、蓄圧式ホウ酸水タンク8を原子炉格納容器21の内部に配置している。この場合には、図1に示した加圧用隔離弁9が不要になり、装置を簡略化することができる。また、蓄圧式ホウ酸水タンク8を原子炉圧力容器1と近接した位置に設置することが可能で、配管の長さを短くすることができるため、装置の安定性が向上する。
【0059】
同様に、実施形態2ないし5のホウ酸水注入装置の一部または全部を原子炉格納容器21の内部に配置することにより、配管の長さを短くし、また、加圧用隔離弁9を削減してもよい。
【0060】
なお、以上の説明は単なる例示であり、本発明は上述の各実施形態に限定されず、様々な形態で実施することができる。たとえば、ホウ酸水注入装置に含まれる各種弁は、手動弁であってもよいし、遠隔操作可能な弁であってもよい。また、上述の各実施形態を複数設置してもよいし、異なる実施形態のものを組み合わせてもよい。従来から実施されているようなポンプによりホウ酸水を注入するホウ酸水注入装置と組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態1のホウ酸水注入装置のシステム構成図。
【図2】本発明の実施形態2のホウ酸水注入装置のシステム構成図。
【図3】本発明の実施形態3のホウ酸水注入装置のシステム構成図。
【図4】本発明の実施形態4のホウ酸水注入装置のシステム構成図。
【図5】本発明の実施形態5のホウ酸水注入装置のシステム構成図。
【図6】本発明の実施形態6のホウ酸水注入装置のシステム構成図。
【符号の説明】
【0062】
1…原子炉圧力容器、2…ホウ酸水、3…ホウ酸水タンク、4…注入弁、5…ホウ酸水タンク出口弁、7…注入配管、8…蓄圧式ホウ酸水タンク、9…加圧用配管隔離弁、10…加圧用配管、11…テスト弁、12…テスト配管、13…テストタンク、14…ヒータ、15…加圧用配管止め弁、16・・・ホウ酸水仕切板、17…循環ポンプ、19…ホウ酸水隔離弁、21…原子炉格納容器、22…レベル計、23…テストタンク加圧止め弁、24…加圧水仕切板、25…テスト用仕切板、26…窒素ガス、31…ループ配管




 

 


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