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発明の名称 無線受信装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−6423(P2007−6423A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−187477(P2005−187477)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
発明者 永井 拓也
要約 課題
可及的簡単な構成により好適に指向性制御を行い得る無線受信装置を提供する。

解決手段
基準受信信号を受信するための単一の基準アンテナ素子40及び選択受信信号を受信するための複数の受信アンテナ素子28と、受信に用いられる受信アンテナ素子28を選択的に切り換えるアンテナ切換部30と、基準受信信号及び選択受信信号を記憶する受信情報記憶部68と、複数の基準受信信号の同期をとる信号同期部70と、その信号同期部70により同期をとった際の補正量に応じてそれぞれ対応する選択受信信号の補正を行う受信信号補正部72と、その受信信号補正部72により補正された信号を用いて通信指向性の制御を行う指向性制御部74とを、有することから、簡単な受信回路20を設ければ足り、また、基準受信信号を用いることで、複数の受信アンテナ素子28により個別の受信タイミングで受信される受信信号に関して好適に同期をとることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
所定の通信対象から送信される信号を受信して受信処理を行う無線受信装置であって、
前記通信対象から送信される信号を受信するための単一の基準アンテナ素子及び複数の受信アンテナ素子と、
それら複数の受信アンテナ素子のうち前記信号を受信する受信アンテナ素子を選択的に切り換えるアンテナ切換部と、
前記基準アンテナ素子により受信された基準受信信号を処理する基準受信信号処理部と、
前記アンテナ切換部により選択された受信アンテナ素子により受信された選択受信信号を処理する選択受信信号処理部と、
前記基準受信信号処理部及び選択受信信号処理部により処理された基準受信信号及び選択受信信号を記憶する受信情報記憶部と、
該受信情報記憶部に記憶された複数の基準受信信号の同期をとる信号同期部と、
該信号同期部により同期をとった際の各基準受信信号の補正量に応じて前記受信情報記憶部に記憶されたそれぞれ対応する選択受信信号の補正を行う受信信号補正部と、
該受信信号補正部により補正された複数の選択受信信号を用いて前記通信対象との間の通信指向性の制御を行う指向性制御部と
を、有することを特徴とする無線受信装置。
【請求項2】
前記信号同期部は、それぞれの受信タイミングにおける前記基準受信信号の相関が最大となるように各基準受信信号の補正量を決定するものである請求項1の無線受信装置。
【請求項3】
前記信号同期部は、それぞれの受信タイミングにおける前記基準受信信号の通信信号の開始位置が一致するように各基準受信信号の補正量を決定するものである請求項1の無線受信装置。
【請求項4】
前記受信信号補正部は、前記複数の基準受信信号の同期をとる際の遅延に基づいてそれぞれ対応する選択受信信号の遅延時間を補正するものである請求項1から3の何れかの無線受信装置。
【請求項5】
前記受信信号補正部は、前記複数の基準受信信号の同期をとる際の振幅に基づいてそれぞれ対応する選択受信信号の振幅を補正するものである請求項1から4の何れかの無線受信装置。
【請求項6】
前記指向性制御部は、フェイズドアレイ処理により前記通信対象との間の通信指向性の制御を行うものである請求項1から5の何れかの無線受信装置。
【請求項7】
前記指向性制御部は、アダプティブアレイ処理により前記通信対象との間の通信指向性の制御を行うものである請求項1から5の何れかの無線受信装置。
【請求項8】
前記通信対象は、同一の信号を複数回送信するものであり、前記アンテナ切換部は、前記通信対象から送信される信号がそれぞれ単一の受信アンテナ素子により受信されるように切り換えるものである請求項1から7の何れかの無線受信装置。
【請求項9】
前記受信情報記憶部は、前記基準受信信号処理部及び選択受信信号処理部により処理された基準受信信号及び選択受信信号の位相情報を記憶するものである請求項1から8の何れかの無線受信装置。
【請求項10】
少なくとも3つの前記受信アンテナ素子を備えたものである請求項1から9の何れかの無線受信装置。
【請求項11】
前記受信アンテナ素子により受信される受信信号を処理するための複数の受信回路を備え、それら受信回路の数は前記複数の受信アンテナ素子の数よりも少数である請求項1から10の何れかの無線受信装置。
【請求項12】
前記受信アンテナ素子により受信される受信信号を処理するための単一の受信回路を備えたものである請求項1から10の何れかの無線受信装置。
【請求項13】
前記通信対象は、所定の送信信号に応じて応答信号を返信し得る無線タグであり、前記無線受信装置は、該無線タグに所定の送信信号を送信する無線送信装置を備えて該無線タグとの間で情報の通信を行うことにより該無線タグに対して情報の読み出し及び/又は書き込みを行う無線タグ通信装置に備えられたものである請求項1から12の何れかの無線受信装置。
【請求項14】
前記無線送信装置は、通信対象である前記無線タグから同一の返信信号が複数回返信されるように前記送信信号を送信するものであり、前記アンテナ切換部は、前記無線タグから返信される返信信号がそれぞれ単一の受信アンテナ素子により受信されるように切り換えるものである請求項13の無線受信装置。
【請求項15】
前記無線送信装置は、複数種類の送信コマンドに基づく送信信号を選択的に送信し得るものであり、前記無線受信装置は、前記無線タグに向けて送信される送信信号に対応する送信コマンドに応じて、前記複数の受信アンテナ素子により受信された選択受信信号を用いる第1の受信処理と、前記基準アンテナ素子により受信された基準受信信号を用いる第2の受信処理とを切り換え得るものである請求項13又は14の無線受信装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の通信対象から送信される信号を受信するための複数の受信アンテナ素子を備えた無線受信装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の情報が記憶された小型の無線タグ(応答器)から所定の無線タグ通信装置(質問器)により非接触にて情報の読み出しを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。このRFIDシステムは、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても無線タグ通信装置との通信によりその無線タグに記憶された情報を読み出すことが可能であることから、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
斯かる無線タグ通信に組み込まれる無線受信装置の一態様として、通信対象である無線タグの方向に合わせて通信を行うために、その無線タグから送信される信号を受信するための複数のアンテナ素子を備え、それら複数のアンテナ素子により受信される受信信号を合成処理することにより受信指向性の制御を行うものが知られている。例えば、特許文献1に記載された無線装置がそれである。この無線装置によれば、複数のアンテナ素子を含むアレイアンテナと、それら複数のアンテナ素子により受信される受信信号それぞれにウェイトを乗算するアダプティブ処理部とを、備えていることから、上記アレイアンテナの指向性を好適に定めることができ、通信対象である無線タグから送信される信号を好適に受信することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−283411号公報
【0005】
しかし、前記従来の技術では、前記複数のアンテナ素子に対応してそれらと同数の受信回路を設ける必要があった。また、受信側における送信側からの回り込み信号を除去するためのキャンセル回路も前記複数のアンテナ素子それぞれに対応して設ける必要があり、構成が複雑になると共にコストがかさむという弊害があった。すなわち、可及的簡単な構成により好適に指向性制御を行い得る無線受信装置の開発が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、可及的簡単な構成により好適に指向性制御を行い得る無線受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、所定の通信対象から送信される信号を受信して受信処理を行う無線受信装置であって、前記通信対象から送信される信号を受信するための単一の基準アンテナ素子及び複数の受信アンテナ素子と、それら複数の受信アンテナ素子のうち前記信号を受信する受信アンテナ素子を選択的に切り換えるアンテナ切換部と、前記基準アンテナ素子により受信された基準受信信号を処理する基準受信信号処理部と、前記アンテナ切換部により選択された受信アンテナ素子により受信された選択受信信号を処理する選択受信信号処理部と、前記基準受信信号処理部及び選択受信信号処理部により処理された基準受信信号及び選択受信信号を記憶する受信情報記憶部と、その受信情報記憶部に記憶された複数の基準受信信号の同期をとる信号同期部と、その信号同期部により同期をとった際の各基準受信信号の補正量に応じて前記受信情報記憶部に記憶されたそれぞれ対応する選択受信信号の補正を行う受信信号補正部と、その受信信号補正部により補正された複数の選択受信信号を用いて前記通信対象との間の通信指向性の制御を行う指向性制御部とを、有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、前記通信対象から送信される信号を受信するための単一の基準アンテナ素子及び複数の受信アンテナ素子と、それら複数の受信アンテナ素子のうち前記信号を受信する受信アンテナ素子を選択的に切り換えるアンテナ切換部と、前記基準アンテナ素子により受信された基準受信信号を処理する基準受信信号処理部と、前記アンテナ切換部により選択された受信アンテナ素子により受信された選択受信信号を処理する選択受信信号処理部と、前記基準受信信号処理部及び選択受信信号処理部により処理された基準受信信号及び選択受信信号を記憶する受信情報記憶部と、その受信情報記憶部に記憶された複数の基準受信信号の同期をとる信号同期部と、その信号同期部により同期をとった際の各基準受信信号の補正量に応じて前記受信情報記憶部に記憶されたそれぞれ対応する選択受信信号の補正を行う受信信号補正部と、その受信信号補正部により補正された複数の選択受信信号を用いて前記通信対象との間の通信指向性の制御を行う指向性制御部とを、有することから、前記信号を受信する受信アンテナ素子を切り換えつつ受信動作を行うことで、設けるべき受信回路の数を少なくすることができることに加え、前記基準アンテナ素子により受信される基準受信信号を用いることで、前記複数の受信アンテナ素子により個別の受信タイミングで受信される受信信号に関して好適に同期をとることができる。すなわち、可及的簡単な構成により好適に指向性制御を行い得る無線受信装置を提供することができる。
【0009】
ここで、好適には、前記信号同期部は、それぞれの受信タイミングにおける前記基準受信信号の相関が最大となるように各基準受信信号の補正量を決定するものである。このようにすれば、実用的な態様で正確に前記複数の基準受信信号の同期をとることができる。
【0010】
また、好適には、前記信号同期部は、それぞれの受信タイミングにおける前記基準受信信号の通信信号の開始位置が一致するように各基準受信信号の補正量を決定するものである。このようにすれば、実用的な態様で簡単に前記複数の基準受信信号の同期をとることができる。
【0011】
また、好適には、前記受信信号補正部は、前記複数の基準受信信号の同期をとる際の遅延に基づいてそれぞれ対応する選択受信信号の遅延量を補正するものである。このようにすれば、実用的な態様で前記複数の選択受信信号の同期をとることができる。
【0012】
また、好適には、前記受信信号補正部は、前記複数の基準受信信号の同期をとる際の振幅に基づいてそれぞれ対応する選択受信信号の振幅を補正するものである。このようにすれば、通信対象から送信される通信信号強度に受信タイミング毎で差異が発生しても、実用的な態様で前記複数の選択受信信号の振幅比をあわせることができる。
【0013】
また、好適には、前記指向性制御部は、フェイズドアレイ処理により前記通信対象との間の通信指向性の制御を行うものである。このようにすれば、前期無線受信装置の受信指向性を実用的な態様で制御できる。
【0014】
また、好適には、前記指向性制御部は、アダプティブアレイ処理により前記通信対象との間の通信指向性の制御を行うものである。このようにすれば、前記通信対象からの受信信号を効率良く受信することができる。
【0015】
また、好適には、前記通信対象は、同一の信号を複数回送信するものであり、前記アンテナ切換部は、前記通信対象から送信される信号がそれぞれ単一の受信アンテナ素子により受信されるように切り換えるものである。このようにすれば、前記通信対象から送信される信号を複数の受信アンテナ素子により同時に受信した場合と等価な受信結果を得ることができる。
【0016】
また、好適には、前記受信情報記憶部は、前記基準受信信号処理部及び選択受信信号処理部により処理された基準受信信号及び選択受信信号の位相情報を記憶するものである。このようにすれば、斯かる位相情報に基づいて前記通信対象の方向検知等の受信処理を実行できることに加え、前記基準受信信号及び選択受信信号そのものを記憶する場合に比べて記憶する情報の量が少なくて済む。
【0017】
また、好適には、少なくとも3つの前記受信アンテナ素子を備えたものである。このようにすれば、必要十分な数の受信アンテナ素子により前記通信対象からの受信指向性を制御できる。
【0018】
また、好適には、前記受信アンテナ素子により受信される受信信号を処理するための複数の受信回路を備え、それら受信回路の数は前記複数の受信アンテナ素子の数よりも少数である。このようにすれば、前記無線受信装置に設けるべき受信回路の数を少なくすることができる。
【0019】
また、好適には、前記受信アンテナ素子により受信される受信信号を処理するための単一の受信回路を備えたものである。このようにすれば、前記無線受信装置に設けるべき受信回路の数を最少とすることができる。
【0020】
また、好適には、前記通信対象は、所定の送信信号に応じて応答信号を返信し得る無線タグであり、前記無線受信装置は、その無線タグに所定の送信信号を送信する無線送信装置を備えてその無線タグとの間で情報の通信を行うことによりその無線タグに対して情報の読み出し及び/又は書き込みを行う無線タグ通信装置に備えられたものである。このようにすれば、前記無線タグとの間で情報の通信を行う無線タグ通信装置に関して、可及的簡単な構成により指向性制御を行い得る無線受信装置を適用することができる。また、無線タグとの通信は通常の通信に比べ通信データ量が少なく、同じ通信を複数回行っても通信にかかる時間は短くて済む上、通信に関するタイミング制御を全て無線タグ通信装置側で行うため、本システムに適している。
【0021】
また、好適には、前記無線送信装置は、通信対象である前記無線タグから同一の返信信号が複数回返信されるように前記送信信号を送信するものであり、前記アンテナ切換部は、前記無線タグから返信される返信信号がそれぞれ単一の受信アンテナ素子により受信されるように切り換えるものである。このようにすれば、前記無線タグから返信される応答信号を複数の受信アンテナ素子により同時に受信した場合と等価な受信結果を得ることができる。
【0022】
また、好適には、前記無線送信装置は、複数種類の送信コマンドに基づく送信信号を選択的に送信し得るものであり、前記無線受信装置は、前記無線タグに向けて送信される送信信号に対応する送信コマンドに応じて、前記複数の受信アンテナ素子により受信された選択受信信号を用いる第1の受信処理と、前記基準アンテナ素子により受信された基準受信信号を用いる第2の受信処理とを切り換え得るものである。このようにすれば、例えば特定の無線タグ素子に対してID(識別番号)の返信を求めるコマンドである「Scroll ID」等、比較的高い受信精度が求められる送信コマンドに対応する通信では前記複数の受信アンテナ素子を用いて受信処理を行う一方、例えば通信範囲において無線タグの有無を調べるコマンドである「PING」等、それほど高い受信精度が求められない通信に関しては前記単一の基準アンテナ素子を用いて受信処理を行うことで、要求される受信精度を保証しつつ通信時間を可及的に短縮できる。
【0023】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の無線受信装置が好適に用いられる通信システム10を説明する図である。この通信システム10は、本発明の無線受信装置が組み込まれた無線タグ通信装置12と、その無線タグ通信装置12の通信対象である単数乃至は複数(図1では単数)の無線タグ14とから構成される所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、上記無線タグ通信装置12はそのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ14は応答器としてそれぞれ機能する。すなわち、上記無線タグ通信装置12から質問波F(送信信号)が上記無線タグ14に向けて送信されると、その質問波Fを受信した上記無線タグ14において所定の情報信号(データ)によりその質問波Fが変調され、応答波F(返信信号)として上記無線タグ通信装置12に向けて返信される。そして、その応答波Fが上記無線タグ通信装置12により受信されることで、その無線タグ通信装置12と無線タグ14との間で情報の通信が行われ、その無線タグ14に対する情報の読み出し及び/又は書き込みが実行される。
【0025】
図2は、上記無線タグ通信装置12の構成を説明する図である。この図2に示すように、上記無線タグ通信装置12は、上記無線タグ14に対する情報の読み書きや、その無線タグ14の方向検知等を実行するためにその無線タグ14との間で情報の通信を行うものであり、上記送信信号をデジタル信号として出力したり、上記無線タグ14からの返信信号を復調する等のデジタル信号処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)16と、そのDSP16により出力された送信信号をアナログ信号に変換して質問波Fとして送信する送信回路18と、その送信回路18により送信された質問波Fに応じて上記無線タグ14から返信される応答波Fを受信し、デジタル信号に変換して上記DSP16に供給する受信回路20とを、備えて構成されている。
【0026】
上記送信回路18は、上記質問波Fの搬送波を発生させる搬送波発生部22と、その搬送波発生部22により発生させられた搬送波に上記DSP16から供給される所定の送信情報信号(送信コマンド)を合成して上記送信信号を生成する送信信号生成部24と、その送信信号生成部24により生成された送信信号を質問波Fとして上記無線タグ14に向けて送信するための送信アンテナ素子26とを、備えて構成されている。また、上記受信回路20は、上記送信回路18により送信された質問波Fに応じて前記無線タグ14から返信される応答波Fを受信するための複数(図2では3つ)の受信アンテナ素子28a、28b、28c(以下、特に区別しない場合には単に受信アンテナ素子28と称する)と、それら受信アンテナ素子28のうち上記無線タグ14からの応答波Fを受信する受信アンテナ素子28を選択的に切り換えるアンテナ切換部30と、上記送信アンテナ素子26から送信される送信信号に起因して上記受信アンテナ素子28に発生する回り込み信号を除去するためのキャリアキャンセル回路である第1キャンセル処理部32と、所定の局発信号を発生させる局部発振器34と、上記第1キャンセル処理部32によりキャンセル処理された選択受信信号(何れかの受信アンテナ素子28により選択的に受信された受信信号を称する、以下の説明において同じ)にその局部発振器34により発生させられる局所信号を掛け合わせて第1中間信号を生成する第1中間信号生成部36と、その第1中間信号生成部36により生成された第1中間信号をディジタル信号に変換してDSP16に供給する選択受信信号A/Dコンバータ38と、上記送信回路18により送信された質問波Fに応じて前記無線タグ14から返信される応答波Fを受信するための単一の基準アンテナ素子40と、上記送信アンテナ素子26から送信される送信信号に起因して上記基準アンテナ素子40に発生する回り込み信号を除去するためのキャリアキャンセル回路である第2キャンセル処理部42と、その第2キャンセル処理部42によりキャンセル処理された基準受信信号(基準アンテナ素子40により受信された受信信号を称する、以下の説明において同じ)に上記局部発振器34により発生させられる局所信号を掛け合わせて第2中間信号を生成する第2中間信号生成部44と、その第2中間信号生成部44により生成された第2中間信号をディジタル信号に変換してDSP16に供給する基準受信信号A/Dコンバータ46とを、備えて構成されている。
【0027】
上記第1キャンセル処理部32は、上記搬送波発生部22により発生させられて分配される搬送波の位相を制御する第1キャンセル信号位相制御部48と、振幅を制御する第1キャンセル信号振幅制御部50とを、備えており、上記送信アンテナ素子26から送信される送信信号に起因して上記受信アンテナ素子28に発生する回り込み信号を除去するための第1キャンセル信号をそれら第1キャンセル信号位相制御部48及び第1キャンセル信号振幅制御部50により上記搬送波から生成する。上記第1キャンセル信号振幅制御部50から出力される第1キャンセル信号は、第1キャンセル信号合成部52を介して上記受信アンテナ素子28により受信される選択受信信号に掛け合わされ、それら選択受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号が斯かる第1キャンセル信号と相殺されることにより除去される。また、上記第2キャンセル処理部42は、上記搬送波発生部22により発生させられて分配される搬送波の位相を制御する第2キャンセル信号位相制御部54と、振幅を制御する第2キャンセル信号振幅制御部56とを、備えており、上記送信アンテナ素子26から送信される送信信号に起因して上記基準アンテナ素子40に発生する回り込み信号を除去するための第2キャンセル信号をそれら第2キャンセル信号位相制御部54及び第2キャンセル信号振幅制御部56により上記搬送波から生成する。上記第2キャンセル信号振幅制御部56から出力される第2キャンセル信号は、第2キャンセル信号合成部58を介して上記基準アンテナ素子40により受信される基準受信信号に掛け合わされ、その基準受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号が斯かる第2キャンセル信号と相殺されることにより除去される。
【0028】
前記DSP16は、CPU、ROM、及びRAM等から成り、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータシステムであり、後述する送信情報生成部60、アンテナ切換制御部62、選択受信信号処理部64、基準受信信号処理部66、受信情報記憶部68、信号同期部70、受信信号補正部72、指向性制御部74、及び受信信号処理部76を機能的に備えており、前記送信信号生成部24に所定の送信情報信号(送信コマンド)を供給したり、前記アンテナ切換部30による切換動作を制御したり、前記第1キャンセル処理部32及び第2キャンセル処理部42によるキャリアキャンセル動作を制御したり、前記選択受信信号A/Dコンバータ38から供給される選択受信信号及び基準受信信号A/Dコンバータ46から供給される基準受信信号を処理することで前記無線タグ14からの返信信号を復調する等のディジタル信号処理を実行する。ここで、前記送信回路18及び送信情報生成部24が前記無線タグ14に所定の送信信号を送信する無線送信装置を構成し、前記受信回路20、アンテナ切換制御部62、選択受信信号処理部64、基準受信信号処理部66、受信情報記憶部68、信号同期部70、受信信号補正部72、指向性制御部74、及び受信信号処理部76が本実施例の無線受信装置を構成している。
【0029】
図3は、前記無線タグ14に備えられた無線タグ回路素子80の構成を説明する図である。この図3に示すように、斯かる無線タグ回路素子80は、前記無線タグ通信装置12との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部82と、そのアンテナ部82により受信された信号を処理するためのIC回路部84とを、備えて構成されている。そのIC回路部84は、上記アンテナ部82により受信された前記無線タグ通信装置12からの質問波Fを整流する整流部86と、その整流部86により整流された質問波Fのエネルギを蓄積するための電源部88と、上記アンテナ部82により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部96に供給するクロック抽出部90と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部92と、上記アンテナ部82に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部94と、上記整流部86、クロック抽出部90、及び変復調部94等を介して上記無線タグ回路素子80の作動を制御するための制御部96とを、機能的に含んでいる。この制御部96は、前記無線タグ通信装置12と通信を行うことにより上記メモリ部92に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部82により受信された質問波Fを上記変復調部94において上記メモリ部92に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波Fとして上記アンテナ部82から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0030】
図2に戻って、前記DSP16に機能的に備えられた送信情報生成部60は、前記搬送波発生部22により発生させられる搬送波を変調して送信信号を生成するための所定の送信情報信号を生成して前記送信信号生成部24に供給する。この送信情報信号とは、例えば、特定の無線タグ14に対して応答を求めるコマンドである「Scroll ID」や、通信範囲において無線タグ14の有無を調べるコマンドである「PING」等の送信コマンドであり、前記送信情報生成部60により生成された送信コマンドが前記送信信号生成部24に送られ、その送信信号生成部24において前記搬送波発生部22から供給される搬送波に斯かる送信コマンドが掛け合わされて変調されることで、その送信コマンドを含む送信信号が前記送信アンテナ素子26から質問波Fとして前記無線タグ14に向けて送信される。このように、前記無線タグ通信装置12は、好適には、前記送信情報生成部60を介して複数種類の送信コマンドに基づく送信信号を選択的に前記無線タグ14に向けて送信する。また、好適には、通信対象である前記無線タグ14から同一の返信信号が複数回返信されるように、前記送信情報生成部60を介して同じパターンの送信信号すなわち同じ送信コマンドを含む送信信号を複数回送信する。
【0031】
アンテナ切換制御部62は、前記複数の受信アンテナ素子28のうち前記無線タグ14からの応答波Fを受信する受信アンテナ素子28を前記アンテナ切換部30を介して選択的に切り換える。すなわち、前記第1キャンセル処理部32に受信信号を出力する受信アンテナ素子28を選択的に切り換える。好適には、前記複数の受信アンテナ素子28のうち前記無線タグ14からの応答波Fを受信する単一の受信アンテナ素子28を選択する。また、好適には、前記送信情報生成部60を介して複数回送信された同じ送信コマンドを含む送信信号に応じて通信対象である無線タグ14から複数回送信(返信)される応答波Fがそれぞれ異なる受信アンテナ素子28により受信されるように前記複数の受信アンテナ素子28を選択的に切り換える。すなわち、前記送信回路18により送信される質問波Fの送信タイミングに応じて、その質問波Fに対して返信される返信信号の受信に用いられる受信アンテナ素子28を選択的に切り換える。
【0032】
選択受信信号処理部64は、前記選択受信信号A/Dコンバータ38から供給される選択受信信号を処理すると共にその処理された信号を受信情報記憶部68に記憶する。また、好適には、前記選択受信信号A/Dコンバータ38から供給される選択受信信号の位相情報を抽出して受信情報記憶部68に記憶する。基準受信信号処理部66は、前記基準受信信号A/Dコンバータ46から供給される基準受信信号を処理すると共にその処理された信号を受信情報記憶部68に記憶する。また、好適には、前記基準受信信号A/Dコンバータ46から供給される基準受信信号の位相情報を抽出して受信情報記憶部68に記憶する。
【0033】
受信情報記憶部68は、前記選択受信信号処理部64から供給される前記何れかの受信アンテナ素子28により受信された選択受信信号又はその選択受信信号の位相情報を記憶する。また、前記基準受信信号処理部66から供給される前記基準アンテナ素子40により受信された基準受信信号又はその基準受信信号の位相情報を記憶する。図4は、この受信情報記憶部68に各受信タイミング毎に記憶される受信情報を例示する図である。この図4に示すように、前記受信情報記憶部68には、前記アンテナ切換制御部62により選択される受信アンテナ素子28により受信される選択受信信号に関して、タイミングnに対応する受信情報、タイミングn+1に対応する受信情報、タイミングn+2に対応する受信情報、・・・がそれぞれ個別に記憶される。また、前記基準アンテナ素子40により受信される基準受信信号に関して、上記各タイミング毎に受信情報が記憶される。この図4において、タイミングnに対応する受信情報は前記受信アンテナ素子28aにより受信されたものであり、タイミングn+1に対応する受信情報は前記受信アンテナ素子28bにより受信されたものであり、タイミングn+2に対応する受信情報は前記受信アンテナ素子28cにより受信されたものである。通信対象である無線タグ14は、前記送信アンテナ素子26から送信される質問波Fに応じて応答波Fを返信するものであることから、その送信タイミングに応じて受信用の受信アンテナ素子28を選択的に切り換えることで、通信対象である無線タグ14から複数回返信される応答波Fがそれぞれ異なる受信アンテナ素子28により受信される。また、この応答波Fは同時に前記基準アンテナ素子40によっても受信され、そのようにしてそれぞれ異なる受信アンテナ素子28により受信された選択受信信号に関する受信情報と基準アンテナ素子40により受信された基準受信信号に関する受信情報とが対応付けられて、図4に示すように前記受信情報記憶部68に記憶される。
【0034】
信号同期部70は、前記受信情報記憶部68に記憶された複数の基準受信信号の同期をとる。好適には、前記アンテナ切換制御部62の制御によるそれぞれの受信タイミングにおける前記基準受信信号の相関(相関関数)が最大となるように各基準受信信号の補正量を決定する。複数の受信タイミングにおける基準受信信号の相関が大きければそれら基準受信信号の同期がとれていると考えられるため、その相関が最大となるように各基準受信信号の補正量を定めるのである。この補正は、例えば、複数の受信タイミングにおける基準受信信号の同期をとるために各基準受信信号を所定量ずつ遅延させるものであり、上記補正量は、複数の基準受信信号の同期をとる際の遅延量(ディレイ)に対応する。ここで、前記基準受信信号の波形全体から同期をとるものであってもよいが、少なくとも先頭の部分で同期をとることができればよい。このため、前記信号同期部70は、好適には、前記アンテナ切換制御部62の制御によるそれぞれの受信タイミングにおける前記基準受信信号の通信信号の開始位置が一致するように各基準受信信号の補正量を決定する。この基準受信信号の通信信号の開始位置とは、例えば、その基準受信信号のプリアンブル(送信信号の先頭に付加される安定時間分の信号)の終了位置であり、換言すれば実質的な通信部分の開始する位置に対応する。また、好適には、波形全体から同期をとる場合はそれぞれの受信信号の開始タイミングから遅延量を決定し、受信信号の終了タイミングから受信周波数を補正して同期をとる。この場合、異なるタイミングn、n+1において無線タグ14からの応答波Fの変調周波数は変化しても正しく相関をとることができる。
【0035】
受信信号補正部72は、前記信号同期部70により同期をとった際の各基準受信信号の補正量に応じて前記受信情報記憶部68に記憶されたそれぞれ対応する選択受信信号の補正を行う。図5は、この受信信号補正部72による各受信タイミングにおける選択受信信号の補正について説明する図である。この図5に示すように、前記受信信号補正部72は、好適には、前記信号同期部70における前記複数の基準受信信号の同期をとる際の遅延に基づいてそれぞれ対応する選択受信信号の遅延時間を補正する。前述したように、前記受信情報記憶部68には、各受信タイミングにおいて前記アンテナ切換部30により選択された受信アンテナ素子28により受信された選択受信信号と前記基準アンテナ素子40により受信された基準受信信号とが対応付けられて記憶されている。そのように対応付けられた基準受信信号及び選択受信信号は同一の応答波Fに対応するものであることから、その受信タイミングは略同時であり受信内容は等価であると言ってよい。このため、前記信号同期部70により各受信タイミングにおける基準受信信号の同期をとるために定められた補正量(遅延)をそのまま各受信タイミングにおける選択受信信号の同期をとるための補正量として用いることができるのである。図5では基準受信信号のタイミングに合わせ、タイミングnの信号に対してタイミングn+1の信号をΔt早め、タイミングn+1の信号を0.5Δt早めることで同期を取っている。また、前記受信信号補正部72は、好適には、前記信号同期部70において前記複数の基準受信信号の同期をとる際の振幅に基づいてそれぞれ対応する選択受信信号の振幅を補正する。相互に対応付けられた基準受信信号及び選択受信信号は等価であることから、前記基準受信信号の大きさに合わせて各選択受信信号の振幅を補正することができる。
【0036】
指向性制御部74は、前記受信信号補正部72により補正された複数の選択受信信号を用いて通信対象である前記無線タグ14との間の通信指向性すなわちその無線タグ14からの返信信号の受信指向性の制御を行う。好適には、所定のPAAウェイトを掛け合わせることにより各選択受信信号の位相を制御するフェイズドアレイ(Phased Array)処理により前記無線タグ14との間の通信指向性の制御を行う。また、好適には、所定のAAAウェイトを掛け合わせることにより各選択受信信号の位相及び振幅を制御するアダプティブアレイ(Adaptive Array)処理により前記無線タグ14との間の通信指向性の制御を行う。
【0037】
受信信号処理部76は、前記指向性制御部74により指向性制御された複数の選択受信信号の処理を行う。例えば、それら複数の選択受信信号を合成し、AM方式による復調及びFSK方式による復号等を行った後、前記無線タグ14による変調に関する信号を読み出す。このようにして、通信対象である無線タグ14との間で情報の通信が行われ、例えば、その無線タグ14の相対的な方向乃至は位置を検出することができる。このように、本実施例の無線タグ通信装置12では、前記アンテナ切換制御部62により前記複数の受信アンテナ素子28のうち前記無線タグ14からの応答波Fを受信する受信アンテナ素子28を選択的に切り換え、その受信アンテナ素子28により受信された選択受信情報を前記受信情報記憶部68に一時的に記憶した後、それら複数種類の選択受信情報を読み出して前記受信信号処理部76により処理する構成とすることで、図2に示すように、前記受信アンテナ素子28よりも少数乃至は単数の第1キャンセル処理部32を設ければ足りるのである。また、同様に、前記第1中間信号生成部36及び選択受信信号A/Dコンバータ38等についても前記受信アンテナ素子28よりも少数乃至は単数とすることができる。すなわち、前記受信アンテナ素子28により受信される選択受信信号を処理するために、前記受信アンテナ素子28の数よりも少数乃至は単数の受信回路20を設ければよく、簡単な構成により通信対象である無線タグ14との間で好適な通信を実現できる。
【0038】
ここで、前記無線タグ通信装置12は、好適には、前記送信情報生成部60により生成される前記無線タグ14に向けて送信される送信信号に対応する送信コマンドに応じて、前記複数の受信アンテナ素子28により受信された選択受信信号を用いる第1の受信処理と、前記基準アンテナ素子40により受信された基準受信信号のみを用いる第2の受信処理とを切り換え得るものである。前記無線タグ14との間の通信では、その通信の内容に応じて受信精度が異なってくる。例えば、特定の無線タグ14に対して応答を求めるコマンドである「Scroll ID」等に対応する通信では、その無線タグ14との間で確実に通信を行う必要があることから比較的高い受信精度が求められるが、通信領域内における無線タグ14の有無を調べるコマンドである「PING」等に対応する通信では、その領域内からの返信を大まかに受信できればよいことからそれほど高い受信精度が求められない。前記無線タグ通信装置12は、好適には、前記送信情報生成部60により生成される送信コマンドに対応する通信が比較的高い受信精度を要求するものである場合には、前記複数の受信アンテナ素子28により受信された選択受信信号を用いる第1の受信処理を行い、それほど高い受信精度が要求されない場合には、前記基準アンテナ素子40により受信された基準受信信号を用いる第2の受信処理を行う。前記基準受信信号を用いる処理では前記信号同期部70による制御や受信信号補正部72による制御等は行われないため、このようにすることで、要求される受信精度を保証しつつ通信時間を可及的に短縮できる。
【0039】
図6は、前記無線タグ通信装置12のDSP16による前記無線タグ14との間の情報通信制御について説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0040】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)SA1において、変数iが0とされる。次に、SA2において、前記第1キャンセル処理部32の設定が変数iに対応する受信アンテナ素子28に応じた値とされる。次に、前記アンテナ切換制御部62の動作に対応するSA3において、変数iに対応する受信アンテナ素子28により受信された受信信号が前記第1キャンセル処理部32に供給されるように前記アンテナ切換部30が切り換えられる。次に、前記送信情報生成部60、選択受信信号処理部64、及び基準受信信号処理部66の動作に対応するSA4において、前記送信アンテナ素子26から質問波Fが送信され、その質問波Fに応じて前記無線タグ14から返信される応答波Fが変数iに対応する受信アンテナ素子28により受信される。そして、第1キャンセル処理部32、第1中間信号生成部36、及び選択受信信号A/Dコンバータ38を経て前記DSP16に入力される。また、これと同時に、前記応答波Fが前記基準アンテナ素子40により受信され、第2キャンセル処理部42、第2中間信号生成部44、及び基準受信信号A/Dコンバータ46を経て前記DSP16に入力される。次に、前記受信情報記憶部68の動作に対応するSA5において、前記選択受信信号処理部64から供給される前記受信アンテナ素子28により受信された選択受信信号又はその位相情報が記憶されると共に、前記基準受信信号処理部66から供給される前記基準アンテナ素子40により受信された基準受信信号又はその位相情報が記憶される。次に、SA6において、変数iがN−1未満であるか否かが判断される。このSA6の判断が肯定される場合には、SA7において、変数iに1が加算された後、SA2以下の処理が再び実行されるが、SA6の判断が否定される場合には、前記信号同期部70の動作に対応するSA8において、前記受信情報記憶部68に記憶された複数の基準受信信号に関して、それぞれの受信タイミングにおける相関(相関関数)が最大となるように各基準受信信号の補正量が決定される。次に、SBにおいて、図7に示す受信信号合成制御が実行された後、本ルーチンが終了させられる。
【0041】
図7は、図6に示す前記無線タグ14との間の情報通信制御の一部である前記複数の受信アンテナ素子28により受信される選択受信情報の合成制御について説明するフローチャートである。
【0042】
先ず、SB1において、変数iが0とされる。次に、SB2において、変数iに対応して前記受信情報記憶部68に記憶されている選択受信情報が読み出される。次に、SB3において、SB2にて読み出された選択受信情報の通信開始位置を他の選択受信信号の通信開始位置と合わせるために、前述したSA8にて同期をとった際の各基準受信信号の補正量に応じて、例えば同じ受信タイミングにて受信された基準受信信号の遅延に基づいて選択受信信号の遅延量の補正が行われる。次に、SB3′において、SB2にて補正された選択受信信号の振幅について、同期を取った際の各基準受信信号の振幅に基づいて補正が行われる。次に、SB4において、変数iがN−1未満であるか否かが判断される。このSB4の判断が肯定される場合には、SB5において、変数iに1が加算された後、SB2以下の処理が再び実行されるが、SB4の判断が否定される場合には全ての選択受信信号の読み出し、先頭位置あわせが終了した状態となる。すなわち、この時点で複数の受信アンテナ28で同時に通信したのと等しい受信信号が用意できている。次に、この受信信号を用い、前記指向性制御部74の動作に対応するSB6において、先頭位置合わせが行われた複数種類の受信情報それぞれに与えられるウェイトが算出され、それら複数種類の選択受信信号の指向性制御が行われる。次に、SB7において、SB6にて指向性制御された複数種類の選択受信情報が合成される。次に、SB8において、SB7にて合成された合成信号がAM方式によりAM復調され、その復調信号がFM復号化されて前記無線タグ14による変調に関する情報信号が読み出された後、図6に示す制御に復帰させられる。以上の制御において、SB7及びSB8が前記受信信号処理部76の動作に対応する。
【0043】
ここで、前述した図6に示す前記無線タグ14との間の情報通信制御の上位処理として、図8に示すような受信処理切換制御を行ってもよい。この図8に示す制御では、先ず、S1において、前記送信情報生成部60により生成される送信コマンドが「Scroll ID」であるか、「PING」であるかが判断される。このS1において、前記送信情報生成部60により生成される送信コマンドが「Scroll ID」であると判断される場合には、SAにおいて、前述した図6に示す前記無線タグ14との間の情報通信制御が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S1において、前記送信情報生成部60により生成される送信コマンドが「PING」であると判断される場合には、S2において、前記基準アンテナ素子40により受信された基準受信信号を用いての受信処理のみが実行され、それをもって本ルーチンが終了させられる。
【0044】
このように、本実施例によれば、通信対象である前記無線タグ14から返信される信号を受信するための単一の基準アンテナ素子40及び複数の受信アンテナ素子28と、それら複数の受信アンテナ素子28のうち前記信号を受信する受信アンテナ素子28を選択的に切り換えるアンテナ切換部30と、前記基準アンテナ素子40により受信された基準受信信号を処理する基準受信信号処理部66(SA4)と、前記アンテナ切換部30により選択された受信アンテナ素子28により受信された選択受信信号を処理する選択受信信号処理部64(SA4)と、前記基準受信信号処理部66及び選択受信信号処理部64により処理された基準受信信号及び選択受信信号を記憶する受信情報記憶部68(SA5)と、その受信情報記憶部68に記憶された複数の基準受信信号の同期をとる信号同期部70(SA8)と、その信号同期部70により同期をとった際の各基準受信信号の補正量に応じて前記受信情報記憶部68に記憶されたそれぞれ対応する選択受信信号の補正を行う受信信号補正部72(SB3、SB3′)と、その受信信号補正部72により補正された複数の選択受信信号を用いて前記無線タグ14との間の通信指向性の制御を行う指向性制御部74(SB6)とを、有することから、前記信号を受信する受信アンテナ素子28を切り換えつつ受信動作を行うことで、設けるべき受信回路20の数を少なくすることができることに加え、前記基準アンテナ素子40により受信される基準受信信号を用いることで、前記複数の受信アンテナ素子28により個別の受信タイミングで受信される受信信号に関して好適に同期をとることができる。すなわち、可及的簡単な構成により好適に指向性制御を行い得る無線受信装置を提供することができる。
【0045】
また、前記信号同期部70は、それぞれの受信タイミングにおける前記基準受信信号の相関が最大となるように各基準受信信号の補正量を決定するものであるため、実用的な態様で正確に前記複数の基準受信信号の同期をとることができる。
【0046】
また、前記信号同期部70は、それぞれの受信タイミングにおける前記基準受信信号の通信信号の開始位置が一致するように各基準受信信号の補正量を決定するものであるため、実用的な態様で簡単に前記複数の基準受信信号の同期をとることができる。
【0047】
また、前記受信信号補正部72は、前記複数の基準受信信号の同期をとる際の遅延に基づいてそれぞれ対応する選択受信信号の遅延量を補正するものであるため、実用的な態様で前記複数の選択受信信号の同期をとることができる。
【0048】
また、前記受信信号補正部72は、前記複数の基準受信信号の同期をとる際の振幅に基づいてそれぞれ対応する選択受信信号の振幅を補正するものであるため、通信対象からの通信信号強度に受信タイミング毎で差異が発生しても、実用的な態様で前記複数の選択受信信号の振幅比をあわせることができる。
【0049】
また、前記指向性制御部74は、フェイズドアレイ処理により前記通信対象との間の通信指向性の制御を行うものであるため、前記通信対象からの受信指向性を実用的な態様で制御できる。
【0050】
また、前記指向性制御部76は、アダプティブアレイ処理により前記通信対象との間の通信指向性の制御を行うものであるため、前記通信対象からの受信信号を効率良く受信することができる。
【0051】
また、前記通信対象は、同一の信号を複数回送信するものであり、前記アンテナ切換部30は、前記通信対象から送信される信号がそれぞれ単一の受信アンテナ素子28により受信されるように切り換えるものであるため、前記通信対象から送信される信号を複数の受信アンテナ素子28により同時に受信した場合と等価な受信結果を得ることができる。
【0052】
また、前記受信情報記憶部68は、前記基準受信信号処理部66及び選択受信信号処理部64により処理された基準受信信号及び選択受信信号の位相情報を記憶するものであるため、斯かる位相情報に基づいて前記通信対象の方向検知等の受信処理を実行できることに加え、前記基準受信信号及び選択受信信号そのものを記憶する場合に比べて記憶する情報の量が少なくて済む。
【0053】
また、3つの前記受信アンテナ素子28を備えたものであるため、必要十分な数の受信アンテナ素子28により前記通信対象からの受信指向性を制御できる。
【0054】
また、前記受信アンテナ素子28により受信される受信信号を処理するための単一の受信回路20を備えたものであるため、前記無線受信装置に設けるべき受信回路20の数を最少とすることができる。
【0055】
また、前記通信対象は、所定の送信信号に応じて応答信号を返信し得る無線タグ14であり、前記無線受信装置は、その無線タグ14に所定の送信信号を送信する無線送信装置を備えてその無線タグ14との間で情報の通信を行うことによりその無線タグ14に対して情報の読み出し及び/又は書き込みを行う無線タグ通信装置12に備えられたものであるため、前記無線タグ14との間で情報の通信を行う無線タグ通信装置12に関して、可及的簡単な構成により指向性制御を行い得る無線受信装置を適用することができる。また、無線タグ14との通信は通常の通信に比べ通信データ量が少なく、同じ通信を複数回行っても通信にかかる時間は短くて済む上、通信に関するタイミング制御を全て無線タグ通信装置12側で行うため、本システムに適している。
【0056】
また、前記無線送信装置は、通信対象である前記無線タグ14から同一の返信信号が複数回返信されるように前記送信信号を送信するものであり、前記アンテナ切換部30は、前記無線タグ14から返信される返信信号がそれぞれ単一の受信アンテナ素子28により受信されるように切り換えるものであるため、前記無線タグ14から返信される応答信号を複数の受信アンテナ素子28により同時に受信した場合と等価な受信結果を得ることができる。
【0057】
また、前記無線送信装置は、複数種類の送信コマンドに基づく送信信号を選択的に送信し得るものであり、前記無線受信装置は、前記無線タグ14に向けて送信される送信信号に対応する送信コマンドに応じて、前記複数の受信アンテナ素子28により受信された選択受信信号を用いる第1の受信処理と、前記基準アンテナ素子40により受信された基準受信信号を用いる第2の受信処理とを切り換え得るものであるため、特定の無線タグ14に対して応答を求めるコマンドである「Scroll ID」等、比較的高い受信精度が求められる送信コマンドに対応する通信では前記複数の受信アンテナ素子28を用いて受信処理を行う一方、通信範囲において無線タグ14の有無を調べるコマンドである「PING」等、それほど高い受信精度が求められない通信に関しては前記単一の基準アンテナ素子40を用いて受信処理を行うことで、要求される受信精度を保証しつつ通信時間を可及的に短縮できる。
【0058】
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明に関して、前述の実施例と重複する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【実施例2】
【0059】
図9は、本発明の第2実施例である無線受信装置が組み込まれた無線タグ通信装置100の構成を説明する図である。この図9に示すように、本実施例の無線タグ通信装置100では、前記送信信号生成部24から出力される送信信号を前記送信アンテナ素子26に供給すると共に、その送信アンテナ素子26により受信された受信信号を基準受信信号として前記第2キャンセル処理部42に供給する送受信分離部102が設けられている。すなわち、前記送信アンテナ素子26が前記基準受信信号を受信するための基準アンテナ素子としての機能を兼ねる。この送受信分離部102としては、サーキュレータ若しくは方向性結合器等が好適に用いられる。
【0060】
このように、本実施例によれば、前記無線タグ14に所定の送信信号を送信すると共に、その送信信号に応じて前記無線タグ14から返信される返信信号を基準受信信号として受信する送受信共用のアンテナ素子26を備えているため、可及的に簡単な構成の無線タグ通信装置100を実現できる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0062】
例えば、前述の実施例において、前記選択受信信号処理部64、基準受信信号処理部66、受信情報記憶部68、信号同期部70、受信信号補正部72、及び指向性制御部74等は、何れも前記DSP16の制御機能として備えられたものであったが、それぞれ個別の制御装置として備えられたものであっても構わない。また、それらの制御は、ディジタル信号処理によるものであるとアナログ信号処理によるものであるとを問わない。
【0063】
また、前述の実施例において、前記受信アンテナ素子28により受信される受信信号を処理するための受信回路として第1キャンセル処理部32、第1中間信号生成部36、及び選択受信信号A/Dコンバータ38が設けられた受信回路20について説明したが、斯かる受信回路には様々な態様が考えられる。すなわち、従来の技術において前記受信アンテナ素子28に応じてそれらと同数設けられていた受信回路に関して本発明の効果が得られる。
【0064】
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14に向けて前記送信信号を送信する送信アンテナ素子26と、その送信信号に応じて無線タグ14から返信される返信信号を受信するための複数の受信アンテナ素子28とを、それぞれ個別に備えたものであったが、前記無線タグ14に向けて前記送信信号を送信すると共に、その送信信号に応じて無線タグ14から返信される返信信号を受信するための複数の送受信アンテナ素子を備えるものであっても構わない。斯かる構成においても、前記信号を受信する受信アンテナ素子を切り換えつつ受信動作を行うことで、設けるべき受信回路の数を少なくすることができ、本発明の効果が得られる。
【0065】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施例である無線受信装置が好適に用いられる通信システムを説明する図である。
【図2】本発明の一実施例である無線受信装置が好適に組み込まれる無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【図3】図2の無線受信装置の通信対象である無線タグの構成を説明する図である。
【図4】図2の受信情報記憶部に各タイミング毎に記憶される基準受信情報及び選択受信信号を例示する図である。
【図5】図2の受信情報記憶部から読み出された複数種類の選択受信情報が先頭位置合わせのために補正される様子を説明する図である。
【図6】図2の無線タグ通信装置のDSPによる図3の無線タグとの間の情報通信制御について説明するフローチャートである。
【図7】図6に示す無線タグとの間の情報通信制御の一部である複数の受信アンテナ素子により受信される受信情報の合成制御について説明するフローチャートである。
【図8】図6に示す無線タグとの間の情報通信制御の上位処理として行われる受信処理切換制御について説明するフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施例である無線受信装置が好適に組み込まれる無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0067】
12、100:無線タグ通信装置
14:無線タグ(通信対象)
20:受信回路
28:受信アンテナ素子
30:アンテナ切換部
40:基準アンテナ素子
64:選択受信信号処理部
66:基準受信信号処理部
68:受信情報記憶部
70:信号同期部
72:受信信号補正部
74:指向性制御部




 

 


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