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発明の名称 炉心冷却材温度測定装置、炉心冷却材温度測定方法および原子炉監視装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−78559(P2007−78559A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−268214(P2005−268214)
出願日 平成17年9月15日(2005.9.15)
代理人 【識別番号】100103333
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 治
発明者 小田 直敬 / 宮崎 禎司
要約 課題
原子炉容器の設計を変更することなく、炉心冷却材温度を炉内で直接測定することを可能にするとともに、原子炉を監視できるようにする。

解決手段
原子炉の炉心2を流れる冷却材の温度を測定する炉心冷却材温度測定装置に、炉心2の下端より下方に配設された温度測定部7および炉心2の下端から上端の間にγ線発熱検出部6を備えたγ線温度計4と、温度測定部7が出力する信号を伝達するケーブル9と、その信号を受け取り、温度測定部7が配設された位置における冷却材の局所温度を算出する出力信号処理手段10とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉容器に収容された炉心を流れる冷却材の温度を測定する炉心冷却材温度測定装置において、
前記炉心の内部に位置するγ線発熱検出器および前記炉心外で前記原子炉容器内に位置する熱電対温度計を備えたγ線温度計と、
前記熱電対温度計が出力する信号を受け取り、前記熱電対温度計が配設された位置における冷却材の局所温度を算出する出力信号処理手段と、
を有することを特徴とする炉心冷却材温度測定装置。
【請求項2】
前記γ線温度計には、前記γ線発熱検出器から前記熱電対温度計に亘る範囲に配設された校正用ヒータが収められていることを特徴とする請求項1記載の炉心冷却材温度測定装置。
【請求項3】
前記熱電対温度計は複数であって、その配設位置に応じて複数のグループに分類されており、前記出力信号処理手段は前記グループごとに平均した冷却材の平均温度を算出する機能をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の炉心冷却材温度測定装置。
【請求項4】
前記信号処理手段は、冷却材の局所温度の冷却材の平均温度からの偏差が所定の設定値を超えた場合に、その局所温度を測定した熱電対温度計が故障していると診断する機能をさらに有することを特徴とする請求項3記載の炉心冷却材温度測定装置。
【請求項5】
前記信号処理手段は、故障と診断された熱電対温度計の対称位置における冷却材の局所温度を、故障と診断された熱電対温度計の位置における冷却材の局所温度とする機能をさらに有することを特徴とする請求項4記載の炉心冷却材温度測定装置。
【請求項6】
原子炉容器内に収容された炉心を流れる冷却材の温度を測定する炉心冷却材温度測定装置において、
冷却材の温度変化の検出遅れが所定の値以下である第一の温度測定手段と、
冷却材の温度の測定誤差が所定の値以下である第二の温度測定手段と、
前記第一の温度測定手段から出力される信号に基づいて算出する第一の温度の単位時間当たりの変動量が所定の値を超えた場合には前記第一の温度を冷却材温度とし、前記第一の温度の単位時間当たりの変動量が所定の値以下の場合には前記第二の温度測定手段から出力される信号に基づいて算出する第二の温度を冷却材温度とする信号処理手段と、
を有することを特徴とする炉心冷却材温度測定装置。
【請求項7】
前記第二の温度測定手段は、
前記炉心の内部に位置するγ線発熱検出器および前記炉心外で前記原子炉容器内に位置する熱電対温度計を備えたγ線温度計と、
前記熱電対温度計が出力する信号を受け取り、前記熱電対温度計が配設された位置における冷却材の局所温度を算出する出力信号処理手段と、
を具備していることを特徴とする請求項6記載の炉心冷却材温度測定装置。
【請求項8】
原子炉容器に収容された炉心を流れる冷却材の温度を測定する炉心冷却材温度測定方法において、
前記炉心の内部にγ線発熱検出器を備えたγ線温度計の内部であって、前記炉心外の前記原子炉容器内で温度を測定する温度測定工程と、
前記温度測定工程で測定した温度に基づいて、冷却材の局所温度を算出する出力信号処理工程と、
を有することを特徴とする炉心冷却材温度測定方法。
【請求項9】
前記γ線温度計の内部を加熱して前記γ線発熱検出器を校正する工程と、
前記γ線温度計の内部を加熱して前記炉心の下端より下方の原子炉容器内で測定する温度を校正する工程と、
を有することを特徴とする請求項8記載の炉心冷却材温度測定方法。
【請求項10】
前記出力信号処理工程は、測定位置によって分類されたグループごとに平均した冷却材の平均温度を算出することを特徴とする請求項8または請求項9記載の炉心冷却材温度測定方法。
【請求項11】
前記出力信号処理工程は、冷却材の局所温度の平均温度からの偏差が所定の値を超えた場合に、その局所温度を測定した位置の対象位置における局所温度を、局所温度の平均温度からの偏差が前記所定の値を超えた位置における、冷却材の局所温度とすることを特徴とする請求項10記載の炉心冷却材温度測定方法。
【請求項12】
原子炉容器に収容された炉心を流れる冷却材の温度を測定する炉心冷却材温度測定方法において、
冷却材の温度変化に対する検出遅れが所定の値以下である温度測定手段から出力される信号に基づいて算出する第一の温度の単位時間当たりの変動量が所定の値を超えた場合には、前記第一の温度を冷却材温度とし、前記第一の温度の単位時間当たりの変動量が所定の値以下の場合には、冷却材の温度の検出誤差が所定の値以下である温度測定手段から出力される信号に基づいて算出する第二の温度を冷却材温度とする信号処理工程、
を有することを特徴とする炉心冷却材温度測定方法。
【請求項13】
前記第二の温度は、前記炉心の内部にγ線発熱検出器を備えたγ線温度計の内部であって、前記炉心外で測定された温度であることを特徴とする請求項12記載の炉心冷却材温度測定方法。
【請求項14】
原子炉容器に収容された炉心を具備する原子炉の状態を監視する原子炉監視装置において、
前記炉心の内部に位置するγ線発熱検出器および前記炉心外で前記原子炉容器内に位置する熱電対温度計を備え、その配設位置に応じて複数のグループに分類されたγ線温度計と、
前記熱電対温度計が出力する信号を受け取り、前記熱電対温度計が配設された位置における冷却材の局所温度および前記グループごとの平均温度を算出する出力信号処理手段と、
前記平均温度、前記平均温度の単位時間当たりの変化量および前記局所温度の前記平均温度からの偏差の少なくとも一つがそれぞれに対して設定された範囲を逸脱した場合に原子炉が異常であると診断する診断手段と、
を有することを特徴とする原子炉監視装置。
【請求項15】
前記異常とは給水加熱喪失であることを特徴とする請求項14記載の原子炉監視装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の炉心を流れる冷却材の温度を測定する装置および冷却材温度の測定方法、並びに、原子炉を監視する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉では、原子炉の熱出力を測定するために、中性子検出器を炉心の下部から挿入している。この中性子検出器の感度校正を行うために、γ線温度計と中性子検出器を組み合わせて沸騰水型原子炉の原子炉熱出力分布の測定を行うことが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
γ線温度計は、γ線による構造材の発熱現象によって検出部に生じる温度差を、差動型熱電対で測定するものである。γ線による構造材の発熱量は原子炉熱出力に比例することから、γ線温度計の検出部を軸方向に複数を配置することで原子炉熱出力の軸方向分布を測定することができる。同様に複数のγ線温度計を異なる水平方向位置に配設することにより、原子炉熱出力の水平方向分布を測定することができる。
【0004】
また、γ線温度計は通常内部に校正用ヒータを内蔵しており、校正用ヒータに通電することによって、γ線温度計の差動型熱電対の校正を行うことが可能である。校正用ヒータによる感度校正方法の1つには、校正用ヒータにより付加した発熱量と差動型熱電対の出力信号の変化から感度を求める方法がある。
【0005】
一方、沸騰水型原子炉において炉心冷却材温度は炉心性能計算を行うための重要なパラメータであるが、従来は炉外の冷却材配管において間接的に測定した温度を炉心性能計算に使用していた。
【特許文献1】特許第3556409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の沸騰水型原子炉においては、炉心性能計算の重要なパラメータである炉心冷却材温度を炉内で直接測定する手段がなく、炉心性能計算の誤差要因となっている。しかしながら、新たに炉心冷却材温度を測定するための炉内温度計を配置しようとした場合、従来の原子炉容器の設計を変更する必要があり、コストが増大し、現実的ではない。
【0007】
本発明は、原子炉容器の設計を変更することなく、炉心冷却材温度を炉内で直接測定することを可能にするとともに、原子炉を監視できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、原子炉容器に収容された炉心を流れる冷却材の温度を測定する炉心冷却材温度測定装置において、前記炉心の内部に位置するγ線発熱検出器および前記炉心外で前記原子炉容器内に位置する熱電対温度計を備えたγ線温度計と、前記熱電対温度計が出力する信号を受け取り、前記熱電対温度計が配設された位置における冷却材の局所温度を算出する出力信号処理手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、原子炉容器内に収容された炉心を流れる冷却材の温度を測定する炉心冷却材温度測定装置において、冷却材の温度変化の検出遅れが所定の値以下である第一の温度測定手段と、冷却材の温度の測定誤差が所定の値以下である第二の温度測定手段と、前記第一の温度測定手段から出力される信号に基づいて算出する第一の温度の単位時間当たりの変動量が所定の値を超えた場合には前記第一の温度を冷却材温度とし、前記第一の温度の単位時間当たりの変動量が所定の値以下の場合には前記第二の温度測定手段から出力される信号に基づいて算出する第二の温度を冷却材温度とする信号処理手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、原子炉容器に収容された炉心を流れる冷却材の温度を測定する炉心冷却材温度測定方法において、前記炉心の内部にγ線発熱検出器を備えたγ線温度計の内部であって、前記炉心外の前記原子炉容器内で温度を測定する温度測定工程と、前記温度測定工程で測定した温度に基づいて、冷却材の局所温度を算出する出力信号処理工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、原子炉容器に収容された炉心を流れる冷却材の温度を測定する炉心冷却材温度測定方法において、冷却材の温度変化に対する検出遅れが所定の値以下である温度測定手段から出力される信号に基づいて算出する第一の温度の単位時間当たりの変動量が所定の値を超えた場合には、前記第一の温度を冷却材温度とし、前記第一の温度の単位時間当たりの変動量が所定の値以下の場合には、冷却材の温度の検出誤差が所定の値以下である温度測定手段から出力される信号に基づいて算出する第二の温度を冷却材温度とする信号処理工程、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、原子炉容器に収容された炉心を具備する原子炉の状態を監視する原子炉監視装置において、前記炉心の内部に位置するγ線発熱検出器および前記炉心外で前記原子炉容器内に位置する熱電対温度計を備え、その配設位置に応じて複数のグループに分類されたγ線温度計と、前記熱電対温度計が出力する信号を受け取り、前記熱電対温度計が配設された位置における冷却材の局所温度および前記グループごとの平均温度を算出する出力信号処理手段と、前記平均温度、前記平均温度の単位時間当たりの変化量および前記局所温度の前記平均温度からの偏差の少なくとも一つがそれぞれに対して設定された範囲を逸脱した場合に原子炉が異常であると診断する診断手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、原子炉容器の設計を変更することなく、炉心冷却材温度を原子炉容器内で直接測定することができ、また、原子炉を監視できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る炉心冷却材温度測定装置と原子炉状態監視装置の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る冷却材温度測定装置の構成図である。
【0016】
原子炉容器1の内部には、軸が鉛直方向を向いた円筒形状に複数の燃料集合体が配列された炉心2がある。炉心2は炉心支持板34によって支持されている。炉心2には、原子炉容器1の下部から中性子検出器集合体3が挿入されている。中性子検出器集合体3の内部には、中性子検出器5とγ線温度計4が内蔵されている。なお、図1には中性子検出器集合体3は1つだけ図示しているが、中性子検出器集合体3は炉心内の複数の位置に配設されている。
【0017】
γ線温度計4には、炉心2の内部に配置され、γ線による発熱現象により生じる温度差を測定するγ発熱検出部6と、γ線による発熱現象を生じない炉心下端位置33より下方の原子炉容器1の内部に配置され、冷却材温度を測定する温度測定部7が含まれている。中性子検出器5とγ線温度計4から出力される信号は多芯コネクタ8および多芯ケーブル9を経由して出力信号処理装置10に入力される。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係るγ線温度計4の一部の縦断面図である。
【0019】
γ線温度計4は、円筒形状をした検出器容器30の内部の構造材12、炉心2の内部に接点が位置する差動型熱電対13、校正用ヒータ18および炉心下端位置33より下方に接点が位置する熱電対温度計16から構成されている。差動型熱電対13は高温側接点14および低温側接点15を有している。構造材12には、差動型熱電対13の高温側接点14および熱電対温度計16と鉛直方向位置が同じ位置に、断熱部11が設けられている。校正用ヒータ18は、検出器容器30の水平断面のほぼ中央に位置している。また、校正用ヒータ18の発熱部は、熱電対温度計16の下方から、差動型熱電対13の高温側接点14および低温側接点15よりも上方に亘っている。
【0020】
図3は、本発明の実施形態に係る原子炉監視装置の構成図である。
【0021】
原子炉監視装置は、原子炉状態評価装置21、出力信号処理装置10、γ線温度計4、炉心支持板差圧測定装置31および冷却材流量温度評価装置32から構成されている。γ線温度計4は出力信号処理装置10に接続されており、出力信号処理装置10は原子炉状態評価装置21に接続されている。また、炉心支持板差圧測定装置31は冷却材流量温度評価装置32に接続されており、冷却材温度流量評価装置32は原子炉状態評価装置21に接続されている。
【0022】
次に、実施形態の冷却材温度測定装置による冷却材温度の測定方法および原子炉状態監視装置による原子炉の監視方法を説明する。
【0023】
まず、校正用ヒータ18を用いて、差動型熱電対13および熱電対温度計16の校正をする。校正用ヒータ18に通電することによって、校正用ヒータ18から熱が発生し、γ線温度計4の内部の温度が上昇する。断熱部11の近傍では校正用ヒータ18から発生した熱が冷却材に流れにくく、断熱部11を設けていない部分では校正用ヒータ18から発生した熱が冷却材に流れやすい。このため、差動型熱電対13の高温側接点14の温度は、差動型熱電対13の低温側接点15の温度に比べて高くなり、校正用ヒータ18の発熱量と差動型熱電対13の出力信号の変化から、差動型熱電対13の感度を求めることができる。
【0024】
差動型熱電対13の校正と同様に、校正用ヒータ18を用いて熱電対温度計16の校正を行うことができる。校正用ヒータ18の発熱量と、熱電対温度計16の出力信号の変化から、熱電対温度計16の感度を求めることができる。熱電対温度計16と冷却水の間にも断熱部11が設けられており、校正用ヒータ18から発生する熱は冷却材に流れにくいため、熱電対温度計16の校正に際して冷却材の影響を受けにくい構造となっている。なお、熱電対温度計16と冷却水の間に断熱部11がない場合でも校正は可能であり、熱電対温度計16と冷却水の間の断熱部11は削除してもよい。熱電対温度計16と冷却水の間の断熱部11を削除した場合には、熱電対温度計16の校正の精度は悪化するものの、冷却材の温度変化に対する応答性はよくなる。
【0025】
なお、差動型熱電対13と熱電対温度計16の校正は同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
【0026】
原子炉の運転時には、γ線によって、検出器容器30の内部の構造材12の炉心2の内部に位置する部分は発熱する。高温側接点14の近傍には断熱部11があるため、γ線によって構造材12に生じた熱は冷却材に流れにくく、高温側接点14の近傍は、断熱部11がない低温側接点15の近傍に比べて温度が高い。γ線による構造材の発熱量は原子炉の熱出力に比例するため、この温度差を複数の軸方向位置に配設した差動型熱電対13によって測定することによって原子炉熱出力の軸方向分布を測定することができる。また、複数の水平方向位置に差動型熱電対13、すなわち、中性子検出器集合体3を配設することにより原子炉熱出力の水平方向分布も測定することができる。
【0027】
熱電対温度計16の近傍は、γ線の影響を受けず冷却材温度と同じ温度になる。したがって、熱電対温度計16から出力された信号に基づいて出力信号処理装置10によって算出した温度は、熱電対温度計16近傍における局所的な炉心入口冷却材温度であるといってよい。ただし、冷却材温度が変化した場合、検出器容器30、構造材12を介して熱が伝わるため、熱電対温度計16の近傍の温度が冷却材と同じ温度になるまでには時間遅れがある。
【0028】
また、炉心を支持している炉心支持板34の上下の差圧から炉心冷却材流量を求め、原子炉の熱バランスから炉心入口冷却材温度を求めることができる。この場合、熱電対温度計16による測定に比べて時間遅れが少ないが、熱電対温度計16により求めた冷却材温度に比べて誤差が大きい。
【0029】
そこで、原子炉状態評価装置21は、熱電対温度計16による温度測定のように測定精度は高いが温度変化への応答性があまりよくない測定方法と、炉心支持板34の上下の差圧から冷却材温度を求める方法のように測定精度はあまりよくないが温度変化への応答性が高い測定方法を組み合わせて炉心入口冷却材温度を評価している。すなわち、原子炉状態評価装置21は、炉心支持板差圧から求めた炉心入口冷却材温度の単位時間当たりの変動量が所定の大きさを超えた場合には、炉心支持板差圧から求めた炉心入口冷却材温度を用い、炉心支持板差圧から求めた冷却材温度の単位時間当たりの変動量が所定の大きさ以下の場合には、熱電対温度計16から求めた炉心入口冷却材温度を用いるよう機能を有している。この機能により、炉心入口冷却材温度の変化が急な場合には多少誤差が大きいものの応答性がよい測定が可能で、炉心入口冷却材温度の変化が緩やかな場合は誤差が少ない測定が可能である。
【0030】
なお、実施形態では応答性がよい炉心入口冷却材温度の測定方法として、炉心支持板差圧に基づいて冷却材温度を求める方法を用い、測定精度が高い炉心入口冷却材温度の測定方法として、熱電対により冷却材温度を測定する方法を用いているが、他の測定方法を用いてもよい。たとえば、熱電対温度計16を中性子検出器集合体3の容器に接触させ、その接触させた部分の板厚を薄くして、冷却材温度を測定することにより応答性を高めることができる。この場合には、熱電対温度計16の校正の際に、冷却材温度の影響が大きいため、校正後の熱電対温度計16によって測定した冷却材温度には大きな誤差が含まれる可能性があるが、冷却材温度の変化が熱電対温度計16に伝わるまでの時間は小さくなる。
【0031】
また、原子炉状態評価装置21は、複数の熱電対温度計16の出力から、熱電対温度計16の健全性を診断する機能を有している。原子炉状態評価装置21は、ある熱電対温度計16の出力から求めた局所的な炉心入口冷却材温度の、複数の熱電対温度計16の出力から求めた炉心入口冷却材温度の平均値からの偏差が、所定の値を超えた場合に、その熱電対温度計16が故障であると診断する。炉心入口冷却材温度の平均値の算出は、すべての熱電対温度計16の出力から求めた冷却材温度を平均してもよいが、熱電対温度計16の配設位置によってグループ分けして、それぞれのグループが位置する領域ごとの平均をとってもよい。領域ごとの平均をとる場合には、領域ごとに冷却材温度が異なる場合であっても、熱電対温度計16の健全性を適切に診断することができる。
【0032】
原子炉が通常の運転状態にある場合には、炉心入口冷却材温度は給水温度以上であり、原子炉圧力から求められる飽和蒸気温度以下である。そこで、飽和蒸気温度から給水温度を差し引いた値よりも、熱電対温度計16の出力から求めた局所的な炉心入口冷却材温度と上述の冷却材温度の平均との差が大きい場合に、その熱電対温度計16を故障と診断してもよい。また、熱電対温度計16の出力から求められる冷却材温度が給水温度から熱電対温度計16の測定誤差を引いた値よりも小さい場合、および、飽和蒸気温度に熱電対温度計16の測定誤差を足した値よりも大きい場合に、その熱電対温度計16が故障していると診断してもよい。
【0033】
一般的に、炉心はある対称性をもって構成されている。たとえば、炉心の鉛直軸を中心として炉心の1/4ごとにほぼ同じ燃焼履歴をもつ燃料を配置し、炉心を鉛直軸周りに90度回転させてもほぼ同じ燃料配置になるように構成している。また、炉心に流入する冷却材には、蒸気タービンに送られた後に復水器で凝縮され、加熱された後に炉心に供給されるものと、蒸気タービンに送られずに原子炉容器1の内部を再び循環し、炉心に流れ込むものがある。両者の温度は若干異なるため、炉心に流れ込む冷却材の温度にはばらつきがある場合がある。このばらつきは冷却材の流れに依存し、たとえば炉内構造物の配置に依存する。この冷却材の流れも対称性を有するとみなすことができる。
【0034】
そこで、熱電対温度計16の一部が故障した場合、原子炉状態評価装置21は、故障した熱電対温度計16に対して、上述のような対称性を考慮した同等の位置(対称位置)の熱電対温度計16の出力から求めた局所的な炉心入口冷却材温度を、故障した熱電対温度計16の位置における局所的な炉心入口冷却材温度とする機能を備えている。
【0035】
さらに、原子炉状態評価装置21は、原子炉を監視する機能を有している。原子炉容器に供給される冷却材の加熱がなくなった場合、すなわち給水加熱喪失を検知することができる。給水加熱が喪失した場合には、給水温度が低下し、炉心に流入する冷却材の平均的な温度が低下する。そこで、熱電対温度計16の出力から求めた炉心入口冷却材温度の上述のグループごと、または、すべての平均が所定の値を下回った場合、もしくは、炉心入口冷却材温度のこれらの平均の単位時間当たりの低下量が所定の値を超えた場合に、給水加熱が喪失したと診断する。また、給水加熱が喪失した場合には、蒸気タービンに送られた後に原子炉容器に供給される冷却材の温度と、蒸気タービンに送られずに炉心に流れ込む冷却材の温度の差が大きくなる。そこで、複数の熱電対温度計16の出力から求めた局所的な炉心入口冷却材温度のばらつき、たとえば、炉心入口冷却材温度の平均と局所的な炉心入口冷却材温度の偏差の最大値が、所定の値を超えた場合には給水加熱喪失と診断する。
【0036】
このように、本発明に係る実施形態により、従来の原子炉容器1の設計を変更することなく炉心冷却材の温度を測定することができるようになる。また、γ発熱検出部6および温度測定部7からの出力は、同一の多芯コネクタ8,多芯ケーブル9により伝送することが可能で、出力信号測定装置10を共有することも可能である。このため、ハードウェアコストおよび配置スペースの低減が可能となる。
【0037】
また、1つの校正用ヒータ18によってγ発熱検出器部6および温度測定部7の感度を校正することができる。したがって、ハードウェアコストおよび作業員の作業回数を低減することができる。
【0038】
応答性がよく精度が低い測定方法と、応答性が悪いが精度が高い測定方法を用い、定常時は精度が高い測定方法を用い、変化時は応答性が良い測定方法を用いることで精度・応答性を両立した冷却材温度の測定が可能となる。
【0039】
なお、以上の説明は単なる例示であり、本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な形態で実施することができる。たとえば、上述の実施形態は沸騰水型原子炉を例にとって説明したが、他の炉型にも適用可能である。また、熱電対温度計16の代わりに抵抗温度計を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る冷却材温度測定装置の構成図。
【図2】図1のγ線温度計の部分拡大縦断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る原子炉監視装置の構成図。
【符号の説明】
【0041】
1…原子炉、2…炉心、3…中性子検出器集合体、4…γ線温度計、5…中性子検出器6…γ発熱検出部、7…温度測定部、8…多芯コネクタ、9…多芯ケーブル、10…出力信号処理装置、11…断熱部、12…構造材、13…差動型温度計、14…高温側接点、15…低温側接点、16…熱電対温度計、18…校正用ヒータ、19…温度相関パラメータ、20…温度換算手段、21…原子炉状態評価装置、30…検出器容器、31…炉心支持板差圧測定装置、32…冷却材流量温度評価装置、33…炉心下端位置、34…炉心支持板




 

 


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