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発明の名称 原子炉内検査保全方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−57357(P2007−57357A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−242561(P2005−242561)
出願日 平成17年8月24日(2005.8.24)
代理人 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次
発明者 湯 口 康 弘 / 安 達 弘 幸 / 中 川 哲 郎 / 山 本 智 / 天 内 淑 文 / 奥 田 健
要約 課題
原子炉内の検査対象面に対する水中移動装置の位置決めを短時間で精度良く行うことができ、この水中移動装置の位置決め再現性を良好なものとすることができ、このことにより検査対象面に対する検査や保全を確実かつ十分に行うことができる原子炉内検査保全方法を提供すること。

解決手段
水中移動装置30を用いて原子炉内の検査対象面1aの検査や保全を行うにあたり、まず、水中移動装置30を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、検査対象面1aに対して切り欠き処理、罫書き処理、ポンチ処理または打刻処理を行うことにより検知マーク3を予め形成しておく。そして、水が満たされた原子炉内で水中移動装置30を移動させる。この移動の際に、水中移動装置30が検査対象面1aに形成された検知マーク3を検出することにより当該水中移動装置30の位置決めを行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
水中移動装置を用いて原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う原子炉内検査保全方法において、
水中移動装置を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、検査対象面に対して切り欠き処理、罫書き処理、ポンチ処理または打刻処理を行うことにより検知マークを予め形成しておく工程と、
水が満たされた原子炉内で水中移動装置を移動させる工程と、
この移動の際に、水中移動装置が検査対象面に形成された検知マークを検出することにより当該水中移動装置の位置決めを行う工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉内検査保全方法。
【請求項2】
検知マークを予め形成しておく前記工程において、放電加工機、切削加工機、研削加工機、レーザ加工機、電解加工機、刻印機または振動ペンを用いることにより検査対象面に対して切り欠き処理、罫書き処理、ポンチ処理または打刻処理を行い、更にこれらの処理により発生する二次生成物の回収を行うことを特徴とする請求項1記載の原子炉内検査保全方法。
【請求項3】
水中移動装置を用いて原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う原子炉内検査保全方法において、
水中移動装置を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、検査対象面に取付部材を取り付けることにより検知マークを予め形成しておく工程と、
水が満たされた原子炉内で水中移動装置を移動させる工程と、
この移動の際に、水中移動装置が検査対象面に形成された検知マークを検出することにより当該水中移動装置の位置決めを行う工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉内検査保全方法。
【請求項4】
検知マークを予め形成しておく前記工程において、検知マークとして溶接ビードを形成することを特徴とする請求項3記載の原子炉内検査保全方法。
【請求項5】
検知マークを予め形成しておく前記工程において、水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に当該水中移動装置が移動すべき方向に沿って直線的に延びるよう、検知マークを形成することを特徴とする請求項1または3記載の原子炉内検査保全方法。
【請求項6】
直線的に延びる前記検知マークは、水中移動装置が原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う際に当該水中移動装置を案内する機能も有していることを特徴とする請求項5記載の原子炉内検査保全方法。
【請求項7】
検知マークを予め形成しておく前記工程の後に、
検査対象面に形成された検知マークに対して表面仕上げ処理および/または残留応力低減処理を予め行う工程を更に備えたことを特徴とする請求項1または3記載の原子炉内検査保全方法。
【請求項8】
水中移動装置に、撮像器具、超音波距離センサ、レーザ距離センサ、フェライトスコープ、超音波探傷器、渦電流探傷器および機械式接点スイッチより構成される群のうちのいずれか一つまたは複数を組合せたものからなる検出センサが設けられており、
この検出センサにより検知マークを検出することを特徴とする請求項1または3記載の原子炉内検査保全方法。
【請求項9】
検知マークを予め形成しておく前記工程において、水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に移動すべき方向に延びる第1の検知マーク部分と、この第1の検知マーク部分と形状および延びる方向が異なる第2の検知マーク部分とからなる検知マークを形成し、
水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に、第1の検知マーク部分の延びる方向に移動する水中移動装置が第2の検知マーク部分を検出することにより、当該水中移動装置の位置決めを行うことを特徴とする請求項1または3記載の原子炉内検査保全方法。
【請求項10】
前記検出センサは、水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に移動すべき方向と異なる方向に沿って並ぶよう複数設けられていることを特徴とする請求項8記載の原子炉内検査保全方法。
【請求項11】
水中移動装置を用いて原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う原子炉内検査保全方法において、
水中移動装置を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、検査対象面に対して切り欠き処理、罫書き処理、ポンチ処理または打刻処理を行うことにより検知マークを予め形成しておく工程と、
水が満たされた原子炉内で水中移動装置を移動させる工程と、
水中移動装置の移動の際に、当該水中移動装置とは別に設けられた撮像装置によって検査対象面に形成された検知マークを検出することにより、水中移動装置の位置決めを行う工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉内検査保全方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中移動装置を用いて原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う原子炉内検査保全方法に関し、とりわけ、水中移動装置の位置決めを良好に行うことができる原子炉内検査保全方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉の炉内構造物は、高温高圧環境下において十分な耐久性および高温での強度を有する材料、例えばオーステナイト系ステンレス鋼またはニッケル基合金によって形成されている。
【0003】
この炉内構造物のうち、交換困難な部材については、これらの部材が長期に及ぶプラントの運転によって厳しい環境に曝され、また、中性子照射の影響もあることから、材料劣化の問題が懸念される。
特に、炉内構造物のシュラウドの溶接部近傍は、溶接入熱による材料の鋭敏化および引張残留応力の影響により潜在的な応力腐食割れの危険性がある。
よって、原子炉の炉内構造物を定期的に検査、修理、保全する必要がある。また、検査や補修に先立ち、炉内構造物の表面の状態を清浄に保つため、清掃および洗浄が実施される。
【0004】
従来、原子炉の炉内構造物の検査等を行うために、例えば特許文献1乃至4に示すような水中移動装置が用いられる。この水中移動装置は、水中で検査対象面に向かうよう駆動を行うスラスタ(プロペラ)と、水中移動装置が検査対象面に押圧された際に検査対象面上を走行する走行車輪と、検査対象面を検査する点検センサ等とを備えている。
【0005】
一般的に、水中移動装置を用いて炉内構造物の検査対象面の検査や保全を行うにあたり、検査対象面の検査位置や保全作業位置を把握するために、作業員が検査場所に接近し、スケールを用いて検査対象面上で測定を行う方法が用いられる。
しかしながら、原子炉内など、作業員が検査対象面に接近することができない場合には、原子炉内の検査対象面に設けられた任意の基準構造物に水中移動装置を設置してこの装置内部の機械寸法から導出する方法、ロボットアームのような複数の駆動軸を水中移動装置に設け、これらの駆動位置を計算する方法、あるいは複数のカメラにより同一の目標をステレオ視することにより相対距離を測定する方法(社団法人 日本原子力学会「2001年秋の大会」H−48 水中目視検査用カメラのステレオ視3次元位置標定技術の開発)等を用いる必要がある。
【0006】
具体的に説明すると、従来の原子炉内検査保全方法においては、水中移動装置の位置決めを行うにあたり、この水中移動装置の位置および検査対象部分の寸法の計測を行うために多関節のアームおよびカメラが用いられる。そして、実際に水中移動装置の位置決めを行うにあたり、原子炉内の基準構造物からのアームの各軸の変位から当該アームの先端部の位置を計算し、カメラによるステレオ視により三次元の立体寸法を把握する。
【0007】
【特許文献1】特開2005−30773号公報
【特許文献2】特開2003−40194号公報
【特許文献3】特開平9−58586号公報
【特許文献4】特開平10−273095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような位置決め方法においては、多関節のアームを使用しているので位置決めシステムが大がかりなものとなり、水中移動装置の位置決めに時間がかかるという問題がある。また、アームを使用するためアクセス範囲が限定されるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、原子炉内の検査対象面に対する水中移動装置の位置決めを短時間で精度良く行うことができ、この水中移動装置の位置決め再現性を良好なものとすることができ、このことにより検査対象面に対する検査や保全を確実かつ十分に行うことができる原子炉内検査保全方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、水中移動装置を用いて原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う原子炉内検査保全方法において、
水中移動装置を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、検査対象面に対して切り欠き処理、罫書き処理、ポンチ処理または打刻処理を行うことにより検知マークを予め形成しておく工程と、
水が満たされた原子炉内で水中移動装置を移動させる工程と、
この移動の際に、水中移動装置が検査対象面に形成された検知マークを検出することにより当該水中移動装置の位置決めを行う工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉内検査保全方法である。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検査対象面上に形成された検知マークを目標として水中移動装置の位置決めを行うことができるので、検査対象面に検知マークが形成されていない場合と比較して、原子炉内の検査対象面に対する水中移動装置の位置決めを短時間で精度良く行うことができ、この水中移動装置の位置決め再現性を良好なものとすることができる。
【0011】
このような原子炉内検査保全方法においては、検知マークを予め形成しておく前記工程において、放電加工機、切削加工機、研削加工機、レーザ加工機、電解加工機、刻印機または振動ペンを用いることにより検査対象面に対して切り欠き処理、罫書き処理、ポンチ処理または打刻処理を行い、更にこれらの処理により発生する二次生成物の回収を行うことが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検知マークを予め形成するにあたり、切削加工機等により検査対象面に対して切り欠き処理等を行ったときに発生する切り粉等の二次生成物を回収することにより、原子炉の建設時のみならず稼働している原子炉の定期検査時において検知マークの形成を行うことができる。
【0012】
本発明は、水中移動装置を用いて原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う原子炉内検査保全方法において、
水中移動装置を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、検査対象面に取付部材を取り付けることにより検知マークを予め形成しておく工程と、
水が満たされた原子炉内で水中移動装置を移動させる工程と、
この移動の際に、水中移動装置が検査対象面に形成された検知マークを検出することにより当該水中移動装置の位置決めを行う工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉内検査保全方法である。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検査対象面上に取り付けられた取付部材からなる検知マークを目標として水中移動装置の位置決めを行うことができるので、検査対象面に取付部材が取り付けられていない場合と比較して、原子炉内の検査対象面に対する水中移動装置の位置決めを短時間で精度良く行うことができ、この水中移動装置の位置決め再現性を良好なものとすることができる。
【0013】
このような原子炉内検査保全方法においては、検知マークを予め形成しておく前記工程において、検知マークとして溶接ビードを形成することが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検査対象面に対する溶接ビートの施工という単純な方法によって容易に検知マークを形成することができる。
【0014】
上述の原子炉内検査保全方法においては、検知マークを予め形成しておく前記工程において、水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に当該水中移動装置が移動すべき方向に沿って直線的に延びるよう、検知マークを形成することが好ましい。
ここで、「検知マークが直線的に延びる」とは、例えば検査対象面自体が湾曲している場合には、この検査対象面を平面上に展開した展開図において当該検知マークが直線状に延びるよう、検査対象面に沿って検知マークが延びることをいう。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検知マークは直線的に延びるよう形成されるので、当該検知マークを目標とした水中移動装置の位置決めをより確実かつ精度良く行うことができる。
【0015】
このような原子炉内検査保全方法においては、直線的に延びる前記検知マークは、水中移動装置が原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う際に当該水中移動装置を案内する機能も有していることが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、水中移動装置は検知マークの延びる方向に沿って案内されるので、当該水中移動装置の位置決めをより確実かつ精度良く行うことができる。
【0016】
上述の原子炉内検査保全方法においては、検知マークを予め形成しておく前記工程の後に、検査対象面に形成された検知マークに対して表面仕上げ処理および/または残留応力低減処理を予め行う工程を更に備えたことが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、切り欠きや取付部材からなる検知マークを付与した検査対象面部分に応力腐食割れ等の損傷が発生することを抑止することができる。
【0017】
上述の原子炉内検査保全方法においては、水中移動装置に、撮像器具、超音波距離センサ、レーザ距離センサ、フェライトスコープ、超音波探傷器、渦電流探傷器および機械式接点スイッチより構成される群のうちのいずれか一つまたは複数を組合せたものからなる検出センサが設けられており、この検出センサにより検知マークを検出することが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検出センサを用いて検知マークを検出することにより、水中移動装置は検査対象面に形成された検知マークをより精度良く検出することができ、このことにより、原子炉内の検査対象面に対する水中移動装置の位置決めをより精度良く行うことができる。
【0018】
上述の原子炉内検査保全方法においては、検知マークを予め形成しておく前記工程において、水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に移動すべき方向に延びる第1の検知マーク部分と、この第1の検知マーク部分と形状および延びる方向が異なる第2の検知マーク部分とからなる検知マークを形成し、水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に、第1の検知マーク部分の延びる方向に移動する水中移動装置が第2の検知マーク部分を検出することにより、当該水中移動装置の位置決めを行うことが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、水中移動装置は第1の検知マーク部分の延びる方向に沿って移動し、しかも第2の検知マーク部分を検出することにより原子炉内の検査対象面に対する水中移動装置の位置決めを行うことができるので、当該水中移動装置の位置決めをより精度良く行うことができる。
【0019】
上述の原子炉内検査保全方法においては、前記検出センサは、水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に移動すべき方向と異なる方向に沿って並ぶよう複数設けられていることが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検出センサによる検査対象面上での検出範囲を大きくすることができ、検知マークの検出をより短時間かつ容易に行うことができるようになる。
【0020】
本発明は、水中移動装置を用いて原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う原子炉内検査保全方法において、
水中移動装置を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、検査対象面に対して切り欠き処理、罫書き処理、ポンチ処理または打刻処理を行うことにより検知マークを予め形成しておく工程と、
水が満たされた原子炉内で水中移動装置を移動させる工程と、
水中移動装置の移動の際に、当該水中移動装置とは別に設けられた撮像装置によって検査対象面に形成された検知マークを検出することにより、水中移動装置の位置決めを行う工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉内検査保全方法である。
このような原子炉内検査保全方法によれば、水中移動装置とは別に設けられた撮像装置を用いることにより、水中移動装置に位置計測手段を設ける必要がなくなり、また、とりわけ検査対象位置に対して水中移動装置を大幅に接近させる必要がある場合に、位置決め時間を短縮することができる。
【0021】
上述の原子炉内検査保全方法においては、検知マークを予め形成しておく前記工程は、原子炉の建設時に気中環境下で、または稼働している原子炉の定期検査時に水中環境下で行われることが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、原子炉の建設時に気中環境下で、または稼働している原子炉の定期検査時に水中環境下で検知マークの形成を行うことにより、この検知マークの形成作業の際に作業者が被曝することを抑止することができ、検知マークの形成作業を安全かつ容易に行うことができる。
【0022】
本発明は、検出センサを有する水中移動装置を用いて原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う原子炉内検査保全方法において、
水中移動装置を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、検査対象面に対して当該検査対象面の色とは異なる色の検知マークを予め塗装しておく工程と、
水が満たされた原子炉内で水中移動装置を移動させる工程と、
この移動の際に、水中移動装置の検出センサによって予め塗装された検知マークを検出することにより当該水中移動装置の位置決めを行う工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉内検査保全方法である。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検査対象面上に塗装された検知マークを目標として水中移動装置の位置決めを行うことができるので、検査対象面に検知マークが塗装されていない場合と比較して、原子炉内の検査対象面に対する水中移動装置の位置決めを短時間で精度良く行うことができ、この水中移動装置の位置決め再現性を良好なものとすることができる。
【0023】
本発明は、検出センサを有する水中移動装置を用いて原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う原子炉内検査保全方法において、
水中移動装置を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、検査対象面に取付部材を予め取り付け、更にこの取付部材に対して検査対象面の色とは異なる色の検知マークを予め塗装しておく工程と、
水が満たされた原子炉内で水中移動装置を移動させる工程と、
この移動の際に、水中移動装置の検出センサによって予め塗装された検知マークを検出することにより当該水中移動装置の位置決めを行う工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉内検査保全方法である。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検査対象面上に取付部材を取り付け、この取付部材に塗装された検知マークを目標として水中移動装置の位置決めを行うことができるので、検査対象面に検知マークが塗装されていない場合と比較して、原子炉内の検査対象面に対する水中移動装置の位置決めを短時間で精度良く行うことができ、この水中移動装置の位置決め再現性を良好なものとすることができる。
【0024】
上述の原子炉内検査保全方法においては、検知マークを予め塗装しておく前記工程において、水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に当該水中移動装置が移動すべき方向に沿って直線的に延びるよう、検知マークを塗装することが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検知マークは直線的に延びるよう塗装されるので、当該検知マークを目標とした水中移動装置の位置決めをより確実かつ精度良く行うことができる。
【0025】
このような原子炉内検査保全方法においては、直線的に延びる前記検知マークは、水中移動装置が原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う際に当該水中移動装置を案内する機能も有していることが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、水中移動装置は検知マークの延びる方向に沿って案内されるので、当該水中移動装置の位置決めをより確実かつ精度良く行うことができる。
【0026】
上述の原子炉内検査保全方法においては、水中移動装置の検出センサは、撮像器具、超音波距離センサ、レーザ距離センサ、フェライトスコープ、超音波探傷器、渦電流探傷器および機械式接点スイッチより構成される群のうちのいずれか一つまたは複数を組合せたものからなることが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検出センサを用いて検知マークを検出することにより、水中移動装置は検査対象面に塗布された検知マークをより精度良く検出することができ、このことにより、原子炉内の検査対象面に対する水中移動装置の位置決めをより精度良く行うことができる。
【0027】
上述の原子炉内検査保全方法においては、検知マークを予め塗布しておく前記工程において、水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に移動すべき方向に延びる第1の検知マーク部分と、この第1の検知マーク部分と形状および延びる方向が異なる第2の検知マーク部分とからなる検知マークを塗布し、水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に、第1の検知マーク部分の延びる方向に移動する水中移動装置の検出センサが第2の検知マーク部分を検出することにより、当該水中移動装置の位置決めを行うことが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、水中移動装置は第1の検知マーク部分の延びる方向に沿って移動し、しかも第2の検知マーク部分を検出することにより原子炉内の検査対象面に対する水中移動装置の位置決めを行うことができるので、当該水中移動装置の位置決めをより精度良く行うことができる。
【0028】
上述の原子炉内検査保全方法においては、検出センサは、水中移動装置が検査対象面の検査や保全を行う際に移動すべき方向と異なる方向に沿って並ぶよう複数設けられていることが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、検出センサによる検査対象面上での検出範囲を大きくすることができ、検知マークの検出をより短時間かつ容易に行うことができるようになる。
【0029】
本発明は、水中移動装置を用いて原子炉内の検査対象面の検査や保全を行う原子炉内検査保全方法において、
水中移動装置を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、検査対象面に対して当該検査対象面の色とは異なる色の検知マークを予め塗装しておく工程と、
水が満たされた原子炉内で水中移動装置を移動させる工程と、
水中移動装置の移動の際に、当該水中移動装置とは別に設けられた撮像装置によって予め塗布された検知マークを検出することにより当該水中移動装置の位置決めを行う工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉内検査保全方法である。
このような原子炉内検査保全方法によれば、水中移動装置とは別に設けられた撮像装置を用いることにより、水中移動装置に位置計測手段を設ける必要がなくなり、また、とりわけ検査対象位置に対して水中移動装置を大幅に接近させる必要がある場合に、位置決め時間を短縮することができる。
【0030】
上述の原子炉内検査保全方法においては、検知マークを予め塗布しておく前記工程は、原子炉の建設時に気中環境下で、または稼働している原子炉の定期検査時に水中環境下で行われることが好ましい。
このような原子炉内検査保全方法によれば、原子炉の建設時に気中環境下で、または稼働している原子炉の定期検査時に水中環境下で検知マークの塗装を行うことにより、この検知マークの塗装作業の際に作業者が被曝することを抑止することができ、検知マークの塗装作業を安全かつ容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の原子炉内検査保全方法によれば、水中移動装置を用いて原子炉内の検査対象面の検査や保全を行うにあたり、原子炉内の検査対象面に対する水中移動装置の位置決めを短時間で精度良く行うことができ、この水中移動装置の位置決め再現性を良好なものとすることができるので、検査対象面に対する検査や保全を確実かつ十分に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図22は、本実施の形態の原子炉内検査保全方法を示す図である。
このうち、図1は、本実施の形態の原子炉内検査保全方法の概要を説明するための斜視図であり、図2乃至図9は、炉内構造物の検査対象面に形成された凹陥部からなる検知マークを示す説明図である。また、図10乃至図14は、検査対象面に凹陥部からなる検出マークを形成するための加工機の構成を示す説明図であり、図15乃至19は、水中移動装置およびこの水中移動装置に設けられた検出センサの構成を示す説明図である。また、図20は、本実施の形態の変形例に係る、炉内構造物の検査対象面に形成された取付部材からなる検知マークを示す説明図であり、図21および図22は、図20の検知マークを検出するための検出センサの構成を示す説明図である。
【0033】
本実施の形態の原子炉内検査保全方法は、水中移動装置30(後述)を用いて原子炉の炉内構造物1の検査対象面1aの検査や保全を行う方法である。具体的には、図1に示すように、水中移動装置30を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、炉内構造物1の検査対象面1aに検知マーク3を予め形成しておき、原子炉内の検査や保全を実際に行う際に、水が満たされた原子炉内で水中移動装置30を移動させ、この移動の際に、水中移動装置30に設けられた検出センサ40により検査対象面1aに形成された検知マーク3を検出して当該水中移動装置30の位置決めを行っている。
ここで、原子炉の炉内構造物1としては例えば炉心シュラウドのような溶接構造物が検査保全対象となるが、原子炉圧力容器やステンレス製プールライニングのような他の溶接構造物を検査保全対象としてもよい。炉内構造物1等の溶接構造物を検査保全するにあたり、例えば図1に示すような溶接部2近傍に対して特に検査要求が高くなっている。また、検査により欠陥が検出された場合には水中移動装置30により補修を実施し、あるいは損傷の可能性があると判断された場合には残留応力低減などの予防保全処理を実施する。また、検査や補修等に先立ち、検査対象面の表面状態を清浄に保つため、水中移動装置30により掃除および洗浄を行う。このような、原子炉内の検査対象面1aに対して検査、補修、保全、洗浄、掃除等を行うことを本明細書では纏めて「検査や保全を行う」という。
以下、本実施の形態の原子炉内検査保全方法の各工程の詳細について説明する。
【0034】
〔検知マークの形成工程〕
まず、水中移動装置30を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、炉内構造物1の検査対象面1aに検知マーク3を予め形成しておく工程について図2乃至図14を用いて説明する。
【0035】
図2に示すように、原子炉の建設時において、炉内構造物1の製造工場にてこの炉内構造物1の検査対象面1aに対して、切り欠き処理、罫書き処理、ポンチ処理または打刻処理を行うことにより、凹陥部3aからなる検知マーク3を気中環境にて形成する。あるいは、稼働している原子炉の定期検査時において、水中環境にて凹陥部3aからなる検知マーク3を形成する場合もある。
この凹陥部3aは、図2に示すように、検査対象面1aの溶接部2近傍に、離散的に複数形成される。凹陥部3aからなる検知マークを検査対象面1aに形成するにあたり、放電加工機11、切削加工機、研削加工機18、レーザ加工機、電解加工機、刻印機29または振動ペンが用いられる。これらの各加工機については後述する。
【0036】
凹陥部3aからなる検知マーク3としては、様々な形状のものが挙げられる。例えば、図3に示すような開口部分が楕円形状となっている半球形状の凹陥部6、図4に示すような開口部分が円形となっている半球形状の凹陥部5、図5に示すような直線状の凹陥部7、図6に示すような円環状の凹陥部9、図7に示すような頂点が湾曲した略三角形状の凹陥部10または図8、9に示すような十字形状の凹陥部8が検知マーク3として炉内構造物1の溶接部2近傍における検査対象面1aに形成される。ここで、気中環境にて凹陥部3aの形成作業を行う場合は、凹陥部3aのうち半球形状の凹陥部5、6は切削加工機や研削加工機18等を用いることにより形成され、一方、凹陥部3aのうち直線状や十字形状等のような溝形状の凹陥部7、8、9、10は刻印機29や振動ペン等を用いることにより形成されるようになっている。一方、水中環境にて凹陥部3aの形成作業を行う場合は、上述の切削加工機、研削加工機18、刻印機29、振動ペンの他に放電加工機11や電解加工機が用いられる場合が多い。
【0037】
ここで、放電加工機11を用いて切り欠き処理により凹陥部3aからなる検知マーク3を形成する場合について図10および11を用いて説明する。図10は、放電加工機11の斜視図であり、図11は、図10の放電加工機11の縦断面図である。図10および図11に示すように、放電加工機11は、炉内構造物1の検査対象面1aに対して凹陥部3aを形成するよう放電加工を行う放電加工部15と、放電加工部15を密閉状態に覆うフード12とを有しており、フード12は吊りワイヤ27により上方から吊り下げられて位置決めが行われる。また、フード12の底面には吸引口16が設けられており、この吸引口16には接続ホースを介して吸引ポンプ13およびフィルタ14が接続されている。放電加工部15が検査対象面1aに対して放電加工を行うことにより切り粉等の異物(二次生成物)が検査対象面1aから脱落した場合には、この異物は吸引ポンプ13により吸引されてフィルタ14により捕捉される。このように、吸引ポンプ13およびフィルタ14は放電加工機11の二次生成物回収システム17を構成している。
【0038】
一方、研削加工機(あるいは切削加工機)18を用いて切り欠き処理により凹陥部3aからなる検知マーク3を形成する場合について図12および図13を用いて説明する。図12は、研削加工機18の斜視図であり、図13は、図12の研削加工機18の縦断面図である。図12および図13に示すように、研削加工機18は、炉内構造部1の検査対象面1aに対して凹陥部3aを形成するよう研削加工を行う加工ヘッド19と、加工ヘッド19を回転させるモータ24と、研削加工機18自体を検査対象面1aに固定させる吸着パッド22と、加工ヘッド19を図13の上下方向に駆動する駆動モータ20と、放電加工部19を密閉状態に覆うフード12とを有しており、フード12は吊りワイヤ27により上方から吊り下げられて位置決めが行われる。また、フード12の底面には吸引口16が設けられており、この吸引口16には接続ホースを介して吸引ポンプおよびフィルタからなる二次生成物回収システム(図示せず)が前述の放電加工機11の構成と同様に接続されている。加工ヘッド19が検査対象面1aに対して研削加工を行うことにより切り粉等の異物が検査対象面1aから脱落した場合には、この異物は吸引ポンプにより吸引されてフィルタにより捕捉される。
【0039】
また、刻印機29を用いてポンチ処理、罫書き処理または打刻処理により凹陥部3aからなる検知マーク3を形成する場合について図14を用いて説明する。図14は、刻印機29の斜視図である。図14に示すように、刻印機29は、炉内構造物1の検査対象面1aに対して凹陥部3aを形成するようポンチ処理、罫書き処理または打刻処理を行うシリンダピストン28と、刻印機29自体を検査対象面1aに固定させる吸着パッド22とを有している。
【0040】
以上のように、気中環境や水中環境において、検査対象面1aに対して切り欠き処理、罫書き処理、ポンチ処理または打刻処理を行うことにより凹陥部3aからなる検知マーク3を予め形成する。この際に、検査対象面1aに形成される凹陥部3aについて、応力腐食割れ等が発生しないことを予め材料試験等により確認する。凹陥部3aにおいて応力腐食割れ等の損傷の発生が事前に予測される場合には、予防保全処置を行うことができるよう、図3に示すような開口部分が楕円形状となっている半球形状の凹陥部6または図4に示すような開口部分が円形となっている半球形状の凹陥部5を検知マーク3として検査対象面1aに形成することが好ましい。
このときに、検査対象部位の絶対的な位置の情報が必要であれば、凹陥部3aは検査対象面1aの所定箇所(基準点)からの寸法が計測されて施工位置が決定される。一方、検査対象部位に対する位置決め再現性のみが必要とされる場合には、凹陥部3aについて検査対象面1aの所定箇所からの寸法計測を行う必要はない。
【0041】
ここで、炉内構造物1の構成材料が例えばオーステナイト系ステンレス鋼の場合には、このような検知マーク3の形成作業や溶接部2の溶接作業によって炉内構造物1に応力腐食割れが発生する場合がある。このため、必要に応じて、凹陥部3a表面や溶接部2近傍に対して表面仕上げ処理や残留応力低減処理等の予防保全措置を行うようになっている。ここで、残留応力低減処理としては、例えばクリーンNストリップ施工、ショートピーニング施工、ウォータジェットピーニング施工、レーザピーニング施工等が挙げられる。
【0042】
〔水中移動装置の移動工程〕
次に、水が満たされた原子炉内で水中移動装置30を移動させる工程について図15を用いて説明する。図15は、水中移動装置30の透視斜視図である。
まず、水中移動装置30の構成について図面により説明する。
【0043】
図15に示すように、水中移動装置30は、当該水中移動装置30の位置決めを行う位置決めユニット32と、この位置決めユニット32の底面に固定され、炉内構造物1の検査対象面1aに対して作業を行う作業ヘッド33とを備えている。この作業ヘッド33は、炉内構造物1の検査対象面1aに対して検査、補修、保全、清掃、洗浄等を行うようになっている。
位置決めユニット32は、例えば当該位置決めユニット32が幅方向に走行するための一対の走行車輪34、34と、各走行車輪34を駆動するモータ36と、検査対象面1aに接触して受動的に回転する一対の計測車輪35、35と、各計測車輪35に取り付けられこの計測車輪35の回転数を計測する回転計37と、水中移動装置30が検査対象面1aに対して略平行状態となるよう位置決めユニット32を支持する支持車輪38とを有している。また、この位置決めユニット32には、水中で水中移動装置30自体を検査対象面1aに対して押付ける押付け力を発生させるための一対のプロペラ39、39および各プロペラ39を回転させる回転機構(図示せず)が設けられている。
【0044】
このような構成からなる水中移動装置30の動作について以下に説明する。
水中移動装置30が炉内構造物1の検査対象面1a近傍にあるときに、この水中移動装置30の一対のプロペラ39、39が回転することにより当該水中移動装置30は検査対象面1aに押付けられることとなる。そして、一対の走行車輪34、34、一対の計測車輪35、35および支持車輪38が検査対象面1aに当接する。この状態で、モータ36が各走行車輪34を駆動してこの走行車輪34が回転することにより、水中移動装置30は例えば幅方向に移動する。この際に、検査対象面1aに当接している各計測車輪35も受動的に回転し、回転計37により計測車輪35の回転数が計測される。このことにより、水中移動装置30の検査対象面1a上における移動距離が計測される。
【0045】
〔水中移動装置の位置決め工程〕
次に、上述の移動の際に、水中移動装置30の検出センサ40により検査対象面1aに形成された凹陥部3aからなる検知マーク3を検出して水中移動装置30の位置決めを行う工程について図16乃至図19を用いて説明する。
まず、水中移動装置30の検出センサ40の構成について図16等を用いて説明する。
【0046】
検出センサ40は、例えばテレビカメラ(撮像器具)41、超音波距離センサ、レーザ距離センサ、超音波探傷器43、渦電流探傷器および機械式接点スイッチより構成される群のうちのいずれか一つまたは複数を組み合わせたものからなり、この検出センサ40は位置決めユニット32に設けられている。ここで、検出センサ40は、水中移動装置30が検査対象面1aの検査や保全を行う際に移動すべき方向と異なる方向に並ぶよう同種のものが複数設けられていることが好ましい。このことにより、検出センサ40による検査対象面1a上での検出範囲を大きくすることができ、凹陥部3aの検出をより容易に行うことができるようになる。
検出センサ40の各々の具体的な構成について以下に説明する。
【0047】
図16に示すように、位置決めユニット32の内部にテレビカメラ41およびミラー42が設けられている場合には、このミラー42には炉内構造物1の検査対象面1aに形成された凹陥部3aからなる検知マーク3が投影され、テレビカメラ41はこのミラー42に投影された検知マーク3を撮像するようになっている。このことにより、検査対象面1aに形成された検知マーク3の検出が行われ、この検出情報に基づいて各走行車輪34が駆動されたり、水中移動装置30自体の高さレベルの調整が行われたりする。このようにして水中移動装置30の位置決めが行われる。
【0048】
一方、位置決めユニット32に設けられた検出センサ40が超音波探傷器43である場合について図17を用いて説明する。図17に示すように、超音波探傷器43は位置決めユニット32の筐体の側方に取り付けられており、この超音波探傷器43の表面には複数の探触子エレメント49が積層状態で配設されている。複数の探触子エレメント49が積層状態で配設されていることにより、検査対象面1aの広い範囲で検知マーク3を検出することができ、水中移動装置30の移動方向のみならず移動方向とは異なる方向の位置を計測することも可能となる。
【0049】
また、位置決めユニット32に設けられた検出センサ40が機械式接点スイッチ44である場合について図18を用いて説明する。図18に示すように、機械式接点スイッチ44は位置決めユニット32の筐体の側方に取り付けられたボックス内に設けられている。この機械式接点スイッチ44には、前方に突出して検査対象面1aに当接する回転自在の車輪46と、この車輪46を検査対象面1a側に押し付けるための例えばバネ45からなる押付け機構51とが取り付けられている。車輪46が押付け機構51により検査対象面1aに押付けられて当該検査対象面1a上を走行する際に、凹陥部3aにこの車輪46が嵌った場合には、押付け機構51による押付け圧力が変化することが機械式接点スイッチ44により検出され、このことにより凹陥部3aからなる検出マーク3が検出される。
【0050】
図15乃至図18において、位置決めユニット32および作業ヘッド33が連結されて一体化されたものについて説明したが、図19に示すように、位置決めユニット32および作業ヘッド33が駆動機構50を介して連結されるようになっていてもよい。この駆動機構50は、図19に示すように位置決めユニット32に対して作業ヘッド33を上下方向または幅方向に自在に移動させることができるようなアーム式の構造となっており、この駆動機構50により位置決めユニット32に対する作業ヘッド33の細かな位置決めを行うことができるようになっている。
【0051】
上述のような検出センサ40を有する水中移動装置30においては、移動の際に、この検出センサ40により検査対象面1aに形成された凹陥部3aからなる検知マーク3を検出し、検知マーク3の検出信号に基づいて、当該水中移動装置30の位置決めを行う。具体的には、水中移動装置30の検査対象面1a上における移動距離および移動方向と、検知マーク3の検出信号とに基づいて、当該水中移動装置30の検査対象面1aに対する位置の確認を行い、この水中移動装置30を検査対象面1a上の所望の位置に移動させるよう各走行車輪34の駆動を行う。
【0052】
〔作用〕
以上のように本実施の形態の原子炉内検査保全方法によれば、水中移動装置30を用いて原子炉の炉内構造物1の検査対象面1aの検査や保全を行うにあたり、水中移動装置30を用いて原子炉内の検査や保全を行う前に、炉内構造物1の検査対象面1aに検知マーク3を予め形成しておき、原子炉内の検査や保全を実際に行う際に、水が満たされた原子炉内で水中移動装置30を移動させ、この移動の際に、水中移動装置30の検出センサ40により検査対象面1aに形成された検知マーク3を検出して当該水中移動装置30の位置決めを行うようになっている。このため、検査対象面1a上に形成された検知マーク3を目標として水中移動装置30の位置決めを行うことができるようになるので、検査対象面1aに検知マーク3が形成されていない場合と比較して、原子炉内の検査対象面1aに対する水中移動装置30の位置決めを短時間で精度良く行うことができ、この水中移動装置30の位置決め再現性を良好なものとすることができる。
【0053】
〔変形例〕
本実施の形態による原子炉内検査保全方法は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、検査対象面1aに対して切り欠き処理、罫書き処理、ポンチ処理または打刻処理を行うことにより凹陥部3aを形成する代わりに、図20に示すように検査対象面1aに取付部材4aを取り付けることにより検知マーク4を形成してもよい。
【0054】
具体的に説明すると、原子炉の建設時において、炉内構造物1の製造工場にてこの炉内構造物1の検査対象面1aに対して、当て板31aを気中環境にて取り付ける。あるいは、検査対象面1aに対して溶接施工を行うことにより、溶接肉盛座や溶接ビート31bを形成してもよい。この場合には、溶接後に溶接部分の形状を仕上げる加工が行われる。図20に示すように、これらの当て板31aや溶接ビート31bが検知マーク4となる。
【0055】
このような当て板31a、溶接肉盛座または溶接ビート31bは、例えば溶接部2の延びる方向に沿って所定の間隔で形成される。このときに、検査対象部位の絶対的な位置の情報が必要であれば、これらの当て板31a、溶接肉盛座または溶接ビート31bは検査対象面1aの所定箇所(基準点)からの寸法が計測されて施工位置が決定される。一方、検査対象部位に対する位置決めの再現性のみが必要とされる場合には、これらの当て板31a、溶接肉盛座または溶接ビート31bについて検査対象面1aの所定箇所からの寸法計測を行う必要はない。
【0056】
検査対象面1aに溶接肉盛座または溶接ビート31bを形成した場合には、水中移動装置30に設けられる検出センサ40として、上述のもの以外に、溶接部分におけるガンマフェライト量の計測を行うフェライトスコープ47を用いることができる(図21参照)。図21に示すように、フェライトスコープ47は位置決めユニット32の筐体の側方に取り付けられたボックス内に設けられている。このフェライトスコープ47には、当該フェライトスコープ47を検査対象面1aに対して押し出すシリンダピストン48が取り付けられている。フェライトスコープ47が溶接部分においてガンマフェライトの計測量の変化を検出することにより、検査対象面1a上の検知マーク4を検出することができる。
【0057】
本実施の形態の他の原子炉内検査保全方法としては、図22に示すように、水中移動装置30に設けられた検出センサ40により検知マーク3(4)を検出する代わりに、水中移動装置30とは別に設けられたテレビカメラ(撮像装置)52により検知マーク3(4)を検出するようになっていてもよい。
【0058】
具体的に説明すると、水中移動装置30の位置決めを行う際に、この水中移動装置30とは別に設けられたテレビカメラ52により検知マーク3(4)および水中移動装置30を撮像する。そして、撮像された画像における、検知マーク3(4)に対する水中移動装置30の相対位置に基づいて水中移動装置30が検査対象位置にあるか否かを作業者が判断し、水中移動装置30が検査対象位置にない場合にはこの水中移動装置30を所望の位置に移動させるよう操作を行う。このようにして、水中移動装置30の位置決めを行うことができる。
【0059】
第2の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。図23および図24は、本発明の第2の実施の形態による原子炉内検査保全方法を示す図である。
図23および図24に示す第2の実施の形態おいて、図1乃至図19に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
本実施の形態による原子炉内検査保全方法は、水中移動装置30の位置決めユニット32に検出センサ40が設けられている代わりに、凹陥部3aに嵌合する突起部55が水中移動装置30の位置決めユニット53の背面(検査対象面1aに対向する面)に設けられており、この突起部55が検査対象面1aの凹陥部3aに嵌合することにより水中移動装置30の位置決めを行う点が異なるのみであり、他は実質的に図1乃至図19に示す第1の実施の形態と同様の構成を有している。
【0061】
まず、炉内構造物1の検査対象面1aに検知マーク3を予め形成しておく工程において、図3に示すような開口部分が楕円形状となっている半球形状の凹陥部6または図4に示すような開口部分が円形となっている半球形状の凹陥部5を検知マーク3として炉内構造物1の検査対象面1aに形成する。
【0062】
次に、水中移動装置30の位置決めを行う工程について説明するが、本実施の形態においては、図23に示すように、水中移動装置30の位置決めユニット53の背面に、前述の凹陥部5(または6)に嵌合することができる突起部55が形成されている。また、位置決めユニット53の表面には、第1の実施の形態のプロペラ39と略同一の構成となっている一対のプロペラ54、54等が形成されている。そして、位置決めユニット53の突起部55が検査対象面1aに形成された凹陥部5(または6)に嵌合することにより、水中移動装置30の位置決めが行われる。
【0063】
本実施の形態による原子炉内検査保全方法は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、検査対象面1aに対して切り欠き処理、罫書き処理、ポンチ処理または打刻処理を行うことにより凹陥部3aを形成する代わりに、図20に示すように検査対象面1aに取付部材4aや溶接肉盛座等を取り付けることにより検知マーク4を形成してもよい。
【0064】
この場合、水中移動装置30の位置決めユニット53の背面には、突起部55が設けられる代わりに取付部材4aや溶接肉盛座等に嵌合する凹陥部(図示せず)が形成されている。そして、位置決めユニット53の凹陥部が検査対象面1aに形成された取付部材4aや溶接肉盛座等に嵌合することにより、水中移動装置30の位置決めが行われる。
【0065】
なお、本実施の形態の他の水中移動装置30としては、図24に示すように、位置決めユニット53および作業ヘッド33が駆動機構50を介して連結されるものを用いてもよい。この駆動機構50は、図24に示すように位置決めユニット53に対して作業ヘッド33を上下方向または幅方向に自在に移動させることができるようなアーム式の構造となっており、この駆動機構50により位置決めユニット53に対する作業ヘッド33の細かな位置決めを行うことができるようになっている。
【0066】
第3の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。図25乃至図32は、本発明の第3の実施の形態による原子炉内検査保全方法を示す図である。
図25乃至図32に示す第3の実施の形態おいて、図1乃至図19に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0067】
本実施の形態による原子炉内検査保全方法は、検知マーク3が、水中移動装置30が検査対象面の検査や保全を行う際に当該水中移動装置30が移動すべき方向に沿って直線的に延びるよう形成されている点が異なるのみであり、他は実質的に図1乃至図19に示す第1の実施の形態と同様の構成を有している。
【0068】
一般的に、図1に示すように炉内構造物1において溶接部2は水平方向に延びる円環状のものとなっており、水中移動装置30もこの溶接部2の延びる方向に沿って検査対象面1a上を移動するようになっている。すなわち、水中移動装置30が検査対象面1aの検査や保全を行う際に、この水中移動装置30は検査対象面1a上で水平方向に移動する場合が多い。
【0069】
本実施の形態による原子炉内検査保全方法においては、炉内構造物1の検査対象面1aに検知マーク3を予め形成しておく工程において、図25および図27に示すように、円環状の溶接部2と略平行となるような直線的に延びる凹陥部57を炉内構造物1の検査対象面1aに形成する。
すなわち、図25および図27に示すように、凹陥部57は、直線的に延びて水平方向で円環状となっており、この凹陥部57の延びる方向は、水中移動装置30が検査対象面1aの検査や保全を行う際に当該水中移動装置30が検査対象面1a上で移動すべき方向と一致する。ここで、図27に示すように凹陥部57の断面は半楕円形状となっている。
【0070】
炉内構造物1の検査対象面1aに検知マーク3を予め形成しておく工程において形成される他の構成の凹陥部58について図26および図28を用いて説明する。この凹陥部58は、凹陥部57と同様に円環状の溶接部2と平行となるよう直線的に延びているが、所定の長さ毎に形状不連続部が形成されている。具体的には、図26および図28に示すように、凹陥部58は、水平方向で直線的に延びる円環状の第1の凹陥部部分58aと、この第1の凹陥部部分58aの延びる方向において等間隔に設けられた複数の点状の第2の凹陥部部分58bとから構成されている。各々の第2の凹陥部部分58bは、図28に示すような断面において第1の凹陥部部分58aと深さは略同一であるが、上下方向の幅の大きさが第1の凹陥部部分58aと異なっている。
【0071】
凹陥部の更に他の構成としては、図29に示すようなものが挙げられる。図29に示す凹陥部59は、水平方向で直線的に延びる円環状の第1の凹陥部部分59aと、この第1の凹陥部部分59aの延びる方向において等間隔に配置され、当該第1の凹陥部部分59aと直交するよう設けられた複数の線状の第2の凹陥部部分59bとから構成されている。
【0072】
次に、水中移動装置30が検査対象面1aに沿って移動する工程について説明するが、本実施の形態においては、図30(a)に示すように、水中移動装置30の位置決めユニット56は、一対のプロペラ61、61と、一対の走行車輪60、60と、一対の計測車輪63、63と、シリンダピストン64に取り付けられ当該シリンダピストン64により検査対象面1aに向かって押圧されるような位置決め車輪62とを有するようになっている。この位置決め車輪62は、図30(b)に示すように検知マーク3の凹陥部57(58a、59a)に受け入れられ、このことにより水中移動装置30は検知マーク3の凹陥部57(58a、59a)の延びる方向に案内されることとなる。
【0073】
本実施の形態において用いられる水中移動装置30の他の構成について図31を用いて説明する。図31(a)に示すように、水中移動装置30において、一対の走行車輪60、60のうち一方の走行車輪60、一対の計測車輪63、63のうち一方の計測車輪63、および位置決め車輪62が水中移動装置30の幅方向に一直線上に並ぶよう設けられている。そして、これらの一方の走行車輪60、一方の計測車輪63および位置決め車輪62は全て、図31(b)に示すように検知マーク3の凹陥部57(58a、59a)に受け入れられ、このことにより水中移動装置30は検知マーク3の凹陥部57(58a、59a)の延びる方向に案内されることとなる。
【0074】
本実施の形態において用いられる水中移動装置30の更に他の構成について図32を用いて説明する。図32(a)に示すように、水中移動装置30において、図30および図31に示すような位置決め車輪62は設けられておらず、一対の走行車輪60、60のうち一方の走行車輪60、および計測車輪63が水中移動装置30の幅方向に一直線上に並ぶよう設けられている。そして、これらの一方の走行車輪60および計測車輪63は、図32(b)に示すように検知マーク3の凹陥部57(58a、59a)に受け入れられ、このことにより水中移動装置30は検知マーク3の凹陥部57(58a、59a)の延びる方向に案内されることとなる。
【0075】
このように、水中移動装置30が検知マーク3の凹陥部57(58a、59a)の延びる方向に沿って案内されることにより、この水中移動装置30の上下方向の位置決めを的確に行うことができる。
【0076】
また、例えば図29に示すように、凹陥部59が、水平方向に延びる第1の凹陥部部分59aと、この第1の凹陥部部分59aと形状および延びる方向が異なる第2の凹陥部部分59bとから構成されている場合は、第1の凹陥部部分59aの延びる方向に沿って水平方向に移動する水中移動装置30は、第1の凹陥部部分59aに対して垂直となるよう一定間隔で設けられた各々の第2の凹陥部部分59bを検出することにより、この検出情報に基づいて水中移動装置30の幅方向における位置決めを精度良く行うことができる。図26に示すような凹陥部58についても同様に、第1の凹陥部部分58aの延びる方向に沿って水平方向に移動する水中移動装置30は、一定間隔で設けられた点状の第2の凹陥部部分58bを検出することにより、この検出情報に基づいて水中移動装置30の幅方向における位置決めを精度良く行うことができる。
なお、第2の凹陥部部分58b、59bを検出することにより水中移動装置30の位置決めを行う場合は、検出センサ40として機械式接点スイッチ44を用いることが好ましい。
【0077】
以上のように、本実施の形態の原子炉内検査保全方法によれば、水中移動装置30が検査対象面1aの検査や保全を行う際に当該水中移動装置30が移動すべき方向に沿って直線的に延びるよう、凹陥部57(58a、59a)からなる検知マーク3を形成し、この検知マーク3は、水中移動装置30が検査対象面1aの検査や保全を行う際に当該水中移動装置30を案内するようになっているので、水中移動装置30の位置決めをより確実かつ精度良く行うことができる。
【0078】
第4の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。図33および図34は、本発明の第4の実施の形態による原子炉内検査保全方法を示す図である。
図33および図34に示す第4の実施の形態おいて、図1乃至図19に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0079】
本実施の形態による原子炉内検査保全方法は、検査対象面1aに溶接部2と平行に延びる円環状のレール67a(67b)を設け、このレール67a(67b)に沿って水中移動装置30を案内するようにした点が異なるのみであり、他は実質的に図1乃至図19に示す第1の実施の形態と同様の構成を有している。
【0080】
前述のように、炉内構造物1において溶接部2は水平方向に延びる円環状のものとなっており、水中移動装置30もこの溶接部2の延びる方向に沿って検査対象面1a上を移動するようになっている。すなわち、水中移動装置30が検査対象面1aの検査や保全を行う際に、この水中移動装置30は検査対象面1a上で水平方向に移動する場合が多い。
【0081】
本実施の形態による原子炉内検査保全方法においては、炉内構造物1の検査対象面1aに検知マーク3を予め形成しておく工程の前に、炉内構造物1の製造工場等において、図33に示すように、円環状の溶接部2と平行となるようなレール67aを炉内構造物1の検査対象面1aに溶接または削り出しにより形成する。
すなわち、図33に示すように、予め検査対象面1a上に形成されるレール67aは、直線的に延びて水平方向で円環状となっており、このレール67aの延びる方向は、水中移動装置30が検査対象面1aの検査や保全を行う際に当該水中移動装置30が検査対象面1a上で移動すべき方向と一致する。このレール67aの幅の大きさは、図17に示す位置決めユニット32の走行車輪34の幅の大きさと略同一となっている。
【0082】
炉内構造物1の検査対象面1aに検知マーク3を予め形成しておく工程の前に形成される他の構成のレール67bについて図34を用いて説明する。このレール67bは図33に示すレール67aよりも上下方向の幅が大幅に大きくなっており、このレール67bの幅の大きさは位置決めユニット69の高さと略同一となっている。
【0083】
次に、検知マーク3を形成する工程について説明する。図33(または図34)に示すように、検査対象面1a上に敷設されたレール67a(67b)上に、所定間隔で複数の凹陥部68を設けることにより検知マーク3を形成する。
【0084】
次に、水中移動装置30が検査対象面1aに沿って移動する工程について説明するが、図33に示すようなレール67aが検査対象面1aに敷設された場合には、水中移動装置30において、走行車輪34が当該レール67a上を移動するよう位置決めユニット32の設計が行われる。
【0085】
一方、図34に示すようなレール67bが検査対象面1aに敷設された場合には、水中移動装置30において、当該レール67bを上下から挟み込むような左右各一対(合計4つ)の車輪70を有する位置決めユニット69が用いられる。また、この位置決めユニット69には、当該位置決めユニット69をレール67b側に押付けるシリンダピストン(図示せず)が取り付けられている。さらに、当該位置決めユニット69には、4つの車輪70のうち下側2つの車輪70のレール67bに対する着脱を行うための一対のシリンダピストン73、73が設けられている。このシリンダピストン73、73を駆動することにより、各車輪70のレール67bに対する着脱を自在に行うことができる。
図34に示すような位置決めユニット69は、レール67b近傍に吊り下げた後、シリンダピストン73を遠隔操作により引き込んで各車輪70でレール67bを挟み込むことにより着脱を行うことできるので、とりわけ水中移動装置30の検査対象領域が、作業者の接近することができない狭隘、水中、高放射線領域である場合に有効である。
【0086】
このように、水中移動装置30は図33に示すレール67aまたは図34に示すレール67bの延びる方向に案内されることとなる。水中移動装置30がレール67a(67b)の延びる方向に沿って案内されることにより、この水中移動装置30の上下方向の位置決めを的確に行うことができる。
【0087】
次に、上述の移動の際に、水中移動装置30の検出センサ40によりレール67a(67b)上に形成された凹陥部68からなる検知マーク3を検出して水中移動装置30の位置決めを行う工程について説明する。
本実施の形態においては、例えば図34に示すように、水中移動装置30の位置決めユニット69がレール67bに沿って案内される。そして、水中移動装置30がレール67b上を移動している際に、この水中移動装置30に設けられた検出センサ40により、レール67b上に所定間隔で設けられた凹陥部68を検出し、水中移動装置30の位置決めが行われる。
【0088】
以上のように、本実施の形態の原子炉内検査保全方法によれば、水中移動装置30が検査対象面1aの検査や保全を行う際に当該水中移動装置30が移動すべき方向に沿って直線的に延びるよう、レール67a(67b)が敷設されており、検知マーク3がこのレール上67a(67b)上に設けられている。そして、このレール67a(67b)により水中移動装置30が案内されるようになっているので、水中移動装置30の位置決めをより確実かつ精度良く行うことができる。
【0089】
第5の実施の形態
以下、第5の実施の形態について説明する。この第5の実施の形態おいて、図1乃至図22に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0090】
本実施の形態による原子炉内検査保全方法は、凹陥部3aからなる検知マーク3または取付部材4aからなる検知マーク4を検査対象面1aに形成する代わりに、検査対象面1aに対して当該検査対象面1aの色とは異なる色の検知マーク(図示せず)を塗装する点が異なるのみであり、他は実質的に図1乃至図22に示す第1の実施の形態と同様の構成を有している。
【0091】
第1の実施の形態では原子炉内にある炉内構造物1がステンレス鋼となっており塗装が施されていないのに対し、本実施の形態においては、炉内構造物1は塗装された構造物となっている。
そして、この炉内構造物1の塗装の色とは異なる色により、検知マークを検査対象面1aの表面層に塗装する。
【0092】
ここで、検知マークは検査対象面1aに直接塗装されたものであってもよく、あるいは、図20に示すように、検査対象面1a上に一旦当て板31aや溶接肉盛座、溶接ビート31b等の取付部材4aを取り付け、この取付部材4aを塗装することにより検知マークを形成してもよい。
【0093】
検知マークの塗装は、原子炉の建設時にて気中環境において作業者により行われる。また、原子炉の稼働後は、この原子炉の定期検査時に一時的に水抜きを行うことができる場合は水抜き後に気中環境において作業者により行われる。水抜きを行うことができない場合は、ダイバーにより水中塗装が行われる。
【0094】
この検知マークの塗装において、検査対象部位の絶対的な位置の情報が必要であれば、当該検知マークの塗装部分は検査対象面1aの所定箇所(基準点)からの寸法が計測されて塗装位置が決定される。一方、検査対象部位に対する位置決め再現性のみが必要とされる場合には、検知マークの塗装部分について検査対象面1aの所定箇所からの寸法計測を行う必要はない。
【0095】
そして、水が満たされた原子炉内で水中移動装置30が移動する際に、この水中移動装置30の検出センサ40によって塗装された検知マークが検出され、この検出情報に基づいて水中移動装置30が所望の検査対象位置に移動するよう当該水中移動装置30の位置決めが行われる。
【0096】
以上のような原子炉内検査保全方法によれば、検査対象面1aの色とは異なる色で当該検査対象面1a上に塗布された検知マークを目標として水中移動装置30の位置決めを行うことができるので、検査対象面1aに検知マークが塗布されていない場合と比較して、原子炉内の検査対象面1aに対する水中移動装置30の位置決めを短時間で精度良く行うことができ、この水中移動装置30の位置決め再現性を良好なものとすることができる。
【0097】
第6の実施の形態
以下、第6の実施の形態について説明する。この第6の実施の形態おいて、図25乃至図32に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0098】
本実施の形態による原子炉内検査保全方法は、検査対象面1aに形成された凹陥部において当該検査対象面1aの色とは異なる色の検知マーク(図示せず)を塗装する点が異なるのみであり、他は実質的に図25乃至図32に示す第3の実施の形態と同様の構成を有している。
【0099】
第3の実施の形態では原子炉内にある炉内構造物1がステンレス鋼となっており塗装が施されていないのに対し、本実施の形態においては、炉内構造物1は塗装された構造物となっている。
【0100】
本実施の形態においては、とりわけ図26に示すような凹陥部58や図29に示すような凹陥部59について、第2の凹陥部部分58b、59bに対して検査対象面1aの塗装色とは異なる色の塗装を施して検知マークを形成する。
【0101】
そして、水が満たされた原子炉内で水中移動装置30が第1の凹陥部部分58a、59aに沿って移動する際に、この水中移動装置30の検出センサ40によって塗装された検知マークが検出され、この検出情報に基づいて水中移動装置30が所望の検査対象位置に移動するよう当該水中移動装置30の位置決めが行われる。
【0102】
第7の実施の形態
以下、第7の実施の形態について説明する。この第7の実施の形態おいて、図33および図34に示す第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0103】
本実施の形態による原子炉内検査保全方法は、検査対象面1a上に敷設されたレール67a、67b上に凹陥部68を形成する代わりに、当該検査対象面1aおよびレール67a、67bの色とは異なる色の検知マーク(図示せず)を塗装する点が異なるのみであり、他は実質的に図33および図34に示す第4の実施の形態と同様の構成を有している。
【0104】
第4の実施の形態では原子炉内にある炉内構造物1がステンレス鋼となっており塗装が施されていないのに対し、本実施の形態においては、炉内構造物1は塗装された構造物となっている。
【0105】
本実施の形態においては、とりわけ図33に示すようなレール67aや図34に示すようなレール67b上に、検査対象面1aやレール67a、67bの塗装色とは異なる色の塗装を所定間隔で施して検知マークを形成する。
【0106】
そして、水が満たされた原子炉内で水中移動装置30がレール67a、67bに案内されて移動する際に、この水中移動装置30の検出センサ40によって塗装された検知マークが検出され、この検出情報に基づいて水中移動装置30が所望の検査対象位置に移動するよう当該水中移動装置30の位置決めが行われる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1の実施の形態の原子炉内検査保全方法の概要を説明するための斜視図である。
【図2】炉内構造物の検査対象面に形成された凹陥部からなる検知マークを示す説明用斜視図である。
【図3】(a)は、図2の一の凹陥部のA−A断面図であり、(b)は、図2の凹陥部の矢印Bによる矢視図である。
【図4】(a)は、図2の他の凹陥部のE−E断面図であり、(b)は、図2の凹陥部の矢印Fによる矢視図である。
【図5】炉内構造物の検査対象面に形成された更に他の凹陥部からなる検知マークを示す説明用正面図である。
【図6】炉内構造物の検査対象面に形成された更に他の凹陥部からなる検知マークを示す説明用正面図である。
【図7】炉内構造物の検査対象面に形成された更に他の凹陥部からなる検知マークを示す説明用正面図である。
【図8】炉内構造物の検査対象面に形成された更に他の凹陥部からなる検知マークを示す説明用正面図である。
【図9】炉内構造物の検査対象面に形成された更に他の凹陥部からなる検知マークを示す説明用正面図である。
【図10】検査対象面に凹陥部からなる検出マークを形成するための放電加工機の構成を示す説明用斜視図である。
【図11】図10の放電加工機の縦断面図である。
【図12】検査対象面に凹陥部からなる検出マークを形成するための研削加工機の構成を示す説明用斜視図である。
【図13】図12の研削加工機の縦断面図である。
【図14】検査対象面に凹陥部からなる検出マークを形成するための刻印機の構成を示す説明用斜視図である。
【図15】第1の実施の形態における水中移動装置の構成を示す透視斜視図である。
【図16】図15の水中移動装置に設けられた検出センサの構成を示す縦断面図である。
【図17】第1の実施の形態における他の水中移動装置および検出センサの構成を示す斜視図である。
【図18】第1の実施の形態における更に他の水中移動装置および検出センサの構成を示す透視斜視図である。
【図19】第1の実施の形態における更に他の水中移動装置の構成を示す斜視図である。
【図20】第1の実施の形態の変形例における、炉内構造物の検査対象面に形成された凹陥部からなる検知マークを示す説明用斜視図である。
【図21】図20に示す検知マークを検出するための検出センサの構成を示す透視斜視図である。
【図22】第1の実施の形態の更に他の変形例における原子炉内検査保全方法の概要を示す斜視図である。
【図23】第2の実施の形態における水中移動装置の構成を示す斜視図である。
【図24】第2の実施の形態の変形例における水中移動装置の構成を示す斜視図である。
【図25】第3の実施の形態の原子炉内検査保全方法の概要を説明するための斜視図である。
【図26】第3の実施の形態における他の原子炉内検査保全方法の概要を説明するための斜視図である。
【図27】(a)は、図25に示す凹陥部の正面図であり、(b)は、この凹陥部の縦断面図である。
【図28】(a)は、図26に示す凹陥部の正面図であり、(b)は、この凹陥部のA´−A´矢視による縦断面図である。
【図29】第3の実施の形態における、炉内構造物の検査対象面に形成された更に他の凹陥部からなる検知マークを示す説明用正面図である。
【図30】(a)は、第3の実施の形態における水中移動装置の構成を示す正面図であり、(b)は、この水中移動装置の縦断面図である。
【図31】(a)は、第3の実施の形態における他の水中移動装置の構成を示す正面図であり、(b)は、この水中移動装置の縦断面図である。
【図32】(a)は、第3の実施の形態における更に他の水中移動装置の構成を示す正面図であり、(b)は、この水中移動装置の縦断面図である。
【図33】(a)は、第4の実施の形態の原子炉内検査保全方法の概要を説明するための斜視図であり、(b)は、(a)に示すレールのC−C矢視による縦断面図である。
【図34】(a)は、第4の実施の形態における他の原子炉内検査保全方法の概要を説明するための斜視図であり、(b)は、(a)のレールおよび水中移動装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0108】
1 炉内構造物
1a 検査対象面
2 溶接部
3 検知マーク
3a 凹陥部
4 検知マーク
4a 取付部材
5 半球形状の凹陥部
6 半球形状の凹陥部
7 直線状の凹陥部
8 十字形状の凹陥部
9 円環状の凹陥部
10 略三角形状の凹陥部
11 放電加工機
12 フード
13 吸引ポンプ
14 フィルタ
15 放電加工部
16 吸引口
17 二次生成物回収システム
18 研削加工機
19 加工ヘッド
20 駆動モータ
22 吸着パッド
24 モータ
27 吊りワイヤ
28 シリンダピストン
29 刻印機
30 水中移動装置
31a 当て板
31b 溶接ビート
32 位置決めユニット
33 作業ヘッド
34 走行車輪
35 計測車輪
36 モータ
37 回転計
38 支持車輪
39 プロペラ
40 検出センサ
41 テレビカメラ(撮像器具)
42 ミラー
43 超音波探傷器
44 機械式接点スイッチ
45 バネ
46 車輪
47 フェライトスコープ
48 シリンダピストン
49 探触子エレメント
50 駆動機構
51 押付け機構
52 テレビカメラ(撮像装置)
53 位置決めユニット
54 プロペラ
55 突起部
56 位置決めユニット
57 凹陥部
58 凹陥部
58a 第1の凹陥部部分
58b 第2の凹陥部部分
59 凹陥部
59a 第1の凹陥部部分
59b 第2の凹陥部部分
60 走行車輪
61 プロペラ
62 位置決め車輪
63 計測車輪
64 シリンダピストン
67a レール
67b レール
68 凹陥部
69 位置決めユニット
70 車輪
73 シリンダピストン




 

 


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