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発明の名称 振幅位相制御装置および受信システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−28160(P2007−28160A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−206811(P2005−206811)
出願日 平成17年7月15日(2005.7.15)
代理人 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二
発明者 小島 和也
要約 課題
振幅または位相に変調が施された信号に含まれる振幅位相誤差を低減するための装置を提供する。

解決手段
多段型振幅位相制御部18は、第1単位振幅位相制御部18aと第2単位振幅位相制御部18bを含んで構成される。乗算部26aは、入力された複素I/Q信号にウェイト係数算出部28aが算出したウェイト係数W1を乗じて出力する。乗算部26bは、第1単位振幅位相制御部18aから入力された複素I/Q信号に、ウェイト係数算出部28bが算出したウェイト係数W2を乗じて出力する。硬判定部38は、第2単位振幅位相制御部18bの出力信号Y2に対して硬判定を施した硬判定信号Zを出力する。ウェイト係数算出部28a,28bは、硬判定部38が出力する硬判定信号Zに基づいて適応化アルゴリズムを実行し、それぞれウェイト係数W1 ,W2を算出する。
特許請求の範囲
【請求項1】
入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを制御して出力する複数の要素振幅位相制御部を備え、当該複数の要素振幅位相制御部を縦続接続して構成される振幅位相制御装置であって、
縦続接続された前記複数の要素振幅位相制御部のうち、最終段に接続された要素振幅位相制御部が出力する複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを予め定められた値に修正した振幅位相修正信号を生成する振幅位相修正信号生成部を備え、
前記複数の要素振幅位相制御部のそれぞれは、
それぞれが出力する信号の前記振幅位相修正信号に対する差異を表す差異信号を生成する差異信号生成手段と、
前記差異信号に基づいて、それぞれに入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを変化させる振幅位相変化手段と、
を備えることを特徴とする振幅位相制御装置。
【請求項2】
入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを制御して出力する複数の要素振幅位相制御部を備え、当該複数の要素振幅位相制御部を縦続接続して構成される振幅位相制御装置であって、
予め設定された変化パターンに基づいて振幅または位相の少なくともいずれかが変化する既設定信号を生成する既設定信号生成部を備え、
前記複数の要素振幅位相制御部のそれぞれは、
それぞれが出力する信号の前記既設定信号に対する差異を表す差異信号を生成する差異信号生成手段と、
前記差異信号に基づいて、それぞれに入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを変化させる振幅位相変化手段と、
を備え、
前記振幅位相制御装置を構成する隣接した2つの要素振幅位相制御部のうち、前段の要素振幅位相制御部が備える差異信号生成手段が生成した差異信号の大きさを判定する差異判定部を備え、
当該2つの要素振幅位相制御部のうち、後段の要素振幅位相制御部が備える前記振幅位相変化手段は、前記差異判定部の判定結果に基づいて、入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを変化させて出力する処理を開始することを特徴とする振幅位相制御装置。
【請求項3】
入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを制御して出力する複数の要素振幅位相制御部を備え、当該複数の要素振幅位相制御部を縦続接続して構成される振幅位相制御装置であって、
予め設定された変化パターンに基づいて振幅または位相の少なくともいずれかが変化する既設定信号を生成する既設定信号生成部を備え、
前記複数の要素振幅位相制御部のそれぞれは、
それぞれが出力する信号の前記既設定信号に対する差異を表す差異信号を生成する差異信号生成手段と、
前記差異信号生成手段が生成した差異信号に基づいて、それぞれに入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを変化させる変化処理を行う振幅位相変化手段と、
を備え、
前記振幅位相制御装置を構成する隣接した2つの要素振幅位相制御部のうち前段の要素振幅位相制御部が備える前記振幅位相変化手段が前記変化処理を開始した後に、当該2つの要素振幅位相制御部のうち、後段の要素振幅位相制御部が備える前記振幅位相変化手段が前記変化処理を開始することを特徴とする振幅位相制御装置。
【請求項4】
入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを制御して出力する複数の要素振幅位相制御部を備え、当該複数の要素振幅位相制御部を縦続接続して構成される振幅位相制御装置であって、
縦続接続された前記複数の要素振幅位相制御部のうち、最終段に接続された要素振幅位相制御部が出力する複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを予め定められた値に修正した振幅位相修正信号を生成する振幅位相修正信号生成部と、
予め設定された変化パターンに基づいて振幅または位相の少なくともいずれかが変化する既設定信号を生成する既設定信号生成部と、
を備え、
前記複数の要素振幅位相制御部のそれぞれは、
振幅または位相の少なくともいずれかの基準を示す基準信号に対する、前記複数の要素振幅位相制御部のそれぞれが出力する信号との差異を表す差異信号を生成する差異信号生成手段と、
前記差異信号生成手段が生成した差異信号に基づいて、それぞれに入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを変化させる振幅位相変化手段と、
を備え、
前記差異信号生成手段は、
前記既設定信号を前記基準信号とした後に、前記振幅位相修正信号を前記基準信号とすることを特徴とする振幅位相制御装置。
【請求項5】
直交変調信号を受信する無線受信部と、
前記無線受信部が受信した直交変調信号から同相成分信号と直交成分信号とを抽出する直交検波部と、
前記同相成分信号と前記直交成分信号とから複素信号を生成する複素信号生成部と、
前記複素信号からディジタル信号を抽出するディジタル復調部と、
を備える受信システムであって、
前記ディジタル復調部は、前記複素信号の振幅と位相の少なくともいずれかを制御する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の振幅位相制御装置を備えることを特徴とする受信システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを制御して出力する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル無線通信においてはPSK(Phase Shift Keying)変調方式やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)変調方式等のディジタル変調信号が広く用いられる。ディジタル変調信号は、1ビットあるいは複数ビットからなるディジタル符号列を符号の一単位としたシンボル符号を、所定の時間間隔を以て、搬送波の位相、その変化量、振幅等の物理量に対応付けたものである。ディジタル変調信号の変調成分信号を複素ベクトルによって表すと、その複素ベクトルの成分値はシンボル符号を搬送波の物理量に対応付けた時間間隔、すなわちシンボル周期に従って、予め定義された座標値に所定の時間だけ滞留して離散的に変化する。
【0003】
図5にディジタル変調信号を受信する一般的な受信装置3の構成を示す。受信装置3は、アンテナ10、無線受信部12、直交検波部14、A/D変換部16、振幅位相制御部50、符号検波部20、タイミング同期部25を備えて構成される。無線受信部12は、アンテナ10を介して受信したディジタル変調信号に対して高周波増幅、中間周波数への周波数変換、中間周波数増幅を施し、直交検波部14に入力する。直交検波部14は、入力されたディジタル変調信号から同相成分信号(以下、I信号とする。)および直交成分信号(以下、Q信号とする。)を抽出する。
【0004】
直交検波部14によって抽出されたI信号およびQ信号は、A/D変換部16に入力される。A/D変換部16は、I信号、Q信号のそれぞれをタイミング同期部25が出力するシンボルクロック信号Cに従って離散化する。そして、I信号を実数部、Q信号を虚数部とした複素I/Q信号を生成して振幅位相制御部50に入力する。図5ではjを虚数単位とし、複素I/Q信号をI+jQと記載している。
【0005】
タイミング同期部25は、A/D変換部16が出力した複素I/Q信号からシンボル周期を検出し、これに同期したシンボルクロック信号Cを生成する。タイミング同期部25は、生成したシンボルクロック信号Cを、A/D変換部16、振幅位相制御部50、符号検波部20に入力する。A/D変換部16、振幅位相制御部50、符号検波部20のそれぞれは、シンボルクロック信号Cに従ったタイミングで動作する。
【0006】
ここで、I信号およびQ信号について説明する。複素平面上に、I信号の値を実数部としQ信号の値を虚数部とした複素数をプロットして時間変化に対する軌跡を描くと、その軌跡はディジタル変調信号の変調成分信号を表す複素ベクトルが複素平面上で描く軌跡と相似形となる。このことから、本明細書では、I信号を実数部とし、Q信号を虚数部とした信号を複素I/Q信号と称し、複素I/Q信号を表す複素ベクトル軌跡の絶対値を複素I/Q信号の振幅と、複素I/Q信号を表す複素ベクトル軌跡の偏角を複素I/Q信号の位相と称する。複素I/Q信号は、振幅と位相の2次元の物理量で表され、これを振幅位相と称する。また、複素I/Q信号によって描かれる複素ベクトルの軌跡が、シンボル周期ごとに複素平面上でとり得る座標点をシンボル点と称し、複素平面上でシンボル点を表す複素ベクトルの絶対値をシンボル点の振幅と、シンボル点を表す複素ベクトルの偏角をシンボル点の位相と称する。
【0007】
振幅位相制御部50は、入力された複素I/Q信号の振幅位相の制御を行い、その複素I/Q信号を符号検波部20に入力する。この振幅位相の制御については後述する。符号検波部20は、シンボルクロック信号Cに従ってシンボル点の座標値を抽出する。符号検波部20は、抽出したシンボル点の座標値から求まる振幅位相に基づいてシンボル符号、さらにはディジタル符号列を得て、これを時系列で配置したディジタル信号を出力する。
【0008】
ディジタル変調信号には、準同期検波方式を用いた際の周波数オフセットによる位相回転、変調信号の送信元および受信側の装置の精度が不十分であること、電磁波の伝搬路特性、妨害波が受信波に重畳されること等によって惹き起こされる振幅誤差、位相誤差、またはこれらの組み合わせによる誤差(以下、振幅位相誤差とする。)が含まれる。そして、振幅位相誤差はシンボル点の振幅位相の誤差となって現れ、ディジタル符号列の復号誤りの原因となる。したがって、ディジタル変調信号に含まれる振幅位相誤差が大きい程、抽出されるディジタル信号の誤り率が増加する傾向が強くなる。
【0009】
誤り率は、無線通信機器の受信状態の良好度を示す指標となる。誤り率が所定値を超えると復調して得られたディジタル信号からは正確な情報が得られない。また、受信感度、妨害波耐性等の受信性能は誤り率によって評価することができる。例えば、受信信号電力が小さくなったときに誤り率が大きくなる傾向が弱い程、受信感度が良好であるといえる。また、ある一定レベルの受信信号が受信されると共に妨害波が同時に受信されるという条件の下では、妨害波電力が大きくなったときに誤り率が大きくなる傾向が弱い程、妨害波耐性が良好であるといえる。
【0010】
したがって、無線通信機器の受信性能を良好にするためには、ディジタル変調信号に含まれる振幅位相誤差の影響を低減し、誤り率が増大する傾向を抑制することが好ましい。そこで、図5の受信装置3ではA/D変換部16と符号検波部20との間に、振幅位相を制御する振幅位相制御部50を挿入している。振幅位相制御部50では、予め複素平面上で定義された座標点に対する、複素I/Q信号が呈するシンボル点の座標値のずれを表す誤差信号を算出し、誤差信号が最小となるよう入力された複素I/Q信号の振幅位相の制御を行う。このように、振幅位相制御部50が適用されることで、ディジタル変調信号に含まれる振幅位相誤差の影響を低減することができ、受信装置3の受信性能を良好にすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
送信装置や受信装置では、周波数変換を行うための局部発振器を備えており、局部発振器の周波数精度が不十分であると、周波数変換後のディジタル変調信号に含まれる振幅位相誤差が大きくなる。そして、ディジタル変調信号に含まれる振幅位相誤差の影響を低減することで、受信装置の受信性能を良好にすることができることは上述の通りである。
【0012】
近年においては、通信周波数割り当ては過密状態にあるため、通信に使用する周波数は準ミリ波、ミリ波帯等の周波数資源が潤沢な高周波帯へ移行している。そして、通信に使用する周波数が高周波帯へ移行するのに伴い、局部発振器の発振周波数も高周波帯に移行する。しかし、複素I/Q信号に許容される振幅位相誤差は、通信に使用する周波数の高低にかかわらず一定である。したがって、局部発振器に要求される周波数誤差(周波数の単位で定義される絶対的な誤差をいう。)は、準ミリ波、ミリ波帯等よりも低い周波数帯を発振周波数とするものと同程度でなければならない。
【0013】
周波数誤差を一定に維持しつつ発振周波数を高周波帯に移行させる場合、局部発振器の設計製造コストは高騰する。そこで、局部発振器に対する周波数精度の要求を緩和し、これによって増加する振幅位相誤差を低減することのできる高性能な振幅位相制御部を適用したほうが、受信装置全体としての設計製造コストの観点からは有利であるものと考えられる。
【0014】
本発明はこのような課題に対してなされたものであり、振幅または位相に変調が施された信号に含まれる振幅位相誤差を低減するための装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを制御して出力する複数の要素振幅位相制御部を備え、当該複数の要素振幅位相制御部を縦続接続して構成される振幅位相制御装置であって、縦続接続された前記複数の要素振幅位相制御部のうち、最終段に接続された要素振幅位相制御部が出力する複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを予め定められた値に修正した振幅位相修正信号を生成する振幅位相修正信号生成部を備え、前記複数の要素振幅位相制御部のそれぞれは、それぞれが出力する信号の前記振幅位相修正信号に対する差異を表す差異信号を生成する差異信号生成手段と、前記差異信号に基づいて、それぞれに入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを変化させる振幅位相変化手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを制御して出力する複数の要素振幅位相制御部を備え、当該複数の要素振幅位相制御部を縦続接続して構成される振幅位相制御装置であって、予め設定された変化パターンに基づいて振幅または位相の少なくともいずれかが変化する既設定信号を生成する既設定信号生成部を備え、前記複数の要素振幅位相制御部のそれぞれは、それぞれが出力する信号の前記既設定信号に対する差異を表す差異信号を生成する差異信号生成手段と、前記差異信号に基づいて、それぞれに入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを変化させる振幅位相変化手段と、を備え、前記振幅位相制御装置を構成する隣接した2つの要素振幅位相制御部のうち、前段の要素振幅位相制御部が備える差異信号生成手段が生成した差異信号の大きさを判定する差異判定部を備え、当該2つの要素振幅位相制御部のうち、後段の要素振幅位相制御部が備える前記振幅位相変化手段は、前記差異判定部の判定結果に基づいて、入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを変化させて出力する処理を開始することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを制御して出力する複数の要素振幅位相制御部を備え、当該複数の要素振幅位相制御部を縦続接続して構成される振幅位相制御装置であって、予め設定された変化パターンに基づいて振幅または位相の少なくともいずれかが変化する既設定信号を生成する既設定信号生成部を備え、前記複数の要素振幅位相制御部のそれぞれは、それぞれが出力する信号の前記既設定信号に対する差異を表す差異信号を生成する差異信号生成手段と、前記差異信号生成手段が生成した差異信号に基づいて、それぞれに入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを変化させる変化処理を行う振幅位相変化手段と、を備え、前記振幅位相制御装置を構成する隣接した2つの要素振幅位相制御部のうち前段の要素振幅位相制御部が備える前記振幅位相変化手段が前記変化処理を開始した後に、当該2つの要素振幅位相制御部のうち、後段の要素振幅位相制御部が備える前記振幅位相変化手段が前記変化処理を開始することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを制御して出力する複数の要素振幅位相制御部を備え、当該複数の要素振幅位相制御部を縦続接続して構成される振幅位相制御装置であって、縦続接続された前記複数の要素振幅位相制御部のうち、最終段に接続された要素振幅位相制御部が出力する複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを予め定められた値に修正した振幅位相修正信号を生成する振幅位相修正信号生成部と、予め設定された変化パターンに基づいて振幅または位相の少なくともいずれかが変化する既設定信号を生成する既設定信号生成部と、を備え、前記複数の要素振幅位相制御部のそれぞれは、振幅または位相の少なくともいずれかの基準を示す基準信号に対する、前記複数の要素振幅位相制御部のそれぞれが出力する信号との差異を表す差異信号を生成する差異信号生成手段と、前記差異信号生成手段が生成した差異信号に基づいて、それぞれに入力された複素信号の振幅または位相の少なくともいずれかを変化させる振幅位相変化手段と、を備え、前記差異信号生成手段は、前記既設定信号を前記基準信号とした後に、前記振幅位相修正信号を前記基準信号とすることを特徴とする。
【0019】
また、直交変調信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部が受信した直交変調信号から同相成分信号と直交成分信号とを抽出する直交検波部と、前記同相成分信号と前記直交成分信号とから複素信号を生成する複素信号生成部と、前記複素信号からディジタル信号を抽出するディジタル復調部と、を備える受信システムにおいては、本発明に係る振幅位相制御装置を、前記ディジタル復調部に適用することが好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複素数で表される信号の振幅または位相を予め定められた値に制御する振幅位相制御装置を実現することができる。これらを受信装置に適用することにより、受信するディジタル変調信号に含まれる大きな振幅位相誤差を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1に本発明の実施形態に係る受信装置1の構成を示す。受信装置1は、アンテナ10、無線受信部12、直交検波部14、A/D変換部16、多段型振幅位相制御部18、符号検波部20、タイミング同期部24を含んで構成される。受信装置1の構成および動作を説明する前に、受信装置1が受信するディジタル変調信号の構成について図2を参照して説明する。
【0022】
ディジタル変調信号は単位フレーム22が時系列で配列されたものである。単位フレーム22は、参照符号フレーム22aと情報符号フレーム22bを含んで構成される。受信装置1は、時系列で連なる複数の単位フレーム22のうち、予め割り当てられた単位フレーム22を受信して復調を行う。参照符号フレーム22aは、ディジタル符号列で表された参照符号がディジタル変調された信号であり、情報符号フレーム22bは、ディジタル符号列で表された情報符号がディジタル変調された信号である。参照符号は、多段型振幅位相制御部18に入力された複素I/Q信号に含まれる振幅位相誤差を、適応化アルゴリズムに従って低減する引き込み処理を行うのための符号である。情報符号は、送信装置から受信装置1に送信される音声、画像、プログラム、データベース等、送信装置から受信装置1に送信される実質的な情報を含む符号である。なお、参照符号および引き込み処理については、多段型振幅位相制御部18の構成および動作と共に後に説明する。また、ディジタル変調信号の変調方式としては、シンボル符号を搬送波の位相に対応付けたPSK変調方式、シンボル符号を搬送波の振幅および位相に対応付けたQAM変調方式等を適用することが好適である。
【0023】
次に、受信装置1の動作について説明する。無線受信部12は、アンテナ10を介して受信したディジタル変調信号に対して高周波増幅、中間周波数への周波数変換、中間周波数増幅を施し、直交検波部14に入力する。直交検波部14は無線受信部12から入力された信号からI信号およびQ信号を抽出し、A/D変換部16に入力する。
【0024】
A/D変換部16では、入力されたI信号、Q信号のそれぞれをシンボルクロック信号Cに従って離散化する。そして、離散化されたI信号を実数部、離散化されたQ信号を虚数部とした複素I/Q信号を生成し、多段型振幅位相制御部18に入力する。なお、このようにディジタル変調信号が複素I/Q信号に変換された場合であっても、複素I/Q信号は図2に示す単位フレーム22が時系列で配列された構成を有している。
【0025】
タイミング同期部24は、A/D変換部16が出力した複素I/Q信号からシンボル周期を抽出し、これに同期したシンボルクロック信号Cを生成する。タイミング同期部24は、生成したシンボルクロック信号Cを、A/D変換部16、多段型振幅位相制御部18、符号検波部20に入力する。A/D変換部16、多段型振幅位相制御部18、符号検波部20のそれぞれは、シンボルクロック信号Cに従ったタイミングで動作する。
【0026】
また、タイミング同期部24は、参照符号フレーム22aに対応する複素I/Q信号の波形パターンを記憶している。そして、A/D変換部16が出力した複素I/Q信号と参照符号フレーム22aに対応する複素I/Q信号との波形相関をとること等の方法で参照符号フレーム22aの入力が開始されるタイミングを検出する。タイミング同期部24は、参照符号フレーム22aの入力が開始されるタイミングを検出したときには、参照符号フレーム22aの入力が開始されるタイミングを示すタイミング情報Tを、多段型振幅位相制御部18に入力する。
【0027】
多段型振幅位相制御部18の構成および動作を説明する前に、その構成の基本となる図6に示す一段型振幅位相制御部52を受信装置1の多段型振幅位相制御部18の代わりに適用した場合について説明する。一段型振幅位相制御部52は、乗算部26、ウェイト係数算出部28、加算部30、極性反転部32、信号選択部34、硬判定部38、参照信号生成部40を備えて構成される。
【0028】
一段型振幅位相制御部52へ入力された複素I/Q信号は、乗算部26およびウェイト係数算出部28に入力される。また、ウェイト係数算出部28からはウェイト係数算出部28が算出したウェイト係数Wが乗算部26に入力される。
【0029】
乗算部26は入力された信号にウェイト係数Wを乗じ、これを一段型振幅位相制御部52の出力信号Yとして出力する。ウェイト係数Wは複素数であり、その絶対値は入力された複素I/Q信号の振幅を変化させる率を表し、その偏角は入力された複素I/Q信号の位相を変化させる角度を表す。したがって、ウェイト係数算出部28が出力したウェイト係数Wが乗算部26において掛け合わせることによって、入力された複素I/Q信号の振幅および位相をウェイト係数Wに応じて変化させることができる。
【0030】
乗算部26が出力する信号は一段型振幅位相制御部52の出力信号Yとなると共に、加算部30および硬判定部38に入力される。信号選択部34には、硬判定部38が出力する硬判定信号Zと参照信号生成部40が出力する参照信号Vとが入力されており、信号選択部34はこれらの信号のうちいずれかを選択して出力する。信号選択部34によって選択された信号は、収束目標信号Rとして極性反転部32を介して加算部30に入力される。加算部30は、乗算部26から入力された信号と極性反転部32から入力された信号とを加算し、誤差信号eとしてウェイト係数算出部28に入力する。極性反転部32は入力された信号に−1を乗じて出力するものであるため、誤差信号eは、乗算部26が出力する信号から収束目標信号Rを減算した信号であるといえる。
【0031】
ウェイト係数算出部28は、誤差信号eと一段型振幅位相制御部52に入力された複素I/Q信号とに基づいて、誤差信号eを最小値へ収束させる適応化アルゴリズムを実行する。これによって、一段型振幅位相制御部52の出力信号Yの振幅位相は、収束目標信号Rの振幅位相に収束する。適応化アルゴリズムとしては、LMSアルゴリズム、RLSアルゴリズム等を適用することが可能である。LMSアルゴリズムは、次の(1)式から(3)式に示す漸化式で表せる。
(数1) Y(i)=X(i)・W(i)* (1)
(数2) W(i+1)=w(i)−μ・X(i)・e(i)* (2)
(数3) e(i)=X(i)・W(i)*−R(i) (3)
ここに、Y(i)は一段型振幅位相制御部52の出力信号、μは収束時間や追従性を決定するための任意の定数、X(i)は一段型振幅位相制御部52の入力信号、W(i)はウェイト係数、e(i)は誤差信号、R(i)は収束目標信号である。左上に*が付された変数は、その変数の複素共役であることを意味し、各変数の括弧内のiは時間と共に増加する計算ステップを表す整数である。
【0032】
計算ステップを表すiは、複素I/Q信号のシンボル周期ごとに1だけ増加するものとする。この場合、(1)式から(3)式で表されるLMSアルゴリズムは、単位シンボル周期が経過するごとにアルゴリズムの単位計算ステップを実行させることとなる。この点については、RLSアルゴリズム等、他の適応化アルゴリズムにおいても同様である。したがって、ウェイト係数算出部28が適応化アルゴリズムを実行して誤差信号eを最小値へ収束させる際には、適応化アルゴリズムを実行するステップを、シンボルクロック信号Cのシンボル周期と同期させる。
【0033】
複素I/Q信号のシンボル周期は、タイミング同期部24が出力するシンボルクロック信号Cによって把握することができる。ウェイト係数算出部28には、シンボルクロック信号Cが入力されており、ウェイト係数算出部28は、これに従って適応化アルゴリズムを実行する。
【0034】
一段型振幅位相制御部52には、複素I/Q信号に変換された一連の単位フレーム22が次々と入力される。受信装置1では、予め割り当てられた単位フレーム22のみを復調する。このため、一段型振幅位相制御部52は、割り当てられた単位フレーム22が入力されるたびに新たに振幅位相の制御を行う。
【0035】
参照符号フレーム22aが入力されている間は、ウェイト係数算出部28が参照信号Vを収束目標信号Rとして適応化アルゴリズムを実行する引き込み処理を行う。したがって、引き込み処理では信号選択部34は参照信号生成部40が出力する参照信号Vを選択することとなる。
【0036】
参照信号Vは、参照信号生成部40が記憶する参照符号に従ってその振幅と位相が変化する。この参照符号は、受信された参照符号フレーム22aを変調した参照符号と同一のものであり、送信装置と受信装置1との間で予め定められた共通の符号が適用される。
【0037】
次に、情報符号フレーム22bが入力されている間は、ウェイト係数算出部28が硬判定信号Zを収束目標信号Rとして適応化アルゴリズムを実行する追従処理を行う。追従処理では信号選択部34は硬判定部38が出力する硬判定信号Zを選択する。
【0038】
硬判定部38は、乗算部26が出力する信号からシンボル点の座標値を抽出し、抽出したシンボル点の座標値に対して硬判定を行い、硬判定に基づいて当該シンボル点の座標値を本来とるべき座標値に修正した硬判定信号Zを出力する。ここで、硬判定とは、判定しようとするシンボル点である被判定シンボル点の座標値に基づいて本来とるべき座標値を判定する処理をいう。その判定は、1つの区画が、変調方式によって定義されているシンボル点である基準シンボル点を1つ含むよう複素平面を区切り、1区画内に見いだされた被判定シンボル点は、その1区画内のいかなる位置に存在する場合であっても、1区画内で1つ定義されている基準シンボル点の位置に存在するものとみなすものである。例えば、図7の被判定シンボル点Aは、区画(1,−3)内の16QAM変調方式では定義されていない位置に存在する。そこで、硬判定においては区画(1,−3)内に位置する被判定シンボル点Aは、区画(1,−3)の基準シンボル点の座標点1−j3に位置するものとみなされる。硬判定部38は、現シンボル点の座標値を、硬判定によって判定された本来あるべき座標値へと修正し、硬判定信号Zとして出力する。
【0039】
なお、参照符号フレーム22aが入力されている状態から情報符号フレーム22bが入力されている状態に移り変わったときには、信号選択部34は選択する信号を切り換える必要がある。そのタイミングは、タイミング情報Tとシンボルクロック信号Cに基づいて検出される。ウェイト係数算出部28は、タイミング情報Tに基づいて参照符号フレーム22aの入力が開始されるタイミングを把握する。そして、参照符号フレーム22aの入力が開始された時からシンボルクロック信号Cのパルス数を数え、その数が参照符号フレームに含まれているシンボル点の数に達したときに、信号選択部34が収束目標信号Rとして選択する信号を切り換えるための切り換え情報Sを信号選択部34に入力する。信号選択部34は入力された切り換え情報に従って収束目標信号Rとして出力する信号を選択する。
【0040】
このように、参照符号フレーム22aが入力されている間には引き込み処理を行い、情報符号フレーム22bが入力されている間には追従処理を行うのは次のような理由による。一段型振幅位相制御部52の処理を単純化するという観点からは、追従処理を行うのみとしたいところである。しかし、単位フレーム22が入力されて間もない時刻、すなわち参照符号フレーム22aの先頭が受信されて間もない時刻においては、振幅位相誤差を低減させるウェイト係数Wがまだ定まっていない。したがって、このような信号に対する硬判定信号Zを収束目標信号Rとして適応化アルゴリズムを実行したとしても、誤差信号eが短時間で収束する可能性は低い。そこで、参照符号フレーム22aが受信されている間には、ウェイト係数算出部28aから出力されるウェイト係数Wを十分収束させて出力信号Yの振幅位相を理想的な値に引き込む、引き込み処理を行う。
【0041】
そして、引き込み処理の後には、出力信号Yの振幅位相を理想的な値に維持する必要があるため追従処理が行われる。情報符号フレーム22bを変調した情報符号は、送信装置から受信装置1に送信される実質的な情報を含む符号であるため、参照符号のようにそれ自身が振幅位相の変化パターンに関する情報を有するものではない。しかし、情報符号フレーム22bのシンボル点の座標値は、理想的には変調方式によって定められた値のみをとるという規則性があるため、追従処理は、この規則性を利用することとしている。すなわち、情報符号フレーム22bのシンボル点の振幅位相誤差が、複素平面上の1区画の範囲内で収まっている限りにおいては、出力信号Yの振幅位相を理想的な値に引き込まれた状態を維持することができる。
【0042】
ここまでが、一段型振幅位相制御部52を適用した場合の説明である。局部発振器に対する周波数精度の要求を緩和し、これによって増加する複素I/Q信号の振幅位相誤差を低減することで受信装置全体としての設計製造コストの低減を図ることができることは上述の通りである。このような技術的背景を鑑みた場合、一段型振幅位相制御部52が有する振幅位相誤差を低減する能力では不十分であり、さらに能力が高いものが要求される。そこで、本実施形態に係る受信装置1に適用される多段型振幅位相制御部18は、一段型振幅位相制御部52に比してより大きな振幅位相誤差を低減することができる構成としたものである。
【0043】
図3に多段型振幅位相制御部18の構成を示す。多段型振幅位相制御部18は、縦続接続された複数の単位振幅位相制御部を備えて構成される。図3は2つの単位振幅位相制御部を備えるものを示しており、第1単位振幅位相制御部18aと第2単位振幅位相制御部18bとを備える。
【0044】
第1単位振幅位相制御部18aは、乗算部26a、ウェイト係数算出部28a、加算部30a、極性反転部32a、信号選択部34aを備えて構成される。
【0045】
第1単位振幅位相制御部18aに入力された複素I/Q信号は、乗算部26aおよびウェイト係数算出部28aに入力される。また、ウェイト係数算出部28aはウェイト係数W1を乗算部26aに入力する。乗算部26aは入力された複素I/Q信号にウェイト係数W1を乗じ、これを第1単位振幅位相制御部18aの出力信号Y1として出力する。このウェイト係数W1は一段型振幅位相制御部52のウェイト係数Wと同様、複素数であり、その絶対値は入力された複素I/Q信号の振幅を変化させる率を表し、その偏角は入力された複素I/Q信号の位相を変化させる角度を表す。
【0046】
乗算部26aが出力する信号は第1単位振幅位相制御部18aの出力信号Y1となると共に加算部30aに入力される。信号選択部34aには、第2単位振幅位相制御部18bが備える硬判定部38が出力する硬判定信号Zと、第2単位振幅位相制御部18bが備える参照信号生成部40が出力する参照信号Vとが入力されており、信号選択部34aはこれらの信号のうちいずれかを選択して出力する。信号選択部34aによって選択された信号は、収束目標信号R1として極性反転部32aを介して加算部30aに入力される。加算部30aは、乗算部26aから入力された信号と信号選択部34aから極性反転部32aを介して入力された信号とを加算し、誤差信号e1としてウェイト係数算出部28aに入力する。誤差信号e1は、乗算部26aが出力する信号から収束目標信号R1を減算した信号であるといえる。
【0047】
ウェイト係数算出部28aは、誤差信号e1と第1単位振幅位相制御部18aに入力された複素I/Q信号とに基づいて、誤差信号e1を最小値へ収束させる適応化アルゴリズムを実行する。これによって、第1単位振幅位相制御部18aの出力信号Y1の振幅位相は、収束目標信号R1の振幅位相に収束する。適応化アルゴリズムとしては、LMSアルゴリズム、RLSアルゴリズム等を適用することが可能である。LMSアルゴリズムは、次の(4)式から(6)式に示す漸化式で表せる。
(数4) Y1(i)=X1(i)・W1(i)* (4)
(数5) W1(i+1)=W1(i)−μ1・X1(i)・e1(i)* (5)
(数6) e1(i)=X1(i)・W1(i)*−R1(i) (6)
ここに、Y1(i)は第1単位振幅位相制御部18aの出力信号、μ1は収束時間や追従性を決定するための任意の定数、X1(i)は第1単位振幅位相制御部18aの入力信号、W1(i)はウェイト係数、e1(i)は誤差信号、R1(i)は収束目標信号である。左上に*が付された変数は、その変数の複素共役であることを意味し、各変数の括弧内のiは時間と共に増加する計算ステップを表す整数である。
【0048】
第2単位振幅位相制御部18bは、乗算部26b、ウェイト係数算出部28b、加算部30b、極性反転部32b、信号選択部34b、収束判定部36、硬判定部38、参照信号生成部40を備えて構成される。
【0049】
第1単位振幅位相制御部18aから出力され、第2単位振幅位相制御部18bに入力された複素I/Q信号は、乗算部26bおよびウェイト係数算出部28bに入力される。また、ウェイト係数算出部28bから乗算部26bにはウェイト係数W2が入力される。乗算部26bは入力された信号にウェイト係数W2を乗じ、多段型振幅位相制御部18の出力信号Y2として出力する。乗算部26bが出力する信号は多段型振幅位相制御部18の出力信号Y2となると共に、加算部30bおよび硬判定部38に入力される。信号選択部34bには、硬判定部38が出力する硬判定信号Zと参照信号生成部40が出力する参照信号Vとが入力されており、信号選択部34bはこれらのうちのいずれかを選択して出力する。信号選択部34bによって選択された信号は、収束目標信号R2として極性反転部32bを介して加算部30bに入力される。加算部30bは、乗算部26bから入力された信号と信号選択部34bから極性反転部32bを介して入力された信号とを加算し、誤差信号e2としてウェイト係数算出部28bに入力する。誤差信号e2は、乗算部26bが出力する信号から収束目標信号R2を減算した信号であるといえる。
【0050】
第1単位振幅位相制御部18aは参照信号生成部40および硬判定部38を備えておらず、第2単位振幅位相制御部18bが備える参照信号生成部40および硬判定部38を利用する。
【0051】
第1単位振幅位相制御部18aの加算部30aが出力する誤差信号e1は、第2単位振幅位相制御部18bが備える収束判定部36に入力される。収束判定部36は誤差信号e1の収束状況に基づく制御情報を第2単位振幅位相制御部18bが備えるウェイト係数算出部28bに入力する。
【0052】
ウェイト係数算出部28bは、ウェイト係数算出部28aと同様に、誤差信号e2と第2単位振幅位相制御部18bに入力された複素I/Q信号とに基づいて、誤差信号e2を最小値へ収束させる適応化アルゴリズムを実行する。これによって、第2単位振幅位相制御部18bの出力信号Y2の振幅位相は、収束目標信号R2の振幅位相に収束する。適応化アルゴリズムとしては、LMSアルゴリズム、RLSアルゴリズム等を適用することが可能である。LMSアルゴリズムは、次の(7)式から(9)式に示す漸化式で表せる。
(数7) Y2(i)=X2(i)・W2(i)* (7)
(数8) W2(i+1)=W2(i)−μ2・X2(i)・e2(i)* (8)
(数9) e2(i)=X2(i)・W2(i)*−R2(i) (9)
ここに、Y2(i)は第2単位振幅位相制御部18bの出力信号、μ2は収束時間や追従性を決定するための任意の定数、X2(i)は第2単位振幅位相制御部18bの入力信号、W2(i)はウェイト係数、e2(i)は誤差信号、R2(i)は収束目標信号である。左上に*が付された変数は、その変数の複素共役であることを意味し、各変数の括弧内のiは時間と共に増加する計算ステップを表す整数である。また、適応化アルゴリズムを迅速かつ確実に収束させるため、μ1とμ2との間にはμ1>μ2の関係を持たせておくことが好適である。
【0053】
次に、本実施形態に係る多段型振幅位相制御部18の動作について説明する。多段型振幅位相制御部18は、先述の一段型振幅位相制御部52と同様、参照符号フレーム22aが入力されている間に引き込み処理を行い、情報符号フレーム22bが入力されている間に追従処理を行う。
【0054】
引き込み処理では信号選択部34aおよび34bは参照信号生成部40が出力する参照信号Vを、それぞれ収束目標信号R1およびR2として選択する。ウェイト係数算出部28aは適応化アルゴリズムを実行し、1ステップごとにウェイト係数W1を算出する。ウェイト係数W1は乗算部26aに入力され、第1単位振幅位相制御部18aに入力された複素I/Q信号の振幅位相が制御される。そして、適応化アルゴリズムのステップが増加するにつれて、加算部30aが出力する誤差信号e1は最小値へ収束していく。
【0055】
引き込み処理においては、第2単位振幅位相制御部18bが備えるウェイト係数算出部28bもまた、適応化アルゴリズムを実行する。しかしながら、誤差信号e1の収束が十分でない状態においてウェイト係数算出部28bが適応化アルゴリズムの実行を開始してしまうと、誤差信号e2が収束するのに長時間を要するかまたは収束しないこととなる。その理由は、誤差信号e1の収束が十分でない状態においては、第2単位振幅位相制御部18bに入力される複素I/Q信号が含む振幅位相誤差が大きく変動しているため、ウェイト係数算出部28bが実行する適応化アルゴリズムが迅速に収束することが困難となるためである。
【0056】
そこで、本実施形態に係る多段型振幅位相制御部18では、次のように誤差信号e1の収束状況に基づいてウェイト係数算出部28bが適応化アルゴリズムの実行を開始することとする。
【0057】
収束判定部36は、タイミング情報Tに基づいて参照符号フレーム22aの入力が開始されるタイミングを把握すると共に、誤差信号e1の絶対値を予め記憶された収束判定値ethと比較する。収束判定部36は、誤差信号e1の絶対値が収束判定値ethよりも大きい間は、ウェイト係数算出部28bが適応化アルゴリズムの実行を行わない状態で待機するよう、待機情報をウェイト係数算出部28bに入力する。そして、誤差信号e1の絶対値が収束判定値eth以下となると共に、ウェイト係数算出部28bが適応化アルゴリズムの実行を開始するよう、実行開始情報をウェイト係数算出部28bに入力する。
【0058】
なお、誤差信号e1の絶対値と収束判定値ethとの比較に基づいて、待機情報または実行開始情報のいずれかをウェイト係数算出部28bに入力する構成の他、参照符号フレーム22aが入力された時刻から予め設定された待機時間だけ経過した後に、収束判定部36が実行開始情報をウェイト係数算出部28bに入力する構成とすることも可能である。この待機時間は、誤差信号e1の絶対値が収束するのに要する時間を予めシミュレーションや実験等により調査した上で決定することが好ましい。
【0059】
ウェイト係数算出部28bは、待機情報が入力されている間は適応化アルゴリズムの実行を行わない状態で待機しているが、実行開始情報が入力されると共に適応化アルゴリズムの実行を開始し、ウェイト係数W2を算出する。このウェイト係数W2は乗算部26bに入力され、第2単位振幅位相制御部18bに入力された複素I/Q信号の振幅位相が制御される。そして、適応化アルゴリズムのステップが増加するにつれて、加算部30bが出力する誤差信号e2は最小値へ収束していく。
【0060】
なお、ウェイト係数算出部28aが適応化アルゴリズムの実行を開始する際には、ウェイト係数W1の初期値は0+j0とすることが好ましい。これは、引き込み処理における最初のステップにおいては、複素I/Q信号の振幅位相を変化させる程度が不明であるためである。すなわち、ウェイト係数W1の収束値としては如何なる値をもとり得るので、如何なる収束値に対しても収束性に悪影響を及ぼすことのない原点の値をとることとするのである。
【0061】
一方、ウェイト係数算出部28bが適応化アルゴリズムの実行を開始する際には、ウェイト係数W2の初期値を1+j0とすることが好ましい。これは、誤差信号e1の絶対値が収束判定値eth以下となったときには、第1単位振幅位相制御部18aの出力信号Y1の振幅位相は、既に参照信号Vの振幅位相に近い値に収束しているため、第2単位振幅位相制御部18bは、入力された複素I/Q信号の振幅位相を大きく変化させる必要がないためである。
【0062】
このようにして、参照符号フレーム22aが入力されている間、多段型振幅位相制御部18は引き込み処理を行う。参照符号フレーム22aが入力されている状態から情報符号フレーム22bが入力されている状態に移り変わるタイミングは、タイミング情報Tとシンボルクロック信号Cに基づいて検出される。ウェイト係数算出部28aおよび28bは、タイミング情報Tに基づいて参照符号フレーム22aの入力が開始されるタイミングを検出する。そして、参照符号フレーム22aの入力が開始された時からシンボルクロック信号Cのパルス数を数え、その数が参照符号フレーム22aに含まれているシンボル点の数に達したときに、切り換え情報Sを信号選択部34aおよび34bに入力する。信号選択部34aおよび34bは入力された切り換え情報Sに従って、それぞれ収束目標信号R1およびR2として選択した信号を出力する。
【0063】
次に、多段型振幅位相制御部18が行う追従処理について説明する。追従処理においては、第1単位振幅位相制御部18aと第2単位振幅位相制御部18bのそれぞれが同一の硬判定信号Zを用いる。すなわち、ウェイト係数算出部28aおよび28bは、第2単位振幅位相制御部18bが備える硬判定部38が出力する硬判定信号Zを収束目標信号として適応化アルゴリズムを実行する。
【0064】
ウェイト係数算出部28aは、シンボルクロック信号Cに従って、適応化アルゴリズムを実行する。この適応化アルゴリズムは、第1単位振幅位相制御部18aに入力される複素I/Q信号、出力信号Y1から硬判定信号Zを減じた誤差信号e1に基づき、1ステップごとにウェイト係数W1が算出されるものである。そして、このウェイト係数W1は乗算部26aに入力され、第1単位振幅位相制御部18aに入力された複素I/Q信号の振幅位相が制御される。これによって、加算部30aが出力する誤差信号e1は最小値へ収束する。
【0065】
同様に、ウェイト係数算出部28bは、シンボルクロック信号Cに従って、適応化アルゴリズムを実行する。この適応化アルゴリズムは、第2単位振幅位相制御部18bに入力される複素I/Q信号、出力信号Y2から硬判定信号Zを減じた誤差信号e2に基づくものであり、1ステップごとにウェイト係数W2が算出されるものである。そして、このウェイト係数W2は乗算部26aに入力され、第2単位振幅位相制御部18bに入力された複素I/Q信号の振幅位相が制御される。これによって、加算部30bが出力する誤差信号e2は最小値へ収束する。
【0066】
追従処理においては、ウェイト係数算出部28bを、誤差信号e1の収束状況に応じて適応化アルゴリズムの実行を停止した状態で待機させる必要はない。その理由は、第2振幅位相制御部18bに入力される複素I/Q信号が含む振幅位相誤差は、追従処理に先立って行われた引き込み処理によって小さく抑えられているためである。
【0067】
また、第2単位振幅位相制御部18bの出力信号Y2が含む振幅位相誤差は、既に振幅位相誤差が低減された信号に対して振幅位相を低減するよう処理が施されたものであるので、第1単位振幅位相制御部18aの出力信号Y1が含む振幅位相誤差よりも小さい。したがって、ウェイト係数算出部28aが適応化アルゴリズムを実行するに際しては、第1単位振幅位相制御部18aの出力信号Y1に対する硬判定信号を収束目標信号とする場合に比して、より安定な追従処理が行われ、より大きな振幅位相誤差を低減することが可能である。
【0068】
このように、多段型振幅位相制御部18は、引き込み処理に続いて追従処理を行い、入力された複素I/Q信号の振幅位相誤差を低減した信号を出力する。そして、多段型振幅位相制御部18の出力信号Y2は符号検波部20に入力される。符号検波部20は、入力された信号からシンボル点の座標値を算出し、当該座標値に対応するシンボル符号を得て、時系列で連なるシンボル符号をディジタル信号として出力する。
【0069】
本実施形態に係る多段型振幅位相制御部18では、第1単位振幅位相制御部18aと第2単位振幅位相制御部18bとによって2回に亘って振幅位相誤差の低減が行われる。したがって、一段型振幅位相制御部52を適用するよりも大きな振幅位相誤差を低減することができる。また、引き込み処理においては、第1単位振幅位相制御部18aにおける誤差信号e1が収束した後に、第2単位振幅位相制御部18bのウェイト係数算出部28bが適応化アルゴリズムを実行するため、引き込み処理を迅速に行うことができる。さらに、追従処理においては、第1単位振幅位相制御部18aは、第2単位振幅位相制御部18bの出力信号Y2に対する硬判定信号Zを収束目標信号として利用する。したがって、単に2つの一段型振幅位相制御部52を縦続接続した構成に比して、より安定な追従処理が行われることとなり、振幅位相が大きく変動する信号受信された場合でも、より安定な追従処理を行うことができる。
【0070】
また、上述のμ1とμ2との間にμ1>μ2の関係を持たせた場合、第1単位振幅位相制御部18aでは大きな振幅位相誤差を迅速かつ安定的に収束させ、第2単位振幅位相制御部18bでは第1単位振幅位相制御部18aで低減しきれなかった振幅位相誤差を安定的に低減させることができる。μ1およびμ2は、それぞれウェイト係数W1およびW2の補正量に乗ぜられる係数である。これは、(4)式から(9)式で表されるLMSアルゴリズムの場合についての例であるが、一般的な適応化アルゴリズムを適用した場合についても、第1単位振幅位相制御部18aでの補正量を第2単位振幅位相制御部18bでの補正量よりも大きくすることで同様の効果が得られる。
【0071】
なお、多段型振幅位相制御部18は、信号選択部34aが切り換え情報Sに従って収束目標信号R1として出力する信号を選択する構成となっている。ウェイト係数算出部28aが出力する切り換え情報Sと、ウェイト係数算出部28bが出力する切り換え情報Sは同一であるため、信号選択部34bが切り換え情報Sに従って収束目標信号R2として出力する信号は収束目標信号R1と同一である。したがって、収束目標信号R1の代わりに収束目標信号R2を極性反転部32aに入力する構成も可能である。この場合、信号選択部34aは不要となり構成を単純化することができる。
【0072】
本実施形態に係る振幅位相制御部は3段以上の構成とすることも可能である。図4にn段の単位振幅位相制御部54から構成される多段型振幅位相制御部56を示す。ここに、nは3以上の整数である。図6の一段型振幅位相制御部52または図3の多段型振幅位相制御部18と同一の構成部については同一の符号を付し、その説明を省略する。ただし、第k段の単位振幅位相制御部54−k(kは1からnまでの整数)に属する構成部に付する符号には、符号に続いて−kの符号を付すこととし、他の段に属する構成部と区別することとする。
【0073】
図4の多段型振幅位相制御部18では、最後段の単位振幅位相制御部54−nのみが硬判定部38を備え、最後段の単位振幅位相制御部54−nの出力信号Ynに対する硬判定信号Zは、すべての段における信号選択部34に入力される。また隣接する2つの単位振幅位相制御部54のうち、前段の収束判定部36は、後段のウェイト係数算出部28に待機情報または実行開始情報を入力する。
【0074】
単位振幅位相制御部54−1〜54−nのそれぞれが備えるウェイト係数算出部28−1〜28−nは、シンボルクロック信号Cに従って、適応化アルゴリズムを実行する。
【0075】
引き込み処理においては、単位振幅位相制御部54−2〜54−nのそれぞれが備えるウェイト係数算出部28−2〜28−nは、前段の単位振幅位相制御部54−2〜54−nのそれぞれが備える収束判定部36から入力される待機情報または実行開始情報に従って適応化アルゴリズムの実行を待機し、または実行を開始する。
【0076】
追従処理においては、単位振幅位相制御部54−1〜54−nのそれぞれが備えるウェイト係数算出部28−1〜28−nは、最後段の単位振幅位相制御部54−nの出力信号Ynに対する硬判定信号Zを収束目標信号とした適応化アルゴリズムを実行する。
【0077】
このように単位振幅位相制御部54の段数を増加させることで、より大きな振幅位相誤差を低減することができ、より安定した追従処理を実行することができる。
【0078】
なお、多段型振幅位相制御部56は、信号選択部34−1〜34−n-1のそれぞれが切り換え情報Sに従ってそれぞれ収束目標信号R−1〜R−n-1として出力する信号を選択する構成となっている。ウェイト係数算出部28−1〜28−n-1のそれぞれが出力する切り換え情報Sと、ウェイト係数算出部28−nが出力する切り換え情報Sは同一であるため、信号選択部34−nが切り換え情報Sに従って収束目標信号R−nとして出力する信号は収束目標信号R−1〜R−n-1と同一である。したがって、収束目標信号R−1からR−n-1の代わりに収束目標信号R−nを極性反転部32−1〜32−n-1のそれぞれに入力する構成も可能である。この場合、信号選択部34−1から34−n-1は不要となり構成を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。
【図2】ディジタル変調信号の構成を示す図である。
【図3】2段の単位振幅位相制御部を含んで構成される多段型振幅位相制御部の構成を示す図である。
【図4】n段の単位振幅位相制御部を含んで構成される多段型振幅位相制御部の構成を示す図である。
【図5】一般的な受信装置の構成を示す図である。
【図6】一段型振幅位相制御部の構成を示す図である。
【図7】硬判定について説明する図である。
【符号の説明】
【0080】
1,3 受信装置、10 アンテナ、12 無線受信部、14 直交検波部、16 A/D変換部、18,56 多段型振幅位相制御部、18a 第1単位振幅位相制御部、18b 第2単位振幅位相制御部、20 符号検波部、22 単位フレーム、22a 参照符号フレーム、22b 情報符号フレーム、24,25 タイミング同期部、26,26a,26b 乗算部、28,28a,28b ウェイト係数算出部、30,30a,30b 加算部、32,32a,32b 極性反転部、34,34a,34b 信号選択部、36 収束判定部、38 硬判定部、40 参照信号生成部、50 振幅位相制御部、52 一段型振幅位相制御部、54 単位振幅位相制御部、e,e1,e2 誤差信号、W,W1,W2 ウェイト係数。




 

 


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