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発明の名称 沸騰水型原子炉用燃料集合体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24708(P2007−24708A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−208222(P2005−208222)
出願日 平成17年7月19日(2005.7.19)
代理人 【識別番号】100103333
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 治
発明者 山本 泰 / 師岡 慎一 / 黒木 政彦
要約 課題
沸騰水型原子炉用燃料集合体で、蒸気の捕集性能および排出性能を高め、燃料集合体内のボイド率を低減することができるようにする。

解決手段
燃料集合体は、相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒3と、相互に上下方向の間隔をあけて配列され、燃料棒3を水平方向に支持する複数個のスペーサ4a、4bと、を有する。燃料棒3の間を冷却水が上向きに流れる。燃料棒3に平行に、且つ上下方向に相互に間隔をあけて並ぶように、水平方向の少なくとも1箇所に配置され、スペーサ4bの一部に支持され、上下端が開放された筒状の複数の蒸気導出管5と、蒸気導出管5に上下方向にはさまれた位置に配置され、蒸気導出管5を支持するスペーサ4bとは異なるスペーサ4aに支持され、その上方の蒸気導出管5に流入する冷却水を旋回させる旋回流発生部材6と、を有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、
相互に上下方向の間隔をあけて配列され、前記複数の燃料棒を少なくとも水平方向に支持する複数個のスペーサと、
を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
前記燃料棒に平行に、且つ上下方向に相互に間隔をあけて並ぶように、水平方向の少なくとも1箇所に配置され、前記複数のスペーサの一部に支持され、上下端が開放された筒状の複数の蒸気導出管と、
前記複数の蒸気導出管に上下方向にはさまれた位置に配置され、前記蒸気導出管を支持するスペーサとは異なるスペーサに支持され、その上方の蒸気導出管に流入する冷却水を旋回させる旋回流発生部材と、
を有すること、を特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項2】
相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、
前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持するスペーサと、
を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放され、少なくとも一部の外側面にらせん状の凹凸が設けられた蒸気導出管を有すること、
を特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項3】
相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、
前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持するスペーサと、
を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放され、下端近くが下方に向けて次第に広がる形状の蒸気導出管を有すること、
を特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項4】
相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、
前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持するスペーサと、
を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放され、上端近くが上方に向けて次第に広がる形状の蒸気導出管を有すること、
を特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項5】
相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、
前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持するスペーサと、
を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放された蒸気導出管を有し、
前記蒸気導出管の上端近くで上方に延びる複数個の蒸気導出管タブが周方向に並んで配置され、これらの蒸気導出管タブが上方に向けて外側に曲げられていること、
を特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項6】
前記複数の蒸気導出管タブは同じ向きにねじられていること、を特徴とする請求項5記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項7】
相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、
前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持する少なくとも1個のスペーサと、
を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放された蒸気導出管を有し、
前記蒸気導出管を支持する前記スペーサは、当該蒸気導出管が貫通する筒状のセルを有し、そのセルの上端近くで上方に延びる複数個のセルタブが周方向に並んで配置され、これらのセルタブが上方に向けて外側に曲げられていること、
を特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項8】
前記複数のセルタブは同じ向きにねじられていること、を特徴とする請求項7記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項9】
相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、
前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持するスペーサと、
を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放され、表面の少なくとも一部に超撥水加工がなされた蒸気導出管を有すること、
を特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項10】
前記上端近くが上方に向けて次第に広がる形状の蒸気導出管の前記上端近くの内面から離れた内側に当該内面に沿って配置されて当該内面との間に環状流路を形成する筒状の液膜排出板をさらに有すること、を特徴とする請求項4記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項11】
前記環状流路の下端近くでその環状流路の半径方向の幅が下方に向かって厚くなるように、前記液膜排出板の下端近くの半径方向外側の直径が下方に向かって小さくなるように形成されていること、を特徴とする請求項10記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項12】
前記液膜排出板の下端の高さ位置は、前記蒸気導出管の上端近くで上方に向けて次第に広がる形状の部分の下端の高さ位置に一致すること、を特徴とする請求項10または請求項11記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
【請求項13】
前記複数の燃料棒は、それぞれが正方格子状に配列された複数のサブバンドルを配列して形成し、前記蒸気導出管は、前記サブバンドル同士の境界に配置されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は沸騰水型原子炉用燃料集合体に関し、特に、ボイド率低減のための機構を備えた沸騰水型原子炉用燃料集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉用燃料集合体において、燃料棒内に装填された核燃料の核反応による発熱により燃料集合体内部を通る冷却材(軽水)は加熱され、蒸気が発生する。この蒸気を局部的に高速で排出させることが可能であれば、断面平均のボイド率(液体と蒸気とからなる冷却材全体に対する蒸気の体積存在割合)が減少し、水密度は増加する。通常の沸騰水型原子炉では、ボイド率の増加に対して核反応度が減少する、つまり、ボイド反応度係数が負となるように設計されているため、水密度が増加すれば、核反応度が増加することになり、たとえば核分裂物質の濃縮度を低下させることができる、あるいは、同じ核分裂物質の量であれば、燃焼期間を増加させることができるなどの効果がある。また、ボイド率が減少すると、気液二相流圧力損失が低減できるため、ポンプ動力の低減や、二相流動の安定性を増加させることができ、また、燃料棒周辺流路の液相が増加するため、除熱性能も向上する効果がある。
【0003】
このような効果を得るために、蒸気を局所的に高速で排出させる構造の従来例として、特許文献1および特許文献2がある。
【特許文献1】特開平5−87964号公報
【特許文献2】登録特許第2609029号公報
【特許文献3】特開2004−93435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されている例では、単に蒸気排出ロッドに横穴を設けるものであって、蒸気排出ロッドへの蒸気流入量が少なく、蒸気を局所的に高速で排出させることは困難である。また、特許文献2の図5から図15にあるように旋回流を与えるのみの構造の場合には、蒸気と液相が接しているため蒸気を局所的に高速で排出させる効果は小さい。なお、特許文献2において、燃料集合体の部分長燃料棒の下流部分の全てにわたり、ねじり板を配置する構造が開示されているが、このようにねじり板を加工精度よく製造することは困難であり、また、二相流中に長尺のねじり板を設けることは流力振動が発生するおそれが考えられ、現実的な構造とは言いがたい。
【0005】
また、発明者らは、特許文献3において、疎密配列型の燃料集合体において除熱性能向上のための発明として、蒸気排出ロッドを設けた燃料集合体を発明している。この例では、燃料集合体流路中の軸方向1断面のみで蒸気導出を行なうのみであった。蒸気の発生は発熱部全長にわたっており、一断面のみの蒸気導出では核的なメリットは限定されてしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、沸騰水型原子炉用燃料集合体で、蒸気の捕集性能および排出性能を高め、燃料集合体内のボイド率を低減することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するものであって、本発明の一つの態様は、相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、相互に上下方向の間隔をあけて配列され、前記複数の燃料棒を少なくとも水平方向に支持する複数個のスペーサと、を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記燃料棒に平行に、且つ上下方向に相互に間隔をあけて並ぶように、水平方向の少なくとも1箇所に配置され、前記複数のスペーサの一部に支持され、上下端が開放された筒状の複数の蒸気導出管と、前記複数の蒸気導出管に上下方向にはさまれた位置に配置され、前記蒸気導出管を支持するスペーサとは異なるスペーサに支持され、その上方の蒸気導出管に流入する冷却水を旋回させる旋回流発生部材と、を有すること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の一つの態様は、相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持するスペーサと、を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放され、少なくとも一部の外側面にらせん状の凹凸が設けられた蒸気導出管を有すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明のさらに他の一つの態様は、相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持するスペーサと、を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放され、下端近くが下方に向けて次第に広がる形状の蒸気導出管を有すること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明のさらに他の一つの態様は、相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持するスペーサと、を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放され、上端近くが上方に向けて次第に広がる形状の蒸気導出管を有すること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明のさらに他の一つの態様は、相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持するスペーサと、を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放された蒸気導出管を有し、前記蒸気導出管の上端近くで上方に延びる複数個の蒸気導出管タブが周方向に並んで配置され、これらの蒸気導出管タブが上方に向けて外側に曲げられていること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明のさらに他の一つの態様は、相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持する少なくとも1個のスペーサと、を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放された蒸気導出管を有し、前記蒸気導出管を支持する前記スペーサは、当該蒸気導出管が貫通する筒状のセルを有し、そのセルの上端近くで上方に延びる複数個のセルタブが周方向に並んで配置され、これらのセルタブが上方に向けて外側に曲げられていること、を特徴とする。
【0013】
また、本発明のさらに他の一つの態様は、相互に水平方向の間隔をあけて配列され、上下方向に延びる複数の燃料棒と、前記複数の燃料棒の中間部を少なくとも水平方向に支持するスペーサと、を有し、前記複数の燃料棒の間を冷却水が上向きに流れるように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記燃料棒に平行に配置されて前記スペーサに支持され、上下端が開放され、表面の少なくとも一部に超撥水加工がなされた蒸気導出管を有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、沸騰水型原子炉用燃料集合体で、蒸気の捕集性能および排出性能を高め、燃料集合体内のボイド率を低減することができるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の種々の実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して重複説明は省略する。
【0016】
[第1の実施形態]
まず、図1〜図3を用いて、本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第1の実施形態を説明する。この沸騰水型原子炉用燃料集合体は、図に示すように、複数の燃料棒3が鉛直向きに配置され、正方格子状に配列され、下部タイプレート1と上部タイプレート2で上下端を保持されている。下部タイプレート1と上部タイプレート2の間に、旋回羽根付きスペーサ4aおよび蒸気導出管保持スペーサ4bが上下方向に交互に配置されている。旋回羽根付きスペーサ4aおよび蒸気導出管保持スペーサ4bによって、燃料棒3同士の水平方向の間隔が保持されている。この沸騰水型原子炉用燃料集合体は、図示しない四角筒状のチャンネルボックスで側面を覆った上で原子炉内に収容され、冷却材が上向きに流れるようにして使用される。
【0017】
旋回羽根付きスペーサ4aは、燃料棒3を水平方向に支持するほか、旋回羽根6を支持している。旋回羽根6は、複数の燃料棒3によって水平方向に囲まれた位置に配置され、燃料棒3の間を上昇する冷却材に旋回を与える機能を有する。また、蒸気導出管保持スペーサ4bは、燃料棒3を水平方向に支持するほか、蒸気導出管5を支持している。蒸気導出管5は、上下方向に延びる筒状のものであって、上下端が開放され、内部に冷却材が流れるようにできている。蒸気導出管5と旋回羽根6は水平方向位置がほぼ一致し、上下方向に間隔をおいて並ぶように配置されている。
【0018】
なお、図示の例では、蒸気導出管5と旋回羽根6が水平方向の一つの位置にのみ配置されているが、これらが、水平方向の複数位置に配置されていてもよい。
【0019】
このように構成された本実施の形態において、原子炉運転時に冷却材が上向きに流れ、蒸気導出管5の上下両端位置の差圧は、その周辺の燃料棒3周辺流路側(燃料流路側)の同一高さ位置の差圧と同一となる。ここで、燃料流路側の差圧は、位置圧損と摩擦圧損に加えて、蒸気導出管保持スペーサ4bによる局所圧損を加えたものとなっているのに対して、蒸気導出管5内流路の差圧は位置圧損、摩擦圧損、流入流出に伴う局所圧損によるものである。
【0020】
蒸気導出管5の流入流出に伴う局所圧損係数と、蒸気導出管保持スペーサ4bによる圧損係数を比較すると、蒸気導出管保持スペーサ4bによる圧損係数の方が大きいので、両方の流路の差圧が同一となるということは、主に蒸気導出管5内の流量が増加する。しかし、蒸気導出管5の入口部では旋回流により密度の重い液相が減少しているため、断面平均に比べてボイド率の高い流体が蒸気導出管5内に流入し、燃料流路側の流速よりも高速で上昇することになる。
【0021】
蒸気導出管5内に流入した断面平均に比べてボイド率の高い流体が高速で上部へ排出されてゆく結果、蒸気導出管5部の断面平均のボイド率が減少する効果が得られる。断面平均のボイド率が減少すると、核反応度が増加する。また、二相圧力損失はボイド率が高いほど大きくなるため、二相圧力損失が低減できる。さらに、燃料流路側を流れる蒸気量が減少する結果、燃料流路側のクオリティ(気液二相流における気体の質量流量割合)が減少する。除熱性能は一般的にクオリティが低いほうが除熱特性が高いため、除熱性能も向上する効果がある。
【0022】
以上より、本実施の形態によれば、断面平均ボイド率を低減でき、核反応度増加、圧力損失低減、および除熱特性を向上することができる。
【0023】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第2の実施形態を、図4および図5を用いて説明する。本実施形態では、図4に示すように、複数の燃料棒3が鉛直向きに正方格子状に配列され、下部タイプレート1と上部タイプレート2で上下端を保持されている。下部タイプレート1と上部タイプレート2の間に、複数個の蒸気導出管保持スペーサ4bが上下方向に間隔をおいて配列されている。蒸気導出管保持スペーサ4bによって、燃料棒3同士の水平方向の間隔が保持されている。この沸騰水型原子炉用燃料集合体は、第1の実施形態と同様に、図示しない四角筒状のチャンネルボックスで側面を覆った上で原子炉内に収容され、冷却材が上向きに流れるようにして使用される。
【0024】
蒸気導出管保持スペーサ4bは、燃料棒3を水平方向に支持するほか、蒸気導出管5を支持している。蒸気導出管5は、上下方向に延びる筒状のものであって、上下端が開放され、内部に冷却材が流れるようにできている。蒸気導出管5は水平方向の同じ位置に上下方向に間隔をおいて並ぶように複数個が配置されている。
【0025】
なお、図示の例では、蒸気導出管5と旋回羽根6が水平方向の2箇所に配置されているが、これらが、水平方向の何箇所に配置されていてもよい。この実施形態では、第1の実施形態とは異なり、旋回羽根6(図1および図2参照)はない。
【0026】
図5(a)および図5(b)に示すように、蒸気導出管5の外壁にらせん溝10が形成されている。
【0027】
一般に、沸騰水型原子炉の運転時の燃料側流路の上部では、環状噴霧流と呼ばれる気液二相流動様式となっている。これは、燃料棒3表面やチャンネルボックス壁面に液膜が付着して流れている状況である。したがって、蒸気導出管5外壁でも液膜流が流れている。本実施形態の蒸気導出管5の周辺では、らせん溝10によって旋回流が生じ、蒸気導出管5の外表面に沿って流れる液膜流が遠心力により剥離する。その結果、本来、燃料棒3の冷却に寄与していない液膜を燃料棒3に振り向けることができ、燃料棒3の除熱性能が向上する。また、蒸気導出管5近傍のボイド率が増加するため、下流に設けられた蒸気導出管5の入口部におけるボイド率が断面平均に比べ増加し、気液分離効果が増加する。
【0028】
上記構成の変形例として、図6に示すように、蒸気導出管5の上下端部付近に、端部に向かって広がるベルマウス状の拡大管部11a、11bを形成してもよい。上端部の拡大管部11aにより、上述の液膜流の剥離がさらに促進される。また、下端部の拡大管部11bは、下方から上昇してきた蒸気を蒸気導出管5内に取り込む効果がある。
【0029】
図6では上下端に拡大管部11a、11bを形成した例を示しているが、上端部または下端部のみに拡大管部を形成することもできる。さらに、これらの拡大管部11a、11bを形成することは、らせん溝10のない蒸気導出管5に適用することも可能である。
【0030】
また、上記実施形態では蒸気導出管5の外表面にらせん溝10を形成することとしたが、らせん状の突起を形成しても同じ効果を得ることができる。
【0031】
さらに、上記説明では、図5または図6に示すらせん溝10付き蒸気導出管5を図4に示す旋回羽根なし燃料集合体に適用するものとしたが、同様の蒸気導出管5を第1の実施形態(図1〜図3)の旋回羽根付き燃料集合体に適用することも可能である。
【0032】
[第3の実施形態]
次に、本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第3の実施形態を、図7を用いて説明する。本実施形態では、図7(a)および図7(b)に示すように、蒸気導出管5の上端(出口)部に複数の切り込みが入れられて、上方に延びる複数の導出管タブ7aが周方向に並んで形成され、各導出管タブ7aの上部は外側に、たとえば八方に隣接する燃料棒の中心の方向に開くように曲げられている。その他の構成は、第1の実施形態(図1〜図3)または第2の実施形態(図4)と同様である。
【0033】
第2の実施形態の説明で述べたように、蒸気導出管5の外壁には液膜が付着し流れているが、実は、内壁にも液膜が付着して流れている。図7に示すような導出管タブ7aを設けることにより、内壁面に付着している液膜を隣接する燃料棒3側へ飛散させる作用をもつ。
【0034】
蒸気導出管5の内外壁に付着して流れる液膜を燃料棒側へ飛散させる結果、本来、燃料棒3の冷却に寄与していない液膜を燃料棒3に振り向けることができ、燃料棒3の除熱性能が向上する。また、蒸気導出管5近傍のボイド率が増加するため、下流に設けられた蒸気導出管5の入口部におけるボイド率が断面平均に比べて増加し、気液分離効果が増加する。
【0035】
上記実施形態の変形例として、図7(c)に示すように、各導出管タブ7aを同じ向きにねじってもよい。このようにすることによって、蒸気導出管5の周辺の旋回流を促進することができ、それによって液膜を燃料棒側へ導くことができる。
【0036】
また、さらに他の変形例として、図7に示す導出管タブ7aを有する蒸気導出管の外表面に、図6に示すらせん状の凹凸を形成してもよい。
【0037】
[第4の実施形態]
次に、本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第4の実施形態を、図8を用いて説明する。本実施形態では、蒸気導出管保持スペーサ4bにおいて、図8(b)に示すように蒸気導出管5を取り巻く筒状のセル9を設けて、セル9と蒸気導出管5を接合し、セル9の下流側(上部)にはセルタブ7bを設ける。このセルタブ7bは、第3の実施形態における蒸気導出管5の導出管タブ7a(図7)と同様のものであって、上部は外側に開くように曲げられている。また、蒸気導出管保持スペーサ4bの格子部を構成するバー8とセル9とが接合されている。その他の構成は、第1の実施形態(図1〜図3)または第2の実施形態(図4)と同様である。
【0038】
この実施形態によれば、蒸気導出管5外壁の液膜流の剥離を促進させることができる。蒸気導出管5の内外壁に付着して流れる液膜を燃料棒側へ飛散させる結果、本来、燃料棒の冷却に寄与していない液膜を燃料棒に振り向けることができ、燃料の除熱性能が向上する。また、蒸気導出管近傍のボイド率が増加するため、下流に設けられた蒸気導出管5の入口部におけるボイド率が断面平均に比べ増加し、気液分離効果が増加する。
【0039】
本実施形態の変形例として、図9に示すように、各セルタブ7bを同じ向きにねじることもできる。これにより、セル9の周囲の冷却材の流れに旋回が生じ、遠心力によって液膜の剥離が促進される。
【0040】
なお、上記実施形態は格子型スペーサを前提とした例であるが、図8(b)のセル9を燃料棒の代わりに設ければよいので、どのようなスペーサに対しても設置可能である。
【0041】
[第5の実施形態]
次に、本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第5の実施形態を、図4および図10を用いて説明する。本実施形態では、蒸気導出管5の内外壁の少なくとも一方に酸化チタンなどの超撥水加工を施す。燃料集合体としての構成例としては、第1の実施形態(図1より図3)または第2の実施形態(図4)における蒸気導出管5の表面に超撥水加工を施したものとすればよい。この実施形態で、第2の実施形態(図4)の蒸気導出管5のようならせん状の凹凸はあってもなくてもよい。
【0042】
蒸気導出管5の内外壁に超撥水加工を施すことにより、図10(b)に示すように、蒸気導出管5の表面を流れる液膜22と壁面との接触面積が減少し、壁面摩擦力が減少する。また、壁面摩擦力が減少した結果、液膜流速も増加し、気液の速度差が減少して、二相圧力損失が減少する。
【0043】
蒸気導出管5の圧力損失が減少する結果、流入する流体が増加し、流速が増すので、蒸気がより高速で排出されるようになり、断面平均ボイド率の減少幅が増加する。また、液膜の流速も増加しているため、前述の第2、第3、第4の実施形態の特徴と組み合わせることにより液膜飛散効果を増加させ、蒸気導出管5内のボイド率を増加させることができ、やはり断面平均ボイド率の減少幅が増加させる効果を得られる。
【0044】
[第6の実施形態]
次に、本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第6の実施形態を、図11および図12を用いて説明する。本実施形態は、図6に示した実施形態(第2の実施形態の変形例)と同様に、蒸気導出管5の外面にらせん溝10が設けられ、さらに、上下端部にベルマウス状拡大管部11a、11bが形成されている。本実施形態では、図11(a)に示すように、上端部にベルマウス状拡大管部11aの内側に沿って筒状の液膜排出板13が配置されている。ベルマウス状拡大管部11aと筒状の液膜排出板13との間には環状流路23が形成されている。その他の構成は、第1の実施形態(図1〜図3)または第2の実施形態(図4)と同様である。
【0045】
なお、らせん溝10は配置していなくてもよい。
【0046】
さらに、図11(b)に示すように液膜排出板12の下端形状を内側に向けたテーパを設けてもよい。また、液膜排出板12の下端位置を外側の蒸気導出管5の壁が鉛直になっている位置まで延びているのが好ましい。
【0047】
蒸気導出管5内部の流れは、液体が非常に少ない環状噴霧流と呼ばれる二相流動様式となっている。蒸気中の液滴は、蒸気導出管5内面に付着して液膜22を形成している。蒸気導出管5上端はベルマウス状拡大管部11aとなっているが、図12に示すように、液膜排出板13がないと、液膜22は慣性力のため、ほとんどの液体がベルマウス状拡大管部11aの内面に沿って外部に排出されるのではなく、直進してしまう。このため、液が上部の蒸気導出管5に流入してしまう。
【0048】
そこで、図11に示すように液膜排出板13を設けると、蒸気導出管5と液膜排出板12とで形成された環状流路23に液膜22が導かれる。この環状流路23に入った液膜22はこの環状流路23に沿って流れた後に外部へ導かれる。また、この場合に、流れの遠心力によりさらに排出が効率よく行なわれる。
【0049】
また、図11(b)に示されるように、液膜排出板13の下端形状を内側に向けたテーパ14を設けて環状流路23の下端部の半径方向の幅を広げることにより、液膜22をこの環状流路23に効率よく導くことができる。さらに、液膜排出板13の下端位置を、外側の蒸気導出管5の壁が鉛直になっている位置までにすることにより、液膜22をこの環状流路23に効率よく導くことができる。
【0050】
液膜排出板13により蒸気導出管5内部の液体を蒸気導出管5外部に排出できると、蒸気導出管5出口でのボイド率が増加する。そのため、下流に設けられた蒸気導出管5の入口部におけるボイド率が断面平均に比べ増加し、気液分離効果が増加する。
【0051】
[第7の実施形態]
次に、本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第7の実施形態を、図13を用いて説明する。図13では、燃料集合体は16行16列の燃料棒配列となっており、燃料集合体の中央に一つの角型ウォータロッド12を有している。また、16行16列の燃料棒配列は、8行8列の燃料棒配列を有する4個のサブバンドルに分けられ、サブバンドルとサブバンドルの間の燃料棒3のピッチはサブバンドル内の燃料棒3のピッチより大きくしている。さらに、このサブバンドル間のスペースに、蒸気導出管5が16本配置されている。蒸気導出管5は前記第1ないし第6の実施形態のいずれかの構成とする。
【0052】
蒸気導出管5をサブバンドル間に配置し、第1ないし第6の実施形態のいずれかの構成とすることにより、第1ないし第6の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0053】
[その他の実施形態]
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、これらは単なる例示であって、本発明はこれらに限られるものではない。上記各実施形態の特徴を種々に組み合わせた実施形態もありうる。たとえば、第5の実施形態のように蒸気導出管5の内外壁の少なくとも一方に超撥水加工を施すことは、他のどの実施形態とも組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第1の実施形態の構造を示す概略全体立面図。
【図2】図1のA−A線矢視水平断面図。
【図3】図1のB−B線矢視水平断面図。
【図4】本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第2の実施形態の構造を示す概略全体側面図。
【図5】図4の沸騰水型原子炉用燃料集合体の蒸気導出管の一つを取り出して示す図であって、(a)は立面図、(b)は(a)のC−C線矢視拡大水平断面図。
【図6】図4の沸騰水型原子炉用燃料集合体の蒸気導出管を取り出して示す図であって、(a)の変形例の立面図。
【図7】本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第3の実施形態の蒸気導出管の一つを取り出して示す図であって、(a)は立面図、(b)は平面図、(c)は(b)の変形例の平面図。
【図8】(a)は本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第4の実施形態の蒸気導出管近傍を示す部分平面図、(b)は(a)の蒸気導出管近傍を示す部分立断面図。
【図9】図8(a)の蒸気導出管近傍の変形例を示す部分平面図。
【図10】本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第5の実施形態の作用を説明するための蒸気導出管近傍の液膜形成状況を示す模式的立断面図であって、(a)は従来の蒸気導出管近傍を示す図、(b)は第4の実施形態の蒸気導出管近傍を示す図。
【図11】(a)は本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第6の実施形態の蒸気導出管の上端部近傍を示す部分立断面図、(b)は(a)のD部拡大立断面図。
【図12】本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第6の実施形態の蒸気導出管の作用説明するための図であって、液膜排出板がない場合のようすを示す蒸気導出管の上端部近傍の模式的立断面図。
【図13】本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体の第7の実施形態の模式的平断面図。
【符号の説明】
【0055】
1…下部タイプレート
2…上部タイプレート
3…燃料棒
4a…旋回羽根つきスペーサ
4b…蒸気導出管保持スペーサ
5…蒸気導出管
6…旋回羽根
7a…導出管タブ
7b…セルタブ
8…バー
9…セル
10…らせん溝
11a,11b…拡大管部
12…ウォータロッド
13…液膜排出板
22…液膜
23…環状流路
31…ストップリングまたはスプリング




 

 


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