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発明の名称 作業装置および作業方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24857(P2007−24857A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−326072(P2005−326072)
出願日 平成17年11月10日(2005.11.10)
代理人 【識別番号】100103333
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 治
発明者 島村 光明 / 前原 剛 / 亀山 育子 / 安達 弘幸 / 湯口 康弘 / 田口 徹
要約 課題
少ない設置回数で短時間の内に広範囲へ移動可能で、大きな作業反力を支持できる作業装置を提供する。

解決手段
作業装置は、構造物に対して作業を行なう作業機器30と、閉じた状態で作業機器30を作業位置まで移動する展開機構23、32と、作業機器および展開機構を作業位置へ搬送するための搬送機構(たとえば、水平スラスタ26)と、構造物の下面へ作業機器30を押し付ける押し付け機構(たとえば、バラストタンク21)と、構造物の下側面に沿って走行して位置決めする車輪24を含む走行機構と、を有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
構造物の下側で作業を行なう移動式の作業装置において、
前記作業を行なう作業機器と、
前記作業機器を移動するときは閉じ、作業を行なうときは開き得る展開機構と、
前記作業機器および展開機構を前記作業を行なう位置へ搬送する搬送機構と、
前記作業機器を前記構造物に押し付ける押付け機構と、
前記構造物の下側を前記構造物に沿って走行して位置決めする車輪を含む走行機構と、
を具備することを特徴とする作業装置。
【請求項2】
前記構造物は、原子炉圧力容器内側面とシュラウド外側面との間にほぼ水平に配置された環状のシュラウドサポートプレートであることを特徴とする請求項1に記載の作業装置。
【請求項3】
前記搬送機構は、水中で前記作業機器を潜航および浮上させるバラストタンクを具備することを特徴とする請求項1または2に記載の作業装置。
【請求項4】
水中で構造物に対して作業を施す作業装置において、
バラストタンクを含む本体ケーシングと、
本体ケーシング上部に駆動機構を介して外方へ突出自在に設けられ、前記構造物に対して各種作業を施す作業機器と、
前記本体ケーシング上部に駆動機構を介して外方へ突出自在に設けられたフロートと、
前記作業機器およびフロートの外方側に設けられ、前記構造物に当接して、前記作業機器とフロートを回動させる車輪と、
を備えたことを特徴とする作業装置。
【請求項5】
前記構造物は、原子炉圧力容器内側面とシュラウド外側面との間の空間でほぼ水平に配置された環状のシュラウドサポートプレートおよびそのシュラウドサポートプレートの下方の空間にある構造物であることを特徴とする請求項4に記載の作業装置。
【請求項6】
前記作業機器は、点検用センサ、目視検査用カメラ、超音波探傷用センサおよび渦流探傷用センサから選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の作業装置。
【請求項7】
前記作業機器は、磨き作業を行なうブラシ、研磨治具、水洗浄用のノズル、ウォータージェットピーニングヘッド、レーザーピーニングヘッド、補修溶接を行なう溶接ヘッドおよび溶接部の研削を行なう研削治具から選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の作業装置。
【請求項8】
前記搬送機構は、前記作業機器を、少なくとも上下移動、水平移動および鉛直軸回りの回転動作させることができるスラスタを具備することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の作業装置。
【請求項9】
前記走行機構は、少なくとも3個の車輪と、この車輪を展開し押し付ける展開機構と、を具備することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の作業装置。
【請求項10】
前記車輪は、大径側が下側になるように取り付けられた円錐台形状を有し、壁面に押し付けながら回転させることにより上方に移動する力を作用させることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の作業装置。
【請求項11】
高分子樹脂材料を用いた機構構成部材または強度保持部材を含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の作業装置。
【請求項12】
構造物の下側で作業を行なう作業方法において、
作業機器および展開機構を、その展開機構が閉じた状態で作業位置まで搬送し、
作業機器および展開機構を前記作業位置まで搬送した後に前記展開機構を開いて前記作業機器を前記構造物の下側に設定し、
前記設定された作業機器を前記構造物の下面へ押し付け、
前記作業機器を前記構造物の下側面に沿って動かしながら位置決めし、
前記走行して位置決めされた作業機器により前記構造物に対して作業を行なう、
ことを特徴とする作業方法。
【請求項13】
前記構造物は、原子炉圧力容器内側面とシュラウド外側面との間にほぼ水平に配置された環状のシュラウドサポートプレートであることを特徴とする請求項12に記載の作業方法。
【請求項14】
原子炉圧力容器とシュラウドとの間に設けられたシュラウドサポートプレートの下側で作業を行なう作業方法において、
前記シュラウドサポートプレートに設けられたアクセスホールに取り付けられたアクセスホールカバーを取り外し、
前記カバー取り外しステップの後に、作業機器を、前記アクセスホールを通して前記シュラウドサポートプレートの下側に搬送し、
前記搬送ステップの後に搬送された作業機器を用いて原子炉内炉下部に対して水中で作業を行なう、
ことを特徴とする作業方法。
【請求項15】
前記作業機器は、点検用センサ、目視検査用カメラ、超音波探傷用センサおよび渦流探傷用センサから選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項12ないし14のいずれか一項に記載の作業装置方法。
【請求項16】
前記作業機器は、磨き作業を行なうブラシ、研磨治具、水洗浄用のノズル、ウォータージェットピーニングヘッド、レーザーピーニングヘッド、補修溶接を行なう溶接ヘッドおよび溶接部の研削を行なう研削治具から選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項12ないし15のいずれか一項に記載の作業装置方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉内炉下部などの作業を行なう作業装置および作業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原子炉内作業装置は、原子炉圧力容器(RPV)の内壁や原子炉内構造物の点検、検査および予防保全等の炉内作業に用いられている。特に、沸騰水型原子炉(BWR)の炉下部において、シュラウドサポートプレート下部に存在する溶接線を対象とした検査の場合に、この溶接線へ原子炉内作業装置を到達させることが困難である。また、狭隘な場所であることから作業領域が限定される、または全体の作業時間が増大してしまうといった難題がある。これらのアクセス困難な箇所に対して、短時間でなるべく広範囲の作業範囲を確保するために、下記の種々の原子炉内作業装置が提案されている。
【0003】
従来知られた原子炉内作業装置の第一の例として、水中における遠隔操作ビークル(Remotely Operated Vehicle:ROV)に前後進・旋回用スラスタ、昇降・横行用スラスタ、水中テレビカメラを備えた装置がある(たとえば、特許文献1参照)。この装置には、回動可能なアーム機構が取り付けられており、この機構の先端に超音波検査手段や耐放射性テレビカメラ、赤外線カメラなどの各種検査手段を交換着脱可能に取り付けられている。
【0004】
この例では、上記アーム機構の先端にX−Yスキャナ機構を配置し、この機構に各種検査手段を取り付けている。検査の一例として、水中ROVのスラスタによりアーム機構および各種検査手段を検査部位まで搬送し、上記X−Yスキャナを検査部位の近傍に押し付けて、その動作自由度により検査手段を走査して検査を行なうものである。
【0005】
また、従来知られた原子炉内作業装置の第二の例としては次のようなビークルタイプの移動体がある(たとえば、特許文献2参照)。この装置では、シュラウドサポートプレート下において複数の車輪付き腕(シリンダロッド)をRPVおよびシュラウドサポートに向けて伸ばして装置自身を仮固定する。そして、移動体に設けられたスラスタ若しくは車輪を駆動して円周方向に沿って作業箇所まで移動させ、そこでシリンダロッドの押付け圧を増して強固に固定する。
【0006】
この例では、作業対象からの作業反力を展開して押し付けた車輪により保持しているので、大きな作業反力を保持することができる。また車輪を駆動して走行移動することにより、円周方向に正確な位置決めが可能になり位置再現性を確保することができる。
【特許文献1】特開平11−14784号公報
【特許文献2】特開2001−296385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の原子炉内水中において炉下部シュラウドサポートプレート下の溶接線に対しては、遊泳式ビークルに検査カメラを搭載しVT検査(Visual Testing:目視検査)を行なう装置または上記遊泳式ビークルとアームを組合わせてUT探触子を搭載してUT検査(Ultrasonic Testing:超音波探傷検査)を行なう装置がある。
【0008】
このような遊泳移動ビークルおよびアーム等の補助機構によれば、可搬性と機動性に優れることから短時間で広範囲の検査が可能であり、効率的な作業が実現される。
【0009】
しかしながら、ブラシによる磨き、水洗浄や、ウォータージェットピーニング、レーザーピーニングによる予防保全や溶接作業は作業反力が大きく、上記の遊泳移動式ビークルによる搬送、位置決めまたは保持では作業困難である。さらに、正確な移動、位置決めも難しく、位置再現性を確保することが困難である、という課題があった。
【0010】
これに対して走行車輪を圧力容器内壁とシュラウドサポートに向けて展開し位置固定を行ないスラスタまたは車輪を駆動して水平移動する方式によれば、大きな作業反力の支持が可能で正確な移動、位置決めが可能となると考えられる。
【0011】
しかし、シュラウドまたはRPVの円周方向に車輪で走行したときに上下位置がずれてしまうことが懸念され、この上下位置のずれを防止または抑制することが困難である、という課題があった。
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、少ない設置回数で短時間の内に広範囲へ移動可能であり、大きな作業反力を支持可能で、しかも構造物に沿いながら正確に移動し位置決めを行なうので、位置再現性を容易に確保することができる作業装置および作業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一つの態様の作業装置は、構造物の下側で作業を行なう移動式の作業装置において、前記作業を行なう作業機器と、前記作業機器を移動するときは閉じ、作業を行なうときは開き得る展開機構と、前記作業機器および展開機構を前記作業を行なう位置へ搬送する搬送機構と、前記作業機器を前記構造物に押し付ける押付け機構と、前記構造物の下側を前記構造物に沿って走行して位置決めする車輪を含む走行機構と、を具備することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の一つの態様の作業装置は、水中で構造物に対して作業を施す作業装置において、バラストタンクを含む本体ケーシングと、本体ケーシング上部に駆動機構を介して外方へ突出自在に設けられ、前記構造物に対して各種作業を施す作業機器と、前記本体ケーシング上部に駆動機構を介して外方へ突出自在に設けられたフロートと、前記作業機器およびフロートの外方側に設けられ、前記構造物に当接して、前記作業機器とフロートを回動させる車輪と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の他の一つの態様の作業装置方法は、構造物の下側で作業を行なう作業装置方法において、作業機器および展開機構を、その展開機構が閉じた状態で作業位置まで搬送し、作業機器および展開機構を前記作業位置まで搬送した後に前記展開機構を開いて前記作業機器を前記構造物の下側に設定しと、前記設定された作業機器を前記構造物の下面へ押し付け、前記作業機器を前記構造物の下側面に沿って動かしながら位置決めし、前記走行して位置決めされた作業機器により前記構造物に対して作業を行なう、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の他の一つの態様の作業装置方法は、原子炉圧力容器とシュラウドとの間に設けられたシュラウドサポートプレートの下側で作業を行なう作業装置方法において、前記シュラウドサポートプレートに設けられたアクセスホールに取り付けられたアクセスホールカバーを取り外し、前記カバー取り外しステップの後に、作業機器を、前記アクセスホールを通して前記シュラウドサポートプレートの下側に搬送し、前記搬送ステップの後に搬送された作業機器を用いて原子炉内炉下部に対して水中で作業を行なう、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の作業装置および作業方法によれば、少ない設置回数で短時間の内に広範囲へ移動可能であり、大きな作業反力が支持可能である。しかも構造物に沿いながら正確に移動し位置決めを行ない得るので、位置再現性を容易に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る作業装置および作業方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、同一または類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態の原子炉内作業装置の設置状態を示す概略縦断面図である。
【0020】
本図に示すように、原子炉内作業箇所である原子炉内炉下部は、原子炉圧力容器(RPV)2の内壁と、図示しない原子燃料集合体が載置されるシュラウドサポートシリンダ5と、シュラウドサポートシリンダ5の脚部であるシュラウドサポートレグ6などに囲まれ、シュラウドサポートプレート7の下方に位置する狭隘な領域から形成されている。シュラウドサポートプレート7は、シュラウドサポートシリンダ5とRPV2の内壁との間に設けられた環嬢の水平な板である。
【0021】
前記狭隘な領域において、多数の溶接線が存在する。たとえば、シュラウドサポートシリンダ5とシュラウドサポートプレート7とを接続する溶接線であるH8水平溶接線9、RPV2とシュラウドサポートプレート7とを溶接する溶接線であるH9水平溶接線10、H10溶接線11、H11溶接線12、AD−2溶接線13等がある。
【0022】
これらの多数の溶接線9〜13に対する検査、磨き、水洗浄、予防保全、補修といった各種の作業を行なうときに、RPV2内は水で満たされ、この水中に原子炉内作業装置20が設置される。この原子炉内作業装置20には、図示しないケーブルが接続されており、このケーブルの他端はRPV2の上方に存在するオペレーテイングフロア上または燃料交換機上等に設置された制御装置の制御部および操作部に接続されている。
【0023】
ここで、原子炉内作業装置20について説明する。図2は、図1の原子炉内作業装置20の構成を示す正面図であり、図3は、図1の原子炉内作業装置20の構成を示す上面図である。図4は、図1の車輪展開機構32の構成を示す正面図である。
【0024】
図に示すように、原子炉内作業装置20は、バラストタンク21を内蔵した円筒状の本体ケーシング22を含む。この本体ケーシング22の上部には、作業機器30または走行車輪24を展開する車輪展開機構23、32が搭載されている。
【0025】
展開する走行車輪24は、少なくとも3式が設置されている。一対をなす走行車輪24の間には作業機器30が配置されている。3つの走行車輪24の上部にはそれぞれボールキャスタ25が取り付けられている。また原子炉内作業装置20の上部には、原点位置を設定するための原点検出センサ31が取り付けられている。本体ケーシング22の下部には、2基の上下スラスタ28(本図では1基のみ表示)が取り付けられ、駆動モータ27により駆動される。また本体ケーシング22の中央部にも2基の水平スラスタ26(本図では1基のみ表示)が取り付けられ、図示しない駆動モータにより駆動される。
【0026】
本体ケーシング22は、炉心支持板3の図示しない丸穴を通過可能な寸法の円筒状に形成されている。原子炉内作業装置20の全体高さも、炉心支持板3の丸穴を通過して炉下部へ進入した後に、シュラウドサポートレグ6の間を通過してシュラウドサポートプレート7の下方へ進入可能な寸法に形成されている。
【0027】
また原子炉内作業装置20の上部に配置された複数のフロート29a、29bにより、バラストタンク21に全てエアが注入された状態でも、作業装置全体の重心が浮心よりも下になるように構成されており、常に作業機器30が上方になるようにバランスしている。
【0028】
図3に示すように、原子炉内作業装置20には、少なくとも3式の車輪展開機構23、32が設置されている。図示の例では、車輪展開機構23は1式あって、2個のフロート29aと1個の車輪24、1個のボールキャスタ25が取り付けられている。車輪展開機構32は2式が対をなし、これらの車輪展開機構32にはさまれて1個のフロート29bが支持され、各車輪展開機構32の先端部に各1個の車輪24およびボールキャスタ25が取り付けられている。車輪展開機構23、32において、走行車輪24は回転軸と同軸に直結された車輪駆動モータ40により回転駆動される。
【0029】
車輪駆動モータ40の下方には、シュラウドの外側面に沿って走行距離を測定するためのローラ46と、これに直結された回転センサ45が取り付けられている。これらの走行車輪24、ローラ46および回転センサ45は、平行リンク42により本体ケーシング22側と連結されており、エアシリンダ41により車輪回転軸を鉛直に保ったまま収納される。平行リンク42は、ブラケット60およびピン61により両端が回転自在に支持されている。
【0030】
上述のように、車輪展開機構23、32を鉛直に保ったまま収納した状態で、原子炉内作業装置20をシュラウドサポートプレート7の下側に移動する。その後に、エアシリンダ41にエアを供給することにより、走行車輪24、ローラ46および回転センサ45を、シュラウドサポートシリンダ5やRPV2内壁に押し付けて水平方向の走行駆動力を発生させ、シュラウドの外周面に沿って移動することができる。そして同時に、押し付けられたローラ46および回転センサ45によって、シュラウドの外周面に沿って移動した相対距離を計測することができる。
【0031】
なお、本図に示した例では、駆動用のエアシリンダ41が本体ケーシング22の上部に配置されているが、変形例として、車輪展開機構23、32の駆動源をバラストタンク21下部に配置し、この駆動源により展開可能なリンクを構成にすることも考えられる。この場合、さらに装置重心が下がり得るので、水中での姿勢をより安定させることが可能である。
【0032】
ここで、原子炉内作業装置20の取り扱いについて説明する。図5は、本発明の実施の形態の原子炉内作業装置20の運用状態を示す正面図であり、図6は、本発明の実施の形態の原子炉内作業装置の運用状態を示す上面図である。
【0033】
原子炉内作業装置20により、たとえば、図1に示すシュラウドサポートプレート7下側の溶接線であるH8水平溶接線9に対して各種の作業を行なう。
【0034】
原子炉内作業装置20は、図示しないケーブルによって、RPV2の上方から、水で満たされたRPV2内に吊り降ろされ、上部格子板および炉心支持板3を通過して炉下部の狭隘な領域に移動される。このとき、バラストタンク21内のエアを排出して水を注入し、浮力を減少させて沈降力を発生させる。これと同時に上下スラスタ28による沈降推力と合わせて潜航する。そしてシュラウドサポートレグ6間を通過して、シュラウドサポートプレート7の下へ進入させる。
【0035】
この原子炉内作業装置20を進入させるときには、バラストタンク21にエアを注入するか内部の水を排出し、装置全体の水中重量がほぼ0kgfとなるように調整し、水平スラスタ26により水平に移動する。そして、作業機器30が、シュラウドサポートシリンダ5側へ向くように鉛直軸周りに回転し向きを合わせておく。
【0036】
次に、走行車輪24がシュラウドサポートシリンダ5の外側面に接触する直前まで走行車輪24を展開して設置する。そして、バラストタンク21にエアを注入し、内部の水を排出して発生した浮力により、原子炉内作業装置20を浮上させて、シュラウドサポートプレート7下面に3個のボールキャスタ25を接触させる。
【0037】
上述のように、原子炉内作業装置20の上下方向の位置が決定した後に、さらに展開力を増して走行車輪24を強固にシュラウドサポートシリンダ5およびRPV2内壁へ押し付ける。そして走行時には、バラストタンク21によって発生した浮力により、常にボールキャスタ25をシュラウドサポートシリンダ7下面に接触させながら走行車輪24を駆動して走行させる。この結果、原子炉内作業装置20をH8溶接線9に沿って水平に移動することができる。
【0038】
なお、H8水平溶接線9に関する円周方向の基準位置、すなわち走行の原点は、超音波式距離センサ等の原点検出センサ31により、ジェットポンプアダプタ8が固定されているシュラウドサポートプレート7の丸穴の内へり部分を下側から検出して基準位置を設定する。
【0039】
そして、ローラ46を壁面に接触させて回転センサ45により移動距離を直接計測し、原点位置からの相対移動距離を算出する。また、作業対象に対する相対位置、姿勢をスキャン機構により遠隔で調整しながら各種の作業機器30により作業を行なう。たとえば、目視検査ならばCCDカメラを作業機器30として搭載し、スキャン機構として雲台を搭載する。水平方向に移動しながら連続的に溶接線近傍を撮像し、所望の撮像領域が得られるように雲台を調整してカメラの向きを変えながら点検を行なう。
【0040】
他の超音波探傷用センサや渦電流探傷用センサにおいても、必要な自由度で構成したスキャン機構と共に搭載することにより同様に作業を行なうことができる。
【0041】
上記手順と同様にして、作業機器30をRPV2内壁側に対面するように進入して展開すれば、H9水平溶接線10に対しても各種の作業を実施することができる。
【0042】
本実施の形態によれば、原子炉内水中において原子炉圧力容器内の炉内構造物に対して各種の作業を行なう場合において、特にアクセスが困難なシュラウドサポートプレート7下の溶接線に対し、検査、磨き、水洗浄、ウォータージェットピーニングまたはレーザーピーニングによる予防保全や溶接等の補修作業が可能になる。
【0043】
また、少ない投入回数(設置回数)で広範囲へ移動できるので、効率的な作業が可能になる。
【0044】
また、走行車輪24を展開し押し付けているので、大きな反力を支持可能であり安定した作業が可能になる。
【0045】
さらに走行車輪24によりシュラウドサポートシリンダ5の外側面に対して連続走行しているので、正確で連続的な位置決めが実現され位置再現性が確保容易であり、作業の品質を向上させることができる。また浮力によりシュラウドサポートプレート7の下面に沿いながら移動することができるので、原子炉内作業装置の上下方向の位置が保証され作業品質を向上させることができる。
【0046】
作業機器30としては、磨き作業を行なうブラシ、研磨治具、水洗浄用のノズル、予防保全用のウォータージェットピーニングヘッド、レーザーピーニングヘッドまたは補修用の溶接ヘッドの中から選択して搭載する。
【0047】
これら各種の作業機器30により、磨き作業、洗浄作業または予防保全としての応力改善処理や補修作業を行なうことができる。
【0048】
したがって、検査だけでなく磨き作業、洗浄作業、予防保全としての応力改善処理または補修作業をアクセスが困難なシュラウドサポートプレート下の狭隘な領域の溶接線に対して行なうことが可能である。
【0049】
本実施の形態においては、原子炉内作業装置の搬送機構は、2基の水平スラスタ26およびバラストタンク21の浮力調整により実現される。
【0050】
バラストタンク21により発生する上昇または沈降力により上下に移動し、水平スラスタによる推進力により水平移動および鉛直軸回りの回転動作を行なう。
【0051】
本実施の形態によれば、駆動自由度が少なくなりケーブル本数を減らすことができるので、取扱性をさらに向上させることができる。また、より簡易な構造で、原子炉内作業装置20の潜航、浮上またはシュラウドサポートプレート下面への押し付けが可能となる。
本実施の形態において、好ましくは、走行車輪24を円錐台形状のゴム車輪とする。大径側が下方になるように取り付けられているので、壁面に水平に押し付けて回転することにより装置を上方にずらす方向の力を作用させることができる。
【0052】
これにより、バラストタンクによる浮力と合わせて、より強固にシュラウドサポートプレート下面へ装置を押し上げることが可能なるので、確実にシュラウドサポートプレートに沿って水平移動することが可能になる。
【0053】
[第2の実施の形態]
図7は、本発明の第5の実施の形態を示す図である。ここで、第1の実施の形態と同一または類似の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
この実施の形態では、図2に示した第1の実施の形態と比べると、作業機器30およびフロート29bを支持・駆動する駆動機構32が水平方向に隣接する2本のリンクを含んで構成されている点が異なる。その他は、前述の第1の実施の形態と同様である。
【0055】
[第3の実施の形態]
次に図8および図9により本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで、第1の実施の形態と同一または類似の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0056】
図8および図9に示すように、圧力容器2内には、開口部を有する上部格子板43と、開口部を有する炉心支持板3とが設けられている。原子炉内作業装置20は、上部格子板43の開口部や炉心支持板3の開口部を通過してシュラウド100内面からシュラウドサポートプレート7下部へアクセスするルート44と、アクセスホール46aを通過してシュラウド1外面からシュラウドサポートプレート7下部へアクセスするルート145の2種類のルート44、145によりシュラウドサポートプレート7下部へ導かれる。
【0057】
本実施の形態によれば、原子炉内水中において、圧力容器2内の炉内構造物に対して各種の作業を行なう場合、炉内の如何なる環境に対しても、シュラウドサポートシリンダ5とシュラウドサポートプレート7の溶接線であるH8水平溶接線9、圧力容器2とシュラウドサポートプレート7の溶接線であるH9水平溶接線10、シュラウドサポートレグ6とシュラウドサポートシリンダ5の溶接線であるH10溶接線11、シュラウドサポートレグ6と圧力容器2の溶接線であるH11溶接部12、ジェットポンプ8とシュラウドサポートプレート7の溶接線であるAD−2溶接線13に対して各種の作業を行なうことが可能である。
【0058】
すなわち、たとえば、制御棒ガイドチューブ141や燃料が全数据え付けられており、シュラウドサポートプレート7下部に対してアクセスルート44を採用することが不可能である場合にも、アクセスホールカバー146を取り外してアクセスルート145を採用することができる。
【0059】
図10および図11に示すように、圧力容器2内に設けられたアクセスホール46aはアクセスホールカバー146により覆われている。アクセスホールカバー146はアクセスホール周縁部46bに6個のボルト(締結部)50により固定され、アクセスホールカバー146とナット51との間にはリテイナー52が介在している。
【0060】
また各ボルト50にはナット51が係合し、ボルト50の廻り止めに寄与するストッパー53はスプリング機構からなっている。このためボルト50の取り付け、取外しを容易に実施することができる。
【0061】
すなわち、ボルト50のストッパー53がスプリング機構53により構成されるため、廻り止めキー専用の取扱い治具を用いることにより、アクセスホールカバー146の取り付け、取外しが容易になる。このような構成により、燃料(図示せず)や制御棒ガイドチューブ141などが炉内に装荷されている状態においても、アクセスホールカバー146を取り外すことにより、容易にシュラウドサポートプレート7の下方の検査や磨き、水洗浄、ウォータージェットピーニングやレーザーピーニングによる予防保全、溶接などの補修作業が可能になる。
【0062】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態の原子炉内作業装置について説明する。本発明の実施の形態では、上述した各実施の形態における原子炉内作業装置や各種作業機器の、機構構成部材や強度保持部材に高分子樹脂材料を用いる。
【0063】
具体的な材料としては、耐放射線性、吸水性、機械強度、耐熱性の良好な、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、およびポリエーテルサルフォン樹脂であり、これらの材料の一部または全てを、上記の機構構成部材や強度保持部材として適用する。
【0064】
本実施の形態によれば、金属部材を高分子樹脂材料に置き換えることが可能になり、原子炉内作業装置や各種作業機器の水中重量を軽減することができる。その結果バラストタンクを小さくすることが可能となり、全体寸法を小さくすることができる。軽量化と小型化が実現されるので、取扱い性の向上とともに、狭隘部を移動し易くなるので作業信頼性も向上させることができる。
【0065】
さらに、本発明は、上述したような各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0066】
たとえば、検査結果を表示装置に表示するようにしてもよい。
【0067】
また、上記の実施の形態では、原子炉内で作業を行なうための原子炉内作業装置およびその作業方法について説明したが、本発明は、より一般的に作業装置および作業方法として適用可能である。
【0068】
加えて、上記の実施の形態では、主として水中で作業を行う作業装置および作業方法について説明したが、以下のような変形例も考えられる。すなわち、動作機構を構成する吸着走行モジュール22と付随する機構が内部が水密に保たれたケース状のもので囲繞され、水中で吸着走行動作を行うものの、実際の作業機器は当該動作機構とは別に気中にあって、気中で作業を行う作業装置および作業方法が考えられる。また、例えば、吸着走行モジュール22のスラスタ41の形状を大きくし、スラスタの駆動源および駆動機構の規模を大きくすることによって、スラスタ41の高速回転により気中でも吸着力を発揮するに十分な風量を得られる程度の構成とすることにより、気中において作業を行う作業装置および作業方法としても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態の原子炉内作業装置の設置状態を示す概略縦断面図。
【図2】図1の原子炉内作業装置の構成を示す正面図。
【図3】図1の原子炉内作業装置の構成を示す上面図。
【図4】図1の車輪展開機構の構成を示す正面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態の原子炉内作業装置の運用状態を示す正面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態の原子炉内作業装置の運用状態を示す上面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態の原子炉内作業装置の構成を示す正面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態における原子炉内のシュラウドサポートプレート下部へのアクセスルートを概念的に示す縦断面図。
【図9】本発明の第3の実施の形態におけるアクセスホールカバーとアクセスホールカバーの位置を概念的に示す水平断面図。
【図10】本発明の第3の実施の形態におけるアクセスホールカバーを示す平面図。
【図11】本発明の第3の実施の形態におけるアクセスホールカバーを固定するボルトの近傍を示す立面図。
【符号の説明】
【0070】
1…シュラウド中間部銅、2…原子炉圧力容器(RPV)、3…炉心支持板4…シュラウド下部胴、5…シュラウドサポートシリンダ、6…シュラウドサポートレグ、7…シュラウドサポートプレート、8…ジェットポンプアダプタ、9…H8水平溶接線、10…H9水平溶接線、11…H10溶接線、12…H11溶接線、13…AD−2溶接線、20…原子炉内作業装置(水中作業装置)、21…バラストタンク、22…本体ケーシング、23…車輪展開機構、24…走行車輪、25…ボールキャスタ、26…水平スラスタ、27…駆動モータ、28…上下スラスタ、29a…フロート、29b…フロート、30…作業機器、31…原点検出センサ、32…駆動機構、40…車輪駆動モータ、41…エアシリンダ、42…平行リンク、43…上部格子板、44…シュラウドサポートプレート下部へのアクセスルート、45…回転センサ、46…ローラ、46a…アクセスホール、50…ボルト、51…ナット、52…リテイナー、53…ストッパー、60…ブラケット、61…ピン、100…シュラウド、141…制御棒ガイドチューブ、145…シュラウドサポートプレート下部へのアクセスルート、146…アクセスホールカバー




 

 


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