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原子炉出力制御方法及びその出力制御装置 - 株式会社東芝
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発明の名称 原子炉出力制御方法及びその出力制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−57249(P2007−57249A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−239847(P2005−239847)
出願日 平成17年8月22日(2005.8.22)
代理人 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久
発明者 井上 史章 / 宇田川 一幸 / 青木 俊夫
要約 課題
原子炉において、給水ポンプがトリップした場合においても、炉水位が急激に低下することを防止して原子炉緊急停止を回避することができる原子炉出力制御方法及びその出力制御装置を提供することを目的とする。

解決手段
原子炉の炉心5に冷却材を供給する再循環ポンプ4と、炉心5に挿入され原子炉の出力を制御する複数の制御棒3を炉心5に出入れ駆動する制御棒駆動装置2と、前記原子炉に給水する給水ポンプ10と、給水流量を監視する給水ポンプ監視部16と、この給水ポンプ監視部16から出力された給水ポンプ容量不足信号を受信して前記再循環ポンプ4の流量を低下させる再循環ポンプ制御装置17と、前記給水ポンプ容量不足信号を受信して前記制御棒3を炉心5に時間差をつけて挿入する制御棒挿入司令部19とを有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉の炉心に冷却材を供給する再循環ポンプと、
炉心に挿入され原子炉の出力を制御する複数の制御棒を炉心に出入れ駆動する制御棒駆動装置と、
前記原子炉に給水する給水ポンプと、
給水流量を監視する給水ポンプ監視部と、
この給水ポンプ監視部から出力された給水ポンプ容量不足信号を受信して前記再循環ポンプの流量を低下させる再循環ポンプ制御装置と、
前記給水ポンプ容量不足信号を受信して前記制御棒を炉心に時間差をつけて挿入する制御棒挿入司令部と、
を有することを特徴とする原子炉出力制御装置。
【請求項2】
前記給水ポンプは、通常状態で原子炉に給水する通常運転給水ポンプと前記通常運転給水ポンプがトリップした際に原子炉に給水する予備給水ポンプとからなり、前記給水ポンプ監視部は、前記通常運転給水ポンプがトリップしたのに前記予備給水ポンプが起動しなかった場合に給水ポンプ容量不足信号を出力する請求項1記載の原子炉出力制御装置。
【請求項3】
前記複数の制御棒を、炉心への挿入時間毎に区別された複数の制御棒グループに分け、前記複数の制御棒グループの各制御棒を炉心に挿入する時間差を算出し、制御棒グループ及び挿入時間差を前記制御棒挿入司令部に出力する多段階制御棒グループ時間差設定算出部を有する請求項1記載の原子炉出力制御装置。
【請求項4】
前記給水ポンプ監視部は、前記通常運転給水ポンプのトリップ後の予備給水ポンプの起動台数を監視し、起動台数に応じて挿入する制御棒の数を決定する請求項2記載の原子炉出力制御装置。
【請求項5】
前記多段階制御棒グループ時間差設定算出部は、ランバック直前の炉出力とランバックによる出力低下量と制御棒の挿入による出力低下量とを用いて、挿入する制御棒の数と前記制御棒を挿入する時間差とを求める請求項3記載の原子炉出力制御装置。
【請求項6】
原子炉の炉心に給水する給水ポンプがトリップした際に、炉心に冷却材を供給する再循環ポンプの流量を低下させるとともに、原子炉の出力を制御する複数の制御棒を炉心に時間差をつけて挿入することにより原子炉の出力を低下させることを特徴とする原子炉出力制御方法。
【請求項7】
給水ポンプを、通常状態で炉心に給水する通常運転給水ポンプと前記通常運転給水ポンプがトリップした際に炉心に給水する予備給水ポンプとから構成し、通常運転給水ポンプがトリップしたのにも関わらず予備給水ポンプが動作しなかった際に、再循環ポンプ流量を低下させるとともに複数の制御棒を炉心に順に時間差をつけて挿入することにより原子炉の出力を低下させる請求項6記載の原子炉出力制御方法。
【請求項8】
ランバック直前の炉出力とランバックによる出力低下量と制御棒の挿入による出力低下量とを用いて、複数の制御棒を炉心への挿入時間毎に区別された複数の制御棒グループに分け前記制御棒グループの挿入タイミングの時間差を設定する請求項7記載の原子炉出力制御方法。
【請求項9】
トリップの要因となる給水ポンプ給油圧力等のパラメータが予め設定した設定値を超えた場合に警報を発して運転員に制御棒の挿入を促し、運転員は、手動制御による制御棒の炉心への挿入及び引抜を行う請求項6〜8のいずれか記載の原子炉出力制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉において給水ポンプがトリップした際に原子炉出力を制御する出力制御方法及びその出力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来原子炉において給水ポンプがトリップした時には、再循環ポンプのポンプ速度を最低速度にランバックさせて炉出力を下げていた。この際、給水流量が不足すると原子炉水位が低下するため原子炉緊急停止に至ってしまうことがあった。
【0003】
そのため、再循環ポンプのランバックに加えて炉心に制御棒を挿入することにより原子炉の出力を下げて、給水流量不足を解消する方法が提案されてきた(例えば特許文献1及び2等)。
【0004】
しかし、上記再循環ポンプのランバックに加えて炉心に制御棒を挿入する方法では、選御棒が炉心へ挿入される時に出力が急激に低下するためボイドが急激につぶれ、出力が急激に上がるため炉水位が急激に低下して原子炉緊急停止に至る恐れがあるという問題があった。
【特許文献1】特許第3011451号公報
【特許文献2】特開平2−244000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を鑑みなされたもので、原子炉において、給水ポンプがトリップした場合においても、炉水位が急激に低下することを防止して原子炉緊急停止を回避することができる原子炉出力制御方法及びその出力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明では、原子炉の炉心に冷却材を供給する再循環ポンプと、炉心に挿入され原子炉の出力を制御する複数の制御棒を炉心に出入れ駆動する制御棒駆動装置と、前記原子炉に給水する給水ポンプと、給水流量を監視する給水ポンプ監視部と、この給水ポンプ監視部から出力された給水ポンプ容量不足信号を受信して前記再循環ポンプの流量を低下させる再循環ポンプ制御装置と、前記給水ポンプ容量不足信号を受信して前記制御棒を炉心に時間差をつけて挿入する制御棒挿入司令部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項6に係る発明では、原子炉の炉心に給水する給水ポンプがトリップした際に、炉心に冷却材を供給する再循環ポンプの流量を低下させるとともに、原子炉の出力を制御する複数の制御棒を炉心に時間差をつけて挿入することにより原子炉の出力を低下させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
原子炉において給水ポンプがトリップした場合に、炉水位低による原子炉緊急停止を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図8に基づいて説明する。
【0010】
本発明の第1実施形態における原子炉出力制御装置1は、原子炉の炉出力や炉心の給水流量等を監視し制御する装置である。原子炉出力制御装置1の構成図である図1に示すように、原子炉出力制御装置1は、炉心5を収容して蒸気を作り出す原子炉圧力容器11を備える。また、原子炉出力制御装置1は、炉心5に挿入され原子炉の出力を制御する制御棒3を駆動する制御棒駆動装置2と、炉心5に冷却材を供給する再循環ポンプ4と、炉出力に応じて発生する蒸気の流れを調整する蒸気加減弁6と、蒸気の圧力を回転エネルギーに変換する蒸気タービン7と、回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機8と、蒸気を等圧冷却して水に戻す復水器9と、復水器9で得られた復水を炉心5に給水する給水ポンプ系10とを備えている。
【0011】
給水ポンプ系10は、通常状態で炉心5に給水する通常運転給水ポンプ12、13、及び通常運転給水ポンプ12、13がトリップした際に炉心5に給水する予備給水ポンプ14、15で構成される。なお第1実施形態では、2台の通常運転給水ポンプ12、13と2台の予備給水ポンプ14、15とを備えているが、台数は状況に応じて適宜決定される。
【0012】
上記構成により、原子炉圧力容器11内で炉出力に応じて発生する蒸気を、蒸気加減弁6の開度を調節して蒸気タービン7に供給し、発電機8にて電気エネルギーに変換する。そして、復水器9にて蒸気タービン7を通過した蒸気は復水となり、復水は給水ポンプ系10にて原子炉圧力容器11内に給水として供給される。
【0013】
さらに、原子炉出力制御装置1は、給水ポンプ監視部16と、再循環ポンプ制御部17と、多段階制御棒グループ時間差設定算出部18と、制御棒挿入司令部19とを備えている。
【0014】
給水ポンプ監視部16は、給水ポンプ系10から給水ポンプ系10の運転状態を表すプロセス量情報cを受信し、通常運転給水ポンプ12、13のうち1台がトリップした際に予備給水ポンプ14、15が共に起動しなかった場合は、再循環ポンプ制御部17及び制御棒挿入司令部19に給水ポンプ容量不足信号dを出力する。
【0015】
再循環ポンプ制御部17は、給水ポンプ監視部16からその給水ポンプ容量不足信号dを受け取ると、再循環ポンプ4にランバック指令信号bを出力し、再循環ポンプ4に予め設定してある速度まで給水速度を低下させるシステムを有する(このシステムをランバックインターロックシステムと言う)。
【0016】
多段階制御棒グループ時間差設定算出部18は、炉心流量や炉出力等のプロセス量eを受信する。通常運転給水ポンプ12、13のうちの1台がトリップする直前の炉心流量と炉出力と炉心制御特性図から、予備給水ポンプ14が2台とも起動しなかった場合のランバックだけでは不足する給水容量不足分を補償するのに必要な出力低下量を算出する。複数の制御棒3を挿入時間毎に区別された複数の制御棒グループに分けるとともに、各々の制御棒グループが時間差をつけて炉心に挿入された場合に、最終的に必要出力低下量分だけ炉出力を低下させて原子炉水位低に至らない制御棒グループの挿入時間差を算出する。そして、制御棒挿入指令部19にその多段階制御棒挿入グループ情報f及び多段階挿入時間差情報gとを出力する。
【0017】
なお、多段階制御棒挿入グループと多段階挿入時間差とは、オフラインで算出しておき運転員がその時の運転点に応じて制御棒挿入司令部19に手動で設定しても、オンラインで制御棒挿入司令部19に逐次自動設定されてもよい。
【0018】
制御棒挿入指令部19は、給水ポンプ容量不足信号dと、各制御棒の多段階制御棒挿入グループ情報fと多段階挿入時間差情報gとを受信し、各制御棒駆動装置2に制御棒挿入指令信号aを出力して炉心5に制御棒3を挿入させる。
【0019】
ここで、一般的な沸騰水型原子炉では、炉出力を制御する手段として、制御棒3の炉心5への出し入れを調整する方法と再循環ポンプ4の再循環流量を調整する方法とが用いられる。すなわち、制御棒駆動装置2により炉心5内の制御棒3の位置を変えたり再循環ポンプ4の再循環流量を調整して炉心流量を変えたりすることで、炉心5で発生する熱量(炉出力)が制御される。
【0020】
原子炉出力制御装置1による炉出力の制御特性は、図2に示すような特性を有している。すなわち、再循環ポンプ4の速度を一定に保ちながら制御棒3を引抜くと、上昇曲線21a、21bに従って出力が上昇し(ポンプ速度は、上昇曲線21bの方が上昇曲線21aよりも高い)、また、制御棒3の位置を一定にしつつ再循環ポンプ4の速度を上げて炉心流量を増加させると、傾斜曲線22a、22bのように出力が上昇する。
【0021】
まず、再循環ポンプ4の速度を変える方法について説明する。沸騰水型原子炉の給水ポンプ系10が故障やトリップに至り、所要の給水流量が得られない状態に陥った場合に、炉出力を最大給水可能流量に相当する出力より小さくするために、再循環ポンプ4のポンプ速度を予め設定した速度(通常最低速度)に急速に低下させる。
【0022】
例えば、図3に示すように、通常運転時50%定格給水流量で、1台運転時の最大給水可能流量が例えば68%定格流量の給水ポンプが2台設置されている場合、1台がトリップし予備の25%容量給水ポンプの起動に失敗した場合には、再循環ポンプ速度を最低速度に急速に低下させ、炉出力が68%未満になるようにしている。
【0023】
この方法では、再循環流量を変えるだけで原子炉の出力を変えられるので、前者の制御棒3を用いて炉出力を変える方法に比べて、迅速な出力変更が可能なことが特色である。
【0024】
次に、制御棒3の炉心5内での位置を変える方法について説明する。沸騰水型原子炉では、低炉心流量/高炉出力にするほど炉心5の熱水力安定性が悪くなる性質がある。そこで、より確実な熱水力安定性を有する運転を行なう為、図4に示すように、炉心安定性制限ライン24a−24bを設け、炉心安定性制限ライン24a−24bの左上の領域での運転を制限する為に選択制御棒挿入システムを設けるようにしている。運転中の再循環ポンプ4が停止し炉心流量が低下するにも関わらず、炉出力が十分低下しない場合は、この炉心安定性制限ラインを24a−24b超える場合が考えられるが、選択制御棒挿入設定ライン23a−23b−23cを設け、炉心流量と炉出力がこの設定ラインに達した場合には、必ず安定性制限ライン24a−24bの右下(高炉心流量/低炉出力)の状態で安全性を確保して運転するために、予め選択しておいた制御棒3を水圧駆動にて全挿入し炉出力を低下させるようにしている。
【0025】
また、電力系統全体の電力量を増加させるために、各原子炉の定格発電容量を増加させる方法もある。この場合、図5に示すように、ランバックインターロックが働いた後の炉出力も増加する。
【0026】
本発明の第1実施形態では、再循環ポンプ制御部17において、再循環ポンプ4のポンプ速度を低下させるとともに、制御棒挿入司令部19において、複数の制御棒3を炉心5に順に時間差をつけて挿入することにより、原子炉の出力を低下させて炉水位低による原子炉緊急停止を回避する。
【0027】
図6に示すように、制御棒挿入指令部19は、給水ポンプ容量不足信号dと、各制御棒3の多段階制御棒挿入グループ情報fと多段階制御棒挿入グループ情報fに対応する多段階挿入時間差情報gとを入力し、各制御棒駆動装置2に制御棒挿入指令信号aを出力して制御棒3を挿入させる。第1実施形態では、3つの制御棒グループを設定できる構成の場合を示すが、設定グループ数は状況に応じて適宜決定される。
【0028】
制御棒挿入指令部19は、制御棒3一本毎に制御棒個別挿入指令部30を有し、各制御棒個別挿入指令部30はAND回路31、32、33、タイマ34、35、OR回路36を有している。
【0029】
AND回路31は給水ポンプ容量不足信号d及び多段階制御棒グループA信号hfを入力し、これらの信号が共に論理「1」の時に論理「1」を出力する。この論理「1」はOR回路36に入力される。
【0030】
AND回路32は給水ポンプ容量不足信号d及び多段階制御棒グループB信号ifを入力し、これらの信号が共に論理「1」の時に論理「1」を出力する。この論理「1」はOR回路36に入力される。但し、タイマ34の働きにより多段階制御棒グループAの時間差情報igの時間遅れの後においてもAND回路32が論理「1」を出力している場合に、この時間遅れの後、論理「1」がOR回路36に伝えられる。
【0031】
AND回路33は給水ポンプ容量不足信号及び多段階制御棒グループC信号jfを入力し、これらの信号が共に論理「1」の時に論理「1」を出力する。この論理「1」はOR回路36に入力される。但し、タイマ35の働きにより多段階制御棒グループBの時間差情報jgの時間遅れの後においてもAND回路33が論理「1」を出力している場合に、この時間遅れの後、論理「1」がOR回路36に伝えられる。
【0032】
OR回路36はAND回路31が論理「1」を出力した時、もしくはAND回路32が論理「1」を出力した時、もしくはAND回路33が論理「1」を出力した時に論理「1」を出力し、すなわち対応する制御棒駆動装置2に制御棒挿入指令信号aを出力して制御棒3を挿入させる。
【0033】
つまり、多段階制御棒グループAが設定されている複数の制御棒3は、給水ポン容量不足信号dを受信すると即挿入され、多段階制御棒グループBが設定されている複数の制御棒3は多段階制御棒グループAに設定された制御棒3が挿入されたあとに時間差をもって挿入され、多段階制御棒グループCが設定された複数の制御棒3はさらに時間差をもって挿入される。全ての多段階制御棒グループが挿入されると、1台の通常運転給水ポンプ12(または13)での最大給水流量に相当する出力未満となるまで出力は低下することとなる。
【0034】
ところで、炉心5の熱水力安定性確保を目的とした選択制御棒挿入装置を既に有する原子炉であれば、その選択制御棒挿入装置に本インターロックは簡単に追加できる為、改造コストを抑えることができる。なお、選択制御棒挿入装置とは、予め選んでおいた制御棒3を複数緊急挿入する装置である。
【0035】
第1実施形態において効果的な特性を示す場合として、図7に示す制御特性図における初期運転点で運転中に通常運転給水ポンプ12(または13)がトリップした場合の作用を説明する。
【0036】
通常運転給水ポンプ12(または13)がトリップしたのに予備給水ポンプ14、15が2台とも起動しなかった場合、給水ポンプ系10の運転状態を監視している給水ポンプ監視部16は、給水ポンプ容量不足信号dを再循環ポンプ制御部17及び制御棒挿入指令部19へ出力する。給水ポンプ容量不足信号dを受信した再循環ポンプ制御部17は、再循環ポンプ4をランバックさせ、炉出力を低下させる。
【0037】
また、給水ポンプ容量不足信号dを受信した制御棒挿入指令部19は、多段階制御棒グループAに設定されている複数の制御棒3を、給水ポンプ容量不足信号が成立すると同時に炉心に挿入し出力が低下する。さらに、多段階制御棒グループBが設定されている複数の制御棒3は多段階制御棒グループAが設定された制御棒3が挿入された後、時間差を持って挿入され出力が低下する。そして、多段階制御棒グループCが設定されている複数の制御棒3は、多段階制御棒グループBが設定された制御棒3が挿入された後、時間差を持って挿入され出力が低下する。
【0038】
ランバック及び多段階制御棒挿入時の運転点の軌跡を表した制御特性図を図8に示す。図8(a)は、第1実施形態を実施した際の炉水位と炉出力と給水流量と主蒸気流量の挙動を示している。
【0039】
ランバックによる炉心流量の低下で初期運転点は低炉心流量側に移動を始める一方、炉心流量の低下により炉出力も低下する為、運転点は低出力側へ移動する。また、ランバックによる炉心流量と炉出力低下に相俟って、制御棒3が段階的に挿入される為、段階的な炉出力低下が加わり図8に示す軌跡で運転点が移動する。多段階制御棒グループ時間差設定算出部18により、最終的な出力が給水ポンプ系10の1台の最大給水流量に相当する出力未満に整定されるよう、制御棒3の挿入数である多段階制御棒グループA〜Cが設定されるため、図8中のランバック及び多段階制御棒挿入後の運転点にて整定する。
【0040】
ところで、制御棒3が挿入されると炉出力が低下する為、炉心で生成されるボイドの割合が低下し、炉水位が低下する性質がある。多段階制御棒グループ時間差設定算出部18で設定される多段階制御棒グループ及び多段階挿入時間差は、急激な炉出力低下で炉水位が急低下し炉水位低による原子炉緊急停止に至らないようシミュレーションされて算出される。そして、予め原子炉解析モデルにてシミュレーションされた時間差をもって制御棒3を複数本ずつ多段階で挿入し、1台の給水ポンプ系10の最大給水流量に相当する出力未満にまで炉出力を低下させるため、炉出力を低下させるのに必要な制御棒3を一斉に挿入する従来の手法に比べて、炉出力は緩やかに低下する。急激な炉出力低下は炉水位も急激に低下させることを留意し提案された第1実施形態による方法であれば、炉水位の低下は緩やかになるとともに、給水流量の制御性も良くなるため、その点からも炉水位低下は抑制される。よって、炉水位は炉水位低設定到達による原子炉緊急停止に至ることなく運転継続される。
【0041】
これに対し、従来手法のように制御棒3を一斉に挿入した場合の炉水位と炉出力と給水流量と主蒸気流量の挙動を図8(b)に示している。図8(b)に示すように制御棒3を炉心5に一斉挿入させると、図8(a)に示すように複数本ずつの制御棒3を段階的に炉心5に挿入させた場合に比べて、水位変動が大きいことがわかる。
【0042】
図8(b)では、炉水位低による原子炉緊急停止を解除した場合の挙動を示しているが、原子炉緊急停止を動作させる炉水位低に至る可能性が高いことがわかる。
【0043】
第1実施形態によると、原子炉の給水ポンプがトリップし且つ予備給水ポンプが起動失敗した場合に、炉水位低による原子炉緊急停止を回避することが可能となる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態を図9及び図10に基づいて説明する。
【0045】
図9に示すように、第2実施形態の原子炉出力制御装置1Aは、制御棒3の挿入グループ数を判定する制御棒挿入グループ数判定部48を有する点が第1実施形態に示された原子炉出力制御装置1と異なり、他の構成及び作用は第1実施形態に示された原子炉出力制御装置1と同様なので、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0046】
制御棒挿入グループ数判定部48は、予備給水ポンプ14、15のうちの1台が起動した場合において必要となる制御棒挿入による炉出力低下量に対し、最低限必要な制御棒挿入グループ数を算出する。そして、制御棒挿入司令部16にワイプアウト信号lを出力して、不要な制御棒グループには制御棒挿入指令をワイプアウトするロジックをランバックインターロックに追加する。
【0047】
制御棒3一本毎に制御棒個別挿入指令部40を有し、各制御棒個別挿入指令部40はAND回路41、42、43、タイマ44、45、OR回路46、ワイプアウト処理部47を有している。
【0048】
AND回路41は給水ポンプ容量不足信号d及び多段階制御棒グループA信号hfを入力し、これらの信号が共に論理「1」の時に論理「1」を出力する。この論理「1」はOR回路46に入力される。
【0049】
AND回路42は給水ポンプ容量不足信号d及び多段階制御棒グループB信号ifを入力し、これらの信号が共に論理「1」の時に論理「1」を出力する。この論理「1」はOR回路46に入力される。但し、タイマ44の働きにより多段階制御棒グループAの時間差情報hgの時間遅れの後においてもAND回路42が論理「1」を出力している場合に、この時間遅れの後、論理「1」がOR回路46に伝えられる。
【0050】
AND回路43は給水ポンプ容量不足信号d及び多段階制御棒グループC信号jfを入力し、これらの信号が共に論理「1」の時に論理「1」を出力する。この論理「1」はOR回路46に入力される。但し、タイマ45の働きにより多段階制御棒グループBの時間差情報igの時間遅れの後においてもAND回路43が論理「1」を出力している場合に、この時間遅れの後、論理「1」がOR回路46に伝えられる。また、ワイプアウト処理部(W.O.)47の働きにより、ワイプアウト処理部47の入力信号であるワイプアウト信号lが論理「1」の時には、ワイプアウト処理部(W.O.)は強制的に論理「0」を出力する。ワイプアウト処理部77の入力信号である1台のワイプアウト信号lの時には、ワイプアウト処理部47は、入力信号と同じ論理を出力する。
【0051】
OR回路46はAND回路41が論理「1」を出力した時、もしくはAND回路42が論理「1」を出力した時、もしくはAND回路43が論理「1」を出力した時に論理「1」を出力し制御棒3を挿入させる。
【0052】
通常運転給水ポンプ12(または13)がトリップし予備給水ポンプ14、15が1台のみ起動した場合、各給水ポンプの運転状態を監視している給水ポンプ監視部16は、給水ポンプ容量不足信号dを再循環ポンプ制御部17及び制御棒挿入グループ数判定部48へ出力する。また給水ポンプ監視部16は給水ポンプ1台起動信号kを制御棒挿入グループ数判定部48へ出力する。
【0053】
給水ポンプ容量不足信号が成立すると再循環ポンプ制御部17は再循環ポンプ4をランバックさせるため、炉出力は低下を始める。
【0054】
また、制御棒挿入指令部19は給水ポンプ容量不足信号dを受信すると、多段階制御棒グループAに設定されている複数の制御棒3が炉心に挿入され出力が低下する。また、多段階制御棒グループBが設定されている複数の制御棒3は多段階制御棒グループAに設定された制御棒5が挿入された後、時間差を持って挿入され出力が低下する。但し、給水ポンプ1台起動信号が成立している為、多段階制御棒グループCが設定されている多段階制御棒グループの制御棒3は挿入されない。
【0055】
第2実施形態の場合、予備給水ポンプが1台起動していることから1台の通常運転給水ポンプ12(または13)と1台の予備給水ポンプ14(または15)での給水可能最大流量に相当する炉出力も高くなる。したがって、給水容量不足を解消するのに必用な炉出力低下量は、予備給水ポンプ14、15が2台とも起動しなかった場合に比べ少なくて済むため、不要な制御棒3の挿入を行なわないよう、挿入する多段階制御棒グループを途中で減らしている。
【0056】
第2実施形態では、3つの多段階制御棒グループを設定できる構成の場合で、1台の予備給水ポンプ14(または15)起動時には、多段階棒制御棒挿入グループA及びBのみを挿入する場合を示すが、設定される多段階制御棒グループ数は3つでない場合もあり、また、多段階棒制御棒挿入グループA及びBのみでない場合もある。
【0057】
第2実施形態によると、通常運転給水ポンプ12(または13)がトリップし且つ予備給水ポンプ14、15のうちの1台が起動した場合において、起動した予備給水ポンプ14(または15)の台数に応じ時間差で挿入する多段階制御棒グループ数を可変とすることで、不要な制御棒3の挿入による出力低下を回避しつつ炉水位低による原子炉緊急停止を回避することができる。
【0058】
次に、本発明の第3実施形態を図11及び図12に基づいて説明する。図11に第3実施形態の原子炉出力制御装置1Bの構成を示す。原子炉出力制御装置1Bは、第1実施形態に示された制御棒挿入司令部19の代わりに制御棒位置手動制御装置52を有し、第1実施形態に示された多段階制御棒グループ時間差設定算出部18の代わりにタービン駆動給水ポンプ異常監視部51を有する点が、第1実施形態に示された原子炉出力制御装置1と異なる。他の構成及び作用は第1実施形態に示された原子炉出力制御装置1と同様なので、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0059】
制御棒位置手動制御装置52は、挿入スイッチと引抜きスイッチを備え、挿入スイッチを押すと制御棒3は微小距離である1ステップ挿入され、引抜きスイッチを押すと制御棒3は1ステップ引抜くよう制御棒3の位置を制御する。
【0060】
タービン駆動給水ポンプ異常監視部51は、タービン駆動給水ポンプの異常監視手段を備え、タービン駆動給水ポンプの運転継続に支障をきたす恐れのあるパラメータを監視し、パラメータ値が予め設定した警報設定値に到達した場合は警報を発し、さらにパラメータが変動し予め設定したトリップ設定値に到達した場合には通常運転給水ポンプ12(または13)をトリップさせる。
【0061】
監視するパラメータとしては、給水ポンプ軸受部の給油圧力や給水タービン排気室圧力等があるが、この他にも蒸気タービン7の運転継続不能をまねくパラメータの変動を監視する場合もある。
【0062】
一般的な沸騰水型原子炉は、上述の給水ポンプ監視部16や再循環ポンプ制御部17、制御棒位置手動制御装置52、タービン駆動給水ポンプ異常監視部51を既に備えている。
【0063】
給水ポンプトリップの前兆の一つである給水ポンプ軸受部給油圧が低下を始め、予め設定された警報設定値に到達すると、タービン駆動給水ポンプ異常監視部51は警報を発する。運転員は警報が発報されたことを確認すると、給水ポンプがトリップする可能性のあることを検知し、制御棒位置手動制御装置52により手動制御で制御棒3を挿入し、炉出力を増出力前の定格出力まで低下させる。
【0064】
この時の制御特性図上の運転点の軌跡を図12に示す。図12において、警報発報後の制御棒3の手動制御挿入により、初期運転点から運転点aに移動する。その後、給水ポンプ軸受部給油圧がさらに低下し、給水ポンプトリップ設定値まで到達すると通常運転給水ポンプ12(または13)はトリップする。通常運転給水ポンプ12(または13)がトリップし、予備給水ポンプ14、15が起動しなかった場合、再循環ポンプ制御部17は再循環ポンプ4をランバックさせるが、炉出力が増出力前の定格出力からランバックするので出力は十分低下し、1台の給水ポンプ系10の最大給水流量に相当する出力未満まで低下するので給水流量が不足することがなく、炉水位低による原子炉緊急停止を回避することができる。なお、図12の制御特性図上は、運転点aから運転点bに移動する。
【0065】
以上のように、原子炉において、一般的な沸騰水型原子力発電所が備える装置に、新たな設備導入や改造を行なうことなく、通常運転給水ポンプ12(または13)がトリップし且つ予備給水ポンプ14、15の起動に失敗した場合においても、炉水位低による原子炉緊急停止を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の原子炉出力制御装置に係る第1実施形態の構成図。
【図2】炉心流量と制御棒挿入による炉出力の制御特性図。
【図3】原子炉におけるランバック後の運転点の軌跡を示す図。
【図4】制御特性図における炉心安定性制限領域を示す図。
【図5】炉出力によるランバック後炉出力の違いを示す制御特性図。
【図6】第1実施形態に示された原子炉出力制御におけるインターロックを示す図。
【図7】第1実施形態に示された原子炉出力制御における制御特性図上の軌跡を示す図。
【図8】(a)は従来手法に係わる原子炉の挙動を示す図、(b)は本発明の第1実施形態に係る原子炉の挙動を示す図。
【図9】本発明に係る原子炉出力制御装置の第2実施形態の構成図。
【図10】第2実施形態に示された原子炉出力制御におけるインターロックを示す図。
【図11】本発明に係る原子炉出力制御装置の第3実施形態の構成図。
【図12】第3実施形態に示された原子炉出力制御における制御特性図上の軌跡を示す図。
【符号の説明】
【0067】
1 原子炉出力制御装置
2 制御棒駆動装置
3 制御棒
4 再循環ポンプ
5 炉心
6 蒸気加減弁
7 蒸気タービン
8 発電機
9 復水器
10 給水ポンプ
11 原子炉圧力容器
12、13 通常運転給水ポンプ
14、15 予備給水ポンプ
16 給水ポンプ監視部
17 再循環ポンプ制御部
18 多段階制御棒グループ時間差設定算出部
19 制御棒挿入司令部
21a、21b 上昇曲線
22a、22b 傾斜曲線
30 制御棒個別挿入指令部
31、32、33、41、42、43 AND回路
34、35、44、45 タイマ
36、46 OR回路
40 制御棒個別挿入指令部
47 ワイプアウト処理部
48 制御棒挿入グループ数判定部
51 タービン駆動給水ポンプ異常監視部
52 制御棒位置手動制御装置




 

 


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