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発明の名称 無線エントランスシステム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−124474(P2007−124474A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−316194(P2005−316194)
出願日 平成17年10月31日(2005.10.31)
代理人 【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
発明者 田中 康英
要約 課題
送信側無線通信装置での現用系装置から待機系装置への切替時に発生する送信信号のオフセットを受信側無線通信装置で吸収する無線エントランスシステムを提供する。

解決手段
切替予告信号検出手段184は、切替前の第1無線フレームから切替予告信号を検出したときに、AGC回路170及びキャリア再生回路174をホールドすると共に、推定信号受信回路178で推定信号を取得するタイミングを通知する。推定信号受信回路178は、前記タイミングに基づいて、切替後の第2無線フレームから前記推定信号を取得して位相差推定回路180及びゲイン差推定回路182に出力する。位相差推定回路180は、切替前後の無線フレームの位相オフセットを推定し、ゲイン差推定回路182は、切替前後の無線フレームのゲインオフセットを推定する。
特許請求の範囲
【請求項1】
送信側無線通信装置から無線回線を介して受信側無線通信装置に送信信号を送信する無線エントランスシステムにおいて、
前記送信側無線通信装置は、現用系装置と待機系装置とを備え、
前記受信側無線通信装置は、切替予告信号検出手段とキャリア再生回路とAGC回路と位相差推定回路とゲイン差推定回路とを備え、
前記送信信号は、伝送データと、前記現用系装置から前記待機系装置への切替を前記受信側無線通信装置へ予告するために前記伝送データに挿入される切替予告信号と、前記切替予告信号の挿入後に前記現用系装置から前記待機系装置へ切り替えられたことを前記受信側無線通信装置へ通知するために前記伝送データに挿入される推定信号とを含み、
前記現用系装置は、前記伝送データに前記切替予告信号を挿入し、
前記待機系装置は、前記切替予告信号の挿入後の前記現用系装置から前記待機系装置への切替時に、前記伝送データに前記推定信号を挿入し、
前記切替予告信号検出手段は、検出した前記切替予告信号に基づいて前記受信側無線通信装置で前記推定信号を受信するタイミングを割り出し、割り出した前記タイミングに基づいて前記キャリア再生回路及び前記AGC回路をホールドし、
前記位相差推定回路は、前記受信側無線通信装置が前記推定信号を受信したときに、切替前後の前記送信信号の位相オフセットを推定して、推定した前記位相オフセットを前記キャリア再生回路に出力し、
前記ゲイン差推定回路は、前記受信側無線通信装置が前記推定信号を受信したときに、切替前後の前記送信信号のゲインオフセットを推定して、推定した前記ゲインオフセットを前記AGC回路に出力し、
前記キャリア再生回路は、入力された前記位相オフセット分だけスキップしてから自己のホールド状態を解除し、
前記AGC回路は、入力された前記ゲインオフセット分だけスキップしてから自己のホールド状態を解除する
ことを特徴とする無線エントランスシステム。
【請求項2】
請求項1記載の無線エントランスシステムにおいて、
前記位相差推定回路は、第1位相回転部と第2位相回転部と位相推定部とを有し、
前記第1位相回転部は、コンスタレーション上の第1〜第4象限のうちどの象限に前記推定信号が位置するのかを検出して、前記推定信号のQch成分及びIch成分を比較することにより、検出した前記象限で設定した所定の基準位相に対する前記推定信号の位相方向を検出し、前記基準位相を中心として前記推定信号を前記位相方向と逆方向に所定の第1角度だけ回転させて前記Qch成分及び前記Ich成分の大小関係を逆転させ、
前記第2位相回転部は、前記第1角度だけ回転させた前記推定信号を該第1角度よりも小さい第2角度毎に前記位相方向に回転させて、前記基準位相で前記Qch成分及び前記Ich成分の大小関係を再度逆転させ、
前記位相推定部は、{第1角度−第2角度×(第2角度の回転回数)}で算出される前記基準位相に対する前記推定信号の位相差に基づいて前記位相オフセットを推定し、推定した前記位相オフセットを前記キャリア再生回路に出力する
ことを特徴とする無線エントランスシステム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の無線エントランスシステムにおいて、
前記ゲイン差推定回路は、電力計算部と乗算判定部とを有し、
前記電力計算部は、コンスタレーション上の所定の基準電力と前記推定信号の電力との大小関係を比較し、
前記乗算判定部は、前記推定信号の電力が前記基準電力よりも大きい場合、所定の電力値毎に前記推定信号電力を減少させ、前記推定信号電力と前記基準電力との大小関係が逆転したときに、{推定信号電力−電力値×(電力値の減少回数)}で算出される電力差を前記基準電力に対する前記推定信号の電力差とし、一方で、前記推定信号の電力が前記基準電力よりも小さい場合、所定の電力値毎に前記推定信号電力を増加させ、前記推定信号電力と前記基準電力との大小関係が逆転したときに、{推定信号電力+電力値×(電力値の増加回数)}で算出される電力差を前記基準電力に対する前記推定信号の電力差とし、前記電力差に基づいて前記ゲインオフセットを推定して、推定した前記ゲインオフセットを前記AGC回路に出力する
ことを特徴とする無線エントランスシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線エントランスシステムにおいて、
前記受信側無線通信装置は、推定信号受信回路をさらに有し、
前記切替予告信号検出手段は、前記タイミングを前記推定信号受信回路に出力し、
前記推定信号受信回路は、入力された前記タイミングに基づいて前記推定信号を受信したときに、前記推定信号のQch成分及びIch成分を各々平均化して、前記Qch成分及び前記Ich成分の各平均値を前記位相差推定回路及び前記ゲイン差推定回路に各々出力し、
前記位相差推定回路は、入力された前記各平均値に基づいて前記位相オフセットを推定し、
前記ゲイン差推定回路は、入力された前記各平均値に基づいて前記ゲインオフセットを推定する
ことを特徴とする無線エントランスシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線エントランスシステムにおいて、
前記送信側無線通信装置は、前記現用系装置及び前記待機系装置に切替制御信号を各々出力する切替制御部をさらに備え、
前記現用系装置は、入力された前記切替制御信号に基づいて前記切替予告信号を前記伝送データに挿入し、
前記待機系装置は、入力された前記切替制御信号に基づいて前記推定信号を前記伝送データに挿入する
ことを特徴とする無線エントランスシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線エントランスシステムにおいて、
前記送信側無線通信装置は、前記送信信号として無線フレームを前記受信側無線通信装置に送信する場合、前記切替予告信号及び前記推定信号は、フレーム同期信号を挿入するタイミングで前記伝送データに挿入される
ことを特徴とする無線エントランスシステム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信側無線通信装置から無線回線を介して受信側無線通信装置に送信信号を送信する無線エントランスシステムに関し、前記送信側無線通信装置での現用系装置から待機系装置への切替時に発生する受信側への衝撃を前記受信側無線通信装置で吸収する無線エントランスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、送信側及び受信側に無線通信装置を配置した無線エントランスシステムでは、送信側無線通信装置に現用系装置及び待機系装置の2つの装置を具備した冗長構成とすることにより、該送信側無線通信装置の保守に必要な前記現用系装置から前記待機系装置への切替時に回線断とならないような信頼性の高いシステムを実現している。
【0003】
この場合、前記受信側無線通信装置は、前記送信側無線通信装置と同様に、現用系装置及び待機系装置を配置した冗長構成となっているので、送信側及び受信側のどちらかで前記切替を行うことが可能であるが、本明細書では、前記送信側での切替について説明する。
【0004】
特許文献1では、送信側無線通信装置から無線回線を介して受信側無線通信装置に送信信号を送信する際に、前記送信側無線通信装置内の現用系装置から待機系装置への切替時に発生するビットエラーレートの劣化(いわゆる位相ギャップあるいはローカル位相ジャンプ)等の受信側への衝撃を前記受信側無線通信装置で吸収するために、該受信側無線通信装置を図15に示す構成としている。
【0005】
すなわち、受信側無線通信装置2では、図15に示すように、図示しない送信側無線通信装置から無線回線を介してQPSK変調波の送信信号をキャリア同期回路4で受信し、該キャリア同期回路4は、受信した前記QPSK変調波に基づいて、再生クロック信号とIch成分及びQch成分のベースバンド信号とをQPSK変調波識別回路6に出力する。
【0006】
QPSK変調波識別回路6のA/Dコンバータ8a、8bは、前記各ベースバンド信号をディジタル信号に変換して識別テーブル回路10及び位相差検出回路12とに各々出力する。識別テーブル回路10は、前記各ベースバンド信号に対応する識別回路のパターンを識別出力選択回路14に出力する。位相差検出回路12は、入力された前記各ベースバンド信号に基づいて、前記送信側無線通信装置の現用系装置から待機系装置への切替による前記QPSK変調波の位相差を算出し、算出した前記位相差に基づく識別出力選択信号を識別出力選択回路14に出力する。識別出力選択回路14は、入力された前記識別回路のパターン及び前記識別出力選択信号に基づいて、Ich及びQchの復調信号を出力する。
【0007】
【特許文献1】特開平4−74043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した特許文献1の受信側無線通信装置2では、送信信号がQPSK方式であれば、送信側無線通信装置での現用系装置から待機系装置への切替前後に発生する前記衝撃の要素としての前記送信信号の位相差のオフセットを受信側無線通信装置2で吸収することが可能である。
【0009】
ここで、切替前後に発生する前記送信信号のオフセットには、該送信信号の位相差に関するオフセット(以下、位相オフセットという。)と、前記送信信号のゲインに関するオフセット(以下、ゲインオフセットという。)とが含まれる。
【0010】
しかしながら、前記送信信号が他の多値変調方式の信号である場合、受信側無線通信装置2は、前記切替時に前記送信信号の位相差を瞬時に検出し、あるいは、識別テーブル回路10から識別出力選択回路14に識別回路のパターンを迅速に出力することが困難であり、この結果、前記送信信号の位相オフセットを受信側無線通信装置2で吸収することができない。
【0011】
また、受信側無線通信装置2では、切替前後における前記送信信号のゲインオフセットに対応することができない。
【0012】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、送信信号の変調方式に関わり無く、送信側無線通信装置での現用系装置から待機系装置への切替時に発生する送信信号のオフセットを受信側無線通信装置で吸収することを可能とする無線エントランスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る無線エントランスシステムは、送信側無線通信装置から無線回線を介して受信側無線通信装置に送信信号を送信する無線エントランスシステムにおいて、前記送信側無線通信装置は、現用系装置と待機系装置とを備え、前記受信側無線通信装置は、切替予告信号検出手段とキャリア再生回路とAGC回路と位相差推定回路とゲイン差推定回路とを備え、前記送信信号は、伝送データと、前記現用系装置から前記待機系装置への切替を前記受信側無線通信装置へ予告するために前記伝送データに挿入される切替予告信号と、前記切替予告信号の挿入後に前記現用系装置から前記待機系装置へ切り替えられたことを前記受信側無線通信装置へ通知するために前記伝送データに挿入される推定信号とを含み、前記現用系装置は、前記伝送データに前記切替予告信号を挿入し、前記待機系装置は、前記切替予告信号の挿入後の前記現用系装置から前記待機系装置への切替時に、前記伝送データに前記推定信号を挿入し、前記切替予告信号検出手段は、検出した前記切替予告信号に基づいて前記受信側無線通信装置で前記推定信号を受信するタイミングを割り出し、割り出した前記タイミングに基づいて前記キャリア再生回路及び前記AGC回路をホールドし、前記位相差推定回路は、前記受信側無線通信装置が前記推定信号を受信したときに、切替前後の前記送信信号の位相オフセットを推定して、推定した前記位相オフセットを前記キャリア再生回路に出力し、前記ゲイン差推定回路は、前記受信側無線通信装置が前記推定信号を受信したときに、切替前後の前記送信信号のゲインオフセットを推定して、推定した前記ゲインオフセットを前記AGC回路に出力し、前記キャリア再生回路は、入力された前記位相オフセット分だけスキップしてから自己のホールド状態を解除し、前記AGC回路は、入力された前記ゲインオフセット分だけスキップしてから自己のホールド状態を解除することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、前記位相オフセットの推定だけでなく、前記ゲインオフセットの推定も行っているので、前記ゲインオフセットを前記受信側無線通信装置で吸収することが可能となる。換言すれば、切替前後における前記送信信号の電力レベルの偏差を前記受信側無線通信装置で吸収することができる。この結果、QPSK方式以外の多値変調方式で構成される前記送信信号のオフセット(位相オフセット及びゲインオフセット)を前記受信側無線通信装置で吸収することができる。
【0015】
また、前記AGC回路及び前記キャリア再生回路では、ホールド状態の間に前記各オフセット分だけスキップするので、前記各オフセットの影響を受けることなく前記送信信号に対するゲインコントロールやキャリア再生を行うことができる。
【0016】
ここで、前記位相差推定回路は、第1位相回転部と第2位相回転部と位相推定部とを有し、前記第1位相回転部は、コンスタレーション上の第1〜第4象限のうちどの象限に前記推定信号が位置するのかを検出して、前記推定信号のQch成分及びIch成分を比較することにより、検出した前記象限で設定した所定の基準位相に対する前記推定信号の位相方向を検出し、前記基準位相を中心として前記推定信号を前記位相方向と逆方向に所定の第1角度だけ回転させて前記Qch成分及び前記Ich成分の大小関係を逆転させ、前記第2位相回転部は、前記第1角度だけ回転させた前記推定信号を該第1角度よりも小さい第2角度毎に前記位相方向に回転させて、前記基準位相で前記Qch成分及び前記Ich成分の大小関係を再度逆転させ、前記位相推定部は、{第1角度−第2角度×(第2角度の回転回数)}で算出される前記基準位相に対する前記推定信号の位相差に基づいて前記位相オフセットを推定し、推定した前記位相オフセットを前記キャリア再生回路に出力することが好ましい。
【0017】
これにより、前記位相オフセットの推定速度が向上して、短時間で前記位相オフセットを推定することが可能となる。なお、前記基準位相とは、既知信号である切替前の送信信号の位相をいう。
【0018】
また、前記ゲイン差推定回路は、電力計算部と乗算判定部とを有し、前記電力計算部は、コンスタレーション上の所定の基準電力と前記推定信号の電力との大小関係を比較し、前記乗算判定部は、前記推定信号の電力が前記基準電力よりも大きい場合、所定の電力値毎に前記推定信号電力を減少させ、前記推定信号電力と前記基準電力との大小関係が逆転したときに、{推定信号電力−電力値×(電力値の減少回数)}で算出される電力差を前記基準電力に対する前記推定信号の電力差とし、一方で、前記推定信号の電力が前記基準電力よりも小さい場合、所定の電力値毎に前記推定信号電力を増加させ、前記推定信号電力と前記基準電力との大小関係が逆転したときに、{推定信号電力+電力値×(電力値の増加回数)}で算出される電力差を前記基準電力に対する前記推定信号の電力差とし、前記電力差に基づいて前記ゲインオフセットを推定して、推定した前記ゲインオフセットを前記AGC回路に出力することが好ましい。
【0019】
これにより、前記現用系装置から前記待機系装置への切替前後における前記ゲインオフセットの推定が可能となる。なお、前記基準電力とは、既知信号である切替前の送信信号の電力をいう。
【0020】
さらに、前記受信側無線通信装置は、推定信号受信回路をさらに有し、前記切替予告信号検出手段は、前記タイミングを前記推定信号受信回路に出力し、前記推定信号受信回路は、入力された前記タイミングに基づいて前記推定信号を受信したときに、前記推定信号のQch成分及びIch成分を各々平均化して、前記Qch成分及び前記Ich成分の各平均値を前記位相差推定回路及び前記ゲイン差推定回路に各々出力し、前記位相差推定回路は、入力された前記各平均値に基づいて前記位相オフセットを推定し、前記ゲイン差推定回路は、入力された前記各平均値に基づいて前記ゲインオフセットを推定することが好ましい。
【0021】
さらにまた、前記送信側無線通信装置は、前記現用系装置及び前記待機系装置に切替制御信号を各々出力する切替制御部をさらに備え、前記現用系装置は、入力された前記切替制御信号に基づいて前記切替予告信号を前記伝送データに挿入し、前記待機系装置は、入力された前記切替制御信号に基づいて前記推定信号を前記伝送データに挿入することが好ましい。
【0022】
さらにまた、前記送信側無線通信装置は、前記送信信号として無線フレームを前記受信側無線通信装置に送信する場合、前記切替予告信号及び前記推定信号は、フレーム同期信号を挿入するタイミングで前記伝送データに挿入されるようにすると好適である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、位相オフセットの推定だけでなく、ゲインオフセットの推定も行うので、前記ゲインオフセットを受信側無線通信装置で吸収することが可能となる。この結果、QPSK方式以外の多値変調方式で構成される送信信号のオフセットを前記受信側無線通信装置で吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る無線エントランスシステムについて、好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下に説明するが、その説明に先立ち、本実施形態の前提となる無線エントランスシステムの構成とその課題について説明する。
【0025】
先ず、本実施形態の前提となる無線エントランスシステム50の構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、無線エントランスシステム50を含む通信システム52の全体ブロック図である。図2は、無線エントランスシステム50の送信側と受信側とに各々配置される無線エントランス装置(無線通信装置)54、56の内部構成を示すブロック図である。
【0027】
無線エントランスシステム50は、有線による公衆回線網や電話網を用いて回線を接続することが困難である地域(例えば、本島と離島との間)で、無線により回線を確実に接続するために設けられるシステムであり、図1に示すように、通信システム52の送信側(図1の左側)に無線エントランス装置(送信側無線通信装置)54及びアンテナ58が各々配置され、一方で、その受信側(図1の右側)に無線エントランス装置(受信側無線通信装置)56及びアンテナ60が各々配置されている。そして、無線エントランス装置54は、アンテナ58から無線回線62を介して受信側のアンテナ60及び無線エントランス装置56と接続される。
【0028】
通信システム52の送信側には、上記した無線エントランス装置54及びアンテナ58以外に、例えば、アンテナ66が設置された基地局64及びマルチプレクサ(MUX)68が配置され、該マルチプレクサ68と無線エントランス装置54とは、光ファイバケーブル70を介して接続されている。
【0029】
一方、通信システム52の受信側には、上記した無線エントランス装置56及びアンテナ60以外に、例えば、マルチプレクサ72、74、78、無線エントランスシステム50と同一構成の無線エントランスシステム76及びアンテナ82が設置された基地局80が各々配置されている。この場合、無線エントランス装置56とマルチプレクサ72とは光ファイバケーブル84を介して接続され、マルチプレクサ72とマルチプレクサ74とは電話回線等の公衆回線網86を介して接続され、マルチプレクサ74と無線エントランスシステム76とは光ファイバケーブル88を介して接続され、無線エントランスシステム76とマルチプレクサ78とは光ファイバケーブル90を介して接続されている。
【0030】
この通信システム52では、無線エントランスシステム50、76を用いることにより、基地局64のアンテナ66に無線回線92を介して接続される携帯電話機94と、基地局80のアンテナ82に無線回線96を介して接続される携帯電話機98との間で、通話内容等の伝送データを伝送することが可能である。
【0031】
図2は、無線エントランス装置54、56の内部構成を示すブロック図であり、無線エントランスシステム76(図1参照)の図示しない無線エントランス装置も無線エントランス装置54、56と同様の構成を有する。ここでは、代表的に、無線エントランス装置54の構成について説明する。
【0032】
無線エントランス装置54は、インターフェース部100と、送信用現用系装置102aと、送信用待機系装置102bと、受信用現用系装置104aと、受信用待機系装置104bと、監視制御部110と、送受信部112とを備えている。
【0033】
ここで、携帯電話機94(図1参照)の通話者の通話内容が伝送データとして該携帯電話機94から無線回線92を介して基地局64のアンテナ66に送信され、マルチプレクサ68が、光ファイバケーブル70の伝送速度(例えば、STM−1)に対応し且つ前記伝送データを含むフレーム信号を生成し、このフレーム信号を電気信号から光に変換してインターフェース部100に出力する場合、該インターフェース部100は、入力された前記光を電気信号に変換して前記フレーム信号に含まれる前記伝送データをハイブリッド部(HYB)120を介して送信用現用系装置102aと送信用待機系装置102bとに各々出力する。
【0034】
送信用現用系装置102aは、送信用無線フレーム処理部122a及びフレーム変調部(MOD)124aを備える変調部126aと、周波数変換部(TX)128aとを有する。一方、送信用待機系装置102bは、送信用現用系装置102aと同様の構成を有し、送信用無線フレーム処理部122b及びフレーム変調部124bを備える変調部126bと、周波数変換部128bとを有する。また、送受信部112は、スイッチ130、送信フィルタ132、受信フィルタ134、低雑音増幅器136及びハイブリッド部138を有する。
【0035】
送信用無線フレーム処理部122a、122bは、入力された前記伝送データにフレーム同期信号を挿入して第1及び第2無線フレーム(送信信号)を各々生成し、生成した前記第1及び第2無線フレームをフレーム変調部124a、124bに出力する。フレーム変調部124a、124bは、入力された前記第1及び第2無線フレームに所定周波数(例えば、400[MHz])の搬送波信号を重畳させてディジタル変調を行い、変調された前記第1及び第2無線フレームを周波数変換部128a、128bに出力する。周波数変換部128a、128bは、入力された前記第1及び第2無線フレームを前記所定周波数よりも高周波の信号(例えば、10[GHz])に変換する。
【0036】
ここで、監視制御部110によるスイッチ130の切替動作によって、送信用現用系装置102aと送信フィルタ132とが接続されているとき、周波数変換部128aは、周波数変換した前記第1無線フレームをスイッチ130及び送信フィルタ132を介してアンテナ58に出力する。これにより、アンテナ58から無線回線62を介して受信側のアンテナ60に前記第1無線フレームが電波として送信される。
【0037】
一方、監視制御部110によるスイッチ130の切替動作によって、送信用待機系装置102bと送信フィルタ132とが接続されているとき、周波数変換部128bは、周波数変換した前記第2無線フレームをスイッチ130及び送信フィルタ132を介してアンテナ58に出力する。これにより、アンテナ58から無線回線62を介して受信側のアンテナ60に前記第2無線フレームが電波として送信される。
【0038】
一方、携帯電話機98(図1参照)の通話者の通話内容が伝送データとして無線エントランス装置56に伝送され、前記伝送データを含む第1又は第2無線フレームがアンテナ60から無線回線62を介してアンテナ58に電波として送信された場合、アンテナ58で電波から電気信号に変換された前記無線フレームは、受信フィルタ134を通過して低雑音増幅器136で増幅され、増幅された前記無線フレームは、ハイブリッド部138を介して受信用現用系装置104aと受信用待機系装置104bとに各々出力される。
【0039】
受信用現用系装置104aは、周波数変換部(RX)140aと、フレーム復調部(DEM)142a及び受信用無線フレーム処理部144aを備える復調部146aとを有する。一方、受信用待機系装置104bは、受信用現用系装置104aと同様の構成を有し、周波数変換部140bと、フレーム復調部142b及び受信用無線フレーム処理部144bを備える復調部146bとを有する。
【0040】
ここで、監視制御部110によるインターフェース部100内のスイッチ150の切替動作で、受信用現用系装置104aとインターフェース部100とが接続されるとき、受信用現用系装置104aの周波数変換部140aは、入力された前記第1又は第2無線フレームを所定周波数(例えば、10[GHz])よりも低周波の信号(例えば、400[MHz])に変換し、周波数変換した前記第1又は第2無線フレームをフレーム復調部142aに出力する。フレーム復調部142aは、入力された前記第1又は第2無線フレームを復調して受信用無線フレーム処理部144aに出力する。受信用無線フレーム処理部144aでは、入力された前記第1又は第2無線フレームに含まれるフレーム同期信号に基づいて前記第1又は第2無線フレームから前記伝送データを取り出し、取り出した前記伝送データをインターフェース部100に出力する。インターフェース部100では、入力された前記伝送データを含むSTM−1のフレーム信号を生成して、生成した前記フレーム信号を電気信号から光に変換し、変換した前記光を光ファイバケーブル70を介してマルチプレクサ68に出力する。
【0041】
なお、監視制御部110によるインターフェース部100内のスイッチ150の切替動作で、受信用待機系装置104bとインターフェース部100とが接続されるときには、受信用待機系装置104bは、受信用現用系装置104aと同様に、受信した前記第1又は第2無線フレームから前記伝送データを取り出し、取り出した前記伝送データをインターフェース部100に出力する。
【0042】
監視制御部110は、(1)インターフェース部100、送信用現用系装置102a、送信用待機系装置102b、受信用現用系装置104a、受信用待機系装置104b及び送受信部112を監視・制御すると共に、(2)スイッチ130、150の切替動作を制御することにより、無線エントランス装置54内で動作する装置を、送信用現用系装置102a及び受信用現用系装置104aの現用系装置から送信用待機系装置102b及び受信用待機系装置104bの待機系装置に切り替え、あるいは、前記待機系装置から前記現用系装置に切り替える。
【0043】
以上が、無線エントランスシステム50の構成に関する説明である。
【0044】
次に、無線エントランスシステム50の課題について、図1〜図3を参照しながら説明する。
【0045】
無線エントランスシステム50は、システム全体の信頼性を確保するために、図2に示すように、送信用現用系装置102a及び受信用現用系装置104aの現用系装置と、送信用待機系装置102b及び受信用待機系装置104bの待機系装置とを備えたセット予備構成を採用している。この場合、前述したように、スイッチ130、150の切替動作により、前記現用系装置(送信用現用系装置102a及び受信用現用系装置104a)から前記待機系装置(送信用待機系装置102b及び受信用待機系装置104b)への切替、あるいは、前記待機系装置から前記現用系装置への切替が可能である。
【0046】
このような切替には、(1)無線エントランス装置54の保守作業時に、作業員による監視制御部110の操作により、前記現用系装置から前記待機系装置へ切り替え、あるいは前記待機系装置から前記現用系装置へ切り替える手動切替と、(2)前記現用系装置の異常時に、監視制御部110の制御に基づくスイッチ130、150の切替動作によって、前記現用系装置から前記待機系装置に自動的に切り替わり、あるいは、前記待機系装置から前記現用系装置に切り替わる自動切替とがある。
【0047】
ここで、前記手動切替は、無線エントランス装置54の正常時での切替を想定しているので、切替時に無線回線62及び無線エントランス装置56に与える受信側への衝撃をできる限り少なくすることを可能とする切替方式が要求されている。
【0048】
また、前記現用系装置と前記待機系装置との切替には、スイッチ130の切替動作により送信用現用系装置102aと送信用待機系装置102bとを切り替える送信側切替と、スイッチ150の切替動作により受信用現用系装置104aと受信用待機系装置104bとを切り替える受信側切替とがある。
【0049】
以下の説明では、切替時の受信側への衝撃が問題となる前記送信側切替、特に、送信用現用系装置102aから送信用待機系装置102bに切り替える場合について説明する。この場合、受信側のスイッチ150は切替動作を行わず、インターフェース部100と受信用現用系装置104a及び受信用待機系装置104bとが各々接続されているものとする。また、スイッチ130の切替前に送信用現用系装置102aから送受信部112に第1無線フレームが出力され、切替後に送信用待機系装置102bから送受信部112に第2無線フレームが出力されるものとする。
【0050】
さらに、以下の説明では、通信システム52の送信側(図1の無線エントランス装置54側)から受信側(図1の無線エントランス装置56側)に第1及び第2無線フレームが送信されるものとして説明する。
【0051】
図3は、送信用現用系装置102aから送信用待機系装置102bへの切替により受信側{無線エントランス装置56(図1及び図2参照)側}に加えられる衝撃の原因となる5つのオフセット要素を図示したブロック図である。
【0052】
図2及び図3において、スイッチ130の切替動作により、送信用現用系装置102aと送受信部112との接続を、送信用待機系装置102bと送受信部112との接続に切り替えると、その切替時において、送信用現用系装置102aから送受信部112に出力される第1無線フレームと、送信用待機系装置102bから送受信部112に出力される第2無線フレームとの間で、前記各無線フレームに関する下記の5つのオフセット要素が発生する。
【0053】
すなわち、5つのオフセット要素とは、(1)送信用無線フレーム処理部122a、122bでの第1及び第2無線フレームのタイミング差、(2)フレーム変調部124a、124bでの搬送波信号(前述した400[MHz]の信号)の周波数誤差及び位相差や周波数変換部128a、128bでの高周波信号(前述した10[GHz]の信号)の周波数誤差及び位相差、(3)フレーム変調部124a、124b及び周波数変換部128a、128bでの第1及び第2無線フレームの遅延差、(4)送信用現用系装置102aから送信用待機系装置102bへの切替時間、(5)送信用現用系装置102aから送受信部112に出力される第1無線フレームの電力と送信用待機系装置102bから送受信部112に出力される第2無線フレームの電力との偏差である。
【0054】
上記した(1)のタイミング差は、図示しない電源から送信用無線フレーム処理部122a、122bへの通電のタイミングに起因する。(2)の周波数誤差や位相差は、フレーム変調部124a、124bや周波数変換部128a、128bでの配線パターンに起因するものであり、このような周波数誤差や位相差が存在すると、第1及び第2無線フレームの位相差が大きくなる。(3)の遅延差は、フレーム変調部124a、124bや周波数変換部128a、128bでの配線パターンに起因するものであり、このような遅延差が存在すると、第1及び第2無線フレームの位相差が大きくなる。(4)の切替時間は、スイッチ130の切替時刻から第2無線フレームが安定化するまでの時間である。(5)の偏差は、送信用現用系装置102aや送信用待機系装置102bの構造に起因する。
【0055】
そこで、受信側の無線エントランス装置56では、送信用現用系装置102aから送信用待機系装置102bへの切替時に、(1)〜(5)のオフセット要素に起因する第1及び第2無線フレーム間の位相オフセットやゲインオフセット(衝撃)を確実に吸収して、前記第1及び第2無線フレームから伝送データを効率よく取り出すために、送信用現用系装置102aからの第1無線フレームと、送信用待機系装置102bからの第2無線フレームとのフレーム同期を取る必要がある。
【0056】
前記フレーム同期を取るために必要な送信側での切替方式としては、下記の(A)及び(B)の2つの方式が考えられている。
【0057】
(A)の方式は、送信用現用系装置102aと送信用待機系装置102bとの間で、第1及び第2無線フレームの同期や、搬送周波数の同期や、高周波信号の同期を取ることにより、切替時に発生する前記第1及び第2無線フレームの位相オフセットやゲインオフセットを最小限に抑え、この結果、無線エントランス装置56の受信用現用系装置104a及び受信用待機系装置104bにおける前記第1及び第2無線フレームの保持時間内、及び該無線エントランス装置56のインターフェース部100におけるSTM−1のフレーム信号の同期保持時間内で、フレーム復調部142a、142bへの伝送データの入力を完了させる方式(以下、高速引き込み方式又はヒットレス切り替え方式という。)である。
【0058】
(B)の方式は、スイッチ130の切替前に、無線エントランス装置56に切替を予告する切替予告信号を伝送データに挿入して第1無線フレームを構成し、スイッチ130の切替時(切替後)に、無線エントランス装置56に切替が完了したことを通知するオフセット推定信号を伝送データに挿入して第2無線フレームを構成して、前記第1及び第2無線フレームを無線エントランス装置56に送信するという方式(以下、エラーレス切り替えという。)である。これにより、無線エントランス装置56の復調部146a、146bでは、切替時に発生する位相オフセットやゲインオフセットを受信側で瞬時に吸収することが可能となり、インターフェース部100では、前記伝送データを含むSTM−1のフレーム信号を生成する際に、エラー発生を防止することが可能となる。
【0059】
しかしながら、(A)の高速引き込み方式では、送受信間でのシーケンスが不要となり且つSTM−1のフレーム信号のエラー頻出時間が短縮されるという利点がある一方で、無線回線62の状態(フェージングの発生や降雨による伝搬経路の変化等)に左右されやすい上に、搬送周波数や高周波信号の同期を取るためのハードウェア構成が複雑になるという問題がある。
【0060】
一方、(B)のエラーレス切り替え方式は、切替時の無線回線62の品質が確保されるという利点はあるが、(A)の高速引き込み方式と同様に、無線回線62の状態に左右されやすく且つ搬送周波数や高周波信号の同期を取るためのハードウェア構成が複雑になる上に、切替シーケンスが複雑化するという問題がある。
【0061】
さらに、(A)及び(B)では、第1及び第2無線フレームの変調方式が多値変調方式で且つ高シンボルレートである程、スイッチ130の切替時に発生する上記の(1)〜(5)のオフセット要素に対応することが困難になるという問題がある。
【0062】
従って、第1及び第2無線フレームの変調方式に関わり無く、送信用現用系装置102aから送信用待機系装置102bへの切替前後に発生する前記第1及び第2無線フレームのオフセット(位相オフセット及びゲインオフセット)を、受信側の無線エントランス装置56で効率よく吸収することが可能な無線エントランスシステムが望まれている。
【0063】
以上が、無線エントランスシステム50の課題に関する説明である。
【0064】
次に、本実施形態に係る無線エントランスシステム160について、図4〜図6を参照しながら説明する。なお、本実施形態の前提となる無線エントランスシステム50(図1〜図3参照)や、従来技術に係る受信側無線通信装置2(図15参照)の構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付け、その詳細な説明については省略する。
【0065】
この無線エントランスシステム160は、上記の(A)高速引き込み方式及び(B)エラーレス切替方式を採用し且つ(B)の欠点を改善したシステムであり、図4に示すように、無線エントランス装置54、56の送受信部112内にスイッチ162を配置し且つ監視制御部(切替制御部)110から送信用無線フレーム処理部122a、122bに切替制御信号を出力し、一方で、図5に示すように、無線エントランス装置54、56の復調部146a、146b内では、切替予告信号の検出に基づいて、切替前後の位相オフセット及びゲインオフセットの推定処理を行う点で、本実施形態の前提となる無線エントランスシステム50(図1〜図3参照)とは異なる。
【0066】
なお、図4及び図5は、本実施形態に係る無線エントランスシステム160の特徴的な構成を図示しやすくするために、本実施形態の前提となる無線エントランスシステム50と同一の構成要素については、その一部を省略して図示している。
【0067】
以下の説明では、無線エントランス装置54は、第1及び第2無線フレーム(送信信号)をPSK方式によりディジタル変調し、変調した前記第1及び第2無線フレームを無線回線62(図1参照)を介して無線エントランス装置56に送信するものとして説明する。なお、無線エントランス装置54では、送信用現用系装置102aと送信用待機系装置102bとの間で、前述した各種同期が取られているものとする。
【0068】
図4において、監視制御部(切替制御部)110が送信用現用系装置102aの送信用無線フレーム処理部122a、122bに第1無線フレームの出力を指示するための切替制御信号を供給すると、該送信用無線フレーム処理部122aは、入力された前記切替制御信号に基づいて、インターフェース部100(図2参照)からの伝送データに、フレーム同期信号を挿入するタイミングで切替予告信号を挿入して第1無線フレームを生成する。また、送信用無線フレーム処理部122aは、入力された前記切替制御信号に基づいて、スイッチ130の切替を指示する第1切替タイミング信号をスイッチ162に出力する。
【0069】
スイッチ162は、入力された前記第1切替タイミング信号を第3切替タイミング信号としてスイッチ130に出力する。スイッチ130は、入力された前記第3切替タイミング信号に基づいて、送信用現用系装置102aと送信フィルタ132(図2参照)とを接続する。これにより、フレーム変調部124aでディジタル変調され且つ周波数変換部128aで周波数変換された前記第1無線フレームが、スイッチ130を介して送信フィルタ132に出力される。
【0070】
一方、監視制御部110が送信用無線フレーム処理部122a、122bに第2無線フレームの出力を指示するための切替制御信号を供給したとき、該送信用無線フレーム処理部122bは、入力された前記切替制御信号に基づいて、インターフェース部100(図2参照)からの伝送データに、フレーム同期信号を挿入するタイミングで推定信号を挿入して第2無線フレームを生成すると共に、スイッチ130の切替を指示する第2切替タイミング信号をスイッチ162に出力する。
【0071】
スイッチ162は、前記第1切替タイミング信号の代わりに入力された前記第2切替タイミング信号を、第3切替タイミング信号としてスイッチ130に出力する。スイッチ130は、入力された前記第3切替タイミング信号に基づいて、送信用現用系装置102aと送信フィルタ132(図2参照)との接続を、送信用待機系装置102bと送信フィルタ132との接続に切り替える。この結果、フレーム変調部124bでディジタル変調され且つ周波数変換部128bで周波数変換された前記第2無線フレームが、スイッチ130を介して送信フィルタ132に出力される。
【0072】
従って、無線エントランス装置54では、図6のタイムチャートに示すように、送信用現用系装置102a(図4参照)と送受信部112とが接続されている時間帯(図6での「現用系装置102aによる送信」の時間帯)では、送信用現用系装置102aから送受信部112(図2及び図4参照)及び無線回線62(図1参照)を介して、伝送データに切替予告信号が挿入されて構成される第1無線フレームが無線エントランス装置56に送信される。
【0073】
次いで、前記切替予告信号の挿入から所定時間経過した時刻で、前記切替制御信号に基づくスイッチ130の切替により送信用待機系装置102bと送受信部112とが接続される。この結果、スイッチ130の切替時に、伝送データに推定信号が挿入されて第2無線フレームが生成され、生成された前記第2無線フレームが、送信用待機系装置102bから送受信部112(図2及び図4参照)及び無線回線62(図1参照)を介して無線エントランス装置56に送信される。
【0074】
また、この無線エントランスシステム160は、(A)高速引き込み方式を採用しているので、図4に示すように、各送信用無線フレーム処理部122a、122b間では、第1及び第2無線フレームのフレーム同期を行い、各フレーム変調部124a、124b間では、搬送波信号の周波数及び位相の同期を行い、各周波数変換部128a、128b間では、高周波信号の周波数及び位相の同期を行っている。
【0075】
一方、受信側の無線エントランス装置56のフレーム復調部142a、142bは、図5に示すように、キャリア同期回路4、A/Dコンバータ8a、8b、AGC回路170、複素乗算回路172、キャリア再生回路174、判定回路176、推定信号受信回路178、位相差推定回路180及びゲイン差推定回路182とを備えている。また、受信用無線フレーム処理部144a、144bは、切替予告信号検出手段184を有する。
【0076】
無線エントランス装置54(図1、図2及び図4参照)から無線回線62を介して無線エントランス装置56に前記第1及び第2無線フレームが送信されたときに、キャリア同期回路4は、周波数変換部140a、140bから入力された前記第1及び第2無線フレームをIch成分とQch成分のベースバンド信号に変換して、前記Ich成分のベースバンド信号をA/Dコンバータ8aに出力すると共に、前記Qch成分のベースバンド信号をA/Dコンバータ8bに出力する。また、キャリア同期回路4は、前記第1及び第2無線フレームから再生クロック信号を生成して、生成した前記再生クロック信号を受信用無線フレーム処理部144a、144b、推定信号受信回路178、位相差推定回路180及びゲイン差推定回路182に各々出力する。
【0077】
A/Dコンバータ8aは、入力された前記Ich成分のベースバンド信号をディジタル変換してAGC回路170に出力し、一方で、A/Dコンバータ8bは、入力された前記Qch成分のベースバンド信号をディジタル変換してAGC回路170に出力する。
【0078】
AGC回路170は、図示しない可変ゲインアンプのゲインコントロールを行うことにより、入力された前記各ベースバンド信号のレベルを所定レベルに保持した状態で複素乗算回路172に出力する。
【0079】
複素乗算回路172は、入力された前記Ich成分及びQch成分の各ベースバンド信号と、キャリア再生回路174で生成した搬送波信号とを乗算して前記各ベースバンド信号の同期検波を行い、同期検波された前記各ベースバンド信号を判定回路176に出力する。
【0080】
キャリア再生回路174は、複素乗算回路172から出力される前記各ベースバンド信号に基づいて、複素乗算回路172に入力される前記Ich成分及びQch成分の各ベースバンド信号に重畳している搬送波信号と同じ搬送波信号を再生し、再生した前記搬送波信号を複素乗算回路172に出力する。
【0081】
判定回路176は、受信用無線フレーム処理部144a、144bにおいて伝送データ及び切替予告信号を取り出すことができるように、入力された前記再生クロック信号に基づいて、前記Ich成分及びQch成分の各ベースバンド信号をシリアルデータ信号に変換し、該受信用無線フレーム処理部144a、144bに各々出力する。
【0082】
受信用無線フレーム処理部144a、144bは、入力された前記再生クロック信号に基づいて、前記シリアルデータ信号として入力された第1及び第2無線フレームから前記伝送データを取り出し、取り出した前記伝送データをインターフェース部100に出力する。
【0083】
この場合、切替予告信号検出手段184は、前記第1無線フレームから前記切替予告信号を取り出したときに、前記切替予告信号の検出時刻から所定時間経過後の時刻において、スイッチ130の切替動作により無線フレームを出力する装置が送信用現用系装置102aから送信用待機系装置102bに切り替わり、且つ切替時に推定信号を推定信号受信回路178で取得するものと判断する。
【0084】
そこで、切替予告信号検出手段184は、前記判断に基づいて、スイッチ130の切替前後の所定期間だけAGC回路170でのゲインコントロール動作を一時的に停止させるためのAGCホールド信号を該AGC回路170に出力すると共に、前記所定期間だけキャリア再生回路174での搬送波信号の再生出力動作を一時的に停止させるためのキャリア再生ホールド信号を該キャリア再生回路174に出力する。さらに、切替予告信号検出手段184は、前記切替予告信号を検出したときから前記所定時間経過後の時刻が前記推定信号を受信するタイミングであることを推定信号受信回路178に通知する。
【0085】
ここで、切替予告信号検出手段184で判断する前記検出時刻からの所定時間とは、無線エントランス装置54の監視制御部110(図4参照)が切替制御信号を送信用無線フレーム処理部122aに出力した後に、該切替制御信号を送信用無線フレーム処理部122bに出力するまでの時間に対応する(図6参照)。従って、これらの所定時間を監視制御部110及び切替予告信号検出手段184で予め設定しておくことも可能である。
【0086】
また、切替予告信号検出手段184は、前述したように、前記AGCホールド信号及び前記キャリア再生ホールド信号を、推定信号受信回路178での前記推定信号の受信時刻前にAGC回路170及びキャリア再生回路174に各々出力するが、スイッチ130の切替前後の所定期間とは、図6に示すように、スイッチ130の切替前の所定時刻から、該スイッチ130の切替時に発生する位相オフセット及びゲインオフセットの衝撃によるエラー発生が終了する時刻までの期間(図6に示す「切替予告信号による制御期間」を参照)をいう。従って、この期間だけAGC回路170及びキャリア再生回路174の動作を一時的にホールドすれば、前記衝撃による影響を回避することが可能となる。
【0087】
推定信号受信回路178は、入力された前記タイミング及び前記再生クロック信号に基づいて前記推定信号を取得したときに、複素乗算回路172から出力された前記Ich成分及びQch成分の各ベースバンド信号を一定時間取り込み、取り込んだ前記各ベースバンド信号の各平均値を算出し、算出した前記Ich成分及びQch成分の平均値と、前記各信号レベルの平均化が終了したタイミングとを位相差推定回路180及びゲイン差推定回路182に各々出力する。
【0088】
ここで、前記一定時間とは、前記推定信号が前記伝送データに挿入される時間をいい、従って、推定信号受信回路178は、前記推定信号に係るIch成分及びQch成分の各ベースバンド信号を取り込んで平均化している(図6参照)。そのため、前記平均化終了タイミングは、前記推定信号の挿入終了時刻である。
【0089】
位相差推定回路180は、コンスタレーション上での第1〜第4象限のいずれかの象限において基準となる位相(基準位相)と、前記象限上にある推定信号の位相との位相差に基づいて、第1及び第2無線フレームの位相オフセットを推定するための回路であり、第1回転部186と第2回転部188と位相推定部190とを有する。なお、前記基準位相とは、既知信号であるスイッチ130の切替前における第1無線フレームの位相をいう。
【0090】
第1回転部186は、入力された前記推定信号に係るIch成分及びQch成分の各平均値と前記平均化終了タイミングとに基づいて、前記推定信号がコンスタレーション上のどの象限にあるのかを検出し、検出した前記象限に予め設定されている基準位相(例えば、45°、135°、225°、315°のいずれか)に対する前記推定信号の位相方向を検出する。次いで、第1回転部186は、前記基準位相を中心として前記推定信号を前記位相方向と逆方向に所定の第1角度(例えば、22.5°)だけ回転させて前記各平均値の大小関係を逆転させ、逆転させた前記各平均値を第2回転部188に出力する。
【0091】
第2回転部188は、入力された前記各平均値を有する推定信号について、前記第1角度よりも小さい第2角度(例えば、1°)毎に前記位相方向に回転させ、前記基準位相で前記Ich成分及び前記Qch成分の大小関係を再度逆転させた後に、前記第1角度、前記第2角度、前記第2角度の回転回数n及び前記基準位相を位相推定部190に出力する。
【0092】
位相推定部190は、入力された前記第1角度、前記第2角度、前記第2角度の回転回数n及び前記基準位相より、{第1角度−第2角度×(前記第2角度の回転回数n)}で算出される数値を前記基準位相に対する前記推定信号の位相差とする。ここで、前記基準位相は、前記第1無線フレームの位相であるから、前記位相差は、前記第1及び第2無線フレームの位相オフセットとなる。従って、位相推定部190は、推定した前記位相オフセットをキャリア再生回路174に出力する。
【0093】
ゲイン差推定回路182は、コンスタレーション上での基準となる電力(基準電力)と、前記コンスタレーション上にある推定信号の電力(推定信号電力)との偏差に基づいて、第1及び第2無線フレームのゲインオフセットを推定するための回路であり、電力計算部192と乗算判定部194とを有する。なお、前記基準電力とは、既知信号であるスイッチ130の切替前における第1無線フレームの電力をいう。
【0094】
電力計算部192は、前記推定信号電力と前記基準電力との大小関係を比較し、前記基準電力に対して前記推定信号電力が大きいか又は小さいかに関する情報と、前記基準電力及び前記推定信号電力とを乗算判定部194に出力する。
【0095】
乗算判定部194は、入力された前記情報が、前記推定信号電力は前記基準電力よりも大きいとする情報であるときに、所定の電力値毎に前記推定信号電力を減少させ、前記推定信号電力と前記基準電力との大小関係が逆転したときに、{推定信号電力−電力値×(前記電力値の減少回数)}で算出される数値を、前記基準電力に対する前記推定信号の電力差とする。
【0096】
一方、入力された前記情報が前記推定信号電力は前記基準電力よりも小さいとする情報である場合、乗算判定部194は、所定の電力値毎に前記推定信号電力を増加させ、前記推定信号電力と前記基準電力との大小関係が逆転したときに、{推定信号電力+電力値×(前記電力値の増加回数)}で算出される数値を、前記基準電力に対する前記推定信号の電力差とする。
【0097】
さらに、乗算判定部194は、算出した前記電力差に基づいて第1及び第2無線フレームのゲインオフセットを推定し、推定した前記ゲインオフセットをAGC回路170に出力する。
【0098】
キャリア再生回路174は、入力された前記キャリア再生ホールド信号に基づいて、推定信号受信回路178で前記推定信号を取得する前にホールドして、搬送波信号の再生処理を停止し、一定時間経過後に前記位相オフセットが入力されたときに、前記位相オフセットの分だけ前記搬送波信号をスキップさせた後に自己のホールド状態を解除する(図6参照)。
【0099】
一方、AGC回路170は、入力されたAGC回路ホールド信号に基づいて、前記推定信号を推定信号受信回路178で取得する前にホールドしてゲインコントロールを停止し、一定時間経過後に前記ゲインオフセットが入力されたときに、前記ゲインオフセットの分だけ前記Ich成分及びQch成分の各ベースバンド信号をスキップさせた後に自己のホールド状態を解除する(図6参照)。
【0100】
ここで、前記一定時間経過後の時刻は、前述したエラー区間の終了時刻である。
【0101】
次に、スイッチ130の切替前後における無線エントランス装置56の基本的な動作について、図4〜図6を参照しながら説明する。
【0102】
図5に示す無線エントランス装置56では、前述したように、無線エントランス装置54(図1、図2及び図4参照)から無線回線62を介して第1無線フレームを受信する際に、切替予告信号検出手段184で第1無線フレームから切替予告信号を検出すると、該切替予告信号検出手段184は、前記切替予告信号の検出時刻よりスイッチ130が切り替わる時刻(タイミング)を検出し、このタイミング前にキャリア再生ホールド信号をキャリア再生回路174に出力して、該キャリア再生回路174の搬送波信号の再生処理を停止させ、一方で、AGC回路ホールド信号をAGC回路170に出力して、該AGC回路170のゲインコントロールを停止させる(図6参照)。また、切替予告信号検出手段184は、前記タイミングを推定信号受信回路178に出力する。
【0103】
推定信号受信回路178は、入力された前記タイミングに基づいて、前記推定信号を取得したときに、該推定信号に係るIch成分及びQch成分のベースバンド信号の平均値を算出し、算出した前記各平均値と前記推定信号の挿入完了時刻である前記平均化終了タイミングとを位相差推定回路180及びゲイン差推定回路182に各々出力する。
【0104】
位相差推定回路180は、入力された前記各平均値及び前記平均化終了タイミングに基づいて、第1及び第2無線フレームの位相オフセットをエラー区間内で推定し、推定した前記位相オフセットを前記エラー区間の終了時刻にキャリア再生回路174に出力する。キャリア再生回路174は、入力された前記位相オフセットの分だけ前記搬送波信号をスキップさせた後に自己のホールド状態を解除する。
【0105】
一方、ゲイン差推定回路182は、入力された前記各平均値及び前記平均化終了タイミングに基づいて、第1及び第2無線フレームのゲインオフセットをエラー区間内で推定し、推定した前記ゲインオフセットを前記エラー区間の終了時刻にAGC回路170に出力する。AGC回路170は、入力された前記ゲインオフセットの分だけ前記Ich成分及びQch成分の各ベースバンド信号をスキップさせた後に自己のホールド状態を解除する。
【0106】
次に、位相差推定回路180での位相オフセットの推定動作について、図7〜図11を参照しながら説明し、ゲイン差推定回路182でのゲインオフセットの推定動作について、図12〜図14を参照しながら説明する。
【0107】
ここでは、図7に示すように、64QAMのシンボル200が配置可能なコンスタレーションとし、このシンボル200のうちの1つが推定信号のシンボル202とする。なお、図7では、座標原点O及びIch座標軸に対して45°の遠位点が推定信号のシンボル202とされている。
【0108】
先ず、位相差推定回路180(図5参照)での位相オフセットの推定動作について説明する。
【0109】
図8は、前記位相オフセットの推定動作を説明するためのフローチャートである。図9は、推定信号のシンボル202と基準位相の中心軸204とをコンスタレーション上にプロットした状態を示すグラフである。図10は、第1回転部186の動作を説明するためのグラフである。図11は、第2回転部188の動作を説明するためのグラフである。
【0110】
ここでは、基準位相の中心軸204及び推定信号のシンボル202が、図9に示すように、コンスタレーションの第2象限に各々配置され、前記基準位相がIch座標軸に対して135°であるものとして説明する。また、シンボル202の座標を(I1、Q1)とする。さらに、シンボル202は、前記基準位相の中心軸204に対して位相が進んでいるものとする。なお、これらの値I1及びQ1は、第1回転部186(図5参照)に入力された前記推定信号のIch成分及びQch成分の平均値である。
【0111】
図8において、第1回転部186(図5参照)は、シンボル202がコンスタレーション上のどの象限に存在するのかを検出する(ステップS1)。この場合、第1回転部186は、前記座標(I1、Q1)よりシンボル202(図9参照)が第2象限に存在するものと判断し、前記第2象限に基準位相(135°)及びその中心軸204を設定する。なお、シンボル202が他の象限(第1、第3又は第4象限)に存在する場合には、前記他の象限に基準位相と中心軸204とが各々設定される。
【0112】
次に、第1回転部186は、前記第2象限での中心軸204と前記座標(I1、Q1)との位置関係より、中心軸204に対するシンボル202の位相方向を検出する。この場合、I1及びQ1の絶対値の大小関係を比較することにより、前記位相方向を特定することが可能である(ステップS2)。すなわち、|I1|>|Q1|である場合、推定信号のシンボル202が基準位相の中心軸204よりも位相が進んでいるので(図9参照)、第1回転部186は、前記推定信号が前記基準位相に対して正回転方向(+方向)にオフセットしているものと判定する。
【0113】
次に、第1回転部186(図5参照)は、前記位相方向の判定結果に基づき、図10に示すように、中心軸204を中心にシンボル202を前記位相方向とは逆方向(−方向)に所定の第1角度だけ回転させる(図8のステップS3)。この場合、前記第1角度は、中心軸204とシンボル202との位相差よりも大きいことが望ましく、図10では、シンボル202を前記−方向に−22.5°(第1角度)だけ回転させている。
【0114】
この結果、前記推定信号のシンボルは、前記回転によりシンボル202からシンボル206に変化し、シンボル202の座標(I1、Q1)とシンボル206の座標(I2、Q2)とを比較した場合、Ich成分とQch成分との大小関係が逆転することになる。すなわち、図9で|I1|>|Q1|の関係であったシンボル202を、前記第1角度だけ回転させてシンボル206に変化させることにより、図10に示す|I2|<|Q2|の関係となる。
【0115】
ここで、前記第1角度を−22.5°としたときに、上記したIch成分とQch成分との大小関係の逆転が発生しているので、第1回転部186(図5参照)は、前記基準位相に対する前記推定信号の位相オフセットが22.5°〜0°の間であると判定する(図10参照)。
【0116】
そして、第1回転部186は、シンボル202の座標(I1、Q1)と、シンボル206の座標(I2、Q2)と、中心軸204の基準位相とを第2回転部188に出力する。
【0117】
第2回転部188(図5参照)では、入力された座標(I1、Q1)、座標(I2、Q2)及び前記基準位相に基づいて、図11に示すように、中心軸204を中心にシンボル206を前記位相方向に所定の第2角度毎に回転させる(図8のステップS4)。この場合、中心軸204に対して−方向にシンボル206があるので、第2回転部188は、シンボル206を+方向に、前記第1角度(22.5°)よりも小さい+1°(第2角度)毎に回転させる。
【0118】
この結果、シンボル206をn回転させたときに、該シンボル206は、中心軸204よりも+方向となってシンボル208に変化し、Ich成分とQch成分との大小関係が再度逆転する。すなわち、シンボル208の座標(In、Qn)とシンボル206の座標(I2、Q2)とを比較した場合、図10で|I2|<|Q2|の関係であったシンボル206を、前記第2角度毎にn回転させてシンボル208に変化させることにより、図11に示す|In|>|Qn|の関係となる。
【0119】
そして、第2回転部188(図5参照)は、前記第1角度と、前記第2角度と、前記第2角度の回転回数nと、中心軸204の基準位相とを位相推定部190に各々出力する。
【0120】
位相推定部190では、入力された前記第1角度と、前記第2角度と、前記第2角度の回転回数nと、中心軸204(図9〜図11参照)の基準位相とを用いて、前記基準位相に対する前記推定信号の位相差を{第1角度(22.5°)−第2角度(1°)×n+135°}の数式に基づいて算出する(ステップS5)。前述したように、前記基準位相は、スイッチ130(図2及び図4参照)の切替前における第1無線フレームの位相であるので、位相推定部190は、算出した前記推定信号の位相差を第1及び第2無線フレームの位相オフセットとして推定し、推定した前記位相オフセットをキャリア再生回路174(図5参照)に出力する(ステップS6)。
【0121】
上記した説明は、推定信号の位相が基準位相よりも進んでいる場合の位相オフセットの推定動作の説明であったが、基準位相の中心軸204(図9〜図11参照)の−方向側にシンボル202がある場合には、図8のステップS2において、中心軸204に対してシンボル202の位相方向が−方向であることを検出し、ステップS3において、中心軸204に対してシンボル202を+22.5°(第1角度)だけ回転させてシンボル206に変化させ、ステップS4において、シンボル206を−1°(第2角度)毎に回転させ、ステップS5において、{第1角度(22.5°)+第2角度(1°)×n+135°}の数式に基づいて位相オフセットを算出する。
【0122】
以上の説明が、位相差推定回路180(図5参照)での位相オフセットの推定動作についての説明である。
【0123】
次に、ゲイン差推定回路182でのゲインオフセットの推定動作について、図12〜図14を参照しながら説明する。
【0124】
図12は、前記ゲインオフセットの推定動作を説明するためのフローチャートである。図13は、推定信号のシンボル202と基準電力の円210とをコンスタレーション上にプロットした状態を示すグラフである。図14は、乗算判定部194(図5参照)の動作を説明するためのグラフである。
【0125】
ここでは、図13に示すように、座標原点Oを中心とする前記基準電力の円210の半径の外側に推定信号のシンボル202がある場合について説明する。なお、円210の半径は、前記基準電力の大きさを示している。
【0126】
図12のステップS7において、電力計算部192(図5参照)は、コンスタレーション上での推定信号電力(I12+Q121/2と前記基準電力との大小関係を比較する。図13に示すように、前記推定信号電力が前記基準電力よりも大きいので、電力計算部192(図5参照)は、前記推定信号電力が前記基準電力よりも大きいという情報と前記推定信号電力と前記基準電力とを乗算判定部194に出力する。
【0127】
次いで、乗算判定部194は、入力された前記情報に基づいて、図14に示すように、前記推定信号電力を所定の電力値毎に減少させてシンボル202を円210に接近させる(図12のステップS8)。この場合、前記推定信号電力のシンボルが円210よりも内側に移動してシンボル212に変化すると、前記推定信号電力と前記基準電力との大小関係が逆転する。すなわち、前記電力値の減少回数をmとし、シンボル212の座標を(Im、Qm)とすれば、推定信号電力(Im2+Qm21/2<基準電力の関係となる。従って、乗算判定部194は、{推定信号電力−電力値×(前記電力値の減少回数m)}の数式に基づいて、前記基準電力に対する前記推定信号の電力差を算出する(ステップS9)。
【0128】
ここで、前記基準電力は、前述したように、スイッチ130(図2及び図4参照)の切替前における前記第1無線フレームの電力であるので、前記電力差は、第1及び第2無線フレームのゲインオフセットとなる。そのため、乗算判定部194(図5参照)は、算出した前記電力差を第1及び第2無線フレームのゲインオフセットと推定して、推定した前記ゲインオフセットをAGC回路170に出力する。
【0129】
上記した説明では、推定信号電力(I12+Q121/2>基準電力の関係である場合のゲインオフセットの推定動作の説明であったが、推定信号電力(I12+Q121/2<基準電力の関係である場合には、図12のステップS8において、前記推定信号電力を所定の電力値毎に増加させ、増加回数がm回のときに前記推定信号電力と前記基準電力との大小関係が逆転した際には、ステップS9において、{推定信号電力+電力値×(前記電力値の増加回数m)}の数式に基づいてゲインオフセットを算出する。
【0130】
このように、本実施形態に係る無線エントランスシステム160によれば、位相オフセットの推定だけでなく、ゲインオフセットの推定も行うので、送信側の無線エントランス装置54での送信用現用系装置102aと送信用待機系装置102bとにおいて、切替前後に発生するゲインオフセットを、受信側の無線エントランス装置56で吸収することが可能となる。換言すれば、切替前後における第1無線フレームの電力レベルと第2無線フレームの電力レベルとに起因する前記ゲインオフセットを、受信側の無線エントランス装置56で吸収することができる。この結果、QPSK方式以外の多値変調方式での切替前後に発生するオフセット(位相オフセット及びゲインオフセット)を無線エントランス装置56で吸収することができる。
【0131】
また、AGC回路170及びキャリア再生回路174では、ホールド状態の間に前記各オフセット分だけスキップするので、前記オフセットの影響を受けることなく前記第1及び第2無線フレームに対するゲインコントロールやキャリア再生を行うことができる。
【0132】
さらに、位相差推定回路180を用いて前記位相オフセットの推定を行うことにより、該位相オフセットを短時間で推定することが可能となる。
【0133】
さらにまた、ゲイン差推定回路182を用いて前記ゲインオフセットの推定を行うことにより、送信用現用系装置102aから送信用待機系装置102bへの切替前後における前記ゲインオフセットの推定が可能となる。
【0134】
さらにまた、切替予告信号や推定信号をフレーム同期信号を挿入するタイミングで伝送データに挿入して第1及び第2無線フレームを生成しているので、挿入による前記伝送データへの影響を少なくすることが可能である。
【0135】
また、伝送データは、その信頼性を高めるために、受信側の無線エントランス装置56において、誤り訂正符号を用いて誤り訂正を行うので、図6に示すエラー発生区間が生ずるが、前記エラー発生区間で位相オフセットやゲインオフセットの吸収を行うことにより、エラー発生に関係なく、エラーレス切替を効率よく行うことができる。
【0136】
なお、本発明に係る無線エントランスシステムは、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本実施形態の前提となる無線エントランスシステムを含む通信システムのブロック図である。
【図2】図1の無線エントランス装置のブロック図である。
【図3】送信用現用系装置から送信用待機系装置への切替により発生するオフセット要素を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る無線エントランスシステムの送信側の構成を示す部分ブロック図である。
【図5】本実施形態に係る無線エントランスシステムの受信側の構成を示す部分ブロック図である。
【図6】図4及び図5の無線エントランスシステムでの無線フレームの送受信を示すタイムチャートである。
【図7】位相オフセットの推定動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】位相オフセット及びゲインオフセットの推定に用いるコンスタレーションを示すグラフである。
【図9】推定信号のシンボルと基準位相の中心軸とをコンスタレーション上にプロットした状態を示すグラフである。
【図10】第1回転部の動作を説明するためのグラフである。
【図11】第2回転部の動作を説明するためのグラフである。
【図12】ゲインオフセットの推定動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】推定信号のシンボルと基準電力の円とをコンスタレーション上にプロットした状態を示すグラフである。
【図14】乗算判定部の動作を説明するためのグラフである。
【図15】従来技術に係る受信側無線通信装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0138】
160…無線エントランスシステム 162…スイッチ
170…AGC回路 172…複素乗算回路
174…キャリア再生回路 176…判定回路
178…推定信号受信回路 180…位相差推定回路
182…ゲイン差推定回路 184…切替予告信号検出手段
186…第1回転部 188…第2回転部
190…位相推定部 192…電力計算部
194…乗算判定部




 

 


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