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発明の名称 放射性廃棄物の固化処理方法及びその装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−47033(P2007−47033A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−232147(P2005−232147)
出願日 平成17年8月10日(2005.8.10)
代理人 【識別番号】100077849
【弁理士】
【氏名又は名称】須山 佐一
発明者 宮本 真哉 / 佐藤 龍明 / 三倉 通孝 / 櫻井 次郎 / 福島 正
要約 課題
放射性廃棄物のセメント固化体を埋設中に放射線分解による固化体からのガス発生を抑制又は防止し、長期間の埋設処分中の収納容器内の圧力上昇を抑制又は防止して、処分場の健全性を長期間にわたって確保することができる放射性廃棄物の固化処理方法及びその装置を提供する。

解決手段
原子力施設より発生する放射性廃棄物のうち埋設処分中に放射線分解してガスを発生させる程度に放射性核種濃度が高い放射性廃棄物を固化する放射性廃棄物の固化処理方法において、前記放射性廃棄物と、水硬性無機固化材と、骨材とを混練した後、収納容器に供給して固化体を形成する固化体形成ステップと、前記収納容器内の前記固化体を養生した後、加熱及び/又は減圧により前記収納容器内の前記固化体から水分を除去する水分除去ステップと、前記水分除去ステップを経た後、前記収納容器に蓋をして密閉する収納容器密閉ステップと、を有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
原子力施設より発生する放射性廃棄物のうち埋設処分中に放射線分解してガスを発生させる程度に放射性核種濃度が高い放射性廃棄物を固化する放射性廃棄物の固化処理方法において、
前記放射性廃棄物と、水硬性無機固化材と、骨材とを混練した後、収納容器に供給して固化体を形成する固化体形成ステップと、
前記収納容器内の前記固化体を養生した後、加熱及び/又は減圧により前記収納容器内の前記固化体から水分を除去する水分除去ステップと、
前記水分除去ステップを経た後、前記収納容器に蓋をして密閉する収納容器密閉ステップと、
を有することを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項2】
前記固化体形成ステップが、前記放射性廃棄物と、前記水硬性無機固化材と、前記骨材と、を前記収納容器に供給した後、混練して固化体を形成することを特徴とする請求項1に記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項3】
原子力施設より発生する放射性廃棄物のうち埋設処分中に放射線分解してガスを発生させる程度に放射性核種濃度が高い放射性廃棄物を固化する放射性廃棄物の固化処理方法において、
前記放射性廃棄物と、水硬性無機固化材と、発泡剤とを混練した後、収納容器に供給して固化体を形成する固化体形成ステップと、
前記収納容器内の前記固化体を養生した後、加熱及び/又は減圧により前記収納容器内の前記固化体から水分を除去する水分除去ステップと、
前記水分除去ステップを経た後、前記収納容器に蓋をして密閉する収納容器密閉ステップと、
を有することを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項4】
前記固化体形成ステップが、前記放射性廃棄物と、前記水硬性無機固化材と、前記発泡剤と、を前記収納容器に供給した後、混練して固化体を形成することを特徴とする請求項3に記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項5】
前記収納容器に、前記放射性廃棄物と、前記水硬性無機固化材と、前記発泡剤とともに、骨材を供給することを特徴とする請求項3又は4に記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項6】
前記加熱の条件は、加熱処理温度が100℃以上で、加熱処理時間が8時間以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項7】
前記減圧の条件は、処理圧力が1kPa以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項8】
前記骨材は、砂、砂利、石、アルミナ、シリカ微粉、人工軽量骨材、パーライト、シャモット、鉄粉、コンクリート廃材から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1、2及び5乃至7のうちのいずれか一項に記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項9】
前記発泡剤が、両性金属又は界面活性剤からなることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか一項に記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項10】
前記収納容器密閉ステップは、前記蓋を溶接又はシール材で前記収納容器に固着させて密閉構造にすることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項11】
前記加熱及び/又は減圧により発生したオフガス中に水分とともに含まれる放射性核種を、吸着又は燃焼することにより除去するオフガス処理ステップをさらに有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項12】
前記オフガス処理ステップの前に、前記オフガス中の前記水分を除去する水分分離ステップをさらに有することを特徴とする請求項11に記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
【請求項13】
原子力施設より発生する放射性廃棄物のうち埋設処分中に放射線分解してガスを発生させる程度に放射性核種濃度が高い放射性廃棄物を固化する放射性廃棄物の固化処理装置において、
前記放射性廃棄物と水硬性無機固化材とを含有する固化体が収納された収納容器を収容し、この収納容器内の固化体の水分を、加熱及び/又は減圧によって除去する水分除去装置と、
前記加熱及び/又は減圧によって発生したオフガス中の水分を除去する水分分離手段と、
前記水分分離手段によって前記水分が除去された前記オフガスの中から放射性核種を除去するオフガス処理手段と、
を有することを特徴とする放射性廃棄物の固化処理装置。
【請求項14】
前記オフガス処理手段が、水素を水に変換する酸化触媒、有機炭素化合物ガスを酸化する装置、活性炭から選ばれる少なくとも1種を有することを特徴とする請求項13に記載の放射性廃棄物の固化処理装置。
【請求項15】
前記水分分離手段が、冷却塔又は乾燥剤を有することを特徴とする請求項13又は14に記載の放射性廃棄物の固化処理装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力施設より発生する放射性廃棄物のうち放射性核種濃度が高い廃棄物を固化する放射性廃棄物の固化処理方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力施設より発生する放射性廃棄物は種々存在し、一般にこれらは、セメント固化、ガラス固化、溶融固化などが想定されている。この中で、セメント固化方法は安価で処理が容易なために、多くの廃棄物の固化に適用が想定されている。
【0003】
しかし、放射性廃棄物に含有される放射性核種濃度が高いと、セメント固化体中に存在する間隙水や結晶水などが放射線分解して、その結果、水素ガス等が発生することが想定される。このガスが固化体容器から放出されることを抑えるため、容器を密閉するようなことも考えられるが、長期間の保管では内部圧力の上昇が懸念される。すなわち、埋設処分後に容器内の圧力上昇を引き起こし、処分場の健全性に影響を及ぼすことも想定される。
【0004】
このため、フランスのCOGEMA社とSGN社は放射性核種濃度の高い廃棄物である使用済み燃料被覆管の圧縮体を収納する容器には、発生したガスを放出可能なように上部にフィルタを取り付けたCSD-C Universal Canisterの使用が検討されている。しかし、このようなフィルタを取り付けた場合、内部にトリチウムを含む水が存在すると、トリチウムガスが発生し容器外部へ放射性ガスが放出されることが懸念される。
【0005】
また、キャニスター内に二酸化炭素の固定薬剤を配置する手法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合は、固定薬剤の寿命などが正常に機能しない要因が生じると、やはり圧力上昇を引き起こす可能性が否定できない。
【0006】
また、放射性廃棄物を収納した放射性廃棄物用ドラム缶内部を真空乾燥する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法は、単に放射性廃棄物が入っているドラム缶内を真空乾燥するものであり、セメント固化体を乾燥するものではないため、液体の放射性廃棄物の処理は困難である。また、放射性廃棄物を固定化していないため、収納容器から外部への放射性物質の滲み出しが懸念される。さらに、セメント固化体をこの方法で乾燥すると、廃棄物間や廃棄物とドラム缶間の空隙がセメントによって埋められているために乾燥処理が著しく困難であり、また、乾燥処理により生じる水分量が多いために直接オフガス処理系に排出すると、オフガス処理系で結露して機能低下を起こす可能性があった。
【特許文献1】特開2001−228296号公報
【特許文献2】特開2004−340814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の高放射能濃度の放射性廃棄物の固化処理方法においては、原子力発電所等から発生する放射性廃棄物のうち、放射性核種濃度が高い廃棄物をセメントなどの水硬性無機固化材で固化すると、水の放射線分解により水素ガスなどが発生し、容器内圧力上昇を引き起こす可能性があり、このガス発生を抑制する手法は確立されていない。
【0008】
そこで、本発明は、高放射能濃度の放射性廃棄物を水硬性無機固化材で固化した固化体を埋設中に、放射線分解による固化体からのガス発生を抑制又は防止し、長期間の埋設処分中の収納容器内の圧力上昇を抑制又は防止して、処分場の健全性を長期間にわたって確保することができる放射性廃棄物の固化処理方法及びその装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、原子力施設より発生する放射性廃棄物のうち埋設処分中に放射線分解してガスを発生させる程度に放射性核種濃度が高い放射性廃棄物を固化する放射性廃棄物の固化処理方法において、前記放射性廃棄物と、水硬性無機固化材と、骨材とを混練した後、収納容器に供給して固化体を形成する固化体形成ステップと、前記収納容器内の前記固化体を養生した後、加熱及び/又は減圧により前記収納容器内の前記固化体から水分を除去する水分除去ステップと、前記水分除去ステップを経た後、前記収納容器に蓋をして密閉する収納容器密閉ステップと、を有することを特徴とするものである。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明は、原子力施設より発生する放射性廃棄物のうち埋設処分中に放射線分解してガスを発生させる程度に放射性核種濃度が高い放射性廃棄物を固化する放射性廃棄物の固化処理装置において、前記放射性廃棄物と水硬性無機固化材とを含有する固化体が収納された収納容器を収容し、この収納容器内の固化体の水分を、加熱及び/又は減圧によって除去する水分除去装置と、前記加熱及び/又は減圧によって発生したオフガス中の水分を除去する水分分離手段と、前記水分分離手段によって前記水分が除去された前記オフガスの中から放射性核種を除去するオフガス処理手段と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高放射能濃度の放射性廃棄物を水硬性無機固化材で固化した固化体を埋設中に、放射線分解による固化体からのガス発生を抑制又は防止し、長期間の埋設処分中の収納容器内の圧力上昇を抑制又は防止して、処分場の健全性を長期間にわたって確保することができる放射性廃棄物の固化処理方法及びその装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る放射性廃棄物の固化処理方法の手順を示すフロー図である。図1に示すように、放射性廃棄物1と水硬性無機固化材2と骨材3と必要に応じて水等とを混練した(S1a)固化体ペーストが収納容器に収納され(S1b)固化体が形成される。このとき、インドラムミキサなどを使用して収納容器中で混練することも可能である。
【0014】
本発明の放射性廃棄物1は、原子力施設等から発生するものであり、埋設処分中に放射線分解して固化体からガスを発生させる程度に放射性核種濃度が高い、高放射能濃度の放射性廃棄物をいう。放射性廃棄物1は、固体状でも液体状でもよく、例えば、高放射能濃度の硫酸ナトリウム廃液等が挙げられる。
本発明の水硬性無機固化材2は、放射性廃棄物1を固化するものであり、セメント系の固化材等が挙げられる。例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等の各種混合セメント、アルミナセメント等の各種セメントを用いることができる。
【0015】
骨材3は、例えば、砂、砂利、石、アルミナ、シリカ微粉、人工軽量骨材、パーライト、シャモット、鉄粉、コンクリート廃材等を用いることができる。後述するように骨材を用いることにより、形成された固化体から加熱及び/又は減圧によって水分を除去することが容易になる。骨材の使用量は、特に限定されないが、水硬性無機固化材(セメント)100重量部に対し、5〜1500重量部が好ましく、100〜1000重量部がさらに好ましい。5重量部未満であると、形成された固化体から加熱等によって水分を除去しやすくするという骨材の効果が小さくなり、1500重量部を超えると強度発現性が小さくなる場合がある。
【0016】
また、必要に応じて、流動化剤、減水剤、AE剤、高性能AE減水剤等の各種混和剤(材)を使用することができる。
流動化剤は、固化体ペーストの流動性をよくするために加える添加剤であり、例えば、縮合リン酸ナトリウム又は炭酸化合物等の無機流動化剤等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合してもよい。
【0017】
収納容器中に形成された固化体は十分に養生された後に、加熱及び/又は減圧して固化体から水分が除去される(S2)。このとき発生するオフガス4は、後述する水分分離手段によりオフガス4中の水分が除去された(S3)後、放射性核種を含有する場合には、後述するオフガス処理手段に導入され、放射性核種を吸着、燃焼等して除去される(S4)。
【0018】
養生方法は、特に限定されるものではなく、例えば、気乾養生、湿空養生、加熱促進養生(蒸気養生等)等のいずれの手法が採用されてもよい。
加熱処理温度は、100℃以上500℃未満であることが好ましい。100℃未満であると、固化体からの水分の除去が不十分であり、500℃以上であると固化体中の水酸化カルシウムが分解され、固化体の内部組織が損傷するおそれがある。ただし、アルミナセメントについてはカルシウムアルミネートを主成分とし耐熱性があるため、100℃以上1600℃以下であることが好ましい。
加熱処理時間は、8時間以上20時間以下が好ましい。加熱処理時間が8時間未満であると固化体からの水分の除去が不十分であり、また、加熱処理時間が約20時間のときに水分の除去量はほぼ飽和するため、20時間を越えると加熱による水分除去の効果が小さくなる。
【0019】
減圧は、処理圧力が0kPa以上1kPa以下であることが好ましい。1kPaを超えると、固化体からの水分の除去が不十分な場合がある。
【0020】
上述の固化体を十分に加熱及び/又は減圧して水分を除去した(S2)後に、収納容器に蓋をして密閉する(S5)。この蓋の外周を溶接することにより又は蓋と収納容器との間にシール材を介在させて、収納容器は密閉される。これにより、埋設処分後も長期に収納容器内への水の浸入を防止できる。
この固化体を収納した収納容器は蓋をして密閉した後に、埋設処分施設において埋設処分される(S6)。
【0021】
このように構成された本実施の形態において、放射性廃棄物1と水硬性無機固化材2と骨材3を混練して固化体を形成し、十分に加熱等して水分を除去することにより、この固化体を埋設中に放射線分解による固化体からのガス発生を抑制又は防止することができる。
【0022】
本実施の形態によれば、固化体を埋設中に放射線分解により固化体からのガス発生を抑制又は防止することができるので、放射性核種濃度が高い放射性廃棄物であっても、長期間の埋設処分中の収納容器内の圧力上昇を抑制又は防止でき、処分場の健全性を長期間にわたって確保することができる。
【0023】
(第2の実施形態)
本実施形態は、以下の点において第1の実施形態と相違する。本実施形態では、収納容器に放射性廃棄物1と水硬性無機固化材2とともに供給される骨材3に代えて、又は、骨材3とともに、発泡剤(気泡剤)が供給される。
発泡剤(気泡剤)は、固化体中に空隙を形成させ、気泡コンクリート(モルタル又はセメントペーストでもよい)を得るために用いられるもので、例えば、金属アルミニウム粉末等の両性金属、界面活性剤、動物性タンパク質、樹脂石鹸等を用いることができ、少量添加で有効な点で、金属アルミニウム粉末等の両性金属、界面活性剤が好ましい。発泡剤(気泡剤)を用いることにより、形成された固化体から加熱及び/又は減圧によって水分を除去することが容易になる。
【0024】
金属アルミニウム粉末等の両性金属は、化学反応で発生するガスを利用ものである。アルミニウム粉末の使用量は、特に限定されないが、水硬性無機固化材(セメント)100重量部に対し、0.01〜0.4重量部が好ましく、0.05〜0.3重量部がさらに好ましい。0.01重量部未満であると発泡量が少なく、形成された固化体から加熱等によって水分を除去しやすくなるという発泡剤添加の効果が小さくなり、0.4重量部を超えると強度発現性が小さくなる場合がある。
【0025】
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられ、起泡性に優れ、気泡が安定で、流動性が大きい点で、陰イオン性界面活性剤が好ましい。
陰イオン性界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の石鹸類、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル等の硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル等のリン酸エステル等が挙げられる。
陰イオン界面活性剤の使用量は、特に限定されないが、水硬性無機固化材(セメント)100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜1重量部がさらに好ましい。0.01重量部未満であると発泡量が少なく、形成された固化体から加熱等によって水分を除去しやすくなるという発泡剤添加の効果が小さくなり、5重量部を超えると強度発現性が小さくなる場合がある。
【0026】
本実施形態は、その他の点では、第1の実施形態と本質的に相違するところが無いので説明を省略する。
【0027】
次に、本発明の一実施形態に係る放射性廃棄物の固化処理装置について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る放射性廃棄物の固化処理装置の構成を示す図である。放射性廃棄物の固化処理装置10は、ミキサー11と、収納容器12と、移送装置13と、水分除去装置14と、水分分離手段15と、オフガス処理手段16と密閉手段(図示せず)とから構成されている。
【0028】
ミキサー11は、放射性廃棄物1と水硬性無機固化材2とを含有する固化体ペーストを混合するもので、混合手段として機能する。ミキサー11は、特に限定されるものではなく、例えば、オムニミキサー、パン型ミキサー、二軸練りミキサー等の各種ミキサーを用いることができる。
収納容器12は、ミキサー11によって混合した固化体ペーストが収納されるもので、例えば、ドラム缶である。収納容器12の構成材料には、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ジルコニウム、チタン及び銅等を用いることができる。収納容器12内を真空乾燥する場合には、耐圧容器とすることが好ましい。
なお、インドラムミキサ等を使用して収納容器12中で混練してもよい。
【0029】
移送装置13は、固化体ペースト(又は固化体)が収納された収納容器12を水分除去装置14に移送するもので、例えば、ベルトコンベアーである。なお、フォークリフト等によって移送することも可能である。
【0030】
水分除去装置14は、固化体ペーストが収納された収納容器12を収容し、養生した後にこの収納容器12内の固化体の水分を加熱及び/又は減圧によって除去するもので、例えば、加熱炉及び/又は真空排気手段を備えたものである。
加熱炉は、特に限定されるものではなく、例えば、抵抗加熱炉、誘導加熱炉等の各種の加熱炉を用いることができる。
真空排気手段は、特に限定されるものではなく、例えば、各種の真空ポンプを用いることができる。
【0031】
減圧による水分除去は、以下のような方法で行うことができる。第一の方法は、収納容器12に真空乾燥用の専用蓋で蓋をし、収納容器12内を真空排気手段で真空乾燥する。第二の方法は、真空乾燥用の専用蓋を用いて収納容器12内を真空排気手段で真空乾燥するとともに、水分除去装置14内も真空排気手段で真空乾燥する。第三の方法は、収納容器12に蓋をせず、水分除去装置14内を真空排気手段で真空乾燥する。
【0032】
水分分離手段15は、加熱及び/又は減圧により固化体から水分を除去する際に発生するオフガス4中から、水分を除去する装置であり、例えば、冷却塔や乾燥剤等を備えている。
【0033】
冷却塔は、オフガス4中の水分を冷却し、液体又は固体にして水分を回収する装置である。乾燥剤は、オフガス4中の水分を除去するために用いる薬品で、例えば、濃硫酸等が挙げられる。水分分離手段15により、オフガス処理手段16の結露による機能低下を防止でき、また、HOとして存在するトリチウムを含む水分(つまり、TOやHTO)を除去することができる。
【0034】
オフガス処理手段16は、オフガス4中に存在する放射性核種を、吸着、燃焼等により、除去する装置である。オフガス中には、水素、二酸化炭素、揮発性有機炭素化合物、塩素、ヨウ素の放射性核種(トリチウム、C−14、Cl−36、I−129)が含まれる可能性がある。
【0035】
水素中に含まれるトリチウムは、水素を水に変換する酸化触媒を備えたオフガス処理手段16により除去される。水素を水に変換する酸化触媒は、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Os、Ag、Au、Re、Cu、Ni、Co、Zn等のいずれか1種類以上の金属を備える触媒である。水素ガスをPt等の触媒を用いて酸素と加熱条件下で反応させ、生成した水を回収する。
【0036】
揮発性有機炭素化合物中に含まれるC−14は、有機炭素化合物ガスを酸化する装置を備えたオフガス処理手段16により除去される。有機炭素化合物ガスを加熱酸化して二酸化炭素を生成した後、固化体から発生した二酸化炭素とともにアルカリ溶液を用いたスクラバーにより炭酸イオンとして回収する。
【0037】
塩素やヨウ素のようなハロゲンガス中に含まれるCl−36、I−129は、活性炭を備えたオフガス処理手段16により吸着され除去される。
【0038】
密閉手段(図示せず)は、収納容器12に蓋をして密閉するものである。
【0039】
ミキサー11で放射性廃棄物1と水硬性無機固化材2とを含む固化体ペーストを混練し(S1a)、この固化体ペーストを収納容器12に収納し(S1b)、この固化体ペーストが収納された収納容器12を、移送装置13により水分除去装置14内へ移送し、必要な期間養生して固化体を形成する。加熱及び/又は減圧して収納容器12内の固化体中から水分が除去される(S2)。この加熱及び/又は減圧によって固化体から発生したオフガス4は、水分分離手段15によって水分が除去された(S3)後、オフガス処理手段16によってオフガス4中の放射性核種が除去される(S4)。この水分除去装置14において水分が除去された固化体が充填された収納容器12に、密閉手段によって蓋を被せる。この蓋の外周を溶接することにより又は蓋と収納容器12との間にシール材を介在させて、収納容器12は密閉される(S5)。この密閉された収納容器12は、埋設処分施設において埋設処分される(S6)。
【0040】
放射性廃棄物1と水硬性無機固化材2とを含む固化体を、十分に加熱等して水分を除去することにより、この固化体を埋設中に放射線分解による固化体からのガス発生を抑制又は防止することができる。そのため、放射性核種濃度が高い放射性廃棄物であっても、長期間の埋設処分中の収納容器内の圧力上昇を抑制又は防止でき、処分場の健全性を長期間にわたって確保することができる。
【実施例】
【0041】
次に、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
アルミナセメント(東芝セラミックス株式会社製) 625重量部、砂 375重量部、水道水 300重量部をミキサーで混練し、固化体ペーストを高さ10cm、直径5cmの型枠に分取して、24時間静地養生し、固化体を得た。この固化体を120℃又は200℃で加熱して水分を除去した。
【0043】
(実施例2)
アルミナセメント(東芝セラミックス株式会社製) 334重量部、パーライト(東芝セラミックス株式会社製) 166重量部、水道水 684重量部を混練した以外は、実施例1と同様にして固化体から水分を除去した。
【0044】
(実施例3)
アルミナセメント(東芝セラミックス株式会社製) 950重量部、パーライト(東芝セラミックス株式会社製) 50重量部、水道水 384重量部を混練した以外は、実施例1と同様にして固化体から水分を除去した。
【0045】
(実施例4)
アルミナセメント(東芝セラミックス株式会社製) 100重量部、シリカ微粉(東芝セラミックス株式会社製) 100重量部、アルミナ微粉(東芝セラミックス株式会社製) 100重量部、シャモット(東芝セラミックス株式会社製) 700重量部、0.1%縮合リン酸ナトリウム水溶液 250重量部を混練した以外は、実施例1と同様にして固化体から水分を除去した。
【0046】
(実施例5)
アルミナセメント(東芝セラミックス株式会社製) 100重量部、シリカ微粉(東芝セラミックス株式会社製) 100重量部、アルミナ微粉(東芝セラミックス株式会社製) 100重量部、天然アルミナ 700重量部、0.1%縮合リン酸ナトリウム水溶液 384重量部を混練した以外は、実施例1と同様にして固化体から水分を除去した。
【0047】
(比較例)
アルミナセメント(東芝セラミックス株式会社製) 650重量部、水道水 350重量部を混練した以外は、実施例1と同様にして固化体から水分を除去した。
【0048】
各実施例および比較例の原料配合表を表1に示す。
【0049】
【表1】


【0050】
この結果を図3及び図4に示す。図3は、120℃で実施例1〜5および比較例の固化体を加熱して水分を除去したときの残存水量/初期添加水量(%)の経時変化を示す図である。図4は、200℃で実施例1〜5および比較例の固化体を加熱して水分を除去したときの残存水量/初期添加水量(%)の経時変化を示す図である。
【0051】
図3及び図4から明らかなように、骨材を含有する固化体(実施例1〜5)は、骨材を含有しない固化体(比較例)と比較して、同程度以上に容易に水分を除去できることが認められた。特に実施例2、4、5は水分除去率が高く、加熱による水分除去が容易であった。
図3及び図4のいずれにおいても、加熱処理時間が約8時間までは単位時間当たりの水分除去量が多く、その後、単位時間当たりの水分除去量が減少しながらも水分が除去され、加熱処理時間が約20時間のときに水分の除去量はほぼ飽和する傾向がみられた。
【0052】
(放射線照射試験)
比較例及び加熱による水分除去おいて水分除去率の高かった実施例2、4、5の固化体について、放射線照射試験を行った。放射性照射試験は、加熱処理前の固化体と、200℃で加熱処理した固化体を、それぞれ一部粉砕してガラス容器に密閉後にCo−60線源(9496TBq)を照射し、水素ガス発生量を測定した。
【0053】
図5は、放射線照射試験による水素ガスの発生率(加熱後の固化体の水素ガス発生量/加熱前の固化体の水素ガス発生量(%))を示す図である。実施例2、4、5及び比較例のすべてについて、加熱処理後の固化体は加熱処理前の固化体に対して、水素ガス発生率が20%以下に低減され、特に、実施例2、4、5の骨材を含む固化体では、加熱処理により水素ガス発生率が10%以下に低減され、加熱処理による水素ガス発生の抑制効果が認められた。
【0054】
(一軸圧縮強度試験)
比較例及び加熱による水分除去において水分除去率の高かった実施例2、4、5について、200℃での加熱処理後の固化体の一軸圧縮強度を測定した。
図6は、200℃での加熱処理後の固化体の一軸圧縮強度を示す図である。実施例4、5及び比較例については、評価基準値とされる1.5MPaを上回ることが確認された。
【0055】
(加熱及び減圧による水分除去方法の確認試験)
比較例及び加熱による水分除去において水分除去率の高かった実施例2、4、5の加熱処理前の固化体について、120℃で真空加熱処理を行い残存水量/初期添加水量(%)の経時変化を測定した。
実施例2、4、5及び比較例のすべてにおいて、真空加熱処理を行うと、単なる加熱処理の場合と比較して処理時間の短縮が可能であることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る放射性廃棄物の固化処理方法の手順を示すフロー図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る放射性廃棄物の固化処理装置の構成を示す図である。
【図3】120℃で各実施例および比較例の固化体を加熱してときの残存水量/初期添加水量(%)の経時変化を示す図である。
【図4】200℃で各実施例および比較例の固化体を加熱してときの残存水量/初期添加水量(%)の経時変化を示す図である。
【図5】放射線照射試験による水素ガスの発生率(加熱後の固化体の水素ガス発生量/加熱前の固化体の水素ガス発生量(%))を示す図である。
【図6】200℃での加熱処理後の固化体の一軸圧縮強度を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1…放射性廃棄物、2…水硬性無機固化材、3…骨材、4…オフガス、10…放射性廃棄物の固化処理装置、11…ミキサー、12…収納容器、13…移送装置、14…水分除去装置、15…水分分離手段、16…オフガス処理手段。




 

 


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