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発明の名称 自然循環型沸騰水型原子炉
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−47090(P2007−47090A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−233750(P2005−233750)
出願日 平成17年8月11日(2005.8.11)
代理人 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久
発明者 安部 信明 / 武内 豊 / 瀧川 幸夫 / 中丸 幹英
要約 課題
気液二相流の領域を短くして分割チムニ内の輸送遅れを解消し、安定性を改善させた自然循環型沸騰水型原子炉を提供する。

解決手段
本発明に係る自然循環型沸騰水型原子炉10は、炉心上部に複数の分割チムニ15を備え、炉心14に多数の燃料集合体13を装荷したものである。自然循環型沸騰水型原子炉10は、炉心14出口の分割チムニ15の角筒状格子板に分割チムニ部を均圧にする構造を設け、この均圧化構造により、分割チムニ15部を均圧化させたものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
炉心上部に複数の分割チムニを備え、上記炉心に多数の燃料集合体を装荷した自然循環型沸騰水型原子炉において、前記炉心出口の分割チムニの角筒状格子板に分割チムニ部を均圧にする構造を設け、この均圧化構造により、前記分割チムニ部を均圧化させたことを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉。
【請求項2】
前記均圧化構造は、前記分割チムニの格子板の板面に1個以上の連絡孔を設けて構成し、上記分割チムニの連絡孔により分割チムニ部を均圧化させた請求項1記載の自然循環型沸騰水型原子炉。
【請求項3】
前記均圧化構造は、前記分割チムニの格子板の板面にスリットを設けて構成し、上記分割チムニのスリットにより分割チムニ部を均圧化させた請求項1記載の自然循環型沸騰水型原子炉。
【請求項4】
前記均圧化構造は、分割チムニの格子板の板面に連絡孔もしくはスリットをそれぞれ複数設けて構成し、上記分割チムニの連絡孔もしくはスリットにより分割チムニ部を均圧化させた請求項1記載の自然循環型沸騰水型原子炉。
【請求項5】
前記均圧化構造は、燃料チャンネル出口を分割チムニの格子板との間に隙間を設けて構成し、この隙間により燃料チャンネル出口において前記燃料集合体間を均圧化させた請求項1記載の自然循環型沸騰水型原子炉。
【請求項6】
前記炉心上部に設けられる複数の分割チムニは、最外周領域に配置される各分割チムニに1個以上の連絡孔またはスリットを形成し、残りの領域に配置される各分割チムニにも1個以上の連絡孔またはスリットを形成し、最外周領域配置の各分割チムニの連絡孔またはスリットを、残りの分割チムニの連絡孔またはスリットより大きく構成し、チャンネル流量が少なくかつ炉出力が大きくなる周辺部の燃料集合体の間を均圧化させた請求項1記載の自然循環型沸騰水型原子炉。
【請求項7】
炉心上部に複数の分割チムニを備え、上記炉心に多数の燃料集合体を装荷した自然循環型沸騰水型原子炉において、
前記分割チムニの領域をチムニ高さ方向に複数に分け、
上部分割チムニ群の角筒状格子板を下部分割チムニ群の角筒状格子板より大きな横断面積を有するように構成し、
前記分割チムニの高さ方向中間部で前記燃料集合体の間の圧力を均一化させたことを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉。
【請求項8】
前記上部分割チムニの角筒状格子板の横断面積を複数の下部分割チムニの角筒状格子板の横断面積とほぼ等しく構成した請求項8記載の自然循環型沸騰水型原子炉。
【請求項9】
炉心上部に複数の分割チムニを備え、上記炉心に多数の燃料集合体を装荷した自然循環型沸騰水型原子炉において、
前記分割チムニの領域をチムニ高さ方向に複数に分け、
上部分割チムニ群の角筒状格子板の中心位置を下部分割チムニ群の角筒状格子板の中心位置から横方向にシフトさせ、
前記分割チムニの高さ方向中間部で燃料集合体の間を均圧化させたことを特徴とする自然循環型沸騰水型原子炉。
【請求項10】
前記上部分割チムニ群の各分割チムニは、下部分割チムニ群の各分割チムニに対し、この分割チムニの幅方向寸法の範囲内で横方向にシフトさせた請求項1記載の自然循環型沸騰水型原子炉。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な自然循環特性を確保し、安全性を向上させた自然循環型沸騰水型原子炉に関する。
【背景技術】
【0002】
自然循環型沸騰水型原子炉(以下、自然循環型BWRという。)では、自然循環流量を確保するために、原子炉圧力容器を高くし、炉心を原子炉圧力容器内の相対的低い位置に設置し、炉心上部にチムニという大きな自由空間を形成している。
【0003】
自然循環型BWRは、強制循環型の沸騰水型原子炉(BWR)のように原子炉内再循環ポンプ(インターナルポンプ)や原子炉再循環系(原子炉外再循環ポンプおよびジェットポンプ)を備えず、原子炉内再循環ポンプ等で原子炉圧力容器内を強制循環させる構造となっていない。
【0004】
自然循環型BWRにおいては、原子炉圧力容器内で循環流路を形成する役割を果たしているシュラウド内外であるダウンカマ部および炉心部の密度差と炉心部の気液二相流の圧力損失のバランスで自然循環流量が決定される。この自然循環流量は、原子炉圧力容器を高くしてダウンカマ部の水頭圧(ヘッド)を大きくし、かつ炉心上部に大きな自由空間であるチムニを配置し、チムニでの気液二相流の圧力損失を低減させて水頭圧(ヘッド)を小さくし、シュラウド内外の密度差に基づく水頭圧差(ヘッド差)を大きくして確保される。
【0005】
炉心上部に構成されるチムニは、大型の自然循環型BWRでは、半径約5m、高さ約10m程度にもなる非常に大きな自由空間である(特許文献1参照)。この自由空間を炉心上部に形成し、炉心から流出した気液二相流が流れる場合、大きな自由空間のチムニ内で多次元的な流れが発生し、自然循環流が阻害されることが考えられ、自然循環型BWRの開発で問題となっている。この多次元的な流れ現象は、ロシアの自然循環型BWR Vk−50で確認されている。
【0006】
また、炉心上部に設置されるチムニ内の熱流動挙動の解明のため、いわゆる大口径垂直配管内の気液二相流挙動試験がカナダのオンタリオハイドロ社で実施された。
【0007】
この気液二相流挙動試験は、口径約60cmの垂直配管を用いた高温高圧の試験であり、この試験により口径約60cmの垂直配管内の流れは、多次元ではなく、一次元的な安定した流れであることが判明した。
【0008】
カナダの気液二相流挙動試験結果に基づき、大型の自然循環型沸騰水型原子炉、例えばSBWRでは、大きな自由空間であるチムニ領域に対して、気液二相流の安定した流れを確保するため、複数の4角格子板から構成される角筒状の分割チムニを採用している。分割チムニの大きさは、約60cm四方であり、この大きさの角筒状の分割チムニであれば、カナダのオンタリオハイドロ社の試験結果のように、安定した自然循環流が確保される。
【0009】
自然循環型BWRでは、分割チムニを採用することにより、各分割チムニ内の流れが多次元的な流れでなく、一次元的な安定した流れとなり、安定した自然循環流量が確保できるようになった。
【0010】
分割チムニを採用した自然循環型原子炉として、特許文献2に開示された技術がある。この自然循環型原子炉は、分割チムニを採用することで良好な自然循環特性を確保するとともに、過渡時の水位低下を抑制している。この自然循環型BWRでは、分割チムニを上下に2分割し、上部の分割チムニの流路断面積が下部の分割チムニの流路断面積よりも小さくした分割チムニを採用している。
【0011】
分割チムニ領域を上下に2分割し、流路断面積を異にした分割チムニを採用することにより安定した自然循環流量が確保できる一方で、安定性が悪くなる虞がある。一般に、自然循環型BWRは安定性が悪いと言われている。
【0012】
安定性の観点から考察すると、沸騰水型原子炉(BWR)の安定性には、チャンネル安定性、炉心安定性および領域安定性がある。このうち、チャンネル安定性は、燃料チャンネル(チャンネルボックス)内の圧力損失変化を介した熱流動フィードバックによる流量変動に関する熱水力的安定性である。炉心安定性と領域安定性は、炉心内のボイド変化による反応度変化を介した核的フィードバックによる中性子束振動の核熱水力的安定性である。また、炉心安定性は、炉心全体の出力が一体となって変動する中性子束の基本モードにおける安定性であり、領域安定性は、炉心出力の空間変動に伴う中性子束の高次モードの安定性である。
【0013】
従来のBWRは、多数の燃料集合体(燃料チャンネル)が装荷されて炉心が構成され、この炉心の上部および下部に共有のプレナム部を有して並行流路体系を形成している。多数の燃料チャンネルで並行流路体系を構成すると、特定の燃料チャンネルに流量変動が生じても、他の大多数の安定な燃料チャンネルの存在により、炉心の上下部のプレナム部間の圧力損失は一定に保たれる。
【0014】
並行流路体系の炉心では、特定の燃料チャンネル内が流量変動して圧力損失が変化しようとしても、この圧力損失を一定値に戻そうとする力が流体に作用する。チャンネル安定性は、上部プレナムおよび下部プレナムが炉心部共通の圧力境界として機能し、燃料チャンネル部の圧力損失が一定となるような境界条件下での単一な燃料チャンネルの安定性である。
【0015】
BWRの燃料チャンネルは、垂直な加熱流路を形成しており、炉心部に流入した流体は沸騰によりボイドを発生し、炉心上部に向うに従ってボイド率が大きくなる炉心軸方向のボイド率分布を持つ気液二相流となるので、炉心入口流量の変化に対して、気液二相部の圧力損失は、ボイドの輸送遅れに伴う時間遅れをもって変化する。
【0016】
BWRの炉心部のように、気液二相部が存在する加熱流路においては、入口流量の変化に対して気液二相部の圧力損失は、ボイドの輸送遅れに伴う時間遅れをもって変化する。この時間遅れを伴う気液二相流の圧力損失変化がチャンネル安定性のフィードバックループのフィードバック量となる。一般的には、気液二相流の圧力損失の大きさが大きいほど、また、時間遅れが大きいほど、チャンネル安定性は不安定になる。
【0017】
自然循環型BWRの場合には、BWRの炉心部と異なり、炉心上部の圧力境界が分割チムニ出口となる。燃料チャンネルと分割チムニを一まとめにしたものとを仮想的に燃料チャンネルと考えると、チムニが無い場合に比べて気液二相流の領域が長くなり、ボイドのチムニ内での輸送遅れが付加されることとなる。このため、気液二相流の圧力損失や時間遅れが大きくなって仮想燃料チャンネルの安定性が悪化する虞がある。
【0018】
分割チムニ付きの自然循環型BWRにおいて、燃料チャンネルの安定性の改善を目指した先行技術は存在しない。
【特許文献1】特開平2−80998号公報
【特許文献2】特開平4−259894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
分割チムニ付きの自然循環型BWRでは、多次元的な流れが抑制されるので安定した一次元的流れとなって自然循環流量は確保されるが、燃料チャンネルと分割チムニを一まとめにしたものとを仮想的に燃料チャンネルと考えると、BWRの炉心に比べて気液二相流の領域が炉心軸方向に長くなり、ボイドのチムニ内での輸送遅れが付加され、仮想チャンネルの安定性が悪化する可能性がある。
【0020】
従来のBWRでは、図13に示すように、各燃料集合体1内の圧力損失ΔPが、炉心出口の上部プレナム部2において、炉心全体で均一となる条件でチャンネル安定性が評価されている。従来のBWRの炉心3には、数百体の燃料集合体1が配置され、核燃料集合体1は炉心3に装荷されて並行流路を形成している。
【0021】
並行流路を形成した炉心3部では、特定の燃料集合体(燃料チャンネル)1内で流体振動が生じても、その周辺の多くの燃料チャンネルに吸収され、炉心上部プレナム2と炉心下部プレナム4との間の各チャンネル差圧ΔP(ΔP〜ΔP)は、ほぼ一定に保たれるフィードバック効果がチャンネル流量に対して作用する。
【0022】
チャンネル差圧ΔPを一定に保つフィードバック効果が作用する過程で、燃料チャンネル内が気液二相状態であるため、流量変化から圧力損失変化に時間遅れが生じており、ある気液二相の条件下では燃料チャンネルに不安定性が生じることになる。気液二相状態の圧力損失変化から遅れ時間が大きい低流量や長流路の場合や、気液二相流の圧力損失変化が大きなゲインの場合には、安定性がより不安定となる。
【0023】
分割チムニ付き自然循環型BWRでは、図14に示すように、分割チムニ6に流入する燃料チャンネルの圧力が炉心出口で一旦均圧化(差圧ΔPC1〜ΔPCNのN個の燃料チャンネル1内で均圧化)された後、全燃料チャンネル1の圧力がチムニ5出口で均圧化(差圧ΔPCM1〜ΔPCMkPのk個の分割チムニ5間で均圧化)される。
【0024】
このため、燃料集合体1と分割チムニ5を一まとめにしたものとを仮想的な燃料チャンネルと仮定すると、仮想燃料チャンネルは、従来のBWR炉心の燃料集合体1に比べ、分割チムニの軸方向長さ分だけ気液二相流領域の長さが長くなり、分割チムニ内でボイドによる輸送遅れが付加される。
【0025】
このため、自然循環型BWRでは仮想燃料チャンネルのチャンネル安定性等の安定性が悪化する可能性がある。
【0026】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、良好な自然循環特性を確保し、安定性を改善した自然循環型沸騰水型原子炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明に係る自然循環型沸騰水型原子炉は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、炉心上部に複数の分割チムニを備え、上記炉心に多数の燃料集合体を装荷した自然循環型沸騰水型原子炉において、前記炉心出口の分割チムニの角筒状格子板に分割チムニ部を均圧にする構造を設け、この均圧化構造により、前記分割チムニ部を均圧化させたものである。
【0028】
また、本発明に係る自然循環型沸騰水型原子炉は、上述した課題を解決するために、請求項7に記載したように、炉心上部に複数の分割チムニを備え、上記炉心に多数の燃料集合体を装荷した自然循環型沸騰水型原子炉において、前記分割チムニの領域をチムニ高さ方向に複数に分け、上部分割チムニ群の角筒状格子板を下部分割チムニ群の角筒状格子板より大きな横断面積を有するように構成し、前記分割チムニの高さ方向中間部で前記燃料集合体の間の圧力を均一化させたものである。
【0029】
さらに、本発明に係る自然循環型沸騰水型原子炉は、上述した課題を解決するために、請求項9に記載したように、炉心上部に複数の分割チムニを備え、上記炉心に多数の燃料集合体を装荷させた自然循環型沸騰水型原子炉において、前記分割チムニの領域をチムニ高さ方向に複数に分け、上部分割チムニ群の角筒状格子板の中心位置を下部分割チムニ群の角筒状格子板の中心位置から横方向にシフトさせ、前記分割チムニの高さ方向中間部で燃料集合体の間を均圧化させたものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る自然循環型沸騰水型原子炉は、分割チムニの出口より上流側で分割チムニ部あるいは燃料集合体間の圧力を均圧化させることができて、安定性に重要な炉心上部の圧力境界位置を低下させることができる。気液二相流領域が短くなり、分割チムニ内の輸送遅れを解消でき、安定性の改善を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明に係る自然循環型沸騰水型原子炉の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0032】
[第1実施形態]
図1は本発明に係る自然循環型沸騰水型原子炉(以下、自然循環型BWRという。)の第1実施形態を示す概念的な構成図である。この自然循環型BWR10は、原子炉圧力容器11内に炉心シュラウド12が設けられ、この炉心シュラウド12内に数百体、例えば800体程度の多数の燃料集合体13を装架して炉心14が構成される。炉心14は炉心シュラウド12の下部に設けられ、炉心14の上方に角筒状の分割チムニ15が複数設けられる。複数の分割チムニ15を組み合せて分割チムニ群に組み立てられる。
【0033】
分割チムニ15は複数個が束ねられてチムニ16が構成され、各分割チムニ15内部に自由空間をそれぞれ形成している。炉心14は多数の燃料集合体13を正方格子状に整列配置して炉心内に並列流路を構成している。炉心14はその上部に分割チムニ15群を有し、この炉心14および分割チムニ15群の上部および下部に共通のプレナム部17,28を有する並行流路体系を構成している。
【0034】
チムニ16の出口側に炉心上部プレナム17が形成され、この上部プレナム17はシュラウドヘッド18で覆われている。シュラウドヘッド18上には多数の気水分離器19が林立状態で設置され、この気水分離器19の上方に蒸気乾燥器20が設けられる。蒸気乾燥器20は気水分離器19で気液分離された蒸気分から湿分を除去して乾燥させて乾き蒸気を形成し、この乾き蒸気を主蒸気として主蒸気管21から図示しない蒸気タービンに供給されるようになっている。この主蒸気管21は主蒸気系22を構成している。
【0035】
蒸気タービンで仕事をし、発電を行なうことで膨張した蒸気は復水器(図示せず)に排出され、この復水器で凝縮(冷却)されて復水となる。この復水は、復水給水系24を通り、給水配管25から給水として原子炉圧力容器11内に還流されるようになっている。
【0036】
原子炉圧力容器11に還流された給水は、気水分離器19で気水分離された水分(戻り水)と混合されてダウンカマ部27に案内される。ダウンカマ部27は原子炉圧力容器11と炉心シュラウド12との間のスリーブ状あるいは円筒状の環状空間に形成され、給水と炉水の冷却材の混合流をダウンカマ部27の上下部の水頭圧差を利用して自然循環流で下降させ、炉心14下方の炉心下部プレナム28に導くようになっている。
【0037】
ダウンカマ部27を下降した混合流は、炉心下部プレナム28で反転して上昇流となって炉心下部の入口に案内される。この混合流が炉心14を通る間に核加熱作用を受けて加熱されて気液二相流となり、分割チムニ15に流入せしめられる。この気液二相流は、その後炉心上部プレナム17を上昇して気水分離器19に導かれ、ここで気水分離される。
【0038】
一方、原子炉圧力容器11内に収容される炉心シュラウド12内の下部には多数の燃料集合体13を装荷した炉心14が形成され、この炉心14の上部に角筒状分割チムニ15が設けられる。分割チムニ15は格子板30を角筒状に構成して内部に自由空間を形成している。分割チムニ15は隣り合う分割チムニ15と均圧管31で連絡され、この均圧管31を介して隣り合う分割チムニ15内の圧力が均一となるように調節される。均圧管31は分割チムニ15の軸方向高さの中間領域より下方に設けられ、分割チムニ15部の圧力均圧構造を構成している。角筒状の分割チムニ15は約60cm四方の大きさで軸方向高さが数m〜10数mの高さ、例えば10mの高さとなるように設けられる。チムニ16は一例として全体の口径、分割チムニ15の合計口径が約5m、軸方向高さが10mとなるように構成される。
【0039】
また、炉心14を構成する燃料集合体13は角筒状のチャンネルボックス33内に多数の燃料棒が正方格子状に整列配置されて収納される。多数の燃料集合体13間に制御棒34が図示しない制御棒駆動装置により出し入れされて炉出力が調節される。制御棒34は横断面十字形をなして4体1組の燃料集合体13間に出し入れ調節制御される。
【0040】
炉心14上方に隣接して設置される各分割チムニ15は、図2に示すように、均圧管31で連絡して隣り合う分割チムニ15内の空間圧力が均一となるように調節される。
【0041】
分割チムニ15間の圧力を均一にするための圧力均圧化構造は、均圧管31を設ける代りに、分割チムニ15の入口部近傍に連絡孔35を、図3に示すように設けてもよい。連絡孔35は、円形、楕円形、長円形あるいは矩形形状に形成され、角筒状の分割チムニ15入口部の格子板30の各板面に対応してそれぞれ設置される。
【0042】
この実施形態に示された自然循環型BWR10では原子炉圧力容器11内に多数の燃料集合体13を収容して炉心シュラウド12内下部に炉心14を形成し、各燃料集合体13の出口側に分割チムニ15を束ねた分割チムニ群を設ける。
【0043】
隣り合う分割チムニ15は均圧管31により、また、各分割チムニ15に形成された連絡孔35により、分割チムニ部の圧力を均一化させることができる。すなわち、炉心14を構成する燃料集合体13出口の分割チムニ部で全燃料集合体13間で均圧化することができる。
【0044】
これにより、燃料チャンネルのチャンネル安定性に重要である炉心上部の圧力境界が分割チムニ15出口から分割チムニ15入口側の連絡孔35あるいは均圧管31となって気液二相流領域が短くなり、分割チムニ15内の輸送遅れがなくなり、あるいは、この輸送遅れを大幅に改善できるので、安定性を改善することができる。
【0045】
[第1実施形態の変形例]
図4は、本発明に係る自然循環型BWRの第1実施形態の第1変形例を示すものである。
【0046】
この第1変形例に示された分割チムニ15Aは、図2および図3に示した分割チムニ15と構成を異にし、他の構成および作用は図1に示された自然循環型BWR10と異ならないので同一部材には同じ符号を付して図示ならびに説明を省略する。
【0047】
図4に示された分割チムニ15Aは、角筒状の各格子板30の各板面下部に複数個の連絡孔36a,36bを上下方向にそれぞれ形成したものである。
【0048】
また、図5は、本発明に係る自然循環型BWRの第1実施形態における第2変形例を示すものである。
【0049】
この第2変形例に示された分割チムニ15Bは、角筒状の各格子板30にチムニ軸方向に延びるスリット37をそれぞれ形成したものである。図5では縦スリット37を形成した例を示したが、横スリットを角筒状格子板30のチムニ軸方向に多段に形成してもよい。
【0050】
さらに、図6は、本発明に係る自然循環型BWRの第1実施形態における第3変形例を示すものである。
【0051】
この第3変形例に示された自然循環型BWR10は、各分割チムニ15に連絡孔35;36a,36bやスリット37を形成する代りに、炉心14を構成する燃料集合体13群の上部と分割チムニ15の入口(下部)との間に隙間38を形成したものである。
【0052】
自然循環型BWR10では、燃料集合体13群の上部に設けられる分割チムニ15に均圧管31を設け、この均圧管31で隣り合う分割チムニ15,15同士を連通したり、また、燃料集合体13群の上部に設置される角筒状の各分割チムニ15の角筒状の格子板30に、1つ以上の連絡孔35;36a,36bを設けたり、スリット37を設けたり、さらに、燃料集合体13群の上部と分割チムニ15群の下部との間に隙間38を設けることにより、燃料集合体13出口の分割チムニ15部で全燃料集合体13間を均圧化することができる。複数の連絡孔36a,36bは分割チムニ15のチムニ軸方向下部側に設けられる一方、スリット37は分割チムニ15の格子板30の中間部下方から下部にかけて穿設される。スリット37は縦方向に形成する代りに、横方向(幅方向)に1段以上形成するようにしてもよい。
【0053】
全燃料集合体13,13間を分割チムニ15部で均圧化することにより、燃料チャンネルのチャンネル安定性に重要である炉心上部の圧力境界が分割チムニ15の出口側から分割チムニ15の略入口側に下降させて形成することが可能となって気液二相流領域を短くすることができる。これにより、分割チムニ15群の輸送遅れがなくなるので、チャンネル安定性等の安定性の改善を図ることができる。
【0054】
[第2実施形態]
図7および図8は本発明に係る自然循環型BWRの第2実施形態を示す図である。
【0055】
図7は、自然循環型BWRの第2実施形態を示す概略的な縦断面図、図8は図7のVIII−VIII線に沿う平断面図である。
【0056】
第2実施形態に示された自然循環型BWR10Aにおいて、第1実施形態に示された自然循環型BWR10と同じ構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
図7に示された自然循環型BWR10Aは、炉心14を構成する燃料集合体13群の上部に複数の角筒状の分割チムニ15を束ねて設置し、分割チムニ群からなるチムニ16を構成している。
【0058】
チムニ16を構成する各分割チムニ15は、最外周に配設された分割チムニ15の角筒状格子板40に少なくとも1つの連絡孔41を設ける。最外周領域に配設される隣り合う分割チムニ15の各格子板40の連絡孔41の口径は、最外周領域以外の中央側領域の分割チムニ15の格子板43に形成された少なくとも1つの連絡孔44の口径よりも大きくし、チャンネル流量が少なくかつ炉出力が大きく異なる周辺部の燃料集合体13間の圧力を均圧化するものである。
【0059】
第2実施形態の自然循環型BWR10Aにおいては、炉出力が大きく異なる原子炉圧力容器11内炉心14の周辺部の各燃料集合体13内および各燃料集合体13間の圧力を均圧化することができる。
【0060】
この結果、安定性に重要な炉心上部圧力境界位置を分割チムニ15の各連絡孔41,44形成位置まで下げることができ、気液二相流の流れが短くなり、分割チムニ15内の輸送遅れがなくなるので、安定性を改善することができる。
【0061】
分割チムニ15に形成される各連絡孔41,44は、燃料集合体13の外周部に対応する分割チムニ15の最外周部の各連絡孔41が残りの分割チムニ15の各連絡孔44より大きな径に形成される。各連絡孔41,44は、分割チムニ15の格子板40,43の適宜位置に1個以上形成される。各連絡孔41,44の孔形状は、円形であっても、矩形であっても、楕円や長円形であっても、また、スリット形状であってもよい。
【0062】
また、各分割チムニ15の連絡孔41,44は、好ましくはチムニ軸方向において中央部より下部側に対応して形成される。各連絡孔41,44は、分割チムニ15角筒状の各格子板40,43の適宜位置に、または各格子板40,43の板面全体に上下方向に沿って複数個形成してもよい。いずれにしても各分割チムニ15に形成される各連絡孔41,44は、それぞれ少なくとも1つが燃料集合体13群の出口側近くに形成され、炉心上部の圧力境界位置が炉心上部プレナム17より下方位置に形成されるように配慮している。
【0063】
[第3実施形態]
図9および図10は、本発明に係る自然循環型BWRの第3実施形態を示す図である。
【0064】
図9は、自然循環型BWR10Bの第3実施形態を示す概略的な縦断面図、図10は、図9のB部を拡大して示し、かつ炉心部および分割チムニ15の軸方向高さと炉圧力との関係を示す図である。
【0065】
第3実施形態に示された自然循環型BWR10Bにおいて、第1実施形態に示された自然循環型BWR10と同じ構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
図9に示された自然循環型BWR10Bは、原子炉圧力容器11内において炉心14上部に形成されるチムニ16が分割チムニ領域50,51をチムニ高さ方向に複数領域に分けられる。図9ではチムニ16の軸方向上下に分割チムニ領域50,51を2分割したものである。
【0067】
上部分割チムニ領域50を構成する角筒状の分割チムニ52群は、下部チムニ領域51を構成する角筒状分割チムニ53群より、分割チムニ格子板の枚数を少なくする上部分割チムニ格子板54が下部分割チムニ格子板55より枚数を少なくし、上部分割チムニ52の横断面積を、複数、例えば4個の下部分割チムニ53の合計横断面積とほぼ等しく形成される。
【0068】
チムニ16は平面視において、上部分割チムニ52の横断面積が複数、例えば4個の下部分割チムニ53の合計横断面積とほぼ等しく、上部および下部分割チムニ52,53の境界位置が、従来の分割チムニの出口より下方になるように設定される。
【0069】
上下の分割チムニ領域50,51をチムニ高さ方向(チムニ軸方向)に複数に分け、1つの上部分割チムニ52が複数の下部分割チムニ53と横断面積において等価に構成することにより、分割チムニ52,53の上流側で、図10に示すように、燃料集合体13間の圧力(炉圧力)を均一化させることができる。
【0070】
この結果、安定性に重要な炉心上部の圧力境界位置を低下させることができる。炉心上部の圧力境界位置を従来の自然循環型BWRの分割チムニ出口位置より下方に下げることができ、気液二相流領域が短くなる。このため、分割チムニ内の輸送遅れを解消することができ、チャンネル安定性等の安定性を改善することができる。
【0071】
[第3実施形態]
図11および図12は、自然循環型BWRの第3実施形態における変形例を示す図である。
【0072】
図11は、自然循環型BWR10Bの第3実施形態の変形例を示す概略的な縦断面図であり、図12は、図11のC部を拡大して示す斜視図である。
【0073】
この変形例を説明するに当たり、第3実施形態に示された自然循環型BWR10Bと同じ構成は、同一符号を付して説明を省略する。この変形例に示された自然循環型BWR10Bは、炉心14上部に設けられるチムニ16の上下分割構造を、図9および図10のチムニの上下分割構造と異にする。
【0074】
変形例に示された自然循環型BWR10Bにおいても、複数の燃料集合体13の上部に形成される分割チムニ領域56,57をチムニ高さ方向に複数、例えば2つの分割チムニ領域に分け、角筒状の上部分割チムニ58と同じく角筒状の下部分割チムニ59の中心位置を炉心14の径方向、具体的には水平方向にシフトさせたものである。炉心径方向へのシフト量は、分割チムニ59の1個当たりの幅寸法の範囲内で適宜設定される。
【0075】
この変形例の自然循環型BWR10Bは、上部分割チムニ8の角筒状格子板60と下部分割チムニ59の角筒状格子板61の中心位置をずらすことにより、上部分割チムニ58出口より上流側で燃料集合体13間の圧力を均圧化させることができる。
【0076】
このように、チムニ16の出口より上流側で燃料集合体13間の圧力を均圧化させることができるので、安定性に重要な炉心上部の圧力境界位置を下方に下げることができ、気液二相流領域が短くなるので、分割チムニ58,59内の輸送遅れを解消することができ、安定性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る自然循環型BWRの第1実施形態を示す概略的な縦断面図。
【図2】図1のA部を拡大して示す斜視図、ならびに高さと圧力との関係を示す図。
【図3】図1に示された自然循環型BWRに備えられる分割チムニを示す斜視図。
【図4】自然循環型BWRに備えられる分割チムニの第1変形例を示す斜視図。
【図5】自然循環型BWRに備えられる分割チムニの第2変形例を示す斜視図。
【図6】自然循環型BWRに備えられる分割チムニの第3変形例を示すもので自然循環型BWRの簡略的な縦断面図。
【図7】本発明に係る自然循環型BWRの第2実施形態を概略的に示す縦断面図。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う平断面図。
【図9】本発明に係る自然循環型BWRの第3実施形態を概略的に示す縦断面図。
【図10】図9のB部を拡大して示す斜視図、ならびに高さと圧力との関係を示す図。
【図11】本発明に係る自然循環型BWRの第3実施形態の変形例を概略的に示す縦断面図。
【図12】図11のC部を拡大して示す斜視図。
【図13】従来の沸騰水型原子炉のチャンネル安定性を示す解説図。
【図14】分割チムニ付きの自然循環型BWRのチャンネル安定性を示す解説図。
【符号の説明】
【0078】
10 自然循環型沸騰水型原子炉
11 原子炉圧力容器
12 炉心シュラウド
13 燃料集合体
14 炉心
15 分割チムニ
16 チムニ
17 炉心上部プレナム
18 シュラウドヘッド
19 気水分離器(セパレータ)
20 蒸気乾燥器(セパレータ)
21 主蒸気管
22 主蒸気系
24 復水給水系
25 給水配管
27 ダウンカマ部
28 炉心下部プレナム
30 格子板
31 均圧管
33 チャンネルボックス
34 制御棒
35 連絡孔
36a,36b 連絡孔
37 スリット
38 隙間
40,43 格子板
41,44 連絡孔
50,51,56,57 分割チムニ領域
52,53,58,59 分割チムニ
54,55,60,61 分割チムニ格子板




 

 


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