米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 計算機;電気通信 -> 日本無線株式会社

発明の名称 中継放送装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−104566(P2007−104566A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−295129(P2005−295129)
出願日 平成17年10月7日(2005.10.7)
代理人
発明者 柴田 孝基 / 中川 幸彦
要約 課題

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
上位局から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号の周波数と同一周波数の無線信号を下位局に送信する第1の送受信機と、同じく上位局から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号の周波数と同一周波数の無線信号を下位局に送信する第2の送受信機と、第1の送受信機または第2の送受信機のどちらで中継放送するかを選択する選択手段と、該選択手段を制御する選択制御手段と、
回り込み波検出手段と、タップ係数算出手段と、第1の送受信機において回り込み波を除去する第1の回り込みキャンセラと、該第1の回り込みキャンセラが備える第1のキャンセル波生成手段と、第2の送受信機において回り込み波を除去する第2の回り込みキャンセラと、該第2の回り込みキャンセラが備える第2のキャンセル波生成手段と、第1の切り換えタップ係数算出手段と、第2の切り換えタップ係数算出手段と、からなる中継放送装置。

【請求項2】
前記第1の回り込みキャンセラおよび第2の回り込みキャンセラは、回り込み波と同振幅で逆位相のキャンセル波を生成するキャンセル波生成手段を備え、該キャンセル波を受信波に加算することを特徴とする、請求項1に記載の中継放送装置。

【請求項3】
前記選択制御手段は、送受信機の異常動作を検知する異常動作検知手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の中継放送装置。

【請求項4】
前記異常動作検知手段は、回り込み波をキャンセルした後の受信波のサンプリング値の総和が、予め定めた閾値を超えた場合に、送受信機が異常動作していると検知することを特徴とする、請求項3に記載の選択制御手段。

【請求項5】
前記異常動作検知手段は、タップ係数算出手段により求められたタップ係数の値の総和が、予め定めた閾値を超えた場合に、送受信機が異常動作していると検知することを特徴とする、請求項3に記載の選択制御手段。

【請求項6】
前記異常動作検知手段は、第1の送受信機または第2の送受信機が再送信する信号の振幅値、または電力値が予め定めた値の範囲を逸脱した場合に、送受信機が異常動作していると検知することを特徴とする、請求項3に記載の選択制御手段。

【請求項7】
前記選択制御手段は、送受信機の故障を検知する故障検知手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の中継放送装置。

【請求項8】
前記故障検知手段は、第1の送受信機または第2の送受信機に供給される電圧値、電流値、および該送受信機の温度を測定し、いずれかの測定値が予め定めた値の範囲を逸脱した場合に、送受信機が故障していることを検知することを特徴とする、請求項7に記載の選択制御手段。

【請求項9】
前記選択制御手段は、外部からの指示または、第1の送受信機が異常動作、もしくは故障を発生した場合に、第2の送受信機を選択するよう選択手段を制御する手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の中継放送装置。

【請求項10】
前記選択制御手段は、第1の送受信機および第2の送受信機の両方が異常動作、もしくは故障のどちらかを発生した場合に、送信を停止する送信停止手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の中継放送装置。

【請求項11】
前記第2のキャンセル波生成手段は、選択手段が第2の送受信機を選択する場合に、選択に先だって、第1のキャンセル波生成手段が生成していたキャンセル波と同一のキャンセル波を生成することを特徴とする、請求項1に記載の中継放送装置。

【請求項12】
上位局から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号の周波数と同一周波数の無線信号を下位局に送信する第1の送受信機と、同じく上位局から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号の周波数と同一周波数の無線信号を下位局に送信する第2の送受信機と、第1の送受信機を構成する第1の回り込みキャンセラと、第2の送受信機を構成する第2の回り込みキャンセラと、第1の回り込みキャンセラを構成する第1のキャンセル波生成手段と、第2の回り込みキャンセラを構成する第2のキャンセル波生成手段と、可変遅延手段と、可変遅延手段を制御する遅延時間制御手段と、フィルタ補正手段と、フィルタ補正値設定手段と、第1の切り換えタップ係数算出手段と、第2の切り換えタップ係数算出手段と、からなる中継放送装置。

【請求項13】
前記可変遅延手段は、前記第1のキャンセル波生成手段を構成する第1のFIRフィルタ、および前記第2のキャンセル波生成手段を構成する第2のFIRフィルタの前、後、または前と後に、該FIRフィルタを構成する遅延器1つあたりの遅延時間よりも小さい遅延時間を生成することが可能であることを特徴とする、請求項12に記載の中継放送装置。

【請求項14】
前記フィルタ補正手段は、前記FIRフィルタの遅延器番号、位相値、および振幅値を補正することを特徴とする、請求項12に記載の中継放送装置。

【請求項15】
前記フィルタ補正値設定手段は、前記可変遅延手段、前記遅延時間制御手段、および前記フィルタ補正手段を制御し、補正値を算出し、補正値を設定し、前記FIRフィルタのタップ係数の遅延器番号、位相、および振幅値を補正することを特徴とする、請求項12に記載の中継放送装置。

【請求項16】
前記第2の切り換えタップ係数算出手段は、前記第1のFIRフィルタのタップ係数と、前記第2のFIRフィルタのタップ係数を用いて、前記選択手段が第2の送受信機へと切り換えた場合に、その直後のFIRフィルタのタップ係数を算出することを特徴とする、請求項1および請求項12に記載の中継放送装置。

【請求項17】
前記第1の切り換えタップ係数算出手段は、前記第1のFIRフィルタのタップ係数と、前記第2のFIRフィルタのタップ係数を用いて、前記選択手段が第1の送受信機へと切り換えた場合に、その直後のFIRフィルタのタップ係数を算出することを特徴とする、請求項1および請求項12に記載の中継放送装置。














発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば地上デジタル放送システムの中継局に用いられる単一周波数ネットワーク(Single Frequency Network:SFN)方式の中継放送装置に関する。

【背景技術】
【0002】
地上波テレビ放送システムにおいてネットワークを構築する方式として、放送波中継方式がある。この方式では、上位局から送信される無線信号を受信して下位局に送信する中継放送局を設けサービスエリアを拡大するものである。ここで、上位局とは、放送信号を送信する放送局あるいは他の中継局である。また、下位局とは、放送信号を受信する放送局、他の中継放送局あるいは一般家庭用受信機である。放送中継方式では、受信波と送信波の周波数が異なる複数周波数ネットワーク(Multi Frequency Network:MFN)方式が一般的である。しかし、更なる周波数利用効率を図るために受信波と送信波の周波数を同一とする単一周波数ネットワーク(Single Frequency Network:SFN)方式がある。
【0003】
SFN方式は、地上波デジタル放送システムにおいて採用されている直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)伝送方式が、一般にガードインターバルと呼ばれる信号と信号の間への冗長の付加により、遅延波によるマルチパス干渉に強くなる性質から、実現可能な中継方式である。
【0004】
SFN方式の中継放送局に設けられる中継放送装置は、上位局から送信される無線信号を受信する受信機と、それを下位局に送信する送信機とから構成される送受信機を備える。ここで、送受信機では送信信号と受信信号で同一の周波数を用いるため、送信系統と受信系統との間の信号の分離度(アイソレーション)が十分に確保されない場合には、送信信号が受信機側に帰還し(回り込み)、発振を起こす。この発振を防止するのに、中継放送装置の送受信機には、送信系統から受信系統へ回り込む信号を除去する回り込みキャンセラを設けるのが一般的である。
【0005】
特開2001−28562号には、回り込み信号と同振幅逆位相の関係にあるキャンセル信号を生成し、これを回り込み信号に加算することで回り込み信号をキャンセルする回り込みキャンセラの構成が開示されている。この構成では、回り込み信号によって干渉を受けた中継放送装置の出力信号を周波数解析し、その結果についてフーリエ変換により波形解析する。そして、その波形解析から知ることができる回り込み信号成分が低減されるように、キャンセル信号を生成する際の回路の減衰量や遅延量を決定してテーブルを作成する。
【0006】
本発明者等の出願済みの発明である特開2002−271295号と特開2002−290370号には、回り込み信号によって干渉を受けた中継放送装置の出力信号を周波数解析して求めた周波数スペクトラムの逆数から回り込み伝達関数を算出し、その回り込み伝達関数に基づいてキャンセル信号を生成する回り込みキャンセラの構成が開示されている。ここで、回り込み伝達関数とは、中継放送装置の受信アンテナから中継放送装置内部を経て中継放送装置の送信アンテナへ至り、さらに中継放送装置の受信アンテナへ至るまでの伝送路の伝達関数をいう。
【0007】
中継放送装置は、故障時あるいは点検、調整の際には非稼働状態としなければならない。しかし、中継放送装置の故障時あるいは点検、調整などのために放送サービスを停止するのは好ましくない。そこで、一般的に中継放送装置は2台方式で構成することが多い。これは、アンテナ等から構成される入力系統を共有した2台の送受信機を並列に稼働させ、選択スイッチを介して送信アンテナを片方の送受信機に接続し、送受信機を非稼働状態とする必要が生じた場合には、選択スイッチを切り換えることで送信アンテナをもう片方の送受信機に接続するものである。以下、稼働状態から非稼働状態とする送受信機を現用送受信機、もう片方の送受信機を予備送受信機とする。
【0008】
以上のような2台構成とした中継放送装置の送受信機に回り込みキャンセラを挿入して回り込み波を除去する場合、放送を一時中断せずに円滑に切り換えする手法としては、本発明者等の出願済みの発明である特願2004−196016号がある。
【特許文献1】特開2001−28562号。
【特許文献2】特開2002−271295号。
【特許文献2】特開2002−290370号。
【特許文献3】特願2004−196016号。
【特許文献4】特願2005−177531号。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者等の出願済みの発明である特願2004−196016号の第2の実施形態(図2)により、現用送受信機と予備送受信機を切り換えしたとしても、現用送受信機、予備送受信機それぞれに挿入されたそれぞれの回り込みキャンセラ回路中の線路長差や部品の特性誤差により、回り込みキャンセル信号を生成しているFIRフィルタに設定したタップ係数に対応する回り込み波と、FIRフィルタが実際に生成している回り込み波との間に存在する遅延時間誤差、位相値誤差、および振幅値誤差が異なり、切り換え時に回り込みが除去されず放送が一時的に中断されてしまう可能性が高い。回り込みキャンセラ(図3)は、回り込みキャンセラ回路中の線路長差や部品の特性誤差を考慮に入れた場合、FIRフィルタの前、もしくは後に、遅延器、移相器、および減衰器が挿入されたようにモデル化できる(図4)。
【0010】
一方、本発明者等の出願済みの発明である特願2005−177531号(図5、6、および7)では、個々の回り込みキャンセラの回り込み除去能力を最良とするために、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタに設定した回り込み波と、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタが実際に生成した回り込み波との遅延時間誤差、位相値誤差、および振幅値誤差に対するそれぞれの補正値を算出し、これらの補正値を用いてそれぞれの誤差を補正して回り込みキャンセル信号を生成している。
【0011】
これらの回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタに設定した回り込み波と、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタが実際に生成した回り込み波との遅延時間誤差、位相値誤差、および振幅値誤差は、回り込みキャンセラ毎に異なる。すなわち、遅延時間誤差、位相値誤差、および振幅値誤差に対する、遅延時間補正値、位相値補正値、および振幅値補正値も回り込みキャンセラ毎に異なる。
【0012】
従って、現用送受信機から予備送受信機側に切り換えられる直前に、現用送受信機に挿入された回り込みキャンセラから、予備送受信機に挿入された回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタに設定しているタップ係数を供給しても、回り込み波が除去されず放送が中断されてしまう可能性が高い。
【0013】
本発明は、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタに設定した回り込み波と、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタが実際に生成した回り込み波との遅延時間誤差、位相値誤差、および振幅値誤差が存在し、かつこれらの誤差が現用送受信機と予備送受信機それぞれに挿入された回り込みキャンセラで異なっていても、送信アンテナの接続を現用送受信機から予備送受信機へ切り換える場合において、回り込み波を正常に除去し、送信を中断しない中継放送装置の提供を目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成される。
(1)上位局から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号の周波数と同一周波数の無線信号を下位局に送信する第1の送受信機と、同じく上位局から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号の周波数と同一周波数の無線信号を下位局に送信する第2の送受信機と、第1の送受信機または第2の送受信機のどちらで中継放送するかを選択する選択手段と、該選択手段を制御する選択制御手段と、回り込み波検出手段と、タップ係数算出手段と、第1の送受信機において回り込み波を除去する第1の回り込みキャンセラと、該第1の回り込みキャンセラが備える第1のキャンセル波生成手段と、第2の送受信機において回り込み波を除去する第2の回り込みキャンセラと、該第2の回り込みキャンセラが備える第2のキャンセル波生成手段と、第1の切り換えタップ係数算出手段と、第2の切り換えタップ係数算出手段と、からなる中継放送装置。
【0015】
(2)前記第1の回り込みキャンセラおよび第2の回り込みキャンセラは、回り込み波と同振幅で逆位相のキャンセル波を生成するキャンセル波生成手段を備え、該キャンセル波を受信波に加算することを特徴とする中継放送装置。
【0016】
(3)前記選択制御手段は、送受信機の異常動作を検知する異常動作検知手段を備えることを特徴とする中継放送装置。
【0017】
(4)前記異常動作検知手段は、回り込み波をキャンセルした後の受信波のサンプリング値の総和が、予め定めた閾値を超えた場合に、送受信機が異常動作していると検知することを特徴とする選択制御手段。
【0018】
(5)前記異常動作検知手段は、タップ係数算出手段により求められたタップ係数の値の総和が、予め定めた閾値を超えた場合に、送受信機が異常動作していると検知することを特徴とする選択制御手段。
【0019】
(6)前記異常動作検知手段は、第1の送受信機または第2の送受信機が再送信する信号の振幅値、または電力値が予め定めた値の範囲を逸脱した場合に、送受信機が異常動作していると検知することを特徴とする選択制御手段。
【0020】
(7)前記選択制御手段は、送受信機の故障を検知する故障検知手段を備えることを特徴とする中継放送装置。
【0021】
(8)前記故障検知手段は、第1の送受信機または第2の送受信機に供給される電圧値、電流値、および該送受信機の温度を測定し、いずれかの測定値が予め定めた値の範囲を逸脱した場合に、送受信機が故障していることを検知することを特徴とする選択制御手段。
【0022】
(9)前記選択制御手段は、外部からの指示または、第1の送受信機が異常動作、もしくは故障を発生した場合に、第2の送受信機を選択するよう選択手段を制御する手段を備えることを特徴とする中継放送装置。
【0023】
(10)前記選択制御手段は、第1の送受信機および第2の送受信機の両方が異常動作、もしくは故障のどちらかを発生した場合に、送信を停止する送信停止手段を備えることを特徴とする中継放送装置。
【0024】
(11)前記第2のキャンセル波生成手段は、選択手段が第2の送受信機を選択する場合に、選択に先だって、第1のキャンセル波生成手段が生成していたキャンセル波と同一のキャンセル波を生成することを特徴とする中継放送装置。
【0025】
(12)上位局から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号の周波数と同一周波数の無線信号を下位局に送信する第1の送受信機と、同じく上位局から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号の周波数と同一周波数の無線信号を下位局に送信する第2の送受信機と、第1の送受信機を構成する第1の回り込みキャンセラと、第2の送受信機を構成する第2の回り込みキャンセラと、第1の回り込みキャンセラを構成する第1のキャンセル波生成手段と、第2の回り込みキャンセラを構成する第2のキャンセル波生成手段と、可変遅延手段と、可変遅延手段を制御する遅延時間制御手段と、フィルタ補正手段と、フィルタ補正値設定手段と、第1の切り換えタップ係数算出手段と、第2の切り換えタップ係数算出手段と、からなる中継放送装置。
【0026】
(13)前記可変遅延手段は、前記第1のキャンセル波生成手段を構成する第1のFIRフィルタ、および前記第2のキャンセル波生成手段を構成する第2のFIRフィルタの前、後、または前と後に、該FIRフィルタを構成する遅延器1つあたりの遅延時間よりも小さい遅延時間を生成することが可能であることを特徴とする中継放送装置。
【0027】
(14)前記フィルタ補正手段は、前記FIRフィルタの遅延器番号、位相値、および振幅値を補正することを特徴とする中継放送装置。
【0028】
(15)前記フィルタ補正値設定手段は、前記可変遅延手段、前記遅延時間制御手段、および前記フィルタ補正手段を制御し、補正値を算出し、補正値を設定し、前記FIRフィルタのタップ係数の遅延器番号、位相、および振幅値を補正することを特徴とする中継放送装置。
【0029】
(16)前記第2の切り換えタップ係数算出手段は、前記第1のFIRフィルタのタップ係数と、前記第2のFIRフィルタのタップ係数を用いて、前記選択手段が第2の送受信機へと切り換えた場合に、その直後のFIRフィルタのタップ係数を算出することを特徴とする中継放送装置。
【0030】
(17)前記第1の切り換えタップ係数算出手段は、前記第1のFIRフィルタのタップ係数と、前記第2のFIRフィルタのタップ係数を用いて、前記選択手段が第1の送受信機へと切り換えた場合に、その直後のFIRフィルタのタップ係数を算出することを特徴とする中継放送装置。

【発明の効果】
【0031】
本発明によれば現用送受信機と予備送受信機の状態を監視し、現用送受信機の異常動作、または故障を検知したときには現用送受信機から予備送受信機へ自動で切り換えすることができる。また、現用送受信機、および予備送受信機の両方の異常動作、または故障を検知したときには送信を停止することができる。また、本発明によれば、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタに設定した回り込み波と、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタが実際に生成した回り込み波との遅延時間誤差、位相値誤差、および振幅値誤差が存在し、かつこれらの誤差が現用送受信機と予備送受信機それぞれに挿入された回り込みキャンセラ間で異なっていても、増幅器、および送信アンテナの接続を現用送受信機から予備送受信機へ切り換える場合において、回り込み波を正常に除去し、送信を中断しない中継放送装置を実現できる。

【実施例】
【0032】
本発明の実施形態について図1を参照して説明する。受信アンテナ101で受信した信号は、分配器103に入力される。分配器103は、受信アンテナ101から入力された信号を分配し、第1の送受信機110、および第2の送受信機160へ入力する。切り換えスイッチ113は切り換え制御部133の指示に従い、送受信機110と送受信機160のいずれかを送信スイッチ135に接続する。送信スイッチ135は、切り換えスイッチ113が選択した送受信機110と送受信機160のいずれかを増幅器115に接続する。増幅器115は第1の送受信機と第2の送受信機160のいずれかから入力された信号を増幅して送信アンテナ117に入力する。送信アンテナ117は増幅器115から入力された増幅後の信号を無線送信する。また、第1の送受信機110、および第2の送受信機160では受信機105と送信機111との間に有限長インパルス応答(Finite Inpulse Responce:FIR)フィルタを帰還して挿入した形の回り込みキャンセラ140を備えている。
【0033】
各送受信機の動作について説明する。まず、第1の送受信機110、および第2の送受信機160において補正値算出、および補正値設定を実行しておく。補正値算出、および補正値設定の方法については本発明者の出願済みの発明である特願2005−177531に述べられている。本発明者等の出願済みの発明である特願2005−177531では、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタに設定したタップ係数に対応する回り込み波と、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタが実際に生成した回り込み波との遅延時間誤差、位相値誤差、および振幅値誤差に対する補正値を算出し、これらの補正値を可変遅延器とFIRフィルタに設定することで、FIRフィルタに設定したタップ係数に対応する回り込み波と実際にFIRフィルタが生成する回り込み波の誤差を最小として回り込みキャンセラの回り込み除去能力を最良としている。
【0034】
2台方式で中継放送機を構成した場合にも、中継放送を開始する前に第1の送受信機110と第2の送受信機160の回り込みキャンセラ140において補正値算出と補正値設定しておく。理由は後述するが、第1の送受信機110、第2の送受信機160をそれぞれ現用送受信機、予備送受信機として接続する前に、個別にOFDM信号を入力して補正値算出、補正値設定できる。個別に補正値算出、補正値設定できることより、中継放送を開始した後に第1の送受信機110、第2の送受信機160のうち中継放送を維持ながら、非稼働状態の送受信機を別の送受信機に入れ換えることが可能である。すなわち中継放送を開始した後に第1の送受信機、第2の送受信機のいずれかが故障したとしても、故障していない送受信機を稼働し中継放送を維持ながら、故障した送受信機を別の送受信機に入れ換えることができる。
【0035】
また、第1の送受信機110と第2の送受信機160をそれぞれ現用送受信機と予備送受信機として接続し、中継放送を開始した後で、または何等かの理由により中継放送を中断して再び補正値算出、補正値設定したい場合には、補正値算出、補正値設定が終了するまで現用送受信機110、予備送受信機160両方の送信スイッチ109を開放しておく。
【0036】
現用送受信機110、予備送受信機160ともに補正値算出、補正値設定の終了を確認した後、現用送受信機110、予備送受信機160の送信スイッチ109を短絡し、中継放送を開始する。
【0037】
各送受信機における補正値算出、および補正値設定の方法について述べる。補正値算出・補正値設定部129は送信スイッチ109、遅延時間制御部123、遅延器番号・位相・振幅値制御部125、および回り込み波検出・タップ係数算出部127を制御することで、OFDM信号を受信した状態で送信スイッチ109を開放し、遅延時間制御部123を経由して可変遅延器119に設定する遅延時間の設定値と、遅延器番号・位相・振幅値制御部125を経由してFIRフィルタ121に設定する遅延器番号補正値、および位相・振幅補正値を算出し、送信スイッチ短絡時に遅延時間制御部123を経由して可変遅延器119に設定遅延時間を供給し、遅延器番号・位相・振幅値制御部125を経由してFIRフィルタ121に遅延器番号補正値、および位相・振幅補正値を設定する。これらの補正値算出、および補正値設定は中継送信を開始する前に予め行っておく。但し、本発明における補正値算出、および補正値設定の方法は特願2005−177531に述べられた方法に限定されるものではない。
【0038】
次に、第1の送受信機110が現用送受信機であるものとし、本発明に係る中継装置において中継放送を開始する前に補正値算出、および補正値設定が終了し、送信スイッチ109、および送信スイッチ135が短絡され、中継放送しているときについて説明する。第1の送受信機110に入力された受信信号は受信機105に入力される。受信機105は無線周波数(RF)帯から中間周波数(IF)帯(またはベースバンド帯)へ周波数変換し、増幅し、この周波数変換し増幅した受信信号を回り込みキャンセラ140へ入力する。回り込みキャンセラ140は、加算器107と送信スイッチ109と可変遅延器119とFIRフィルタ121と遅延時間制御部123と遅延器番号・位相・振幅値制御部125と回り込み波検出・タップ係数算出部127と補正値算出・補正値設定部129と切り換えタップ係数算出部131とを備える。
【0039】
加算器107は、受信機105から入力された信号と、FIRフィルタ121が出力する回り込み波と逆位相の関係にあるキャンセル信号とを加算して出力し、送信スイッチ109に入力するとともに、再びFIRフィルタ121の前の可変遅延器119、回り込み波検出・タップ係数算出部127、切り換え制御部133に入力する。
【0040】
可変遅延器119は、遅延時間制御部123が設定した時間だけ加算器107より入力された信号を遅延し、FIRフィルタ121へ入力する。ここで可変遅延器119は信号を遅延させるが、この遅延時間はFIRフィルタ121で与え得る最短の遅延時間よりも短い時間範囲で可変できる。ここで、遅延時間制御部123は補正値算出・補正値設定部129により設定された可変遅延器設定値(遅延時間に相当する値)を保持し可変遅延器119へ設定する。
【0041】
FIRフィルタ121は遅延器番号・位相・振幅値制御部125が設定したタップ係数値と可変遅延器119から入力された信号との畳み込み演算結果を出力し、加算器107へ入力する。
【0042】
遅延器番号・位相・振幅値制御部125は補正値算出・補正値設定部129により設定された遅延器番号補正値、および位相・振幅補正値により、回り込み波検出・タップ係数算出部127より供給された全てのタップ係数値を補正したタップ係数値をFIRフィルタ121に供給する(例えば図8)。
【0043】
回り込み波検出・タップ係数算出部127は回り込みキャンセラ140の出力信号の周波数スペクトラムを算出し、その周波数スペクトラムの逆数を算出し、逆離散フーリエ変換する遅延プロファイル検出サブルーチン(例えば、図9、または10)により遅延プロファイル(インパルス応答)を算出し、適応タップ係数更新サブルーチン(例えば図11)によりタップ係数を算出して出力する。
【0044】
補正値算出・補正値設定部129は送信スイッチ109、遅延時間制御部123、遅延器番号・位相・振幅値制御部125、および回り込み波検出・タップ係数算出部127を制御することで、送信スイッチ開放時に遅延時間制御部123を経由して可変遅延器119に設定する遅延時間の設定値と、遅延器番号・位相・振幅値制御部125を経由してFIRフィルタ121に設定する遅延器番号補正値、および位相・振幅補正値を算出し、送信スイッチ短絡時に遅延時間制御部123を経由して可変遅延器119に設定遅延時間を供給し、遅延器番号・位相・振幅値制御部125を経由してFIRフィルタ121に遅延器番号補正値、および位相・振幅補正値を設定する。これらの補正値算出、および補正値設定は中継送信を開始する前に予め行っておく。
【0045】
送信スイッチ109は短絡時に加算器107から入力された信号を送信機111へ入力する。送信機111は、送信スイッチ109から入力された信号をIF帯(またはベースバンド帯)からRF帯へ周波数変換し、この周波数変換した信号を切り換えスイッチ113へ入力する。切り換えスイッチ113が現用送受信機110と送信スイッチ135を接続し、送信スイッチ135が短絡され、増幅器115に接続しているとき、増幅器115は送信機111から入力された信号を増幅して送信アンテナ117へ入力する。送信アンテナ117は、増幅器115から入力された信号を送信する。
【0046】
ここまで述べた送信スイッチ109、可変遅延器119、FIRフィルタ121、遅延時間制御部123、遅延器番号・位相・振幅値制御部125、回り込み波検出・タップ係数算出部127、補正値算出・補正値設定部129を用いた補正値算出と補正値設定に関する詳細は、本発明者等の発明である特願2005−177531を参照のこと。
【0047】
切り換え制御部133は外部からの指示により、切り換えスイッチ113を用いて増幅器115と接続する送受信機を第1の送受信機、第2の送受信機で切り換える。切り換え制御部133が切り換えスイッチ113を用いて第1の送受信機110、第2の送受信機160で切り換える直前に、第1の送受信機110における回り込み波検出・タップ係数算出部127において算出したタップ係数と、第2の送受信機160における回り込み波検出・タップ係数算出部127において算出したタップ係数を第2の送受信機160の切り換えタップ係数算出部131へ入力する。第2の送受信機160の切り換えタップ係数算出部131では、第1の送受信機110、第2の送受信機160両方の回り込み波検出・タップ係数算出部127から入力されたタップ係数を用いて、第2の送受信機に切り換わった直後に第2の送受信機の回り込み波検出・タップ係数算出部127から出力され第2の送受信器の遅延器番号・位相・振幅値制御部に入力するタップ係数を算出する。
【0048】
この切り換えタップ係数算出部131における切り換えタップ係数算出方法の例としては次に述べる4つの方法があり、いずれかの方法を用いる。
(1)第1の送受信機110の回り込み波検出・タップ係数算出部127から入力されたタップ係数をそのまま第2の送受信機160の回り込み波検出・タップ係数算出部127へ入力するタップ係数とする
(2)第1の送受信機110の回り込み波検出・タップ係数算出部127から入力されたタップ係数と第2の送受信機160の回り込み波検出・タップ係数算出部127から入力されたタップ係数との平均値を算出し第2の送受信機の回り込み波検出・タップ係数算出部127へ入力するタップ係数とする
(3)第1の送受信機110の回り込み波検出・タップ係数算出部127から入力されたタップ係数を離散フーリエ変換して得た伝達関数の振幅特性を第2の送受信機160の回り込み波検出・タップ係数算出部127から入力されたタップ係数を離散フーリエ変換して得た伝達関数の振幅特性とし逆離散フーリエ変換して得たインパルス応答を第2の送受信機の回り込み波検出・タップ係数算出部127へ入力するタップ係数とする
(4)第2の送受信機160の回り込み波検出・タップ係数算出部127から入力されたタップ係数をそのまま第2の送受信機の回り込み波検出・タップ係数算出部127へ入力するタップ係数とする(第2の送受信機160の回り込み波検出・タップ係数算出部127のタップ係数をそのまま用いる)
【0049】
切り換えタップ係数算出部131における4つの切り換えタップ係数算出方法(1)から(4)はそれぞれ次に述べる特徴を持つ。(1)は現用送受信機から予備送受信機へタップ係数を供給する単純な操作で済む。(2)は平均値を算出する手間がかかるが、雑音により生じたタップ係数の誤差を(1)よりも減らすことができる。(3)は補正値算出、補正値設定しても遅延時間誤差、位相誤差が回り込みキャンセル動作において無視できない程((1)、または(2)の方法でも切り換えができない程)、残留している場合であっても、切り換え時に発振を抑制できる。(4)は現用送受信機から予備送受信機へのタップ係数の供給をしなくとも済む。また、切り換えタップ係数算出部131における切り換えタップ係数算出方法は、上記4つの例に限定するものではない。
【0050】
以上の切り換え操作により、切り換えスイッチ113により増幅器115に接続する送受信機を第1の送受信機から第2の送受信機へ切り換えた直後においても第2の送受信機において継続して回り込み波を除去することができ、発振が発生せず、正常な中継放送が維持される。ここで、切り換えスイッチ113を切り換える直前とは、切り換えスイッチ113切り換え時から、タップ係数を算出する処理の少なくとも1ステップに要する時間だけ前をいう。また、切り換えスイッチ113を切り換えた直後とは、切り換えスイッチ113の切り換え時から、タップ係数を算出する処理の1ステップに要する時間までをいう。
【0051】
第2の送受信機では、第1の送受信機110から切り換わった直後には回り込み波と同じ振幅で逆位相の信号(キャンセル信号)を生成している。そのため、第1の送受信機110から第2の送受信機160に切り換えにおいても回り込み波が除去され、発振せず、正常な中継放送を維持する。
【0052】
切り換え制御部133では、回り込み波検出・タップ係数算出部127が算出する遅延プロファイル値(インパルス応答値)の総和、タップ係数値の総和のいずれかが、それぞれに対し予め定めておいた閾値を超えた場合に第1の送受信機の異常動作を検知する。また、切り換え制御部133では、図1に記載していない再送信信号監視部により、送受信機が再送信する信号の振幅値、または電力値を監視し、予め定めた値の範囲を外れた場合に、第1の送受信機110が異常動作していることを検知する。
【0053】
更に、切り換え制御部133では、図1に記載していない電源部の電圧値、および電流値、並びに図1に記載していない温度測定器により測定された第1の送受信機の内部温度等が、予め定めておいた範囲を外れた場合にも第1の送受信機の故障を検知する。
【0054】
また、切り換え制御部133では第1の送受信機の異常動作、または故障を検知した場合に、第1の送受信機110から第2の送受信機160へ自動で切り換えることもできる。第1の送受信機の異常動作、または故障を検知し、第2の送受信機160へ自動で切り換えする際には、第2の送受信機160は初期状態(第2の送受信機160における回り込み波検出・タップ係数算出部127のタップ係数を全て零)から動作する。この場合、第2の送受信機160の切り換えタップ係数算出部131では第1の送受信機110から第2の送受信機160への切り換えタップ係数を算出しない。切り換え制御部133では、第1の送受信機110の異常動作、または故障を検知したときの切り換わりを自動とすることもできるし、自動でなく手動とすることも予め設定できる。
【0055】
ここで、回り込み波検出・タップ係数算出部127、補正値算出・補正値設定部129の動作について説明する。
【0056】
回り込み波検出・タップ係数算出部127では、遅延プロファイル検出サブルーチン(例えば図9,または10)により遅延プロファイル(インパルス応答)を算出し、この遅延プロファイル算出結果をタップ係数値算出サブルーチン(例えば図11)へ供給する。
【0057】
タップ係数値算出サブルーチン(例えば図11)では遅延プロファイル検出サブルーチンより供給された遅延プロファイル算出結果より、FIRフィルタ121の全ての遅延器番号に対応する仮のタップ係数値g(n)を算出し、遅延器番号・位相・振幅値制御部125へ供給する。
【0058】
以上に示した実施形態により、第1の送受信機110から第2の送受信機160への切り換え時であっても、中継放送装置が回り込み波による発振を抑制し正常な中継放送が維持される理由、かつ個別に補正値算出、および補正値設定できる理由を示す。
【0059】
本実施形態により第1の送受信機から第2の送受信機へ切り換え時に、中継放送装置が発振せずに正常な中継放送を維持する理由を示す。切り換え時に発振しない理由を示すにあたり、まず、回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタにおいて設定タップ係数に対応する回り込み波と回り込みキャンセラを構成するFIRフィルタが実際に与えている回り込み波との間に誤差が存在する場合に、従来の切り換え方法で発振する原因を明確にし、その後で、本実施形態がその発振の原因を取り除き、発振しない理由、かつ個別に補正値算出、および補正値設定できる理由を示す。
【0060】
従来の切り換え方式(図2)の回り込みキャンセラ240では、図1の回り込みキャンセラ140に存在する補正値算出・補正値設定部、遅延器番号・位相・振幅値設定部、遅延時間制御部、可変遅延器、送信スイッチが無い。第1の送受信機210において中継放送を開始し、第1の送受信機210に挿入した回り込みキャンセラ240が回り込み波キャンセル動作を開始しているとき、第1の送受信機210に挿入した回り込みキャンセラ240を構成するFIRフィルタ221に設定したタップ係数に対応する回り込み波と、FIRフィルタ221が実際に生成する回り込み波の遅延時間、位相値、および振幅値の誤差をそれぞれτ、φ、およびAとすると、加算器207の出力における伝達関数Y(ω)は




となる。但し、第1の送受信機210の受信機205、送信機211を含めた回り込みの伝達関数は




であり、B(ω)、B(ω)はそれぞれ受信機、送信機の伝達関数であり、R(ω)は回り込み伝送路の伝達関数である。回り込み波を十分にキャンセルするまでFIRフィルタ221のタップ係数が収束しているとき、FIRフィルタ221の伝達関数は




であり、加算器207の出力における伝達関数は



となる。
【0061】
一方、第2の送受信機260において中継放送を開始し、第2の送受信機260に挿入した回り込みキャンセラが回り込みキャンセル動作を開始しているとき、第2の送受信機260に挿入した回り込みキャンセラ240のタップ係数の遅延時間、位相値、および振幅値の誤差をそれぞれτ、φ、およびAとすると、加算器207の出力における伝達関数は




となる。但し、第2の送受信機260の受信機205、送信機211を含めた回り込みの伝達関数は




であり、B(ω)、B(ω)はそれぞれ受信機、送信機の伝達関数であり、R(ω)は回り込み伝送路の伝達関数である。また、第1の送受信機と第2の送受信機を同じ回路で構成した場合、回り込み伝送路に与える受信機と送信機の個体差による影響は十分に小さいのでB(ω)=B(ω)、B(ω)=B(ω)としてある。回り込み波を十分にキャンセルするまでFIRフィルタ221のタップ係数が収束しているとき、FIRフィルタ221の伝達関数は




となり、加算器207の出力における伝達関数は




となる。
【0062】
以上より、第1の送受信機210を現用送受信機とし、第2の送受信機260を予備送受信機とし、現用送受信機のタップ係数値を予備送受信機のタップ係数値としてそのまま用いた場合、予備送受信機の加算器の出力における伝達関数は




となる。従って、予備送受信機では回り込み波が十分にキャンセルされず、発振する恐れがある。
【0063】
以上に対し、本発明における実施形態(図1)では、補正値算出、補正値設定した後、第1の送受信機110において中継動作を開始し、第1の送受信機160に挿入した回り込みキャンセラ140が回り込みキャンセル動作を開始しているとき、加算器107の出力における伝達関数Y(ω)は




となる。但し、ここで第1の送受信機110のFIRフィルタ121が実際に与えている伝達関数F(ω)は、第1の送受信機110の回り込み波検出・タップ係数算出部127が与えるタップ係数に対応する伝達関数G(ω)に、第1の送受信機110の可変遅延器119により設定された遅延時間と、第1の送受信機110の遅延器番号・位相・振幅値制御部125により与えられる補正値に対応する伝達関数P(ω)を乗じて得られる




である。但し、




である。
【0064】
このとき、回り込み波を十分にキャンセルするまでFIRフィルタ121のタップ係数が収束しているとき、




となり、加算器の出力における伝達関数は




となる。
【0065】
補正値算出、補正値設定した後、第2の送受信機160において中継動作を開始し、第2の送受信機160に挿入した回り込みキャンセラ140が回り込みキャンセル動作を開始しているとき、加算器107の出力における伝達関数は




となる。但し、ここで第2の送受信機160のFIRフィルタ121が与えている伝達関数F(ω)は、第2の送受信機160の回り込み波検出・タップ係数算出部127が与えるタップ係数に対応する伝達関数G(ω)に、第2の送受信機160の可変遅延器119により設定された遅延時間と、遅延器番号・位相・振幅値御部125により与えられる補正値に対応するQ(ω)を乗じて得られる。




但し、




である。
【0066】
このとき、回り込み波を十分にキャンセルするまで第2の送受信機160におけるFIRフィルタ127のタップ係数が収束しているとき、FIRフィルタ127の伝達関数は




となり、加算器107の出力における伝達関数は





となる。
【0067】
以上より、第1の送受信機を現用送受信機とし、第2の送受信機を予備送受信機とし、現用送受信機のタップ係数値を予備送受信機のタップ係数値としてそのまま用いた場合(切り換えタップ係数算出部131における切り換えタップ係数算出方法の(1)、または(2)を用いた場合)、予備送受信機の加算器の出力における伝達関数は





となる。従って、本発明の実施形態(図1)では、補正値算出、補正値設定されていて、かつ現用送受信機の補正前のタップ係数を予備送受信機のタップ係数でそのまま用いることができる。また、各送受信では、個別に補正値算出、補正値設定できる。個別に補正値算出、補正値設定できることより、中継放送を開始した後に第1の送受信機110、第2の送受信機160のうち中継放送を維持ながら、非稼働状態の送受信機を別の送受信機に入れ換えることが可能である。すなわち中継放送を開始した後に第1の送受信機、第2の送受信機のいずれかが故障したとしても、故障していない送受信機を稼働し中継放送を維持ながら、故障した送受信機を別の送受信機に入れ換えることができる。
【0068】
図1の実施形態では、現用送受信機の回り込み波検出・タップ係数算出部127が算出したタップ係数をそのままFIRフィルタ121に設定するのではなく、可変遅延器119と遅延器番号・位相・振幅値制御部125によりタップ係数を補正する構成としている点で本発明者等の出願済みの発明である特開2004−196016号と異なる。タップ係数を補正する構成にすると、現用送受信機と予備送受信機で回り込みをキャンセルするタップ係数が同一となるため、送受信機切り換えスイッチ113が切り換わった直後においても回り込み波を除去する。そのため、現用送受信機から予備送受信機への切り換え時であっても、回り込み波による発振を抑制し正常な中継放送を維持する。
【0069】
以上に説明した実施形態における可変遅延器119、FIRフィルタ121、遅延時間制御部123、遅延器番号・位相・振幅値制御部125、および回り込み波検出・タップ係数算出部127はデジタル回路で構成される。これらのデジタル回路は、デジタル信号処理装置(Digital Signal Processor:DSP)等により構成する。このDSPのプログラムは、各部の動作に応じて作成される。また、加算器107において中間周波数(IF)信号で加算する場合、可変遅延器119の前にA/D変換器を備えFIRフィルタの前に直交復調器を備え、FIRフィルタの後に直交変調器とD/A変換器を備える。一方、加算器107においてベースバンド信号で加算する場合、加算器107の前にA/D変換器と直交復調器を備え、再送信スイッチ109の前、または後に直交変調器とD/A変換器を備える。
【0070】
以上の説明では、第1の送受信機110を現用送受信機とし、第2の送受信機160を予備送受信機とした場合の動作について説明したが、第2の送受信機160を現用送受信機とし、第1の送受信機110を予備送受信機としても同じ動作となる。
【0071】
また、本発明の構成は上述の実施形態では回り込みキャンセラ140がIF帯、またはベースバンド帯にて動作するものとしたが、RF帯で動作する構成とするのも可能である。更に、本発明が適用可能な送受信信号の変調方式としては、OFDM方式に限らず、CDMA方式などの様々な方式が考えられる。

【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施例
【図2】従来の2台で構成された中継放送装置
【図3】従来の回り込みキャンセラが挿入された中継放送装置
【図4】従来の回り込みキャンセラが挿入された中継放送装置のモデル
【図5】補正値算出、および補正値設定機能を持つ回り込みキャンセラが挿入された中継放送装置の例1
【図6】補正値算出、および補正値設定機能を持つ回り込みキャンセラが挿入された中継放送装置の例2
【図7】補正値算出、および補正値設定機能を持つ回り込みキャンセラが挿入された中継放送装置の例3
【図8】タップ係数補正方法
【図9】遅延プロファイル検出サブルーチンの例1
【図10】遅延プロファイル検出サブルーチンの例2
【図11】タップ係数値算出サブルーチンの例
【符号の説明】
【0073】
101・・・受信アンテナ
103・・・分配器
105・・・受信機
107・・・加算器
109・・・スイッチ
110・・・第1の送受信器
111・・・送信機
113・・・選択スイッチ
115・・・増幅器
117・・・送信アンテナ
119・・・可変遅延器
121・・・FIRフィルタ
123・・・遅延時間制御部
125・・・遅延器番号、位相、および振幅値制御部
127・・・回り込み波検出、タップ係数算出部
129・・・補正値算出、補正値設定部
131・・・切り換えタップ係数算出部
133・・・切り換え制御部
135・・・スイッチ
140・・・回り込みキャンセラ
160・・・第2の送受信器
201・・・受信アンテナ
203・・・分配器
205・・・受信器
207・・・加算器
210・・・第1の送受信器
211・・・送信機
213・・・スイッチ
215・・・増幅器
217・・・送信アンテナ
221・・・FIRフィルタ
227・・・回り込み波検出、タップ係数算出部
240・・・回り込みキャンセラ
260・・・第2の送受信器
301・・・受信アンテナ
303・・・受信機
305・・・加算器
307・・・送信機
309・・・増幅器
311・・・送信アンテナ
321・・・FIRフィルタ
323・・・回り込み波検出、タップ係数算出部
340・・・回り込みキャンセラ
401・・・受信アンテナ
403・・・受信機
405・・・加算器
407・・・送信機
409・・・増幅器
411・・・送信アンテナ
413・・・減衰器
415・・・移相器
417・・・遅延器
419・・・回り込み波検出、タップ係数算出部
421・・・FIRフィルタ
423・・・回り込みキャンセラ
501・・・受信アンテナ
503・・・受信機
505・・・加算器
507・・・スイッチ
509・・・送信機
511・・・増幅器
513・・・送信アンテナ
515・・・可変遅延器
517・・・FIRフィルタ
519・・・遅延時間制御部
521・・・遅延器番号、位相、振幅値制御部
523・・・回り込み波検出、タップ係数算出部
525・・・補正値算出、補正値設定部
540・・・回り込みキャンセラ
601・・・受信アンテナ
603・・・受信機
605・・・加算器
607・・・スイッチ
609・・・送信機
611・・・増幅器
613・・・送信アンテナ
615・・・可変遅延器
617・・・FIRフィルタ
619・・・遅延時間制御部
621・・・遅延器番号、位相、振幅値制御部
623・・・回り込み波検出、タップ係数算出部
627・・・補正値算出、補正値設定部
640・・・回り込みキャンセラ
701・・・受信アンテナ
703・・・受信機
705・・・加算器
707・・・スイッチ
709・・・送信機
711・・・増幅器
713・・・送信アンテナ
715・・・可変遅延器
717・・・FIRフィルタ
719・・・可変遅延器
721・・・遅延時間制御部
723・・・回り込み波検出、タップ係数算出部
725・・・補正値算出、補正値設定部
727・・・遅延時間制御部
729・・・遅延器番号、位相、振幅値制御部
740・・・回り込みキャンセラ







 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013